説明

給電コネクタ

【目的】 電気自動車などの充電に際し、給電側コネクタと受電側コネクタを嵌合接続する際の中途嵌合の防止と接続作業性の向上および低挿挿入力化を図ることを目的とする。
【構成】 給電側コネクタAは、割り型ケース1Aおよび1Bからなるケース1の前半部にコネクタ本体2を摺動可能に内装し、後半部にレバー3の回動により前進して該本体2を受電側コネクタB方向に押しつけるリード線挿通管兼用のハンドル4が進退可能に設けられている。レバー3は中間部がケース1内に軸支され、作用部3bがハンドル4に枢着され、操作部3aがケース外に突出している。レバー3には、コネクタ本体2を受電側コネクタBのコネクタ本体42と嵌合した位置でロックする手段と、解除する手段とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電気自動車の充電に用いられる給電コネクタに関し、給電側コネクタと受電側コネクタを嵌合接続する際の中途嵌合を防止すると共にその接続作業性の向上および低挿入力化を図るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】図15および図16は従来の給電コネクタの一例を示す(特開昭50−95790号公報)。この給電コネクタは、自動車の車体などに固定される雌コネクタ(受電側コネクタ)71と給電装置側に設けられる雄コネクタ(給電側コネクタ)72とからなる。これは、雄コネクタ72のハウジング本体73とその外周に装着したカップリングナット74との隙間に雌コネクタ71のフード75を嵌入させ、カップリングナット74を回転させながらその内周面のスタッド76をフード外周の螺旋状溝77に進入させ、これにより雄コネクタ72を雌コネクタ71に嵌合接続するようにしたものであり、いわゆるバイヨネットロック方式を採用している。螺旋状溝77の終端部分にはへこみ77aが形成されており、完全嵌合時にはスタッド76がへこみ77aに嵌入してロックされる。図中、78は雄端子、79は雌端子、80はスプリング、81はガスケットをそれぞれ示し、スプリング80はハウジング本体73を雌コネクタ71側に付勢する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のバイヨネットロック方式を採用した給電コネクタでは、雌,雄コネクタ71,72の嵌合に際し、カップリングナット74を回転してロックする途中で回転を止めてしまうおそれもあり、中途嵌合状態にあるか否かを一見して判断するのが困難である。また、カップリングナット74を締めつけるように回転してロックするので、作業が面倒で時間がかかり作業者の手が痛くなる欠点があり、さらに雌,雄コネクタの端子数が増えて多極化すると、その嵌合に相当大きな力を要するが、バイヨネットロック方式では低挿入力化が困難である。本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、中途嵌合を確実に防止すると共に、作業性がよくて雌,雄コネクタの着脱をワンタッチで行うことができる低挿入力化された給電コネクタを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の課題を達成するため、本発明の給電コネクタは、請求項1に記載のように、給電装置側に設けられる給電側コネクタと車体などに設けられる受電側コネクタとから成り、該給電側コネクタは一対の割り型ケースを抱き合わせてなるケースと、該ケースの前半部に摺動可能に装着されて複数の端子を収容したコネクタ本体と、該ケースの後半部に装着されて前記複数の端子に接続されたリード線を挿通するハンドルと、該ケース内の前記コネクタ本体を摺動させるスライダーと、中間部が該ケース内で軸支され、一方の作用部が前記スライダーに枢着され、他方の操作部がケース外に突出する回動可能のレバーを備えると共に、該レバーの回動により前記スライダーが前進してコネクタ本体を前記受電側コネクタのコネクタ本体と嵌合した位置で該レバーをロックする手段と、ロックされた該レバーを解除する手段とを備えることを特徴とする。また、上記給電側コネクタと受電側コネクタとの間に仮ロック手段を設け(請求項2)、給電側コネクタはコネクタ本体を常態においてハンドル側に付勢する手段を備えている(請求項3)ことが好ましい。さらに、前記スライダーはハンドルまたはコネクタ本体と一体に形成することも可能である(請求項4,5)。前記レバーとスライダーの取付は、前記スライダーの周壁に直径方向の軸孔を設け、前記レバーの作用部の先端に前記スライダーを挟み込む二股状の支持片を設けると共に該支持片にスライダー周壁の前記軸孔に対応する軸孔を設け、該一対の支持片でスライダを挟み込んだ状態でそれぞれ支持片側の軸孔からスライダー側の軸孔に先端部に細溝を周設したピンを挿着し、該支持片とスライダー外周の間から該細溝にストップリングを嵌着した構造(請求項6)をとることができる。
【0005】
【作用】レバーをハンドル側に握り締めて回動すると、スライダーが前進して給電側コネクタのコネクタ本体を受電側コネクタに押しつける。これにより給電側コネクタと受電側コネクタとを極めて簡単に嵌合接続することができる。給電側コネクタのコネクタ本体をスライダーまたはハンドル側に付勢する手段(例えば圧縮コイルバネ)を設けておけば、嵌合中途でレバーを離すと、バネの弾発力によりコネクタ本体が受電側コネクタから離れるので、中途嵌合も防止される。また、両コネクタの嵌合をレバー(梃子)を使って行うので大きな力を要せず、多極化にも適している。また、レバーとスライダーまたはハンドルとの取付構造を、前記のように一対の支持片でスライダを挟み込んだ状態でそれぞれ支持片側の軸孔からスライダー側の軸孔に先端部に細溝を周設したピンを挿着し、該支持片とスライダー外周の間から該細溝にストップリングを嵌着した構造とすれば、支軸となるピンがスライダーまたはハンドル内を貫通しないので、リード線の挿通空間の確保と保護を同時に達成できると共にリード線の挿通作業が容易となる。さらに、レバーとスライダーまたはハンドルとの取付作業を全て外部で行うことができるから、作業が極めて簡単であり、レバーの取付位置を任意に選べる利点がある。
【0006】
【実施例】図1ないし図4に示すように給電コネクタは、図示しない給電装置に設けられる給電側コネクタAと自動車の車体などに固定される受電側コネクタBとから成る。給電側コネクタAにおいて、1は相対向する一対の割り型ケース1Aおよび1Bからなる抱き合わせケースであり、その前半部にコネクタ本体2が摺動可能に内装され、後半部にはレバー3の回動操作により前進してコネクタ本体2を受電側コネクタB方向に押しつけるハンドル4が進退可能に設けられており、ハンドル4の後端には図示しない給電装置からのびるケーブルCが導入されている。
【0007】ケース1は先端部内周面に環状溝5を有して、該環状溝5にカラー6が嵌着されると共に、内部中央にコネクタ本体収容部7を区画する隔壁8を有する。この隔壁8とカラー6との間に外周壁後端部に鍔9を周設したコネクタ本体2が摺動自在に装着され、カラー6と鍔9との間に圧縮コイルバネ10を介装してコネクタ本体2をハンドル4側に付勢している。
【0008】コネクタ本体2は内部に複数の端子収容室11を有し、各端子収容室11には雌端子12,12′が収容係止されると共にリヤホルダ13により後抜けが二重に阻止されている。各雌端子12,12′の後半部にはリード線14が圧着その他の既知の手段で接続されると共に、防水ゴム栓15が外挿されて各端子毎に防水シールを行い、隣接端子間の短絡を防止している。
【0009】また、ケース1の内部には第2の隔壁16により後半のレバー取付部17と中間のロックバー取付部18とが区画形成されており、ケース後端部の開孔19から挿入されたハンドル4の前半部は隔壁16を貫通して隔壁8の丸孔8aからコネクタ本体収容部7内にのび、コネクタ押圧板20を介してコネクタ本体2と接している。
【0010】ハンドル4はパイプ状であり、雌端子12に接続されるケーブルCのリード線14に対する挿通管を兼用している。ハンドル4は前半のスライダー部4aと後半の本体部4bとから成る。前半のスライダー部4aは隔壁8の丸孔8aおよびケース後端部の開孔19により摺動自在に支持され、後半の本体部4bはく字状に傾斜して形成され、その終端にはケーブル押さえ21を介して締付ナット22が螺着されている。23は合成ゴムなどの弾性部材からなるグリップであり、一端に蛇腹部24aを介して防水キャップ24が連成されており、該キャップ24はケース後端の環状溝25に嵌着されている。
【0011】図5は図3のXーX線に沿うレバー3とハンドル4の取付構造を示す断面図、図6はその部分拡大図、図7は該レバー3とハンドル4の分解斜視図である。図5ないし図7に示されるように、レバー3は先端にU字部を有し、このU字部でパイプ状ハンドル4のスライダー部4aを挟み込こんだ状態で枢着されている。レバー3は全体が長い操作部3aと短い作用部3bとが交叉するL字形に形成されており、作用部3bはその交叉基部に長孔26を有し、レバー取付部17において下部のピン27によりケース1A,1B内に回動可能に軸支され、また、作用部3bの先端部分には上記U字部、即ち二股状に分岐形成された一対の支持片28,28が設けられている。二股状の支持片28,28間の内法Lはスライダー部4a(ハンドル4)の外径Rよりも若干大きく形成され、また、スライダー部4aの直径方向に設けた一対の軸孔29,29と対応して軸孔29′,29′が設けられている。そこで、上記U字部内にスライダー部4aを挟み、軸孔29,29′を合わせて両側からピン30を挿入し、レバー3を軸支する。このピン30の先端、すなわちスライダー部4aにかかる部分には細溝30aが周設されており、この細溝30aがスライダー部4aの外周と支持片28間の隙間に位置するようにセットし、そこからEリングのようなストップリング31を挿入して細溝30aに嵌着する。ピン30はストップリング31の介装によりレバー3とスライダー部4aで挟まれ、左右の移動ができなくなる。ピン30の内側はいわばスライダー部4aの軸孔29を係止し、外側はレバー3の軸孔29′を貫通して外側に突出し、該レバー3を係止する。このピン30の外側に突出した部分は前記ケース1A,1Bに設けた溝(図示せず)により両側から挟まれて、該ケース内を平行に摺動できるよう案内突起の作用も果たす。更に、レバー3の長孔26はケース1A,1Bとピン27で止められるが、長孔とした理由は次のとおりである。すなわち、レバー3を握ってスライダー部4aがケース1A,1B内を平行移動するには、その回転中心が縦方向にずれなくてはならない。この縦方向への逃げのため縦長の長孔26として形成さている。
【0012】また、レバー3の支持片28,28の一方は耳片32を有し、該耳片32はピン33によりロックプレート34に枢着されている。ロックプレート34は、図8(A)に示すように、他側に対向する一対のガイドレール35,35′を有し、該ガイドレール35,35′には一端がロックバー取付部18の下部にピン36により枢着されたロックバー37が摺動自在に装着されている。一対のガイドレール35,35′のうち、内側のガイドレール35′は短く形成されると共に、ロックバー37の該ガイドレール35′に面する側の中間にカム逃げ用の切欠37aが形成され、更に切欠37aの上側の肩部にはカムロック用のへこみ37bが設けられている。更に、ロックプレート34にはその中間下部にカム38がピン39により軸支され、カム38の円弧状部38aとロックプレート34の中間上部と間に引っ張りコイルバネ40を介装することにより、カム38の突部38bが常態において前記ロックバー37の摺動路に向けて突出するようになっている。
【0013】図4に戻って説明すると、受電側コネクタBにおいて、雄端子41,41′を収容係止したコネクタ本体42の外周に給電側コネクタAのケース先端部を受け入れるシェル43が膨出形成されている。このシェル43は外周に張設したフランジ44により車体(図示せず)にボルト45で固定されると共に、シェル43の開口部には一端がピン46により開閉自在に取付けられたキャップ47が係止突起47aとシェル外周の係止凹部43aの係合によりロックされるようになっている。11′は雄端子収容室、13′はリヤホルダ、15′は防水ゴム栓を示し、給電側コネクタAと同様の構成であり、詳細な説明を省略する。48は防水シール用のO−リング等の防水部材である。
【0014】給電側コネクタAと受電側コネクタBにおいて、両者の嵌合接続時の位置決めおよびロックのため、ケース1の先端部の外周両側に案内溝49,49′が対称形に設けられ、シェル43の内面には案内溝49,49に係合する回転自在のロールピン50,50が設けられている。案内溝49は、軸方向と平行な導入溝49aとこれから円周方向に曲るロック溝49bとから成り、ロールピン50がロック溝49bの終点に達したときに、両コネクタA,Bが仮係合するようになっている。また、受電側コネクタBにおいて、コネクタ本体42の前方には雄端子41,41′の先端部を保護するフード42aが周設され、給電側コネクタAのコネクタ本体部2の前方には該フード42aを受け入れるガイド壁2aが周設されている。なお、図1中、51は給電側コネクタAに被せるキャップ、52は割り型ケース1A,1Bを固定するビスを示す。なお、以上は給電側コネクタAに雌端子12を、受電側コネクタBに雄端子41を使用した例について説明したが、雌,雄端子を逆に用いるようにコネクタ本体2,42を設計変更してもよい。
【0015】上記構成において、給電側コネクタAのケース1を受電側コネクタBのシェル43に各案内溝49の導入溝49aとロールピン50とを合わせて差込み、そのロック溝49bにおいてケース1をコネクタ本体2に対して相対的に回動し、ロールピン50を該ロック溝49b(図1参照)の終端部に位置させることにより両コネクタA,Bを仮係合状態とする。次いで、レバー3を握って図3に示すように矢線P方向に回動する。すると、レバー3の作用部3bがピン27を中心に回動してハンドル4のスライダー部4aが矢線Qのように前進する。その結果、コネクタ本体2はコネクタ押圧板20を介して圧縮コイルバネ10の弾発力に抗して前方に押し出され、図9に示されるように、相手方コネクタ本体42と完全嵌合して、雌端子12,12′と雄端子41,41′との接続も完結する。
【0016】図8(A),(B)に示されるように、レバー3の回動により、その作用部3bの耳片32に枢着されたロックプレート34も同方向に移動する。これによりロックバー37はガイドレール35,35′間に案内されて、ピン36を中心に矢線Rのように立ち上る方向に回動し、その先端部はガイドレール35,35′間を矢線Sの如く上昇するように変位する。その結果、カム38の突部38bがロックバー37の側縁に摺接して引っ張りコイルバネ40に抗して回動し、両コネクタA,B即ちコネクタ本体2,42の完全嵌合時において該突部38bがへこみ37bに係合し、レバー3がロックされる。
【0017】この完全嵌合およびロック状態において、給電側コネクタAのケース先端部は受電側コネクタBのシェル43内に嵌入し、また、フード42aはガイド壁2a内に嵌入すると共に、ガイド壁2aの先端部は更にフード42aとシェル43間の環状凹部42bに嵌入するので、三重の防水シールがなされる。
【0018】両コネクタA,Bのロック解除および離脱は次のように極めて簡単に行うことができる。レバー3を更に強く握り締めると、図8(B)から理解されるようにカム38の突部38bとへこみ37bとの係合が解除され、ロックバー37がロックプレート34に対して相対的に上昇する。その結果、カム38がロックバー37の切欠37aと引っ張りコイルバネ40により瞬間的に元の状態に復帰するので、レバー3が解除され、同時に圧縮コイルバネ10の強い弾発力により給電側コネクタAのコネクタ本体2がケース1内を後退して受電側コネクタBのコネクタ本体42から離れる。また、両コネクタA,Bの嵌合中途でレバー3を解放すると、同様に上記圧縮コイルバネ10により互に離れる方向に移動するから、中途嵌合も防止される。
【0019】図10は本発明の給電側コネクタの第2実施例を示す縦断面、図11は図10の要部の分解斜視図、図12は受電側コネクタとの嵌合ロック状態を示す断面である。なお、第1実施例と同一の構成部材には同一の符号を用いて説明を省略する。一対の割り型ケース1A′,1B′から成るケース1′は、内部中央に隔壁8を有し、コネクタ本体収容部7とレバー取付部17′とが区画形成されている。コネクタ本体収容部7にはコネクタ本体2が摺動可能に内装され、隔壁8の丸孔8aとケース後端部の開孔19には本体部4aとスライダー部4bが直管状に連成されたハンドル4′が摺動自在に支持されている。また、レバー取付部17′においてピン27により軸支されたレバー3′の二股状の支持片28,28はピン30によりハンドル4′のスライダー部4aに枢着されている。以上は第1実施例の場合と同様である。
【0020】レバー取付部17′には、上下にロック室53,53′が膨出形成され、該ロック室53,53′はそれぞれコネクタ本体収容部7側に開口53a,53a′を有する。54,54′は受電側コネクタB′に対するロック腕である。一方のロック腕54は中間がロック室53においてピン55により軸支され、一端が開口53aからケース1′の外周にのび、先端にフック状の係止爪54aが突設され、他端はレバー取付部17′側にのび、後述する解除レバー57に対する係合片54bとして形成されている。他方のロック腕54′は先端が同様に開口53a′からケース1′の外周にのび、先端にいわゆるセミロックタイプの山形の係止爪54a′が突設され、後端がロック室53′においてピン55′により軸支されている。56,56′はロック腕53,53′を外側に付勢する線バネである。
【0021】57は上記ロック腕54の解除レバーであり、中間がピン58により割り型ケース1B′側に軸支され、一方の作用部57aはロック腕54の係合片54bとレバー3の一方の支持片28間に位置し、他方の操作部57bはケース1′の後方外部に突出している。作用部57aの先端にはフック状の係止爪57cが下向に突設されている。また、支持片28の端面は円弧状部28aとして形成されると共に、係止爪57cに対する係止凹部28bが設けられている。59は解除レバー57の作用部57aをレバー3側即ち支持片28の円弧状部28a側にに付勢する板バネ、また、60はレバー3の作用部3bに対する押さえバネである。なお、一対の割り型ケース1A′,1B′の外周には嵌合方向に沿って位置決め部材を兼用する案内突条62が設けられている。
【0022】受電側コネクタB′において、そのシェル43の内周面には第1実施例のロールピン50に代えて給電側コネクタA′のロック腕54,54′に係合する係止溝61が対設され、さらに前記案内突条62に対する受け溝(図示せず)が設けられている。
【0023】第2実施例において、上記案内突条62とその受け溝とを合わせて受電側コネクタB′のシェル43に給電側コネクタA′のケース1′を差し込むと、ロック腕54,54′のフック状係止爪54aとセミロックタイプの係止爪54a′がそれぞれ上記係止溝61,61に係合して、両コネクタA′,B′が仮ロックされる。この状態でレバー3′をハンドル4′側に握りしめると、第1実施例の場合と同様にスライダー部4aが前進し、これによりケース1′内でコネクタ本体2が相手方コネクタ本体42側に押し出され、上下のロック腕54,54′の内側に嵌まり込んだ状態となり、両腕54,54′が内側に閉じることを妨げ、上記受電側コネクタB′に対するロックをより確実にする。そして、コネクタ本体2,42の嵌合と共に雌端子12,12′と雄端子41,41′相互間の接続も完結する。
【0024】コネクタ本体2,42の上記嵌合過程において、レバー3′の回動によりその支持片28の円弧状部28aは板バネ59に付勢された解除レバー57の作用部57aの下縁に摺接して該解除レバー57をピン58を中心に上方に回動させ、嵌合完結時において作用部57aの先端のフック状係止爪57cが係止凹部28bに達して係合する。これによりレバー3′は上記コネクタ本体2を前方に押し出したままの状態でロックされる。
【0025】両コネクタA′,B′のロック解除および離脱に際しては、先ずケース1′の外に出ている解除レバー57の操作部57bを押し下げ、上記レバー3′(の係止凹部28b)との係合を解除する。これにより、コネクタ本体2は第1実施例の場合と同様に圧縮コイルバネ10により相手方コネクタ本体42から離れる。コネクタ本体2の後退により、上記ロック腕54,54′の内側は一種の自由空間となる。そこで、更に解除レバー57の操作部57bを押し下げると、作用部57aがロック腕54の係合片54bをピン55を中心に押し上げるから、その反対側のフック状係止爪54aは下方に移動する。その結果、シェル内周面の係止溝61とフック状係止爪54aとの係合が解除する。また、別の係止溝61と係合しているもう一つのロック腕54′の係止爪54a′はセミロックタイプであり、給電側コネクタA′を引くと簡単に解除される。このようにして、〔給電側コネクタA′を受電側コネクタB′へ差込む〕→〔両コネクタを仮ロックする〕→〔レバー3を握る〕→〔コネクタが嵌合する〕→〔解除レバー57を押す〕→〔コネクタ本体2が後退する〕→〔再度解除レバー57を押す〕→〔仮ロックが解除する〕→〔給電側コネクタA′を引き抜く〕という一連の操作でコネクタの嵌合、ロック、解除、離脱が行われる。
【0026】なお、レバー3′とのロック解除状態で解除レバー57から手を離しても、スライダー部4aに枢着されたレバー3′の円弧状部28aが解除レバー57の作用部57aと接触しており、スライダー部4aを後退させるとロック腕54の係合片54bを押し上げるから、両コネクタA′,B′のロックを解除することができる。
【0027】第2実施例の場合には、第1実施例の場合と異なり受電側コネクタBに対して給電側コネクタAを少し回動させるという動作がなく、給電側コネクタA′と受電側コネクタB′とをその軸方向に突き合わせまたは引き離すようにすればよいから、嵌合ロックおよび離脱作業がさらに簡単になる。
【0028】図13は本発明の給電側コネクタの第3実施例を示す縦断面、図14は図13の要部の分解斜視図を示し、図11および図12におけるコネクタ本体2を押し出す前記スライダー部4aをハンドル4′の本体部4bから分離して形成したものである。すなわち、4″はパイプ状の固定式ハンドル、65はスライダーを示す。固定式ハンドル4″は、先端両側に取付板63が設けられており、割型ケース1A′(1B′)の前記開孔19を有する後壁1aにネジ64により固定される。取付板63の代わりに該後壁1aと整合する鍔を周設してもよい。スライダー65は固定式ハンドル4″と同径のパイプ状であり、その先端部分が隔壁8の丸孔8aに挿着支持され、後半部分にレバー3′が取付けられている。なお、スライダー65とレバー3′,解除レバー57等の取付構造は第2実施例と同じであり、説明を省略する。
【0029】第1および第2実施例はレバー3,3′の回動によりハンドル4,4′全体、すなわちそのスライダー部4aと本体部4bとが同時に摺動する例であるが、本体部4bには前述のようにケーブルCが引き込んであるから、コネクタ本体2の摺動が軽やかに行われないおそれがある。第3実施例では、レバー3′の回動によりスライダー65がハンドル4″とは無関係に進退するように構成されているので、コネクタ本体2の相手方コネクタへの嵌合をより軽やかに行うことができる。なお、第3実施例に示すスライダー65と固定式ハンドル4″との分離構造は実施例1のレバー3とハンドル4にも同様に適用することが可能であり、このスライダー65を図1および図10に示すコネクタ押圧板20またはコネクタ本体2と一体に形成することもできる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の給電コネクタは、給電装置側に設けられる給電側コネクタと車体などに設けられる受電側コネクタとから成り、該給電側コネクタは一対の割り型ケースを抱き合わせてなるケースと、該ケースの前半部に摺動可能に装着されて複数の端子を収容したコネクタ本体と、該ケースの後半部に装着されて前記複数の端子に接続されたリード線を挿通するハンドルと、該ケース内の前記コネクタ本体を摺動させるスライダーと、中間部が該ケース内で軸支され、一方の作用部が前記スライダーに枢着され、他方の操作部がケース外に突出する回動可能のレバーを備えると共に、該レバーの回動により前記スライダーが前進してコネクタ本体を前記受電側コネクタのコネクタ本体と嵌合した位置で該レバーをロックする手段と、ロックされた該レバーを解除する手段とを備える構成を採用したので、給電側コネクタの受電側コネクタに対する中途嵌合を防止すると共に、両コネクタの嵌合ロックおよび離脱をワンタッチで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる給電コネクタにおける給電側コネクタAの正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の縦断面図である。
【図4】図1の給電側コネクタAに対応する受電側コネクタBの縦断面図である。
【図5】図3のXーXに沿う断面図である。
【図6】図5の要部拡大断面図である。
【図7】レバー3とハンドル4の部分の分解斜視図である。
【図8】(A),(B)はそれぞれ図1のレバー3の解放状態とロック状態を示す説明図である。
【図9】給電側コネクタAと受電側コネクタBとの嵌合ロック状態を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第2実施例にかかる給電側コネクタA′の縦断面図である。
【図11】図10の給電側コネクタA′の要部の分解斜視図である。
【図12】図10の給電側コネクタA′と受電側コネクタB′との嵌合状態を示す縦断面である。
【図13】本発明の第3実施例にかかる給電側コネクタA″の縦断面図である。
【図14】図13の要部の分解斜視図である。
【図15】従来の給電コネクタの分離状態の斜視図である。
【図16】図10の接続状態の縦断面図である。
【符号の説明】
A,A′,A″ 給電側コネクタ
B,B′ 受電側コネクタ
1,1′ ケース
1A,1B 割り型ケース
1A′,1B′ 割り型ケース
2 コネクタ本体
3,3′ レバー
3a 操作部
3b 作用部
4,4′,4″ ハンドル
4a スライダー部
4b 本体部
10 圧縮コイルバネ
12,12′ 雌端子
14 リード線
26 長孔
27 ピン
28 支持片
28b 係止凹部
29,29′ 軸孔
30 ピン
30a 細溝
34 ロックプレート
35,35′ ガイドレール
37 ロックバー
38 カム
38b 突部
41,41′ 雄端子
42 コネクタ本体
54,54′ ロック腕
56,56′ 線バネ
57 解除レバー
59 板バネ
65 スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 給電装置側に設けられる給電側コネクタと車体などに設けられる受電側コネクタとから成り、該給電側コネクタは一対の割り型ケースを抱き合わせてなるケースと、該ケースの前半部に摺動可能に装着されて複数の端子を収容したコネクタ本体と、該ケースの後半部に装着されて前記複数の端子に接続されたリード線を挿通するハンドルと、該ケース内の前記コネクタ本体を摺動させるスライダーと、中間部が該ケース内で軸支され、一方の作用部が前記スライダーに枢着され、他方の操作部がケース外に突出する回動可能のレバーを備えると共に、該レバーの回動により前記スライダーが前進してコネクタ本体を前記受電側コネクタのコネクタ本体と嵌合した位置で該レバーをロックする手段と、ロックされた該レバーを解除する手段とを備えることを特徴とする給電コネクタ。
【請求項2】 前記給電側コネクタと受電側コネクタとの間に仮ロック手段が設けられている請求項1記載の給電コネクタ。
【請求項3】 前記給電側コネクタがコネクタ本体を常態においてハンドル側に付勢する手段を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の給電コネクタ。
【請求項4】 前記スライダーが前記ハンドルと一体に形成されている請求項1,2または3に記載の給電コネクタ。
【請求項5】 前記スライダーが前記コネクタ本体と一体に形成されている請求項1,2または3に記載の給電コネクタ。
【請求項6】 前記スライダーは周壁に直径方向の軸孔を有し、前記レバーの作用部は先端に前記スライダーを挟み込む二股状に分岐形成された一対の支持片を有すると共に該支持片はスライダー周壁の前記軸孔に対応する軸孔を有し、れ、該一対の支持片でスライダを挟み込んだ状態でそれぞれ支持片側の軸孔からスライダー側の軸孔に先端部に細溝を周設したピンを挿着し、該支持片とスライダー外周の間から該細溝にストップリングを嵌着してなる請求項1,2,3または4に記載の給電コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図15】
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【図16】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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