説明

統合医療追跡のための方法及びシステム

【課題】医療情報を追跡するためのシステムを提供する。
【解決手段】医療装置(10)の与えるデータを処理するためのシステム。このシステムは、医療装置情報を記憶するように構成されたメモリー装置(230)を有する医療装置(10)を含む。このシステムはまた、医療装置(10)に接続された情報システム(350)も含む。情報システム(350)は、医療装置(10)のメモリー装置(230)から医療装置情報の少なくとも一部を受信するように構成された少なくとも一つのサーバー(360)を含む。サーバー(360)はまた、患者データ、処方データ、及び在庫/発注データの少なくとも一つを処理するために医療装置情報を用いるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2001年6月20日出願の米国特許出願第60/299,629号の利益を主張し、それは、全文が引用され本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本特許出願は、2001年4月17日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/836,781号及び2001年7月22日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/887,789号に関連し、これらのそれぞれは、全文が引用され本明細書に援用される。
【0003】
本発明は、医療情報を追跡するための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、電気機械的外科用装置を含む医療装置の与える情報の追跡に関する。
【背景技術】
【0004】
医療装置分野での技術革新は、一般の技術的科学的動向及び発展を利用する進行中の過程である。医療用装置は現在、医療処置で役に立つように使用し得る情報を記憶するメモリー素子を含む。例えば、医療装置及び/又は付属装置に関連する情報で、とりわけ、装置/付属装置の製造番号及び装置/付属装置の識別子のような情報も記憶し得る。装置/付属装置の仕様情報に加え、使用関連データ(例えば装置/付属装置が用いられた回数)もまた、新世代の医療装置に、特に外科用装置に記憶し得る。
【0005】
一例において、円形ホチキス外科用付属装置は、電気機械的外科用装置と併用し得る。電気機械的外科用装置は、付属装置の製造番号及び円形ホチキスを示す付属装置識別子のような、円形ホチキス付属装置に関連する情報を読み取れる。この情報を集める一つの目的は、外科用装置及び/又は付属装置がその交換又は保守を要する閾値限界以上に用いられているか否かを決定することにし得る。閾値に到達した場合には、電気機械的外科用装置は、状態を示す音声及び/又は画像のメッセージを生成することができ、適正に交換される及び/又は保守されるまでは機能しないようにできる。2001年4月17日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/836,781号及び2001年6月22日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/887,789号は、それぞれ全文が引用され本明細書に明示的に援用されるが、そのような情報を集めて記憶する医療装置(例えば電気機械的外科用装置)のその他の例を議論し参照する。そのような情報を集める別の目的は、例えば付属装置識別子に基づいて、多くのアルゴリズムの内いずれの一つを外科用装置及び/又は付属装置を駆動するために用いるべきなのかを決定することにし得る。
【0006】
病院及びその他の医療提供者の経営は、医療装置に起きている技術的進歩と同様の技術革新及び進化を受けつつある。これらの経営革新は、特に情報システムの分野と関係がある。病院及び/又は医療情報システムは、例えば、患者情報、処方、在庫、及び発注データを追跡する。これらのシステムには、複数の利点がある。例えば、患者情報システムは、より正確な患者の追跡、記録保持、及び請求書作成を提供する。処方情報システムは、処方発行、充填(filling)、及び調剤される薬に対する十分な管理と正確さを与える追
跡過程を自動化する。在庫及び発注情報システムは、新しい薬の在庫の発注を自動化及び円滑化し、総合的な発注の追跡及び分析を提供する。様々な病院医療情報システムが医療経営を改善してきたが、システムとデータの限定的な統合のため、あまり多くの利点は実現されずにいる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要約
本発明の例となる実施形態に従って、医療装置の追跡するデータを病院及び医療情報システムと統合するための方法及びシステムを提供する。一層十分で統合されかつ正確なデータ収集を提供すべく、自動的に医療装置データを収集し病院及び/又はその他の医療情報システムと統合することによって、より正確に医療追跡をすることに対する長い間の切実な要請を本発明は解決する。
【0008】
一例となる実施形態において、医療装置データを、例えば患者及び請求書作成情報のようなその他の病院データとリンクするために、本発明は、一つ以上の医療装置(例えば電気機械的外科用装置)を、病院情報システムとリンクする。この模範的な実施形態におけるデータの統合は、どの装置がいつどの程度患者を治療するのに用いられたかということから詳細な会計を可能にし得る。この情報は、患者ファイルの一部として保持することができ、請求書作成及び/又は保険の目的で使用し得る。更に、このデータの統合追跡によって、病院及び/又はその他の医療提供者は、その装置の保守及び交換の要請をより正確に決定し及び/又は見積もりを立てることが可能となる。医療装置データを病院情報システムと統合することによって、更に、医療装置、付属装置、及び/又はその他の用品の閾値在庫を自動的に維持し得る、自動的な在庫追跡及び発注が可能となる。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、一つ以上の医療装置(例えば電気機械的外科用装置)を、医療装置データの集積所として機能する統合情報システムとリンクする。統合情報システムもやはり、その他の病院及び/又は医療情報システムにリンクすることができ、それにより、医療装置データを、例えば上述した患者データのようなその他のデータと統合することが可能となる。この別の実施形態は、医療装置データを病院及び/又は医療情報システムと直接的に統合するのではなく、その他の病院及び/又は医療情報システムと順にリンクされる一つ以上の個別の医療装置データ集積所及び/又は情報システムを実施する点で模範的な実施形態とは異なる。
【0010】
本発明の一様態は、医療装置を情報システムにリンクする手法である。本発明の模範的な実施形態において、医療装置は、プロセッサー、メモリー、及びデータ記憶装置を組み込み得る。医療装置データは、医療装置によって局所的に記憶することができ、その後、ある間隔で、又は実時間で、又は近似的に実時間で、一つ以上のその他の病院及び/又は医療情報システムとの統合のために送信し得る。本発明のこの様態に関する別の実施形態において、医療装置データは、直接的に送信され、局所的には記憶されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】情報を電子的に追跡し、本発明の一実施形態に応じて、病院及び/又は医療情報システムにリンクし得る、医療装置(この例では電気機械的外科用装置)の一実施形態の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に応じた、模範的な電気機械装置、及び、医療装置をサーバー及び/又は情報システムと接続する接続機構、の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に応じて、サーバー、記憶装置、及び病院の様々な部屋に置かれた医療装置の間の関係を図解するネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。
【図4】本発明の一実施形態に応じた、介在する第2の医療装置を用いない、情報ネットワークを介した第1の医療装置とサーバーとの相互接続を表すネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。
【図5】本発明の一実施形態に応じた、医療装置、病院及び/又は医療情報システム、及び自動発注システムの間の相互接続を表すネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の例となる実施形態に従って、一つ以上の病院及び/又は医療情報システムを用いた医療装置データの自動的統合のための方法及びシステムが提供される。本発明は、電子的に情報を集める及び/又は決定する外科用装置及び付属装置を含む医療装置に関する。2000年11月28日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/723,715号、及び2001年4月17日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特出願許第09/836,781号、及び2001年6月22日出願の”Electro-Mechanical Surgical Device”と題する米国特許出願第09/887,789号は、それぞれ全文が本明細書に明示的に援用されるが、例えば、これらに開示されている装置のような電気機械的外科用装置は、いくつかのそのような医療装置である。本特許出願は、あらゆるそのような医療装置に言及しているからといって、本発明を上述の特許出願に開示された装置のみに限定するように本発明の出願を構成すべきではないということを当業者は理解するであろう。別の医療装置は、外科用及び非外科用の医療器具及び付属装置を含み得る。
【0013】
図1は、電子的に情報を追跡し本発明の一実施形態に応じて病院及び/又は医療情報システムにリンクし得る医療装置(この例では電気機械的外科用装置)の一実施形態の説明図である。模範的な医療装置10は、例えば、遠隔出力操作卓12を含み、それは筐体14を含み、それは表示装置16及び指示器18a、18bを搭載した前面操作盤15を有する。柔軟な柄20は、筐体14から伸び、第1の連結器22により分離可能に連結し得る。柔軟な柄20の末端24は、外科用器具及び/又は付属装置を柔軟な柄20の前記末端24に分離可能に固定するように構成された第2の連結器26を含み得る。例えば、外科用器具又は付属装置は、外科用ホチキス、外科用切断装置、外科用ホチキス切断装置、直線的外科用ホチキス、直線的外科用ホチキス切断装置、円形外科用ホチキス、円形外科用ホチキス切断装置、外科用クリップ・アプライヤー(clip applier)、外科用クリッ
プ・ライゲーター(clip ligator)、外科用固定装置、管伸張装置(vessel expanding
device)、内腔拡張装置(lumen expanding device)、外科用メス、点滴(fluid delivery)装置、又はあらゆるその他の型の医療器具とし得る。”A Stapling Device for Use with an Electromechanical Driver Device for Use with Anastomosing, Stapling, and Resecting Instruments”と題する米国特許第6,315,184号として交付された米国特許出願第09/324,451号、”Electromechanical Driver Device for Use with Anastomosing, Stapling, and Resecting Instruments”と題する米国特許出願第09/324,452号、”Automated Surgical Stapling System”と題する米国特許第6,264,087号として交付された米国特許出願
第09/351,534号、”A Vessel and Lumen Expander Attachment for Use with an Electromechanical Driver Device”と題する米国特許第6,348,061号として交付された米国特許出願第09/510,926号、”Electromechanical
Driver and Remote Surgical Instruments Attachment Having Computer Assisted Control Capabilities”と題する米国特許出願第09/510,927号、”A Tissue Stapling Attachment for Use with an Electromechanical Driver Device”と題する米国特許出願第09/510,931号、”A Fluid Deliver Mechanism for Use with Anastomosing, Stapling, and Resecting Instruments”と題する米国特許出願第09/510,932号、”A Fluid Delivery for Use with Anastomosing, Stapling, and Resecting Instruments”と題する米国特許出願第09
/510,933号、”Surgical Device with Inrtacorporally Attachable Instrument”と題する米国特許出願第09/09/887,789号、”Parallel Jaw Device For Use With an Electro-Mechanical Driver Device”と題する米国特許出願第09/873,682号、”Linear Stapler/Cutter Device”と題する米国特許出願第09/999,546号、”A Vessel and Lumen Expander Attachment For Use With an Electro-Mechanical Driver Device”と題する米国特許出願第09/9
90,067号、”Right Angle Linear Surgical Cutter”と題する米国特許出願第10/094,051号、及び”Flexible Drive Shaft for Coupling a Surgical
Attachment to an Electro-Mechanical Driver Device”と題する米国特許出願第10/099,634号は、それぞれ全文が引用され本明細書に明示的に援用されるが、例えばこれらの中に、そのような医療器具のいくつかが述べてある。
【0014】
図2は、模範的な電気機械的装置、及び本発明の一実施形態に従って医療装置をサーバー及び/又は情報システムと接続するための接続構成の概略図である。制御装置200は、遠隔出力操作卓12の筐体14に備わり、電気機械的外科用装置10及び柔軟な柄20に付随するあらゆる外科用器具又は付属装置の機能と動作を制御するように構成される。記憶装置205が与えられ、ROM要素206及び/又はRAM要素207のようなメモリー素子を含み得る。ROM要素206は、線208を介して制御装置200と電気的論理的に通信する。RAM要素207は、例えば、磁気記憶素子、光記憶素子、光磁気記憶素子、電子的記憶素子等のような、あらゆる型のランダム・アクセス・メモリーを含み得る。同様に、ROM要素206は、例えば、PC−CardやPCMCIA型素子といった取り外し可能なメモリー素子のような、あらゆる型のリード・オンリー・メモリーを含み得る。ROM要素206及びRAM要素207は、単一の装置又は個別の装置として具現し得る。有線遠隔制御装置(「RCU」)210は、線212を介して制御装置200に電気的論理的に接続し得る。無線RCU215を与える事ができ、それは、線218を介して送受信機220に接続される受信/送信装置217と無線リンク216を介して通信し得る。送受信機220は、線222を介して制御装置200に電気的論理的に接続し得る。
【0015】
メモリー装置230は、本発明の例となる実施形態に従って利用される医療装置の例として本明細書で述べた電気機械的外科用装置に付随する外科用器具及び/又は付属装置内に含み得る。器具又は付属装置のメモリー装置230は、例えば、製造番号データ235、付属装置型識別子(「ID」)データ240、及び使用データ245を記憶するように構成し得る。メモリー装置230は、更に、その他の及び/又は代替のデータを記憶し得る。外科用器具及び/又は付属装置のメモリー装置230は、例えば遠隔操作卓10の柔軟な柄20内に密封されたデータ転送ケーブルの線250を介して、制御装置200に電気的論理的に接続し得る。外科用器具及び/又は付属装置のメモリー装置は、集めたデータを直接記憶し得るので、本発明の一実施形態において、後述するように遠隔操作卓10との接続を介在させずにサーバーと直接的に接続し得る医療装置として動作する。
【0016】
本発明の例となる実施形態に従うと、医療装置は、医療装置とサーバー及び/又は情報システムとの間に有線及び/又は無線の接続を含み得る。図2に示すように、遠隔操作卓10とサーバー260との間の有線接続は、通信線262を介して存在し得る。医療装置はまた、無線接続264を用いてサーバーに接続し得る。例えば、医療装置は、サーバー260の受信機又は送受信機280と通信し得る無線の送信機又は送受信機270を、とりわけ、含み得る。無線接続264の医療装置側の送信機又は送受信機270は、線272を介し制御装置200に電気的に及び/又は論理的に接続し得る。無線接続264のサーバー260側の受信機又は送受信機280は、線282を介してサーバー260に電気的に及び/又は論理的に接続し得る。無線リンク264は、例えば、無線周波リンク、赤外線リンクのような光リンク、又はあらゆる他の形態の無線通信リンクとし得る。
【0017】
例となる実施形態において、医療提供者(例えば病院)は、上述の遠隔操作卓のような多くの医療装置を使用し得る。医療装置は、医療施設全体にわたり配置し得る。例えば、これらの医療装置は、病院の様々な異なった部屋に位置し得る。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に従って、病院の様々な部屋に配置されたサーバー、記憶装置、及び医療装置の間の関係を図解するネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。本発明の模範的な実施形態に依ると、一つ以上の医療装置310a〜310d、315a〜315dは、病院又はその他の医療提供者施設に設置し得る。これらの医療装置310a〜310d、315a〜315dは、移動し得る(すなわち容易に動かせる)か、又は固定し得る(例えば部屋の壁や床に取り付けられる)。移動式医療装置は、医療施設内の様々な部屋305a〜305dに置くことができ、必要なときには別の部屋305a〜305dに移動し得る。一方、固定された医療装置は、特定の部屋305a〜305dでの使用に専念し得る。医療室305a〜305dは、一般の治療又は診断の部屋として機能することができるか、又は産科/婦人科(ob/gyn)、泌尿器科、一般外科、大腸/直腸等のような特定の専門分野に割り当て得る。医療装置310a〜310d、315a〜315dは、後述する様々な接続機構によって、サーバー360に接続し得る。
【0019】
サーバー360は、少なくとも一つのプロセッサー(図示しないが、365の一部)、メモリー(図示しないが、365の一部)、及び場合によっては記憶装置370を含む一つ以上の装置とし得る。典型的には、サーバー360は、様々な処理装置及び記憶装置370を含み得る一つ以上のコンピュータ・システム365となろう。本発明の例となる実施形態に依ると、サーバー360は、既に病院及び/又はその他の医療提供者の既存のコンピュータ・ネットワーク350の一部となっていることがあり、病院及び/又はその他の医療情報システム(図示せず)の全部又は一部のホストになり得る。例えば、既存の病院サーバー360は、病院内に配置された端末又はクライアント・コンピュータ装置のアクセスし得る患者データを含み得る。サーバー360が含むか又はアクセスする患者データは、患者管理又は請求書作成システム(図示せず)の一部とし得る。サーバーは、情報ネットワーク350を介してクライアント装置(例えば医療装置)315a〜315dと通信する。それゆえ、例えば、サーバー360及びクライアント315a〜315dの両者は、例えばイーサーネット・ネットワーク・インターフェース・カード又は内蔵のイーサーネット機能のような適切なネットワーク接続装置を含むであろう。サーバーがクライアントと通信する情報ネットワーク350は、とりわけ、インターネット、公衆交換電話網(「PSTN」)、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(「MAN」)、及び無線ネットワークのようなあらゆる情報ネットワークとし得る。
【0020】
図3で説明する模範的な実施形態において、第1の医療装置310a〜310d、例えば外科用の及び/又は医療用の付属装置、は、第2の医療装置315a〜315d、例えば遠隔操作卓及び/又は制御装置、に接続される。第1の医療装置310a〜310dは、例えば製造番号及び装置の型のようなデータを記憶し得る。第1の医療装置310a〜310dはまた、例えば装置が用いられた否かに関する指示及び/又は装置が用いられた回数(例えばカウンター)のような使用情報も記憶し得る。次に、第2の医療装置315a〜315dは、記憶されている情報の一部又は全てを読むことができ、次いで、日付時刻印、第1及び/又は第2の医療装置が所定の過程で操作された時間の長さの指示、装置を用いた診療科の指示、装置を用いた治療室の指示、第2の医療装置の製造番号、第2の医療装置に関する使用情報等のような付加的データを生成及び/又は記憶し得る。図3で表した本発明の一実施形態に示すように、次に、第2の医療装置315a〜315dは、情報ネットワーク350を介してサーバー360に医療データを送信する。
【0021】
医療装置315a〜315dは、例えば、固定配線接続335、分離可能な有線接続330、及び無線接続325、340のような多くの通信設備を介して情報ネットワーク350に接続し得る。固定配線接続335は、医療装置315cに対して直接的にケーブル又はその他の接続を有する。この接続において、通信線は、容易に分離可能ではなく、それゆえ、接続の「固定配線」特性となる。固定配線接続335は、早期のネットワーク接続装置では普及したが、今日ではあまり一般的ではない。分離可能な有線接続330もまた、医療装置315bに直接的にケーブル又はその他の接続を有するが、ただし、このケーブル接続は、たいていはケーブル又はその他のワイヤー接続が医療装置上のポートにプラグで入る形態となっているので、容易に分離可能である。ケーブル又はその他のワイヤー接続はまた、部屋305bの接続ポート300に接続することができ、この接続ポート300は、典型的には情報ネットワーク350に対して固定配線される。無線接続325、340は、無線信号を送信及び/又は受信し得る送受信機又はその他の装置を、無線接続の両端に有する。医療装置315aは、装置に埋め込まれた送受信機(図示せず)を有することができ、医療室305a内の別の送受信機320に対して無線リンク325を確立し得る。この医療室305aの送受信機320は、情報ネットワーク350に対して固定配線し得る。情報ネットワーク350が医療室305dの外部に位置する送受信機(図示せず)を含むので、医療装置315dはまた、情報ネットワーク350に対して無線リンク340を確立し得る。医療装置315dはまた、情報ネットワーク350をバイパスし、病院及び/又は医療情報システム・サーバー360のコンピュータ365及び関連する送受信機(図示せず)と無線リンク345を直接確立し得る。無線接続の確立の如何を問わず、無線リンク325、340、345及び信号は、光(例えば赤外線)、無線周波リンク、又はあらゆる他の形態の無線通信とし得る。
【0022】
それとは別に模範的な実施形態において、遠隔操作卓のような第2の医療装置315a〜315dに接続される外科用器具及び/又は付属装置のような第1の医療装置310a〜310dは、本発明の別の実施形態に応じて、サーバー360に直接的に接続し得る。上述したこの接続は、固定配線、有線、及び/又は無線とし得る。第1の医療装置310a〜310dを用いる医療従事者(例えば、医者、看護師、内科医等)の役に立つ自由度が増すので、無線接続は、これらの接続の内で最も有益である。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に従って、介在する第2の医療装置を用いない、情報ネットワークを介した、第1の医療装置とサーバーとの間の相互接続を示すネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。本発明のこの別の実施形態によれば、一つ以上の医療装置410a〜410eは、病院又はその他の医療施設の様々な医療室405a〜405eに位置し得る。医療装置410a〜410eは、移動できるか、又はそれらが位置する医療室405a〜405eに固定し得る。医療装置410a〜410eは、情報ネットワーク450を介して病院及び/又は医療情報システム・サーバー460に接続し得る。情報システム・サーバー460は、例えば、プロセッサー(図示せず)、メモリー(図示せず)及び一つ以上の記憶装置470を含むサーバー・コンピュータ465を含み得る。情報システムは、病院及び/又は医療情報システム(すなわち図示しないソフトウェア及びデータ)の全て又は一部のホストとなり得る。
【0024】
図4に示す本発明の例となる実施形態は、遠隔操作卓のような第2の介在する医療装置を用いずに情報ネットワーク450を介してサーバー460に直接的に接続される、外科用器具及び/又は付属装置のような、第1の医療装置410a〜410eを説明する。医療装置410a〜410eが情報ネットワーク450及びサーバー460に接続する手段は、図3で議論したように、第2の医療装置315a〜315dが接続された手段と同様である。医療装置410cは、医療室405cから情報ネットワーク450に対して直接的に固定配線接続435を有し得る。ケーブル又はその他のワイヤーが、医療装置410bに分離可能に接続され、医療室405bに位置する接続ポート400と分離可能に接続し得る、分離可能な有線接続430を、医療装置410bはまた有し得る。接続ポート400は、情報ネットワーク450に固定配線し得る。医療装置410a、410d〜410eはまた、情報ネットワーク450及びサーバー460と無線接続425、440、450を有し得る。医療装置410aは、無線信号を送信及び受信するために埋め込まれた送受信機(図示せず)を有し得る。医療装置410aは、無線リンク425を介して、医療室405aに位置する送受信機420と通信し得る。この送受信機420は、情報ネットワーク450に固定配線し得る。埋め込まれた送受信機(図示せず)を有する医療装置410dはまた、無線リンク440の無線接続を介して、情報ネットワーク450に接続された別の送受信機(図示せず)と通信し得る。ここで、この送受信機(図示せず)は、同じ医療室405dには位置しない。送受信機(図示せず)を有する医療装置410eはまた、サーバー・コンピュータ465に接続された送受信機(図示せず)により、サーバー460と直接的に無線接続445を確立し得る。
【0025】
本発明の別の実施形態において、第1の医療装置(例えば外科用器具及び/又は付属装置)は、第2の医療装置(例えば遠隔操作卓)及び図3と4で説明した実施形態の組み合わせにおけるサーバーの両者に接続し得る。例えば、第1の医療装置(例えば外科用ホチキス)は有線接続(すなわちケーブル)を用いて遠隔操作卓に接続し得る。同じ第1の医療装置はまた、無線通信リンクを用いてサーバーと直接的に接続し得る。第1の医療装置の送受信機が、同じ医療室か、情報ネットワーク上の他の場所か、サーバーに位置する第2の送受信機と無線信号を送信及び/又は受信する形態で、この通信リンクは、確立し得る。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、医療装置によって収集及び/又は決定されたデータは、例えば、医療装置の製造番号、装置及び/又は付属装置の型識別子データ、及び/又は使用データを含み得る。本発明の別の実施形態において、その他の型のデータは、併せて及び/又は代替に、医療装置によって収集及び/又は決定し得る。このデータは、第1及び/又は第2の医療装置によって収集及び/又は決定することができ、上述のサーバーに送信される。本発明の模範的な実施形態に応じて、収集及び/又は決定された医療データの転送は、インタラクティブに実時間で実行し得る。実時間データ転送は、データが収集及び/又は決定されるときに、データの送信を伴い得る。本発明の別の実施形態において、データの転送は、周期的に実行することができ、ここでは、データはある間隔で医療装置からサーバーに転送される。例えば、医療装置は、ある所定の間隔、あらかじめプログラムされた(例えば、ある閾値限界に到達したとき)間隔、及び/又は無秩序な間隔でバッチ・データを転送するように構成し得る。
【0027】
本発明の一実施形態に応じて、収集及び/又は決定された医療データは、図3及び4に示したような中央集積所に転送し得る。中央集積所は、データが記憶される一つ以上のデータベースとし得る。中央集積所の一つ以上のデータベースは、本発明の一実施形態における別の病院及び/又は医療情報システムで用いられるデータベースとは異なる別個のものとし得る。この異なる統合医療装置データベース(「統合情報システム」)は一つ以上の様々な医療装置からサーバーに送信される医療データを一元管理し得る。この実施形態によれば、病院及び/又は医療情報システム・サーバー(すなわちサーバー)はまた、他の病院及び/又は医療情報システムのホストとなるサーバーとは異なったものとし得る。更に、本発明の一実施形態によれば、統合情報システムは、一極集中の集積所ではなく、例えば複数のサーバーにわたって広がる集積所の部分で分布情報システムを使用し得る。
【0028】
本発明の別の実施形態において、医療装置データは、別個の統合情報システムに最初に統合されるのではなく、患者情報システムのような別の既存の病院及び/又は医療情報システムの表及び/又はファイルに直接的に統合し得る。この実施形態によれば、医療装置は、データ送信インターフェースを介して一つ以上の病院情報システムと直接的に統合し得る。このインターフェースは、医療装置上、サーバー上、及び/又は情報ネットワーク上のその他の場所に存在するソフトウェア・プログラム又はプログラム要素とし得る。
【0029】
本発明の一実施形態によると、収集及び/又は決定された医療データは、その代わりに、診療科別集積所のような中間にある分散化した集積所に転送し得る。この別の実施形態によれば、病院及び/又はその他の医療提供者における診療科又は診療科のグループは、個別のサーバー及び統合情報システムを有し得る。この診療科又は診療科のグループに属する装置のための医療装置データは、各分散化(すなわち診療科別)統合情報システムに送信される。これらの診療科別統合情報システムからの情報は、一極集中統合情報システムに更に統合し得るか、又はその他の病院及び医療情報システムに直接的に統合し得るか、のいずれかである。
【0030】
医療装置データは、本発明の様々な実施形態に応じて、最初に一極集中統合情報システム、分散化診療科別統合情報システムに送信されようと、直接的に病院及び/又は医療情報システムに送信されようと、最終的には本発明の一実施形態に応じて病院及び/又は医療情報システムと統合し得る。例えば、用いられる医療装置に関する詳細な情報及び患者に対する使用の詳細を患者の電子記録に記憶し利用できる患者情報システムと医療装置データは、統合し得る。例えば、この情報はまた、より十分に治療を評価するか、内科的合併症の原因を決定するために、又は請求書作成の目的で使用し得る。
【0031】
別の実施形態において、医療装置及びその使用に関する詳細な情報を請求総額決定に用いることができ請求明細書に含み得る、請求書作成情報システムと医療装置データは統合し得る。例えば、請求書又は明細書は、装置使用の具体的な故障、又は、提供される医療装置データに全体的又は部分的に基づいて施された治療、を含み得る。この情報はまた、患者に対する保険提供者に送信することができ、病院及び/又はその他の医療提供者の維持する保険情報システムの一部とし得る。例えば、医療データの自動収集は、患者治療に関するより詳細な情報を保険提供者が得るのを支援することができ、保険の報告をするための情報を処理するために病院及び/又はその他の医療提供者が要する時間の量を削減し得る。
【0032】
例えば、医療装置の使用、使用により得られる収益、及び関連するコストを追跡するための会計情報システムの一部として、医療装置データはまた使用し得る。例えば、医療装置が交換を要するまでに使用され得る推定回数に基づいて医療装置の減価償却を決定するために、医療装置データは使用し得る。この上述の例において、医療装置データは、唯一の可能な、財務の及び/又は会計の、目的で医療装置の使用を追跡するために用いられる。更に、使用で生じる歳入又は医療装置の使用による周辺の歳入のような財務情報を決定するために、医療装置データは使用し得る。医療装置データはまた、ある設備及び処置の採算性を病院及び/又はその他の医療提供者が決定するのを支援することができ、そのようなサービスのより公平な価格を支援し得る。医療装置データはまた、使用によるコスト、使用による周辺のコスト、及びその他のデータ関連コストを計算するのに有効となり得る。
【0033】
装置及び/又は処置の有効性を評価するために、又はその他の統計的な及び/又は報告の目的のために、必要なFDA情報を提供すべく情報を用いるFDA追跡及び/又は監視情報システムと、医療装置データはまた統合し得る。
【0034】
医療装置の保守及び交換を計算し予定するために医療装置使用情報を用いて、それにより、医療装置の使い過ぎによる面倒な問題を避ける、資産管理システムと、医療装置データはまた統合し得る。この点で、ある特定の医療装置(例えば使い捨ての付属装置)は一定の在庫水準を下回った場合に再発注する必要があるということを管理者に通知するために、医療装置データはまた使用し得る。別の実施形態において、医療装置(例えば使い捨て外科用付属装置)の発注を自動的に発行する自動発注システムの一部として、医療装置データはまた使用し得る。
【0035】
図5は、本発明の一実施形態に依る、医療装置、病院及び/又は医療情報システムとサーバー、及び自動発注システムとサーバーの間の相互接続を表すネットワーク・トポロジーの例を表すブロック・ダイアグラムである。図5は、上で議論したように、医療提供者の医療室505a、505b内の少なくとも一つの医療装置510a、510b、515が情報システム・サーバー540にデータを供給する本発明の一実施形態を表す。一医療室505aにおいて、第1の医療装置510aは、遠隔操作卓のような第2の医療装置515に接続し得る。第2の医療装置515は、無線接続525を介して部屋505aにある送受信機520に接続することができ、それ自体は、例えば固定配線で、病院及び/又は医療提供者情報ネットワーク535に接続し得る。第2の医療室505bにおいて、第1の医療装置510bは、分離可能な有線リンク530によって病院及び/又は医療提供者情報ネットワーク535に接続される。この例となる実施形態において、有線リンクは、第1の医療装置505b及び部屋にある接続ポート500の両者に分離可能に接続される。接続ポート500は、医療提供者情報ネットワーク535に固定配線し得る。コンピュータ545及び記憶装置550の少なくとも一つを含む情報システム・サーバー540に、医療情報ネットワーク535を介して、医療装置データは送信し得る。データは、サーバー540の記憶装置550上に一つ以上の情報システムで記憶される。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、一つの病院及び/又は医療提供者情報システムは、在庫管理システム及び/又は発注記入システムを全体に又は一部に含み得る。上述したように、例えば外科用付属装置のような特定の医療装置の状態及び/又は在庫を追跡するために、医療装置データは使用し得る。新しい医療装置に交換する必要のあるとき、及び/又は、手持ちの在庫がある閾値限界を下回ったとき、例えばインターネットのような外部情報ネットワーク560を介して、発注は発行し得る。サーバー570の記憶装置580上に記憶することができサーバー570のコンピュータ575上で動作する供給者の在庫発注システム(図示せず)を含む別のサーバー570で、発注は発行し得る。
【0037】
本発明によれば、在庫追跡の全過程を大幅に自動化することができる。必要ならば、この自動化は、医療装置データの自動生成及びその医療提供者情報システムへの自動送信から、在庫の自動発注へ拡張し得る。本発明の一実施形態において、在庫管理及び/又は発注過程の自動化は、この過程における人間の介入の必要性を除外するか又は大幅に低減する。
【0038】
また、本発明によれば、病院及び/又は医療情報システム・サーバー540のような医療提供者情報システムは、インターネットのような情報ネットワーク560を介してソフトウェアを受信することが可能となる。例えば、サーバーが医療装置510a、510bのような医療装置から受信する医療装置データを処理する、病院及び/又は医療情報システム・サーバー540の使用する、オペレーティング・ソフトウェアは、インターネットを介して、病院及び/又は医療情報システム・サーバー540により受信し得るか、又それ以外では病院及び/又は医療情報システム・サーバー540は、インターネットを介して、そのようなオペレーティング・ソフトウェアの更新版を受信し得る。このように、サーバーが医療装置から受信する医療装置データを処理する、病院及び/又は医療情報システム・サーバー540の使用する、ソフトウェアは、所望であれば、定期的に変更し得る。
【0039】
医療装置データを統合し得る上述の例となる病院及び/又はその他の医療情報システムは、単に模範的であるに過ぎない。実際の病院及び/又はその他の医療情報システムは、上で個別に議論したいくつかの例の多くの様態を包含することができ、統合医療装置データが特に好都合となり得る付加的な機能を含み得る。例えば、単一の病院及び/又は医療情報システムは、患者、請求書作成、及び保険情報と報告する機能を含み得る。医療装置データは、様々な種類の病院及び/又はその他の医療情報システムと自動的電子的に統合し得ることを当業者は認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−93060(P2013−93060A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27490(P2013−27490)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2011−126665(P2011−126665)の分割
【原出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)