説明

給湯装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、給湯装置に関し、詳しくは、浴槽への追焚給湯中に一般給湯の割込みがあったときに、運転条件にかかわらず、追焚給湯と一般給湯を同時に行うことが可能で、かつ、一般給湯側のオーバーシュートやアンダーシュートを防止して、所定の温度で給湯することが可能な給湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の、給湯装置としては、例えば、図2R>2に示すような構成を有する給湯装置が知られている。
【0003】この給湯装置において、水加熱用熱交換器52に接続された給水路51には、水量センサ65,入水サーミスタ66が配設されており、また、水加熱用熱交換器52の出口側には加熱された温水の通路となる給湯路53が接続されている。給湯路53には出湯サーミスタ63が配設されており、この給湯路53は、浴槽用給湯路54と台所などへの一般給湯路55に分岐している。そして、浴槽用給湯路54には、閉止機能付水量調節弁56及び逆止弁付真空破壊弁(バキュームブレーカ)57が配設されている。また、一般給湯路55には、給湯水流スイッチ60、サーミスタ61が配設されており、その出口側は給湯栓58(カラン)に接続されている。さらに、水加熱用熱交換器52に水を供給する給水路51からは、バイパス路59が分岐して一般給湯路55に接続されており、一般給湯路55とバイパス路59の接続箇所にはミキシングバルブ62が配設されている。なお、図2において、67は逆止弁である。
【0004】上記のように構成された給湯装置において、台所などに一般給湯する場合、水加熱用熱交換器52で加熱された温水は、ミキシングバルブ62において水量調節され、一般給湯路55を経て給湯栓58から給湯される。このとき、開閉弁56は閉じている。
【0005】また、浴槽に湯張給湯または追焚給湯を行う場合には、開閉弁56が作動して浴槽用給湯路54が開き、水加熱用熱交換器52で湯張設定温度に加熱された温水または追焚設定温度に加熱された熱水が浴槽用給湯路54を通って浴槽へ供給される(このとき給湯栓58は閉じている)。
【0006】さらに、浴槽への湯張給湯中に一般給湯を割込ませる場合、給湯水流スイッチ60がONになり、湯張給湯と一般給湯が同時使用であることを検知し、ミキシングバルブ62の開度を調節して、風呂側、給湯側の湯を分配することにより一般給湯の割込みが行われる。
【0007】また、浴槽への追焚給湯中に一般給湯を割込ませる場合、給湯水流スイッチ60がONになり、追焚給湯と一般給湯が同時使用であることを検知し、ミキシングバルブ62の開度を調節して、追焚給湯温度の高温水の、浴槽側と一般給湯側の分配割合を調節するとともに、一般給湯路55側に分配された高温水をバイパス路59からの水と混合することにより、一般給湯路55から台所などへの一般給湯が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の給湯装置においては、浴槽への追焚給湯中に一般給湯(割込み給湯)を行う場合、一般給湯の割込みの初期に給湯温度が設定温度を越えるオーバーシュートや設定温度を下回るアンダーシュートが生じ、使用者に不快感を与えるという問題点がある。
【0009】また、手動追焚給湯中に一般給湯を割込ませた場合、ミキシングバルブ62の、追焚給湯量と一般給湯量の分配割合に限度があり、追焚給湯量が所定量以下(例えば、2.5l/min以下)のときには、一般給湯が優先して追焚給湯が停止してしまうという問題点がある。
【0010】さらに、上記従来の給湯装置は、自動追焚給湯中に一般給湯を所定の温度で行うこと、すなわち、給湯の質を高く保つことが困難なことを考慮して、自動追焚給湯中には一般給湯を行えないように設計されており、同時給湯を行うことができないという問題点がある。
【0011】この発明は、上記問題点を解決するものであり、浴槽への追焚給湯中に一般給湯の割込みがあったときに、追焚給湯条件などの運転条件にかかわらず、追焚給湯と一般給湯を同時に行うことが可能で、かつ、追焚給湯または湯張給湯中に一般給湯の割込みを行った場合の一般給湯側のオーバーシュートやアンダーシュートを防止して、所定の温度で給湯することが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明の給湯装置は、水加熱用熱交換器からの給湯路を、第1給湯路と第2給湯路とに分岐させ、前記第1給湯路に逆止弁を配設し、かつ、前記水加熱用熱交換器に水を供給する給水路から分岐させたバイパス路を第1給湯路の前記逆止弁より下流側に接続するとともに、第1給湯路と前記バイパス路との接続箇所にミキシングバルブを配設し、第1給湯路と第2給湯路との分岐箇所よりも下流側の第2給湯路に浴槽への追焚給湯時に開となる閉止機能付水量調整弁を配設するとともに、第1給湯路と前記バイパス路との接続箇所よりも下流側で第1給湯路をさらに第3給湯路及び第4給湯路に分岐させ、その分岐箇所に第3給湯路及び第4給湯路への水量を分配制御し、かつ、第4給湯路側出口を閉止する機能を有する水量調節弁を配設し、第3給湯路を一般給湯路とするとともに、一般給湯が行われたことを検知する水流センサを第3給湯路に配設し、かつ、第4給湯路を第2給湯路の前記閉止機能付水量調整弁を配設した位置よりも下流側に接続し、第2給湯路の第4給湯路との接続箇所より下流側を浴槽用給湯路とし、浴槽への湯張給湯中または追焚給湯中に一般給湯の割込みがあったときに、湯張給湯中では前記水流センサが割込みを検知し、前記水量調節弁が湯張給湯量と一般給湯量を所定の割合に分配制御し、追焚給湯中では前記水流センサが割込みを検知し、前記閉止機能付水量調整弁を調節して追焚給湯量を調節するとともに、前記水量調節弁を調節して前記水量調節弁の第4給湯路側出口を閉止するとともに第3給湯路への給湯量を調節し、ミキシングバルブにおいてバイパス路からの加熱されていない水と混合され一般給湯温度に調節された温水を所定の給湯量で第3給湯路から一般給湯することを特徴としている。
【0013】
【作用】浴槽への湯張給湯中または追焚給湯中に一般給湯の割込みがあると、湯張給湯中においては、水流センサにより割込みが検知され、水量調節弁が制御されて湯張給湯量と一般給湯量が所定の割合に分配制御されるとともに、追焚給湯中においては、水流センサにより割込みが検知され、閉止機能付水量調整弁の開度を調節することにより追焚給湯量が調節されるとともに、水量調節弁の第4給湯路側出口が閉止されるとともに第3給湯路への給湯量が調節され、第1給湯路からミキシングバルブに供給された追焚給湯温度の高温水がミキシングバルブおいてバイパス路からの加熱されていない水と混合され、所定の温度(一般給湯温度)に調節された後、所定の給湯量で第3給湯路から一般給湯される。
【0014】したがって、浴槽への追焚給湯中に一般給湯の割込みがあったときに、運転条件(追焚給湯条件)を問うことなく、追焚給湯と一般給湯を同時に行うことができるとともに、追焚給湯または湯張給湯中に一般給湯の割込みを行った場合の一般給湯側のオーバーシュートやアンダーシュートを防止して、所定の温度で給湯することが可能になる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。図1は、この発明の一実施例にかかる給湯装置の構成を示す図である。
【0016】図に示すように、この実施例の給湯装置は、給水路1から供給される水を加熱する水加熱用熱交換器2と、水加熱用熱交換器2で加熱された温水を供給するための給湯路3とを備えている。給水路1には水量センサ5,入水サーミスタ6,定流量弁7が配設されている。また、給湯路3の水加熱用熱交換器2の出口に近い位置には、出湯サーミスタ8が配設されている。
【0017】そして、水加熱用熱交換器2からの給湯路3は、第1給湯路9と第2給湯路10とに分岐しており、第1給湯路9には、逆止弁16が配設されている。さらに、第1給湯路9には給水路1から分岐させたバイパス路14が接続されており、バイパス路14と第1給湯路9との接続箇所にはミキシングバルブ15が配設されている。ミキシングバルブ15の下流側の第1給湯路9には給湯サーミスタ17が配設されており、第1給湯路9の下流側はさらに第3給湯路11と第4給湯路12に分岐している。そして、第3給湯路11と第4給湯路12との分岐箇所には、第3給湯路11及び第4給湯路12への水量を分配制御し、かつ、第4給湯路12側出口を閉止する機能を有する水量調節弁(3方弁)19を配設している。なお、この水量調節弁19は、前述の従来例(図2)におけるミキシングバルブ62とは異なり、浴槽への追焚給湯量と一般給湯量の分配割合に特別の制約のない弁である。
【0018】第3給湯路11は台所などへの一般給湯を行うための給湯路であり、一般給湯の割込みが行われた場合にこれを検知するための水流センサ18が配設されているとともに、その先端側は給湯栓21に接続されている。
【0019】また、第2給湯路10には、第1給湯路9と第2給湯路10の分岐箇所よりも下流側で、かつ、第2給湯路10と第4給湯路12との接続箇所の上流側に、浴槽22への追焚給湯時に開となる閉止機能付水量調整弁20が配設されている。なお、第2給湯路10の、第4給湯路12との接続箇所より下流側は浴槽22への湯張給湯または追焚給湯を行うための浴槽用給湯路10aとなっており、その途中には逆止弁付真空破壊弁(バキュームブレーカ)13が配設されている。
【0020】また、バーナ41に燃料ガスを供給するガスライン40には、セーフティ弁42,メーン弁43,比例弁44が配設されており、これらは、装置の運転制御を行う制御部45に接続されている。
【0021】次に、上記のように構成された給湯装置の動作を説明する。まず、通常の一般給湯を行う場合、給水路1より供給された水は、水加熱用熱交換器2において加熱され、給湯路3,第1給湯路9,ミキシングバルブ15を経て第3給湯路(一般給湯路)11を通り、給湯栓21から台所などに一般給湯される。このとき、閉止機能付水量調整弁20及び水量調節弁19の第4給湯路12側出口は閉じている。
【0022】また、浴槽22への湯張給湯を行う場合には、閉止機能付水量調整弁20が閉じるとともに、水量調節弁19の第4給湯路12側出口が開き、温水が第1給湯路9,第4給湯路12,浴槽用給湯路10aを経て浴槽22へ供給される。
【0023】さらに、追焚給湯を行う場合、閉止機能付水量調整弁20が開くとともに、水量調節弁19の第4給湯路12側出口が閉じ、所定の温度(例えば、約93℃)の熱水が第2給湯路10,浴槽用給湯路10aを経て浴槽22へ供給される。
【0024】また、浴槽22に湯張給湯している途中に一般給湯を行う場合においては、給湯栓21が開けられると、水流センサ18がこれを検知し、水量調節弁19の開度を調節して、湯張給湯量と一般給湯量を分配制御する。したがって、湯張給湯中にも安定した一般給湯を行うことができる。なお、この場合、一般給湯側の温度は湯張給湯の設定温度となる。
【0025】さらに、浴槽22に追焚給湯している途中に一般給湯を行う場合においては、給湯栓21が開けられると、水流センサ18がこれを検知し、閉止機能付水量調整弁20の開度を調節することにより追焚給湯量を調節するとともに、水量調節弁19の第4給湯路12側出口が閉じる。追焚設定温度(約93℃)の熱水は第1給湯路9を経てミキシングバルブ15に入り、バイパス路14から供給される水とミキシングされて所定の温度になった後、水量調節弁19を経て一般給湯路(第3給湯路)11から一般給湯される。このとき、水量調節弁19の第4給湯路12側出口は閉じているため、追焚給湯は継続して行われる。したがって、浴槽22への追焚給湯中に割込み給湯を行った場合にも、一般給湯開始時に給湯温度が大幅にばらつくこと、すなわち、オーバーシュートやアンダーシュートを生じることがなく、所定の温度で安定した一般給湯(割込み給湯)を行うことができる。
【0026】
【発明の効果】上述のように、この発明の給湯装置は、第1給湯路にミキシングバルブを設けるとともに、第3給湯路と第4給湯路の分岐箇所に、第3給湯路及び第4給湯路への水量を分配制御し、かつ、第4給湯路側出口を閉止する機能を有する水量調節弁を配設して、浴槽への追焚給湯中に一般給湯の割込みがあった場合に、ミキシングバルブにおいて一般給湯温度に調節された温水を一般給湯するように構成しているので、浴槽への追焚給湯中に一般給湯の割込みを行う場合に、運転条件(追焚給湯条件)を問うことなく、追焚給湯と一般給湯を同時に行うことができるとともに、追焚給湯または湯張給湯中に一般給湯の割込みを行った場合のオーバーシュートやアンダーシュートを防止して、高品質の一般給湯を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる給湯装置の構成を示す図である。
【図2】従来の給湯装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 給水路
2 水加熱用熱交換器
3 給湯路
9 第1給湯路
10 第2給湯路
10a 浴槽用給湯路
11 第3給湯路(一般給湯路)
12 第4給湯路
14 バイパス路
15 ミキシングバルブ
18 水流センサ
19 水量調節弁
20 閉止機能付水量調整弁
22 浴槽
45 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水加熱用熱交換器からの給湯路を、第1給湯路と第2給湯路とに分岐させ、前記第1給湯路逆止弁を配設し、かつ、前記水加熱用熱交換器に水を供給する給水路から分岐させたバイパス路を第1給湯路の前記逆止弁より下流側に接続するとともに、第1給湯路と前記バイパス路との接続箇所にミキシングバルブを配設し、第1給湯路と第2給湯路との分岐箇所よりも下流側の第2給湯路に浴槽への追焚給湯時に開となる閉止機能付水量調整弁を配設するとともに、第1給湯路と前記バイパス路との接続箇所よりも下流側で第1給湯路をさらに第3給湯路及び第4給湯路に分岐させ、その分岐箇所に第3給湯路及び第4給湯路への水量を分配制御し、かつ、第4給湯路側出口を閉止する機能を有する水量調節弁を配設し、第3給湯路を一般給湯路とするとともに、一般給湯が行われたことを検知する水流センサを第3給湯路に配設し、かつ、第4給湯路を第2給湯路の前記閉止機能付水量調整弁を配設した位置よりも下流側に接続し、第2給湯路の第4給湯路との接続箇所より下流側を浴槽用給湯路とし、浴槽への湯張給湯中または追焚給湯中に一般給湯の割込みがあったときに、湯張給湯中では前記水流センサが割込みを検知し、前記水量調節弁が湯張給湯量と一般給湯量を所定の割合に分配制御し、追焚給湯中では前記水流センサが割込みを検知し、前記閉止機能付水量調整弁を調節して追焚給湯量を調節するとともに、前記水量調節弁を調節して前記水量調節弁の第4給湯路側出口を閉止するとともに第3給湯路への給湯量を調節し、ミキシングバルブにおいてバイパス路からの加熱されていない水と混合され一般給湯温度に調節された温水を所定の給湯量で第3給湯路から一般給湯することを特徴とする給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2556788号
【登録日】平成8年(1996)9月5日
【発行日】平成8年(1996)11月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−315499
【出願日】平成3年(1991)11月1日
【公開番号】特開平5−126398
【公開日】平成5年(1993)5月21日
【出願人】(000135416)株式会社ハーマン (3)
【参考文献】
【文献】 特開 平3−177747(JP,A)