説明

絵本

【課題】
幼児期における子供の気持ちを絵本における物語の中に容易に取り込むことができ、しかも子供に物語を読み聞かせる際、子供が、絵本に登場しているキャラクタが自分に語りかけているように感じ取れる絵本を提供できるようにする。
【解決手段】
絵本1を閉じた状態において、絵本1の表表紙2、各頁4、裏表紙5に渡る切り欠き6を絵本1の背側たる背表紙3側から形成し、絵本1を開いた状態で左頁4aと右頁4bに渡り本ののど10を跨いで本の前後に貫通する開口7が形成されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊び心を持たせている幼児期における子供用の絵本に関し、より詳しくは、子供に物語を読み聞かせる際、子供が、絵本に登場しているキャラクタが自分に語りかけているように感じ取ることができる絵本に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絵本は文字で書かれた物語の筋と背景の絵から構成されていて、幼児期の子供でもその物語の内容を的確に理解できるようにしている。
【0003】
また、絵本には(例えば、特許文献1参照)のように、ポップアップする絵や模様の部分を絵本の各頁に設けて構成しているものもある。
【0004】
このような絵本は、絵本に書かれている絵や模様の部分がポップアップすることにより、絵本の物語を聞く子供の気持ちを同物語の中に取り込むようにして、子供が絵本の物語を楽しく理解できるようにしている。
【0005】
しかしながら、今日では、絵本に書かれている絵や模様の部分がポップアップする絵本は普通にあることから、絵本の物語を聞く子供の気持ちを物語の中に取り込むのが難しくなっていた。
【0006】
【特許文献1】特開2003−71151号公報(第1〜4頁、図1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、幼児期における子供の気持ちを絵本における物語の中に容易に取り込むことができ、しかも子供に物語を読み聞かせる際、子供が、絵本に登場しているキャラクタが自分に語りかけているように感じ取ることができる絵本を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る絵本は、本を閉じた状態において、本の表表紙、各頁、裏表紙に渡る切り欠きを本の背側から形成し、本を開いた状態で左右の頁に渡り本ののどを跨いで本の前後に貫通する開口を形成したものとしてある。
【0009】
また少なくとも前記本の一部の頁に、装飾用の片部材を取り付けたものとしてある。
【0010】
また前記片部材を、前記片部材が、絵本のしかけ部材であるものとしてある。
【0011】
さらに前記片部材を、本を開いた際にポップアップできるよう取り付けたものとしてある。
【0012】
また前記片部材が、本を開いた際に前記開口の上にポップアップするよう取り付けたものとしてある。
【0013】
そして前記片部材における頁の前方より見える同片部材の裏側に、この片部材の表側と対応するイラストや文字を描いてなるものとしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の絵本によれば、例えば絵本の物語に登場するキャラクタのお面として使用できるので、子供に絵本の物語を読み聞かせている中で、同絵本に登場しているキャラクタが喋る場面に、絵本の読み手が、自分の顔を絵本の後ろ側から同絵本の頁に設けたキャラクタの顔の輪郭としている開口に合わせてこのキャラクタの言葉を喋ることにより、子供が、絵本に登場しているキャラクタが自分に語りかけているように感じ取ることができ、したがって、幼児期における子供の気持ちを絵本における物語の中に容易に取り込むことができる。
【0015】
また、親が子供に対し躾をする際も、上述のように、子供が、絵本に登場しているキャラクタが自分に語りかけているように感じ取ることができるので、親の言葉も、絵本のヒーローが自分に対して語りかけているように感じることができて、親も子供に対する躾をし易く、また子供も親の言うことを素直に聞くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る絵本の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
絵本1は、図1に示すように、絵本1を閉じた状態において表表紙2、各頁4、裏表紙5に渡る切り欠き6を、絵本の背側たる背表紙3側から内方に向かって形成している。
【0018】
そして、図2に示すように、絵本1における所定の頁4を開いた際、前述の絵本1を閉じた状態において表表紙2、各頁4、裏表紙5に渡り形成している切り欠き6が、左頁4aと右頁4bに渡り絵本1の本の中身が背に接する部分であるのど10(図3参照)を跨いで絵本1の前後を貫通する開口7になり、また開口7は、絵本1に登場するキャラクタ8の顔の輪郭になっている。
【0019】
そして、キャラクタ8の少なくとも頭部を形成する部分を、実施例においては耳、頭髪、鼻、蝶ネクタイを別の紙材等からなる装飾用の片部材9によって形成し、これら片部材9を例えば両面粘着テープや接着剤等の固定手段により左頁4aおよび右頁4bにおける所定の部位に固定している。
【0020】
また片部材9を、絵本1を閉じた状態において頁上に平坦に折り畳まれていて、頁を開くことで前記片部材9が立体的にせり出してくるポップアップしかけ絵本となるように本の頁4に取り付けている(図4、図5参照)。
【0021】
また前記片部材9を、絵本1を閉じた状態において頁上に平坦に折り畳まれた状態になっていて、頁を開く動作に連動して、前記開口の上にポップアップする、すなわち片部材9が開口7の少なくとも一部を覆うよう頁4に取り付けている(図4、図5参照)。
【0022】
本発明の実施例では片部材9の一部をポップアップしかけ絵本(飛び出す絵本)で示しているが、片部材9を、例えばスライドさせるような他のしかけ片部材で構成してもいい。
【0023】
図3は、絵本1における頁上に描いたイラストや装飾用の片部材9を除いた状態の絵本を開いた状態を示している。
【0024】
前記片部材9は、この片部材9が頁上にポップアップした際、少なくともポップアップした片部材9における頁の前方より見える片部材9の裏側に、この片部材9の表側に描かれているイラストに対応したイラストを描いて、キャラクタ8がより立体的に見えるようにしたり、読み手が絵本1を後側から見た場合でも、ポップアップされた片部材9の表側に何が描かれているか分かるように文字等の表示を付したりする場合がある。
【0025】
また本発明の実施例は、絵本を閉じた状態において切り欠き6の形が揃っているが、少なくとも絵本の背側から形成した切り欠きを設けて、絵本を開いた状態で開口が形成されるように構成してあれば、切り欠きの形が揃っていなくてもいい。
【0026】
そして、絵本1の物語を子供に読み聞かせている中で、キャラクタ8が喋る場面となった場合に、読み手が、自分の顔を絵本1の背側すなわち図5に示す矢印Aの方向より開口7上に合わせて、キャラクタ8の言葉を喋ることにより、絵本1の物語を聞いている子供が、絵本1に登場しているキャラクタ8が自分に語りかけているように感じ取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る絵本の閉じた状態を示す斜視図。
【図2】ポップアップ用片部材が取り付けられた頁の一例の開いた状態を斜め下方から示す斜視図。
【図3】装飾用の片部材を除いた状態の絵本を開いた状態を示す斜視図。
【図4】ポップアップ用片部材が取り付けられた頁の一例の開いた状態を左斜め下方から示す斜視図。
【図5】頁上の片部材がポップアップした状態の一例を示す絵本の側面図。
【符号の説明】
【0028】
1 絵本
2 表表紙
3 背表紙
4 頁
4a 左頁
4b 右頁
5 裏表紙
6 切り欠き
7 開口
8 キャラクタ
9 片部材
10 のど

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本を閉じた状態において、本の表表紙、各頁、裏表紙に渡る切り欠きを本の背側から形成し、本を開いた状態で左右の頁に渡り本ののどを跨いで本の前後に貫通する開口が形成されるように構成してなる絵本。
【請求項2】
少なくとも前記本の一部の頁に、装飾用の片部材を取り付けてなる請求項1に記載の絵本。
【請求項3】
前記片部材が、絵本のしかけ部材である請求項2に記載の絵本。
【請求項4】
前記片部材を、本を開いた際にポップアップできるよう取り付けてなる請求項3に記載の絵本。
【請求項5】
前記片部材が、本を開いた際に前記開口の上にポップアップするよう取り付けてなる請求項3乃至4に記載の絵本。
【請求項6】
前記片部材における頁の前方より見える同片部材の裏側に、この片部材の表側と対応するイラストや文字を描いてなる請求項2乃至5に記載の絵本。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−82909(P2010−82909A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252868(P2008−252868)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000205823)大昭和紙工産業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】