説明

絶縁層形成用組成物およびタッチパネル

【課題】硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有する絶縁層形成用組成物を提供する。
【解決手段】ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を含む絶縁層形成用組成物であって、上記ポリマーが、(メタ)アクリルモノマー由来の構造である構成単位(1)と、カルボキシル基及び不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマー由来の構造である構成単位(2)と、上記構成単位(2)のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物を反応させてなる構造である構成単位(3)と、上記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造である構成単位(4)とを有し、上記ポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内であり、上記絶縁層形成用組成物の酸価が、150mgKOH/g以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有する絶縁層形成用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層配線板や集積回路のような回路基板や半導体装置などの電子部品は、金属等の高導電材料やシリコンのような半導体により形成された導電性部位と共に、当該導電性部位に隣接して絶縁層や封止層などの絶縁性部分を有している。
【0003】
このような絶縁性を有する絶縁層は、通常、導電性部位と隣接して設けられるものであるため、金属密着性が求められる。また、携帯電話等に代表される携帯機器に用いられる場合には、コンパクト化のために、微細なパターン状に形成されて用いられる。また、携帯時の破損等を防ぐため高硬度であることが要求される。
このようなことから、上記絶縁層を形成する絶縁層形成用組成物としては、硬化性、現像性、および金属密着性の全てを満たすことが要求される。
【0004】
例えば、入力手段として広く用いられているタッチパネルは、多くの場合、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置が組み込まれた種々の装置等(例えば、券売機、ATM装置、携帯電話、ゲーム機)に対する入力手段として、表示装置とともに用いられている。このような装置において、タッチパネルは表示装置の表示面上に配置され、これにより、タッチパネルは表示装置に対する極めて直接的な入力を可能にする。
【0005】
このようなタッチパネルとしては、様々な方式のものが実用化されている。このなかで、静電容量方式と呼ばれるものは、タッチパネルとして、第1透明電極/電極間絶縁層/第2透明電極の層構造を有するもの、さらには、上記第2透明電極を覆うように保護層が形成されたものが知られており、タッチパネルの表面のタッチパネル面に微弱な電流を流して電界を形成し、指等の導電体が軽く触れた場合の静電容量値の変化を電圧の低下等に変換して検知し、その接触位置を検出するものである。
【0006】
このようなタッチパネルは指等の接触に対して破損することがないように十分に高い硬度が要求される。このため、上記電極間の電極間絶縁層や、観察者側の電極である上記第2透明電極を覆うように形成される保護層にも、高硬度が要求される。また、このような電極間絶縁層や保護層は、上記電極材料と接触することから、上記電極等を構成する金属材料との高い密着性も要求される。さらに、上記電極間絶縁層や保護層は、タッチパネルの一部にパターン状に形成されることから、これらを形成するために用いられる絶縁層形成用組成物は、高い現像性が要求される。
【0007】
このような絶縁層形成用組成物としては、側鎖に有するカルボキシル基に上記エポキシ基含有化合物を反応させ、側鎖に不飽和二重結合を付加させることにより、硬化性に優れた不飽和二重結合含有ポリマーと金属密着性に優れることが知られているエポキシ樹脂とを含むものが知られている。しかしながら、このような不飽和二重結合含有ポリマーでは不飽和二重結合を付加し過ぎると、側鎖のカルボキシル基の数が減少し、十分な現像性を発揮することができないといった問題があった。このため、付加できる不飽和二重結合量には限界があり、硬化性に優れたものとするためには上記絶縁層形成用組成物中に多官能モノマーを多量に含む必要があった。また、その結果、上記絶縁層形成用組成物中に含むことができるエポキシ樹脂の含有量が少ないものとなり、十分な金属密着性を発揮することができないといった問題があった。
このように、例えば、硬化性と現像性に優れたものとすることはできるが、金属密着性が低いというように、上述の硬化性、現像性、および金属密着性の主要な3つの要求特性のうち2つを兼ね備えたものとすることは可能であるが、全てを同時に満たすことは困難であった。このため、例えば、現像性が低い場合には、現像時間が長いものとなり、上記電極等の他の部材へダメージが加わったり、生産コストが増大するといった問題があり、硬度が不十分な場合には、指等が接触した際に破損する恐れがあるといった問題があった。また、金属密着性が低い場合には、上記電極間絶縁層や保護層が上記電極から剥離するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−276322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有する絶縁層形成用組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を含む絶縁層形成用組成物であって、上記ポリマーが、アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー由来の構造である構成単位(1)と、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマー由来の構造である構成単位(2)と、上記構成単位(2)のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなる構造である構成単位(3)と、上記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造である構成単位(4)と、を有し、上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量は、それぞれ、1モル%〜50モル%の範囲内および50モル%〜99モル%の範囲内であり、上記構成単位(3)の含有量は、上記構成単位(2)の含有量の80モル%〜110モル%の範囲内であり、上記構成単位(4)の含有量は、上記構成単位(3)の含有量の5モル%〜50モル%の範囲内であり、上記ポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内であり、上記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、400以下であり、上記エポキシ樹脂の固形分中の含有量が40質量%以下であり、上記絶縁層形成用組成物の酸価が、150mgKOH/g以下であることを特徴とする絶縁層形成用組成物を提供する。
【0011】
本発明によれば、上記ポリマーが上記構成単位を上述の比率で含有するものとすることにより、硬化性および現像性に優れたものとすることができる。また、所定量のエポキシ樹脂を含むことにより、金属密着性に優れたものとすることができる。
このため、上記ポリマーおよび所定量のエポキシ樹脂を含むものとすることにより、硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有するものとすることができる。
【0012】
本発明においては、上記ポリマーが、滑り向上性を有する官能基および不飽和二重結合を有する滑り向上性モノマー由来の構造である滑り向上性構成単位を有することが好ましい。硬化後の塗膜を滑り性に優れたものとすることができるからである。また、滑り性に優れる塗膜とすることができることにより、例えば、このような塗膜からなる保護層をタッチパネルの最表面に形成した場合には、タッチパネル面を搬送装置や作業台等の他の部材と接触させた場合であっても、上記タッチパネルに含まれる電極等の各構成へのキズ・剥がれの発生をより効果的に防止することが可能となるからである。
【0013】
本発明においては、上記ポリマーの酸価が、30mgKOH/g〜120mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。現像性により優れたものとすることができるからである。
【0014】
本発明においては、上記ポリマーに含まれる不飽和二重結合の含有量が、150g/mol〜300g/molの範囲内であることが好ましい。硬化性により優れたものとすることができるからである。
【0015】
本発明は、上述の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層を有することを特徴とするタッチパネルを提供する。
【0016】
本発明によれば、上述の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層、とすることにより、高硬度でかつ金属密着性に優れ、パターン精度に優れたものとすることができる。したがって、このような絶縁層を有することにより、使用による破損の少ないものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有する絶縁層形成用組成物を提供できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のタッチパネルを含むタッチパネル入出力装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のタッチパネルの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、絶縁層形成用組成物およびそれを用いて形成されたタッチパネルに関するものである。
以下、本発明の絶縁層形成用組成物およびタッチパネルについて説明する。
【0020】
A.絶縁層形成用組成物
まず、本発明の絶縁層形成用組成物について説明する。
本発明の絶縁層形成用組成物は、ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を含む絶縁層形成用組成物であって、上記ポリマーが、アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー由来の構造である構成単位(1)と、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマー由来の構造である構成単位(2)と、上記構成単位(2)のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなる構造である構成単位(3)と、上記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造である構成単位(4)と、を有し、上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量は、それぞれ、1モル%〜50モル%の範囲内および50モル%〜99モル%の範囲内であり、上記構成単位(3)の含有量は、上記構成単位(2)の含有量の80モル%〜110モル%の範囲内であり、上記構成単位(4)の含有量は、上記構成単位(3)の含有量の5モル%〜50モル%の範囲内であり、上記ポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内であり、上記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、400以下の範囲内であり、上記エポキシ樹脂の固形分中の含有量が40質量%以下であり、上記絶縁層形成用組成物の酸価が150mgKOH/g以下の範囲内であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、上記ポリマーが上記構成単位(4)を有すること、すなわち、側鎖に不飽和二重結合を有し、さらに、カルボキシル基を有する構造の構成単位を含むことにより、従来のように、硬化性向上のために、側鎖に有するカルボキシル基に上記エポキシ基含有化合物を反応させ、側鎖に不飽和二重結合を付加させただけの場合と比較し、上記ポリマーを、現像性を維持しつつ、硬化性に優れたものとすることができる。
その結果、硬化性を得るために上記多官能モノマーの含有量を増加する必要がなくなり、上記多官能モノマーの含有量を減少させることができる。このため、金属密着性を向上させることができるエポキシ樹脂の含有量を増加させることを容易とすることができる。
このようなことより、上記ポリマーおよび所定量のエポキシ樹脂を含むものとすることが可能となり、硬化性、現像性、および金属密着性を同時に有するものとすることができるのである。
【0022】
本発明の絶縁層形成用組成物は、上記ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を少なくとも有するものである。
以下、本発明の絶縁層形成用組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0023】
1.ポリマー
本発明に用いられるポリマーは、上記構成単位(1)〜(4)を有し、重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内のものである。
【0024】
(1)構成単位
本発明に用いられるポリマーを構成する構成単位は、少なくとも上記構成単位(1)〜(4)の構成単位を有するものである。
【0025】
また、上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量は、それぞれ、1モル%〜50モル%の範囲内および50モル%〜99モル%の範囲内であり、上記構成単位(3)の含有量は、上記構成単位(2)の含有量の80モル%〜110モル%の範囲内であり、上記構成単位(4)の含有量は、上記構成単位(3)の含有量の5モル%〜50モル%の範囲内であるものである。
したがって、上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量がそれぞれ50モル%であり、上記構成単位(3)の含有量が、上記構成単位(2)の含有量の100モル%であり、上記構成単位(4)の含有量が、上記構成単位(3)の含有量の50モル%である場合には、上記ポリマーに含まれる上記構成単位(1)〜(4)の含有量のモル比(ユニット比)は、構成単位(1):構成単位(2):構成単位(3):構成単位(4)=50:50:50:25となる。
【0026】
本発明における構成単位(1)は、アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー由来の構造であり、上記アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー同士が重合または上記ポリマーを構成する他のモノマー成分と共重合した際に形成される構造を有するものである。
【0027】
本発明における構成単位(1)を形成するアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸(以下、(メタ)アクリル酸と略す。)とアルキルとのエステル化合物である。
このような(メタ)アクリル酸とエステルを形成するアルキル基としては、所望の硬化性、現像性、および金属密着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、脂肪族系であっても良く、芳香環やその他の官能基を含むものを用いることができる。
本発明においては、なかでも、炭素数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数が1〜8のアルキル基であることが好ましい。上記ポリマーを溶剤中での分散安定性に優れたものとすることができるからである。
【0028】
本発明におけるアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基(メタ)アクリレート等を用いることができる。
本発明においては、なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートの脂肪族(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基(メタ)アクリレートであることが好ましく、特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、等の官能基(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーとして、上述の化合物を用いることにより、上記ポリマーを溶剤中での分散安定性に優れたものとすることができるからである。
【0029】
本発明における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合の構成単位(1)の含有量は1モル%〜50モル%の範囲内であるが、なかでも本発明においては、10モル%〜40モル%の範囲内であることが好ましく、特に、20モル%〜30モル%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、上記ポリマーを溶剤中での分散安定性に優れたものとすることができるからである。
【0030】
本発明における構成単位(2)は、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマー由来の構造であり、上記カルボキシル基含有モノマー同士が重合または上記ポリマーを構成する他のモノマー成分と共重合した際に形成される構造を有するものである。
このようなカルボキシル基含有モノマーとしては、所望の硬化性、現像性、および金属密着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水フタル酸等の酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。
本発明においては、なかでも、アクリル酸、メタアクリル酸であることが好ましい。上記カルボキシル基含有モノマーとして、上述の化合物を用いることにより、硬化性および硬化後の硬度が良好であるものとすることができるからである。
【0031】
本発明における上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合の構成単位(2)の含有量は50モル%〜99モル%の範囲内であるが、なかでも本発明においては、60モル%〜90モル%の範囲内であることが好ましく、特に、70モル%〜80モル%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、現像性および、構成単位(3)の付加量に影響を及ぼすため、硬度にもより優れたものとすることができるからである。
【0032】
本発明における構成単位(3)は、上記構成単位(2)のカルボキシル基、すなわち、カルボキシル基含有モノマー由来のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなる構造を有するものである。
本発明において用いられるエポキシ基含有化合物としては、上記構成単位(2)で示される構造に含まれるカルボキシル基と反応することができるエポキシ基を有し、上記構成単位(3)を不飽和二重結合を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、グリシジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記エポキシ基含有化合物として、上述の化合物を用いることにより、硬化性により優れたものとすることができるからである。
【0033】
本発明における構成単位(3)の含有量は、上記構成単位(2)の含有量の80モル%〜110モル%の範囲内であるが、なかでも本発明においては、85モル%〜105モル%の範囲内であることが好ましく、特に、90モル%〜100モル%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬化性により優れたものとすることができるからである。
【0034】
本発明における構成単位(4)は、上記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造を有するものである。
本発明において用いられる多塩基酸無水物としては、上記構成単位(3)に含まれる上記水酸基とエステル結合を形成し、カルボキシル基を生成するものであれば特に限定されるものではなく、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、ドデシル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、3−ブテニル−5,6−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレン−テトラヒドロ無水フタル酸、7−メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の脂肪族酸無水類;無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香物酸無水物を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸であることが好ましく、特に、無水マレイン酸であることが好ましい。上記多塩基酸無水物として、上述の化合物を用いることにより、硬化性および硬化後の硬度が良好であることや、製造されたポリマーの溶剤に対する溶解性が良好とすることができるからである。
【0035】
本発明における構成単位(4)の含有量は、上記構成単位(3)の含有量の5モル%〜50モル%の範囲内であるが、なかでも本発明においては、10モル%〜40モル%の範囲内であることが好ましく、特に、20モル%〜30モル%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、現像性により優れたものとすることができるからである。
【0036】
本発明における構成単位は、上記構成単位(1)〜(4)を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の構成単位を有するものであっても良い。
このような他の構成単位としては、上記ポリマーの硬化性および現像性を妨げないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、滑り向上性官能基および不飽和二重結合を有する滑り向上性モノマー由来の構造である滑り性向上構成単位等を挙げることができる。このような滑り性向上構成単位を含むことにより硬化後の塗膜を滑り性に優れたものとすることができるからである。したがって、このような塗膜からなる保護層をタッチパネルの最表面に形成した場合には、タッチパネル面を、搬送装置や作業台等の他の部材と接触させた場合であっても、上記タッチパネルに含まれる電極等の各構成へのキズ・剥がれの発生をより効果的に防止することが可能となるからである。
【0037】
本発明における滑り向上性モノマーに含まれる滑り向上性官能基としては、本発明の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層の表面が滑り性を有するものとすることができるものであれば良く、例えば、フッ素やシリコーン等を含むものを用いることができ、具体的には、フッ素含有官能基、シリコン系官能基、長鎖アルキル基、脂環族系官能基等を挙げることができる。
本発明においては、上記滑り向上性モノマーとしては、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル メタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル メタクリレート、α-ブチル-ω−(3−メタクリロキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンを挙げることができ、なかでも、2−(パーフルオロヘキシル)エチル メタクリレート、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンを好ましく用いることができる。
【0038】
本発明における滑り性向上構成単位の含有量としては、所望の滑り性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量と、滑り性向上構成単位の含有量との合計を100モル%とした場合における滑り性向上構成単位の含有量は0.1モル%〜8モル%の範囲内であることが好ましく、なかでも1モル%〜6モル%の範囲内であることが好ましく、特に、2モル%〜4モル%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬化後の塗膜を滑り性により優れたものとすることができるからである。
【0039】
(2)ポリマー
本発明に用いられるポリマーは、上記構成単位を含むものであり、重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内ものである。
本発明におけるポリマーの重量平均分子量としては、上述の範囲内であり、所望の硬化性および現像性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、なかでも5,000〜50,000の範囲内であることが好ましく、特に10,000〜30,000の範囲内であることが好ましい。上記分子量が上述の範囲内であることにより、現像性と硬化性をバランスよく発揮するものとすることができるからである。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0040】
本発明に用いられるポリマーの酸価としては、本発明の絶縁層形成用組成物を現像性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、30mgKOH/g〜120mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、特に50mgKOH/g〜100mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。上記酸化が上述の範囲内であることにより、現像性に特に優れたものとすることができるからである。
なお、上記酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
【0041】
本発明に用いられるポリマーの不飽和二重結合の含有量としては、所望の硬化性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、150g/mol〜300g/molの範囲内であることが好ましく、なかでも175g/mol〜275g/molの範囲内であることが好ましい。上記不飽和二重結合の含有量が上述の範囲内であることにより、硬化性により優れたものとすることができるからである。
なお、上記不飽和二重結合の含有量については、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなる構造である構成単位(3)と、上記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造である構成単位(4)がポリマーに取り込まれたと仮定して算出を行った。
【0042】
本発明に用いられるポリマーの含有量としては、所望の硬化性、現像性等を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に、50質量%以下であることが好ましく、なかでも40質量%以下であることが好ましく、特に35質量%以下であることが好ましい。
ここで、上記固形分中とは、上記絶縁層形成用組成物に含まれる溶剤以外の全ての成分をいうものである。
なお、本発明における上記ポリマーの含有量の下限としては、固形分中に10質量%以上であることが好ましく、なかでも、15質量%以上であることが好ましい。
【0043】
本発明に用いられるポリマーは、上記構成単位を含むものであれば特に限定されるものではなく、ブロックポリマーであっても良く、ランダムポリマーであっても良い。
【0044】
本発明に用いられるポリマーの形成方法としては、上記構成単位を精度良く含むものであれば特に限定されるものではなく、一般的な形成方法を用いることができる。
具体的には、上記構成単位(1)および構成単位(2)を形成可能なアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーおよびカルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマーを共重合し、その後、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させる方法を用いることができる。
【0045】
2.エポキシ樹脂
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、400以下であり、上記エポキシ樹脂の固形分中の含有量が40質量%以下となるように含有されるものである。
【0046】
このようなエポキシ樹脂の含有量としては、固形分中に40質量%以下で含有されるものであり、所望の金属密着性を発揮することができるものであれば良いが、本発明においては、なかでも、10質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬化後の上記絶縁層形成用組成物を金属密着性に優れたものとすることができるからである。
なお、本発明における上記エポキシ樹脂の含有量の下限としては、固形分中に5質量%以上であることが好ましく、なかでも、10質量%以上であることが好ましい。
【0047】
本発明に用いられるエポキシ樹脂のエポキシ当量としては、400以下であれば特に限定されるものではないが、なかでも本発明においては、200〜350の範囲内であることが好ましく、特に200〜300の範囲内であることが好ましい。上記エポキシ当量が上述の範囲内であることにより、金属密着性により優れたものとすることができるからである。
また、本発明における上記エポキシ樹脂のエポキシ当量の下限としては、100以上であることが好ましい。
なお、エポキシ当量は、JIS K 7236に基づいて求めることができる。
【0048】
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、上記絶縁層形成用組成物の硬化後に所望の金属密着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記絶縁層形成用組成物に含まれる各成分と相溶性に優れたものであることが好ましい。本発明の絶縁層形成用組成物を用いて形成される絶縁層を透明性に優れたものとすることができるからである。
ここで、相溶性に優れるものとしては、具体的に、本発明の絶縁層形成用組成物を用いて製膜した際の350nm〜750nmの範囲内の波長の光の透過率が85%以上とすることができるものであることが好ましい。
なお、透過率測定は、ガラス上に塗布した絶縁層形成用組成物の塗膜の全光線透過率をSHIMAZU社製MPC2200にて行うことにより測定することができる。
また、上記絶縁層形成用組成物の塗膜の形成方法としては、ガラス上に塗布し、ホットプレートを用いて80℃で2分間プリベークした後、60mJ/cmの露光量となるように露光し、オーブンを用いて空気中230℃で30分間キュアし、膜厚1.5μmの測定用塗膜とする方法を用いることができる。
【0049】
このようなエポキシ樹脂としては、上記絶縁層形成用組成物の硬化後に所望の金属密着性を発揮することができるものであり、エポキシ当量が400以下のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、常温で液状のノボラック系エポキシ、脂環式エポキシ、カルドエポキシ等を挙げることができ、より具体的には、商品名BPEFG(ナガセケムテックス製)、セロキサイド2021P、3000、2000、スチレンオキサイド、エポリードGT300、GT401(以上、ダイセル化学工業製)、jer901、801P、802、802XA、806、806L、807、815、819、825、827、828、815XA、828EL、828XA、152、604、630(以上、油化シェルエポキシ製)、SPCA−35X(昭和高分子(株)製)等を挙げることができる。
【0050】
3.多官能モノマー
本発明に用いられる多官能モノマーとしては、複数の重合性の官能基を有し、光照射により、上記多官能モノマーおよび上記ポリマーを重合させることができるものであれば良い。
このような多官能モノマーとしては、通常、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
【0051】
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
また、上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カルボン酸変性ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0053】
これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0054】
本発明に用いられる多官能モノマーの含有量としては、所望の硬度とすることができるものであれば良く、固形分中に、20質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、25質量%〜45質量%の範囲内であることが好ましく、特に30質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があるからであり、上記範囲より多いと、未露光箇所分でも現像できなくなる可能性があるからである。
【0055】
4.光重合開始剤
本発明に用いられる光重合開始剤としては、光照射により、上記多官能モノマーおよび上記ポリマーを重合させることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを用いることができる。
【0056】
具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン‐1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブチキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、1,2−オクタジオン等の光重合開始剤を挙げることができる。本発明においては、これらの光重合開始剤を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
このような光重合開始剤の含有量としては、上記絶縁層形成用組成物を所望の硬化速度で光硬化することができるものであれば良く、固形分中に、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.7質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0058】
5.溶剤
本発明の絶縁層形成用組成物に含まれる溶剤は、上記絶縁層形成用組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であれば特に限定されるものではない。
【0059】
具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0060】
本発明に用いられる溶剤の含有量としては、本発明の絶縁層形成用組成物中に60質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。このような含有量であることにより、塗布に適した粘度とすることができるからである。
【0061】
6.絶縁層形成用組成物
本発明の絶縁層形成用組成物は、上記ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を少なくとも有するものである。また、酸価が、150mgKOH/g以下のものである。
本発明においては、なかでも、上記酸価が30mgKOH/g〜150mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、特に、50mgKOH/g〜120mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。上記酸価が上述の範囲内であることにより、現像性により優れたものとすることができるからである。
【0062】
本発明の絶縁層形成用組成物は、上記各成分の他に、必要に応じて添加剤を含むものであっても良い。
このような添加剤としては、レベリング剤等を挙げることができる。
また、これらの添加剤の含有量としては、通常、固形分中に10質量%以下であることが好ましい。上記範囲内であることにより、本発明の絶縁層形成用組成物に求められる硬化性、現像性および金属密着性の発揮を妨げないものとすることができるからである。
【0063】
本発明の絶縁層形成用組成物の製造方法としては、上記各成分を上記溶剤中に均一に分散したものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の混合・分散方法を用いることができる。
【0064】
本発明の絶縁層形成用組成物の用途としては、電子機器等の絶縁層に用いることができる。本発明においては、なかでも、優れた硬化性、現像性および金属密着性の3つの特性全てが要求される絶縁層に用いることが好ましい。本発明の効果をより効果的に発揮することができるからである。具体的には、タッチパネルに含まれる絶縁層や、表示装置に含まれるカラーフィルタのオーバーコート層、電子回路基板の絶縁層として用いられることが好ましく、特にタッチパネルに含まれる絶縁層として用いられることが好ましい。
【0065】
B.タッチパネル
次に、本発明のタッチパネルについて説明する。
本発明のタッチパネルは、上述の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層を有することを特徴とするものである。
【0066】
このような本発明のタッチパネルについて図を参照して説明する。図1は、本発明のタッチパネルを有し、表示装置として液晶画面を有するタッチパネル入出力装置の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明のタッチパネルの一例を示す概略図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、本発明のタッチパネル10は、カラーフィルタ20、液晶層21、対向基板22およびバックライト23をこの順で積層することにより、タッチパネル入出力装置25を形成するものであり、透明基板1と、上記透明基板1上にパターン状に形成された第1透明電極2と、上記第1透明電極2上に上記絶縁層形成用組成物を用いて形成された電極間絶縁層3と、上記電極間絶縁層3上に上記第1透明電極2とは異なるパターンを有するように形成された第2透明電極4、上記第2透明電極4を覆うように上記絶縁層形成用組成物を用いて形成された保護層5と、を有するものである。また、本発明のタッチパネル10は、上記電極間絶縁層3の周辺に取り出し電極6を有するものである。
なお、図2(a)においては、説明の容易のため、上記電極間絶縁層3および保護層5については省略して示している。
【0067】
本発明によれば、上述の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層とすることにより、高硬度でかつ金属密着性に優れ、パターン精度に優れたものとすることができる。したがって、このような絶縁層を有することにより、使用による破損の少ないものとすることができる。
【0068】
本発明のタッチパネルは、上記絶縁層を有するものである。
以下、本発明のタッチパネルの各構成について詳細に説明する。
【0069】
1.絶縁層
本発明に用いられる絶縁層は、上記タッチパネルを構成する部材として含まれるものである。
このような絶縁層としては、上記タッチパネルに含まれるものであれば特に限定されるものではないが、金属を含む部材と接する部材として用いられることが好ましい。上述のように、上記絶縁層形成用組成物は、金属密着性に優れるものであるため、本発明の効果を効果的に発揮することができるからである。
【0070】
本発明において、上記金属を含む部材と接する部材としては、具体的には、上記電極間に形成される電極間絶縁層や、上記電極を覆うように形成される保護層を挙げることができる。
【0071】
本発明に用いられる絶縁層の膜厚としては、用いられる部材により異なるものであるが、例えば、上記電極間絶縁層として用いられる場合には、0.5μm〜10μmの範囲内とすることができ、上記保護層として用いられる場合には、0.5μm〜5μmの範囲内とすることができる。
【0072】
本発明における絶縁層の形成方法としては、上記絶縁層形成用組成物を用い、上記絶縁層を所望のパターンに形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。具体的には、上記絶縁層形成用組成物を塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、上記塗膜に対してマスクを介して露光し、現像する方法を用いることができる。
【0073】
2.タッチパネル
本発明のタッチパネルは、上記絶縁層を有するものであるが、通常、上記透明基板、第1透明電極、および第2透明電極を有するものである。
このような透明基板、第1透明電極および第2透明電極については、一般的なタッチパネルに用いられるものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0075】
本発明について、以下に実施例および比較例を用いてさらに詳しく説明する。
【0076】
[実施例1〜9および比較例1〜6]
1.ポリマー(A)〜ポリマー(G)の合成
下記の合成例1〜7に示す方法によりポリマー(A)〜ポリマー(G)を作製した。
【0077】
[合成例1]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)120質量部、メチルメタクリレート(MMA)30質量部、メタクリル酸(MAA)70質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を90℃まで昇温した。ついで、フラスコ内の内容物を90℃に維持しながら、βメルカプトプロピオン酸(BMPA)4質量部とジメチル 2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)0.1質量部添加し、重合を開始した。重合開始から1時間毎に2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)0.4質量部を計3回添加した。重合開始から6時間後、PGME50質量部を添加し、室温まで冷却した。
重合物を10時間程度放置した後、フラスコ内の酸素濃度が20%程度にもどっていることを確認した後、フラスコ内にメトキノン(MEHQ)0.1質量部とグリシジルメタクリレート(GMA)121質量部とPGME100質量部を追加し、95℃まで昇温した。ついで、フラスコの内容物を95℃に維持しながらトリエチルアミン(TEA)1質量部を添加してから7時間後、室温まで冷却した。冷却後、無水マレイン酸を22質量部とMEHQ0.3質量部、PGME10質量部を追加し、再度95℃まで昇温した。ついで、フラスコの内容物を95℃に維持しながら、ジメチルアミノピリジン(DMAP)1質量部を添加してから7時間後、PGME80質量部を添加し、室温まで冷却して、ポリマー濃度38%のポリマー(A)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1.5万で、樹脂酸価は70mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、226(g/mol)であった。
【0078】
[合成例2]
合成例1の最初に仕込むモノマーを、MMA30質量部、MAA70質量部から、MMA20質量部、MAA70質量部、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート10質量部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、ポリマー濃度38%のポリマー(B)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1.5万で、樹脂酸価は70mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、226(g/mol)であった。
【0079】
[合成例3]
合成例1の最初に仕込むモノマーをMMA30質量部、MAA70質量部から、MMA10質量部、MAA70質量部、重量平均分子量(Mw)が1,000のケイ素含有マクロモノマー(FM-0711;チッソ(株)製)20質量部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、ポリマー濃度38%のポリマー(C)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1.5万で、樹脂酸価は70mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、226(g/mol)であった。
【0080】
[合成例4]
合成例1の最初に仕込むモノマーをMMA30質量部、MAA70質量部から、MMA15質量部、MAA70質量部、イソボルニルメタクリレート 15質量部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、ポリマー濃度38%のポリマー(D)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は2.5万で、樹脂酸価は70mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、226(g/mol)であった。
【0081】
[合成例5]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、PGME120質量部、MMA30質量部、MAA70質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を90℃まで昇温した。ついで、フラスコ内の内容物を90℃に維持しながら、BMPA4質量部とジメチル 2,2-アゾビス(2−メチルプロピネート)0.1質量部添加し、重合を開始した。重合開始から1時間毎に2,2−アゾビス(2−メチルプロピネート)0.4質量部を計3回添加した。重合開始から6時間後、PGME50質量部を添加し、室温まで冷却した。
重合物を10時間程度放置した後、フラスコ内の酸素濃度が20%程度にもどっていることを確認した後、フラスコ内にMEHQ0.1質量部とGMA100質量部とPGME150質量部を追加し、95℃まで昇温した。ついで、フラスコの内容物を95℃に維持しながらTEA1質量部を添加後、7時間後、室温まで冷却して、ポリマー濃度38%のポリマー(E)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1.5万で、樹脂酸価は70mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、284(g/mol)であった。
【0082】
[合成例6]
合成例1の無水マレイン酸を22質量部から、90質量部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、ポリマー濃度40%のポリマー(F)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1.5万で、樹脂酸価は160mgKOH/gであった。
二重結合の含有量は、176(g/mol)であった。
【0083】
[合成例7]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、PGME150質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を95℃まで昇温した。ついで、フラスコ内の内容物を95℃に維持しながら、MMA50質量部、GMA50質量部を4時間かけて滴下、および滴下開始と同時にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1質量部を1時間毎に計5回添加した。滴下開始から7時間後、室温まで冷却した。
重合物を10時間程度放置した後、フラスコ内の酸素濃度が20%程度にもどっていることを確認した後、フラスコ内にMEHQ0.1質量部とアクリル酸(AA)25質量部とPGME100質量部を追加し、95℃まで昇温した。ついで、フラスコの内容物を110℃に維持しながらTEA1.0質量部を添加してから7時間後、室温まで冷却して、ポリマー濃度38%のポリマー(G)を得た。
得られた重合物の重量平均分子量は1万で、樹脂酸価は検出されなかった。
二重結合の含有量は、360(g/mol)であった。
【0084】
2.絶縁層形成用組成物の調製
上記合成例1〜7により得たポリマー(A)〜(G)を用いて、下記表1に示すような絶縁層形成用組成物を調製した。
なお、各組成物は、固形分濃度が20質量%となるように調整した。また、表1中の数字は、各成分の固形分中の質量部を示すものである。
また、多官能モノマーとして、モノマー1(東亜合成株式会社製M408(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート))、モノマー2(日本化薬製DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート))、モノマー3(日本化薬製カヤラッドDPCA−30)、モノマー4(東亜合成株式会社製M520(多塩基酸変性アクリルオリゴマー))を用いた。
エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂1(ダイセル化学工業製GT401)、エポキシ樹脂2(三菱化学828)、エポキシ樹脂3(荒川化学E102B)を用いた。
光重合開始剤として、開始剤1(BASF社製IRGACURE907)、開始剤2(BASF社製IRGACURE OXE01)、開始剤3(BASF社製DAROCURE TPO),開始剤4(BASF社製IRGACURE819)を用いた。
添加剤として、添加剤1(DIC株式会社製R08MH)、添加剤2(信越化学工業製KBM403)を用いた。
溶剤として、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用いた。
【0085】
3.評価結果
実施例および比較例で得られた絶縁層形成用組成物を用いて、(1)現像性、(2)硬度、(3)密着性(ポストベーク後)について評価した。
【0086】
(1)現像性
実施例および比較例で得られた絶縁層形成用組成物をガラス基板上に乾燥後の厚みが2μmとなるようにスピンコートし、90℃ホットプレート上にて3分間静置(予備乾燥)し、マスク露光を行った。次いで、現像液として、0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて現像を行い、未露光部の現像性を評価した。
なお、露光条件は以下のとおりとした。また、現像性の評価は、未露光部が完全に溶解し、除去されるまでの時間(秒)にて行った。また、現像性結果を下記表1に示す。
【0087】
(露光条件)
露光機:プロキシ露光機
マスク:クロムマスク
露光ギャップ:150μm
光源:超高圧水銀灯
露光量:60mJ/cm
【0088】
(判断基準)
・○:10秒〜30秒で現像が終了する。
・△:31秒〜60秒で現像が終了する。
・×:60秒以内で現像が終了しない。
【0089】
(2)硬度
上記「(1)現像性」と同様の条件で得られた露光後の塗膜について、鉛筆硬度計にて、硬度の評価を行った。結果を下記表1に示す。
なお、硬度は、JISK5600−5−4により行った。
【0090】
(3)密着性(ポストベーク後)
上記「(1)現像性」と同様の条件で得られた露光後の塗膜について、230℃で30分ポストベーク処理を行った後、セロハン粘着テープにて碁盤目剥離試験を行った。結果下記表1に示す。
ここで、碁盤目剥離試験は、カッターナイフでITO基板の素地に到達するように、直行する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作製し、セロハン粘着テープ(商品名:セロテープ、品番:CT405AP-24、ニチバン(株)製)を消しゴムで擦って貼り付け、直角に瞬間的に剥離して、マス目の残存数を目視によって評価した。
以下の判断基準で評価を行った。
【0091】
(判断基準)
◎:塗膜が全て残った。
○:切れ込み部の一部が剥がれた
△:塗膜の一部残った。
×:塗膜が全て剥がれた。
【0092】
【表1】

【0093】
(4)まとめ
表1に示すように、実施例では、いずれの評価項目に対しても同時に優れた結果を示すことが確認できた。
なお、現像性評価において比較例1および比較例3では抜けていない部分があった。また、比較例4では塗膜が剥離した。
【符号の説明】
【0094】
1 … 透明基板
2 … 第1透明電極
3 … 電極間絶縁層
4 … 第2透明電極
5 … 保護層
6 … 取り出し電極
10 … タッチパネル
20 … カラーフィルタ
21 … 液晶層
22 … 対向基板
23 … バックライト
23 … タッチパネル入出力装置
30 … 着色層
31 … 遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂および溶剤を含む絶縁層形成用組成物であって、
前記ポリマーが、アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー由来の構造である構成単位(1)と、
カルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマー由来の構造である構成単位(2)と、
前記構成単位(2)のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなる構造である構成単位(3)と、
前記構成単位(3)に含まれるカルボキシル基にエポキシ基が反応することにより生じた水酸基に、多塩基酸無水物を反応させてなる構造である構成単位(4)と、
を有し、
前記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量の合計を100モル%とした場合における前記構成単位(1)および構成単位(2)の含有量は、それぞれ、1モル%〜50モル%の範囲内および50モル%〜99モル%の範囲内であり、
前記構成単位(3)の含有量は、前記構成単位(2)の含有量の80モル%〜110モル%の範囲内であり、
前記構成単位(4)の含有量は、前記構成単位(3)の含有量の5モル%〜50モル%の範囲内であり、
前記ポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内であり、
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、400以下であり、
前記エポキシ樹脂の固形分中の含有量が40質量%以下であり、
前記絶縁層形成用組成物の酸価が、150mgKOH/g以下であることを特徴とする絶縁層形成用組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、滑り向上性を有する官能基および不飽和二重結合を有する滑り向上性モノマー由来の構造である滑り向上性構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁層形成用組成物。
【請求項3】
前記ポリマーの酸価が、30mgKOH/g〜120mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の絶縁層形成用組成物。
【請求項4】
前記ポリマーに含まれる不飽和二重結合の含有量が、150g/mol〜300g/molの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の絶縁層形成用組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の絶縁層形成用組成物を用いて形成された絶縁層を有することを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−208394(P2012−208394A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75158(P2011−75158)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】