給送カセット
【課題】多量の記録紙を一括で充填する場合において、充填作業を容易にし、充填作業の失敗による記録紙の損傷等を防止する。
【解決手段】記録紙Sが積載収納されるカセット本体15と、カセット本体15の底面部に取付けられ記録紙Sの給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体21と、エンドフェンス本体21の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体22と、突き当て体22を直立姿勢に付勢する付勢手段23とを備え、記録紙をカセット本体15内の記録紙収納領域に充填する際、突き当て体22に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体22の支点よりも上側部分を付勢手段23の付勢力に抗して記録紙収納領域の後方に倒す。
【解決手段】記録紙Sが積載収納されるカセット本体15と、カセット本体15の底面部に取付けられ記録紙Sの給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体21と、エンドフェンス本体21の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体22と、突き当て体22を直立姿勢に付勢する付勢手段23とを備え、記録紙をカセット本体15内の記録紙収納領域に充填する際、突き当て体22に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体22の支点よりも上側部分を付勢手段23の付勢力に抗して記録紙収納領域の後方に倒す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において使用されている給送カセットは、図8に示すように、カセット本体101、支点部102を中心として上下方向へ回動自在な底板103、スライド自在及び任意位置固定自在なエンドフェンス104、カセット本体101内に収納される記録紙S(底板103上に載置される記録紙S)の給送方向先端部を揃える記録紙先端規制部105等により構成されている。底板103は板バネやその他の手段により給送方向先端部側が上方向きに回動するように付勢され、収納した記録紙Sの最上位紙が給送ローラ106の外周面に当接する状態に維持される。エンドフェンス104は、収納した記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド自在に設けられている。特に、特許文献1には、図9に示すように、エンドフェンス本体108の上方部を支点109に回動自在であり、かつ、給送方向前方に付勢される押し当て体107を設け、記録紙Sが積載された底板103が上方へ回動した場合でも押し当て体107で記録紙Sの後端を押して給紙の安定化を図ることが記載されている。
【0003】
カセット本体101内に記録紙Sを収納する場合には、あらかじめエンドフェンス104を記録紙サイズに対して充分余裕のある位置(図10の破線位置)まで記録紙収納領域の後方に移動させておき、記録紙先端部を記録紙先端規制部105に当接させ、その後、エンドフェンス104を元の位置に移動して、記録紙後端部に当接させ、記録紙先端規制部105とエンドフェンス104とで記録紙Sの給送方向に沿った方向の収納位置を位置決めしている。
【特許文献1】特開2004−142892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の給送カセットでは、エンドフェンス104がカセット本体101内で直立している(図9の従来例の場合も、回動するのは押し当て体107のみ)ため、多量の記録紙を充填する際に不便な場合がある。例えば、画像形成装置の使用途中に給送カセットが紙切れを起こした場合等は、せっかちなユーザだと、エンドフェンス104を記録紙収納領域の後方に移動させることなく、この窮屈な領域に、鷲づかみにした数百枚単位の多量の記録紙Sを傾けて一括で充填しようとする。このとき、図10又は図11に示すように、記録紙Sの束の後端をエンドフェンス104に突き当てた状態で、記録紙先端規制部105を回避するために記録紙Sの束の先端部を曲げながら収納することになる。しかし、分厚い記録紙Sの束は柔軟性がほとんどないため、強引に収納しようすると、記録紙Sが記録紙先端規制部105に当って損傷したり、エンドフェンス104に無理な力が掛かって破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、多量の記録紙を一括で充填する場合において、充填作業を容易にし、充填作業の失敗による記録紙の損傷等を防止すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、記録紙が積載収納されるカセット本体と、該カセット本体の底面部に取付けられ記録紙の給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体と、エンドフェンス本体の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体と、前記突き当て体を直立姿勢に付勢する付勢手段とを備え、記録紙をカセット本体内の記録紙収納領域に充填する際、前記突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を前記付勢手段の付勢力に抗して前記記録紙収納領域の後方に倒すことを特徴とする。
【0007】
そして、前記突き当て体の回動の支点の高さ位置を、記録紙の最大積載高さの中点以上とすることにより、給送カセットを画像形成装置の本体ケースに装着する際の慣性力で記録紙が突き当て体を押した場合でも、突き当て体は回転せず、確実に給送カセットを装着することができ、装着後は、エンドフェンスにより安定して記録紙後端の規制を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、給送カセットに多量の記録紙を充填する際に、突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を付勢手段の付勢力に抗して記録紙収納領域の後方に倒すことができ、充填作業を容易に行うことができ、充填ミスによる記録紙の損傷等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は画像形成装置の一例としてのプリンタを示すもので、プリンタの本体ケース1内には、抜き差し自在である給送カセット2、給送カセット2内に収納されたシート材である記録紙Sを一枚ずつ分離給送する給送手段である給送コロ3、分離給送される記録紙S上に画像を形成する画像形成部4、記録紙Sを画像形成部4に給送するタイミングを図るレジストローラ5、記録紙S上に形成された画像(トナー画像)を定着させる定着部6等が設けられている。
【0011】
画像形成部4は、光書込み部7からの露光により静電潜像が書き込まれる感光体8、露光前の感光体8の表面を一様に帯電させる帯電器9、トナーを供給して感光体8上の静電潜像をトナー像として顕像化する現像器10、トナー像を記録紙Sに転写させる転写器11、転写終了後の感光体8上の残留トナーを回収するクリーニング器12等により構成されている。
【0012】
本体ケース1の上面部には、定着部6においてトナー像が定着された記録紙Sが排紙される排紙部13が形成されている。本体ケース1の側面部には、記録紙Sを手差しすることができる手差トレイ14が開閉自在に設けられている。
【0013】
図2は給送カセットの概略構造を示す側面図である。給送カセット2は、図2に示すように、上方が開放されて記録紙Sが収納可能である箱状のカセット本体15、カセット本体15内に配置されて支点部16を中心として上下方向回動自在に設けられた底板17、収納された記録紙Sの給送方向先端部を揃える記録紙先端規制部18、記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド自在に設けられて収納された記録紙Sの給送方向後端部を揃えるエンドフェンス19、給送コロ3の外周面に当接されて給送コロ3と共に記録紙Sを分離給送する摩擦分離パッド20等により構成されている。底板17は押し上げ式又は引き上げ式のスプリング(図示せず)により、底板17上に載置された記録紙Sの給送方向先端側を給送コロ3の外周面に当接させる向きに回動するように上向きに付勢されている。
【0014】
次に、本実施形態に係るエンドフェンス19の構成について図3〜図6を参照して説明する。図3はエンドフェンスを示す斜視図であり、図4はエンドフェンスを示す側断面図であり、図5は突き当て体の直立姿勢(a)及び倒れた姿勢(b)のエンドフェンスを示す側面図であり、図6はカセット本体に設けられたスライド溝を示す一部省略斜視図である。エンドフェンスを示す斜視図であり。
【0015】
エンドフェンス19は、エンドフェンス本体21、突き当て体22、付勢手段であるヒンジバネ23等により構成されている。エンドフェンス本体21は、カセット本体15内に収納される記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド可能にカセット本体15に取り付けられる。
【0016】
壁板状のエンドフェンス本体21の両側上部には、図3及び図4に示すように、記録紙Sの給送方向の後方に突出する支持片21aが一体に形成されており、各支持片21aには支持穴24が貫通して設けられている。エンドフェンス本体21の底部には、上方から見てコの字型の脚21bが一体に形成されている。脚21bの両側には、所定の長さで記録紙Sの給送方向の後方に延びてこれに直交する方向に弾性を有する弾性片21cが一体に形成されている。各弾性片21cの外面先端部には固定用凸部26が形成されており、各弾性片21cの上面先端部には棒状に突出するスライド用ツマミ部27が一体に形成されている。
【0017】
板状の突き当て体22の両側には、高さ方向の中央部に記録紙Sの給送方向の後方に突出する支点片22aが一体に形成され、各支点片22aには支点穴(図示せず)が貫通して設けられている。なお、支点穴22aの中心(突き当て体22の回動の支点)の高さ位置は、図2に示すように、記録紙の最大積載高さHの中点以上の位置に設定している。
【0018】
突き当て体22の両支点片22aの支点穴には丸棒状の支点ピン25が挿通され、この支点ピン25の両端を前記エンドフェンス本体21の両支持片21aの支持穴24の各々に軸支することにより、突き当て体22はエンドフェンス本体21に対して回動可能に支持されている。図4に示すように、エンドフェンス本体21と突き当て体22との間には、支点ピン25に巻き付けられたヒンジバネ23が配置されており、突き当て体22は通常時は図5(a)に示すように、エンドフェンス本体21の脚21bの前面部に当接して直立姿勢を維持するように時計方向に付勢されている。
【0019】
エンドフェンス19は、エンドフェンス本体21の脚21bがカセット本体15の底面部15aに記録紙Sの給送方向に沿った方向に直線状に設けられたスライド溝28(図6参照)にスライド自在に嵌合され、各固定用凸部26がスライド溝28の両側面に対向してスライド方向に並んで複数形成された固定用凹部29(図6参照)のいずれかに嵌合されることによりカセット本体15に固定される。エンドフェンス19の位置を調整するときは、スライド用ツマミ部27を摘んでスライド溝28の中央方向に押さえて固定用凸部26を固定用凹部29から外し、エンドフェンス本体21をスライド溝28に沿って任意の位置まで移動させ、再び固定用凸部26を他の固定用凹部29に嵌合させる。
【0020】
次に、給送カセットに多量の記録紙Sを一括で充填するときの動作について図7等を参照して説明する。
【0021】
多量の記録紙Sの束の後端をエンドフェンス19の突き当て体22に正面から支点よりも上側部分に力が加わるように突き当てると、図5(b)に示すように、突き当て体22はヒンジバネ23の付勢力に抗して支点を中心に半時計方向に回動して倒れる。これにより、突き当て体22の支点よりも上側部分がカセット本体15内の記録紙収納領域の後方に逃げ、記録紙Sの束を全体的に後方にずらすことが可能となる。
【0022】
従って、エンドフェンス19を給送方向の後方に移動させなくても、記録紙先端規制部18を回避するために記録紙Sの束の先端部を曲げることなく、記録紙Sを傾けたまま容易に充填することができ、記録紙Sが記録紙先端規制部18に当って損傷したり、エンドフェンス19に無理な力が掛かって破損したりすることを防止することができる。記録紙Sの充填作業が進行すると、突き当て体22は、記録紙収納領域の内側に突出する支点よりも下側部分を記録紙Sに押され、ヒンジバネ23の付勢力により時計方向に徐々に回動する。記録紙Sの充填が完了してカセット本体15内に収納されると、直立姿勢(図5(a)参照)に戻る。
【0023】
また、突き当て体22は記録紙Sの最大積載高さH(図2参照)の中点以上の位置に支点を持つことにより、給送カセット2をプリンタの本体ケース1に装着する際の慣性力で記録紙Sが突き当て体22を押した場合でも、突き当て体22の支点より下側部分に加わる力が支点より上側部分に加わる力に打ち勝つので、突き当て体22が回転することがない。このとき、突き当て体22の回転にともなって支点より上側は記録紙から逃げる方向に倒れるが下側部分は記録紙収納領域に突出してくるため、逃げ幅を大きくし、且つ給送カセット2を本体ケース1に挿入する際に部材が回転しないようにするためには、バランスを考慮しての記録紙Sの最大積載高さH(図2参照)の中点の位置を支点にするのが最も効果的である。
【0024】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更を加えて実施することが可能である。例えば、給送コロに替えてピックアップローラを設けるとともに、摩擦分離パッドに替えてピックアップローラの給送方向下流側に互いに圧接するフィードローラ及びリタードローラを設け、ピックアップローラによって給送カセット内から送り出される記録紙をフィードローラ及びリタードローラの圧接部で分離して給送するようにしても構わない。この場合、画像形成装置の本体ケース側にピックアップローラとフィードローラが設けられ、給送カセットにはトルクリミッタを備えたリタードローラが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】は、本発明の実施形態のプリンタを示す概略図である。
【図2】は、給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図3】は、エンドフェンスを示す斜視図である。
【図4】は、エンドフェンスを示す側断面図である。
【図5】は、突き当て体の直立姿勢(a)及び倒れた姿勢(b)のエンドフェンスを示す側面図である。
【図6】は、カセット本体に設けられたスライド溝を示す一部省略斜視図である。
【図7】は、給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【図8】は、従来の給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図9】は、特許文献1に開示された従来の給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図10】は、図8に示す従来の給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【図11】は、図9に示す従来の給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 本体ケース
2 給送カセット
3 給送コロ
4 画像形成部
5 レジストローラ
6 定着部
7 光書込み部
8 感光体
9 帯電器
10 現像器
11 転写器
12 クリーニング器
13 排紙部
14 手差トレイ
15 カセット本体
15a 底面部
16 支点部
17 底板
18 記録紙先端規制部
19 エンドフェンス
20 摩擦分離パッド
21 エンドフェンス本体
21a 支持片
21b 脚
21c 弾性片
22 突き当て体
22a 支点片
23 ヒンジバネ
24 支持穴
25 支点ピン
26 固定用凸部
27 スライド用ツマミ部
28 スライド溝
29 固定用凹部
S 記録紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において使用されている給送カセットは、図8に示すように、カセット本体101、支点部102を中心として上下方向へ回動自在な底板103、スライド自在及び任意位置固定自在なエンドフェンス104、カセット本体101内に収納される記録紙S(底板103上に載置される記録紙S)の給送方向先端部を揃える記録紙先端規制部105等により構成されている。底板103は板バネやその他の手段により給送方向先端部側が上方向きに回動するように付勢され、収納した記録紙Sの最上位紙が給送ローラ106の外周面に当接する状態に維持される。エンドフェンス104は、収納した記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド自在に設けられている。特に、特許文献1には、図9に示すように、エンドフェンス本体108の上方部を支点109に回動自在であり、かつ、給送方向前方に付勢される押し当て体107を設け、記録紙Sが積載された底板103が上方へ回動した場合でも押し当て体107で記録紙Sの後端を押して給紙の安定化を図ることが記載されている。
【0003】
カセット本体101内に記録紙Sを収納する場合には、あらかじめエンドフェンス104を記録紙サイズに対して充分余裕のある位置(図10の破線位置)まで記録紙収納領域の後方に移動させておき、記録紙先端部を記録紙先端規制部105に当接させ、その後、エンドフェンス104を元の位置に移動して、記録紙後端部に当接させ、記録紙先端規制部105とエンドフェンス104とで記録紙Sの給送方向に沿った方向の収納位置を位置決めしている。
【特許文献1】特開2004−142892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の給送カセットでは、エンドフェンス104がカセット本体101内で直立している(図9の従来例の場合も、回動するのは押し当て体107のみ)ため、多量の記録紙を充填する際に不便な場合がある。例えば、画像形成装置の使用途中に給送カセットが紙切れを起こした場合等は、せっかちなユーザだと、エンドフェンス104を記録紙収納領域の後方に移動させることなく、この窮屈な領域に、鷲づかみにした数百枚単位の多量の記録紙Sを傾けて一括で充填しようとする。このとき、図10又は図11に示すように、記録紙Sの束の後端をエンドフェンス104に突き当てた状態で、記録紙先端規制部105を回避するために記録紙Sの束の先端部を曲げながら収納することになる。しかし、分厚い記録紙Sの束は柔軟性がほとんどないため、強引に収納しようすると、記録紙Sが記録紙先端規制部105に当って損傷したり、エンドフェンス104に無理な力が掛かって破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、多量の記録紙を一括で充填する場合において、充填作業を容易にし、充填作業の失敗による記録紙の損傷等を防止すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、記録紙が積載収納されるカセット本体と、該カセット本体の底面部に取付けられ記録紙の給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体と、エンドフェンス本体の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体と、前記突き当て体を直立姿勢に付勢する付勢手段とを備え、記録紙をカセット本体内の記録紙収納領域に充填する際、前記突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を前記付勢手段の付勢力に抗して前記記録紙収納領域の後方に倒すことを特徴とする。
【0007】
そして、前記突き当て体の回動の支点の高さ位置を、記録紙の最大積載高さの中点以上とすることにより、給送カセットを画像形成装置の本体ケースに装着する際の慣性力で記録紙が突き当て体を押した場合でも、突き当て体は回転せず、確実に給送カセットを装着することができ、装着後は、エンドフェンスにより安定して記録紙後端の規制を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、給送カセットに多量の記録紙を充填する際に、突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を付勢手段の付勢力に抗して記録紙収納領域の後方に倒すことができ、充填作業を容易に行うことができ、充填ミスによる記録紙の損傷等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は画像形成装置の一例としてのプリンタを示すもので、プリンタの本体ケース1内には、抜き差し自在である給送カセット2、給送カセット2内に収納されたシート材である記録紙Sを一枚ずつ分離給送する給送手段である給送コロ3、分離給送される記録紙S上に画像を形成する画像形成部4、記録紙Sを画像形成部4に給送するタイミングを図るレジストローラ5、記録紙S上に形成された画像(トナー画像)を定着させる定着部6等が設けられている。
【0011】
画像形成部4は、光書込み部7からの露光により静電潜像が書き込まれる感光体8、露光前の感光体8の表面を一様に帯電させる帯電器9、トナーを供給して感光体8上の静電潜像をトナー像として顕像化する現像器10、トナー像を記録紙Sに転写させる転写器11、転写終了後の感光体8上の残留トナーを回収するクリーニング器12等により構成されている。
【0012】
本体ケース1の上面部には、定着部6においてトナー像が定着された記録紙Sが排紙される排紙部13が形成されている。本体ケース1の側面部には、記録紙Sを手差しすることができる手差トレイ14が開閉自在に設けられている。
【0013】
図2は給送カセットの概略構造を示す側面図である。給送カセット2は、図2に示すように、上方が開放されて記録紙Sが収納可能である箱状のカセット本体15、カセット本体15内に配置されて支点部16を中心として上下方向回動自在に設けられた底板17、収納された記録紙Sの給送方向先端部を揃える記録紙先端規制部18、記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド自在に設けられて収納された記録紙Sの給送方向後端部を揃えるエンドフェンス19、給送コロ3の外周面に当接されて給送コロ3と共に記録紙Sを分離給送する摩擦分離パッド20等により構成されている。底板17は押し上げ式又は引き上げ式のスプリング(図示せず)により、底板17上に載置された記録紙Sの給送方向先端側を給送コロ3の外周面に当接させる向きに回動するように上向きに付勢されている。
【0014】
次に、本実施形態に係るエンドフェンス19の構成について図3〜図6を参照して説明する。図3はエンドフェンスを示す斜視図であり、図4はエンドフェンスを示す側断面図であり、図5は突き当て体の直立姿勢(a)及び倒れた姿勢(b)のエンドフェンスを示す側面図であり、図6はカセット本体に設けられたスライド溝を示す一部省略斜視図である。エンドフェンスを示す斜視図であり。
【0015】
エンドフェンス19は、エンドフェンス本体21、突き当て体22、付勢手段であるヒンジバネ23等により構成されている。エンドフェンス本体21は、カセット本体15内に収納される記録紙Sの給送方向に沿った方向へスライド可能にカセット本体15に取り付けられる。
【0016】
壁板状のエンドフェンス本体21の両側上部には、図3及び図4に示すように、記録紙Sの給送方向の後方に突出する支持片21aが一体に形成されており、各支持片21aには支持穴24が貫通して設けられている。エンドフェンス本体21の底部には、上方から見てコの字型の脚21bが一体に形成されている。脚21bの両側には、所定の長さで記録紙Sの給送方向の後方に延びてこれに直交する方向に弾性を有する弾性片21cが一体に形成されている。各弾性片21cの外面先端部には固定用凸部26が形成されており、各弾性片21cの上面先端部には棒状に突出するスライド用ツマミ部27が一体に形成されている。
【0017】
板状の突き当て体22の両側には、高さ方向の中央部に記録紙Sの給送方向の後方に突出する支点片22aが一体に形成され、各支点片22aには支点穴(図示せず)が貫通して設けられている。なお、支点穴22aの中心(突き当て体22の回動の支点)の高さ位置は、図2に示すように、記録紙の最大積載高さHの中点以上の位置に設定している。
【0018】
突き当て体22の両支点片22aの支点穴には丸棒状の支点ピン25が挿通され、この支点ピン25の両端を前記エンドフェンス本体21の両支持片21aの支持穴24の各々に軸支することにより、突き当て体22はエンドフェンス本体21に対して回動可能に支持されている。図4に示すように、エンドフェンス本体21と突き当て体22との間には、支点ピン25に巻き付けられたヒンジバネ23が配置されており、突き当て体22は通常時は図5(a)に示すように、エンドフェンス本体21の脚21bの前面部に当接して直立姿勢を維持するように時計方向に付勢されている。
【0019】
エンドフェンス19は、エンドフェンス本体21の脚21bがカセット本体15の底面部15aに記録紙Sの給送方向に沿った方向に直線状に設けられたスライド溝28(図6参照)にスライド自在に嵌合され、各固定用凸部26がスライド溝28の両側面に対向してスライド方向に並んで複数形成された固定用凹部29(図6参照)のいずれかに嵌合されることによりカセット本体15に固定される。エンドフェンス19の位置を調整するときは、スライド用ツマミ部27を摘んでスライド溝28の中央方向に押さえて固定用凸部26を固定用凹部29から外し、エンドフェンス本体21をスライド溝28に沿って任意の位置まで移動させ、再び固定用凸部26を他の固定用凹部29に嵌合させる。
【0020】
次に、給送カセットに多量の記録紙Sを一括で充填するときの動作について図7等を参照して説明する。
【0021】
多量の記録紙Sの束の後端をエンドフェンス19の突き当て体22に正面から支点よりも上側部分に力が加わるように突き当てると、図5(b)に示すように、突き当て体22はヒンジバネ23の付勢力に抗して支点を中心に半時計方向に回動して倒れる。これにより、突き当て体22の支点よりも上側部分がカセット本体15内の記録紙収納領域の後方に逃げ、記録紙Sの束を全体的に後方にずらすことが可能となる。
【0022】
従って、エンドフェンス19を給送方向の後方に移動させなくても、記録紙先端規制部18を回避するために記録紙Sの束の先端部を曲げることなく、記録紙Sを傾けたまま容易に充填することができ、記録紙Sが記録紙先端規制部18に当って損傷したり、エンドフェンス19に無理な力が掛かって破損したりすることを防止することができる。記録紙Sの充填作業が進行すると、突き当て体22は、記録紙収納領域の内側に突出する支点よりも下側部分を記録紙Sに押され、ヒンジバネ23の付勢力により時計方向に徐々に回動する。記録紙Sの充填が完了してカセット本体15内に収納されると、直立姿勢(図5(a)参照)に戻る。
【0023】
また、突き当て体22は記録紙Sの最大積載高さH(図2参照)の中点以上の位置に支点を持つことにより、給送カセット2をプリンタの本体ケース1に装着する際の慣性力で記録紙Sが突き当て体22を押した場合でも、突き当て体22の支点より下側部分に加わる力が支点より上側部分に加わる力に打ち勝つので、突き当て体22が回転することがない。このとき、突き当て体22の回転にともなって支点より上側は記録紙から逃げる方向に倒れるが下側部分は記録紙収納領域に突出してくるため、逃げ幅を大きくし、且つ給送カセット2を本体ケース1に挿入する際に部材が回転しないようにするためには、バランスを考慮しての記録紙Sの最大積載高さH(図2参照)の中点の位置を支点にするのが最も効果的である。
【0024】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更を加えて実施することが可能である。例えば、給送コロに替えてピックアップローラを設けるとともに、摩擦分離パッドに替えてピックアップローラの給送方向下流側に互いに圧接するフィードローラ及びリタードローラを設け、ピックアップローラによって給送カセット内から送り出される記録紙をフィードローラ及びリタードローラの圧接部で分離して給送するようにしても構わない。この場合、画像形成装置の本体ケース側にピックアップローラとフィードローラが設けられ、給送カセットにはトルクリミッタを備えたリタードローラが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】は、本発明の実施形態のプリンタを示す概略図である。
【図2】は、給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図3】は、エンドフェンスを示す斜視図である。
【図4】は、エンドフェンスを示す側断面図である。
【図5】は、突き当て体の直立姿勢(a)及び倒れた姿勢(b)のエンドフェンスを示す側面図である。
【図6】は、カセット本体に設けられたスライド溝を示す一部省略斜視図である。
【図7】は、給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【図8】は、従来の給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図9】は、特許文献1に開示された従来の給送カセットの概略構造を示す側面図である。
【図10】は、図8に示す従来の給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【図11】は、図9に示す従来の給送カセットに多量の記録紙を充填するときの動作を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 本体ケース
2 給送カセット
3 給送コロ
4 画像形成部
5 レジストローラ
6 定着部
7 光書込み部
8 感光体
9 帯電器
10 現像器
11 転写器
12 クリーニング器
13 排紙部
14 手差トレイ
15 カセット本体
15a 底面部
16 支点部
17 底板
18 記録紙先端規制部
19 エンドフェンス
20 摩擦分離パッド
21 エンドフェンス本体
21a 支持片
21b 脚
21c 弾性片
22 突き当て体
22a 支点片
23 ヒンジバネ
24 支持穴
25 支点ピン
26 固定用凸部
27 スライド用ツマミ部
28 スライド溝
29 固定用凹部
S 記録紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙が積載収納されるカセット本体と、該カセット本体の底面部に取付けられ記録紙の給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体と、エンドフェンス本体の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体と、前記突き当て体を直立姿勢に付勢する付勢手段とを備え、記録紙をカセット本体内の記録紙収納領域に充填する際、前記突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を前記付勢手段の付勢力に抗して前記記録紙収納領域の後方に倒すことを特徴とする給送カセット。
【請求項2】
前記突き当て体の回動の支点の高さ位置を、記録紙の最大積載高さの中点以上としたことを特徴とする給送カセット。
【請求項1】
記録紙が積載収納されるカセット本体と、該カセット本体の底面部に取付けられ記録紙の給送方向に沿った方向へ移動自在に設けられたエンドフェンス本体と、エンドフェンス本体の水平支点に回動可能に支持され記録紙後端に当接する突き当て体と、前記突き当て体を直立姿勢に付勢する付勢手段とを備え、記録紙をカセット本体内の記録紙収納領域に充填する際、前記突き当て体に記録紙後端を突き当てることにより、該突き当て体の支点よりも上側部分を前記付勢手段の付勢力に抗して前記記録紙収納領域の後方に倒すことを特徴とする給送カセット。
【請求項2】
前記突き当て体の回動の支点の高さ位置を、記録紙の最大積載高さの中点以上としたことを特徴とする給送カセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−145552(P2007−145552A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344839(P2005−344839)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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