説明

給電装置、および給電方法

【課題】マンションなどの共有スペースに設置し、特定多数の利用者による共用に適した給電装置を提供する。
【解決手段】ステップS1で、利用者が提示するICカードに基づき認証処理を行い、ステップS2で、正規の利用者IDであることが確認できた場合、ステップS3で、給電制限を解除し、ステップS4で、電気自動車2への電力供給を開始する。この給電の間、ステップS5で供給した電力量(給電量)、電流値などを測定する。そして、ステップS6で、充電完了と判定された場合、ステップS7に進み、給電日時および給電量を含む利用情報が利用者IDとともに暗号化されて管理装置に送信させる。本発明は、例えば、マンションなどの共有スペースに設置される電気自動車などに対する充電システムに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置、および給電方法に関し、特に、例えば、マンションのような集合住宅に付随して、電気自動車に対して充電可能な給電装置をその居住者たちが共用する場合に用いて好適な給電装置、および給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、エンジンとモータを備えたハイブリッド自動車が販売されており、今後は電気自動車の普及も見込まれている。電気自動車に対する充電は、普及の初期段階においては例えば現状のGS(Gas Station)などに専用の給電装置を設けて行うことが想定されている。その後、より普及が進むと充電可能な場所(施設)は増加し、例えば家庭用商用電源のコンセントからも充電が行えるようになることが想定される。
【0003】
このように、電気自動車に対しさまざまな場所において充電可能になると、その利用者に対して適切に課金できる方法を確立する必要が生じる。
【0004】
例えば、特許文献1には、給電装置に接続し、利用者を特定するための識別情報を通知した後に給電を受けることができるモバイルコンセントなどの発明が記載されている。当該発明によれば、課金すべき利用者を特定して課金することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−325357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明の場合、利用者の全てがそれぞれ自分専用のモバイルコンセントを利用する必要があるなど、本願発明が想定する以下の利用環境に最適であるとはいえない。
【0007】
すなわち、本願発明では、例えば、マンションなどに付随して設けられている共有スペースとしての駐車場に、電気自動車に対して充電可能な給電装置を設けて、マンションなどの居住者がこれを共用するような利用環境を想定している。
【0008】
上述したように、マンションなどの共有スペースに共用の給電装置を設けた場合、設置場所特有の以下に列挙するような要求を満たす必要がある。例えば、
共用の給電装置をマンションの居住者以外の人に無断で使用させたくない(居住者または居住者が認めた来客に対してだけ使用させたい)。
共用の給電装置を利用した居住者に対してだけ、その利用の程度の応じて公平に費用(電気代、メンテナンス代など)を負担させたい。
共用の給電装置が電気自動車の様々な車種に対応できるようにしたい(電気自動車側に特別な構成を要求しない)。
居住者が共用の給電装置を利用した情報を、マンションに既存の管理システムや防犯システムと共有したい。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、マンションなどの共有スペースに設置し、特定多数の利用者による共用に適した給電装置を提供できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面である給電装置は、バッテリに対する充電機能を有する所定の電気装置に対して給電を行う給電装置において、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する第1の取得手段と、取得された利用者識別情報を認証手段に送信する通信手段と、所定の電気装置に対して電力を供給する供給手段と、所定の電気装置に対する給電を制限する制限手段と、認証手段による認証結果に基づき、制限手段による給電制限を解除する解除手段と、所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報を生成する生成手段とを含む。
【0011】
本発明の一側面である給電装置においては、利用者を識別するための利用者識別情報が取得され、取得された利用者識別情報が認証手段に送信され、認証手段による認証結果に基づき、制限手段による給電制限が解除され、さらに、所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報が生成される。
【0012】
したがって、予め登録されている利用者に対してだけ給電装置を共用させることができる。また、生成された利用情報に基づいて、利用者に対して公平に課金することができる。
【0013】
なお、認証手段は、給電装置の外部に設けてもよいし、給電装置の内部に設けてもよい。
【0014】
通信手段は、生成された利用者情報を暗号化して管理装置に送信するようにすすることができる。この通信手段は、有線通信であっても無線通信であってもよい。より具体的には、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth、PLC(Power Line Communication)、電話回線、携帯電話回線などを用いることができる。
【0015】
制限手段は、供給手段の内部に設けられた給電遮断用のリレーとすることができる。これにより、電力の出力を停止することができる。
【0016】
また、制限手段は、給電装置と所定の電気装置を接続するための給電ケーブルが給電装置に接続されることを物理的に制限する遮蔽物とすることができる。これにより、給電ケーブルの不正な接続を防止したり、接続されている給電ケーブルが抜き取られたり差し替えられたりすることを防止することができる。
【0017】
また、給電装置は、利用者または所定の電気装置の少なくとも一方を撮像し、撮像結果としての画像データを生成する撮像手段をさらに含むことができ、認証手段は、利用者識別情報および画像データに基づいて認証処理を行うようにすることができる。これにより、例えば、利用者識別情報を用いた認証が所定回数を超えた利用者に対しては、顔認証だけで給電装置の利用を許可するようにすることができる。
【0018】
取得手段は、ICカードまたは住戸の鍵に記録されている利用者識別情報を取得するようにすることができる。住戸の鍵に利用者識別情報を記録しておくようにした場合、利用者は、給電装置用のICカードを携帯する必要がなく、通常携帯している住戸の鍵を給電時に用いることができる。
【0019】
また給電装置は、給電中の所定の電気装置から、所定の電気装置を識別するための装置識別情報を取得する第2の取得手段をさらに含み、通信手段は、取得された装置識別情報も管理装置に送信するようにすることができる。これにより、所定の電気装置毎の利用情報を個別に管理することができる。
【0020】
所定の電気装置は、電気自動車とすることができる。
【0021】
本発明の一側面である給電方法は、バッテリに対する充電機能を有する所定の電気装置に対して給電を行う供給手段と、所定の電気装置に対する給電を制限する制限手段とを備える給電装置の給電方法において、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する取得ステップと、取得された利用者識別情報を認証手段に送信する通信ステップと、認証手段による認証結果に基づき、制限手段による給電制限を解除する解除ステップと、所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報を生成する生成ステップとを含む。
【0022】
本発明の一側面である給電方法においては、利用者を識別するための利用者識別情報が取得され、取得された利用者識別情報が認証手段に送信され、認証手段による認証結果に基づき、制限手段による給電制限が解除される。さらに、所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報が生成される。
【0023】
したがって、予め登録されている利用者に対してだけ給電装置を共用させることができる。また、生成された利用情報に基づいて、利用者に対して公平に課金することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、マンションなどの共有スペースに設置し、特定多数の利用者による共用に適した給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した自動車充電システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明を適用した給電装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の管理装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】電気自動車に設けられる充電装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】給電処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した自動車充電システムの構成例を示している。この自動車充電システム1は、例えば、マンションの駐車場や共有スペースなどに設置され、マンション居住者の電気自動車2に対してバッテリ充電用の電力を供給するものである。
【0028】
この自動車充電システム1は、複数の給電スペースPを有し、各給電スペースPにそれぞれ対応して設けられており電気自動車2に対して電力を供給する給電装置10、および各利用者の利用情報を管理する管理装置20から構成される。同図の場合、給電スペースPと給電装置10の数は、それぞれ3とされているが、当然ながらこの数は任意である。
【0029】
なお各給電スペースPおよび給電装置10は、例えば、地下駐車場に併設してもよいし、立体駐車場内に設けてもよい。
【0030】
給電装置10−1は、マンションの居住者である利用者(通常、給電スペースP1に駐車された電気自動車2の運転者)の利用者IDを取得して認証を終えた後、商用電源から取得した電力を、給電ケーブル31を介して電気自動車2に供給する。さらに、給電装置10−1は、利用日時、供給した電力量などを含む利用情報を管理装置20に送信する。なお、利用者IDや利用者情報などの管理装置10への送信時には、漏洩、改ざんなどを抑止するために暗号化することが望ましい。
【0031】
給電装置10−2および10−3については、給電装置10−1と同様であるので、その説明は省略する。以下、給電装置10−1乃至10−3を個々に区別する必要がない場合、単に給電装置10と称する。
【0032】
管理装置20は、例えば、マンションの管理室などに設けられ、給電装置10から送信される利用者IDを、予め保持する居住者データベース23(図3)に照会することにより、利用者が正規の利用者(当該マンションの居住者)であるか否かを判定し、判定結果を給電装置10に返信する。さらに、管理装置20は、給電装置10から送信される利用者の利用情報を、居住者の利用者IDに対応付けて居住者データベース23に登録する。ここで登録された利用情報は、利用者に対する課金額の算定に利用される。
【0033】
なお給電装置10と管理装置20との接続は、有線または無線のどちらでもよく、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth、PLC(Power Line Communication)、電話回線、携帯電話回線などを用いてもよい。
【0034】
電気自動車2は、給電装置10から給電ケーブル31を介して供給される電力を、内蔵するバッテリに充電する充電装置40(図3)が内蔵されているものとする。
【0035】
次に、図2は、本発明の一実施の形態である給電装置10の詳細な構成例を示している。
【0036】
給電装置10は、制御部11、UI部12、ICカード読み取り部13、撮像部14、通信部15、電力供給部16、給電プラグコネクタ17、コネクタ遮蔽部18、および車体情報取得部19から構成される。
【0037】
制御部11は、図示せぬメモリに記憶された制御用プログラムを実行することにより給電装置10の全体を制御する。また、制御部11は、電力供給部16から通知される給電量に基づき、給電日時および給電量を含む利用情報を生成し、利用者IDとともに通信部15に出力する。
【0038】
UI(User Interface)部12は、利用者からの操作入力を受け付けるとともに、利用者に対して各種の情報を提示する。
【0039】
ICカード読み取り部13は、電気自動車2に対する給電を要求する利用者が提示するICカードから、当該利用者を識別するための利用者IDを読み出して通信部15に出力する。
【0040】
ここで、利用者が提示するICカードは、各住戸の鍵などと同様、予めマンションの居住者に対して付与されているものとする。
【0041】
また、各住戸に対して1枚のICカードを付与するのではなく、例えば複数の電気自動車を保有する家族に対し、同一の利用者IDが記録された複数のICカードを付与するようにしてもよい。
【0042】
なお、利用者IDを記憶させたメモリチップを住戸の鍵や携帯電話などに内蔵するようにし、ICカードの代わりに利用できるようにしてもよい。また、例えば、住戸の鍵の形状を利用者IDに対応して加工するようにしてもよい。このように、住戸の鍵に、給電用のICカードとしての機能を付加することにより、居住者の利便性を向上させることができる。
【0043】
なお、ICカード読み取り部13がICカードや住戸の鍵から利用者IDを読み出す方法は任意である。接触式であっても非接触式であってもよい。例えば、非接触ICカードシステムを採用したり、あるいは、鍵穴のような形状をしていてもよい。
【0044】
撮像部14は、ICカードの利用者IDに加えて利用者の認証に用いる情報として、利用者の顔、給電スペースPに駐車された電気自動車2のナンバプレートなどを撮像し、その結果得られる画像データを通信部15に出力する。
【0045】
通信部15は、利用者の認証を管理装置20に実行させるため、ICカード読み取り部13で読み出された利用者IDを暗号化し、認証要求とともに管理装置20に送信する。また、通信部15は、利用者の認証を管理装置20に実行させるための補助情報、あるいは、給電先の電気自動車2を識別するための情報として、撮像部14で撮像される画像データや車体情報取得部19で取得される車体IDを暗号化して管理装置20に送信する。さらに、通信部15は、管理装置20から返信される認証結果を制御部11に出力する。
【0046】
またさらに、通信部15は、制御部11から入力される利用情報および利用者IDを暗号化して管理装置20に送信する。このように、利用情報を給電装置10の内部に保持することなく、管理装置20に暗号化して送信してしまうので、仮に給電装置10が破壊されたり、何らかの不正な操作が行われても、利用情報が不正に読み出されたり、改ざんされたりすることを抑止することができる。
【0047】
電力供給部16は、給電を遮断するためのリレーを内蔵しており、制御部11からの給電開始の指示に従い、図示せぬ商用電源から取得した電力を、給電プラグコネクタ17に接続される給電ケーブル31を介して電気自動車2に供給する。また、電力供給部16は、供給した電力量を測定し、測定結果(給電量)を制御部11に通知する。
【0048】
給電プラグコネクタ17は、挿着される給電ケーブル31のプラグ32を保持し、電力供給部16からの電力を、給電ケーブル31に出力する。また、給電プラグコネクタ17は、給電ケーブル31を介して伝送された情報を車体情報取得部19に出力する。
【0049】
コネクタ遮蔽部18は、給電プラグコネクタ17を覆う蓋を有しており、制御部11から制御に従って当該蓋を開放、または閉鎖することにより、給電プラグコネクタ17に対する給電ケーブル31のプラグ32の着脱を制限する。例えば、給電プラグコネクタ17に給電ケーブル31のプラグ32が挿着されていない状態において当該蓋を閉鎖すれば、給電プラグコネクタ17に給電ケーブル31のプラグ32が不正に挿着されることを抑止することができる。また、給電プラグコネクタ17に給電ケーブル31のプラグ32が挿着されている状態において当該蓋を閉鎖すれば、給電プラグコネクタ17から給電ケーブル31のプラグ32が不正に取り外されることを抑止することができる。
【0050】
車体情報取得部19は、給電プラグコネクタ17から入力される電気自動車2からの情報より車体IDを抽出して通信部15に出力する。また、車体情報取得部19は、当該情報より充電完了を示す通知を取得して制御部11に出力する。
【0051】
次に、図3は、管理装置20の詳細な構成例を示している。この管理装置20は、通信部21、認証部22、および居住者データベース(DB)23から構成される。
【0052】
通信部21は、給電装置10からの認証要求に応じ、送信された利用者IDを認証部22に出力する。また、通信部21は、認証部22から入力される認証結果を給電装置10に送信する。さらに、通信部21は、給電装置10から送信される、利用者の顔の画像データ、充電した電気自動車2のナンバプレートの画像データおよび車体IDなどを居住者データベース23に出力する。
【0053】
認証部22は、給電装置10から送信された利用者IDを居住者データベース23に照会することにより、当該利用者IDが正規のものであるか否かを判定し、この判定結果(認証結果)を通信部21に出力する。
【0054】
居住者データベース23には、当該マンションの居住者の情報が記録されている。具体的には、少なくとも、各住戸の部屋番号に対応付けて、給電装置10の利用するための付与済みの利用者IDが記録されている。さらに、居住者データベース23には、利用者IDに対応付けて、給電装置10の利用情報、利用者の顔の画像データ、充電した電気自動車2のナンバプレートの画像データおよび車体IDなどが記録される。
【0055】
居住者データベース23に記録された給電装置10の利用情報は、定期的に例えばマンションの管理会社などに提供されて、給電装置10に利用に対する課金の算出に利用される。算出されたか金額は、例えば、各住戸の管理費などとともに予め指定されている決済方法(金融機関の口座から引き落とし、クレジットカード払いなど)により決済される。
【0056】
なお、管理装置20に設けられている認証部22を給電装置10に設け、認証処理に際して給電装置10から管理装置20の居住者データベース23に照会するようにしてもよい。
【0057】
次に、図4は、電気自動車2に内蔵される充電装置40の構成例を示している。充電装置40は、ケーブル接続部41、電力取得部42、充電制御部43、バッテリ管理部44、バッテリ45、通信部46、車体ID保持部47から構成される。
【0058】
ケーブル接続部41は、その一端にプラグ32を備えて給電装置10に接続される給電ケーブル31の他端が接続される。電力取得部42は、ケーブル接続部41および給電ケーブル31を介して給電装置10から供給される電力を取得し、充電制御部43に出力する。充電制御部43は、バッテリ管理部44を制御してバッテリ45に対する充電を実行させる。また、充電制御部43は、バッテリ45に対する充電の完了を検知し、その旨を示す充電完了通知を通信部46に出力する。
【0059】
バッテリ管理部44は、例えば複数のセルから構成されるバッテリ45を効率的に充電する。バッテリ45は、電気自動車2を走行させるためのモータに対して電力を供給する。
【0060】
通信部46は、例えば車体ID保持部47から車体IDを取得し、取得した車体IDを示す情報を、給電ケーブル31を介して給電装置10に伝送する。また、通信部46は、充電制御部43からの充電完了通知を、給電ケーブル31を介して給電装置10に伝送する。
【0061】
なお、電気自動車2は、供給装置10に対応するための特別な構成は必要ない。したがって、この充電装置40も図4に示された全てが必須ではなく、例えば、車体ID保持部47や通信部46が省略されていてもよい。
【0062】
次に、自動車充電システム1の動作のうち、主に給電装置10による給電処理について、図5を参照して説明する。
【0063】
この給電処理は、例えば、利用者が電気自動車2を給電スペースPに駐車し、給電装置10のUI部12に設けられている給電開始ボタンなどを押下することに応じて開始される。あるいは、給電装置10が対応する給電スペースPに電気自動車2が駐車されたことを検知するようにし、電気自動車2の駐車が検知されたことに応じて開始するようにしてもよい。
【0064】
ステップS1において、ICカード読み取り部13は、制御部11からの制御に従い、利用者が提示するICカードから利用者IDを読み出して通信部15に出力する。通信部15は、制御部11からの制御に従い、ICカード読み取り部13からの利用者IDを暗号化し、認証要求とともに管理装置20に送信する。
【0065】
この認証要求に応じて、管理装置20の認証部22は、給電装置10から送信された利用者IDを居住者データベース23に照会することにより、当該利用者IDが正規のものであるか否かを判定し、この判定結果(認証結果)を通信部21に出力する。通信部21は、認証部22から入力される認証結果を給電装置10に送信する。
【0066】
ステップS2において、制御部11は、管理装置20からの認証結果が正規の利用者IDであることを示している場合、給電を開始するために処理をステップS3に進める。
【0067】
ステップS3において、制御部11は、給電制限を解除する。具体的には、コネクタ遮蔽部18を制御して、利用者が給電ケーブル31のプラグ32を給電プラグコネクタ17に挿着できるよう給電プラグコネクタ17を覆う蓋を開放させる。この開放に応じ、利用者は給電ケーブル31のプラグ32を給電プラグコネクタ17に挿着することにより、電気自動車2を給電ケーブル31を介して給電装置10に接続する。
【0068】
ステップS4において、電力供給部16は、制御部11からの制御に従い、給電ケーブル31を介する電気自動車2への電力供給を開始する。ここで、制御部11は、コネクタ遮蔽部18を制御して、給電ケーブル31のプラグ32が給電プラグコネクタ17に挿着された状態で給電プラグコネクタ17を覆う蓋を閉鎖させるようにしてもよい。これにより、給電ケーブル31のプラグ32を抜き取るいたずらや、不正に充電しようとする給電ケーブル31に差し替えを抑止することができる。
【0069】
ステップS5において、電力供給部16は、供給した電力量(給電量)、電流値などを測定する。また、ステップS5において、電気自動車2から車体IDを取得するようにしてもよい。ここで取得された車体IDは、同一の利用者IDを用いて充電された複数の電気自動車2のそれぞれに対する利用情報を区別して居住者データベース23に記憶する場合などに利用できる。
【0070】
ステップS6において、制御部11は、車体情報取得部19からの充電完了通知の有無に基づき、電気自動車2のバッテリ45の充電が完了したか否かを判定し、充電完了と判定するまで、処理はステップS5に戻される。なお、この判定に車体情報取得部19からの充電完了通知を用いず、電力供給部16における電流値に基づいて充電完了を判定してもよい。
【0071】
そして、ステップS6において、充電完了と判定された場合、処理はステップS7に進められる。ステップS7において、電力供給部16は、制御部11からの制御に従い、給電ケーブル31を介する電気自動車2への電力供給を終了し、測定した給電量を制御部11に通知する。制御部11は、給電日時および給電量を含む利用情報を生成し、利用者IDとともに暗号化して通信部15に出力し、管理装置20に送信させる。以上で、給電処理は終了される。
【0072】
なお、ステップS2において、管理装置20からの認証結果が正規の利用者IDであることを示していない場合、処理はステップS8に進められ、UI部12が、利用者に対して給電できない旨を通知する。そして、この給電処理は終了される。
【0073】
以上説明した給電処理によれば、正規利用者に対してだけ給電装置10を利用させることができる。また、給電装置10を利用したことを示す利用情報を管理装置20に保持することができる。
【0074】
なお、本実施の形態は、様々な変形例が考えられる。
【0075】
利用者の認証について
例えば、利用者IDに利用者の顔の画像データ(あるいは指紋などの生体識別情報)を対応付けて記憶しておいてもよい。これを利用し、例えば、居住者データベース23において、ICカードを提示して充電を行った回数が所定の回数を超えた場合、ICカードを提示しなくても、利用者の顔認証のみで充電可能とするようにしてもよい。これにより、ICカードの提示という面倒な作業を利用者に省略させることができる。
【0076】
また、ICカードが提示さえたときに利用者の顔を撮影するようにし、予め登録されている顔の画像データと同一人物であると確認できない場合、ICカードの利用者IDが正規のものであっても給電を許可しないようにしてもよい。これにより、例えば落としてしまったICカードが不正に利用されることを防止することができる。
【0077】
さらに、利用者IDに自動車の車体IDやナンバプレートの画像データを対応付けて記憶しておいてもよい。これを利用することにより、上述した利用者の顔の画像データを利用する場合と同様に、ICカードの提示を省略したり、不正に取得されたICカードの利用を防止することができる。
【0078】
給電装置10の利用について
例えば、居住者が自己に付与されているICカードを用いることにより、自宅住戸への来客の電気自動車に対して充電ができるようにしてもよい。この場合、居住者に対して給電に対する課金が行われるが、来客に課金するための支払い方法に関する情報を入力して、来客に対して課金するようにしてもよい。
【0079】
利用者への情報提供について
例えば、充電の進行状況、給電スペースの空き状況、駐車している電気自動車2の画像、充電毎の課金額などを利用者の住戸に設置された端末装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話などを用いて確認できるようにしてもよい。
【0080】
給電スペースPおよび給電装置10の設備について
給電スペースPおよび給電装置10の利用予約ができるようにし、予約した車以外が利用できないようにゲートなどを設けてもよい。また、給電ケーブル31が接続されている状態で電気自動車2が走行しないように、充電状況に応じて動作する車止めを設けてもよい。
【0081】
給電については、給電ケーブル31を介することなく、例えば磁力を用いた無線式給電としてもよい。
【0082】
また、通常よりも短時間で充電を終えることができる急速充電ができるようにしてもよい。その場合、通常の充電と急速充電との課金額を変えるようにしてもよい。
【0083】
また、コネクタ遮蔽部18による給電ケーブル31の抜き取り防止策の他、給電ケーブル31の振動を検知して警報を出力するようにしてもよい。
【0084】
さらに、給電装置10に、給電ケーブル31の収納庫を設け、充電開始時に給電ケーブル31を自動的に電気自動車2に接続し、充電終了時に給電ケーブル31を自動的に収納するようにしてもよい。
【0085】
給電スペースPおよび給電装置10が図1のように複数存在する場合、合計の電力使用量が所定の閾値を超えないように、複数の給電装置10間で充電タイミングを制御するようにしてもよい。
【0086】
さらに、電気自動車2以外(例えば、電動アシスト自転車、電動バイクなど)に充電できたり、マンション管理に関わる電気機器(防犯装置、録画装置など)にAC電源を供給できるようにしてもよい。
【0087】
本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0088】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 自動車充電システム
2 電気自動車
10 給電装置
11 制御部
12 UI部
13 ICカード読み取り部
14 撮像部
15 通信部
16 電力供給部
17 給電プラグコネクタ
18 コネクタ遮蔽部
19 車体情報取得部
20 管理装置
21 通信部
22 認証部
23 居住者DB
31 給電ケーブル
32 プラグ
40 充電装置
41 ケーブル接続部
42 電力取得部
43 充電制御部
44 バッテリ管理部
45 バッテリ
46 通信部
47 車体ID保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに対する充電機能を有する所定の電気装置に対して給電を行う給電装置において、
利用者を識別するための利用者識別情報を取得する第1の取得手段と、
取得された前記利用者識別情報を認証手段に送信する通信手段と、
前記所定の電気装置に対して電力を供給する供給手段と、
前記所定の電気装置に対する給電を制限する制限手段と、
前記認証手段による認証結果に基づき、前記制限手段による給電制限を解除する解除手段と、
前記所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報を生成する生成手段と
を含むことを特徴とする給電装置。
【請求項2】
取得された前記利用者識別情報を予め登録されている利用者データベースに照会することにより認証処理を行う前記認証手段を
さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記通信手段は、生成された前記利用者情報を暗号化して管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項4】
前記制限手段は、前記供給手段の内部に設けられた給電遮断用のリレーである
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項5】
前記制限手段は、前記給電装置と所定の電気装置を接続するための給電ケーブルが前記給電装置に接続されることを物理的に制限する遮蔽物である
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項6】
前記利用者または前記所定の電気装置の少なくとも一方を撮像し、撮像結果としての画像データを生成する撮像手段をさらに含み、
前記認証手段は、前記利用者識別情報および前記画像データに基づいて前記認証処理を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置。
【請求項7】
前記取得手段は、ICカードまたは住戸の鍵に記録されている前記利用者識別情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項8】
給電中の前記所定の電気装置から、前記所定の電気装置を識別するための装置識別情報を取得する第2の取得手段を
さらに含み、
前記通信手段は、取得された前記装置識別情報も前記管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項9】
前記所定の電気装置は、電気自動車である
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項10】
バッテリに対する充電機能を有する所定の電気装置に対して給電を行う供給手段と、
前記所定の電気装置に対する給電を制限する制限手段とを備える給電装置の給電方法において、
利用者を識別するための利用者識別情報を取得する取得ステップと、
取得された前記利用者識別情報を認証手段に送信する通信ステップと、
前記認証手段による認証結果に基づき、前記制限手段による給電制限を解除する解除ステップと、
前記所定の電気装置に対する給電量を含む利用情報を生成する生成ステップと
を含むことを特徴とする給電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−213497(P2010−213497A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58227(P2009−58227)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】