統合化されたプロトンビームおよび治療磁気共鳴治療の方法
時間領域の放射ビームの治療標的への変調された適用のステップと、放射ビームのエネルギーピークに関して位相外れ適用期間の間に、変調された磁気共鳴(MR)信号の時間領域の適用を治療標的に提供するステップとを含む治療処置の方法。前記放射ビームがプロトンビームを含み得る。前記放射ビームがX線ビームを含み得る。前記磁気MR信号が電子磁気共鳴(EMR)信号を含み得る。前記方法は前記治療標的に向けられた導電性トロイドによって前記MR信号を提供するステップを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は一般に、マイクロビームX線およびプロトン放射を、主として癌腫瘍処置のために実行する方法に関するが、核あるいは電子の磁気共鳴の電磁波の配列とインビボあるいはエクスビボで統合されて、そうでなければ所定の手順で要求されるX線あるいはプロトン放射のレベルを減少することによって、腫瘍内でのビーム効果を制限するものに関する。本発明はパーキンソン振せんの処置およびガンマナイフを有する他の用途に適用可能でもある。別の可能な効果的な用途は、プロトンビームが処置標的により効果的であるようなビームイオン移動である。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
手術、化学療法、および放射治療のようなものによる、悪性状態の伝統的な処置は多くの場合において、好ましい結果を示してきたが、一方ですべての場合に完璧に満足いくほどに効果的であることには失敗している。しかしながら、放射治療における歴史的かつ継続的な問題ならびに限界は、最大許容線量と許容できないレベルの標準組織の毒性が発生する線量との比として定義される、すなわち効果的な腫瘍制御のために要求される最小の線量を決定あるいは確立するための、いわゆる治療インデックスを最大化することであり続けた。この目的はしかしながら、中枢の神経系、肝臓の癌、および様々な形式の転移性腫瘍を含む様々な癌の処置において達成することが特に困難であることが証明されてきた。
【0003】
毒性の一般的な問題にもかかわらず、脊髄および脳の転移性腫瘍の処置比率は、伝統的な外科手術技術およびプロトンビーム治療を用いては、数年で目に見えるほどには改善されてきていない。これは悪性のCNS腫瘍に発射され得る線量が、標準の脳あるいは脊髄の放射に対する最大許容量によって制限されることによる。最近、治療目的のX線のマイクロビーム放射、グリッド放射、および空間細分化の概念が現れてきた。これは様々な臨床環境で、例えば前立腺癌の処置において有用であることがわかった。3次元イメージングはマイクロビーム放射と組み合わせて採用されることで、プロトン処置が過去におけるよりも、より有利に向けられることを可能にする。X線も、伝統的なX線が電荷および質量を欠くことにより、対象の組織の表面あるいは表面近くにそのエネルギーを消散する結果になり、癌の場所を越えて望まれないエネルギーを散乱する傾向もよりあるので、皮膚あるいは組織表面の悪性腫瘍の処置における解決策として不足していた。このエネルギー配置の望まれないパターンはプロトンビーム治療における問題でもあり、健康な組織への不必要なダメージになり得、医者が癌を効果的に制御するために十分な放射を用いることをしばしば妨げ得る。
【0004】
プロトンビーム戦略は、ドーパントの電子の殻の構造のために標的の組織によって吸収される標的の線量の総量を増す、造影剤を有する悪性な組織の処置あるいは投与を含み、この方法は一般にプロトン活性化治療として参照される。
【0005】
最近、2方向にインターレースされたマイクロビーム放射治療(BIMRT)(Methods for Implementing Microbeam Radiation TherapyというタイトルのDilmanianらに発行された特許文献1(2007)を参照)の概念が従来技術に現れた。Dilmanianの教示は、プロトンあるいはX線マイクロビームの交差のあるいは非交差の配列の使用、すなわち2つの空間的に別個のマイクロビーム進路の使用、好ましくは第3のマイクロビーム進路との併用の教示である。第1および第2のマイクロビーム進路は互いにインターリーブされ得、その一方で第3のマイクロビーム進路は第1および第2の進路に対して角度をなして回転され、横に移される。Dilmanianの教示および本発明者に知られた他の従来技術はしかしながらなお、電磁放射の単一形態の使用のものであり、しかしながら対象の腫瘍の「標的にする」ことをアシストするコントラストの使用の有り無しにかかわらず、互いに共同運転するビームあるいはマイクロビームの数は大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,194,063号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、様々な形式の既知のX線およびプロトンビーム治療を有する、核あるいは電子が共鳴する電磁共鳴のインビボかあるいはエクスビボかのどちらかでの(腫瘍接触に先立っての)同時使用の観点で、上記および他の既知の従来技術からの逸脱である。
【0008】
(本発明の概要)
本発明は核あるいは電子の磁気共鳴信号および標準のプロトンあるいはX線放射治療を有する、悪性組織の同時処置に関する。
【0009】
X線およびプロトンビーム治療の効果性を、その毒性を減少することで改善することが本発明の1つの目的である。
【0010】
ガンマナイフ手術の有用性および効果性を高めることが別の目的である。
【0011】
本発明の上記およびさらに別の目的ならびに利点が、ここにこれから示される以降の図の簡単な記載、本発明の詳細な記載、およびここに添付される特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は二重の散乱形式のプロトンビーム発射システムの概略図である。
【図2】図2は図1に示された形式のシステムのプロトンビーム治療に治療磁気共鳴(TMR)を結合する本発明の方法を示す概略図である。
【図3】図3は図1のシステムの線量制御アセンブリーのフローダイヤグラムの図であり、TMR信号の適用の、プロトンビームからの位相のずれを示す。
【図4】図4は図1から図3に示されているシステムの放射制御のフローダイヤグラムの図である。
【図5】図5は図2のものの代替的な実施形態の概略図であり、そこではTMRが、その磁場パターンを電気的なエネルギーに伝え、プロトンビームに磁気双極子スピンを伝え、結果としてプロトン源のプロトンへの磁気双極子モーメントを生成するために、エクスビボで適用される。
【図6】図6は本発明の方法のさらなる実施形態であり、そこではTMRが同軸の導波管に適用され、導波管の中でプロトンビームがその軸のガイドを介して発射され、こうして、治療の等角点に発射されるプロトンに磁気的なスピンが伝えられる。
【図7】図7は図3の左下に示される波を発生させるのに用いられる、システムの電子磁気共鳴(EMR)部分を備えるTMRを示すブロックダイヤグラムの図である。
【図8】図8は治療処置の等角点に適用され得るモジュールのブロックダイヤグラムの図である。
【図9】図9と図10はそれぞれ、健康な組織の共鳴ピークの波形である。
【図10】図9と図10はそれぞれ、健康な組織の共鳴ピークの波形である。
【図11】図11と図12はそれぞれ、本明細書の処置を必要とするような異常組織の信号およびスペクトル波形である。
【図12】図11と図12はそれぞれ、本明細書の処置を必要とするような異常組織の信号およびスペクトル波形である。
【図13】図13と図14はそれぞれ、治療標的への処置波の発射を示す信号およびEMRピークスペクトルのダイヤグラムである。
【図14】図13と図14はそれぞれ、治療標的への処置波の発射を示す信号およびEMRピークスペクトルのダイヤグラムである。
【図15】図15はEMRの組織インピーダンス測定アセンブリーのブロックダイヤグラムの図である。
【図16】図16はRFインターフェイスを有するEMR患者処置アセンブリーのブロックダイヤグラムの図である。
【図17】図17はEMRアセンブリーのPCからRFへのインターフェイスの図である。
【図18】図18は、電気的に充電された円錐形の導波管が、プロトン源から放射されたプロトンの速度を減じたり進路を変更するために用いられる、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
【図19】図19は、同軸の導波管が、放射されたプロトンの速度を電気的に減じたり進路を変更するために用いられる、図18の実施形態と同様の原理を用いた実施形態である。
【図20】図20は、電子ビームの周波数、方向、およびエネルギーを反映する螺旋形の形状を有するE×Bベクトルを提供し、プロトンビームの速度を減じ、その磁気的な特性を修正するために、電子ビームが源のビームの角度に対してある角度で提供される、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
【図21】図21は、プロトンビームの速度および進路を修正するための縦方向のキャパシターを用いる実施形態である。
【図22】図22は、EMRおよびプロトンビームアセンブリーが反対方向から標的に向けられる、さらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の詳細な説明)
図1の概略図を参照して、散乱法形式の典型的な従来技術のプロトンビーム発射システム21が示されている。この形式のシステムは、少なくとも2001年以降は知られているが、プロトン源20(本発明の背景を参照)、正確なプロファイルモニター22、バイナリー形式の第1の散乱面24、第2の散乱エレメント26、第1の線量モニター28、リッジフィルター30、およびレンジシフター32を含む。想像線は第2のエレメント26、第1の線量モニター28、およびリッジフィルター30の空間的な調整可能性を示す。プロトンビーム散乱の目的は、ビーム20を横断面内で広げ、治療標的エリアすなわち等角点34を広くすることである。システム全体の軸は放射軸36と同様である。第1の散乱面24の厚みおよび第2のエレメント26の材料は、システムによって発射される、典型的には125から250Mevの範囲内にあるそれぞれのエネルギーを制御する。レンジシフター32の次に、ビーム平坦性をモニターして標的50の等角点34において均一なエネルギーを得るための平坦性モニター38が続く。図2を参照。典型的に、最大使用可能放射場は直径20cmの円形領域であり、約30g/cm2の最大深さを有する。そのようなエネルギー調整を達成するために、リッジフィルター30が、0から約125mm水当量の範囲で各々1mmのステップサイズで処置深さにおけるシフトを達成するように用いられる。リッジフィルター30は、異なる厚みのバーを通過するプロトンが異なる処置深さにおいてブラッグピークを生成するように、金属バーの配列を用いている。
【0014】
平坦性モニター38の次にはコリメーター40、エネルギーモニター42、ボルス44(レンジ補償器)、および患者コリメーター46が続く。コリメーター40および46の機能は、横の面における最大プロトンエネルギーを、処置される腫瘍あるいは組織の構成に最良に適合するように向けることである。
【0015】
概略図的に図2に示されているものは図1のアセンブリー21全体であり、これはプロトンビーム源20、放射軸36、等角点34および処置標的50を含んでいる。図2の左下に横に示されているものが、治療標的50に向けられた治療磁気共鳴(TMR)信号アセンブリー53である。この入力が、本発明者の前記の米国出願第10/856,652号内で教示される電子磁気共鳴(EMR)あるいはより伝統的な形式の核磁気共鳴(NMR)の両方を含み得ることは、理解される。図2の概略図にトロイダルコイル52が示されており、電子は(以下でさらに十分に示されるように)時間領域基準でこのトロイダルコイルを通り過ぎ、これによってトロイドの軸に沿って時間領域および空間的な磁気信号を発生し、標的50において出力B(f(t))を生成する。システム21のプロトン出力20Aと、コイル52のEMR信号出力54との間の時間領域の関係が、図3のブロックダイヤグラム図に示される。そこから、本発明の顕著な局面が、TMRコイル52の結果としての磁気信号54の位相からオフセットされた時間領域の位相で、低減されたエネルギーのプロトンビーム20Aを提供することであることは、認識され得る。これは図3に示されるそれぞれの正弦パターンによって表わされ得、ここではプロトンビーム20AのエネルギーピークがTMRアセンブリー53の磁気信号出力54の位相から180度ずれた位相であり、結果としては、低減されたプロトンビームエネルギーがTMRアセンブリー53の負の期間あるいは停止期間中に用いられ得る。そして、TMRの本来の治療効果に起因して、逆も同様である(以下でおよび本発明者の前記の係属中の出願においてより十分に議論される)。プロトンエネルギーの低減されたレベルは、もし処置モードであればX線エネルギーと同様に、匹敵する治療結果あるいは改善された治療結果を達成するためにこのように要求され、追加の利点は標的領域における健康な組織へのダメージの低減である。
【0016】
認識され得るように、プロトンあるいはX線ビーム20Aの両方の多くの他の波形およびそれらの組み合わせ、あるいは1つの物理療法処置の信号から相対的に他の処置の信号への間の多くの他の間欠期間が、実験で当業者に明らかになる。
【0017】
図3は図1の線量制御アセンブリーのフローダイヤグラムである。
【0018】
図4に、図1から3を参照して示され記載されたシステムに対する典型的な放射制御センターが示されている。そこから、治療に先立って、図4に示されたプロセスフローに従って装置の放射パラメーターがセットされることが認識され得る。さらに具体的には、医用イメージデータベースは、先立つあるいは同時の磁気イマジニング(MRI)、コンピュータートモグラフィ(TC)、X線イメージング、リアルタイムデジタルラジオグラフィ(DR)、および処置計画機能からのイメージを含む。それはガンマナイフおよび定位的なイメージングも含み得る。放射データベースは計画データ、および加速器の放射の使用パラメーターを制御する。図4のフローダイヤグラムから、本発明を従来技術のものに統合するのに必要な制御が現代の電子技術および制御技術の観点から比較的明瞭であることは、容易に認識され得る。TMRアセンブリー51のブロックダイヤグラムが図7に示され、以下に記載される。組織内においてより多くのイオン移動を生成することによって、組織はより少ないパワーでより多くのビームエネルギーを吸収することができる。ガンマナイフ適用はナイフレスの脳手術を可能にし、144個のフォーカス穴を有するヘルメットを含み、その穴の中で3D定位イマジニングによって決められた中心点でX線あるいはプロトンビームが収束する。各ビームはそれ自体は弱いが、収束する場所では腫瘍を消滅させるに十分なほどに熱い。3Dイメージングは熱い収束点が腫瘍の輪郭をたどるのを可能にする。現在の技術に記載されているものと同じ、X線あるいはプロトンビームの様々な角度を用いて、これらのビームにTMRを適用したり、あるいは定位的な3Dイメージングを用いてTMRビームを導くことが可能である。
【0019】
図5に本発明(図2に示されたものの代替的な方法)の別の実施形態55が示されており、そこにはTMR発生器53Bによって発生させられたTMR波56が示されている。ここで、TMR波56はプロトンビーム20とエクスビボで相互干渉し、ビームを、ビーム20の電気的な特性と波56の磁気的な特性との間のE×Bベクトルの相互干渉の効力によってそこに引き起こされるTMR波56の特質を有するビーム20Bに修正する。このプロセスは、低減されたエネルギーのプロトンあるいはX線入力20の使用を可能にし、一方で、電子磁気共鳴治療あるいは核磁気共鳴治療の本来の治療利点に起因して、組織51の標的50において匹敵する治療結果あるいは改善された治療結果を達成しているものと考えられる。
【0020】
図6に、本発明によるシステムおよび方法のさらなる実施形態60が示されており、そこではTMR発生器53Cが外側の同軸の導波管64に磁気的な北すなわち正の出力62を提供し、内側の同軸の導波管68に負すなわち磁気的な南の出力66を提供する。その結果、外側の同軸の導波管64と内側の同軸の導波管68との間の環状のスペース69に、振動する放射状の磁場が存在し、再び結果として、図5の実施形態の場合と同様に、領域69のTMR場の磁気的な特性とプロトンビーム20の電気的な特性との間に交差するベクトルの相互干渉が存在し、異なるビーム20Cを生成する。同様に、プロトンの本来の磁気双極子モーメントは内側の同軸の導波管と外側の同軸の導波管との間の環状のエリア69に生成される場による影響を受け、こうしてEMR治療あるいはNMR治療の治療特性の一部をプロトンビームに伝え、源20における要求される入力エネルギーを低減する。
【0021】
図7にEMRシステム124の主要な構成要素のサブシステムが示されており、これらは、ローカル処置コントロール132、ディスプレイ134、ステータスLED135、データを記録する目的で用いられるメモリー150、およびDC−DCコンバーター152を有するマイクロコントローラー149を含んでいる。気付かれ得るように、コンバーター152の出力はパルスジェネレーターならびに電流および電圧の制限手段を含むレベルシフト手段154に入る。前記手段154の出力は、皮膚および組織の測定に関連した電圧および電流の同時検知のために手段156に提供される。その出力は、ラジオインターフェイスユニット124を介してPC112とともに動作する前記マイクロコントローラー149に提供される。システム124はバッテリーパック158およびその充電器160も含む。
【0022】
プローブ(あるいは誘導コイル)53および55への入力は前記のデュアルな電圧および電流検知手段156を介して提供される。磁気共鳴変動が測定されるエリアが2つあることが気付かれる。第1は誘導コイル52を介してであり、第2は処置測定プローブ53を介してである。より多く位相がずれると(異常あるいは電子エネルギーのロス)、測定される振幅はより小さくなり、そこを通過する電磁束はより大きくなる。図11、12を参照。
【0023】
図8に刺激モジュール104および、より具体的には、過電圧および過電流のソフトウェアモニタリング手段162、関連する電極あるいは誘導コイルモニタリング手段164、およびラジオインターフェイスユニット124から受信されたデータを処理するための関連するRF手段166、およびローカル処置コントロール132からのデータを処理するための手段168が示されている。
【0024】
プローブ53/55およびパッド116に関連する電極、すなわちワイヤを介して接続された2つの電極であって、その2つの電極のうちの1つの電極がリニアな電位差計に提供されている、2つの電極が処置される組織50に提供されるエネルギーの強度を調整あるいは選択するために用いられることが、認識される。複数の安全上の特徴が、視覚かつ/または聴覚の警告手段、振幅制限手段(ブロック156毎)、振幅オーバーライド手段、振幅ランプバック手段、および患者コントロール手段を含み、本システムに組み込まれる。そこでは機能マネージメントユニット101からシステム51に送信されたデータは刺激周波数、刺激デューティサイクル、および他の患者閾値情報(患者履歴に基づく)を含み、その結果、患者側の強度設定を最適化する。PTUとFMUとの間に伝達されるデータは、皮膚電圧、電磁束および皮膚と電圧電流との間の電流位相(図15を参照)、組織電圧および電流、組織電圧と電磁束および電流との間の位相、ならびに刺激のオン/オフ状態(図16を参照)を含む。TMRシステム51はEMRあるいはNMRシステムであり得ることが気付かれる。
【0025】
重要なことに、ローカルコントローラー(図17参照)は、EMRシステムが用いられる場合、様々なAIアルゴリズムを用いる。すなわちEMRシステムのLCチューニングは様々なアルゴリズムを用い、処置の第1番目の基準として損傷組織のいわゆる反転波形で始め、これはロバストな確率論モデルによって引き継がれ、FMU101が洗練された処置あるいは補正信号を提供できるように適切な刺激プロファイルを発生させる。ここでは少なくとも3つのモデルあるいはアルゴリズムが意図され、これらは以下を含んでいる
− シーケンシャルで、適応性の自己学習方法およびインプリメンテーション(1対の単一電極に対して)、
− ブロック適応性の自己学習方法およびインプリメンテーション(1つの電極配列に対して)、
− 1次元および多次元のニューラルネットワークベースのコントローラーアルゴリズム、
− シーケンシャルデータ自動復帰方法およびインプリメンテーション(1対の単一電極に対して)、
− ブロックデータの自動復帰方法およびインプリメンテーション(1つの電極配列に対して)。
【0026】
加えて、FMUの測定モジュールのフィルタリングは、波形のリップルとして典型的に現れるエラー信号を除去し、その結果自己学習の複数電極のPTUからの補正あるいは処置信号の発生を可能にし、その結果痛みの抹消および究極には対象の状態の長期間処置における高効率性を有する。
【0027】
溝間の波形相関を発生させるためにアルゴリズムの組み合わせが用いられ得、組織損傷、処置プロファイル、およびそれに関連するピーク共鳴のモデリングに対する、モデル分析および学習カーブの促進の収束を保証する。
【0028】
要約すると、EMR技術は処置信号において1ヘルツから1Gヘルツの周波数、および0.1から10テスラを用いており、処置される組織の測定される波形の位相外れの共鳴ピークを増加、減少、平坦化、または無効化する。同様に、測定モジュールによって得られた異常な組織信号を処置するために適用される補正あるいは処置信号が、自己学習の複数電極PTUによって知能的に発展させられる。自己学習の複数電極のPTUにおいて、組織プロファイル、ピーク共鳴コード、および医用状態の配列における効果的治療のためのこの情報の使用を最適化するのに必要なモデルの収束および効率的な発展を保証するために、様々な発見アルゴリズムが用いられる。
【0029】
組織プロファイルおよびピーク共鳴コードのライブラリーは、各患者に対するプロファイルおよびEMR共鳴コードの別個のライブラリーの発展の中でシステムにおいて用いられ得、また、反転波形の発生(以下の図13、14の議論を参照)あるいは処置目的で用いられ得る、多くの形式の健康な組織のベースラインあるいは電磁気的な構造としてもシステムに用いられ得る。それゆえに、組織プロファイルおよびピーク共鳴コードの履歴ライブラリーは確率論的なモデルに統合され得、上述のように、洗練された処置あるいは補正信号を可能にするために適切な刺激プロファイルを発生させ得る。ここにおいて単純な低次のローパスフィルタープロセスが、信号リップルを削除するために、始点を構成する。
【0030】
次のステップは典型的に、図11および図12に示されるパターンとは反対の磁気単一パターンの発生である、反転波形あるいは反転EMRスペクトルの発生である。この反転パターンの適用は、異常組織の「病気」信号上に課されたパルス幅変調(PWM)プロセスを有し、図13に示される。その結果、システムは、前記組織信号の位相外れの共鳴の波形とは実質的に反転したEMRピークスペクトルの波形を発生させその波形を上記組織に適用させ、その結果異常に関連する信号のEMRピークを増加したり無効にする。図14を参照。
【0031】
TMRシステムの要素は以下のように要約される。(a)約0.1ガウスと約10テスラとの間の強度を有し、約1Hzと約1GHzとの間のRFスペクトルを横切る磁場を変調する手段、(b)前記組織を前記変調された磁場にさらす手段、(c)結果として生じる、前記組織によって放射される信号の電子磁気共鳴(EMR)ピークを測定する手段であって、前記EMRピークの各々のピークが同相のEMRか異相のEMRかのいずれかを表現している、手段、および(d)前記EMR組織信号の前記位相外れの共鳴の波形とは実質的に反転した波形を発生させその波形を前記組織に適用する手段であって、その結果前記組織の前記異常に関連する前記信号の異常なEMRピークを増加、減少、または無効化する手段。
【0032】
図18に、静電気で充電された円錐形の導波管72が用いられる、本発明のさらなる実施形態70が示されており、その効果は、プロトンビーム20の速度を減ずることである。その変形において、正弦の、交互性の、あるいは間欠の電気信号が、プロトンあるいはX線20の電気双極子モーメントに影響を与えて、修正された処置波20Dを生成するために、導波管72に適用され得る。
【0033】
図19に図18の実施形態の変形が示されており、そこではしかしながら、電場あるいは波形が内側の導波管82と外側の導波管84との間に適用され、それぞれの導波管の間の環状の溝86内に振動する電場を生成し、これは次に、放射ビーム20のプロトンの電気双極子モーメントの修正を引き起し、標的50にコリメーター46Eを介して適用される電気的に修正されたビーム20Eを生成する。
【0034】
ビーム20の電気双極子モーメントを変更する別の戦略が図20の実施形態90に示されている。そこでは、電気信号92がシステムの放射軸36に対して横断的にあるいはある角度で通る。
【0035】
図19および図20の実施形態のさらなる変形が図21の実施形態100に示されており、そこでは振動する信号102が円筒状の導波管104に適用される。あるいはそれとは代替の実施形態では、図21は、それの反対のプレート105と107との間の場の強度が時間および空間の関数として、修正されたビーム20Gを生成するために患者の治療ニーズによって指図され得るように変化するACキャパシターの縦方向の断面図とも考えられ得る。
【0036】
図22に、2つの同軸のガイドを180度で互いに向けて用い得、1つのプロトンおよび1つのTMRが中間の病巣で互いをねらう実施形態200が示されている。
【0037】
本発明の好ましい実施形態(図2)が示され記載されてきたが、本発明は本明細書に特に示され記載されたものとは別の方法で具体化され得ること、および前記の実施形態内において、本明細書で上述された本発明の基礎となる考えあるいは原理から逸脱することなく、ある変化が部分の形態および構成においてなされ得ることが認識されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は一般に、マイクロビームX線およびプロトン放射を、主として癌腫瘍処置のために実行する方法に関するが、核あるいは電子の磁気共鳴の電磁波の配列とインビボあるいはエクスビボで統合されて、そうでなければ所定の手順で要求されるX線あるいはプロトン放射のレベルを減少することによって、腫瘍内でのビーム効果を制限するものに関する。本発明はパーキンソン振せんの処置およびガンマナイフを有する他の用途に適用可能でもある。別の可能な効果的な用途は、プロトンビームが処置標的により効果的であるようなビームイオン移動である。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
手術、化学療法、および放射治療のようなものによる、悪性状態の伝統的な処置は多くの場合において、好ましい結果を示してきたが、一方ですべての場合に完璧に満足いくほどに効果的であることには失敗している。しかしながら、放射治療における歴史的かつ継続的な問題ならびに限界は、最大許容線量と許容できないレベルの標準組織の毒性が発生する線量との比として定義される、すなわち効果的な腫瘍制御のために要求される最小の線量を決定あるいは確立するための、いわゆる治療インデックスを最大化することであり続けた。この目的はしかしながら、中枢の神経系、肝臓の癌、および様々な形式の転移性腫瘍を含む様々な癌の処置において達成することが特に困難であることが証明されてきた。
【0003】
毒性の一般的な問題にもかかわらず、脊髄および脳の転移性腫瘍の処置比率は、伝統的な外科手術技術およびプロトンビーム治療を用いては、数年で目に見えるほどには改善されてきていない。これは悪性のCNS腫瘍に発射され得る線量が、標準の脳あるいは脊髄の放射に対する最大許容量によって制限されることによる。最近、治療目的のX線のマイクロビーム放射、グリッド放射、および空間細分化の概念が現れてきた。これは様々な臨床環境で、例えば前立腺癌の処置において有用であることがわかった。3次元イメージングはマイクロビーム放射と組み合わせて採用されることで、プロトン処置が過去におけるよりも、より有利に向けられることを可能にする。X線も、伝統的なX線が電荷および質量を欠くことにより、対象の組織の表面あるいは表面近くにそのエネルギーを消散する結果になり、癌の場所を越えて望まれないエネルギーを散乱する傾向もよりあるので、皮膚あるいは組織表面の悪性腫瘍の処置における解決策として不足していた。このエネルギー配置の望まれないパターンはプロトンビーム治療における問題でもあり、健康な組織への不必要なダメージになり得、医者が癌を効果的に制御するために十分な放射を用いることをしばしば妨げ得る。
【0004】
プロトンビーム戦略は、ドーパントの電子の殻の構造のために標的の組織によって吸収される標的の線量の総量を増す、造影剤を有する悪性な組織の処置あるいは投与を含み、この方法は一般にプロトン活性化治療として参照される。
【0005】
最近、2方向にインターレースされたマイクロビーム放射治療(BIMRT)(Methods for Implementing Microbeam Radiation TherapyというタイトルのDilmanianらに発行された特許文献1(2007)を参照)の概念が従来技術に現れた。Dilmanianの教示は、プロトンあるいはX線マイクロビームの交差のあるいは非交差の配列の使用、すなわち2つの空間的に別個のマイクロビーム進路の使用、好ましくは第3のマイクロビーム進路との併用の教示である。第1および第2のマイクロビーム進路は互いにインターリーブされ得、その一方で第3のマイクロビーム進路は第1および第2の進路に対して角度をなして回転され、横に移される。Dilmanianの教示および本発明者に知られた他の従来技術はしかしながらなお、電磁放射の単一形態の使用のものであり、しかしながら対象の腫瘍の「標的にする」ことをアシストするコントラストの使用の有り無しにかかわらず、互いに共同運転するビームあるいはマイクロビームの数は大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,194,063号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、様々な形式の既知のX線およびプロトンビーム治療を有する、核あるいは電子が共鳴する電磁共鳴のインビボかあるいはエクスビボかのどちらかでの(腫瘍接触に先立っての)同時使用の観点で、上記および他の既知の従来技術からの逸脱である。
【0008】
(本発明の概要)
本発明は核あるいは電子の磁気共鳴信号および標準のプロトンあるいはX線放射治療を有する、悪性組織の同時処置に関する。
【0009】
X線およびプロトンビーム治療の効果性を、その毒性を減少することで改善することが本発明の1つの目的である。
【0010】
ガンマナイフ手術の有用性および効果性を高めることが別の目的である。
【0011】
本発明の上記およびさらに別の目的ならびに利点が、ここにこれから示される以降の図の簡単な記載、本発明の詳細な記載、およびここに添付される特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は二重の散乱形式のプロトンビーム発射システムの概略図である。
【図2】図2は図1に示された形式のシステムのプロトンビーム治療に治療磁気共鳴(TMR)を結合する本発明の方法を示す概略図である。
【図3】図3は図1のシステムの線量制御アセンブリーのフローダイヤグラムの図であり、TMR信号の適用の、プロトンビームからの位相のずれを示す。
【図4】図4は図1から図3に示されているシステムの放射制御のフローダイヤグラムの図である。
【図5】図5は図2のものの代替的な実施形態の概略図であり、そこではTMRが、その磁場パターンを電気的なエネルギーに伝え、プロトンビームに磁気双極子スピンを伝え、結果としてプロトン源のプロトンへの磁気双極子モーメントを生成するために、エクスビボで適用される。
【図6】図6は本発明の方法のさらなる実施形態であり、そこではTMRが同軸の導波管に適用され、導波管の中でプロトンビームがその軸のガイドを介して発射され、こうして、治療の等角点に発射されるプロトンに磁気的なスピンが伝えられる。
【図7】図7は図3の左下に示される波を発生させるのに用いられる、システムの電子磁気共鳴(EMR)部分を備えるTMRを示すブロックダイヤグラムの図である。
【図8】図8は治療処置の等角点に適用され得るモジュールのブロックダイヤグラムの図である。
【図9】図9と図10はそれぞれ、健康な組織の共鳴ピークの波形である。
【図10】図9と図10はそれぞれ、健康な組織の共鳴ピークの波形である。
【図11】図11と図12はそれぞれ、本明細書の処置を必要とするような異常組織の信号およびスペクトル波形である。
【図12】図11と図12はそれぞれ、本明細書の処置を必要とするような異常組織の信号およびスペクトル波形である。
【図13】図13と図14はそれぞれ、治療標的への処置波の発射を示す信号およびEMRピークスペクトルのダイヤグラムである。
【図14】図13と図14はそれぞれ、治療標的への処置波の発射を示す信号およびEMRピークスペクトルのダイヤグラムである。
【図15】図15はEMRの組織インピーダンス測定アセンブリーのブロックダイヤグラムの図である。
【図16】図16はRFインターフェイスを有するEMR患者処置アセンブリーのブロックダイヤグラムの図である。
【図17】図17はEMRアセンブリーのPCからRFへのインターフェイスの図である。
【図18】図18は、電気的に充電された円錐形の導波管が、プロトン源から放射されたプロトンの速度を減じたり進路を変更するために用いられる、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
【図19】図19は、同軸の導波管が、放射されたプロトンの速度を電気的に減じたり進路を変更するために用いられる、図18の実施形態と同様の原理を用いた実施形態である。
【図20】図20は、電子ビームの周波数、方向、およびエネルギーを反映する螺旋形の形状を有するE×Bベクトルを提供し、プロトンビームの速度を減じ、その磁気的な特性を修正するために、電子ビームが源のビームの角度に対してある角度で提供される、本発明のさらなる実施形態の概略図である。
【図21】図21は、プロトンビームの速度および進路を修正するための縦方向のキャパシターを用いる実施形態である。
【図22】図22は、EMRおよびプロトンビームアセンブリーが反対方向から標的に向けられる、さらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の詳細な説明)
図1の概略図を参照して、散乱法形式の典型的な従来技術のプロトンビーム発射システム21が示されている。この形式のシステムは、少なくとも2001年以降は知られているが、プロトン源20(本発明の背景を参照)、正確なプロファイルモニター22、バイナリー形式の第1の散乱面24、第2の散乱エレメント26、第1の線量モニター28、リッジフィルター30、およびレンジシフター32を含む。想像線は第2のエレメント26、第1の線量モニター28、およびリッジフィルター30の空間的な調整可能性を示す。プロトンビーム散乱の目的は、ビーム20を横断面内で広げ、治療標的エリアすなわち等角点34を広くすることである。システム全体の軸は放射軸36と同様である。第1の散乱面24の厚みおよび第2のエレメント26の材料は、システムによって発射される、典型的には125から250Mevの範囲内にあるそれぞれのエネルギーを制御する。レンジシフター32の次に、ビーム平坦性をモニターして標的50の等角点34において均一なエネルギーを得るための平坦性モニター38が続く。図2を参照。典型的に、最大使用可能放射場は直径20cmの円形領域であり、約30g/cm2の最大深さを有する。そのようなエネルギー調整を達成するために、リッジフィルター30が、0から約125mm水当量の範囲で各々1mmのステップサイズで処置深さにおけるシフトを達成するように用いられる。リッジフィルター30は、異なる厚みのバーを通過するプロトンが異なる処置深さにおいてブラッグピークを生成するように、金属バーの配列を用いている。
【0014】
平坦性モニター38の次にはコリメーター40、エネルギーモニター42、ボルス44(レンジ補償器)、および患者コリメーター46が続く。コリメーター40および46の機能は、横の面における最大プロトンエネルギーを、処置される腫瘍あるいは組織の構成に最良に適合するように向けることである。
【0015】
概略図的に図2に示されているものは図1のアセンブリー21全体であり、これはプロトンビーム源20、放射軸36、等角点34および処置標的50を含んでいる。図2の左下に横に示されているものが、治療標的50に向けられた治療磁気共鳴(TMR)信号アセンブリー53である。この入力が、本発明者の前記の米国出願第10/856,652号内で教示される電子磁気共鳴(EMR)あるいはより伝統的な形式の核磁気共鳴(NMR)の両方を含み得ることは、理解される。図2の概略図にトロイダルコイル52が示されており、電子は(以下でさらに十分に示されるように)時間領域基準でこのトロイダルコイルを通り過ぎ、これによってトロイドの軸に沿って時間領域および空間的な磁気信号を発生し、標的50において出力B(f(t))を生成する。システム21のプロトン出力20Aと、コイル52のEMR信号出力54との間の時間領域の関係が、図3のブロックダイヤグラム図に示される。そこから、本発明の顕著な局面が、TMRコイル52の結果としての磁気信号54の位相からオフセットされた時間領域の位相で、低減されたエネルギーのプロトンビーム20Aを提供することであることは、認識され得る。これは図3に示されるそれぞれの正弦パターンによって表わされ得、ここではプロトンビーム20AのエネルギーピークがTMRアセンブリー53の磁気信号出力54の位相から180度ずれた位相であり、結果としては、低減されたプロトンビームエネルギーがTMRアセンブリー53の負の期間あるいは停止期間中に用いられ得る。そして、TMRの本来の治療効果に起因して、逆も同様である(以下でおよび本発明者の前記の係属中の出願においてより十分に議論される)。プロトンエネルギーの低減されたレベルは、もし処置モードであればX線エネルギーと同様に、匹敵する治療結果あるいは改善された治療結果を達成するためにこのように要求され、追加の利点は標的領域における健康な組織へのダメージの低減である。
【0016】
認識され得るように、プロトンあるいはX線ビーム20Aの両方の多くの他の波形およびそれらの組み合わせ、あるいは1つの物理療法処置の信号から相対的に他の処置の信号への間の多くの他の間欠期間が、実験で当業者に明らかになる。
【0017】
図3は図1の線量制御アセンブリーのフローダイヤグラムである。
【0018】
図4に、図1から3を参照して示され記載されたシステムに対する典型的な放射制御センターが示されている。そこから、治療に先立って、図4に示されたプロセスフローに従って装置の放射パラメーターがセットされることが認識され得る。さらに具体的には、医用イメージデータベースは、先立つあるいは同時の磁気イマジニング(MRI)、コンピュータートモグラフィ(TC)、X線イメージング、リアルタイムデジタルラジオグラフィ(DR)、および処置計画機能からのイメージを含む。それはガンマナイフおよび定位的なイメージングも含み得る。放射データベースは計画データ、および加速器の放射の使用パラメーターを制御する。図4のフローダイヤグラムから、本発明を従来技術のものに統合するのに必要な制御が現代の電子技術および制御技術の観点から比較的明瞭であることは、容易に認識され得る。TMRアセンブリー51のブロックダイヤグラムが図7に示され、以下に記載される。組織内においてより多くのイオン移動を生成することによって、組織はより少ないパワーでより多くのビームエネルギーを吸収することができる。ガンマナイフ適用はナイフレスの脳手術を可能にし、144個のフォーカス穴を有するヘルメットを含み、その穴の中で3D定位イマジニングによって決められた中心点でX線あるいはプロトンビームが収束する。各ビームはそれ自体は弱いが、収束する場所では腫瘍を消滅させるに十分なほどに熱い。3Dイメージングは熱い収束点が腫瘍の輪郭をたどるのを可能にする。現在の技術に記載されているものと同じ、X線あるいはプロトンビームの様々な角度を用いて、これらのビームにTMRを適用したり、あるいは定位的な3Dイメージングを用いてTMRビームを導くことが可能である。
【0019】
図5に本発明(図2に示されたものの代替的な方法)の別の実施形態55が示されており、そこにはTMR発生器53Bによって発生させられたTMR波56が示されている。ここで、TMR波56はプロトンビーム20とエクスビボで相互干渉し、ビームを、ビーム20の電気的な特性と波56の磁気的な特性との間のE×Bベクトルの相互干渉の効力によってそこに引き起こされるTMR波56の特質を有するビーム20Bに修正する。このプロセスは、低減されたエネルギーのプロトンあるいはX線入力20の使用を可能にし、一方で、電子磁気共鳴治療あるいは核磁気共鳴治療の本来の治療利点に起因して、組織51の標的50において匹敵する治療結果あるいは改善された治療結果を達成しているものと考えられる。
【0020】
図6に、本発明によるシステムおよび方法のさらなる実施形態60が示されており、そこではTMR発生器53Cが外側の同軸の導波管64に磁気的な北すなわち正の出力62を提供し、内側の同軸の導波管68に負すなわち磁気的な南の出力66を提供する。その結果、外側の同軸の導波管64と内側の同軸の導波管68との間の環状のスペース69に、振動する放射状の磁場が存在し、再び結果として、図5の実施形態の場合と同様に、領域69のTMR場の磁気的な特性とプロトンビーム20の電気的な特性との間に交差するベクトルの相互干渉が存在し、異なるビーム20Cを生成する。同様に、プロトンの本来の磁気双極子モーメントは内側の同軸の導波管と外側の同軸の導波管との間の環状のエリア69に生成される場による影響を受け、こうしてEMR治療あるいはNMR治療の治療特性の一部をプロトンビームに伝え、源20における要求される入力エネルギーを低減する。
【0021】
図7にEMRシステム124の主要な構成要素のサブシステムが示されており、これらは、ローカル処置コントロール132、ディスプレイ134、ステータスLED135、データを記録する目的で用いられるメモリー150、およびDC−DCコンバーター152を有するマイクロコントローラー149を含んでいる。気付かれ得るように、コンバーター152の出力はパルスジェネレーターならびに電流および電圧の制限手段を含むレベルシフト手段154に入る。前記手段154の出力は、皮膚および組織の測定に関連した電圧および電流の同時検知のために手段156に提供される。その出力は、ラジオインターフェイスユニット124を介してPC112とともに動作する前記マイクロコントローラー149に提供される。システム124はバッテリーパック158およびその充電器160も含む。
【0022】
プローブ(あるいは誘導コイル)53および55への入力は前記のデュアルな電圧および電流検知手段156を介して提供される。磁気共鳴変動が測定されるエリアが2つあることが気付かれる。第1は誘導コイル52を介してであり、第2は処置測定プローブ53を介してである。より多く位相がずれると(異常あるいは電子エネルギーのロス)、測定される振幅はより小さくなり、そこを通過する電磁束はより大きくなる。図11、12を参照。
【0023】
図8に刺激モジュール104および、より具体的には、過電圧および過電流のソフトウェアモニタリング手段162、関連する電極あるいは誘導コイルモニタリング手段164、およびラジオインターフェイスユニット124から受信されたデータを処理するための関連するRF手段166、およびローカル処置コントロール132からのデータを処理するための手段168が示されている。
【0024】
プローブ53/55およびパッド116に関連する電極、すなわちワイヤを介して接続された2つの電極であって、その2つの電極のうちの1つの電極がリニアな電位差計に提供されている、2つの電極が処置される組織50に提供されるエネルギーの強度を調整あるいは選択するために用いられることが、認識される。複数の安全上の特徴が、視覚かつ/または聴覚の警告手段、振幅制限手段(ブロック156毎)、振幅オーバーライド手段、振幅ランプバック手段、および患者コントロール手段を含み、本システムに組み込まれる。そこでは機能マネージメントユニット101からシステム51に送信されたデータは刺激周波数、刺激デューティサイクル、および他の患者閾値情報(患者履歴に基づく)を含み、その結果、患者側の強度設定を最適化する。PTUとFMUとの間に伝達されるデータは、皮膚電圧、電磁束および皮膚と電圧電流との間の電流位相(図15を参照)、組織電圧および電流、組織電圧と電磁束および電流との間の位相、ならびに刺激のオン/オフ状態(図16を参照)を含む。TMRシステム51はEMRあるいはNMRシステムであり得ることが気付かれる。
【0025】
重要なことに、ローカルコントローラー(図17参照)は、EMRシステムが用いられる場合、様々なAIアルゴリズムを用いる。すなわちEMRシステムのLCチューニングは様々なアルゴリズムを用い、処置の第1番目の基準として損傷組織のいわゆる反転波形で始め、これはロバストな確率論モデルによって引き継がれ、FMU101が洗練された処置あるいは補正信号を提供できるように適切な刺激プロファイルを発生させる。ここでは少なくとも3つのモデルあるいはアルゴリズムが意図され、これらは以下を含んでいる
− シーケンシャルで、適応性の自己学習方法およびインプリメンテーション(1対の単一電極に対して)、
− ブロック適応性の自己学習方法およびインプリメンテーション(1つの電極配列に対して)、
− 1次元および多次元のニューラルネットワークベースのコントローラーアルゴリズム、
− シーケンシャルデータ自動復帰方法およびインプリメンテーション(1対の単一電極に対して)、
− ブロックデータの自動復帰方法およびインプリメンテーション(1つの電極配列に対して)。
【0026】
加えて、FMUの測定モジュールのフィルタリングは、波形のリップルとして典型的に現れるエラー信号を除去し、その結果自己学習の複数電極のPTUからの補正あるいは処置信号の発生を可能にし、その結果痛みの抹消および究極には対象の状態の長期間処置における高効率性を有する。
【0027】
溝間の波形相関を発生させるためにアルゴリズムの組み合わせが用いられ得、組織損傷、処置プロファイル、およびそれに関連するピーク共鳴のモデリングに対する、モデル分析および学習カーブの促進の収束を保証する。
【0028】
要約すると、EMR技術は処置信号において1ヘルツから1Gヘルツの周波数、および0.1から10テスラを用いており、処置される組織の測定される波形の位相外れの共鳴ピークを増加、減少、平坦化、または無効化する。同様に、測定モジュールによって得られた異常な組織信号を処置するために適用される補正あるいは処置信号が、自己学習の複数電極PTUによって知能的に発展させられる。自己学習の複数電極のPTUにおいて、組織プロファイル、ピーク共鳴コード、および医用状態の配列における効果的治療のためのこの情報の使用を最適化するのに必要なモデルの収束および効率的な発展を保証するために、様々な発見アルゴリズムが用いられる。
【0029】
組織プロファイルおよびピーク共鳴コードのライブラリーは、各患者に対するプロファイルおよびEMR共鳴コードの別個のライブラリーの発展の中でシステムにおいて用いられ得、また、反転波形の発生(以下の図13、14の議論を参照)あるいは処置目的で用いられ得る、多くの形式の健康な組織のベースラインあるいは電磁気的な構造としてもシステムに用いられ得る。それゆえに、組織プロファイルおよびピーク共鳴コードの履歴ライブラリーは確率論的なモデルに統合され得、上述のように、洗練された処置あるいは補正信号を可能にするために適切な刺激プロファイルを発生させ得る。ここにおいて単純な低次のローパスフィルタープロセスが、信号リップルを削除するために、始点を構成する。
【0030】
次のステップは典型的に、図11および図12に示されるパターンとは反対の磁気単一パターンの発生である、反転波形あるいは反転EMRスペクトルの発生である。この反転パターンの適用は、異常組織の「病気」信号上に課されたパルス幅変調(PWM)プロセスを有し、図13に示される。その結果、システムは、前記組織信号の位相外れの共鳴の波形とは実質的に反転したEMRピークスペクトルの波形を発生させその波形を上記組織に適用させ、その結果異常に関連する信号のEMRピークを増加したり無効にする。図14を参照。
【0031】
TMRシステムの要素は以下のように要約される。(a)約0.1ガウスと約10テスラとの間の強度を有し、約1Hzと約1GHzとの間のRFスペクトルを横切る磁場を変調する手段、(b)前記組織を前記変調された磁場にさらす手段、(c)結果として生じる、前記組織によって放射される信号の電子磁気共鳴(EMR)ピークを測定する手段であって、前記EMRピークの各々のピークが同相のEMRか異相のEMRかのいずれかを表現している、手段、および(d)前記EMR組織信号の前記位相外れの共鳴の波形とは実質的に反転した波形を発生させその波形を前記組織に適用する手段であって、その結果前記組織の前記異常に関連する前記信号の異常なEMRピークを増加、減少、または無効化する手段。
【0032】
図18に、静電気で充電された円錐形の導波管72が用いられる、本発明のさらなる実施形態70が示されており、その効果は、プロトンビーム20の速度を減ずることである。その変形において、正弦の、交互性の、あるいは間欠の電気信号が、プロトンあるいはX線20の電気双極子モーメントに影響を与えて、修正された処置波20Dを生成するために、導波管72に適用され得る。
【0033】
図19に図18の実施形態の変形が示されており、そこではしかしながら、電場あるいは波形が内側の導波管82と外側の導波管84との間に適用され、それぞれの導波管の間の環状の溝86内に振動する電場を生成し、これは次に、放射ビーム20のプロトンの電気双極子モーメントの修正を引き起し、標的50にコリメーター46Eを介して適用される電気的に修正されたビーム20Eを生成する。
【0034】
ビーム20の電気双極子モーメントを変更する別の戦略が図20の実施形態90に示されている。そこでは、電気信号92がシステムの放射軸36に対して横断的にあるいはある角度で通る。
【0035】
図19および図20の実施形態のさらなる変形が図21の実施形態100に示されており、そこでは振動する信号102が円筒状の導波管104に適用される。あるいはそれとは代替の実施形態では、図21は、それの反対のプレート105と107との間の場の強度が時間および空間の関数として、修正されたビーム20Gを生成するために患者の治療ニーズによって指図され得るように変化するACキャパシターの縦方向の断面図とも考えられ得る。
【0036】
図22に、2つの同軸のガイドを180度で互いに向けて用い得、1つのプロトンおよび1つのTMRが中間の病巣で互いをねらう実施形態200が示されている。
【0037】
本発明の好ましい実施形態(図2)が示され記載されてきたが、本発明は本明細書に特に示され記載されたものとは別の方法で具体化され得ること、および前記の実施形態内において、本明細書で上述された本発明の基礎となる考えあるいは原理から逸脱することなく、ある変化が部分の形態および構成においてなされ得ることが認識されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)時間領域の放射ビームの治療標的への変調された適用のステップと、
(b)該放射ビームのエネルギーピークに関して位相外れの適用期間の間における、変調された磁気共鳴(MR)信号の該治療標的への時間領域の適用のステップと
を含む治療処置の方法。
【請求項2】
前記放射ビームがプロトンビームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射ビームがX線ビームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記磁気MR信号が電子磁気共鳴(EMR)信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記MR信号が核磁気共鳴信号を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記治療標的に向けられた導電性トロイドによって前記MR信号を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記MR信号が、前記標的組織の位相外れのMR応答の波形と実質的に反転した波形を定義し、その結果組織異常に関連する該位相外れの応答の異常なMRピークを増加、減少、または無効化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記MR信号が電子磁気共鳴(EMR)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記MR信号が、前記標的組織の位相外れのMR応答の波形と実質的に反転した波形を定義し、その結果組織異常に関連する該位相外れの応答の異常なMRピークを増加、減少、または無効化する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記MR信号が電子磁気共鳴(EMR)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項1】
(a)時間領域の放射ビームの治療標的への変調された適用のステップと、
(b)該放射ビームのエネルギーピークに関して位相外れの適用期間の間における、変調された磁気共鳴(MR)信号の該治療標的への時間領域の適用のステップと
を含む治療処置の方法。
【請求項2】
前記放射ビームがプロトンビームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射ビームがX線ビームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記磁気MR信号が電子磁気共鳴(EMR)信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記MR信号が核磁気共鳴信号を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記治療標的に向けられた導電性トロイドによって前記MR信号を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記MR信号が、前記標的組織の位相外れのMR応答の波形と実質的に反転した波形を定義し、その結果組織異常に関連する該位相外れの応答の異常なMRピークを増加、減少、または無効化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記MR信号が電子磁気共鳴(EMR)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記MR信号が、前記標的組織の位相外れのMR応答の波形と実質的に反転した波形を定義し、その結果組織異常に関連する該位相外れの応答の異常なMRピークを増加、減少、または無効化する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記MR信号が電子磁気共鳴(EMR)を含む、請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2010−532212(P2010−532212A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514856(P2010−514856)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/008178
【国際公開番号】WO2009/005797
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510003841)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/008178
【国際公開番号】WO2009/005797
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510003841)
【Fターム(参考)】
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