説明

統計処理サーバ、プローブ情報統計方法及びプローブ情報統計プログラム

【課題】車両特性に合わせた配信情報を車両に配信するとともに、該配信情報の精度を良好に維持することができる統計処理サーバ、プローブ情報統計方法及びプローブ情報統計プログラムを提供する。
【解決手段】各車両のナビゲーション装置からプローブデータ30を取得し、該プローブデータ30を統計処理する統計サーバ2において、ナビゲーション装置から車両属性データ20と、該車両属性に応じて変化する車両挙動を観測したプローブデータ30とを取得してプローブ情報記憶部45に記憶し、車両属性のカテゴリ毎にプローブデータ30の蓄積数を取得し、該蓄積数に応じて、プローブデータ30の統計対象となるカテゴリの大きさを判断する。また、統計対象のカテゴリに属するプローブデータを統計して、車両属性に応じた配信データ47を生成し、該配信データ47を、該カテゴリに属するナビゲーション装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統計処理サーバ、プローブ情報統計方法及びプローブ情報統計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の円滑な走行を図るために、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。例えば、自動車に搭載された通信装置から計測
データ(以下、プローブ情報という)を取得するシステムがある。
【0003】
上記プローブ情報には、例えば車両位置、速度、方向、ワイパーのオン/オフ等が含まれ、プローブ情報を収集したサーバは、各プローブ情報を統計処理して、渋滞情報や天候情報を生成する。さらに、サーバは、生成した渋滞情報等を配信対象の車両やユーザが使用する端末に配信する。
【0004】
このようなシステムの一例として、特許文献1には、自動車が走行した走行経路の走行経路情報とその走行経路を走行中に行った運転操作に関する運転操作情報とを含む運転履歴情報が、その自動車の車種と型式の情報を含む車両特定情報と対応付けて蓄積されており、蓄積された情報を車両に搭載されたユーザコンピュータによって利用できるシステムが記載されている。ユーザが、車種や型式が一致する運転履歴情報を選択すると、選択された運転履歴情報をダウンロードし、ユーザコンピュータは、ダウンロードした運転履歴情報に基づき運転支援処理を行う。
【特許文献1】特開2005−195536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したシステムでは、車種や型式によって運転履歴情報を選択するようになっているが、この運転履歴情報は1人のドライバーの運転履歴情報であるため、そのドライバーの運転特性に偏った情報である恐れがある。そのため、ユーザにとって最適な情報とならない可能性がある。また、同じ車種や型式であっても、使用年数や走行距離等の使用状況によって車両の状態は異なるため、車種や型式のみの選択では、ユーザにとって最適な情報を得られない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両特性に合わせた配信情報を車両に配信するとともに、該配信情報の精度を良好に維持することができる統計処理サーバ、プローブ情報統計方法及びプローブ情報統計プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、各車両の車載装置からプローブ情報を取得し、該プローブ情報を統計処理する統計処理サーバにおいて、前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得し、プローブ情報記憶手段に蓄積するプローブ情報蓄積手段と、車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得する蓄積数取得手段と、前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断するカテゴリ判断手段と、前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信する配信手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の統計処理サーバにおいて、前記複数のカテゴリは階層化されるとともに、前記カテゴリ判断手段は、前記複数のカテゴリのうち一つのカテゴリに属する前記プローブ情報の蓄積数が所定数未満である場合に、該カテゴリを統計対象とし、該プローブ情報の蓄積数が所定数以上である場合に、該カテゴリよりもさらに下位のカテゴリを統計対象とすることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の統計処理サーバにおいて、前記複数のカテゴリは階層化されるとともに、前記カテゴリ判断手段は、前記複数のカテゴリのうち一つのカテゴリに属する前記プローブ情報の蓄積数が所定数未満である場合に、該カテゴリよりもさらに上位のカテゴリを統計対象とすることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、各車両の車載装置からプローブ情報を取得する制御手段を用いて、該プローブ情報を統計処理するプローブ情報統計方法において、前記制御手段が、前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得してプローブ情報記憶手段に蓄積し、車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得し、前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断し、前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して、配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信することを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、各車両の車載装置からプローブ情報を取得する制御手段を用いて、該プローブ情報を統計処理するプローブ情報統計プログラムにおいて、前記制御手段を、前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得し、プローブ情報記憶手段に蓄積するプローブ情報蓄積手段と、車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得する蓄積数取得手段と、前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断するカテゴリ判断手段と、前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信する配信手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、車両属性に応じて変化する車両挙動を観測したプローブ情報を統計する際に、各カテゴリ毎の蓄積数に応じて、統計対象のカテゴリを選択する。このため、例えば、統計処理を行う際にデータが不足している場合には、上位のカテゴリで統計処理を行い、データ数が十分な量である場合には、それよりも下位のカテゴリで統計処理を行い、車両の特性により合致した配信データを生成し、車両に送信することができる。このため、配信データの精度を良好な範囲に保つとともに、各車両の特性に沿った配信データを車両に送信することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、あるカテゴリに属するプローブ情報の蓄積数が所定数以上である場合に、それよりも下位のカテゴリを統計対象として設定する。このため、データの精度を良好な範囲に保つとともに、各車両の特性に沿った配信データを車両に送信することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、あるカテゴリに属するプローブ情報の蓄積数が所定数未満である場合に、そのカテゴリよりも上位のカテゴリを統計対象として設定する。このため、データの精度を良好な範囲に保つとともに、各車両の特性に沿った配信データを車両に送信することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、車両属性に応じて変化する車両挙動を観測したプローブ情報を統計する際に、各カテゴリ毎の蓄積数に応じて、統計対象のカテゴリを選択する。このため、例えば、統計処理を行う際にデータが不足している場合には、上位のカテゴリで統計処理を行い、データ数が十分な量である場合には、それよりも下位のカテゴリで統計処理を行い、車両の特性により合致した配信データを生成し、車両に送信することができる。このため、配信データの精度を良好な範囲に保つとともに、各車両の特性に沿った配信データを車両に送信することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、プローブ情報統計プログラムに従って、車両属性に応じて変化する車両挙動を観測したプローブ情報を統計する際に、各カテゴリ毎の蓄積数に応じて、統計対象のカテゴリを選択する。このため、例えば、統計処理を行う際にデータが不足している場合には、上位のカテゴリで統計処理を行い、データ数が十分な量である場合には、それよりも下位のカテゴリで統計処理を行い、車両の特性により合致した配信データを生成し、車両に送信することができる。このため、配信データの精度を良好な範囲に保つとともに、各車両の特性に沿った配信データを車両に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。図1は、本実施形態の統計システム1の概略図である。
【0018】
図1に示すように、統計システム1は、統計処理サーバとしての統計サーバ2、基地局3、各車両Cに搭載された車載装置としてのナビゲーション装置5を有している。統計サーバ2は、インターネット、又は専用回線等のネットワークNを介して、各車両Cに搭載された各ナビゲーション装置5に各種データを送受信可能に接続されている。所定の各地域毎に設置された基地局3は、該地域を示す識別子を各車両Cに向けて送信し、ナビゲーション装置5は、受信した地域識別子及び車両識別子を、基地局3を介して統計サーバ2に送信する。統計サーバ2は、受信した地域識別子及び車両識別子に基づいて、車両Cが走行している地域を逐次特定する。
【0019】
次に、ナビゲーション装置5の構成について、図2に従って説明する。ナビゲーション装置5は、メインCPU10、RAM11、ROM12、車両側インターフェース(I/F)13、通信インターフェース(I/F)14、画像プロセッサ15、地理情報記憶部16及び属性データ記憶部17、音声プロセッサ26を備えている。
【0020】
メインCPU10は、車両側I/F13を介して、GPS受信部21からの絶対位置検出信号を入力して、車両Cの緯度・経度を算出する。また、ジャイロ22及び車速センサ23からの各種信号を入力して、自律航法により自車位置を検出し、GPS受信部21に基づく絶対位置と組み合わせて、自車位置を特定する。
【0021】
また、メインCPU10は、車両側I/F13を介して、上下加速度センサ24からの電気信号を入力する。上下加速度センサ24は、車両Cのサスペンションのバネ上の車体に取付けられ、バネ上の上下加速度αを検出して、上下加速度αに応じた電気信号をメインCPU10に出力する。メインCPU10は、上下加速度αの大きさに基づき、車両Cに加わった振動の大きさを判断する。
【0022】
通信I/F14は、統計サーバ2に各種データを送受信するためのインターフェースである。
地理情報記憶部16は、ハードディスク等の外部記憶媒体であって、目的地までの経路を探索するための経路データ18と、ディスプレイ25に地図画面25aを出力するため
の地図描画データ19とが格納されている。
【0023】
メインCPU10は、この経路データ18を用いて、目的地と現在の自車位置とを接続する推奨経路を探索する。また、メインCPU10は、自車位置と、地図描画データ19とを用いて、車両Cを道路上に特定するマップマッチングを行う。即ち、地図描画データ19は、地図を描画する描画データの他に、道路を実際の形状と同じ様に描画するための道路形状データを有しており、メインCPU10は、ジャイロ22及び車速センサ23に基づき走行軌跡を算出し、該走行軌跡を、車両Cが走行中である道路の上記道路形状データと照合する。そして、走行軌跡と道路形状との間にずれがある場合には、走行軌跡が道路形状に沿うように、予め算出した自車位置を道路上の適切な位置に特定する。
【0024】
属性データ記憶部17には、車両属性データ20が記憶されている。車両属性データ20は、該ナビゲーション装置5が搭載された車両Cの属性を示すデータである。図3(a)に示すように、車両属性データ20は、車両ID20a、車型20b、車種20c、走行距離20d、使用年数20eを有している。車両ID20aは、予め各車両Cに割り振られた識別子である。車型20bは、「セダン」、「ミニバン」、「ステーションワゴン」等の型式を示し、車両Cの車型が格納されている。車種20cには、車両Cの車名が格納されている。走行距離20dには、車両Cの累積走行距離が格納されている。使用年数20eは、車両Cを新規登録してからの経過年数を示す。
【0025】
また、ナビゲーション装置5は、統計サーバ2に対し、走行中の車両挙動を示すプローブ情報としてのプローブデータ30を送信する。本実施形態では、ナビゲーション装置5は、車両Cが道路上の段差を通過した際に、段差の検出を示すプローブデータ30を送信するが、所定時間毎に送信するようにしてもよい。具体的には、上下加速度センサ24により検出した上下加速度αの大きさに基づき、メインCPU10が、車両Cが段差を通過したと判断すると、プローブデータ30を生成するとともに、属性データ記憶部17から、車両属性データ20を読み出す。さらに、生成したプローブデータ30を、車両属性データ20とともに通信I/F14を介して統計サーバ2に送信する。
【0026】
図3(b)に示すように、プローブデータ30は、車両ID30a、車両位置30b、速度30c、加速度30d、走行方向30e、上下加速度30fを有している。車両位置30bは、段差を検出した際の車両位置である。速度30c及び加速度30dは、段差を通過したときの速度と加速度である。加速度30dは、図示しないGセンサから取得してもよいし、車速に基づき算出するようにしてもよい。走行方向30eは、車両Cの進行方向を示す。上下加速度30fは、上下加速度センサ24から取得した、段差通過時の上下加速度αである。
【0027】
尚、段差通過時の上下加速度30fの大きさは、車型、車種、車両Cの走行距離20d、使用年数20e、段差通過時の速度30c及び加速度30d等の因子に左右される。即ち、車型が「セダン」の車両Cと「軽自動車」の車両とでは、ボデー形状の違い等により同じ段差を通過しても加わる振動が異なる。また、同じ車型でも車種が異なると、搭載しているサスペンション機構も異なるため、上下加速度αは変化する。さらに、走行距離20dや使用年数20eが長くなると、車両Cの経年劣化が進行するため、走行距離20dや使用年数20eによっても上下加速度αは異なる。また、速度30c及び加速度30dが大きければ、段差通過時の上下加速度αも大きくなる。従って、ナビゲーション装置5から送信されるプローブデータ30に含まれる上下加速度30fは、これらの因子によって異なる値になっている。
【0028】
また、画像プロセッサ15は、地図画面25aや設定画面、警告画面等の各種画面をディスプレイ25に表示する。音声プロセッサ26は、スピーカ27から経路を案内する案
内音声、ドライバーの注意を喚起する音声等を出力する。
【0029】
次に、統計サーバ2の構成について、図4に従って説明する。統計サーバ2は、CPU40、RAM41、ROM42、通信インターフェース(I/F)43、プローブ情報記憶手段としてのプローブデータ記憶部45及び配信データ記憶部46を備えている。尚、CPU40は、プローブ情報蓄積手段、蓄積数取得手段、カテゴリ判断手段、配信手段、制御手段に対応する。
【0030】
CPU40は、ROM42に記憶された統計プログラムに基づいて、ナビゲーション装置5から取得したプローブデータ30を統計する。
プローブデータ記憶部45には、ナビゲーション装置5から取得したプローブデータ30が、車両属性データ20に関連付けられて記憶されている。
【0031】
CPU40は、上記統計プログラムに従って、予め設定したカテゴリに基づき、該カテゴリ毎のプローブデータ30のデータ数(蓄積数)を算出する。本実施形態では、カテゴリは、車両属性データ20に含まれるデータのうち、車型20b、車種20c、走行距離20d、使用年数20eであり、図5に示すように、4段階に階層化されている。最も上位のカテゴリは、車型カテゴリであって、例えば「セダン」、「ミニバン」、「ステーションワゴン」、「軽自動車」等のカテゴリがある。
【0032】
さらに、各車型カテゴリには、該車型カテゴリに属する車種カテゴリがそれぞれ関連付けられている。例えば「セダン」のカテゴリには、「車種A」、「車種B」等、その車型に属する車名のカテゴリが関連付けられている。さらに各車種カテゴリには、走行距離カテゴリがそれぞれ関連付けられている。この走行距離カテゴリは、「5万km未満」、「5万km以上10万km未満」等の距離範囲のカテゴリがそれぞれ関連付けられている。
【0033】
また、走行距離カテゴリには、各走行距離カテゴリに属する使用年数カテゴリが関連付けられている。使用年数カテゴリは、「5年未満」、「5年以上10年未満」等のカテゴリがある。
【0034】
カテゴリ毎のデータ数を算出する際、CPU40は、まず最上位の階層である車型カテゴリ毎のデータ数を算出する。即ち、「セダン」の車両Cから取得したプローブデータ30のデータ数を算出する場合、「セダン」を車型20bとして含む車両属性データ20を検出し、該車両属性データ20に関連付けられたプローブデータ30を読み出して、データ数をカウントする。さらに、「ミニバン」、「ステーションワゴン」といった他の車型カテゴリに対して、同様にデータ数をカウントする。
【0035】
次に、CPU40は、車型カテゴリ毎の各データ数が、所定数N以上であるか否かを判断する。尚、所定数Nは、統計処理するカテゴリを下げても十分なデータ数が得られると推定される数を予め計算することにより求められている。
【0036】
データ数が所定数N未満である車型カテゴリについては、車型カテゴリ毎にプローブデータ30を統計処理する。このとき、例えば「セダン」の車型の車両Cから収集したプローブデータ30に基づき、車種、走行距離に関わらず、段差が検出された車両位置30bが一定範囲内に存在するものを抽出し、段差が検出された車両位置30bの平均値或いは中央値を演算する等して、段差がある地点を特定する。さらに、速度30c及び加速度30dと、上下加速度30fとの相関性を求め、段差通過時でも乗員にとって不快とならない程度の振動にするための推奨速度、推奨される減衰力を算出するようにしてもよい。或いは、段差の大きさを示す上下加速度の値を算出するようにしてもよい。そして、これらの情報を、配信データ47とし、該配信データ47を配信データ記憶部46に記憶する。
【0037】
本実施形態では、配信データ47は、図6に示すように、該配信データ47の配信対象である車両Cを示すカテゴリ47aと、段差地点47b、支援情報47cとを少なくとも有している。カテゴリ47aには、「セダン」に対応するプローブデータ30を統計処理した場合には、「セダン」を示すカテゴリが格納される。段差地点47bには、統計処理により段差の位置を特定した座標が格納されている。支援情報47cには、「セダン」の車両Cがその段差を通過する際の走行支援情報が格納されている。例えば上記したように、推奨速度又は推奨される減衰力や、上下加速度の大きさ等が格納される。
【0038】
統計サーバ2は、配信データ47が示す段差地点47bを中心とした所定距離範囲を走行している車両Cに対して、配信データ47を送信する。所定距離範囲は、段差地点47bを中心点とした半径所定距離以内にしてもよいし、段差地点47bを含む道路に沿って、一定の距離範囲内にしてもよい。このとき、所定距離範囲内の車両Cに無作為に配信データ47を送信し、車両側でその配信データ47のうち自車が利用可能であるデータをカテゴリ47aに基づき判断するようにしてもよいし、予め車両Cからその車両の車両属性データ20を統計サーバ2へ送信しておき、同じカテゴリ47aである車両Cに対して配信データ47を送信するようにしてもよい。
【0039】
一方、車型カテゴリのプローブデータ30のデータ数が、所定数N以上である場合、十分なデータ数が蓄積されていると判断し、より車両特性に沿った情報を提供するために、さらに下位の階層のカテゴリ毎のデータ数を算出する。即ち、「セダン」に属する下位カテゴリである「車種A」、「車種B」…の車両Cから取得したプローブデータ30のデータ数を上記したようにそれぞれ算出する。
【0040】
そして、CPU40は、「車種A」の車両Cから収集したプローブデータ30のデータ数が所定数N以上であるか否かを判断し、所定数未満である場合には、「車種A」のカテゴリに属するプローブデータ30を上記したように統計処理して、配信データ47を生成する。
【0041】
「車種A」の車両Cから収集したプローブデータ30のデータ数が所定数N以上であると判断した場合、さらに、車種カテゴリよりも下位の走行距離カテゴリに下げて、各走行距離カテゴリのデータ数を算出する。このように、統計サーバ2は、各カテゴリのデータ数を算出し、配信データ47を生成するためのカテゴリを選択する。
(処理手順)
次に、本実施形態の処理手順について、図7〜図9に従って説明する。まず、ナビゲーション装置5の処理について図7に従って説明する。まず、ナビゲーション装置5は、モニタリングを開始するか否かを判断する(ステップS1−1)。例えば、ナビゲーション装置5が起動した時、或いはイグニッションからのオン信号を入力した時、又は所定の操作スイッチがオン操作された時、モニタリングを開始すると判断する(ステップS1−1においてYES)。モニタリングを開始しないと判断した場合(ステップS1−1においてNO)、ナビゲーション装置5の起動、或いはイグニッションからのオン信号の入力、或いは所定の操作スイッチのオン操作を待機する。
【0042】
次に、ナビゲーション装置5のメインCPU10は、車両Cが走行中であるか否かを判断する(ステップS1−2)。このとき、例えば、シフトポジションセンサから入力した検出信号に基づき、シフトポジションがパーキングポジション以外の位置にある場合に、走行中であると判断してもよい。
【0043】
走行中であると判断すると(ステップS1−2においてYES)、メインCPU10は、マップマッチングが正しく行われているか否かを判断する(ステップS1−3)。車両
Cの走行軌跡が、道路形状に沿っている場合には、マップマッチングが正しく行われていると判断して(ステップS1−3においてYES)、ステップS1−4に進む。走行軌跡と道路形状とが合致しない場合には、マップマッチングが正しく行われていないと判断し(ステップS1−3においてNO)、ステップS1−8に進み、モニタリング終了であるか否かを判断する。また、ステップS1−2において走行中でないと判断した場合(ステップS1−2においてNO)にも、ステップS1−8に進む。
【0044】
メインCPU10は、ナビゲーション装置5のシャットダウン、又はイグニッションからのオフ信号、又は所定の操作スイッチのオフ操作を示す信号を入力した場合等には、モニタリング終了であると判断する(ステップS1−8においてYES)。ナビゲーション装置5が起動中である、又は上記信号を入力していない場合には(ステップS1−8においてNO)、ステップS1−2に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0045】
一方、ステップS1−4では、メインCPU10は、上下加速度センサ24から入力した上下加速度αに基づき、道路上の段差を検出したか否かを判断する。例えば、上下加速度αが所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上の上下加速度αを検出した場合には、車両Cが段差を通過したと判断する。
【0046】
段差を検出しない場合には(ステップS1−4においてNO)、ステップS1−8に進む。段差を検出したと判断すると(ステップS1−4においてYES)、メインCPU10は、車両属性データ20を属性データ記憶部17から読み出して取得する(ステップS1−5)。さらに、メインCPU10は、GPS受信部21、車速センサ23、ジャイロ22、上下加速度センサ24等に基づき、車両位置30b、速度30c、加速度30d、走行方向30e、上下加速度30fを取得してプローブデータ30を生成する(ステップS1−6)。さらに、通信I/F14を介して、車両属性データ20及びプローブデータ30を、基地局3を介して統計サーバ2に送信する(ステップS1−7)。統計サーバ2は、車両属性データ20及びプローブデータ30を受信すると、車両属性データ20及びプローブデータ30を関連付けて、プローブデータ記憶部45に記憶する。
【0047】
ナビゲーション装置5のメインCPU10は、車両属性データ20及びプローブデータ30を送信すると、モニタリング終了であるか否かを判断し(ステップS1−8)、上記したようにモニタリング終了であると判断した場合には(ステップS1−8においてYES)、処理を終了する。モニタリング終了でないと判断した場合には(ステップS1−8においてNO)、ステップS1−2に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0048】
次に、統計サーバ2によるプローブデータ30の統計の処理について図8に従って説明する。統計サーバ2は、この処理を所定時間毎に実行しても良いし、新たに受信したプローブデータ30のデータ数が所定数以上になった場合に実行してもよい。
【0049】
まず、統計サーバ2のCPU40は、上記した車型カテゴリのプローブデータ記憶部45に記憶されたプローブデータ30のデータ数を算出し、該データ数が所定数N以上であるか否かを判断する(ステップS2−1)。例えば、まず「セダン」の車型カテゴリに属するプローブデータ30を検出し、該プローブデータ30のデータ数を算出する。
【0050】
例えば「セダン」のカテゴリに属するデータ数が所定数N未満である場合(ステップS2−1においてNO)、上記したようにその「セダン」のカテゴリに属するプローブデータ30の統計を行い、「セダン」をカテゴリ47aとして有する配信データ47を生成する(ステップS2−2)。さらに生成した配信データ47を、配信データ記憶部46に記憶する。さらにステップS2−3に進み、残りの車型カテゴリがあるか否かを判断する(ステップS2−3)。ここでは、「セダン」のカテゴリのみに対する処理しか実行してい
ないため(ステップS2−3においてNO)、ステップS2−1に戻り、次の車型カテゴリである「ミニバン」について上記した処理を行う。残りの車型カテゴリがない、即ち全ての車型カテゴリについて処理を終了した場合(ステップS2−3においてNO)、処理を終了する。
【0051】
一方、「セダン」のカテゴリに属するデータ数が、所定数N以上である場合(ステップS2−1においてYES)、「セダン」のカテゴリに属する車種カテゴリのデータ数が所定数N以上であるか否かを判断する(ステップS2−4)。まず、CPU40は、「セダン」に属する車種カテゴリのうち、所定の順番に従って、「車種J」等のカテゴリを選択し、「車種J」に属するプローブデータ30のデータ数を算出する。さらに、該データ数が所定数N以上であるか否かを判断する。例えば、「車種J」に属する該データ数が所定数N未満であると判断すると(ステップS2−4においてNO)、その「車種J」に属するプローブデータ30に対して統計を行い、カテゴリとして「車種J」が付与された配信データ47を生成し、格納する(ステップS2−5)。
【0052】
「車種J」について配信データ47を生成すると、「セダン」の下位にあるカテゴリのうち、データ数を算出していない残りの車種カテゴリがある否かを判断する(ステップS2−6)。「セダン」の下位に、「車種J」、「車種K」、「車種L」等の他の車種カテゴリがあり、例えば「車種J」のカテゴリに対するデータ数のみ算出している場合には、残りのカテゴリがあると判断して(ステップS2−6においてYES)、ステップS2−4に戻り、次に「車種K」のカテゴリに属するプローブデータ30のデータ数を算出する。データ数を算出すると、該データ数が所定数N以上であるか否か判断する。ステップS2−6において、残りの車種カテゴリがない場合(ステップS2−6においてNO)、上記したステップS2−3に進む。
【0053】
ステップS2−4において、例えば「車種K」のデータ数が所定数N以上であると判断すると(ステップS2−4においてYES)、該「車種K」のカテゴリに属する走行距離カテゴリ毎のデータ数を算出し、該データ数が所定数N以上であるか否かを判断する(ステップS2−7)。例えば、「車種K」の下位に、「5万km未満」、「5万km以上10万km未満」、「10万km以上20万km未満」のカテゴリがある場合、まず「5万km未満」のカテゴリを選択し、該カテゴリに属するプローブデータ30のデータ数を算出する。さらに、算出したデータ数が所定数N以上であるか否かを判断する。
【0054】
例えば「車種K」の下位の「5万km未満」のカテゴリに属するデータ数が所定数N未満であると判断すると(ステップS2−7においてNO)、その「5万km未満」のカテゴリに属するプローブデータ30に対して統計を行い、カテゴリとして「車種K」「5万km未満」が付与された配信データ47を生成する(ステップS2−8)。生成した配信データ47を配信データ記憶部46に格納すると、CPU40は、「車種K」に属する残りの走行距離カテゴリがあるか否かを判断する(ステップS2−9)。「5万km未満」のカテゴリのみデータ数を算出している場合には、他の「5万km以上10万km未満」、「10万km以上20万km未満」の走行距離カテゴリが残りのカテゴリであると判断して(ステップS2−9においてYES)、ステップS2−7に戻る。ステップS2−9において、残りの走行距離カテゴリがないと判断すると(ステップS2−9においてNO)、上記したステップS2−6に進む。
【0055】
ステップS2−7において、CPU40は、「車種K」に属し、次の走行距離カテゴリである「5万km以上10万km未満」を選択する。そして、該走行距離カテゴリに属するプローブデータ30のデータ数を算出し、該データ数が所定数N以上であるか否かを判断する。例えば、該データ数が所定数N以上である場合(ステップS2−7においてYES)、使用年数毎にプローブデータ30を統計する(ステップS2−10)。即ち、「5
万km以上10万km未満」の下位にある使用年数が「5年未満」、「5年以上10年未満」、「10年以上15年未満」等の各使用年数カテゴリにそれぞれ属するプローブデータ30を統計処理し、「5年未満」、「5年以上10年未満」、「10年以上15年未満」等の配信データ47を生成し、カテゴリとして「車種K」「5万km以上10万km未満」「5年未満」、「車種K」「5万km以上10万km未満」「5年以上10年未満」、「車種K」「5万km以上10万km未満」「10年以上15年未満」がそれぞれ付与された配信データ記憶部46に格納する。
【0056】
このように配信データ47を格納すると、ステップS2−9に進み、全ての走行距離カテゴリのデータ数を算出したか否かを判断する。データ数の算出が完了している場合には(ステップS2−9においてNO)、ステップS2−6に進み、残りの車種カテゴリがあるか否かを判断する。残りの車種カテゴリがある場合には(ステップS2−6においてYES)、ステップS2−4に進む。
【0057】
そして、ステップS2−4〜ステップS2−10を繰り返し、残りの車種カテゴリがなくなると、ステップS2−3に進み、残りの車型カテゴリがあるか否かを判断する(ステップS2−3)。ここでは、「セダン」のカテゴリのみに対する処理しか実行していないため(ステップS2−3においてYES)、ステップS2−1に戻り、次の車型カテゴリである「ミニバン」について上記した処理を行う。
【0058】
「セダン」、「ミニバン」、「ステーションワゴン」等、全ての車型カテゴリについて処理を実行すると(ステップS2−3においてNO)、カテゴリの設定処理を終了する。その結果、配信データ記憶部46には、プローブデータ30の蓄積数に応じた配信データ47が記憶されている状態になる。
【0059】
続いて、図9に示すように、統計サーバ2は、カテゴリ毎に配信データ47をナビゲーション装置5に対して送信する(ステップS3−1)。ナビゲーション装置5は、配信データ47を受信し(ステップS3−2)、その配信データ47のうち自車が利用可能であるデータをカテゴリ47aに基づき判断して抽出し、抽出したデータを用いて走行支援を行う(ステップS3−3)。例えば、ナビゲーション装置5のメインCPU10は、抽出したデータに含まれる段差地点47bに基づき、自車両前方に段差があるか否かを判断する。自車両前方に段差があると判断すると、支援情報47cに基づき、ドライバーへの報知又は車両制御を行う。ドライバーへの報知を行う場合、ディスプレイ25に段差があることを示す警告画面を表示したり、スピーカ27から、段差があることを知らせる注意喚起音声を出力する。これにより、ドライバーは段差を通過する前に減速し、段差を通過する際の衝撃を和らげることができる。
【0060】
また、配信データ47に基づき車両制御を行う場合、ブレーキ装置(図示略)を制御して、各車輪に制動力を加えて支援情報47cに含まれる推奨速度まで減速する。或いはサスペンションの減衰力を、支援情報47cに含まれた推奨される減衰力に調整する。また、配信データ47に、段差の大きさを示す上下加速度が含まれている場合には、ナビゲーション装置5がその大きさに応じて、必要な減速度を判断し速度調整等を行うようにしてもよい。これにより、段差を通過する際の衝撃を自動的に緩和することができる。
【0061】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、統計サーバ2は、ナビゲーション装置5から、車両Cの属性を示す車両属性データ20と、該車両属性に応じて変化する車両挙動を観測したプローブデータ30とを取得し、プローブデータ記憶部45に記憶するようにした。また、車型、車種等といった車両属性のカテゴリ毎に、プローブデータ30のデータ数を取得し、データ数に応じてプローブデータ30の統計対象となるカテゴリの大きさを判断するようにし
た。さらに統計対象のカテゴリに属するプローブデータ30を統計して、車両属性に応じた配信データ47を生成し、該配信データ47を、該カテゴリに属するナビゲーション装置5に送信するようにした。即ち、データ数に応じてカテゴリの階層を決定するので、段差地点及び支援情報の統計上の誤差を抑制しながら、各車両Cの属性に合わせた精度のよい配信データ47を送信することができる。
【0062】
(2)上記実施形態では、プローブデータ30のカテゴリを、車型、車種、走行距離、使用年数といった4つの階層に分類するようにした。また、統計サーバ2は、あるカテゴリに属するプローブデータ30のデータ数が所定数未満である場合に、そのカテゴリを統計対象とするようにした。また、該データ数が所定数以上である場合には、そのカテゴリをさらに細分化した下位カテゴリに属するプローブデータ30のデータ数を取得し、該データ数に基づき、その下位カテゴリを統計対象とするか否かを判断するようにした。即ち、データ数が多い場合には、カテゴリを狭い範囲に絞っていくため、配信データ47の精度を良好に保ちながら、車両の特定に沿った配信データ47を送信することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図10〜図11に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態の処理手順を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0064】
即ち、第2実施形態では、各カテゴリに属するプローブデータ30のデータ数が閾値S(所定数)未満である場合に、そのカテゴリよりも上位のカテゴリを統計対象とするようにした。尚、この閾値Sは、統計処理を行う上で必要なデータ数を、誤差の許容範囲、要求される信頼度等に基づいて算出した値に設定されている。
【0065】
図10に示すように、統計サーバ2のCPU40は、一つの車型カテゴリに対するデータ数が閾値S以上であるか否かを判断する(ステップS4−1)。データ数が閾値S未満である場合には(ステップS4−1においてNO)、その車型カテゴリについては処理を行わず、ステップS4−9に進む。
【0066】
車型カテゴリに属するデータ数が閾値S以上の場合(ステップS4−1においてYES)、下位カテゴリに移行し、その車型カテゴリに属する車種カテゴリに分類されるデータ数が閾値S以上であるか否かを判断する(ステップS4−2)。データ数が閾値S未満である場合には(ステップS4−2においてNO)、カテゴリを1つ上位に繰り上げ、車型カテゴリに属するプローブデータ30の統計を行う(ステップS4−3)。例えば「ミニバン」のカテゴリに属するデータ数が閾値S以上であるが、「ミニバン」に属する「車種A」のデータ数が閾値S未満である場合、「ミニバン」のカテゴリを統計対象とする。
【0067】
一方、上記車種カテゴリに属するデータ数が閾値S以上である場合には(ステップS4−2においてYES)、走行距離カテゴリのデータ数が閾値S以上であるか否かを判断する(ステップS4−4)。データ数が閾値S未満である場合には(ステップS4−4においてNO)、カテゴリを一つ上位にし、車種カテゴリのプローブデータ30を統計する(ステップS4−5)。データ数が閾値S以上である場合には(ステップS4−4においてYES)、該車種カテゴリに属する使用年数カテゴリのデータ数が、閾値S以上であるか否かを判断する(ステップS4−6)。
【0068】
上記使用年数カテゴリに属するデータ数が閾値S未満である場合(ステップS4−6においてNO)、走行距離カテゴリを統計対象とし、プローブデータ30を統計する(ステップS4−7)。上記使用年数カテゴリに属するデータ数が閾値S以上である場合(ステップS4−6においてYES)、例えば「5年未満」といった該使用年数カテゴリを統計
対象とし、プローブデータ30を統計する(ステップS4−8)。
【0069】
一つのカテゴリを設定すると、図11に示すステップS4−9に進み、例えば「5年以上10年未満」、「10年以上15年未満」といった残りの使用年数カテゴリがあるか否かを判断する。ステップS4−8で統計した使用年数以外に他の使用年数のカテゴリがない場合、或いは車種カテゴリ等をステップS4−5で設定したような場合等、直前に算出したカテゴリが使用年数以外のカテゴリである場合(ステップS4−9においてNO)、ステップS4−10に進む。一方、残りの使用年数カテゴリがある場合には(ステップS4−9においてYES)、ステップS4−6に戻り、同じ階層の使用年数カテゴリの統計が完了するまで処理を繰り返す。
【0070】
ステップS4−10では、残りの走行距離カテゴリがあるか否かを判断し、残りの走行距離カテゴリがある場合には(ステップS4−10においてYES)、ステップS4−4に進む。残りのカテゴリがない場合、或いは走行距離カテゴリよりも大きいカテゴリを統計対象とした場合には(ステップS4−10においてNO)、ステップS4−11に進む。
【0071】
ステップS4−11では、残りの車種カテゴリがあるか否かを判断し、残りの車種カテゴリがある場合には(ステップS4−11においてYES)、ステップS4−2に進む。残りのカテゴリがない場合、或いは車種カテゴリよりも大きいカテゴリを統計対象とした場合には(ステップS4−11においてNO)、ステップS4−12に進む。
【0072】
ステップS4−12では、残りの車型カテゴリがあるか否かを判断し、残りのカテゴリがある場合には(ステップS4−12においてYES)、ステップS4−1に進む。残りのカテゴリがない場合には(ステップS4−12においてNO)、全てのカテゴリを設定したとして処理を終了する。
【0073】
従って、第2実施形態によれば、第1の実施形態の(1)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(3)第2実施形態では、プローブデータ30のカテゴリを、車型、車種、走行距離、使用年数といった4つの階層に分類するようにした。また、統計サーバ2は、あるカテゴリに属するプローブデータ30のデータ数が閾値S未満である場合に、そのカテゴリが属する、階層が一つ上のカテゴリを統計対象とするようにした。このため、統計処理の際に、必要最小限のデータ数を保つことができるので、配信データ47の精度を良好に保ちながら、車両の特定に沿った配信データ47を送信することができる。
【0074】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、車載装置をナビゲーション装置5に具体化したが、ナビゲーション装置5とは別に設けられた装置に具体化してもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、車両Cは、段差を通過した際に、段差通過時の速度30cや上下加速度30f等の車両挙動を示すプローブデータ30を送信するようにしたが、道路に応じた車両挙動を示す他のデータを送信するようにしてもよい。例えば、ABS(Antilock Brake System)の作動状況を含むプローブデータ30を送信するようにしてもよい。
この場合、統計サーバ2は、上記カテゴリ毎のデータ数から、統計対象のカテゴリの大きさを設定し、ABSの作動状況に基づいて算出したスリップ地点の座標、推奨速度等を含む配信データ47を送信する。
【0076】
・配信データ47に基づく走行支援を行った場合に、その車両Cが段差を通過した後、プローブデータ30を、走行支援を実行したことを示すデータとともに統計サーバ2にフ
ィードバックするようにしてもよい。統計サーバ2は、このプローブデータ30に基づき、走行支援が実行された場合の速度30cや上下加速度30f等を参照し、配信データ47が的確であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、カテゴリを車型、車種、走行距離、使用年数の4段階に分けたが、支援内容に応じて、排気量、駆動方式等のカテゴリに分類してもよい。また、カテゴリを、4段階以外の階層にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】配信システムの概略図。
【図2】ナビゲーション装置のブロック図。
【図3】(a)は車両属性データ、(b)はプローブデータの概念図。
【図4】統計サーバのブロック図。
【図5】カテゴリの階層を説明する概念図。
【図6】配信データの概念図。
【図7】ナビゲーション装置の処理手順のフローチャート。
【図8】統計サーバの処理手順のフローチャート。
【図9】配信データを送信する際の処理手順のフローチャート。
【図10】第2実施形態の処理手順のフローチャート。
【図11】同処理手順のフローチャート。
【符号の説明】
【0079】
1…統計システム、2…統計処理サーバとしての統計サーバ、5…車載装置としてのナビゲーション装置、20…車両属性としての車両属性データ、30…プローブ情報としてのプローブデータ、40…プローブ情報蓄積手段、蓄積数取得手段、カテゴリ判断手段、配信手段、制御手段としてのCPU、45…プローブ情報記憶手段としてのプローブデータ記憶部、47…配信データ、47a…カテゴリ、C…車両、N…所定数、S…所定数としての閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各車両の車載装置からプローブ情報を取得し、該プローブ情報を統計処理する統計処理サーバにおいて、
前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得し、プローブ情報記憶手段に蓄積するプローブ情報蓄積手段と、
車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得する蓄積数取得手段と、
前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断するカテゴリ判断手段と、
前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信する配信手段と
を備えることを特徴とする統計処理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の統計処理サーバにおいて、
前記複数のカテゴリは階層化されるとともに、
前記カテゴリ判断手段は、前記複数のカテゴリのうち一つのカテゴリに属する前記プローブ情報の蓄積数が所定数未満である場合に、該カテゴリを統計対象とし、該プローブ情報の蓄積数が所定数以上である場合に、該カテゴリよりもさらに下位のカテゴリを統計対象とすることを特徴とする統計処理サーバ。
【請求項3】
請求項1に記載の統計処理サーバにおいて、
前記複数のカテゴリは階層化されるとともに、
前記カテゴリ判断手段は、前記複数のカテゴリのうち一つのカテゴリに属する前記プローブ情報の蓄積数が所定数未満である場合に、該カテゴリよりもさらに上位のカテゴリを統計対象とすることを特徴とする統計処理サーバ。
【請求項4】
各車両の車載装置からプローブ情報を取得する制御手段を用いて、該プローブ情報を統計処理するプローブ情報統計方法において、
前記制御手段が、
前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得してプローブ情報記憶手段に蓄積し、
車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得し、前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断し、前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して、配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信することを特徴とするプローブ情報統計方法。
【請求項5】
各車両の車載装置からプローブ情報を取得する制御手段を用いて、該プローブ情報を統計処理するプローブ情報統計プログラムにおいて、
前記制御手段を、
前記車載装置から、前記車両の属性を示す車両属性と、車両挙動を観測したプローブ情報とを取得し、プローブ情報記憶手段に蓄積するプローブ情報蓄積手段と、
車両属性に含まれる複数のカテゴリ毎に、前記プローブ情報の蓄積数を取得する蓄積数取得手段と、
前記プローブ情報の蓄積数に応じて、前記プローブ情報を統計処理する際のカテゴリを判断するカテゴリ判断手段と、
前記判断されたカテゴリに属する前記プローブ情報を統計して配信データを生成し、該配信データを、該カテゴリに属する車両の車載装置に送信する配信手段として機能させることを特徴とするプローブ情報統計プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−75647(P2009−75647A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241330(P2007−241330)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】