説明

統合失調症の記憶・学習機能障害治療薬のinvivoスクリーニング方法

統合失調症の動物モデルとしてグルタミン酸N−methyl−D−aspartate(NMDA)型受容体機能低下を有するモデルを利用し、参照記憶課題を用い、記憶・学習機能を評価する方法において、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の作用の差を見出すための具体的な方法を見出した。 統合失調症の認知機能障害の改善薬をスクリーニングするためのin vivo動物モデルの提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善する治療薬をin vivoにおいてスクリーニングする方法に関するものである。
【背景技術】
グルタミン酸は、中枢神経系において最も一般的な興奮性の神経伝達物質であり、その受容体はNMDA型、a−amino−3−hydroxy−5−methyl−4−isoxazolepropionic(AMPA)型、kainate型、代謝調節型(metabotropic type)に大別することができる。NMDA型受容体は、記憶・学習機能の電気生理学的な基礎過程である長期増強(long−term potentiation:LTP)の成立において、重要な役割を果たすことが明らかとなっている(Science 285:1870−1874(1999))。動物レベルにおいては、受動的回避反応、放射状迷路、TまたはY字迷路、水迷路、場所または物体認識、autoshaping learning task、レバー押し課題など様々な記憶学習課題において、NMDA受容体拮抗薬が記憶・学習障害を引き起こすことがわかっている(Brain Res Rev 41:268−287(2003))。人においては、同じくNMDA受容体拮抗薬であるPCPやketamineなどが、認知障害を引き起こすことが報告されている(Psychopharmacology 169:215−233(2003))。すなわち、NMDA型受容体が記憶・学習過程に重要な役割を果たすことは、電気生理学的レベル、動物、人レベルにおいて一致した所見である。
NMDA型受容体機能の低下は、統合失調症の発症機序メカニズムとして最も有力な仮説となっている。本仮説は以下の4点から形成される。(i)NMDA受容体拮抗薬であるPCPおよびketamineが、健常人において認知障害、陽性・陰性症状を含めて統合失調症の主要な症状を引き起こすこと、統合失調症患者においては症状の増悪を引き起こすこと(Am J Psychiatry 158:1367−1377(2001)、Psychopharmacology 169:215−233(2003))、(ii)NMDA受容体機能を亢進することで知られるglycine、D−serineそしてD−cycloserineが、統合失調症患者における抗精神病薬の薬効を増強し、陰性症状や認知機能障害を改善する臨床報告があること(Am J Psychiatry 158:1367−1377(2001)、Psychopharmacology 169:215−233(2003))。(iii)グルタミン酸自体の量やNMDA拮抗作用を持つ内在性物質N−acetyl−aspartyl glutamate(NAAG)の量の変動が統合失調症患者で見られること(Am J Psychiatry 158:1367−1377(2001))、NMDA型受容体サブユニットやNMDA受容体関連蛋白のmRNAや蛋白の量の変化が統合失調症患者に見られること(Am J Psychiatry 157:1811−1823(2000)、Am J Psychiatry 160:1100−1109(2003)、Society for Neuroscience Program No.754.4.(2003))、(iv)統合失調症発症関連遺伝子として最近見つかった一連の遺伝子(Neuregulin 1、G72、dysbindin、calcineurin)がNMDA受容体の機能を修飾しうる遺伝子であること(Proc Natl Acad Sci USA 99:13365−13367(2002)、Neuron 40:881−884(2003))。以上の事実から、NMDA型受容体拮抗薬によって引き起こされる機能障害は、統合失調症における機能障害を反映するモデルであると一般的に考えられている。
統合失調症は、注意・記憶・学習・実行機能などの種々の認知機能障害を伴うが、それらのうち、特にある種の記憶機能が選択的かつ重篤に冒されているとする報告が見られる。すなわち、記憶は、手続き記憶(procedural memory)と宣言的記憶(declarative memory)とに大別でき、宣言的記憶はさらに短期・作動記憶(short−term memory/working memory)と長期・参照記憶(long−term memory/reference memory)とに分類することができるが、統合失調症においては、作動記憶・参照記憶の双方を含めた宣言的記憶が選択的に冒され、さらにそのうち参照記憶の障害が最も重篤であるとする報告がなされている。最近、このような参照記憶障害を含む認知機能障害が、統合失調症患者の社会日常的・職業的能力やquality of lifeの最も重要な予測因子であることが報告された。そして、現在では、認知機能障害が統合失調症における中核症状として位置付けられている(Psychopharmacology 169:213−214(2003)、Proc Natl Acad Sci USA 96:13591−13593(1999)、Psychoneuroendocrinology 28:27−38(2003)、Psychiat Clin N Am 26:25−40(2003))。このような中、統合失調症の種々の認知障害に対する既存の抗精神病薬の作用に関して多くの臨床試験がなされつつあり(Psychopharmacology 162:11−17(2002)、Psychoneuroendocrinology 28:27−38(2003)、Psychiat Clin N Am 26:25−40(2003))、定型抗精神病薬haloperidolが無効である一方、非定型抗精神病薬の一部が有効である証拠が提出されつつある(J.Clin Psychiatry 65:361−372、Psychoneuroendocrinology 28:27−38(2003)、Psychiat Clin N Am 26:25−40(2003))。しかしながら、これら既存薬の薬効は不十分であるため、統合失調症の認知機能障害の治療薬の開発が重要であることが議論されている(Science 299:350−351(2003))。
一方、一般的に人疾患の治療薬の研究開発においては、スクリーニングに適した動物モデルの開発が必須である。そのような動物モデルにおいては、症状の類似性(face validity)、症状の発症機序の類似性(construct validity)、臨床の薬効の予見性(predictive validity)、さらにはスクリーニングに適した簡便性が問われる。しかしながら、このような点を満たした統合失調症の認知障害の動物モデルは、未だ極めて限られている状態であると考えられる。すなわち、先に挙げた諸条件を満たす統合失調症の動物モデルとしては、PCPによるprepulse inhibitionまたはsocial interactionの障害モデルを挙げることができる(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiaty 27:1071−1079(2003))。これらのモデルは定型抗精神病薬ではなく非定型抗精神病薬の薬効を選択的に検出でき、統合失調症における薬剤の臨床効果を一部反映した結果を示すことが知られている。しかしながら、これらは、前者が統合失調症における情報処理機能(sensorimotor gating function)の異常、後者が統合失調症の社会的引きこもりなどの陰性症状を反映するものと考えられる。従って、上記してきたとおり、(1)統合失調症における最も重篤な認知機能障害である参照記憶障害を反映し(「症状の類似性」)、(2)統合失調症の最も有力なNMDA受容体機能低下を伴い(「発症機序の類似性」)、(3)定型薬よりも非定型薬において優れた薬効を見出すことができる(「臨床効果の予見性」)ような、簡便な薬効評価モデルは、統合失調症の中核症状である認知障害治療薬の研究開発において、極めて有用であると考えられるものの、これら諸条件を満たす動物モデルは今日に到るまで知られていなかった。
動物において、参照記憶を調べるためには、訓練と、その一定時間後に実施されるテストの双方から成立する種々の課題を用いることができる。動物は、訓練において、例えば電撃ショックなどの回避反応(受動的・能動的回避反応)、水面下の目に見えないプラットフォームに泳いで到達する行動(水迷路課題)、迷路課題をこなして餌を取ったり、電撃ショックを避けたりする行動(放射状迷路課題、Y or T字迷路課題)、新規な場所または物体を認識して探索する行動、餌を取るためにレバーを押す行動、などを学習し、その記憶を獲得する。動物は、一定時間後、全く同じ実験環境下に戻され、獲得した記憶を想起することを試される。参照記憶課題においては、動物は訓練時に特定の順序で提示される特定の環境・刺激を全て記憶するのであり、訓練時の記憶獲得の成否をテスト時に正しく判断するためには、訓練とテストを全く同様な環境・刺激下で実施する必要性がある。特に、エタノールやNMDA型受容体拮抗薬などは、参照記憶課題の訓練時にのみ投与し、テスト時に投与しないことによって、記憶の想起異常を示すことがあることが報告されている(Brain Res 706:227−232(1996)、Pharmcol Biochem Behav 69:585−593(2001))。このような場合、動物はこれら薬剤の投与によって引き起こされた脳内環境に依存した参照記憶を獲得しているのであり、事実、これら薬剤の訓練・テスト時双方における投与により、獲得記憶が正しく想起されることがわかっている。このような現象は、一般的にstate−dependencyと呼ばれている。参照記憶機能の評価においては、state−dependencyに対する配慮が必要となる場合があり、それによって人為的な記憶機能の評価ミスを避ける必要性がある。NMDA型受容体拮抗薬などの記憶・学習機能障害誘発薬によるstate−dependencyの効果を避けて、参照記憶・学習機能を評価するためには、上述したように、訓練・テスト双方において記憶・学習機能障害誘発薬の投与を実施する方法がある。また、この代替法として、訓練・テストを含む期間慢性的に記憶・学習機能障害誘発薬を投与する方法を用いることができることは容易に推測できる。さらには、記憶・学習機能障害誘発薬を投与する代わりに、遺伝子改変の技術を用いて、参照記憶課題の訓練・テストを含む期間、慢性的な機能異常を発現せしめる方法を用いることも可能である。例えば、NMDA型受容体機能を慢性的に低下させた動物モデルの具体的な例として、NMDA型受容体サブタイプNR1のknockdownやNR2Aサブタイプのknockout動物が既に作成されている(Cell 98:427−436(1999)、J Neurosci 21:750−757(2001))。
【発明の開示】
統合失調症の記憶・学習機能障害治療薬をスクリーニングする方法を提供する。より詳しくは、既存の治療薬の臨床効果の予見性を備えた、簡便な統合失調症の動物モデルとして、NMDA型受容体機能低下による参照記憶障害モデルを提供する。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、訓練およびテスト時双方においてNMDA型受容体機能低下を引き起こした動物における参照記憶障害が、定型抗精神病薬ではなく非定型抗精神病薬によって特異的に改善しうることを見出し、本評価系が、非常に簡便な、再現性の高い評価系であることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 試験化合物が、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善する可能性があるか否かを予測するin vivoスクリーニング方法であって、統合失調症の動物モデルとしてグルタミン酸N−methyl−D−aspartate(NMDA)型受容体機能低下を有するモデルを利用し、参照記憶課題を用い、記憶・学習機能を評価する工程を含む方法。
〔2〕 参照記憶課題が、受動的回避反応課題(passive avoidance task)、能動的回避反応課題(active avoidance task)、水迷路課題(water maze task)、放射状迷路課題(radial maze task)、T or Y字迷路課題(T or Y maze)、場所認識課題(place recognition task)、物体認識課題(object recognition task)、autoshaping learning task、レバー押し課題(lever−pressing task)である上記1記載の方法。
〔3〕 参照記憶課題が、訓練とテストの2つのセッションから構成され、訓練において、上記2に記載したいずれかの課題を学習させ、その記憶を獲得(acquisition)せしめ、訓練の一定時間ののちにテストを実施し、テスト時における記憶の維持(retention)・想起(retrieval)能力を定量化する課題である、上記1記載の方法。
〔4〕 NMDA型受容体機能低下モデルが、NMDA型受容体拮抗作用を有する化合物、例えばMK−801、phencyclidine(PCP)、ketamine、あるいはこれらの誘導体を用い、これらを参照記憶課題の訓練時とテスト時双方において動物に投与する、あるいは訓練・テストを含む期間において慢性的に動物に投与することによって作製されるモデルである、上記1記載の方法。
〔5〕 NMDA型受容体機能低下モデルが、NMDA型受容体の構成蛋白、あるいは関連蛋白の遺伝子の変異、過剰発現あるいは欠失を有することによって、参照記憶課題の訓練時とテスト時双方においてNMDA型受容体機能低下を伴う動物モデルである、上記1記載の方法。
〔6〕 上記1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択される物質を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔7〕 上記1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択されるセロトニン5−HT1A拮抗剤を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔8〕 上記1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択されるアセチルコリン合成酵素阻害剤を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔9〕 アリセプトを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔10〕 ケチアピンを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔11〕 ケチアピンを一日投与量として5−270mg含む上記10記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔12〕 ケチアピンを一日投与量として15−90mg含む上記10記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔13〕 クロザピンを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔14〕 クロザピンを一日投与量として0.2−34.5mg含む上記13記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔15〕 クロザピンを一日投与量として0.7−11.5mg含む上記13記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔16〕 一般式 〔I〕

{式中、Zは式

(式中、Bはカルボニルまたはスルホニルを表す。R、R、R、Rは各々独立して水素原子あるいは低級アルキルを表す。ただし、RとRあるいはRとRが一緒になって炭化水素環を、またはRとRが一緒になって芳香族炭化水素環を形成してもよい。当該炭化水素環は低級アルキレンまたは酸素原子で架橋されてもよい。当該低級アルキレンおよび炭化水素環は少なくとも1つのアルキルで置換されてもよい。nは0または1を表す。)を表す。Dは式
―(CH−A−(CH
(式中、Aは低級アルキレンまたは酸素原子で架橋されてもよい炭化水素環を表す。当該低級アルキレンおよび炭化水素環は少なくとも1つのアルキルで置換されてもよい。p、qは各々0、1または2を表す。)を表す。GはN、CHあるいはCOHを、−Arは芳香族複素環基、芳香族炭化水素基、ベンゾイル、フェノキシあるいはフェニルチオを表すか、またはGは炭素原子を、−Arはビフェニルメチリデンを表す。当該芳香族複素環基、芳香族炭化水素基、ベンゾイル、フェノキシ、フェニルチオおよびビフェニルメチリデンは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子で置換されてもよい。}で表されるイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔17〕 Arが二環性の芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシあるいはフェニルチオであり、GがN、CHあるいはCOHであるかまたは−Arがビフェニルメチリデンであり、Gが炭素原子である(当該二環性の芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシ、フェニルチオおよびビフェニルメチリデンは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子で置換されてもよい。)上記16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔18〕 Arがベンゼン環と縮環した芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシまたはフェニルチオ(当該ベンゼン環と縮環した芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシおよびフェニルチオは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子により置換されてもよい。)であり、GがN、CHまたはCOHである上記16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔19〕 Zが式

(式中、−L−は単結合または二重結合を表す。Eは低級アルキルで置換されてもよい低級アルキレンまたは酸素原子を表す。Rは水素原子または低級アルキルを表す。Bは上記14記載の意味を表す。)、


(式中、−L−、E、RおよびBは前記の意味を表す。)、式

(式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15は各々水素原子または低級アルキルを、またはR、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15で隣接するふたつが結合して二重結合を表す。Bは前記の意味を表す。)、


(式中、R16、R17は各々独立して水素原子または低級アルキルを表すかまたはR16、R17は一緒になって飽和炭化水素環を表す。RおよびBは前記の意味を表す。)、または式

(Bは前記の意味を表す。)である上記16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔20〕 一般式[1]で表される化合物がlurasidone

であるイミド誘導体又はその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
〔21〕 一般式(2)

[Zは二価の硫黄、イミノ、低級アルキルイミノを表し、
11は水素、炭素数1から5のアルキルを表し、
12は水素、炭素数1から5のアルキル、フェニル、R15置換フェニル、炭素数1から5のアミノアルキルを表し、炭素数2から8の低級アルキルアミノアルキル、低級アルキルアミノ、アミノ、低級アルキルアミノを表し、又は、
11、R12はNと一緒になって、1−ピロリジジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニル、4−低級アルキル−1−ピペラジニル、4−(ヒドロキシ低級アルキル)−1−ピペラジニル又は4−(低級アルコキシ低級アルキル)−1−ピペラジニルを表していてもよい。
13、R14およびR15は、水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオを表す]
で表される化合物又はその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
本発明によって、定型抗精神病薬haloperidolではなく非定型抗精神病薬の一部に特異的な記憶・学習改善作用を見出すための具体的な方法が示された。この結果は、臨床上haloperidolに認知機能障害改善作用がないこと、非定型抗精神病薬に認知機能障害改善作用が存在することと合致するものである。その結果、統合失調症の認知機能障害の治療薬をスクリーニングする方法、ならびに具体的な治療剤を提供することが可能となった。実際、risperidone、clozapineやquetiapineに加え、現在開発中の新規統合失調症薬候補であるlurasidone、ノルアドレナリンα2受容体拮抗薬1−(2−pyrimidyl)piperazine dihyfrochloride(以後1−PPと略す)およびセロトニン5−HT1A受容体拮抗薬に薬効を認め、新たな統合失調症の認知障害改善薬の候補を提供することができた。また、clozapine、quetiapineによる記憶・学習改善作用は、抗精神病作用の用量より10倍以上低い容量で見られることから、異なる作用機序が推測された。さらに、薬剤が獲得改善した参照記憶課題の想起は、NMDA型受容体機能低下の状態に依存(state−dependent)して起こることが示されたため、薬剤の参照記憶障害改善作用の評価の新規な、具体的な方法として、訓練・テスト双方を含む期間、NMDA型受容体機能低下を起こす方法が有用であることが示された。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、試験化合物が、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善する可能性があるか否かを予測するin vivoスクリーニング方法であって、統合失調症の動物モデルとしてNMDA型受容体機能低下を有するモデルを利用し、参照記憶課題を用い、記憶・学習機能を評価する、の工程を含む方法を提供する。
参照記憶課題は、受動的回避反応課題、能動的回避反応課題、水迷路課題、放射状迷路課題、T or Y字迷路課題、場所認識課題、物体認識課題、autoshaping learning task、レバー押し課題を用いることができる。
参照記憶課題とは、訓練とテストの2つのセッションから構成され、訓練においてある課題を学習させ、その記憶を獲得せしめ、訓練の一定時間ののちにテストを実施し、テスト時における記憶の維持・想起能力を定量化する課題である。
NMDA型受容体機能低下モデルとしては、NMDA型受容体拮抗作用を有する化合物、例えばMK−801、PCP、ketamine、あるいはこれらの誘導体を用い、これらを参照記憶課題の訓練時とテスト時双方において動物に投与する、あるいは訓練・テストを含む期間において慢性的に動物に投与することによって作成されるモデルを用いることができる。
あるいは、NMDA型受容体機能低下モデルとして、NMDA型受容体の構成蛋白、あるいは関連蛋白の遺伝子の変異、過剰発現あるいは欠失を有することによって、参照記憶課題の訓練時とテスト時双方においてNMDA型受容体機能低下を伴う動物モデルを使用することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
(方法)
7週齢のWistar系雄性ラットを使用した。試験化合物として、定型抗精神病薬であるhaloperidol、非定型抗精神病薬であるclozapine、quetiapine、risperidone、olanzapine、aripiprazole、あるいは新規抗精抻病薬として開発中のlurasidoneを0.5% Methyl Cellulose(MC)にて懸濁して使用した。試験化合物として、セロトニン5−HT1A受容体拮抗薬WAY−100635、ノルアドレナリンα2受容体拮抗1−PPは生理食塩水(大塚製薬)に溶解した。NMDA型受容体拮抗薬として、MK−801 hydrogen maleate(SIGMA−ALDRICH M−107)を生理食塩水(大塚製薬)に溶解した。試験化合物0.3−10mg/kgとその対照薬として0.5% MCあるいは生理食塩水を受動回避反応課題における訓練の1時間前に経口投与、あるいは腹腔内投与し、MK−801 0.05mg/kgまたはその対照薬として生理食塩水を訓練、およびテストの30分前に皮下投与した。MK−801のstate−dependencyの評価においては、MK−801を訓練時に投与し、生理食塩水をテスト時に投与した。いずれも5mL/kgの投与液量とした。
ステップ・スルー型受動的回避反応試験においては、実験装置として明暗実験箱、明暗箱を仕切るスライドドアとショックジェネレータとから構成される装置(小原医科産業株式会社製、PA−2030A、PA−3001A)を利用し、以下のように実施した。すなわち、実験初日において、試験化合物およびMK−801投与後、実験装置の明箱に、背を暗箱側に向けてラット入れ、その10秒後に明暗箱の境界に設けてあるスライドドアを開けた。ラットが習性に従って暗箱に入った時点でスライドドアを素早く閉め、暗箱入室から3秒後に、0.5mA、3秒間の電気ショックを与えた。スライドドアを開けた直後からラットが暗箱に入室するまでの時間を移動潜時(step−through latency)として測定した。300秒を超えても暗室へ入室しない動物については、訓練を終了し、訓練不成立として以下の試験から除外した。実験2日目、訓練から約24時間後にテストを行った。テストの30分前には、MK−801あるいはその溶媒である生理食塩水の皮下投与を実施した。テスト時の操作は、電気ショックを与えない以外は訓練時と同様に実施した。テスト時の移動潜時(step−through latency)は最長300秒まで測定し、300秒を超えたものについては300秒とした。テスト時に300秒を示した動物数を数え、各群ごとにその発生率を百分率(% of animals avoidingと定義)にて計算した。% of animals avoidingの統計解析においては、Bonferroniの補正付きχ検定を用いた。動物は一群10−25匹用い、データは百分率を示した。
(結果)
まず、MK−801を用いない状態で、薬剤を単独投与し、薬剤が受動的回避反応における記憶・学習障害を誘発する用量を決定し、その用量以下であって記憶・学習障害を誘発しない用量をMK−801モデルにおける投与用量とした(表1)。
MK−801を訓練前に投与し、生理食塩液をテスト前に投与した動物は、訓練・テスト双方においてMK−801を投与した動物と同程度のstep−through latencyの低下を示した。すなわち、MK−801を訓練前のみ、あるいは訓練・テスト前に投与した場合の記憶障害は、想起障害ではなく、記憶の獲得障害であることがわかった。
次に、MK−801を訓練・テストの双方に投与した場合において見られる記憶障害に対する薬剤の作用を調べた。MK−801非投与群では、300秒のstep−through latencyを示す動物(% of animals avoiding)が全ての実験で75−80%見られた。これに対し、MK−801投与によって、% of animals avoidingが全ての実験で0−5%となった。試験化合物の% of animals avoidingに対する作用をまとめたのが表1である。表1のとおり、個々の薬剤の薬効強度に差を認めた。すなわち、定型抗精神病薬haloperidol、および非定型抗精神病薬olanzapine、aripiprazoleにおいては薬効が認められなかったが、非定型抗精神病薬のclozapine、quetiapine、lurasidone、セロトニン5−HT1A受容体拮抗薬WAY−100635、ノルアドレナリンα2受容体拮抗薬1−PPにおいて顕著な改善活性を認めた。
興味深いことに、抗精神病作用を反映するラットメタアンフェタミン誘発運動亢進を50%抑制する用量(ED50,mg/kg p.o.)は、clozapineにおいて65、quetiapineにおいて約100であることがわかっている。すなわち、clozapine、およびquetiapineは、抗精神病作用ED50のそれぞれ65〜217倍、および10倍低用量において記憶・学習障害改善作用を発揮することが示され、抗精神病作用とは異なる作用機序によって記憶・学習改善作用を示すことが明らかとなった。clozapineの抗精神病薬としての臨床での一日投与量を150−750mgとすると、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善するためには150/217−750/65(即ち0.7−11.5mg)を前後約3倍広げた投与量である0.2−34.5mg、好ましくは0.7−11.5mgの投与量となる。一方。quetiapineの抗精神病薬としての臨床での一日投与量を150−900mgとすると、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善するためには150/10−900/100(即ち15−90mg)を前後約3倍広げた投与量である5−270mg、好ましくは15−90mgの投与量となる。
最後に、最も顕著な記憶障害改善作用を示したlurasidoneおよび1−PPについて、MK−801を訓練時にのみ投与した場合の記憶障害に対する作用を調べたところ、いずれにおいても薬効が認められなかった。この結果から、lurasidoneおよび1−PPにより獲得促進された受動的回避反応の記憶は、MK−801投与の状態に依存(state−dependent)していることが示された。
【実施例2】
実施例1において、MK−801 0.05mg/kgの代わりにPCP HCl 0.75mg/kgを用い、これを記憶・学習課題の訓練・テスト前双方において皮下投与して記憶・学習障害を引き起こし、試験化合物の記憶・学習障害改善作用を評価することができる。
【実施例3】
実施例1、2において、MK−801やPCP HClの代わりにketamineを用い、その他の実験条件を実施例1と全く同様にして試験化合物の記憶学習障害改善作用を評価することができる。
【実施例4】
実施例1−3において、MK−801、PCP HClおよびketamineなどのNMDA型受容体拮抗薬を訓練・テスト前双方において皮下投与する代わりに、これら薬剤をALZET osmotic pumpに注入し、これを動物の背側の皮下に埋め込むことにより、訓練、テスト時双方を含む期間慢性的な皮下投与を実施し、記憶・学習機能障害を引き起こすことが可能であり、これに対する試験化合物の記憶・学習機能障害改善作用を評価することができる。
【実施例5】
上記実施例で示したNMDA型受容体拮抗薬を使用する方法の代わりに、NMDA型受容体の構成蛋白、あるいは関連蛋白の遺伝子の変異、過剰発現あるいは欠失を有する動物を用いることができる。
【実施例6】
実施例1−5において、受動的回避反応課題の代わりに、能動的回避反応課題、水迷路課題、放射状迷路課題、T or Y字迷路課題、場所認識課題、物体認識課題、autoshaping learning task、レバー押し課題のいずれかを用い、実施例1と全く同様の実験を行うことができる
表1は、ラット受動的回避反応におけるMK−801誘発記憶学習障害に対する薬剤の作用を示したものである。
具体的には、NMDA型受容体拮抗薬であるMK−801を訓練前・テスト前双方にて投与したラットを用いた受動的回避反応試験における、受動的回避反応獲得動物の百分率(テスト時に300秒以上のstep−through latencyを示した動物、すなわち、顕著な記憶維持を示した動物の百分率、% of animals avoiding)に対する、薬剤の作用を示したものである。
同様の受動的回避反応試験において、薬剤単独使用によって記憶・学習障害が生じる最低用量を表右端に与えた。
表の数値は% of animals avoidingを示す。同様の受動的回避反応試験において、薬剤単独使用によって記憶・学習障害が生じる最低用量を表右端に与えた。
【表1】

【産業上の利用可能性】
本発明により、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善する治療薬をin vivoにおいてスクリーニングする方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験化合物が、統合失調症における記憶・学習機能障害を改善する可能性があるか否かを予測するin vivoスクリーニング方法であって、統合失調症の動物モデルとしてグルタミン酸N−methyl−D−aspartate(NMDA)型受容体機能低下を有するモデルを利用し、参照記憶課題を用い、記憶・学習機能を評価する工程を含む方法。
【請求項2】
参照記憶課題が、受動的回避反応課題(passive avoidance task)、能動的回避反応課題(active avoidance task)、水迷路課題(water maze task)、放射状迷路課題(radial maze task)、T or Y字迷路課題(T or Y maze)、場所認識課題(place recognition task)、物体認識課題(object recognition task)、autoshaping learning task、レバー押し課題(lever−pressing task)である請求項1記載の方法。
【請求項3】
参照記憶課題が、訓練とテストの2つのセッションから構成され、訓練において、請求項2に記載したいずれかの課題を学習させ、その記憶を獲得(acquisition)せしめ、訓練の一定時間ののちにテストを実施し、テスト時における記憶の維持(retention)・想起(retrieval)能力を定量化する課題である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
NMDA型受容体機能低下モデルが、NMDA型受容体拮抗作用を有する化合物、例えばMK−801、phencyclidine(PCP)、ketamine、あるいはこれらの誘導体を用い、これらを参照記憶課題の訓練時とテスト時双方において動物に投与する、あるいは訓練・テストを含む期間において慢性的に動物に投与することによって作製されるモデルである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
NMDA型受容体機能低下モデルが、NMDA型受容体の構成蛋白、あるいは関連蛋白の遺伝子の変異、過剰発現あるいは欠失を有することによって、参照記憶課題の訓練時とテスト時双方においてNMDA型受容体機能低下を伴う動物モデルである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択される物質を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項7】
請求項1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択されるセロトニン5−HT1A拮抗剤を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項8】
請求項1〜5記載のスクリーニング方法を用いて選択されるアセチルコリン合成酵素阻害剤を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項9】
アリセプトを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項10】
ケチアピンを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項11】
ケチアピンを一日投与量として5−270mg含む請求項10記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項12】
ケチアピンを一日投与量として15−90mg含む請求項10記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項13】
クロザピンを有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項14】
クロザピンを一日投与量として0.2−34.5mg含む請求項13記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項15】
クロザピンを一日投与量として0.7−11.5mg含む請求項13記載の統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項16】
一般式 〔I〕

{式中、Zは式

(式中、Bはカルボニルまたはスルホニルを表す。R、R、R、Rは各々独立して水素原子あるいは低級アルキルを表す。ただし、RとRあるいはRとRが一緒になって炭化水素環を、またはRとRが一緒になって芳香族炭化水素環を形成してもよい。当該炭化水素環は低級アルキレンまたは酸素原子で架橋されてもよい。当該低級アルキレンおよび炭化水素環は少なくとも1つのアルキルで置換されてもよい。nは0または1を表す。)を表す。Dは式
―(CH−A−(CH
(式中、Aは低級アルキレンまたは酸素原子で架橋されてもよい炭化水素環を表す。当該低級アルキレンおよび炭化水素環は少なくとも1つのアルキルで置換されてもよい。p、qは各々0、1または2を表す。)を表す。GはN、CHあるいはCOHを、−Arは芳香族複素環基、芳香族炭化水素基、ベンゾイル、フェノキシあるいはフェニルチオを表すか、またはGは炭素原子を、−Arはビフェニルメチリデンを表す。当該芳香族複素環基、芳香族炭化水素基、ベンゾイル、フェノキシ、フェニルチオおよびビフェニルメチリデンは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子で置換されてもよい。}で表されるイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項17】
Arが二環性の芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシあるいはフェニルチオであり、GがN、CHあるいはCOHであるかまたは−Arがビフェニルメチリデンであり、Gが炭素原子である(当該二環性の芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシ、フェニルチオおよびビフェニルメチリデンは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子で置換されてもよい。)請求項16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項18】
Arがベンゼン環と縮環した芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシまたはフェニルチオ(当該ベンゼン環と縮環した芳香族複素環基、ナフチル、ベンゾイル、フェノキシおよびフェニルチオは少なくとも1つの低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子により置換されてもよい。)であり、GがN、CHまたはCOHである請求項16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項19】
Zが式

(式中、−L−は単結合または二重結合を表す。Eは低級アルキルで置換されてもよい低級アルキレンまたは酸素原子を表す。Rは水素原子または低級アルキルを表す。Bは請求項14記載の意味を表す。)、


(式中、−L−、E、RおよびBは前記の意味を表す。)、式

(式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15は各々水素原子または低級アルキルを、またはR、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15で隣接するふたつが結合して二重結合を表す。Bは前記の意味を表す。)、


(式中、R16、R17は各々独立して水素原子または低級アルキルを表すかまたはR16、R17は一緒になって飽和炭化水素環を表す。RおよびBは前記の意味を表す。)、または式

(Bは前記の意味を表す。)である請求項16記載のイミド誘導体またはその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項20】
一般式[1]で表される化合物がlurasidone

であるイミド誘導体又はその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。
【請求項21】
一般式(2)

[Zは二価の硫黄、イミノ、低級アルキルイミノを表し、
11は水素、炭素数1から5のアルキルを表し、
12は水素、炭素数1から5のアルキル、フェニル、R15置換フェニル、炭素数1から5のアミノアルキルを表し、炭素数2から8の低級アルキルアミノアルキル、低級アルキルアミノ、アミノ、低級アルキルアミノを表し、又は、
11、R12はNと一緒になって、1−ピロリジジニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピペラジニル、4−低級アルキル−1−ピペラジニル、4−(ヒドロキシ低級アルキル)−1−ピペラジニル又は4−(低級アルコキシ低級アルキル)1−ピペラジニルを表していてもよい。
13、R14およびR15は、水素、ハロゲン、水酸基、トリフルオロメチル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオを表す]
で表される化合物又はその酸付加塩を有効成分として含む統合失調症における記憶・学習機能障害治療剤。

【国際公開番号】WO2005/080976
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510283(P2006−510283)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002838
【国際出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】