説明

絶縁構造体、及びその装着方法、絶縁構造付きボタン電池、その実装構造、及びその実装方法

【課題】電池ホルダーとの接触信頼性のより高いボタン電池を提供する。
【解決手段】機械的結合によってボタン電池の正極に装着される弾性体の第1の絶縁体と、機械的結合によってボタン電池の負極に装着される弾性体の第2の絶縁体とを備え、第1の絶縁体は、正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設けられ、第2の絶縁体は、負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電池に関し、特にその実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池は、消費電力の小さな各種の電子機器に多く用いられている。各種機器に固定される等して用意された電池ホルダーに着脱自在にボタン電池が実装される。
【0003】
図1は、ボタン電池、及び電池ホルダーを説明するための斜視図である。図1を参照すると、ボタン電池1のプラス極1a側の面(以下では表面とも記す)が示されている。ボタン電池1は略円筒の形状である。表面から続くボタン電池1の外周面もプラス極1aとなっている。一方で、表面とは反対側のボタン電池1の裏面はマイナス極1bとなっている。また、ボタン電池1が実装される電池ホルダー2は、マイナスコンタクト3とプラスコンタクト4とハウジング5とを含んでいる。そして、電池ホルダー2は、そのセンターにマイナス極のコンタクト3と、そのサイドにプラス極のコンタクト4との構造を有している。
【0004】
図2は、ボタン電池が電池ホルダーに実装された状態を示した斜視図である。図2を参照すると、ボタン電池1の外周面と電池ホルダー2(ハウジング5)との間の領域には隙間Bが生じている。
【0005】
図3は、ボタン電池が電池ホルダーに実装された状態を示した断面図である。図3を参照すると、図2のA−Aで示される領域の断面が示されている。電池ホルダ2ーに実装されたボタン電池1は、プラス極1aとプラスコンタクト4とが接触している。また、マイナス極1bとマイナスコンタクト3とが接触している。マイナスコンタクト3から上向きの力を受けるボタン電池1はプラスコンタクト4とハウジング5とによって押さえつけられている。
【0006】
上の記述に関連して、偏平形集合電池が実開昭59−168963号公報に開示されている。この例では、複数個のボタン電池を平面上に並べた偏平形集合電池において、外面に液不透過性のプラスチック膜をラミネートした吸液材で単位電池群を筒状に囲繞し、その両端開口部に内面が耐アルカリ性の絶縁物質でコーティングされた金属キャップを嵌合し、該金属キャップに集合電池を構成する両端の単位電池の正・負極を接続すると共に、外面を熱収縮性チューブで被覆している。
【0007】
また、実開平04−047261号公報には、コイン電池ホルダが開示されている。この例では、ケースの一部をなすホルダ本体を摘み部とホルダ部とで構成すると共にホルダ部の短アームと湾曲アームでコイン電池の1部を露出させる欠切部を残してコイン電池が収納可能な空間を画成し、ホルダの1側面にコイン電池中心部電極と当接するホルダプレートを配して該ホルダプレートを短アーム、湾曲アームの所要位置でカシメ、該カシメ部及び電池露出部を電子機器ケース側に設けた接点と接触可能とすると共に、摘み部にはコイン電池充電器のピン接点が挿入する充電端子孔を設けることなく、又湾曲アームによりコイン電池充電器のコイン電池周辺接触用接点が接触する点を覆っている。
【0008】
また、電池ホルダが特開2002−75312号公報で開示されている。この例では、ボタン形電池1をハウジング4bと4cの間で、かつ、固定ハウジング8bと8cの下側と電池ホルダ2の底面の間を、ストッパ9の上部から斜めに挿入するようにしている。従って、固定ハウジング8a〜8dがボタン形電池1の挿入時にボタン形電池1から押圧力を受けることは無いため、変形することはないとしている。ボタン形電池1が電池ホルダ2に収納されると、ボタン形電池1は固定ハウジング8a〜8dにより上方向への脱落が防止されると共に、ハウジング4a〜4fとストッパ9により横方向への脱落が防止され固定された状態が保持されるとしている。固定ハウジング8a〜8dの長さを長くできるため、衝撃等による脱落を防止できるとしている。
【0009】
また、特開2002−324532号公報にも、電池ホルダが開示されている。この例では、電池ホルダ1のホルダ本体2に柱形のロック部5を突設し、ボタン形電池の周側面Bsと向き合うロック部の対峙面5aをボタン形電池の中心方向に角θ1ほど内倒させたため、ボタン形電池の収容時にロック部を柔軟に大きく撓ませることができるとしている。また、対峙面5aにボタン形電池の上面Buに係止する爪部5bの係止面5cを角θ2ほど下向き傾斜で形成したので、ロック部が撓んで反り返っても、係止面を下向き傾斜状態で若しくは略水平状態で該上面に係止させて、ボタン形電池が容易に離脱しないようにしている。
【0010】
また、特開2004−39347号公報には、電池ホルダ用端子が開示されている。これは、底板7とその底板7に設けられた周壁8、9とからなる電池収容部10に収容したボタン電池2のプラス極にプラス端子5が電気的に接触すると共に、マイナス極にマイナス端子6が電気的に接触するものである。その構成は、前記プラス端子5及び/又はマイナス端子6が、細長のほぼ矩形状の金属片30、40を、前記周壁8、9に取り付けられるべく折り曲げて形成される取付部31、41と、その取付部31、41を形成する金属片30、40の一部に設けられ、周壁8、9と係合して取付部31、41を係止する係止部32、42と、前記取付部31、41より電池収容部10側となる金属片30、40を折り曲げて電池収容部10に収容したボタン電池2の電極に電気的に接触する接触端子部34、43とからなる。
【0011】
また、ボタン電池ホルダー及びその接続構造が特開2004−134271号公報で開示されている。これは、ボタン電池1を収納する絶縁ホルダー5と絶縁ホルダー5を回路基板15へ固定する保持具7とからなり、絶縁ホルダー5は弾性材料で有底筒形に形成し、その底部のほぼ中央にボタン電池1の一方の電極に接続する第一の接続端子6を設け、前記保持具7は保持脚8とボタン電池の他の電極と接続する第二の接続端子11を先端に有する電極脚10とを具有することを特徴とする。絶縁ホルダー5を覆う形に形成された保持具7の保持脚8が、ボタン電池1の両端(ボタン電池が円形の場合には直径の両端)の位置に2箇所設けられ、電極脚10が保持脚8とほぼ垂直の位置に設けられるものであることが好ましいとしている。
【0012】
そして、特開2009−259666号公報においては、ボタン電池の取り外し構造、電子機器及びボタン電池の取り外し用治具が開示されている。この例においては、ケース本体20に取り付けられる電池カバー21は、ケース本体20からボタン電池10を取り外すための取り外し用治具として機能するようにしている。電池カバー21は、複数のボタン電池10を収納するケース本体20と、当該複数のボタン電池10の側面との間の隙間に挿入される複数の係合爪211を有しており、当該複数の係合爪を利用して、複数のボタン電池10をケース本体20から同時に取り外すことが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開昭59−168963号公報
【特許文献2】実開平04−047261号公報
【特許文献3】特開2002−075312号公報
【特許文献4】特開2002−324532号公報
【特許文献5】特開2004−039347号公報
【特許文献6】特開2004−134271号公報
【特許文献7】特開2009−259666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ボタン電池は、プラス極、及びマイナス極のそれぞれの電極が露出している。そのボタン電池が寿命を迎えた際には交換を要する。ボタン電池の電池ホルダーへの実装の際には素手で扱う可能性が極めて高く、電極部分に異物が付着することで接点が酸化されて、接触不良が誘発される可能性がある。また、ボタン電池と電池ホルダーとの間に緩みが発生することによって振動による接点の微摺動磨耗が誘発される場合がある。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、電池ホルダーとの接触信頼性のより高いボタン電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の絶縁構造体は、機械的結合によってボタン電池の正極に装着される弾性体の第1の絶縁体と、機械的結合によってボタン電池の負極に装着される弾性体の第2の絶縁体とを備え、第1の絶縁体は、正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設けられ、第2の絶縁体は、負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設けられる。
【0017】
また、本発明の絶縁構造付きボタン電池は、本発明に係る絶縁構造体と、ボタン電池とを備える。
【0018】
また、本発明のボタン電池の実装構造は、本発明に係る絶縁構造付きボタン電池と、電池ホルダーとを備える。
【0019】
また、本発明のボタン電池への絶縁構造体の装着方法は、機械的結合によってボタン電池の正極に弾性体の第1の絶縁体を装着するステップと、機械的結合によってボタン電池の負極に弾性体の第2の絶縁体を装着するステップとを備え、第1の絶縁体を装着するステップは、正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設け、第2の絶縁体を装着するステップは、負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設ける。
【0020】
そして、本発明のボタン電池の実装方法は、電池ホルダーに、絶縁構造付きボタン電池を実装するステップを備え、電池ホルダーは、ボタン電池の第1の露出領域が電池ホルダーの第1の電極端子と接触し、ボタン電池の第2の露出領域が電池ホルダーの第2の電極端子と接触するように形成され、絶縁構造付きボタン電池は、第1の絶縁体がボタン電池の正極に、第2の絶縁体がボタン電池の負極に装着されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電池ホルダーとの接触信頼性のより高いボタン電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、ボタン電池、及び電池ホルダーを説明するための斜視図である。
【図2】図2は、ボタン電池が電池ホルダーに実装された状態を説明するための斜視図である。
【図3】図3は、ボタン電池が電池ホルダーに実装された状態を説明するための断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るボタン電池、及び電池ホルダーの一例を示した斜視図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るボタン電池が電池ホルダーに実装された状態の一例を示した斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るボタン電池が電池ホルダーに実装された状態の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る絶縁構造体、及びその装着方法、絶縁構造付きボタン電池、その実装構造、及びその実装方法を詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係る絶縁構造付きボタン電池の構成を詳細に説明する。
【0025】
図4は、本実施形態に係るボタン電池、及び電池ホルダーの一例を示した斜視図である。図4を参照すると、本実施形態に係るボタン電池(ボタン型電池)1のプラス極(正極)1a側の面(以下では表面とも記す)が示されている。ボタン電池1は略円筒の形状である。表面から続くボタン電池1の外周面(側面)もプラス極1aとなっている。一方で、表面とは反対側のボタン電池1の裏面はマイナス極(負極)1bとなっている。なお、本実施形態は、ボタン電池に限らず、類似する例えばコイン電池等にも適用できる。
【0026】
また、ボタン電池1には、絶縁体材料によって形成された絶縁構造体である絶縁ラバー6が装着されている。絶縁ラバー6には、弾性を有する弾性体が用いられる。本実施形態においては、プラス極1a側に装着されている部分と、マイナス極1b側に装着されている部分とがつながった環状構造となっている。絶縁ラバー6の製造、及びボタン電池1への装着の容易性の観点からは環状構造とするのが好適である。この絶縁ラバー6は、ボタン電池1と樹脂との一体成型、又は成型されたラバーのボタン電池1への装着、又は収縮チューブによるボタン電池1の被覆等によって形成されている。このように、絶縁ラバー6は、ゴムに限定されず、例えばプラスチック等のような絶縁性、及び弾性を有する材料を自由に用いることができる。また、好適には、ボタン電池1と、絶縁ラバー6とは機械的結合によって接着された状態となっている。絶縁ラバー6は必ずしも1本の環状につながることを要しないものの、表面、裏面、及び側面におけるそれぞれの一部の領域に装着されている状態とされるのが好ましい。
【0027】
また、本実施形態に係るボタン電池1が実装される電池ホルダー2は、マイナスコンタクト(負極端子)3とプラスコンタクト(正極端子)4とハウジング(保持壁)5とを含んでいる。電池ホルダー2は、底面が略円形で、その外周部に環状の壁を有する構造となっている。電池ホルダー2の底面、及び環状壁は絶縁体材料によって形成されている。
【0028】
電池ホルダー2の底面のセンター(中心)付近には、電気伝導体材料によって形成されたマイナスコンタクト3が設けられている。マイナスコンタクト3は、電池ホルダー2の外周付近の底面からセンター方向に延在している。マイナスコンタクト3は、センター付近ほど電池ホルダー2の底面から離れるように傾斜して設けられている。また、マイナスコンタクト3は可撓性を有している。すなわち、マイナスコンタクト3は、電池ホルダー2に実装されるボタン電池1によって押されて電池ホルダー2の底面方向に撓むように設けられている。
【0029】
電池ホルダー2のサイド(環状壁における一角)には電気伝導体材料によって形成されたプラスコンタクト4が設けられている。プラスコンタクト4は、電池ホルダー2の外周付近で底面から離れる方向に立ち上がり、その先はセンター方向に延在している。プラスコンタクト4は、外周方向には可撓性を有しているのに対し底面方向、及びその反対方向には可撓性を必要としない。すなわち、ボタン電池1の電池ホルダー2への取り付けが行われる最中に、プラスコンタクト4は、ボタン電池1によって押されて電池ホルダー2の外周方向に撓むように設けられている。
【0030】
ハウジング(保持壁)5は、電池ホルダー2の外周部に環状の壁として底面から立ち上がって形成されている。ハウジング5は、絶縁体材料によって形成されている。ボタン電池1は、ハウジング5で囲まれた領域内に収まる。ボタン電池1は、ハウジング5によって電池ホルダー2からの離脱、特に底面と平行方向への移動が防がれる。
【0031】
図5は、本実施形態に係るボタン電池が電池ホルダーに実装された状態の一例を示した斜視図である。図5を参照すると、本実施形態に係るボタン電池1のプラス極1a側の面が露出した状態で電池ホルダー2に実装された状態が示されている。ボタン電池1は、ハウジング5で囲まれた領域内に収まっている。また、ボタン電池1は、センター方向に延在するプラスコンタクト4の先端よりも底面側に収まっている。
【0032】
ボタン電池1に装着された絶縁ラバー6は、プラス極1aとプラスコンタクト4とが接触して導通するように装着されている。より詳細には、絶縁ラバー6は、ボタン電池1のプラス極1aの形成された表面とボタン電池1の外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した領域を有するように機械的結合によってプラス極1aに装着されている。また、図5には示していないものの絶縁ラバー6は、ボタン電池1のマイナス極1bの形成された裏面の少なくとも一部が露出した領域を有するように機械的結合によってマイナス極1bに装着されている。
【0033】
また、ボタン電池1に装着された絶縁ラバー6は、図2の隙間Bに当たるボタン電池1の外周面とハウジング5との間の領域Dを埋めている。絶縁ラバー6は、弾性体材料によって形成されているため埋める領域Dの厚さに幅を持たせることができる。
【0034】
また、絶縁ラバー6が環状に延びる方向、言い換えると、ボタン電池1の2箇所の外周部間でその表面上を延びる方向とは垂直方向である絶縁ラバー6の幅がボタン電池1の中心部付近で狭くなる切り込み6aが形成されている。この構造は、図示せぬ裏面でも同様に形成されている。このような切り込み6aによる逃げの部分が設けられることによって絶縁ラバー6は、電池ホルダー2のマイナスコンタクト3、及びプラスコンタクト4のそれぞれの摺動、及び接触に影響しない構造となっている。
【0035】
図6は、本実施形態に係るボタン電池が電池ホルダーに実装された状態の一例を示した断面図である。図6を参照すると、図5のプラスコンタクト4を通過してボタン電池1の略直径方向に延びるC−Cで示された領域の断面が示されている。電池ホルダー2に実装されたボタン電池1のマイナス極1bとマイナスコンタクト3とが接触していて導通する構造となっている。その際に、ボタン電池1は、マイナスコンタクト3によって、電池ホルダー2の底面から離れる方向へと押される力を受けている。一方で、プラス極1aとプラスコンタクト4とが接触している。また、マイナスコンタクト3からの力を受けるボタン電池1はプラスコンタクト4とハウジング5とによって押さえつけられている。これによって、ボタン電池1が、電池ホルダー2から外れることが防止されている。
【0036】
絶縁ラバー6は、表面(プラス極1a)上と裏面(マイナス極1b)上とにそれぞれ装着されている。絶縁ラバー6は、ボタン電池1のすべてを覆うのではなく、表面、外周面、及び裏面のそれぞれの少なくとも一部が露出した領域を有するように装着されている構造と切り込み6aを有する構造とによって電池ホルダー2の端子との接触が妨げられない。そして、上述したように、絶縁ラバー6は、電池ホルダー2のマイナスコンタクト3、及びプラスコンタクト4のそれぞれの摺動、及び接触に影響しない構造となっている。
【0037】
このように、絶縁ラバー6は、ボタン電池1の表面、及び裏面では主に汚れを防止する作用を有し、側面では電池ホルダー2に実装されている際の勘合ガタ(緩み)を防止する作用を有している。
【0038】
次に、本実施形態に係る絶縁構造体のボタン電池への装着の方法を詳細に説明する。
【0039】
まず、ボタン電池1のプラス極1aの形成された表面とボタン電池1の外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した領域を有するように機械的結合によってプラス極1aに絶縁ラバー6を装着する。この露出した領域が、プラスコンタクト4と接触して、導通する部分に当たる。
【0040】
次に、ボタン電池1のマイナス極1bの形成された裏面の少なくとも一部が露出した領域を有するように機械的結合によってマイナス極1bに絶縁ラバー6を装着する。この露出した領域が、マイナスコンタクト3と接触して、導通する部分に当たる。
【0041】
装着される絶縁ラバー6には、その幅が狭くなる切り込み6aが設けられている。その切り込み6aが、ボタン電池1の中心部付近となるように、絶縁ラバー6が、ボタン電池1のプラス極1a、及びマイナス極1bに装着される。なお、絶縁ラバー6は、プラス極1a側に装着されている部分と、マイナス極1b側に装着されている部分とがつながった環状構造であっても良い。
【0042】
次に、本実施形態に係る絶縁構造付きボタン電池の電池ホルダーへの実装の方法を詳細に説明する。
【0043】
電池ホルダー2に実装されるボタン電池1には絶縁ラバー6が、ボタン電池1のプラス極1a側、及びマイナス極1b側に装着されている。このボタン電池1のプラス極1a側の露出領域が電池ホルダー2のプラスコンタクト4と導通して、ボタン電池1のマイナス極1b側の露出領域が電池ホルダー2のマイナスコンタクト3と導通するように形成された電池ホルダー2にボタン電池1が実装される。
【0044】
ボタン電池1が素手で扱われる際にはボタン電池1への接触を絶縁ラバー6が阻止する。その絶縁ラバー6は、ボタン電池1の表面、外周面、及び裏面の一部が露出しているため電池ホルダー2にそのまま実装される。その際に、絶縁ラバー6の切り込み(逃げ部分)6aが、マイナスコンタクト3、及びプラスコンタクト4の位置に合わせられることによって電池ホルダー2との勘合、及び接触が阻害されない。そして、絶縁ラバー6は弾性を有しているため、電池ホルダー2との隙間Bを埋めて振動等による接点の微摺動磨耗を防止する。絶縁ラバー6は隙間Bを1箇所埋めるだけでもその効果が発揮される。絶縁ラバー6が2箇所の隙間Bを埋めて、ボタン電池1を挟み込むような形態とするとその効果がより高まる。本実施形態の絶縁ラバー6は環状構造であるため、2箇所の隙間Bを埋めることとなる。
【0045】
以上に、本実施形態による絶縁構造体、及びその装着方法、絶縁構造付きボタン電池、その実装構造、及びその実装方法の説明を行った。
【0046】
本実施形態では、ボタン電池に絶縁ラバーが装着された構成によって、ボタン電池の素手での取り扱いを可能とし、電極部分の汚れ、異物の付着、及び酸化の防止を図ることが可能となる効果を有している。
【0047】
また、本実施形態では、絶縁ラバーに弾性体材料が用いられた構成によって、ボタン電池の実装時に電池ホルダーとの隙間を埋めて、振動等による接点の微摺動磨耗を防止することが可能となる効果を有している。
【0048】
また、本実施形態では、絶縁ラバーの切り込みの逃げ部分が設けられた構成によって、電池ホルダーとの勘合、接触を阻害することなく実装することができる効果を有している。しかも、その絶縁ラバーは、ボタン電池の周囲をすべて覆うのではなく、ボタン電池の表面、外周面、及び裏面の一部が露出している構成によって、電池ホルダーへの適用範囲が広く、高い汎用性を持つ効果を有している。
【0049】
以上のように、本実施形態では、電池ホルダーとの接触信頼性のより高いボタン電池を提供することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【0051】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0052】
(付記1)機械的結合によってボタン電池の正極に装着される弾性体の第1の絶縁体と、
機械的結合によって前記ボタン電池の負極に装着される弾性体の第2の絶縁体と
を備え
前記第1の絶縁体は、
前記正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設けられ、
前記第2の絶縁体は、
前記負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設けられる
絶縁構造体。
【0053】
(付記2)付記1に記載の絶縁構造体であって、
前記第1の絶縁体には、前記ボタン電池が電池ホルダーに実装された際に、前記電池ホルダーに形成された第1の電極端子と前記第1の露出領域とを接触させるための凹部を有し、
前記第2の絶縁体には、前記電池ホルダーに形成された第2の電極端子と前記第2の露出領域とを接触させるための凹部を有する
絶縁構造体。
【0054】
(付記3)付記1又は2に記載の絶縁構造体であって、
前記第1の露出領域が前記第1の面の周縁部を含むように装着される第1の絶縁体と、
前記第2の露出領域が前記第2の面の中心部を含むように装着される第2の絶縁体と
を備える
絶縁構造体。
【0055】
(付記4)付記1乃至3のいずれか1項に記載の絶縁構造体であって、
前記第1の絶縁体と前記第2の絶縁体とがつながった環状構造を有する
絶縁構造体。
【0056】
(付記5)付記1乃至4のいずれか1項に記載の絶縁構造体と、
ボタン電池と
を備える
絶縁構造付きボタン電池。
【0057】
(付記6)付記5に記載の絶縁構造付きボタン電池と、
電池ホルダーと
を備える
ボタン電池の実装構造。
【0058】
(付記7)付記6に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記ボタン電池の外周面に結合された絶縁構造体を介して前記ボタン電池が前記電池ホルダーに実装される
ボタン電池の実装構造。
【0059】
(付記8)付記7に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記絶縁構造体は前記外周面の2箇所を覆うように設けられる
ボタン電池の実装構造。
【0060】
(付記9)付記6乃至8のいずれか1項に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記ボタン電池が前記電池ホルダーに実装された際に、前記絶縁構造体との干渉を避けるように電極端子が形成されている前記電池ホルダー
を備える
ボタン電池の実装構造。
【0061】
(付記10)付記9に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記ボタン電池が前記電池ホルダーに実装された際に、第1の露出領域は、前記電池ホルダーに形成された第1の電極端子と接触し、第2の露出領域は、前記電池ホルダーに形成された第2の電極端子と接触するように、第1の絶縁体が正極に、第2の絶縁体が負極に装着されている
ボタン電池の実装構造。
【0062】
(付記11)機械的結合によってボタン電池の正極に第1の絶縁体を装着するステップと、
機械的結合によって前記ボタン電池の負極に第2の絶縁体を装着するステップと
を備え、
前記第1の絶縁体を装着するステップは、
前記正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設け、
前記第2の絶縁体を装着するステップは、
前記負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設ける
ボタン電池への絶縁構造体の装着方法。
【0063】
(付記12)電池ホルダーに、絶縁構造付きボタン電池を実装するステップ
を備え、
前記電池ホルダーは、
ボタン電池の第1の露出領域が前記電池ホルダーの第1の電極端子と接触し、前記ボタン電池の第2の露出領域が前記電池ホルダーの第2の電極端子と接触するように形成され、
前記絶縁構造付きボタン電池は、
第1の絶縁体が前記ボタン電池の正極に、第2の絶縁体が前記ボタン電池の負極に装着されている
ボタン電池の実装方法。
【符号の説明】
【0064】
1 ボタン電池
1a プラス極(正極)
1b マイナス極(負極)
2 電池ホルダー
3 マイナスコンタクト(負極端子)
4 プラスコンタクト(正極端子)
5 ハウジング(保持壁)
6 絶縁ラバー(絶縁体)
6a 切り込み
B ボタン電池1の外周面とハウジング5との間の隙間
D ボタン電池1の外周面とハウジング5との間の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的結合によってボタン電池の正極に装着される弾性体の第1の絶縁体と、
機械的結合によって前記ボタン電池の負極に装着される弾性体の第2の絶縁体と
を備え、
前記第1の絶縁体は、
前記正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設けられ、
前記第2の絶縁体は、
前記負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設けられる
絶縁構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁構造体であって、
前記第1の絶縁体には、前記ボタン電池が電池ホルダーに実装された際に、前記電池ホルダーに形成された第1の電極端子と前記第1の露出領域とを接触させるための凹部を有し、
前記第2の絶縁体には、前記電池ホルダーに形成された第2の電極端子と前記第2の露出領域とを接触させるための凹部を有する
絶縁構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の絶縁構造体であって、
前記第1の絶縁体と前記第2の絶縁体とがつながった環状構造を有する
絶縁構造体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の絶縁構造体と、
ボタン電池と
を備える
絶縁構造付きボタン電池。
【請求項5】
請求項4に記載の絶縁構造付きボタン電池と、
電池ホルダーと
を備える
ボタン電池の実装構造。
【請求項6】
請求項5に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記ボタン電池の外周面に結合された絶縁構造体を介して前記ボタン電池が前記電池ホルダーに実装される
ボタン電池の実装構造。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のボタン電池の実装構造であって、
前記ボタン電池が前記電池ホルダーに実装された際に、前記絶縁構造体との干渉を避けるように電極端子が形成されている前記電池ホルダー
を備える
ボタン電池の実装構造。
【請求項8】
機械的結合によってボタン電池の正極に弾性体の第1の絶縁体を装着するステップと、
機械的結合によって前記ボタン電池の負極に弾性体の第2の絶縁体を装着するステップと
を備え、
前記第1の絶縁体を装着するステップは、
前記正極の形成された第1の面と外周面とのそれぞれの少なくとも一部が露出した第1の露出領域を有するように設け、
前記第2の絶縁体を装着するステップは、
前記負極の形成された第2の面の少なくとも一部が露出した第2の露出領域を有するように設ける
ボタン電池への絶縁構造体の装着方法。
【請求項9】
電池ホルダーに、絶縁構造付きボタン電池を実装するステップ
を備え、
前記電池ホルダーは、
ボタン電池の第1の露出領域が前記電池ホルダーの第1の電極端子と接触し、前記ボタン電池の第2の露出領域が前記電池ホルダーの第2の電極端子と接触するように形成され、
前記絶縁構造付きボタン電池は、
第1の絶縁体が前記ボタン電池の正極に、第2の絶縁体が前記ボタン電池の負極に装着されている
ボタン電池の実装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−164459(P2012−164459A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22575(P2011−22575)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】