説明

給電システムおよび給電システムの制御方法

【課題】自然エネルギーを利用した発電による電力の変動によらずに経済的な運用を行う制御を単純化することができる給電システムおよび給電システムの制御方法を提供する。
【解決手段】給電システム1は、第1の発電システム10と、前記第1の発電システムに比べ、自然環境に応じた発電量の変動が大きい第2の発電システム20と、充放電可能な蓄電部30と、が負荷80に接続され、負荷80の消費電力と第1の発電システム10の発電電力との比較に基づいて、蓄電部30の充放電を制御するとともに、蓄電部30の蓄電量に応じて、第1の発電システム10の発電電力を制御する制御部(40,50)を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムおよび給電システムの制御方法に関するものである。より詳細には、本発明は、負荷に電力供給する給電部を複数備える給電システム、および、このような給電システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料の有しているエネルギーを直接電気エネルギーに変換するものとして、燃料電池が知られている。燃料電池は、電解質層を挟んで燃料極と空気極の一対の多孔質電極を配置するとともに、燃料極に水素を、空気極に酸素を接触させた構造が一般的である。このような構造の燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させて、発電を行うようになっている。
【0003】
太陽光発電等の自然エネルギーを利用した発電システムにおいては、自然環境によって発電能力が変動する。しかしながら、燃料電池は、燃料および空気が供給されている限りにおいて、安定して電気エネルギーを供給することができる。このため、燃料電池を利用して、停電時など自家発電を行う際に、電力系統(商用電源)との接続を遮断した状態で発電する自立運転の機能に対応するための措置が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、負荷機器の消費電力に追従する運転(以下、単に「追従運転」という)を容易にする燃料電池システムが提案されている。この燃料電池システムは、原燃料を水素に改質する際に、部分酸化反応等の発熱反応を採用している。これにより、燃料電池本体の排ガスを、燃料改質部の加熱源として使用しないようにしている。この燃料電池システムは、燃料電池本体で、電力需要および熱需要に応じて、燃料改質部への原燃料の供給量および燃料電池本体の燃料利用率を変更することができる。
【0005】
また、最近では、停電時に電力系統から受電せずに自立運転が可能な燃料電池を備えた給電システムと、家庭内の負荷機器とを制御するHEMS(Home Energy Management System)が研究されている。このようなHEMSにおいて、家庭内の負荷機器の消費電力よりも大きな余剰電力を予め燃料電池に発電させておき、その余剰分の電力を、家庭内の適切な負荷に消費させる制御を行うものも提案されている。このようなHEMSによれば、燃料電池の負荷追従性能の低さをある程度向上させることができるとともに、余剰電力を適切に消費することで、停電時においてもある程度快適な環境を作り出せることが期待できる。
【0006】
一方、太陽光発電は、上述したように、ソーラパネルの設置場所や日照時間などの自然環境によって発電能力が変動するが、太陽光がある限り実質的に無尽蔵に発電することができるエネルギーとして注目されている。また、太陽光発電装置を例えば一般家庭などに設置して発電を行って余剰電力が発生した場合、所定の条件のもと、当該余剰電力を電力系統に売電することができる。
【0007】
このようにして電力系統に売電する電力は、比較的高く売電することができる。したがって、燃料電池発電および太陽光発電の双方を利用すれば、燃料電池で発電した電力を負荷機器に供給する一方、太陽光発電した電力を系統に売電して、その売電したコストを燃料電池の燃料の費用に充当するという経済的な運用を行うことができる。
【0008】
また、上述したような燃料電池を利用した発電部および太陽光発電を利用した発電部に加えて、さらに蓄電池も組み合わせた給電システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−18781号公報
【特許文献2】特開2011−3449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、燃料電池および太陽電池を備える給電システムにおいて、太陽電池の発電量の変化および家庭内の負荷の変化に応じて燃料電池の発電量を制御しようとすると、一般的に、複雑な制御が必要となる。特に、燃料電池および太陽電池に加えて更に蓄電池も備えるシステムにおいて、太陽電池の発電量の変化および家庭内の負荷の変化に応じて、燃料電池の発電量および蓄電池の充放電を制御しようとすると、一層複雑な制御が必要となる。
【0011】
また、例えば特許文献2に記載の給電システムにおいては、蓄電池の電圧によって燃料電池の出力が制御され、太陽電池の出力の変動は燃料電池の出力によって吸収される。このような給電システムにおいては、太陽電池が発電する電力を効率的に売電することができず、経済的な運用を行うことは困難である。
【0012】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、自然エネルギーを利用した発電による電力の変動によらずに経済的な運用を行う制御を単純化することができる給電システムおよび給電システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する第1の観点に係る給電システムは、
第1の発電システムと、
前記第1の発電システムに比べ、自然環境に応じた発電量の変動が大きい第2の発電システムと、
充放電可能な蓄電部と、が負荷に接続される給電システムであって、
前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力との比較に基づいて、前記蓄電部の充放電を制御するとともに、前記蓄電部の蓄電量に応じて、前記第1の発電システムの発電電力を制御する制御部を備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記第1の発電システムは、インフラを介して提供されるエネルギーを電気に変換する発電システムであって、
前記第2の発電システムは、インフラを介さずに得られるエネルギーを電気に変換する発電システムであることが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を超える場合、前記第1の発電システムの発電電力を低減させるものであることが好ましい。
【0016】
また、前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回る場合、前記第1の発電システムの発電電力を増大させるものであることが好ましい。
【0017】
また、商用電源から供給される電力の買電価格を時間帯別に記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回る場合、商用電源から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯に、当該電力によって前記蓄電部が充電されるように制御するものであることが好ましい。
【0018】
また、前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部が充電も放電もされないように制御するものであることが好ましい。
【0019】
また、前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回ったら、商用電源からの電力によって前記蓄電部が充電されるように制御するものであることが好ましい。
【0020】
また、商用電源から供給される電力の買電価格を時間帯別に記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回ったら、商用電源から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯に、当該電力によって当該蓄電部が充電されるように制御するものであることが好ましい。
【0021】
また、前記第2の発電システムが発電中か否かを判定する判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合に、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回っても、前記第2の発電システムが発電中であると前記判定部が判定する場合は、商用電源からの電力によって前記蓄電部が充電されないように制御するものであることが好ましい。
【0022】
また、上記目的を達成する第2の観点に係る給電システム制御方法は、
第1の発電システムと、
前記第1の発電システムに比べ、自然環境に応じた発電量の変動が大きい第2の発電システムと、
充放電可能な蓄電部と、が負荷に接続される給電システムの制御方法であって、
前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力との比較に基づいて、前記蓄電部の充放電を制御するとともに、前記蓄電部の蓄電量に応じて、前記第1の発電システムの発電電力を制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、自然エネルギーを利用した発電による電力の変動によらずに経済的な運用を行う制御を単純化することができる給電システムおよび給電システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る給電システムにおける充放電制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る給電システムにおける燃料電池の発電量制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る給電システムにおける充放電制御の処理の他の例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る給電システムにおける充放電制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る給電システムにおける燃料電池の発電量制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【図9】第3実施形態に係る給電システムにおける充放電制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による給電システムは、負荷に電力供給する給電部を複数、すなわち、第1の発電システム、第2の発電システム、および蓄電部、を備えるものである。
【0026】
本発明において、第1の発電システムは、インフラを介して提供されるエネルギーを電気に変換することができるものとする。インフラを介して提供されるエネルギーとは、例えばガス等とすることができる。一般的に、このようなエネルギーは、供給業者から購入することができるものである。また、このようなエネルギーを電気に変換したものは、一般的に電力会社に売電することはできない。以下説明する実施形態においては、本発明による第1の発電システムは、典型的な例である燃料電池システムとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、第2の発電システムは、インフラを介さずに得られるエネルギーを電気に変換することができるものとする。インフラを介さずに得られるエネルギーとは、例えば太陽光、風力、水力などとすることができる。一般的に、このようなエネルギーは、供給業者から購入することなく自然界から直接得ることができるものであって、費用はかからないものの、第1の発電システムに比べ、天候等の環境に応じ、発電量の変動が大きくなってしまう、という特色を有する。また、このようなエネルギーを電気に変換したものは、一般的に電力会社に売電することができるものとする。以下説明する実施形態においては、本発明による第1の発電システムは、典型的な例である太陽電池システムとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る給電システム1は、燃料電池システム10、太陽電池システム20、蓄電部30、充放電制御部40、およびシステム制御部50を含んで構成される。給電システム1においては、図1に示すように、第1の発電システムである燃料電池システム10と、第2の発電システムである太陽電池システム20と、蓄電部30とが、負荷80に接続される。
【0031】
燃料電池システム10は、外部から供給された水素および酸素などのガスを電気化学反応させる燃料電池によって発電を行い、発電した電力を供給することができる。本実施形態において、燃料電池システム10は、燃料電池が起動した後は、電力系統からの電力を受けずに稼動する、すなわち自立運転することが可能であるものであってもよい。本実施形態において、燃料電池システム10は、自立運転することができるように、改質部など他の機能部も必要に応じて含むものとする。
【0032】
図1に示すように、燃料電池システム10が発電した電力は、負荷80に供給することができる。負荷80は、給電システム1から電力を供給される、ユーザが使用する家電機器などの機器の総称である。
【0033】
太陽電池システム20は、太陽光を利用して発電する。このため、太陽電池システム20は、太陽電池を備えており、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する。本実施形態において、太陽電池システム20は、例えば家の屋根などにソーラパネルを設置して、太陽光を利用して発電するような態様を想定している。しかしながら、本発明において、太陽電池システム20は、太陽光のエネルギーを電力に変換できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0034】
図1に示すように、太陽電池システム20は、商用電源(電力系統)90に接続されている。すなわち、太陽電池システム20は、系統連系されるようにする。また、太陽電池システム20が発電した電力は、電力系統に売電することができる。
【0035】
蓄電部30は、蓄電池を備えており、この蓄電池に充電された電力を放電することにより、電力を供給することができる。また、蓄電部30は、商用電源90または燃料電池システム10等から供給される電力を充電することもできる。図1に示すように、蓄電部30から放電される電力も、負荷80に供給することができる。
【0036】
充放電制御部40は、蓄電部30の充電および放電を制御する。また、充放電制御部40は、蓄電部30の蓄電量を測定して、その測定結果をシステム制御部50に通知する。これにより、システム制御部50は、蓄電部30の蓄電量を把握することができる。
【0037】
システム制御部50は、給電システム1の各機能部を制御することにより、給電システム1の全体を制御および管理する。特に、本実施形態において、システム制御部50は、充放電制御部40を介して蓄電部30の充放電を制御するとともに、燃料電池システム10の発電電力を制御する。したがって、本実施形態において、充放電制御部40およびシステム制御部50は、本発明による制御部を構成する。図1においては、システム制御部50が充放電制御部40および燃料電池システム10を制御するための制御ラインを、破線によって示してある。
【0038】
電流測定部60は、燃料電池システム10が発電する電力を測定して、その測定結果をシステム制御部50に通知する。電流測定部60は、例えばカレントトランスなどによって構成することができるが、燃料電池システム10が発電する電力を測定することができるセンサ等であれば、任意のものとすることができる。これにより、システム制御部50は、燃料電池システム10が発電する電力を把握することができる。また、電力測定部70は、負荷80による消費電力を測定して、その測定結果をシステム制御部50に通知する。電力測定部70も、負荷80による消費電力を測定することができるセンサ等であれば、任意のものとすることができる。これにより、システム制御部50は、負荷80による消費電力を把握することができる。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態に係る給電システム1による処理を説明する。
【0040】
図2は、給電システム1における充放電制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【0041】
本実施形態において、図2に示す充放電制御の処理が開始されるに際し、システム制御部50は、電流測定部60によって、燃料電池システム10の発電電力を把握しているものとする。一般的に、燃料電池による発電においては、俊敏な負荷追従は容易ではない。しかしながら、本実施形態においては、燃料電池システム10の発電電力を制御するものの、後述するように、比較的長期的な期間において発電電力を増減させる制御を行うのみであり、俊敏な負荷追従は必要でない。したがって、本実施形態において用いられる燃料電池システム10は、例えばユーザがエアコンなどの負荷機器のスイッチをオン/オフする際のような俊敏な負荷追従に対応していない燃料電池でも用いることができる。
【0042】
図2に示す充放電制御の処理が開始されると、システム制御部50は、負荷80による消費電力を測定するように電力測定部70を制御する(ステップS11)。これにより、システム制御部50は、負荷80による現在の消費電力を把握する。
【0043】
ステップS11において負荷80による消費電力が測定されたら、システム制御部50は、負荷80による消費電力の大きさと、燃料電池システム10の発電電力の大きさとを比較する(ステップS12またはステップS14)。ステップS12において負荷80による消費電力よりも燃料電池システム10の発電電力の方が大きい場合、システム制御部50は、その差分すなわち余剰分となる電力が蓄電部30に充電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS13)。
【0044】
一方、負荷80による消費電力の方が燃料電池システム10の発電電力よりも大きい場合(ステップS14)、システム制御部50は、その差分すなわち不足分となる電力が蓄電部30から放電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS15)。また、ステップS12およびステップS14において、負荷80による消費電力と燃料電池システム10の発電電力とが同じ大きさの場合、システム制御部50は、蓄電部30が充電も放電もされないように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS16)。
【0045】
このように、本実施形態において、充放電制御部40およびシステム制御部50は、負荷80の消費電力と第1の発電システムである燃料電池システム10の発電電力との比較に基づいて、蓄電部30の充放電を制御する。したがって、本実施形態による給電システム1は、非常に単純な制御によって運用することができる。また、本実施形態においては、第2の発電システムである太陽電池システム20の発電電力を測定する必要はない。さらに、本実施形態においては、第2の発電システムである太陽電池システム20の発電電力は、その多少によらず、全てを商用電源(電力系統)90に売電することができる。このため、本実施の形態による給電システム1によれば、経済的な運用を簡単に行うことができる。
【0046】
図3は、給電システム1における燃料電池の発電量制御の処理の例を説明するフローチャートである。
【0047】
図2で説明した本実施形態による充放電制御の処理においては、負荷80の変化に応じて蓄電部30の充放電を制御するための処理を行う必要があった。したがって、負荷80の変化に追従するように、比較的短期的な期間において蓄電部30の充放電を制御する必要があった。一方、本実施形態において、システム制御部50は、蓄電部30の蓄電量に応じて、第1の発電システムである燃料電池システム10の発電電力を制御する。しかしながら、本実施形態において、システム制御部50は、比較的長期的な期間において発電電力を増減させる制御を行うようにするのが好適である。これにより、給電システム1においては、負荷追従性が高くない燃料電池でも採用することができ、使用する燃料電池のコストを低減させることが期待できる。
【0048】
本実施の形態においては、図2に示した処理と並行して図3に示す処理を行う。しかしながら、図3に示す処理と、図2に示した処理とでは、処理を行うサイクル(頻度)を異なるものとするのが好適であり、以下に説明する図3に示す処理は、図2に示した処理ほどの頻度で行う必要はない。
【0049】
図3に示す燃料電池の発電量制御の処理が開始されると、システム制御部50は、蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS21)。本実施形態においては、蓄電部30の蓄電量の瞬時値ではなく、所定期間における平均値が、所定の閾値を超えたか否かを判断する。したがって、この所定期間というのは、あまり短すぎる時間を設定しないようにするのが好適であり、例えば1分または10分のような時間を設定することができる。また、ここで、所定の閾値は、蓄電部30がこのまま充電され続けると過充電になると見込まれる充電量の値を予め設定しておく。
【0050】
ステップS21において蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を超えた場合、システム制御部50は、燃料電池システム10の発電電力を低減させるように制御する(ステップS22)。
【0051】
一方、ステップS21において蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を超えていない場合、システム制御部50は、蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回ったか否かを判定する(ステップS23)。この所定期間は、ステップS21において説明したものと同様のものとすることができる。また、所定の閾値は、蓄電部30がこのまま放電され続けると蓄電量が不足して負荷80の消費電力を賄いきれなくなると見込まれる充電量の値を予め設定しておく。
【0052】
ステップS23において蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回った場合、システム制御部50は、燃料電池システム10の発電電力を増大させるように制御する(ステップS24)。また、ステップS23において蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回っていない場合、システム制御部50は、燃料電池の発電量制御の処理を終了する。
【0053】
このように、本実施形態による給電システム1は、燃料電池システム10の発電電力を増減させる制御を行うものの、負荷追従の制御に比べてかなり長期的な視野における制御になる。したがって、本実施の形態による給電システム1によれば、経済的な運用を行う制御を単純化することができる。
【0054】
次に、第1実施形態の変形例を説明する。
【0055】
図4は、給電システム1における充放電制御の処理の変形例を説明するフローチャートである。第1実施形態の変形例は、図2で説明した給電システム1における充放電制御の処理に変更を施すものである。
【0056】
図4に示すように、第1実施形態の変形例では、ステップS14において負荷80による消費電力と燃料電池システム10の発電電力とが同じ大きさの場合、システム制御部50は、蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回ったか否かを判定する(ステップS31)。ここで、所定の閾値は、図3で説明した閾値と同様に、蓄電部30がこのまま放電され続けると蓄電量が不足して負荷80の消費電力を賄いきれなくなると見込まれる充電量の値として設定してもよいし、他の値を予め設定してもよい。
【0057】
ステップS31において蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回ったと判定された場合、システム制御部50は、商用電源90から買電した電力によって蓄電部30が充電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS32)。一方、ステップS31において蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回ったと判定されない場合、システム制御部50は、充放電制御の処理を終了する。
【0058】
このように、本実施形態の変形例による給電システム1は、蓄電部30が放電され続けたことにより蓄電量が不足して負荷80の消費電力を賄いきれなくなるリスクを低減することができる。
【0059】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0060】
図5は、本発明の第2実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【0061】
図5に示す給電システム2が、図1に示した給電システム1と異なるのは、給電システム2においては、システム制御部50に記憶部120が接続されているところである。記憶部120は、例えばフラッシュメモリなどのメモリにより構成され、各種の情報を記憶することができる。特に、本実施形態では、記憶部120は、商用電源90から供給される電力の買電価格を、カレンダー、時間帯別に記憶する。カレンダー、時間帯別の電力の買電価格の情報は、予め記憶部120に記憶された情報としてもよいし、外部から例えばネットワークなどを通じて最新の情報を入手することにより、随時更新されるようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、システム制御部50は、現在日時を取得できるものとする。このために、システム制御部50は、自ら時計機能を内蔵するようにしてもよいし、または外部から現在日時が報知されるようにすることもできる。したがって、本実施形態では、システム制御部50は、記憶部120に記憶された情報を読み出すことにより、現在日時において、商用電源90から供給される電力の買電価格を把握することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係る給電システム2による処理を説明する。
【0064】
図6は、給電システム2における充放電制御の処理を説明するフローチャートである。第2実施形態における充放電制御の処理は、図4で説明した給電システム1の変形例における充放電制御の処理に変更を施すものである。
【0065】
図6に示すように、第2実施形態では、ステップS14において負荷80による消費電力と燃料電池システム10の発電電力とが同じ大きさで、ステップS31において蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回った場合、ステップS41の処理を行う。
【0066】
ステップS41では、システム制御部50は、現在日時が、商用電源90から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯であるか否かを判定する。ここで、電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯とは、例えば、商用電源90から供給される電力の買電価格が他の時間帯に比べて最も安価になる時間帯などとすることができる。また、所定の価格とは、例えば、太陽電池システム20の発電電力の売電価格、および燃料電池システム10の発電に要するインフラを介して提供されるエネルギーの購入価格などを考慮して、給電システム2の経済的な運用ができる価格を設定し、記憶部120に記憶する。設定する所定の価格情報は、予め記憶部120に記憶された情報としてもよいし、外部から例えばネットワークなどを通じて最新の情報を入手することにより、随時更新されるようにしてもよい。
【0067】
ステップS41において、現在日時が、電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯である場合、システム制御部50は、商用電源90から買電した電力によって蓄電部30が充電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS32)。一方、ステップS31において蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回ったと判定されない場合、または、ステップS41において、現在日時が、電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯でない場合、システム制御部50は、充放電制御の処理を終了する。
【0068】
図7は、給電システム2における燃料電池の発電量制御の処理の例を説明するフローチャートである。第2実施形態における燃料電池の発電量制御の処理は、図3で説明した給電システム1における燃料電池の発電量制御の処理に変更を施すものである。
【0069】
図7に示すように、第2実施形態では、ステップS23において蓄電部30の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回った場合、ステップS51の処理を行う。ステップS51では、システム制御部50は、現在日時が、商用電源90から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯であるか否かを判定する。ここで、所定の価格とは、図6において説明した所定の価格と同じものとすることができる。特に、本実施形態による燃料電池の発電量制御の処理においては、所定の価格よりも安いか否かを、燃料電池システム10の発電に要するインフラを介して提供されるエネルギーの購入価格を基準として設定することができる。
【0070】
ステップS51において、現在日時が、電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯である場合、システム制御部50は、商用電源90から買電した電力によって蓄電部30が充電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS52)。一方、ステップS51において、現在日時が、電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯でない場合、システム制御部50は、燃料電池システム10の発電電力を増大させるように制御する(ステップS24)。
【0071】
このように、本実施形態による給電システム2は、単純な処理によって、一層経済的な運用が期待できる。
【0072】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0073】
図8は、本発明の第3実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【0074】
図8に示す給電システム3が、図1に示した給電システム1と異なるのは、給電システム3は、第2の発電システムであるである太陽電池システム20が発電中か否かを判定する判定部130をさらに備えているところである。
【0075】
判定部130は、太陽電池システム20が現在発電を行っているか否かを判定して、その判定結果をシステム制御部50に通知する。判定部130は、太陽電池システム20が発電を行っているか否かを判定することができるセンサ等であれば、任意のものとすることができる。また、判定部130は、太陽電池システム20が発電を行っているか否かのみ判定できればよく、発電電力を測定する必要はない。したがって、判定部130は、高い測定精度が求められるものではなく、簡単な構成のものとすることができる。これにより、システム制御部50は、太陽電池システム20が発電しているか否かを把握することができる。
【0076】
次に、本発明の第3実施形態に係る給電システム3による処理を説明する。
【0077】
図9は、給電システム3における充放電制御の処理を説明するフローチャートである。第3実施形態における充放電制御の処理は、図4で説明した給電システム1の変形例における充放電制御の処理に変更を施すものである。
【0078】
図9に示すように、第3実施形態では、ステップS14において負荷80による消費電力と燃料電池システム10の発電電力とが同じ大きさで、ステップS31において蓄電部30の蓄電量が所定の閾値を下回った場合、ステップS61の処理を行う。ステップS61では、システム制御部50は、判定部130を介して、太陽電池システム20が現在発電を行っているか否かを判定する。
【0079】
ステップS61において太陽電池システム20が現在発電を行っていると判定された場合、システム制御部50は、本実施形態による燃料電池の発電量制御の処理を終了する。
すなわち、この場合、システム制御部50は、商用電源90からの電力によって蓄電部30が充電されないように、充放電制御部40を介して制御する。一方、ステップS61において太陽電池システム20が現在発電を行っていないと判定された場合、システム制御部50は、商用電源90から買電した電力によって蓄電部30が充電されるように、充放電制御部40を介して制御する(ステップS32)。
【0080】
このように、本実施形態による給電システム3は、太陽電池システム20が発電を行っている場合には、商用電源90からの電力によって蓄電部30が充電されない。したがって、太陽電池システム20が発電を行っている最中は、常に発電電力を商用電源90に売電することができ、一層経済的な運用が期待できる。
【0081】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせて実施することもできる。
【0082】
また、上述した各実施形態において、負荷80による消費電力の大きさの所定期間における平均値と、蓄電部30の蓄電量とに基づいて、第1の発電システムである燃料電池システム10の発電電力を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,2,3 給電システム
10 燃料電池システム
20 太陽電池システム
30 蓄電部
40 充放電制御部
50 システム制御部
60 電流測定部
70 電力測定部
80 負荷
90 商用電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発電システムと、
前記第1の発電システムに比べ、自然環境に応じた発電量の変動が大きい第2の発電システムと、
充放電可能な蓄電部と、が負荷に接続される給電システムであって、
前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力との比較に基づいて、前記蓄電部の充放電を制御するとともに、前記蓄電部の蓄電量に応じて、前記第1の発電システムの発電電力を制御する制御部を備えることを特徴とする、給電システム。
【請求項2】
前記第1の発電システムは、インフラを介して提供されるエネルギーを電気に変換する発電システムであって、
前記第2の発電システムは、インフラを介さずに得られるエネルギーを電気に変換する発電システムである
ことを特徴とする、請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を超える場合、前記第1の発電システムの発電電力を低減させる、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回る場合、前記第1の発電システムの発電電力を増大させる、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項5】
商用電源から供給される電力の買電価格を時間帯別に記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記蓄電部の蓄電量の所定期間における平均値が所定の閾値を下回る場合、商用電源から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯に、当該電力によって前記蓄電部が充電されるように制御する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部が充電も放電もされないように制御する、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回ったら、商用電源からの電力によって前記蓄電部が充電されるように制御する、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項8】
商用電源から供給される電力の買電価格を時間帯別に記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回ったら、商用電源から供給される電力の買電価格が所定の価格よりも安い時間帯に、当該電力によって当該蓄電部が充電されるように制御する、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項9】
前記第2の発電システムが発電中か否かを判定する判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力とが等しい場合に、前記蓄電部の蓄電量が所定の閾値を下回っても、前記第2の発電システムが発電中であると前記判定部が判定する場合は、商用電源からの電力によって前記蓄電部が充電されないように制御する、請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項10】
第1の発電システムと、
前記第1の発電システムに比べ、自然環境に応じた発電量の変動が大きい第2の発電システムと、
充放電可能な蓄電部と、が負荷に接続される給電システムの制御方法であって、
前記負荷の消費電力と前記第1の発電システムの発電電力との比較に基づいて、前記蓄電部の充放電を制御するとともに、前記蓄電部の蓄電量に応じて、前記第1の発電システムの発電電力を制御する制御ステップを含むことを特徴とする、給電システム制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115871(P2013−115871A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257817(P2011−257817)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】