給湿装置
【課題】従来技術の欠点を克服する給湿システム、または少なくとも一般人に有用な選択を提供する給湿システムを提供すること。
【解決手段】本発明の給湿装置は、気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段1と、給湿チャンバ手段に隣接して設けられ給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段9と、取付手段を備え且つ給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段7、8を収容する給湿チャンバ用マニホルド11であって、気体流を所望の圧力で供給するように給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段11に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えている。
【解決手段】本発明の給湿装置は、気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段1と、給湿チャンバ手段に隣接して設けられ給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段9と、取付手段を備え且つ給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段7、8を収容する給湿チャンバ用マニホルド11であって、気体流を所望の圧力で供給するように給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段11に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これに限定されるものではないが、特に人工呼吸器に援助されている患者の呼吸を補助するための給湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助を必要とする患者に湿った気体を供給するための多くの方法が当業者には公知である。このような従来技術の給湿器は概して加圧空気源(または他の混合気体源)と、水源と水を蒸発させるための加熱手段とを備える給湿チャンバと、患者またはユーザに給湿気体を搬送するための導管とを備えている。
【0003】
例えば、米国特許第4038980号明細書には、「瞬間蒸発」給湿器が記載されており、この給湿器では呼吸器を給湿するために熱容量の低い加熱器に水を滴らせる。この特許には、「相対湿度を検知する手段に応じて水供給率を自動的に調整するように制御手段が設けられる」と記載されているが、水の流量を手動で制御するのが好ましいとしている。したがって、この給湿器は電気的な加熱量を制御するのではなく、湿度センサと協働して水量を制御している。
【0004】
米国特許第5092326号明細書には、給湿器での湿度センサの使用が記載されている。この特許は中央マイクロプロセッサに接続された加熱給湿器および湿度センサと協働する周波数の高い換気システム(ventilation system)を記載している。気道に供給される混合気体を湿らせるための装置が開示されており、マイクロプロセッサは混合気体に供給される水分の量を制御する。この特許は患者の気道にある湿度センサを開示しているが、使用すべき実際の給湿形態を開示していない。
【0005】
米国特許第5769071号明細書は、熱・湿気交換器(HME)と、HMEへの水分供給器と、加熱要素と、湿度センサが組み込まれた給湿器を開示している。湿度センサは水供給率によってまたは(加熱要素を介して)温度によって湿度を制御する。湿度センサは患者の気道に位置するように記載されている。
【0006】
米国特許第5988164号明細書は給湿器と共に使用するための加熱呼吸チューブシステムを記載している。この給湿器は気体が一定の相対湿度になるように、加熱式呼吸回路によって提供された加熱量を制御するための(患者のそばに配置された)相対湿度センサを使用する。加熱式呼吸回路は電気加熱法またはチューブ内の暖かい循環水による加熱法を用いる。さらに、湿度センサの出力値に基づく電気加熱ワイヤの制御方法または加熱水用チューブの制御方法が記載されている。
【0007】
前述の米国特許第4038980号明細書と同第5769071号明細書とは給湿チャンバが患者の近くに(近接して)配置される給湿器を記載している。この給湿器は患者の近くに重量、熱および複雑さを招いてしまい、更に不便であり、患者を傷つけてしまうという欠点を有する。引用した従来技術においては、米国特許第5988164号明細書のみが患者から離れて配置された給湿チャンバを記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
患者から離れて配置される給湿チャンバを用いた従来の給湿システムには幾つかの欠点がある。このような従来の給湿器から流出する気体は水蒸気で飽和状態(相対湿度100%状態)にある。しかしながら、このような給湿器から流出する気体が実際に水蒸気で飽和状態にある保証はない。或る状況では(例えば流入する気体が既に暖かい場合)、このような給湿器から流出する気体の相対湿度は100%よりもかなり低いことがある。このことは、給湿器が典型的には所望の気体出口温度に到達するように制御されるためであり、このような場合では所望の気体出口温度は流入空気より大して高くないこともある。
【0009】
従来の給湿システムの別の欠点は、患者を呼吸補助装置に接続する(時々加熱される)導管内で凝結が起こることにある。このことは、導管に沿って温度特性が均一でなく、導管の或る部分がその地点の気体よりも冷えている場合に起こる。
【0010】
従来の給湿システムの第三の欠点は、給湿器から流出する気体の相対湿度が100%であると、気体を何らかの導管加熱器によって迅速に加熱しないと、導管の壁を介して熱を損失して凝結を起こし、気体に含まれた絶対湿度量の滴が生じることである。
従来の給湿システムの第四の欠点は、センサを患者に非常に近接して配置する必要があり、患者の気道にある装置の重量および体積を増加させてしまうことである。
【0011】
従来の給湿システムの第五の欠点は、流量が間欠的であるまたは流量が変化すると給湿器による絶対湿度が不均一に発生してしまうことである。このことは、給湿器を作動させる任意の制御ループよりも速く流量が変化してしまうために起こる。流量が多いと給湿器を通過する空気の加熱時間および給湿時間が短く、流量が少ないと給湿チャンバを通過する空気はより温度が高く絶対湿度が高くなる。同時に、このような従来の給湿システムの導管では凝結および絶対湿度の損失を生じさせることなく、高い湿度のまま気体を搬送することは困難である。
【0012】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を克服する給湿システム、または少なくとも一般人に有用な選択を提供する給湿システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、給湿チャンバ手段であって、該給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段と、前記給湿チャンバ手段に隣接して設けられたチャンバ加熱手段であって、前記給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために該給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段と、取付手段を備え且つ前記給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段を収容する給湿チャンバ用マニホルドであって、気体流を所望の圧力で供給するように前記給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えていることを特徴とする給湿装置。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記給湿チャンバ用マニホルド手段は、該給湿チャンバ用マニホルド手段の気体流および/または給湿チャンバ用マニホルド手段を加熱するのように構成された給湿チャンバ用マニホルド加熱手段を更に備えている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記給湿チャンバ用マニホルド手段は前記給湿チャンバ手段に着脱可能である。
【0015】
本発明に関する当業者にとって、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲を逸脱することなく、構成の多くの変更および大きく異なった実施例および本発明の応用例が提案される。開示および説明は単なる例示であり、意味を限定するものではない。
【0016】
本発明は後述するものから成り、且つ後述する例の構成について考察する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な形態の一つを説明する。
図1は典型的な呼吸給湿システムを示すものであり、この呼吸給湿システムは、患者から所定の距離に配置された給湿チャンバであってこの給湿チャンバを通って流れる気体を加熱し且つほぼ水蒸気で飽和状態にする給湿チャンバと、可撓チューブから成り且つ被給湿気体を給湿チャンバ1から気体出口5へ送る搬送システム2と、給湿チャンバ1を加熱し且つ計測機能と制御機能とを提供する加熱ベース3の三つの部分を備えている。
【0018】
給湿すべき気体はポート4から給湿チャンバ1に流入し、気体流出ポート5において搬送システム2から流出する。流出ポート5から流出した気体はフェイスマスクまたはその均等物(図示せず)を介して患者へと流れる。呼吸給湿システムは位置7および8に配置されたセンサ、典型的には温度プローブを用いて制御される。気体入口4の乾燥気体は、この乾燥気体が流出ポート10において給湿チャンバ1から流出する時に水蒸気でほぼ飽和状態になるように、給湿チャンバ1内の温水6の表面上を通過することによって加熱され且つ給湿される。温水6は加熱プレート9によって加熱され、その加熱量は気体が流出ポート10において予め定められた温度になるように制御される。この温度はセンサ7で計測される。したがって、給湿チャンバ1は医療用気体が給湿チャンバ1の出口において水蒸気でほぼ飽和状態になり且つ予め定められた温度になるように医療用気体を加熱および給湿するように作用する。
【0019】
(搬送チューブまたは呼吸回路として知られる)気体搬送システム2は加熱器12を備える可撓チューブ11を備え、この加熱器12は加熱抵抗ワイヤを備えている。給湿チャンバ1から送られた気体はチューブ11を通過し、且つチューブ11の壁による熱損失を補うために加熱器12によって加熱される。加熱器12に加えられる加熱量は、センサ8により計測された時に気体が気体出口5において予め定められた温度になるように調整される。チューブ11内で凝結が起こってしまうことを確実になくすように気体をチューブ11に沿って加熱するために、センサ8における制御温度は、通常、センサ7における制御温度よりも高い。
【0020】
上述した呼吸給湿システムは連続流式気体源(図示せず)から気体入口4に流入し且つ気体出口5を介して呼吸給湿システムから流出する気体を有する。しかしながら、同様に気体源が患者に呼吸を提供するために間欠的な流れのパターンを作り出す送風機(ベンチレータ)であるようなシステムを利用してもよい。この場合、気体出口ポート5は気体入口ポート16に直接連結される。患者は気管内チューブまたはその均等物(図示せず)を介してポート17に連結される。患者の吸息中には、送風機から送られた乾燥気体は入口ポート4において呼吸給湿システムに流入し、給湿チャンバ1と搬送システム2とY字状部材13とを通って、ポート17を介して患者に到達する。患者の呼息中には、気体はポート17を介して戻ってY字状部材13とチューブ14とを通って気体出口ポート18から流出する。チューブ14も凝結を防止するために加熱器15によって加熱される。
【0021】
(絶対湿度検出)
表示および制御のための湿度センサが組み込まれた給湿器について、従来技術に関して説明したが、ここでは使用されている全ての湿度センサが患者の気道に配置されている。最近の研究により、患者から離れた位置に配置された給湿チャンバと、湿気を患者に送る加熱式呼吸回路と、患者に供給される気体の絶対湿度または相対湿度を制御するための湿度センサとが組み込まれた新しい給湿器の構成が示された。なお、これら湿度センサは、(1)給湿チャンバの出口のみ、(2)給湿チャンバの出口および患者の傍、あるいは(3)患者の傍のみのいずれかに配置される。
【0022】
本発明の一つの特徴はセンサ7として湿度センサを使用することにある。湿度センサ7の目的は給湿チャンバ1で発生させられた絶対湿度を測定することにある。このようにセンサ7として絶対湿度センサを使用するのが好ましいが、同様に温度センサを備えた相対湿度センサを使用してもよい。この呼吸給湿システムは給湿チャンバの出口10における絶対湿度のレベルを制御することができることに利点があるが、チューブ11で凝結が起こってしまうと、この絶対湿度のレベルは患者にまでは到達しない。
【0023】
この欠点を克服する別の呼吸給湿システムは地点8において温度センサの代わりに第二の絶対湿度センサを用いる。センサ7とセンサ8との間の絶対湿度の差により、これら二つの地点間で凝結が起こったか否かを給湿器が検知することができる。二つの絶対湿度センサ7、8の読みが等しいの絶対湿度レベルである場合、チューブ内で凝結は起こっていない。センサ7における絶対湿度がセンサ8における絶対湿度より高い場合、その差は起こった凝結の割合を示す。
【0024】
一つの制御方法としては、絶対湿度差がゼロにまで減少するように加熱器12に提供される加熱量を制御することがあげられる。しかしながら、湿度差が凝結の割合を示すだけのものでありチューブ内での絶対的な凝結量を示すものではないため、それでもチューブは流動的な凝結液を含んだままになってしまうことがある。そこで別の制御方法として、計測した凝結率がゼロになり、全ての凝結液が除去されたことを示す状態になるまで計測した凝結率が負になる(すなわちチューブ11内の凝結液が蒸発させられる)ように、加熱器12を加熱することによってこの凝結液を除去してチューブを乾燥させることがあげられる。その後、凝結が起こり始めたことをセンサが示すまで加熱量を小さくし、そして適正なレベルへと加熱量を僅かに大きくする。チューブを乾燥させることは連続的な工程であってもよいし、または規則的な時間間隔で行われてもよい。
【0025】
図1に示した呼吸給湿システムの別の変更例はセンサ7として温度センサを用い、地点8において絶対湿度センサを用いる。この呼吸給湿システムは地点7および8の両方で絶対湿度センサを有するよりも単純である。作動中において、制御装置は搬送チューブ12内で凝結が起こることなく正確な絶対湿度になるように加熱器12および加熱プレート9の加熱量を調整しなければならない。実際、二つの別個の制御アルゴリズムが必要とされ、一方は凝結が起こらないようにチューブ11内での加熱量を制御するものであり、他方は給湿チャンバ1内における絶対湿度が所望のレベルになるように加熱プレート9を制御するものである。加熱プレート9が加熱器12よりも遅く反応し、絶対湿度の素早い変化は加熱器12の作用を示すのでこれら二つのアルゴリズムは同時に作動する。センサ7は加熱プレート9の制御地点を提供するが、必要なわけではない。
【0026】
(相対湿度の低い給湿チャンバ)
上述した全ての呼吸給湿システムは、気体出口10から流出する気体を高い相対湿度レベルまで給湿することを意図した給湿チャンバ1を用いている。こうした新しい給湿構成は湿度制御装置を用いているのでこの条件は新しい給湿構成の正確な作動にとっては本質的なものではないが、純粋に温度に基づいて制御が行われる従来の給湿器にとっては本質的なものである。しかしながら、気体を相対湿度が低いながらも適切な絶対湿度(すなわち、気体の温度が気体の露点よりも高く、したがって気体が飽和状態にない状態)に加熱する給湿チャンバを用いることによって得られる幾つかの利点もある。
【0027】
第一の利点は、凝結を防止するために気体が搬送チューブに流入した直後に気体を加熱する必要がないので、凝結することがないように上記気体を搬送する加熱搬送システムを形成するのが容易であることにある。第二に、給湿チャンバから流出する相対湿度の低い気体を用いることは、気体が既に高いエネルギ量を有し且つ気体がチューブ12内で凝結する前に大きなエネルギ損失を許容するので、そうではない場合よりも加熱要素12の作動が低い電力ですむことを意味する。給湿チャンバが十分なエネルギをもった気体を供給する場合、加熱式呼吸回路の代わりに非加熱式断熱呼吸回路を用いることも可能である。なお、給湿チャンバの加熱が温度センサではなく絶対湿度センサを用いて制御される場合にのみ相対湿度の低い給湿チャンバを使用可能であり、さもなければ絶対湿度出力が極めて低くなってしまう。
【0028】
この目的のために、高温で相対湿度の低い気体を出力する給湿チャンバを図2〜図8に示す。図2は、芯材料が取付けられていない(例えば螺旋渦巻き状の)金属要素20が組み込まれた給湿チャンバを示す。この給湿チャンバでは(金属要素を介した)乾燥加熱と加熱水21による加熱給湿とが行われる。この構成では、この気体に対して行われる加熱の一部が金属製渦巻き体による乾燥加熱であることにより、給湿チャンバ19は不飽和状態の気体を提供する。給湿チャンバによって発生させられる相対湿度は気体の流路、渦巻き形状、寸法、水量の影響を受け、よって使用するのに当たって迅速に調整することができない。しかしながら、給湿チャンバ19にはその出力の相対湿度が低く絶対湿度が制御されていることによって凝結が減少するという利点がある。
【0029】
図3および図4は、出力時に相対湿度が低く高温の気体を提供する別の給湿チャンバを示す。図3は加熱・給湿機能を提供するための水23を含む(多孔性セラミックのような)多孔性材料22を用いた給湿チャンバを示し、図4は給湿チャンバ内の水25にバリアを提供するために半透膜24を用いた給湿チャンバを示す。両方の場合において、これら給湿チャンバは多孔性材料または半透性材料によって、乾燥加熱と水による加熱給湿とを提供する。両方の場合において、給湿に対する加熱の割合は一定であり、水の供給を制限することによる調整を除いて簡単に調整することができない。
【0030】
図5〜図8は相対湿度および温度のレベルを変えて気体を供給することができる給湿チャンバを示す。図5では、可変バルブ26は使用者が水の表面に沿って流れる気体に対する乾燥バイパスチューブ27を通過する気体の割合を調整することがきる。バイパスチューブは気体を加熱するために水中を通過する。二つの気体の流れは出口29で合流する。この供給チャンバは、気体を加熱および給湿するために気体が分割されて二つの異なった経路をとる「並列」システムの例である。図6では、気体は調整バルブ30を用いて二つの気体通路に分割される。一方の気体の部分は給湿チャンバ32内の水31を横断することによって給湿させられ、他方の気体の部分はチューブ33を囲う加熱器58によって加熱させられる。これら気体通路は合流地点34において合流する。
【0031】
図5および図6の可変バルブ26、30の角度は永続的に設定され、すなわち固定されてもよいし、手動で調整可能であっても、または自動調整可能であってもよい。自動調整バルブの一つの利点は、給湿チャンバが例えばベンチレータと共に使用される場合のように流量が間欠的である場合に用いられた時に、給湿チャンバから流出する時の湿度を一定に保つことができることにある。これら流れのパターンは、給湿チャンバが流量が多い時に湿度が低くなってしまうために、呼吸サイクルの或る部分の湿度が他の部分の湿度よりも低くなってしまうので問題であった。この問題を解決する一つの方法は敏速流量反応センサを用いて瞬間的な流量を計測し、次に可変バルブの角度を迅速に調整することにある。この効果を得るためのより有用な方法は弾性部材としてバネ70および71を用いたバネ負荷式バルブ26および30を用いることにある。このことは流量が少ないとほとんどの気体がバイパスチューブを通過し、流量が多いとバネ負荷式バルブが作動して多くの気体が給湿チャンバ内の水上を通過することができることを意味する。バネ負荷式可変バルブの角度は給湿器によって気体の流量を計測するのにも使用可能である。
なお、バルブ26、30が電気機械アクチュエータにより作動させられるタイプのバルブでもよい。
【0032】
図7および図8は低相対湿度タイプの給湿チャンバの別の一連の構成を示す。
ここでは、加熱水36の入った給湿チャンバ35内に流入する乾燥気体が、図7においては加熱器37によって予め加熱され、図8においては給湿チャンバから流出した後に加熱器38によって加熱される。両方の場合において、加熱器は気体を乾燥加熱し、相対湿度が低くて高温の気体を出口39から流出させる。
【0033】
図2〜図8に示した任意の低相対湿度高温タイプの給湿チャンバは、先述した湿度制御機構と共に使用可能であるが、従来の給湿器は温度制御はされるが湿度制御がされないので従来の給湿器はうまく使用することはできない。
【0034】
(断熱搬送チューブ)
本発明の別の例を図9に示す。ここでは、図8の低相対湿度高温タイプの給湿システムが非加熱型の断熱搬送チューブと組み合わされている。気体はポート35から加熱プレート38によって加熱される水37の入った標準的な給湿チャンバ36内に流入する。気体は給湿チャンバ36内で水蒸気で略飽和状態になって気体出口39を通って給湿チャンバ36から流出し、相対湿度が低くなるように湿った気体を高温へと加熱する加熱チューブ部分40に流入する。そして気体は周りに断熱層42を有するチューブ41を通過する。ここでの断熱層42は熱損失を減少させるために停滞した空気から成る薄いジャケットであるのが好ましい。高温で相対湿度の低い気体が断熱チューブを通過すると、少量の熱がチューブの壁を介して損失させられ、気体が冷える。しかしながら、加熱器40に加えられる熱量は、気体がチューブ41内で凝結が起こってしまう露点以下に冷却されてしまうことが決してないように制御される。
【0035】
次に、幾つかの異なったセンサの構成を提案する。一つ目は、給湿チャンバ36が湿度を所望のレベルにするように、センサ43が加熱プレート38を制御する絶対湿度センサである場合である。また、一つの実施例において、センサ45はセンサ45を通過する気体が或る所望の温度に継持されているように加熱器40を制御する温度センサである。この温度がセンサ43における気体の露点より高い場合、チューブ41内では凝結は起こらない。しかしながら、給湿器が作動させられる時に、既にチューブ41内で凝結が起こっている場合がある。温度センサの代わりのセンサ45として湿度センサが使用される場合、チューブ41内で起こる凝結は制御される。この呼吸給湿システムでは、二つの湿度センサを制御するために上述したようなアルゴリズムを用いることができる。
【0036】
また、絶対湿度センサ用の位置が位置43ではなく位置44である場合がある。気体が加熱されていてその湿気は失われないので、ここでの絶対湿度は位置43におけるレベルと等しい。しかしながら、例えば、相対湿度の低い環境で良好に作動するので、絶対湿度センサを位置44に配置するのには利点がある。この位置にある絶対湿度センサは位置45にある温度センサまたは湿度センサのどちらとも共に使用することができる。
【0037】
(患者の気道センサのない給湿器構成)
本発明の更なる別の特徴は、患者の気道にセンサを配置する必要性をなくすことにある。安全にこのセンサをなくすために、搬送チューブから流入する気体の温度および絶対湿度が確実に安全なレベルになるようにし、且つ搬送チューブの内面の温度が確実に安全なレベルを超えないようにしなければならない。このことは搬送チューブの内壁温度が一定であることを意味する。
【0038】
したがって、温度を所望の温度に自己調整する加熱搬送チューブを備えることが望まれる。加熱器は搬送チューブ自体の壁に埋め込まれるか、または搬送チューブの導管内に配置されるか、または搬送チューブの外面周りを覆う。このような加熱器は、加熱器が熱くなると加熱器の抵抗値が増大して出力が小さくなるような正温度係数材料(正温度係数材料、PTC材料;例えば米国、カリフォルニア州、メンロパーク(Menlo Park, California USA)にあるレイケム社(Raychem Corp.)の「ウィンターガード(Winterguard)」)から成る。しかしながら、搬送チューブは一つ以上の環境を通過したり、またはその或る部分に局所的な通気部を有したりする。そこでPTC要素を平行に且つ並列に配設すると、PTC加熱器の利点を十二分に得ることができる。PTC要素を平行に且つ並列に配置した場合、チューブの冷えた部分の抵抗値は低く、より多くの熱が放出される。こうして、チューブは自己の温度を調整する。
なおチューブの一部を正温度係数材料とは逆に作用する負温度係数材料から形成してもよい。
【0039】
図10は平行で且つ並列なワイヤ構成で可撓PTC要素が組み込まれたチューブの構成を示す。チューブ48は可撓PTC材料から成り、チューブの両側に抵抗値の低い二つのストリップ状連結部46および47を有する。このことにより、チューブの各部分が導電体46と47との間に平行に且つ並列に連結されたチューブの短い伝導部分から成ることになる。これら部分を図10にチューブを囲う点線で示した。導電体46および47は電圧調整可能な直流あるいは交流電源49に接続される。チューブはチューブを絶縁し且つ断熱する外層(図示せず)を有する。チューブの各部分は長手方向において残りの部分から独立して自己の温度を調整することができる。この調整作用を高めるために、個々のPTC部分の断面間の電気的接続をなくすために、チューブの軸線に対して垂直に延びる平行なスロット50を提供することが必要である。
【0040】
一つの特定のPTC加熱チューブの形状について説明したが、別のPTCチューブの形状を用いてもよい。また、長さ方向に沿って一定の温度特性を持つPTCチューブではなく異なった温度特性を持つPTCチューブを作り出すことにも利点がある。PTC構造が、例えばY部材(図1のポート17)と患者の気管内チューブとの間に連結される可撓延長チューブのように患者の呼吸回路の他の部分にPTC加熱器を備えるように延ばされてもよい。PTCチューブを自己加熱式・温度制御式気管内チューブ内へ延ばしてもよい。
【0041】
図10に関して説明したPTCチューブにより、患者の気道に位置する如何なるセンサをも用いない給湿器を形成することができるようになる。図11にはこのチューブを用いた給湿器の構成を示す。気体は入口ポート51を通って給湿チャンバ52に流入し、加熱プレート54によって加熱された水53によって給湿される。絶対温度センサ55を通過する気体の絶対湿度が所望のレベルになるように絶対湿度センサ55が加熱プレートを制御する。PTCチューブ56は、内面温度が気体の露点より高く選択された所望の一定温度になるように外部電圧(図示せず)によって加熱される。したがって、出口57においてチューブ56から流出する気体の温度はチューブの温度に近い温度であり、その湿度は絶対温度センサ55によって制御される所望の絶対湿度である。
【0042】
図11に示した呼吸給湿システムの変更例は位置55において温度センサを用いる。一定温度の内壁を備えるチューブの別の変更例は、搬送チューブの壁内の小さな導管に加熱水または他の液体をポンプによって流す搬送チューブである。加熱流体が空気に対して高い比熱を有するので、この流体が搬送チューブの壁内の導管を通過する間、流体の温度はほぼ一定に維持される。
【0043】
(センサ/加熱器用マニホルドの使用)
従来の給湿器では、温度を計測するためにプローブ状のセンサを呼吸回路の側方にある特別に形成された孔を通って挿入するように使用する傾向にある。しかしながら、上述した給湿器は給湿チャンバ周りの多数のセンサと組み合わされて構成されているので、図12に示したようなマニホルド59を使用するのが有用である。
【0044】
給湿チャンバ60は図12に示したように給湿基部61上で摺動することができる取外し可能な物品である。給湿チャンバ60が給湿基部に対して摺動すると、給湿チャンバ60の基底は加熱プレート62と接触し、給湿チャンバ60の入口ポート63および出口ポート64はマニホルド59内の孔67および68と接触する。給湿すべき乾燥気体はポート65からマニホルドに流入し、ポート67を通ってマニホルドから流出し、ポート63を通って給湿が行われる給湿チャンバ60に流入する。
【0045】
被給湿気体は給湿チャンバ60から流出した後、給湿チャンバポート64を通ってマニホルドのポート68へ流入する。最後に、被給湿気体はポート66を通ってマニホルド59から流出して呼吸回路へと流れ込む。
【0046】
マニホルドは別体の取外し可能な組立体であってもよいし、または給湿基部と一体的な部分であってもよい。マニホルドは温度センサ、湿度センサ、流量センサまたは加熱要素を備えてもよい。これらは位置72および73においてマニホルド59内に配置される。被給湿気体の凝結を防止するためにマニホルド59が加熱されてもよい。マニホルド59は上述したように給湿チャンバのポート63および64に連結されてもよいし、出口ポート64のみに連結されてもよい。マニホルドを使用することの一つの特徴は、多くのセンサまたは加熱器が呼吸回路に差し込む必要のある別個のプローブを必要とするのではなく、単一の洗浄可能な組立体に組み込まれることにある。このことは使用者が接続してセットアップするのを容易にする。マニホルドの別の利点は、付加的なプローブと連結部材を用いずに流入する乾燥気体の温度および流量を容易に計測することができることある。
【0047】
(上述した構成の変更例)
上述した全ての異なった給湿器について絶対湿度センサで説明したが、相対湿度センサを用いてもよい。この場合、制御アルゴリズムは上述した制御アルゴリズムとは僅かに異なる。また、相対湿度センサは温度センサと組み合わせてもよい。こうすることで、絶対湿度を直接計測するのではなく相対湿度および温度から絶対湿度を計算することができるようになる。
【0048】
全ての上述した新たな給湿器は追加の温度センサと共に用いてもよい。これらセンサは湿度センサが壊れた場合の安全なバックアップとして付加的な利益を提供する。別の利点は、絶対湿度が許容されても相対湿度が低すぎることのないように、患者に搬送される気体の温度を或る制限内に維持することにある。
【0049】
同様に、流量が湿度制御に影響する重要なパラメータである場合、給湿器を通る気体の流量を計測するのも有用である。したがって、流量センサを上述した呼吸給湿システムと組み合わせてもよい。従来の有用な一つの流量センサは空気流内の熱い要素からの熱損失を基にしたセンサを用いて構成される。加熱湿度センサが使用される場合、センサを所定の温度に到達させるのに必要な熱量は気体の流量を決定するのに使用される。
【0050】
医療器具を設計するのに汚染の制御は最も重要である。給湿システムの構成要素への細菌の侵入を防止するために、気体流と接触する任意の部分は抗菌プラスチックから形成される。センサプローブの汚染を防止するために、プローブ部分は呼吸回路内において病原菌からプローブを保護するための使い捨て鞘部材を備える。この鞘部材は特に温度プローブに適用可能である。概して、湿度プローブは気体流と接触する必要があり、使い捨て鞘部材は湿度センサが光学的原理で作動しない限り、または鞘部材が病原体を通過させない水蒸気浸透性材料で形成されない限り湿度センサには適さない。この保護用の鞘部材は使い捨て可能な呼吸回路の一体的な部分であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】三つの部品から成る給湿システムの一つの例を示す。
【図2】金属要素が組み込まれた給湿チャンバを示す。
【図3】加熱機能および給湿機能を提供するために多孔性材料を用いた給湿チャンバを示す。
【図4】半透膜を用いた給湿チャンバを示す。
【図5】バイパスされる気体の割合を調整するための可変バルブを備えた給湿チャンバを示す。
【図6】気体の一部が給湿されて気体の他の部分が加熱されるような調整可能なバルブを備えた給湿チャンバを示す。
【図7】給湿チャンバに流入する乾燥気体が予め加熱される給湿チャンバを示す。
【図8】給湿チャンバに流入した乾燥気体が給湿チャンバから流出した後に加熱される給湿チャンバを示す。
【図9】加熱されない良好に断熱された搬送チューブと組み合わされる給湿チャンバを示す。
【図10】平行なワイヤ構成にある可撓PTC要素が組み込まれたチューブの構成を示す。
【図11】図10のチューブを用いた給湿器の構成を示す。
【図12】給湿チャンバ用マニホルドを示す。
【符号の説明】
【0052】
1…給湿チャンバ
2…気体搬送システム
4…ポート
5…ポート
6…温水
7…センサ
8…センサ
9…加熱プレート
10…ポート
11…チューブ
12…加熱器
【技術分野】
【0001】
本発明は、これに限定されるものではないが、特に人工呼吸器に援助されている患者の呼吸を補助するための給湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助を必要とする患者に湿った気体を供給するための多くの方法が当業者には公知である。このような従来技術の給湿器は概して加圧空気源(または他の混合気体源)と、水源と水を蒸発させるための加熱手段とを備える給湿チャンバと、患者またはユーザに給湿気体を搬送するための導管とを備えている。
【0003】
例えば、米国特許第4038980号明細書には、「瞬間蒸発」給湿器が記載されており、この給湿器では呼吸器を給湿するために熱容量の低い加熱器に水を滴らせる。この特許には、「相対湿度を検知する手段に応じて水供給率を自動的に調整するように制御手段が設けられる」と記載されているが、水の流量を手動で制御するのが好ましいとしている。したがって、この給湿器は電気的な加熱量を制御するのではなく、湿度センサと協働して水量を制御している。
【0004】
米国特許第5092326号明細書には、給湿器での湿度センサの使用が記載されている。この特許は中央マイクロプロセッサに接続された加熱給湿器および湿度センサと協働する周波数の高い換気システム(ventilation system)を記載している。気道に供給される混合気体を湿らせるための装置が開示されており、マイクロプロセッサは混合気体に供給される水分の量を制御する。この特許は患者の気道にある湿度センサを開示しているが、使用すべき実際の給湿形態を開示していない。
【0005】
米国特許第5769071号明細書は、熱・湿気交換器(HME)と、HMEへの水分供給器と、加熱要素と、湿度センサが組み込まれた給湿器を開示している。湿度センサは水供給率によってまたは(加熱要素を介して)温度によって湿度を制御する。湿度センサは患者の気道に位置するように記載されている。
【0006】
米国特許第5988164号明細書は給湿器と共に使用するための加熱呼吸チューブシステムを記載している。この給湿器は気体が一定の相対湿度になるように、加熱式呼吸回路によって提供された加熱量を制御するための(患者のそばに配置された)相対湿度センサを使用する。加熱式呼吸回路は電気加熱法またはチューブ内の暖かい循環水による加熱法を用いる。さらに、湿度センサの出力値に基づく電気加熱ワイヤの制御方法または加熱水用チューブの制御方法が記載されている。
【0007】
前述の米国特許第4038980号明細書と同第5769071号明細書とは給湿チャンバが患者の近くに(近接して)配置される給湿器を記載している。この給湿器は患者の近くに重量、熱および複雑さを招いてしまい、更に不便であり、患者を傷つけてしまうという欠点を有する。引用した従来技術においては、米国特許第5988164号明細書のみが患者から離れて配置された給湿チャンバを記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
患者から離れて配置される給湿チャンバを用いた従来の給湿システムには幾つかの欠点がある。このような従来の給湿器から流出する気体は水蒸気で飽和状態(相対湿度100%状態)にある。しかしながら、このような給湿器から流出する気体が実際に水蒸気で飽和状態にある保証はない。或る状況では(例えば流入する気体が既に暖かい場合)、このような給湿器から流出する気体の相対湿度は100%よりもかなり低いことがある。このことは、給湿器が典型的には所望の気体出口温度に到達するように制御されるためであり、このような場合では所望の気体出口温度は流入空気より大して高くないこともある。
【0009】
従来の給湿システムの別の欠点は、患者を呼吸補助装置に接続する(時々加熱される)導管内で凝結が起こることにある。このことは、導管に沿って温度特性が均一でなく、導管の或る部分がその地点の気体よりも冷えている場合に起こる。
【0010】
従来の給湿システムの第三の欠点は、給湿器から流出する気体の相対湿度が100%であると、気体を何らかの導管加熱器によって迅速に加熱しないと、導管の壁を介して熱を損失して凝結を起こし、気体に含まれた絶対湿度量の滴が生じることである。
従来の給湿システムの第四の欠点は、センサを患者に非常に近接して配置する必要があり、患者の気道にある装置の重量および体積を増加させてしまうことである。
【0011】
従来の給湿システムの第五の欠点は、流量が間欠的であるまたは流量が変化すると給湿器による絶対湿度が不均一に発生してしまうことである。このことは、給湿器を作動させる任意の制御ループよりも速く流量が変化してしまうために起こる。流量が多いと給湿器を通過する空気の加熱時間および給湿時間が短く、流量が少ないと給湿チャンバを通過する空気はより温度が高く絶対湿度が高くなる。同時に、このような従来の給湿システムの導管では凝結および絶対湿度の損失を生じさせることなく、高い湿度のまま気体を搬送することは困難である。
【0012】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を克服する給湿システム、または少なくとも一般人に有用な選択を提供する給湿システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、給湿チャンバ手段であって、該給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段と、前記給湿チャンバ手段に隣接して設けられたチャンバ加熱手段であって、前記給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために該給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段と、取付手段を備え且つ前記給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段を収容する給湿チャンバ用マニホルドであって、気体流を所望の圧力で供給するように前記給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えていることを特徴とする給湿装置。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記給湿チャンバ用マニホルド手段は、該給湿チャンバ用マニホルド手段の気体流および/または給湿チャンバ用マニホルド手段を加熱するのように構成された給湿チャンバ用マニホルド加熱手段を更に備えている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記給湿チャンバ用マニホルド手段は前記給湿チャンバ手段に着脱可能である。
【0015】
本発明に関する当業者にとって、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲を逸脱することなく、構成の多くの変更および大きく異なった実施例および本発明の応用例が提案される。開示および説明は単なる例示であり、意味を限定するものではない。
【0016】
本発明は後述するものから成り、且つ後述する例の構成について考察する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な形態の一つを説明する。
図1は典型的な呼吸給湿システムを示すものであり、この呼吸給湿システムは、患者から所定の距離に配置された給湿チャンバであってこの給湿チャンバを通って流れる気体を加熱し且つほぼ水蒸気で飽和状態にする給湿チャンバと、可撓チューブから成り且つ被給湿気体を給湿チャンバ1から気体出口5へ送る搬送システム2と、給湿チャンバ1を加熱し且つ計測機能と制御機能とを提供する加熱ベース3の三つの部分を備えている。
【0018】
給湿すべき気体はポート4から給湿チャンバ1に流入し、気体流出ポート5において搬送システム2から流出する。流出ポート5から流出した気体はフェイスマスクまたはその均等物(図示せず)を介して患者へと流れる。呼吸給湿システムは位置7および8に配置されたセンサ、典型的には温度プローブを用いて制御される。気体入口4の乾燥気体は、この乾燥気体が流出ポート10において給湿チャンバ1から流出する時に水蒸気でほぼ飽和状態になるように、給湿チャンバ1内の温水6の表面上を通過することによって加熱され且つ給湿される。温水6は加熱プレート9によって加熱され、その加熱量は気体が流出ポート10において予め定められた温度になるように制御される。この温度はセンサ7で計測される。したがって、給湿チャンバ1は医療用気体が給湿チャンバ1の出口において水蒸気でほぼ飽和状態になり且つ予め定められた温度になるように医療用気体を加熱および給湿するように作用する。
【0019】
(搬送チューブまたは呼吸回路として知られる)気体搬送システム2は加熱器12を備える可撓チューブ11を備え、この加熱器12は加熱抵抗ワイヤを備えている。給湿チャンバ1から送られた気体はチューブ11を通過し、且つチューブ11の壁による熱損失を補うために加熱器12によって加熱される。加熱器12に加えられる加熱量は、センサ8により計測された時に気体が気体出口5において予め定められた温度になるように調整される。チューブ11内で凝結が起こってしまうことを確実になくすように気体をチューブ11に沿って加熱するために、センサ8における制御温度は、通常、センサ7における制御温度よりも高い。
【0020】
上述した呼吸給湿システムは連続流式気体源(図示せず)から気体入口4に流入し且つ気体出口5を介して呼吸給湿システムから流出する気体を有する。しかしながら、同様に気体源が患者に呼吸を提供するために間欠的な流れのパターンを作り出す送風機(ベンチレータ)であるようなシステムを利用してもよい。この場合、気体出口ポート5は気体入口ポート16に直接連結される。患者は気管内チューブまたはその均等物(図示せず)を介してポート17に連結される。患者の吸息中には、送風機から送られた乾燥気体は入口ポート4において呼吸給湿システムに流入し、給湿チャンバ1と搬送システム2とY字状部材13とを通って、ポート17を介して患者に到達する。患者の呼息中には、気体はポート17を介して戻ってY字状部材13とチューブ14とを通って気体出口ポート18から流出する。チューブ14も凝結を防止するために加熱器15によって加熱される。
【0021】
(絶対湿度検出)
表示および制御のための湿度センサが組み込まれた給湿器について、従来技術に関して説明したが、ここでは使用されている全ての湿度センサが患者の気道に配置されている。最近の研究により、患者から離れた位置に配置された給湿チャンバと、湿気を患者に送る加熱式呼吸回路と、患者に供給される気体の絶対湿度または相対湿度を制御するための湿度センサとが組み込まれた新しい給湿器の構成が示された。なお、これら湿度センサは、(1)給湿チャンバの出口のみ、(2)給湿チャンバの出口および患者の傍、あるいは(3)患者の傍のみのいずれかに配置される。
【0022】
本発明の一つの特徴はセンサ7として湿度センサを使用することにある。湿度センサ7の目的は給湿チャンバ1で発生させられた絶対湿度を測定することにある。このようにセンサ7として絶対湿度センサを使用するのが好ましいが、同様に温度センサを備えた相対湿度センサを使用してもよい。この呼吸給湿システムは給湿チャンバの出口10における絶対湿度のレベルを制御することができることに利点があるが、チューブ11で凝結が起こってしまうと、この絶対湿度のレベルは患者にまでは到達しない。
【0023】
この欠点を克服する別の呼吸給湿システムは地点8において温度センサの代わりに第二の絶対湿度センサを用いる。センサ7とセンサ8との間の絶対湿度の差により、これら二つの地点間で凝結が起こったか否かを給湿器が検知することができる。二つの絶対湿度センサ7、8の読みが等しいの絶対湿度レベルである場合、チューブ内で凝結は起こっていない。センサ7における絶対湿度がセンサ8における絶対湿度より高い場合、その差は起こった凝結の割合を示す。
【0024】
一つの制御方法としては、絶対湿度差がゼロにまで減少するように加熱器12に提供される加熱量を制御することがあげられる。しかしながら、湿度差が凝結の割合を示すだけのものでありチューブ内での絶対的な凝結量を示すものではないため、それでもチューブは流動的な凝結液を含んだままになってしまうことがある。そこで別の制御方法として、計測した凝結率がゼロになり、全ての凝結液が除去されたことを示す状態になるまで計測した凝結率が負になる(すなわちチューブ11内の凝結液が蒸発させられる)ように、加熱器12を加熱することによってこの凝結液を除去してチューブを乾燥させることがあげられる。その後、凝結が起こり始めたことをセンサが示すまで加熱量を小さくし、そして適正なレベルへと加熱量を僅かに大きくする。チューブを乾燥させることは連続的な工程であってもよいし、または規則的な時間間隔で行われてもよい。
【0025】
図1に示した呼吸給湿システムの別の変更例はセンサ7として温度センサを用い、地点8において絶対湿度センサを用いる。この呼吸給湿システムは地点7および8の両方で絶対湿度センサを有するよりも単純である。作動中において、制御装置は搬送チューブ12内で凝結が起こることなく正確な絶対湿度になるように加熱器12および加熱プレート9の加熱量を調整しなければならない。実際、二つの別個の制御アルゴリズムが必要とされ、一方は凝結が起こらないようにチューブ11内での加熱量を制御するものであり、他方は給湿チャンバ1内における絶対湿度が所望のレベルになるように加熱プレート9を制御するものである。加熱プレート9が加熱器12よりも遅く反応し、絶対湿度の素早い変化は加熱器12の作用を示すのでこれら二つのアルゴリズムは同時に作動する。センサ7は加熱プレート9の制御地点を提供するが、必要なわけではない。
【0026】
(相対湿度の低い給湿チャンバ)
上述した全ての呼吸給湿システムは、気体出口10から流出する気体を高い相対湿度レベルまで給湿することを意図した給湿チャンバ1を用いている。こうした新しい給湿構成は湿度制御装置を用いているのでこの条件は新しい給湿構成の正確な作動にとっては本質的なものではないが、純粋に温度に基づいて制御が行われる従来の給湿器にとっては本質的なものである。しかしながら、気体を相対湿度が低いながらも適切な絶対湿度(すなわち、気体の温度が気体の露点よりも高く、したがって気体が飽和状態にない状態)に加熱する給湿チャンバを用いることによって得られる幾つかの利点もある。
【0027】
第一の利点は、凝結を防止するために気体が搬送チューブに流入した直後に気体を加熱する必要がないので、凝結することがないように上記気体を搬送する加熱搬送システムを形成するのが容易であることにある。第二に、給湿チャンバから流出する相対湿度の低い気体を用いることは、気体が既に高いエネルギ量を有し且つ気体がチューブ12内で凝結する前に大きなエネルギ損失を許容するので、そうではない場合よりも加熱要素12の作動が低い電力ですむことを意味する。給湿チャンバが十分なエネルギをもった気体を供給する場合、加熱式呼吸回路の代わりに非加熱式断熱呼吸回路を用いることも可能である。なお、給湿チャンバの加熱が温度センサではなく絶対湿度センサを用いて制御される場合にのみ相対湿度の低い給湿チャンバを使用可能であり、さもなければ絶対湿度出力が極めて低くなってしまう。
【0028】
この目的のために、高温で相対湿度の低い気体を出力する給湿チャンバを図2〜図8に示す。図2は、芯材料が取付けられていない(例えば螺旋渦巻き状の)金属要素20が組み込まれた給湿チャンバを示す。この給湿チャンバでは(金属要素を介した)乾燥加熱と加熱水21による加熱給湿とが行われる。この構成では、この気体に対して行われる加熱の一部が金属製渦巻き体による乾燥加熱であることにより、給湿チャンバ19は不飽和状態の気体を提供する。給湿チャンバによって発生させられる相対湿度は気体の流路、渦巻き形状、寸法、水量の影響を受け、よって使用するのに当たって迅速に調整することができない。しかしながら、給湿チャンバ19にはその出力の相対湿度が低く絶対湿度が制御されていることによって凝結が減少するという利点がある。
【0029】
図3および図4は、出力時に相対湿度が低く高温の気体を提供する別の給湿チャンバを示す。図3は加熱・給湿機能を提供するための水23を含む(多孔性セラミックのような)多孔性材料22を用いた給湿チャンバを示し、図4は給湿チャンバ内の水25にバリアを提供するために半透膜24を用いた給湿チャンバを示す。両方の場合において、これら給湿チャンバは多孔性材料または半透性材料によって、乾燥加熱と水による加熱給湿とを提供する。両方の場合において、給湿に対する加熱の割合は一定であり、水の供給を制限することによる調整を除いて簡単に調整することができない。
【0030】
図5〜図8は相対湿度および温度のレベルを変えて気体を供給することができる給湿チャンバを示す。図5では、可変バルブ26は使用者が水の表面に沿って流れる気体に対する乾燥バイパスチューブ27を通過する気体の割合を調整することがきる。バイパスチューブは気体を加熱するために水中を通過する。二つの気体の流れは出口29で合流する。この供給チャンバは、気体を加熱および給湿するために気体が分割されて二つの異なった経路をとる「並列」システムの例である。図6では、気体は調整バルブ30を用いて二つの気体通路に分割される。一方の気体の部分は給湿チャンバ32内の水31を横断することによって給湿させられ、他方の気体の部分はチューブ33を囲う加熱器58によって加熱させられる。これら気体通路は合流地点34において合流する。
【0031】
図5および図6の可変バルブ26、30の角度は永続的に設定され、すなわち固定されてもよいし、手動で調整可能であっても、または自動調整可能であってもよい。自動調整バルブの一つの利点は、給湿チャンバが例えばベンチレータと共に使用される場合のように流量が間欠的である場合に用いられた時に、給湿チャンバから流出する時の湿度を一定に保つことができることにある。これら流れのパターンは、給湿チャンバが流量が多い時に湿度が低くなってしまうために、呼吸サイクルの或る部分の湿度が他の部分の湿度よりも低くなってしまうので問題であった。この問題を解決する一つの方法は敏速流量反応センサを用いて瞬間的な流量を計測し、次に可変バルブの角度を迅速に調整することにある。この効果を得るためのより有用な方法は弾性部材としてバネ70および71を用いたバネ負荷式バルブ26および30を用いることにある。このことは流量が少ないとほとんどの気体がバイパスチューブを通過し、流量が多いとバネ負荷式バルブが作動して多くの気体が給湿チャンバ内の水上を通過することができることを意味する。バネ負荷式可変バルブの角度は給湿器によって気体の流量を計測するのにも使用可能である。
なお、バルブ26、30が電気機械アクチュエータにより作動させられるタイプのバルブでもよい。
【0032】
図7および図8は低相対湿度タイプの給湿チャンバの別の一連の構成を示す。
ここでは、加熱水36の入った給湿チャンバ35内に流入する乾燥気体が、図7においては加熱器37によって予め加熱され、図8においては給湿チャンバから流出した後に加熱器38によって加熱される。両方の場合において、加熱器は気体を乾燥加熱し、相対湿度が低くて高温の気体を出口39から流出させる。
【0033】
図2〜図8に示した任意の低相対湿度高温タイプの給湿チャンバは、先述した湿度制御機構と共に使用可能であるが、従来の給湿器は温度制御はされるが湿度制御がされないので従来の給湿器はうまく使用することはできない。
【0034】
(断熱搬送チューブ)
本発明の別の例を図9に示す。ここでは、図8の低相対湿度高温タイプの給湿システムが非加熱型の断熱搬送チューブと組み合わされている。気体はポート35から加熱プレート38によって加熱される水37の入った標準的な給湿チャンバ36内に流入する。気体は給湿チャンバ36内で水蒸気で略飽和状態になって気体出口39を通って給湿チャンバ36から流出し、相対湿度が低くなるように湿った気体を高温へと加熱する加熱チューブ部分40に流入する。そして気体は周りに断熱層42を有するチューブ41を通過する。ここでの断熱層42は熱損失を減少させるために停滞した空気から成る薄いジャケットであるのが好ましい。高温で相対湿度の低い気体が断熱チューブを通過すると、少量の熱がチューブの壁を介して損失させられ、気体が冷える。しかしながら、加熱器40に加えられる熱量は、気体がチューブ41内で凝結が起こってしまう露点以下に冷却されてしまうことが決してないように制御される。
【0035】
次に、幾つかの異なったセンサの構成を提案する。一つ目は、給湿チャンバ36が湿度を所望のレベルにするように、センサ43が加熱プレート38を制御する絶対湿度センサである場合である。また、一つの実施例において、センサ45はセンサ45を通過する気体が或る所望の温度に継持されているように加熱器40を制御する温度センサである。この温度がセンサ43における気体の露点より高い場合、チューブ41内では凝結は起こらない。しかしながら、給湿器が作動させられる時に、既にチューブ41内で凝結が起こっている場合がある。温度センサの代わりのセンサ45として湿度センサが使用される場合、チューブ41内で起こる凝結は制御される。この呼吸給湿システムでは、二つの湿度センサを制御するために上述したようなアルゴリズムを用いることができる。
【0036】
また、絶対湿度センサ用の位置が位置43ではなく位置44である場合がある。気体が加熱されていてその湿気は失われないので、ここでの絶対湿度は位置43におけるレベルと等しい。しかしながら、例えば、相対湿度の低い環境で良好に作動するので、絶対湿度センサを位置44に配置するのには利点がある。この位置にある絶対湿度センサは位置45にある温度センサまたは湿度センサのどちらとも共に使用することができる。
【0037】
(患者の気道センサのない給湿器構成)
本発明の更なる別の特徴は、患者の気道にセンサを配置する必要性をなくすことにある。安全にこのセンサをなくすために、搬送チューブから流入する気体の温度および絶対湿度が確実に安全なレベルになるようにし、且つ搬送チューブの内面の温度が確実に安全なレベルを超えないようにしなければならない。このことは搬送チューブの内壁温度が一定であることを意味する。
【0038】
したがって、温度を所望の温度に自己調整する加熱搬送チューブを備えることが望まれる。加熱器は搬送チューブ自体の壁に埋め込まれるか、または搬送チューブの導管内に配置されるか、または搬送チューブの外面周りを覆う。このような加熱器は、加熱器が熱くなると加熱器の抵抗値が増大して出力が小さくなるような正温度係数材料(正温度係数材料、PTC材料;例えば米国、カリフォルニア州、メンロパーク(Menlo Park, California USA)にあるレイケム社(Raychem Corp.)の「ウィンターガード(Winterguard)」)から成る。しかしながら、搬送チューブは一つ以上の環境を通過したり、またはその或る部分に局所的な通気部を有したりする。そこでPTC要素を平行に且つ並列に配設すると、PTC加熱器の利点を十二分に得ることができる。PTC要素を平行に且つ並列に配置した場合、チューブの冷えた部分の抵抗値は低く、より多くの熱が放出される。こうして、チューブは自己の温度を調整する。
なおチューブの一部を正温度係数材料とは逆に作用する負温度係数材料から形成してもよい。
【0039】
図10は平行で且つ並列なワイヤ構成で可撓PTC要素が組み込まれたチューブの構成を示す。チューブ48は可撓PTC材料から成り、チューブの両側に抵抗値の低い二つのストリップ状連結部46および47を有する。このことにより、チューブの各部分が導電体46と47との間に平行に且つ並列に連結されたチューブの短い伝導部分から成ることになる。これら部分を図10にチューブを囲う点線で示した。導電体46および47は電圧調整可能な直流あるいは交流電源49に接続される。チューブはチューブを絶縁し且つ断熱する外層(図示せず)を有する。チューブの各部分は長手方向において残りの部分から独立して自己の温度を調整することができる。この調整作用を高めるために、個々のPTC部分の断面間の電気的接続をなくすために、チューブの軸線に対して垂直に延びる平行なスロット50を提供することが必要である。
【0040】
一つの特定のPTC加熱チューブの形状について説明したが、別のPTCチューブの形状を用いてもよい。また、長さ方向に沿って一定の温度特性を持つPTCチューブではなく異なった温度特性を持つPTCチューブを作り出すことにも利点がある。PTC構造が、例えばY部材(図1のポート17)と患者の気管内チューブとの間に連結される可撓延長チューブのように患者の呼吸回路の他の部分にPTC加熱器を備えるように延ばされてもよい。PTCチューブを自己加熱式・温度制御式気管内チューブ内へ延ばしてもよい。
【0041】
図10に関して説明したPTCチューブにより、患者の気道に位置する如何なるセンサをも用いない給湿器を形成することができるようになる。図11にはこのチューブを用いた給湿器の構成を示す。気体は入口ポート51を通って給湿チャンバ52に流入し、加熱プレート54によって加熱された水53によって給湿される。絶対温度センサ55を通過する気体の絶対湿度が所望のレベルになるように絶対湿度センサ55が加熱プレートを制御する。PTCチューブ56は、内面温度が気体の露点より高く選択された所望の一定温度になるように外部電圧(図示せず)によって加熱される。したがって、出口57においてチューブ56から流出する気体の温度はチューブの温度に近い温度であり、その湿度は絶対温度センサ55によって制御される所望の絶対湿度である。
【0042】
図11に示した呼吸給湿システムの変更例は位置55において温度センサを用いる。一定温度の内壁を備えるチューブの別の変更例は、搬送チューブの壁内の小さな導管に加熱水または他の液体をポンプによって流す搬送チューブである。加熱流体が空気に対して高い比熱を有するので、この流体が搬送チューブの壁内の導管を通過する間、流体の温度はほぼ一定に維持される。
【0043】
(センサ/加熱器用マニホルドの使用)
従来の給湿器では、温度を計測するためにプローブ状のセンサを呼吸回路の側方にある特別に形成された孔を通って挿入するように使用する傾向にある。しかしながら、上述した給湿器は給湿チャンバ周りの多数のセンサと組み合わされて構成されているので、図12に示したようなマニホルド59を使用するのが有用である。
【0044】
給湿チャンバ60は図12に示したように給湿基部61上で摺動することができる取外し可能な物品である。給湿チャンバ60が給湿基部に対して摺動すると、給湿チャンバ60の基底は加熱プレート62と接触し、給湿チャンバ60の入口ポート63および出口ポート64はマニホルド59内の孔67および68と接触する。給湿すべき乾燥気体はポート65からマニホルドに流入し、ポート67を通ってマニホルドから流出し、ポート63を通って給湿が行われる給湿チャンバ60に流入する。
【0045】
被給湿気体は給湿チャンバ60から流出した後、給湿チャンバポート64を通ってマニホルドのポート68へ流入する。最後に、被給湿気体はポート66を通ってマニホルド59から流出して呼吸回路へと流れ込む。
【0046】
マニホルドは別体の取外し可能な組立体であってもよいし、または給湿基部と一体的な部分であってもよい。マニホルドは温度センサ、湿度センサ、流量センサまたは加熱要素を備えてもよい。これらは位置72および73においてマニホルド59内に配置される。被給湿気体の凝結を防止するためにマニホルド59が加熱されてもよい。マニホルド59は上述したように給湿チャンバのポート63および64に連結されてもよいし、出口ポート64のみに連結されてもよい。マニホルドを使用することの一つの特徴は、多くのセンサまたは加熱器が呼吸回路に差し込む必要のある別個のプローブを必要とするのではなく、単一の洗浄可能な組立体に組み込まれることにある。このことは使用者が接続してセットアップするのを容易にする。マニホルドの別の利点は、付加的なプローブと連結部材を用いずに流入する乾燥気体の温度および流量を容易に計測することができることある。
【0047】
(上述した構成の変更例)
上述した全ての異なった給湿器について絶対湿度センサで説明したが、相対湿度センサを用いてもよい。この場合、制御アルゴリズムは上述した制御アルゴリズムとは僅かに異なる。また、相対湿度センサは温度センサと組み合わせてもよい。こうすることで、絶対湿度を直接計測するのではなく相対湿度および温度から絶対湿度を計算することができるようになる。
【0048】
全ての上述した新たな給湿器は追加の温度センサと共に用いてもよい。これらセンサは湿度センサが壊れた場合の安全なバックアップとして付加的な利益を提供する。別の利点は、絶対湿度が許容されても相対湿度が低すぎることのないように、患者に搬送される気体の温度を或る制限内に維持することにある。
【0049】
同様に、流量が湿度制御に影響する重要なパラメータである場合、給湿器を通る気体の流量を計測するのも有用である。したがって、流量センサを上述した呼吸給湿システムと組み合わせてもよい。従来の有用な一つの流量センサは空気流内の熱い要素からの熱損失を基にしたセンサを用いて構成される。加熱湿度センサが使用される場合、センサを所定の温度に到達させるのに必要な熱量は気体の流量を決定するのに使用される。
【0050】
医療器具を設計するのに汚染の制御は最も重要である。給湿システムの構成要素への細菌の侵入を防止するために、気体流と接触する任意の部分は抗菌プラスチックから形成される。センサプローブの汚染を防止するために、プローブ部分は呼吸回路内において病原菌からプローブを保護するための使い捨て鞘部材を備える。この鞘部材は特に温度プローブに適用可能である。概して、湿度プローブは気体流と接触する必要があり、使い捨て鞘部材は湿度センサが光学的原理で作動しない限り、または鞘部材が病原体を通過させない水蒸気浸透性材料で形成されない限り湿度センサには適さない。この保護用の鞘部材は使い捨て可能な呼吸回路の一体的な部分であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】三つの部品から成る給湿システムの一つの例を示す。
【図2】金属要素が組み込まれた給湿チャンバを示す。
【図3】加熱機能および給湿機能を提供するために多孔性材料を用いた給湿チャンバを示す。
【図4】半透膜を用いた給湿チャンバを示す。
【図5】バイパスされる気体の割合を調整するための可変バルブを備えた給湿チャンバを示す。
【図6】気体の一部が給湿されて気体の他の部分が加熱されるような調整可能なバルブを備えた給湿チャンバを示す。
【図7】給湿チャンバに流入する乾燥気体が予め加熱される給湿チャンバを示す。
【図8】給湿チャンバに流入した乾燥気体が給湿チャンバから流出した後に加熱される給湿チャンバを示す。
【図9】加熱されない良好に断熱された搬送チューブと組み合わされる給湿チャンバを示す。
【図10】平行なワイヤ構成にある可撓PTC要素が組み込まれたチューブの構成を示す。
【図11】図10のチューブを用いた給湿器の構成を示す。
【図12】給湿チャンバ用マニホルドを示す。
【符号の説明】
【0052】
1…給湿チャンバ
2…気体搬送システム
4…ポート
5…ポート
6…温水
7…センサ
8…センサ
9…加熱プレート
10…ポート
11…チューブ
12…加熱器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、
給湿チャンバ手段であって、該給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段と、
前記給湿チャンバ手段に隣接して設けられたチャンバ加熱手段であって、前記給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために該給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段と、
取付手段を備え且つ前記給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段を収容する給湿チャンバ用マニホルドであって、気体流を所望の圧力で供給するように前記給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えている、
ことを特徴とする給湿装置。
【請求項2】
前記給湿チャンバ用マニホルド手段は、該給湿チャンバ用マニホルド手段の気体流および/または給湿チャンバ用マニホルド手段を加熱するのように構成された給湿チャンバ用マニホルド加熱手段を更に備えている、
請求項1に記載の給湿装置。
【請求項3】
前記給湿チャンバ用マニホルド手段は前記給湿チャンバ手段に着脱可能である、
請求項1または2に記載の給湿装置。
【請求項1】
気体を必要とする患者またはその他の人に供給する気体を給湿するための給湿装置であって、
給湿チャンバ手段であって、該給湿チャンバ手段を通って前記気体が流れるように入口と出口とを有する給湿チャンバ手段と、
前記給湿チャンバ手段に隣接して設けられたチャンバ加熱手段であって、前記給湿チャンバ手段を通過する気体に水蒸気を供給するために該給湿チャンバ手段内の液体水を蒸発させるチャンバ加熱手段と、
取付手段を備え且つ前記給湿チャンバ手段の出口の基端に少なくとも一つの検知手段を収容する給湿チャンバ用マニホルドであって、気体流を所望の圧力で供給するように前記給湿チャンバ手段の入口を気体供給手段に流体的に通じる供給導管手段に連結し、および/または気体流を患者または気体を必要とする人に運ぶために前記給湿チャンバ手段の出口を気体搬送通路手段に連結する給湿チャンバ用マニホルドとを備えている、
ことを特徴とする給湿装置。
【請求項2】
前記給湿チャンバ用マニホルド手段は、該給湿チャンバ用マニホルド手段の気体流および/または給湿チャンバ用マニホルド手段を加熱するのように構成された給湿チャンバ用マニホルド加熱手段を更に備えている、
請求項1に記載の給湿装置。
【請求項3】
前記給湿チャンバ用マニホルド手段は前記給湿チャンバ手段に着脱可能である、
請求項1または2に記載の給湿装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−161712(P2008−161712A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71174(P2008−71174)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【分割の表示】特願2005−73347(P2005−73347)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【分割の表示】特願2005−73347(P2005−73347)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
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