絶縁複合体電力ケーブル、並びにその作製及び使用方法
絶縁複合体電力ケーブルは、共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、ワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を有する。いくつかの実施形態では、第1の複数の複合体ワイヤは、中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で、第1撚り長さにわたってワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られており、第2の複数の複合体ワイヤは、第2撚り角度で、第1撚り方向で、第2撚り長さにわたって、第1の複数の複合体ワイヤの周囲で螺旋状に撚られており、第1撚り角度と第2撚り角度との間の相対的な差は約4°以下である。絶縁複合体ケーブルは、地下又は水中の送電に使用することができる。絶縁複合体ケーブルの作製方法及び使用方法も記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願はその全体を参照として本明細書に援用する米国特許仮出願第61/226,151号、及び同第61/226,056号(両方とも2009年7月16日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は全般に、絶縁複合体電力ケーブル、並びにその製造及び使用方法に関連する。本開示は更に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤ含む、絶縁された撚り電力ケーブル、並びにその作製及び地下若しくは水中送電ケーブルとしての使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複合体であり、したがって容易に新しい形状へと塑性的に変形することができない材料からの有用なケーブル物品が近年紹介されている。これらの材料の一般的な例には、繊維強化複合体が挙げられ、金属に対するその改善された機械的特性を有する一方で、その応力歪み応答において主に弾性であるために魅力的である。セラミック繊維強化金属ワイヤを含む複合体ケーブルなど、繊維強化ポリマーワイヤを含む複合体ケーブルは、当該技術において既知である(米国特許第6,559,385号及び同第7,093,416号、並びに公開済みPCT出願WO 97/00976号を参照のこと)。
【0004】
複合体ケーブル(例えば、ポリマーマトリックス複合体を含むケーブル、又は金属マトリックス複合体ワイヤ)の1つの使用は、地上−地中の送電に対して使用される裸(すなわち非絶縁)ケーブルにおける強化部材としてである。アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを含む裸の送電ケーブルは既知であるが、一部の用途では改善されたケーブル特性を得るという、継続した要望が存在する。例えば、裸の送電ケーブルは一般に、地中又は水中での送電用途における使用には適していないと考えられる。
【0005】
更に、一部の用途では、送電のために撚り複合体ケーブルを使用することが望ましい場合がある。ケーブル撚りは,個々の延性ワイヤが、一般的に螺旋状の配置で組み合わされて、完成したケーブルを製造するプロセスである。米国特許第5,171,942号及び同第5,554,826号を参照のこと。螺旋状に撚られた送電ケーブルは典型的に、延性金属、例えば鋼、アルミニウム、又は銅から製造される。いくつかの場合では、裸の架空送電ケーブルなど螺旋状に撚られたワイヤコアは,ワイヤ導体層によって包囲される。螺旋状に撚られたワイヤコアは、鋼などの第1材料から作製される延性金属ワイヤを含む場合があり、外側の動力伝導層は、例えばアルミニウムなど他の材料から作製される延性金属ワイヤを含む場合がある。いくつかの場合では、螺旋状に撚られたワイヤコアは、より大きな直径の送電ケーブルの製造への投入材料として使用される、事前に撚られた(pre-stranded)ケーブルであってもよい。螺旋状に撚られたケーブルは概ね、わずか7つの個々のワイヤから、50以上のワイヤを含む、より一般的な構造体を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該技術分野は、地下又は水中(例えば、水中用)送電用途における使用のための、改善された複合体ケーブルを絶えず模索している。当該技術分野は、改善された撚り複合体送電ケーブル、及び撚り複合体ケーブルを作製し、使用するための改善された方法を追求する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの用途では、複合体ケーブルの構造、及びそれらの製造方法を更に改善することが望ましい。特定の用途では、複合体送電ケーブルの短絡に対する耐性、耐湿性、及び/又は耐化学性を改善することが望ましい。いくつかの用途では、複合体送電ケーブルを包囲する絶縁シースを提供し、ケーブルを地下又は水中の送電用途における使用に好適にすることが望ましい場合がある。
【0008】
他の用途では、撚り複合体ケーブルの、例えばそれらの引張り強度及びケーブルの破断までの伸長など、撚り複合体ケーブルの物理的特性を改善することが望ましい。いくつかの特定の用途では、送電ケーブルなど、後続の物品に組み込む前に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの螺旋状の配置を維持するための便利な手段を提供することが更に望ましい。螺旋状の配置を維持するためのかかる手段は、可塑的に変形可能な延性金属ワイヤを備える、又は螺旋状に配置された後に硬化することができる、若しくはセットすることができるワイヤを備える従来のコアでは必要ではなかった。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、送電ケーブルを包囲する絶縁性シースを提供することに関する。本開示の他の実施形態は、撚り複合体ケーブルと、各複合体ワイヤ層間で交互の撚り方向を使用して、螺旋状に撚られた複合体ケーブルと比較したときに、複合体ケーブルの引張り強度が驚くべき増加することになる、共通の撚り方向での、複合体ワイヤ層の螺旋状の撚り方法と、に関する。引張り強度における、そのような驚くべき増加は、共通の撚り方向を使用して撚られたとき、従来の延性(例えば金属又は他の非複合体)ワイヤでは観察されていない。更に、一般的に、従来の延性ワイヤケーブルの撚られたワイヤ層に、共通の撚り方向を使用したいという意欲は低い。なぜならば延性ワイヤは容易に可塑的に変形することができ、そのようなケーブルは概して、より短い撚り長さを使用し、そのため、交互のより方向がケーブルの一体性を維持するために好ましい場合がある。
【0010】
したがって、一態様では、本開示は、共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、このワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。他の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む。特定の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、少なくとも1つの光ファイバーを含む。
【0011】
更なる代表的な実施形態では、ワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤは、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される。追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、複合体ワイヤのみを含む。特定の更なる代表的な実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む。
【0012】
更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で撚られている。いくつかの更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は螺旋状に撚られている。他の追加の代表的実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、円形、楕円形、卵形、矩形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する。
【0013】
他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。いくつかの代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。特定の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。いくつかの代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。
【0014】
更なる代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー(完全フッ素化又は部分フッ素化(コ)ポリマーを含む)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0015】
他の代表的な実施形態では、金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0016】
特定の本好適実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。好適なセラミック繊維は、商標NEXTELセラミック繊維(3M Company(St.Paul.MN))として入手可能であり、例えばNEXTEL 312セラミック繊維を含む。特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0017】
追加の代表的実施形態では、絶縁シースは、絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0018】
他の態様では、本開示は、(a)共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、(b)このワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤ配置する工程と、(c)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法を提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。特定の代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層はある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている。更なる好ましい実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。
【0019】
更なる態様では、本開示は、上記のとおり、絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法を提供し、上記の絶縁複合体電力ケーブルの少なくとも一部分を埋める工程含む。
【0020】
本開示による絶縁複合体電力ケーブルの代表的な実施形態は、その使用を可能にし、様々な用途に利点をもたらす、様々な機能及び性質を有し得る。例えば、いくつかの代表的な実施形態では、本開示による絶縁複合体電力ケーブルは、他の複合体ケーブルに比べた場合、製造中又は使用中に、ケーブルの低い値の引張り歪みでの早期破壊又は故障を経験する傾向を低減し得る。更に、いくつかの代表的な実施形態による絶縁複合体電力ケーブルは、従来の撚り延性金属ワイヤケーブルに比べた場合、改善された耐腐食性、環境耐性(例えば紫外線及び湿度耐性)、高温での強度損失に対する抵抗性、クリープ耐性、並びに比較的高い弾性率、低密度、低熱膨張係数、高い導電率、高いたわみ抵抗、及び高強度を呈することができる。
【0021】
したがって、いくつかの具代表的実施形態において、本開示の実施形態によって製造された絶縁撚り複合体電力ケーブルは、先行技術の複合体ケーブルに比べ、10%以上の引張り強度の増加を呈し得る。本開示の特定の実施形態による、絶縁された撚り複合体電力ケーブルはまた、特定の重要な用途、例えば架空送電用途における使用において、引張り強度の最低要件に適合するケーブルの撚りプロセスにより、収率を増大させるため、より低い製造コストで製造することも可能である。
【0022】
本開示の例示的な実施形態の種々の態様及び利点の概要がまとめられてきた。上記の本開示の概要は、本発明の特定の代表的な実施形態の図示された各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。図及び以下の詳細な説明は、本明細書に開示された原理を使用するいくつかの好ましい実施形態を更に具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の代表的実施形態を添付の図面を参照して更に説明する。
【図1A】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1B】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1C】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1D】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1E】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1F】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1G】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2A】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2B】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2C】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2D】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2E】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図3A】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの側面図。
【図3B】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図3C】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図3D】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図4】本開示の絶縁複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲の保持手段と、撚り複合体ワイヤコアの周囲に撚られた複数の延性金属伝導体を含む1つ以上の層と、を含む、代表的な絶縁撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図5】本開示の他の代表的な実施形態により、複数の個々に絶縁された非複合体ワイヤを含むコアの付近で複数の個々に絶縁された複合体ワイヤを含む、1つ以上の層を含む、代表的な絶縁された撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【0024】
図中、同じ参照番号は、同様の要素を指す。本明細書に含まれる図は、縮尺図ではなく、これらの図中、複合体ケーブルの構成要素は、選択された特徴を強調するために採られたサイズである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明及び特許請求の範囲で特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とする場合がある。本明細書で使用されるとき、「ワイヤ」が「脆性」であると述べる場合は、そのワイヤがごくわずかな可塑性変形を伴い、引張り荷重下で破壊することを意味する。
【0026】
用語「ワイヤ」は一般に、延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、及び流体移送のための中空管状ワイヤを含むように使用される。
【0027】
ワイヤの変形に関して使用されるとき、用語「延性」は、そのワイヤが曲げの最中に破壊又は破損することなく実質的に可塑性変形されることを意味する。
【0028】
用語「複合体ワイヤ」は、一緒に束ねられた、組成物又は形態の異なる材料の組み合わせから形成されたフィラメントであり、脆性又は非延性の性質を呈するものを指す。
【0029】
用語「金属マトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上の延性金属相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の繊維状の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0030】
用語「ポリマーマトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上のポリマー相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の繊維状の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0031】
用語「光ファイバー」は、光ファイバー通信に使用される少なくとも1つの長手方向に光透過性の繊維要素を含むフィラメントを指す。
【0032】
用語「中空の管状ワイヤ」は、流体の移送に有用な長手方向に中空の導管又はチューブを指す。
【0033】
ワイヤの変形に関して使用される用語「曲げ」又は「曲がる」には、二次元の曲げ、及び/又は、撚り中にワイヤを螺旋状に曲げることを含む三次元の曲げが含まれる。曲げ変形を有するワイヤを指す場合、これは、そのワイヤが引張り及び/又はねじり力によってもたらされた変形をも有する可能性を除外するものではない。
【0034】
「顕著な弾性曲げ」変形とは、ワイヤが、そのワイヤの半径の最高10,000倍までの曲率半径で曲げられたときに起こる曲げ変形を意味する。この顕著な弾性曲げ変形は、円形断面のワイヤに適用される場合、ワイヤの外側繊維における少なくとも0.01%の歪みを付与し得る。
【0035】
用語「ケーブル化」及び「撚る」は、「ケーブル化された(される)」及び「撚られた(撚られる)」として交換可能な用語として使用される。
【0036】
用語「撚り」は、螺旋状に撚られたケーブルの撚り層にあるワイヤが、螺旋状に巻かれている状態を指す。
【0037】
用語「撚り方向」は、螺旋状に撚られた層におけるワイヤの撚られた方向を指す。螺旋状に撚られる層の撚り方向を判定するには、そのケーブルが観測者とは反対の方向を指した状態で、観測者が、その螺旋状に撚られたワイヤ層の表面を見る。ワイヤ撚りが、撚りが観測者から離れて進行するに従って、時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「右旋撚り」を有すると記述される。ワイヤ撚りが観測者から離れるに従って反時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「左旋撚り」を有すると記述される。
【0038】
用語「中心軸」及び「中心長手方向軸」は交換可能な用語として使用され、多層螺旋撚りケーブルの半径方向での中心に位置する、共通の長手方向軸を意味する。
【0039】
用語「撚り角度」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸に対して、撚られたワイヤによって形成される角度を指す。
【0040】
用語「交差角度」は、螺旋状に撚られたワイヤケーブルの、隣接するワイヤ層の撚り角度間の相対的な(絶対的な)差を意味する。
【0041】
用語「撚り長さ」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸を中心に、螺旋状に撚られたある層内のある単一ワイヤが、螺旋状に完全に1回転する間の、その撚りケーブルの長さを指す。
【0042】
用語「セラミック」は、ガラス、結晶性セラミック、ガラスセラミック、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
用語「多結晶性」とは、主に複数の結晶性グレインを有し、そのグレイン寸法が、そのグレインの存在する繊維の直径よりも小さいような、材料を意味する。
【0044】
用語「連続繊維」とは、平均繊維直径に比較して、相対的に無限である長さを有する繊維を意味する。これは典型的に、アスペクト比(すなわち、繊維の平均直径に対する繊維の長さの比)1×105以上(いくつかの実施形態においては、少なくとも1×106、又は更に少なくとも1×107)を有する繊維を意味する。典型的に、そのような繊維は約15cm〜少なくとも数メートルの長さを有し、更には数キロメートル以上の桁の長さをも有し得る。
【0045】
本開示は、いくつかの代表的な実施形態において、水中又は地下の送電ケーブルとしての使用に適した、絶縁複合体ケーブルを提供する。特定の実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、複数の撚り複合体ワイヤを含む。複合体ワイヤは一般的に脆性及び非延性であり、よって、ワイヤを破壊せずに螺旋構造を維持しようとする従来のケーブル撚りプロセス中には、十分に変形されないことがある。よって、本開示は、いくつかの実施形態において、より高い引張り強度の撚り複合体ケーブルを提供し、更には、いくつかの実施形態において、撚りケーブルにおけるワイヤの螺旋構造を維持するための手段を提供する。このようにして、撚りケーブルは、中間物品又は最終物品として好都合に提供され得る。中間物品として使用される場合、撚り複合体ケーブルは、絶縁された複合体送電ケーブル、例えば、水中又は地下の送電ケーブルとして最終物品に後で組み込むことができる。
【0046】
本開示の様々な代表的な実施形態を、特に図面を参照しながら説明する。本開示の代表的な実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する代表的な実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0047】
一態様では、本開示は、共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、このワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースを含む、絶縁複合体電力ケーブルを提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。他の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む。追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、複合体ワイヤのみを含む。特定の更なる代表的な実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む。
【0048】
このように、図1A〜1Gは、代表的な複合体ケーブル(例えば、それぞれ10、11、10’、及び11’)の横断端面図を図示し、これは任意に撚られてもよく、又は、より好ましくは螺旋状に撚られたケーブルであってもよく、これは本開示のいくつかの非限定的な代表的実施形態により、水中又は地下の絶縁複合体ケーブルの形成に使用されてもよい。図1A及び1Cに示される代表的な実施形態によって図示されるとき、絶縁複合体ケーブル(10、10’)は、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層(これは所望により、第1撚り方向において単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1撚り方向において複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含み得る。
【0049】
所望により、図1Cに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8(これは、第1撚り方向において、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に任意に撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第3層は、絶縁シース9を適用する前に含まれて、絶縁複合体ケーブル10’を形成してもよい。所望により、複合体ワイヤ(所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)の第4層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向で複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に含まれて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0050】
図1B及び1Dに示される他の代表的な実施形態において、複合体ケーブル(11、11’)は、中心長手方向軸を画定する単一延性金属ワイヤ4(これは例えば延性金属ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一延性金属ワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6を(これは所望により、第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含み得る。
【0051】
所望により、図1Dに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8を含む第3層が、第1撚り方向で、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られて、複合体ケーブル11’を形成し得る。所望により、複合体ワイヤ(所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)の第4層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向で複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に含まれて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0052】
図1E〜1Fによって図示されている更なる代表的な実施形態では、1つ以上の個々の複合体ワイヤは絶縁シースによって個々に包囲されてもよい。したがって、図1Eに示されるように、複合体ケーブル11’は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一コアワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1の撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、含み、それぞれ個々の複合体ワイヤ(4、6)は、絶縁シース9によって個々に包囲され、所望により単一コアワイヤ1はまた絶縁シースによって個々に包囲される。
【0053】
あるいは、1つ以上の個々の複合体ワイヤは、絶縁シース、及び複合体ワイヤの全体を包囲する任意の追加のシースによって個々に包囲されてもよい。したがって、図1Fに示されるように、複合体ケーブル11’’’は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一コアワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1の撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤの全体を包囲する絶縁シース9’と、個々の複合体ワイヤ(4、6)をそれぞれ包囲する追加の絶縁シース9と、所望により単一コアワイヤ1とを含む。更に、図1Fは、個々のワイヤ(1、4、及び6)と、複数のワイヤ(1、4、6)の全体を包囲する絶縁シース9’との間に残ったいずれかの空洞を実質的に充填するための、所望の絶縁フィルタ(図1Gに3としてラベル表示されており、図1Gに関して更なる詳細が以下に記載されている)の使用を図示する。
【0054】
図1Gによって図示される追加の代表的な実施形態では、複合体ケーブル(11’’’’)は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは例えば、延性金属ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で、単一の延性金属ワイヤ1の周囲で撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲で所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体を包囲し、個々のワイヤ(1、4、及び6)間に残されたいずれかの空隙を実質的に充填するための、絶縁充填剤3(これは、図3Dに関して以下に記載されているように結合剤24であってもよく、又は非導電性の固体若しくは液体など、絶縁材料であってもよい、絶縁金属であってもよい)を含む絶縁封入シースと、を含んでもよい。
【0055】
特に好適な固体充填剤3には、有機及び無機粉末、より具体的にはセラミック粉末(例えば、シリカ、酸化アルミニウム等)、ガラスビーズ、ガラスバブル、(コ)ポリマー(例えばフルオロポリマー)粉末、充填剤又はフィルム等が挙げられる。特に好適な液体充填剤3には、低導電率を呈し、約20以下の誘電率を有する液体誘電体、より好ましくは、低誘電体流体等として有用なオイル(例えば、シリコーンオイル、全フッ素置換された液体等)が挙げられる。
【0056】
上記のとおり、代表的な実施形態において、絶縁複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む。更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で撚られている。好適な撚り方法、構造、及び材料は米国特許出願公開第2010/0038112号(Grether)に開示されている。
【0057】
したがって、いくつかの代表的な実施形態では、撚り複合体ケーブル(例えば図1A及び1Bにおいてそれぞれ10、11)は、を中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2又はコアワイヤ1と、中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られ、第1撚り長さを有する、複数の第1複合体ワイヤ4と、中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で、第1方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られ、第2撚り長さを有する、複数の第2複合体ワイヤ6と、を含む。
【0058】
更なる代表的な実施形態では、撚り複合体ケーブル(例えば図1C及び1Dにおいてそれぞれ10’及び11’)は所望により、中心長手方向軸に対して画定される第3撚り角度で、第1撚り方向で第3撚り長さを有し、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られる複数の第3複合体ワイヤ8を更に含み、第2撚り角度と第3撚り角度との相対的な差は約4°以下である。
【0059】
更なる代表的な実施形態(図示なし)において、この撚りケーブルは、その共通の長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で複数の第3複合体ワイヤ8の周囲に撚られる複合体ワイヤの追加の(例えば後続の)層(例えば第4、第5、又はそれ以降の層の)を更に含んでもよく、各層の複合体ワイヤが特徴的な撚り長さを有し、第3撚り角度と第4又はそれ以降の撚り角度との相対的な差は、約4°以下である。撚り複合体ワイヤの4層又はそれ以上の層が採用されている実施形態では、好ましくは、直径0.5mm以下の複合体ワイヤが利用される。
【0060】
いくつかの代表的な実施形態において、第1撚り角度と第2撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、0°より大きく、約4°以下である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度と第2撚り角度、第2撚り角度と第3撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、4°以下、3°以下、2°以下、1°以下、又は0.5°である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度は、第2撚り角度に等しく、第2撚り角度は第3撚り角度に等しく、及び/又は各後続撚り角度は直前の撚り角度に等しい。
【0061】
更なる実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さ以下であり、第2撚り長さは第3撚り長さ以下であり、第4撚り長さはすぐ後続の撚り長さ以下であり、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さ以下である。他の実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さに等しく、第2撚り長さは第3撚り長さに等しく、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さに等しい。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知のように、平行撚りを使用することが好ましいことがある。
【0062】
更なる代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、少なくとも1つの非複合体ワイヤを、一部の実施形態では複数の非複合体ワイヤを更に含み得る。いくつかの特定の代表的実施形態では、撚りケーブルは、全体的に複合体であろうと、部分的に複合体であろうと、全体的に非複合体であろうと、螺旋状に撚られてもよい。他の追加の代表的実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤ及び/又は非複合体ワイヤは、円形、出変形、及び台形から選択される断面形状を有する。
【0063】
特定の更なる代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、複数の延性金属ワイヤを更に含み得る。図2A〜2Eは、撚り複合体ケーブル(例えば10’及び10’’)の代表的な実施形態を図示し、ここでは延性ワイヤ(例えば28、28’、28’’)、例えば延性金属伝導体ワイヤの1以上の追加層が撚られ、より好ましくは図1Aの代表的な複合体ケーブルコアの周囲に螺旋状に撚られる。しかしながら、本開示はこれらの代表的な実施形態に限定されるものではなく、他の複合体ケーブルコアを用いた他の実施形態も、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0064】
したがって、図2Aに図示される特定の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル30は、図1Aに対応して、撚り非複合体ケーブルコア10の周囲に撚られた、複数の第1延性ワイヤ28と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含む。図2Bに図示されている追加の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル40は、図1Aに対応して、撚り非絶縁複合体ケーブル10の、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られる複数の第2延性ワイヤ28’と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含む。図2Cに更に図示されている追加の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル50は、図1Aに対応して、撚り非絶縁複合体ケーブル10の、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られる複数の第3延性ワイヤ28’’と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9とを含む。
【0065】
図2A〜2Cによって図示される特定の実施形態において、対応する絶縁複合体ケーブル(例えば30、40、50)は、長手方向軸を画定する単一ワイヤ2と、第1撚り方向において、単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られる複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られる複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層と、を含む、図1Aの撚られてはいるが、非絶縁複合体ケーブル10に対応する、非絶縁複合体コア10を有する。特定の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0066】
他の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)と同じ撚り方向で撚られる。更なる代表的な実施形態において、複数の第1延性ワイヤ28、複数の第2延性ワイヤ28’、又は複数の第3延性ワイヤ28’’の少なくとも1つは、隣接する放射状層(例えば複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0067】
更なる代表的な実施形態において、各延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)は、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、円形、楕円形、卵型、矩形、又は台形から選択される断面形状を有する。図2A〜2Cは、各延性ワイヤ(28、28’)が、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、実質的に円形の断面形状を有する実施形態を示す。図2Dに示された特定の実施形態において、撚り複合体ケーブル60は、図1Aに対応する撚り複合体コアケーブル10の周囲に撚られる、複数の概ね第1台形形状の延性ワイヤ28を含む。図2Eに図示される更なる実施形態において、撚り複合体ケーブル10’’’は更に、図1Aに対応する非撚り複合体ケーブル10の周囲に撚られた、複数の第2の概ね台形形状の延性ワイヤ28’を含む。更なる代表的な実施形態において、これら延性ワイヤ(28、28’)の一部又は全ては、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、「Z」又は「S」形(図示なし)の断面形状を有し得る。そのような形状のワイヤは当該技術分野において既知であり、例えば、相互に連結するケーブル外層を形成するのに望ましいことがある。
【0068】
追加の実施形態において、延性ワイヤ(28、28’)は、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、マンガン、ケイ素、これらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0069】
図3A〜3Eは、中心長手方向軸を画定する単一の中心複合体コアワイヤ2を示しているが、図1B及び1Dに先に図示されるように、単一の中心複合体コアワイヤ2は別の方法として延性金属ワイヤ1であり得ることも、併せて理解される。更に、複合体ワイヤの各層はある撚り長さを呈し、複合体ワイヤの各層の撚り長さは異なっていてよく、又は好ましくは、同じ撚り長さであり得ることが理解される。
【0070】
更に、いくつかの代表的な実施形態において、各複合体ワイヤは、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、全般に円形、楕円形、又は台形の断面形状を有する。特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、全般に円形の断面形状を有し、各複合体ワイヤの直径は約0.1mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上であり、更により好ましくは1mm以上であり、更により好ましくは2mm以上であり、最も好ましくは3mm以上であり、かつ、約15mm以下であり、より好ましくは10mm以下であり、更により好ましくは5mm以下であり、更により好ましくは4mm以下であり、最も好ましくは3mm以下である。他の代表的な実施形態において、各複合体ワイヤの直径は1mm未満、又は5mmを超え得る。
【0071】
典型的に、全般に円形の断面形状を有する単独中心ワイヤの平均直径は、約0.1mm〜約15mmの範囲である。いくつかの実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は望ましくは約0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、又は最高約5mmである。他の実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は約0.5mm未満、約1mm未満、約3mm未満、約5mm未満、約10mm未満、又は約15mm未満である。
【0072】
図2A〜2Eに図示されていない追加の代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤを中心に、3つを超える複合体ワイヤの撚られた層を含み得る。特定の代表的な実施形態において、複合体ケーブルの各層における各複合体ワイヤは、同じ構造及び形状であり得るが、これは、本明細書に記述される利点を達成するのに必須ではない。
【0073】
更なる態様において、本開示は、複合体コアと、その複合体コアの周囲の導体層とを含む、撚り送電ケーブルの様々な実施形態を提供し、この複合体コアは、上述の任意の撚り複合体ケーブルを含み得る。いくつかの実施形態では、送電ケーブルは、架空送電ケーブル、地下送電ケーブル、海中送電ケーブル、又はこれらの組み合わせとして有用であり得る。代表的な海中送電ケーブル及び用途は、同時係属の米国特許仮出願第61/226,056号、表題「SUBMERSIBLE COMPOSITE CABLE AND METHODS」(2009年7月16日出願)に記載されている。
【0074】
特定の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアのほぼ全表面を包囲し、いくつかの実施形態ではこれに接触する金属層を含む。他の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアの周囲に撚られた複数の延性金属伝導体ワイヤを含む。
【0075】
複数の複合体ワイヤ(例えば、2、4、6)及び所望により延性金属ワイヤ(例えば28、28’、28’’)を含む撚られた複合体ケーブルに関して、いくつかの実施形態において、撚り中又は撚り後に、例えばテープの上巻き(接着剤の有無を問わず)又は結合剤(例えば米国特許第6,559,385(B1)号(Johnsonら)を参照)などの保持手段を用いて、複合体ワイヤ(例えば、少なくとも、図1A〜1D又は2A〜2Eの第2層における複数の第2複合体ワイヤ6)を一緒に保持することが望ましい。図3A〜3D、及び図4は、撚った後に複合体ワイヤを一緒に保持するため、テープ18の形状の保持手段を使用している様々な実施形態を図示する。特定の実施形態では、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース32として機能することができる。
【0076】
図3Aは、代表的な撚り複合体ケーブル10(図1A)の側面図であり、複合体ワイヤ(2、4、6)の周囲の撚り複合体ケーブル10に部分的に適用されるテープ18を含む、代表的な保持手段を備える。図3Bに示すように、テープ18は、接着層22備える支持体20を含み得る。別の方法としては、図3Cに示すように、テープ18は、接着剤なしで、支持体20のみを含み得る。特定の実施形態では、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース32として機能することができる。
【0077】
特定の代表的な実施形態において、テープ18は、図3Aに示すように、各後続の巻きを、隙間なくかつ重なりなしに、前の巻きに境を接するように巻き付けることができる。別の方法としては、いくつかの実施形態において、後続の巻きは、各巻きの間に隙間を残すような間隔があるように、あるいは前の巻きに重なるように、離間することができる。1つの好ましい実施形態において、テープ18は、各巻きが、前の巻きに対して、テープ幅の約1/3〜1/2重なるように巻き付けられる。
【0078】
図3Bは、保持手段が、接着剤22を備える支持体20を含むテープ18である、図3Aの撚られた、テープが巻き付けられた複合体ケーブル32の横断端面図である。この代表的な実施形態において、好適な接着剤には例えば、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー系接着剤、ポリ(α−オレフィン)接着剤、ブロックコポリマー系接着剤、天然ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、及びホットメルト接着剤が挙げられる。感圧性接着剤は、特定の実施形態において好ましいことがある。いくつかの代表的な実施形態では、テープ18は、複合体ケーブルを包囲する絶縁シースとして機能し得る。
【0079】
更なる代表的な実施形態において、テープ18が弾性曲げ変形を維持するのに十分強く、かつその包まれた構成をそれ自体だけで保持することができる、又は必要に応じて十分に拘束されるという条件で、テープ18又は支持体20の好適な材料には、金属ホイル(特にアルミニウム)、ポリエステル、ポリイミド、フルオロポリマーフィルム(完全フッ素化(コ)ポリマー及び部分フッ素化(コ)ポリマーを含むこれらのものが挙げられる)、ガラス強化支持体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。1つの特に好ましい支持体20はアルミニウムである。そのような支持体は、好ましくは厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)であり、幅は撚り複合体ケーブル10の直径に基づいて選択される。例えば、2層の撚り複合体ワイヤを有し(例えば3Aに示すもの)、直径約0.5インチ(1.3cm)を有する、撚られた複合体コアケーブル10については、幅1.0インチ(2.5cm)を有するアルミニウムテープが好ましい。
【0080】
現在好ましい市販のテープには、次の金属ホイルテープが挙げられる(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能):テープ438、厚さ0.005インチ(0.13mm)アルミ支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0072インチ(0.18mm);テープ431、厚さ0.0019インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0031インチ(0.08mm);及びテープ433、厚さ0.002インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、シリコーン接着剤付き、合計テープ厚さ0.0036インチ(0.09mm)。好適な金属箔/ガラス布は、実施例で記載されているように、テープ363(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)である。好適なポリエステル支持体テープには、厚さ0.001インチ(0.03mm)のポリエステル支持体、シリコーン系接着剤、及び合計テープ厚さ0.0018インチ(0.03mm)の、ポリエステルテープ8402(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)が挙げられる。
【0081】
図3Cは、テープ18が、接着剤を有さない支持体20を含む、図3Aによる、テープが巻き付けられた撚り複合体ケーブル32’の他の実施形態の横断端面図である。テープ18が接着剤を有さない支持体20である場合、支持体20の好適な材料には、接着剤付きの使用において上述したもののうち任意のものを挙げることができ、好ましい支持体は、厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)、幅1.0インチ(2.54cm)を有するアルミニウム支持体である。特定の実施形態では、図1F〜1Gの要素3に関して上記のとおり、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シースとして機能することができる。
【0082】
接着剤22の有無を問わず、テープ18を保持手段として使用する場合、テープは、当該技術分野において既知であるような従来型のテープ巻き装置で、撚りケーブルに適用することができる。好適なテープ巻き装置には、例えばモデル番号CT−300同心テーピングヘッドなどの、Watson Machine,International(Patterson,NJ)から入手可能なものが挙げられる。テープ上巻きステーションは一般に、ケーブル撚り装置の出口に配置され、ケーブル10が巻き取りスプール上に巻かれる前に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤに適用される。テープ18は、弾性変形された複合体ワイヤの撚り配置を保持できるよう選択される。
【0083】
図3Dは、複合体ワイヤ(2、4、6)をその撚り配置に保持するよう、図1Aに示される非絶縁撚り複合体コアケーブル10に適用される結合剤24の形体での保持手段を用いた、撚られて、封入された複合体ケーブル34の別の代表的な実施形態を図示する。特定の実施形態では、図1F〜1G関して上記のとおり、結合剤24は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース3として機能することができる。特定の実施形態では、図1F〜1Gの要素3に関して上記のとおり、結合剤24は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シースとして機能することができる。
【0084】
好適な結合剤24(これは、いくつかの代表的な実施形態では、図1F〜1Gに示されるように、絶縁充填剤3として使用されてもよい)には、米国特許第5,112,882号(Babuら)に記述されているような、6〜20個の炭素原子を含むモノマーから誘導された、1つ以上のポリ(α−オレフィン)ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマーと、光架橋剤とを含む感圧接着剤が挙げられる。これらの材料の放射線硬化は、剥離及び剪断接着特性の有利なバランスを有する接着フィルムを提供する。
【0085】
別の方法としては、結合剤24は熱硬化性材料を含み得、これにはエポキシが含まれるがこれに限定されない。いくつかの結合剤について、上述のように、ワイヤがケーブル化装置から出る際に、非絶縁撚り複合体コアケーブル10上に結合剤24を押し出すか又は別の方法でコーティングすることが好ましい。別の方法としては、結合剤24は、転写テープとして供給される接着剤の形態で適用することができる。この場合、結合剤24は転写又は剥離シート(図示なし)に適用される。この剥離シートで、撚り複合体ケーブル10の複合体ワイヤの周囲が包まれる。次に支持体を除去すると、接着剤層が結合剤24として残る。
【0086】
更なる実施形態において、接着剤22又は結合剤24は所望により、それぞれ個々の複合体ワイヤ周囲に、又は、複合体ワイヤと延性金属ワイヤの任意の好適な層の間に適用されることが望ましい場合がある。したがって、図4に図示される特定の施形態では、撚り複合体ケーブル90は、複数の第1延性ワイヤ28と、図3Cによって図示される、テープが巻き付けられた複合体コア32’の周囲に撚られた複数の第1延性ワイヤ28と、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られた複数の第2延性ワイヤ28’と、を含む。テープ18は、図1Aに示される非絶縁撚り複合体コア10の周囲に巻きつけられ、これは、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、第1撚り方向において単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られ得る複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚ら得る、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層14と、を含む。テープ18は、撚り複合体ワイヤ(図2、4、6)を包囲する電気絶縁シース32’を形成する。第2絶縁シース9は、複数の複合体ワイヤ(例えば2、4、及び6)及び複数の延性ワイヤ(28及び28’’)の両方を包囲する。
【0087】
1つの本好適実施形態において、保持手段は、撚り複合体ケーブル10の合計直径に著しい増加をもたらさない。好ましくは、保持手段を含む撚り複合体ケーブルの外形は、保持手段を除外した複数の撚り複合体ワイヤ(2、4、6、8)の外形の110%以下であり、より好ましくは105%以下であり、最も好ましくは102%以下である。
【0088】
複合体ワイヤには、従来型のケーブル化装置で撚られているときに、顕著な量の弾性曲げ変形が行われることが認識されよう。ワイヤの螺旋構成を保持するための保持手段が存在しない場合、この顕著な弾性曲げ変形によって、ワイヤの撚りをほどく、又は曲げ形状を元に戻すような作用が生じ得る。よって、いくつかの実施形態において、保持手段は、複数の撚り複合体ワイヤの顕著な弾性曲げ変形を保持するよう選択される。
【0089】
更に、撚り複合体ケーブルの目的用途によっては、特定の保持手段がその用途に、より好適であることが示唆され得る。例えば、撚り複合体ケーブルが水中又は地下送電ケーブルとして使用される場合は、この用途で曝され得る温度、深度、及びその他の条件で、この送電ケーブルが悪影響を受けないように、結合剤24、又は接着剤22を使用しないテープ18のいずれかを選択すべきである。接着テープ18が保持手段として使用されるとき、接着剤22と支持体20との両方が、この目的用途に好適となるよう選択されるべきである。
【0090】
図5に図示される更に他の代替の代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブル100は、複数の個々に絶縁されたワイヤを含むコアの付近で、複数の個々にゼ点された複合体ワイヤと、複合体ワイヤの全体を包囲する任意の追加のシースと、を含む1つ以上の層を含む。したがって、図5に示されるように、絶縁複合体ケーブル100は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、前述のように複数の第1コアワイヤ5(これは所望により、撚られてもよく、より好ましくは、第1撚り方向で、単一コアワイヤ1の周囲で螺旋状に撚られてもよい)を含む少なくとも第1層であって、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により第1撚り方向で、単一コアワイヤ1の周囲で撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、第2の複数の複合体ワイヤ6(これは、第1撚り方向で、第1の複数の複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよい、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む任意の第2層と、複数の複合体ワイヤの全体を包囲する絶縁シース9’と、各個々のワイヤ(1、4、5、6等)を任意に包囲する追加の絶縁シース9と、を含む。
【0091】
更に、図5は、上記のとおり個々のワイヤ(1、2、4、及び6)と、複数のワイヤ(1、2、4、6等)の全体を包囲する絶縁シース9’との間に残されたいずれかの空隙を実質的に充填するための、上記の任意の絶縁充填剤3(これは、図3Dに関して以下に記載の結合剤24であってもよく、又は非導電性の固体又は液体などの非導電性材料であってもよい)の使用を図示する。
【0092】
特定の代表的な実施形態において、撚り複合体ワイヤはそれぞれ、後に詳しく述べるように、マトリックス内に複数の連続繊維を含む。ワイヤは複合体であるため、延性金属ワイヤでは可能であるようなケーブル化又は撚り操作中の可塑性変形を一般に受け入れない。例えば、延性ワイヤを含む先行技術の構成において、従来のケーブル化プロセスは、複合体ワイヤを螺旋形状に恒久的かつ可塑的に変形させるよう実行することができる。本開示は、従来の延性金属ワイヤに比べ、優れた望ましい特性を提供できる、複合体ワイヤの使用を可能にする。この保持手段により、この撚り複合体ケーブルを後続の最終物品に、例えば水中又は地下複合体ケーブルに組み込まれるときに、便利に取り扱うことが可能になる。
【0093】
いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。特定の代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。更なる代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤのいくつかは、金属マトリックス複合体ワイヤであるように選択され、複合体ワイヤのいくつかは、ポリマーマトリックス複合体ワイヤであるように選択される。他の代表的な実施形態において、複合体ワイヤの全ては、金属マトリックス複合体ワイヤ又はポリマーマトリックス複合体ワイヤのいずれかであるように選択され得る。
【0094】
いくつかの代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。特定の代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。更なる代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0095】
他の代表的な実施形態では、金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。いくつかの代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0096】
金属マトリックス複合体ワイヤが、外装及び/又は強度要素を提供するのに使用される特定の代表的実施形態では、繊維は、好ましくは、ポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の代表的な実施形態では、外装要素は、円筒状の層においてコア複合体ケーブルを包囲する複数のワイヤを含む。好ましくは、ワイヤは、金属外装ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマットリックスワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0097】
図6A〜6Cによって図示される特定の代表的な実施形態では、コア(11、11’、11’’)を含む撚り複合体ケーブル及び/又は導電性非複合体ケーブルは、少なくとも1つの、好ましくは複数の延性金属ワイヤを含む。追加の代表的な実施形態では、複数の金属ワイヤのそれぞれは、径方向の断面で見たときに、円形、楕円形、台形、S字形、及びZ字形からなる群から選択される断面形状を有する。いくつかの特定の代表的実施形態では、複数の金属ワイヤは、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、これら相互の合金、他の金属とのこれらの合金、シリコンとのこれらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの金属を含む。
【0098】
いくつかの特定の更なる代表的実施形態では、複合体ケーブルの少なくとも1つは、径方向の断面で見たときに、少なくとも1つの複合体ケーブルの中心長手方向軸を中心に撚られた複合体ワイヤの複数の円筒状の層を含む、撚り複合体ケーブルである。特定の代表的実施形態では、少なくとも1つの撚り複合体ケーブルは螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、0°より大きく、3°以下である。
【0099】
更なる代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する。いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。特定の代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。他の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。特定の他の代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。
【0100】
いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。特定の代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0101】
いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤは金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。特定の代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。特定の代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。いくつかの特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0102】
更なる代表的実施形態では、絶縁シースは、水中又は地下複合体ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0103】
いくつかの代表的な実施形態では、シースは望ましい特徴を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シースは絶縁性であってもよい(すなわち、電気的に絶縁性であり及び/又は熱的若しくは音響的に絶縁性)。特定の代表的な実施形態では、シースは、下層のコアケーブル、及び任意の複数の導電性非複合体ケーブルに対する保護機能を提供する。保護機能は、例えば、改善された耐穿刺性、改善された耐食性、高温若しくは低温に対する改善された耐性、改善された摩擦抵抗等であってもよい。
【0104】
好ましくは、シースは、熱可塑性高分子材料、より好ましくは、高密度ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン)、中密度ポリオレフィン(例えば、中密度ポリエチレン)、及び/又は熱可塑性フルオロポリマーを含む。好適なフルオロポリマーには、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンポリマー(TFV)が挙げられる。特に好適なフルオロポリマーは、商標DYNEON THV FLUOROPLASTICS、DYNEON ETFE FLUOROPLASTICS、DYNEON FEP FLUOROPLASTICS、DYNEON PFA FLUOROPLASTICS、及びDYNEON PVDF FLUOROPLASTICSで販売されているものである(全て3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)。
【0105】
いくつかの代表的な実施形態では、シースは、外装要素を更に含み、これは好ましくは強度要素としても機能する。他の本好適代表的な実施形態では、外装及び/又は強度要素は、コアケーブルを包囲し、円筒状の層に配置されている複数のワイヤを含む。好ましくは、ワイヤは、金属(例えば鋼)ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマットリックスワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0106】
いくつかの代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、外装、すなわち強化層を更に含み得る。特定の代表的な実施形態では、外装層は、少なくとも複合体コアを包囲する1つ以上の円筒状の層を含む。いくつかの代表的な実施形態では、外装、すなわち強化層は、絶縁複合体電力ケーブル内に半径方向に形成されるテープ又は繊維層の形体をとってもよく、少なくとも複合体コアの周囲、したがって複数の複合体ワイヤを包囲する、又はこれの周囲に巻き付けられる複数の繊維を含むことが好ましい。好ましくは、繊維はポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0107】
特定の実施形態では、外装、すなわち強化層及び/又はシースは、導電性複合体若しくは非複合体ケーブルの絶縁性要素として機能し得る。かかる実施形態では、外装、すなわち強化層及び/又はシースは、好ましくは、上記のとおり絶縁性材料、より好ましくは絶縁性高分子材料を含む。
【0108】
本開示は任意の好適な複合体ワイヤと共に実施することができるが、特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤのそれぞれが、マトリックス中に少なくとも1つの連続繊維トウ、又は連続単繊維を含む、繊維強化複合体ワイヤとなるよう選択される。
【0109】
複合体ワイヤの好ましい実施形態は、マトリックス中に複数の連続繊維を含む。好ましい繊維は、多結晶性α−Al2O3を含む。これらの、複合体ワイヤの好ましい実施形態は、好ましくは、0.4%以上の破断引張り歪み、より好ましくは0.7%以上の破断引張り歪みを有する。いくつかの実施形態において、金属マトリックス複合体コア内の繊維の数の85%以上(実施形態によっては、90%以上、又は更には95%以上)が連続している。
【0110】
本開示に使用し得る他の複合体ワイヤには、ガラス/エポキシワイヤ、炭化ケイ素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/エポキシ複合体ワイヤ、炭素/ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ワイヤ、炭素/(コ)ポリマーワイヤ、及びこれら複合体ワイヤの組み合わせが挙げられる。
【0111】
好適なガラス繊維の例には、当該技術分野において既知であるように、A−Glass、B−Glass、C−Glass、D−Glass、S−Glass、AR−Glass、R−Glass、グラスファイバー及びパラグラスが挙げられる。他のガラス繊維も使用することができるが、このリストは限定的ではなく、例えばCorning Glass Company(Corning,NY)から市販されている様々な種類のガラス繊維が存在する。
【0112】
いくつかの代表的な実施形態において、連続ガラス繊維が好ましい場合がある。典型的には、連続ガラス繊維は、約3μm〜約19μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、少なくとも3GPa、4GPa、及び/又は更には少なくとも5GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、約60GPa〜95GPa、又は約60GPa〜約90GPaの範囲の弾性率を有する。
【0113】
好適なセラミック繊維の例には、金属酸化物(例えばアルミナ)繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、及びこれらの繊維の任意の組み合わせが挙げられる。典型的に、セラミック酸化物繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続セラミック繊維は、約5μm〜約50μm、約5μm〜約25μm、約8μm〜約25μm、又は更に約8μm〜約20μmの、範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、1.4GPa以上、1.7GPa以上、2.1GPa以上、又は更には2.8GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、70GPaを超え約1000GPa以下、又は更には420GPa以下の弾性率を有する。
【0114】
好適な単繊維セラミック繊維の例には、炭化ケイ素繊維が挙げられる。典型的に、炭化ケイ素単繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続炭化ケイ素単繊維は、約100μm〜約250μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、2.8GPa以上、3.5GPa以上、4.2GPa以上、及び/又は更には6GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、250GPaを超え約500GPa以下、又は更には430GPa以下の弾性率を有する。
【0115】
好適なアルミナ繊維は、例えば、米国特許第4,954,462号(Woodら)及び同第5,185,299号(Woodら)に記載されている。いくつかの実施形態では、アルミナ繊維は多結晶性アルファアルミナ繊維であり、理論上の酸化物系で、アルミナ繊維の総重量を基準として、99重量%を超えるAl2O3及び0.2〜0.5重量%のSiO2を含む。別の態様では、いくつかの望ましい多結晶性アルファアルミナ繊維は、平均粒径1マイクロメートル未満(又は、いくつかの実施形態においては、更には0.5マイクロメートル未満)のアルファアルミナを含む。別の様態では、いくつかの実施形態において、多結晶性アルファアルミナ繊維の平均引張り強度は、1.6GPa以上(いくつかの実施形態では、2.1GPa以上、又は更には2.8GPa以上)である。代表的なアルファアルミナ繊維は、商品名「NEXTEL 610」(3M Company(St.Paul,MN))として市販されている。
【0116】
好適なアルミノシリケート繊維は、例えば、米国特許第4,047,965号(Karstら)に記述されている。代表的なアルミノシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 440」、「NEXTEL 550」、及び「NEXTEL 720」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。アルミノボロシリケート繊維は、例えば、米国特許第3,795,524号(Sowman)に記述されている。代表的なアルミノボロシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 312」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。窒化ホウ素繊維は、例えば、米国特許第3,429,722号(Economy)及び同第5,780,154号(Okanoら)に記述されている。更に、代表的な炭化ケイ素繊維は、例えば、COI Ceramics(San Diego,CA)から500繊維のトウの商品名「NICALON」が、日本の宇部興産(Ube Industries)から商品名「TYRANNO」が、Dow Corning(Midland,MI)から商品名「SYLRAMIC」が、市販されている。
【0117】
好適な炭素繊維には、例えばPANEX(登録商標)及びPYRON(登録商標)(ZOLTEK(Bridgeton,MO)から入手可能)、THORNEL(CYTEC Industries,Inc.(Paterson,NJ)から入手可能)、HEXTOW(HEXCEL,Inc.(Southbury,CT)から入手可能)、及びTORAYCA(東レ株式会社(TORAY Industries,Ltd.)(日本・東京)から入手可能)など市販されている炭素繊維が挙げられる。そのような炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)前駆体から誘導され得る。その他の好適な炭素繊維には、当該技術分野において既知のように、PAN−IM、PAN−HM、PAN UHM、PITCH又はレーヨン副産物が挙げられる。
【0118】
追加の好適な市販されている繊維には、ALTEX(住友化学株式会社(Sumitomo Chemical Company)(日本・大阪)から入手可能)、ALCEN(株式会社ニチビ(Nitivy Company,Ltd.)、日本・東京)から入手可能)が挙げられる。
【0119】
好適な繊維には更に、形状記憶合金(マルテンサイト形質転換を起こす金属合金で、形質転換温度より下の温度で双晶化メカニズムにより変形可能となり、形質転換温度より上に加熱されて双晶組織が元の相に戻ると、このような変形が元に戻り得る)が挙げられる。市販されている形状記憶合金繊維があり、例えばJohnson Matthey Company(West Whiteland,PA)から入手可能である。
【0120】
いくつかの実施形態において、セラミック繊維がトウ内にある。トウは、繊維分野で既知であり、複数の(個別の)繊維(典型的には100本以上、より典型的には400本以上の繊維)がロービング様形状に集まったものを指す。いくつかの実施形態において、トウは、トウ当たり780本以上の個別繊維を含み、場合によっては、トウ当たり2600本以上の個別繊維、又は別の場合では、トウ当たり5200本以上の個別繊維を含む。セラミック繊維のトウは一般に、300m、500m、750m、1000m、1500m、2500m、5000m、7500m及びそれ以上を含む、様々な長さで入手可能である。繊維は、円形又は楕円形である断面形状を有し得る。
【0121】
市販されている繊維は典型的に、潤滑性をもたらし、取り扱い中に繊維ストランドを保護するために、製造中に繊維に添加される有機糊剤を典型的に含み得る。糊剤は、例えば、繊維から離れた糊剤を溶解又は燃焼させることによって除去することができる。典型的には、金属マトリックス複合体ワイヤを形成する前に、糊剤を除去することが望ましい。繊維はまた、例えば繊維の湿潤性を強化するために使用されているコーティングを有していることがあり、これが繊維と溶融金属マトリックス材料との間の反応を低下又は阻害する。このようなコーティング、及びこのようなコーティングを提供するための技法は、繊維及び複合体の分野で既知である。
【0122】
更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、金属マトリックス複合体ワイヤと高分子複合体ワイヤから選択される。好適な複合体ワイヤは、例えば、米国特許第6,180,232号、同第6,245,425号、同第6,329,056号、同第6,336,495号、同第6,344,270号、同第6,447,927号、同第6,460,597号、同第6,544,645号、同第6,559,385号、同第6,723,451号、及び同第7,093,416号に開示されている。
【0123】
1つの現在好まれている繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤは、セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤである。セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤは、好ましくは、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は純粋なアルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかのマトリックス内に封入された、多結晶性α−Al2O3の連続繊維を含む。好ましい繊維は、寸法が約100nm未満の等軸晶グレインを含み、繊維直径が約1〜50μmの範囲である。約5〜25μmの範囲の繊維直径が好ましく、約5〜15μmの範囲の繊維直径が最も好ましい。
【0124】
本開示の好ましい繊維強化複合体ワイヤは、1立方センチメートル当たり約3.90〜3.95グラムの繊維密度を有する。好ましい繊維の中には、Minnesota Mining and Manufacturing Company(St.Paul,MN)に付与された米国特許第4,954,462号(Woodら)に記述されているものがある。好ましい繊維は、商品名「NEXTEL 610」アルファアルミナ系繊維(3M Company(St.Paul,MN))として入手可能である。封入するマトリックスは、それ自体が繊維材料と化学的に顕著に反応しない(すなわち、繊維材料に対して化学的に比較的不活性である)ように選択され、これにより繊維外側に保護コーティングを施す必要がなくなる。
【0125】
複合体ワイヤで、特定の本好適実施形態において、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかを含むマトリックスの使用は、好結果のワイヤを生み出すことが示されている。本明細書において用語「ほぼ純粋な元素アルミニウム」、「純粋なアルミニウム」及び「元素アルミニウム」は互換可能な用語であり、約0.05重量%未満の不純物を含むアルミニウムを意味するためのものである。
【0126】
1つの現在好まれている実施形態において、複合体ワイヤは、ほぼ元素アルミニウムのマトリックス内に、約30〜70体積%(複合体ワイヤの合計体積に対して)の多結晶性α−Al2O3繊維を含む。このマトリックスは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含むことが現在好ましく、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。約40〜60%の多結晶性α−Al2O3繊維の繊維含有量が好ましい。約20MPa未満の降伏強さを有するマトリックスと、約2.8GPa未満の長手方向引張り強度を有する繊維と、を有するマトリックスで形成された、そのような複合体ワイヤは、優れた強度特性を有することが見出されている。
【0127】
マトリックスはまた、元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金から形成され得る。ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックスが使用されている実施形態と同様、アルミニウム/銅合金マトリックスを有する複合体ワイヤは好ましくは、複合体の合計体積に対して約30〜70体積%の多結晶性α−Al2O3繊維を含み、より好ましくは約40〜60体積%の多結晶性α−Al2O3繊維を含む。加えて、このマトリックスは好ましくは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含み、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。アルミニウム/銅マトリックスは好ましくは、約90MPa未満の降伏強さを有し、多結晶性α−Al2O3繊維は約2.8GPa以上の長手方向引張り強度を有する。
【0128】
複合体ワイヤは、好ましくは、上述の、ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックス内に、又は元素アルミニウムと最高約2重量%の銅との合金から形成されたマトリックス内に、封入された、ほぼ連続の多結晶性α−Al2O3繊維から形成される。そのようなワイヤは、一般に、ほぼ連続の多結晶性α−Al2O3繊維のスプールを、繊維トウに配置するプロセスによって製造され、溶融マトリックス材料の液浴内を通って引っ張られる。結果として得られたセグメントを次に固化させることにより、マトリックス内に封入された繊維が得られる。
【0129】
代表的な金属マトリックス材料は、アルミニウム(例えば高純度(例えば99.95%超)元素アルミニウム)、亜鉛、スズ、マグネシウム、及びこれらの合金(例えばアルミニウムと銅の合金)が挙げられる。通常、例えば繊維外面に保護コーティングを提供する必要性を排除するために、マトリックス材料が繊維と著しく化学反応しない(すなわち、繊維材料に関して比較的化学的に不活性である)ように、マトリックス材料が選択される。いくつかの実施形態において、マトリックス材料としては、望ましくは、アルミニウム及びその合金が挙げられる。
【0130】
いくつかの実施形態において、金属マトリックスは、98重量パーセント以上のアルミニウム、99重量パーセント以上のアルミニウム、99.9重量パーセントを超えるアルミニウム、又は更には99.95重量パーセントを超えるアルミニウムを含む。アルミニウムと銅との代表的なアルミニウム合金は、98重量パーセント以上のAlと最高2重量パーセントの銅を含む。いくつかの実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000及び/又は8000シリーズのアルミニウム合金である(アルミニウム協会表記)。より高い純度の金属が、より高い引張り強度のワイヤを製造するのに望ましい傾向があるが、純度のより低い形態の金属も有用である。
【0131】
適切な金属が市販されている。例えば、アルミニウムは、Alcoa(Pittsburgh,PA)から、商品名「SUPRE PURE ALUMINUM;99.99% Al」で入手可能である。アルミニウム合金(例えば、Al−2重量%の銅(0.03重量%不純物))はBelmont Metals(New York,NY)から得ることができる。亜鉛及びスズは、例えば、Metal Services(St.Paul,MN)から入手可能である(「純亜鉛」;99.999%の純度及び「純スズ」;99.95%の純度)。例えば、マグネシウムは、Magnesium Elektron(Manchester,England)から、商品名「PURE」で入手可能である。マグネシウム合金(例えばWE43A、EZ33A、AZ81A、及びZE41A)は、例えばTIMET(Denver,CO)から得ることができる。
【0132】
金属マトリックス複合体ワイヤは、典型的には、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、15体積パーセント以上(実施形態によっては、20、25、30、35、40、45、又は更には50体積パーセント以上)の繊維を含む。より典型的には、複合体コア及びワイヤは、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、40〜75(実施形態によっては45〜70)体積パーセントの範囲の繊維を含む。
【0133】
金属マトリックス複合体ワイヤは、当該技術分野において既知の手法を用いて作製できる。例えば、連続金属マトリックス浸潤プロセスで、連続する金属マトリックス複合体ワイヤを作製することができる。1つの好適なプロセスが、例えば、米国特許第6,485,796号(Carpenterら)に記載されている。当該技術分野において既知の引抜成形プロセスによって、ポリマー及び繊維を含むワイヤが作製され得る。
【0134】
追加の代表的な実施形態において、複合体ワイヤは高分子複合体ワイヤを含むよう選択される。高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1本の連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ホウ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)3、及びこれらの組み合わせを含む。追加の本好適実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー及びこれらの組み合わせから選択される(コ)ポリマーを含む。
【0135】
本開示の特定の実施形態に従って複合体コアの周囲に撚る複合コア(例えば送電ケーブル)を提供するための延性金属ワイヤは、当該技術分野において既知である。好ましい延性金属には、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、及び亜鉛、並びに他の金属及び/又はケイ素との合金、及び同様物が挙げられる。銅ワイヤは、例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されている。アルミニウムワイヤは、例えば、Nexans(Weyburn,Canada)から商品名「1350−H19アルミニウム」又はSouthwire Company(Carrolton,GA)から「1350−H0アルミニウム」として市販されている。
【0136】
典型的には、銅ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約12ppm/℃〜約18ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。銅合金(例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されているCu−Si−X、Cu−Al−X、Cu−Sn−X、Cu−Cd(式中、X=Fe、Mn、Zn、Sn、及び/又はSi)などの銅ブロンズ、例えば、OMG Americas Corporation(Research Triangle Park,NC)から商品名「GLIDCOP」として入手可能な酸化物分散強化銅)のワイヤ。いくつかの実施形態において、銅合金ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約10ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。ワイヤは、どのような種類の形状(例えば、円形、楕円形、及び台形)であってもよい。
【0137】
典型的には、アルミニウムワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H19アルミニウム」)は、138MPa(20ksi)以上、158MPa(23ksi)以上、172MPa(25ksi)以上、186MPa(27ksi)以上、又は更には200MPa(29ksi)以上の引張り破壊強度を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H0アルミニウム」)は、41MPa(6ksi)超〜97MPa(14ksi)以下、又は更には83MPa(12ksi)以下の引張り破壊強度を有する。
【0138】
アルミニウム合金ワイヤは市販されており、例えば、商品名「ZTAL」、「XTAL」及び「KTAL」(住友電気工業株式会社(Sumitomo Electric Industries)(日本・大阪))、又は、「6201」(Southwire Company(Carrolton,GA))で入手可能なアルミニウム−ジルコニウム合金ワイヤがある。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金ワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。
【0139】
絶縁複合体ケーブル内の複合体ワイヤの重量又は面積パーセントは、絶縁複合体ケーブルの設計及びその意図された使用の条件に依存する。絶縁され、好ましくは撚られた複合体ケーブルが、絶縁複合体ケーブル(これは地上、地下、又は水中複合体ケーブルであってもよい)の構成要素として使用される一部の用途では、撚りケーブルは、複数の複合体ケーブルの周囲に電力導体層を有さないことが好ましい。特定の本好適実施形態では、水中又は地下複合体ケーブルは、少なくとも0.5%の破壊限度までの歪みを呈する。
【0140】
本開示は好ましくは、非常に長い水中又は地下複合体ケーブルを提供するように実施される。また、撚り複合体ケーブル10自体の中の複合体ワイヤは、撚りケーブルの長さにわたって連続であることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、複合体ワイヤは実質的に連続であり、長さは少なくとも150メートルである。より好ましくは、複合体ワイヤは撚り複合体ケーブル10において、連続で、かつ長さは250メートル以上であり、より好ましくは500メートル以上であり、更により好ましくは750メートル以上であり、最も好ましくは1000メートル以上である。
【0141】
他の態様では、本開示は、(a)共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、(b)このワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤ配置する工程と、(c)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法を提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。特定の代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層はある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている。更なる好ましい実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。
【0142】
一つの追加的な本発明の好適な態様において、本開示は、上述の撚り複合体ケーブルの製造方法を提供し、この方法は、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第1複合体ワイヤが第1撚り長さを有する、工程と、複数の第1複合体ワイヤの回りに、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第2複合体ワイヤが第2撚り長さを有する、工程と、を含み、更に第1撚り角度と第2撚り角度との相対的な差が、4°以下である。1つの本好適実施形態において、この方法は更に、複合体ワイヤの回りを複数の延性ワイヤで撚っている工程を含む。
【0143】
撚り複合体ケーブルは、延性ワイヤを複合体コアの周囲に含んでいるか、又は含んでいない、いずれかであり、次いで絶縁シースで被覆されてもよい。追加の代表的実施形態では、絶縁シースは、絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される材料を含む。
【0144】
複合体ワイヤは、任意の好適なケーブル撚り装置(例えばCortinovis,Spa(Bergamo,Italy)、及びWatson Machinery International(Patterson,NJ)から入手可能なプラネタリーケーブルストランダーなど)で、当該技術分野において既知であるように、撚られ、又は螺旋状に巻かれ得る。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知であるように、剛性のストランダーを採用すると有利であり得る。
【0145】
任意の好適な寸法の複合体ワイヤを使用することができるが、多くの実施形態及び多くの用途について、この複合体ワイヤは、1mm〜4mmの直径を有することが好ましいが、これより大きい直径又は小さい直径の複合体ワイヤを使用することもできる。
【0146】
1つの好ましい実施形態において、撚り複合体ケーブルには、10〜150の撚り係数を有するような撚り方向で螺旋状に撚られる複数の複合体ワイヤが含まれる。撚りケーブルの「撚り係数」は、単一ワイヤが螺旋に沿って1回転するときの撚りケーブルの長さを、そのストランドを含む層の公称外径で割ることによって算出される。
【0147】
ケーブル撚りプロセスの間、その中心ワイヤ、又はその周囲に巻かれる1つ以上の追加層を有する未完成の中間撚り複合体ケーブルは、様々なキャリッジの中央を通過して引っ張られ、各キャリッジでその撚りケーブルに1層が追加される。1層として追加される個々のワイヤは、モーター駆動キャリッジによってケーブルの中心軸を中心に回転されている間、それぞれのボビンから同時に引っ張られる。これは、望ましい各層について順に行われる。その結果、螺旋状に撚られたコアとなる。所望により、結果として得られたこの撚り複合体コアに、上記のように例えばテープなどの保持手段を適用して、撚られたワイヤを一緒に保持するのに役立てることができる。
【0148】
全般に、本開示による撚り複合体ケーブルは、上述のように、単一ワイヤの回りに、同じ撚り方向で、複合体ワイヤを撚ることによって作製することができる。この単一ワイヤは、複合体ワイヤ又は延性ワイヤを含み得る。少なくとも二層の複合体ワイヤが、単一ワイヤコアを中心に複合体ワイヤを撚ることによって形成され、例えば、単一中心ワイヤの回りに少なくとも二層に形成された19本又は37本のワイヤである。
【0149】
いくつかの代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、100メートル以上、200メートル以上、300メートル以上、400メートル以上、500メートル以上、1000メートル以上、2000メートル以上、3000メートル以上、又は更には4500メートル以上もの長さを有する撚り複合体ワイヤを含む。
【0150】
撚りケーブルの取り扱い性は、望ましい特性である。理論に拘束されるものではないが、製造中に、金属ワイヤには、降伏応力を超えるが最大応力又は破壊応力よりは下の応力(曲げ応力など)がかかるため、ケーブルはその螺旋状に撚られた構成が保持される。この応力は、前の層又は中心ワイヤの比較的小さな半径の周囲にワイヤが螺旋状に巻かれるように、付加されるものである。追加の応力は、製造中にケーブルに対し放射方向の力及び剪断力が適用されるクロージングダイによって付加される。このワイヤはこれによって可塑的に変形し、その螺旋状に撚られた形状が保持される。
【0151】
いくつかの実施形態において、ケーブルをまっすぐにするための当該技術分野において既知の方法が望ましいことがある。例えば、完成したケーブルは、ローラー(各ローラーは例えば10〜15cm(4〜6インチ))を含み、ローラーを2つのバンクに線形に配置した(例えば各バンクにローラー5〜9個)、直線化装置を通すことができる。ローラーの2つのバンク間の距離は、ローラーがケーブルにちょうど当たるように(さもないとケーブルに過度の屈曲が生じる)、変えることができる。ローラーの2つのバンクは、ケーブルを挟んで向かい合って配置され、一方のバンクのローラーは、もう一方のバンクの相対するローラーによって生じるスペースと一致するよう配置される。ここで、これら2つのバンクは互いに中心をずらして配置することができる。ケーブルがこの直線化装置を通り抜ける際、ケーブルはローラー上で前後に屈曲され、これにより伝導体内のストランドは同じ長さに伸ばされ、これによって、緩んだストランドを低減又は排除することができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、単独の中心ワイヤを、周囲温度(例えば22℃)より上の高温(例えば、25℃以上、50℃以上、75℃以上、100℃以上、125℃以上、150℃以上、200℃以上、250℃以上、300℃以上、400℃以上、又は、いくつかの実施形態において、500℃以上もの温度)で提供することが望ましい場合がある。単独中心ワイヤは、例えば、スプールワイヤを加熱する(例えばオーブンに数時間入れる)ことにより、望ましい温度にすることができる。加熱されたスプールワイヤは、撚り装置の供給スプールに置かれる。更に、この高温のスプールは、ワイヤが依然として望ましい温度、又はそれに近い温度である間に、撚りプロセスにある(典型的には約2時間以内)。
【0153】
更に、ケーブルの外側層を形成する、供給スプール上の複合体ワイヤについては、周囲温度であることが望ましい場合がある。すなわち、いくつかの実施形態において、撚りプロセス中に、外側複合体層を形成する、単一ワイヤと複合体ワイヤとの間の温度差が、望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、単一ワイヤが100kg以上、200kg以上、500kg以上、1000kg以上、又は5000kg以上もの張力を伴って撚ることが望ましい場合がある。
【0154】
更なる態様では、本開示は、上記のとおり、絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法を提供し、上記の絶縁複合体電力ケーブルの少なくとも一部分を埋める工程含む。
【0155】
本明細書全体を通し、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」を指す参照は、「実施形態(embodiment)」という用語の前に「例示的(代表的)(exemplary)」という用語が含まれているかどうかに関わらず、その実施形態の、ある特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の代表的な実施形態の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本開示の特定の代表的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0156】
本明細書で特定の代表的実施形態を詳細に説明したが、当然のことながら、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起することができるであろう。したがって、本開示は本明細書で以上に述べた例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。特に、本明細書で使用されるように、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図されている(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本文書中、使用されている全ての数字は用語「約」によって修飾されていると見なされる。
【0157】
更に、本明細書にて参照される全ての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示されるかのごとく、それらの全体が同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。様々な代表的実施形態が上述された。これらの及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」に含まれる。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願はその全体を参照として本明細書に援用する米国特許仮出願第61/226,151号、及び同第61/226,056号(両方とも2009年7月16日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は全般に、絶縁複合体電力ケーブル、並びにその製造及び使用方法に関連する。本開示は更に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤ含む、絶縁された撚り電力ケーブル、並びにその作製及び地下若しくは水中送電ケーブルとしての使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複合体であり、したがって容易に新しい形状へと塑性的に変形することができない材料からの有用なケーブル物品が近年紹介されている。これらの材料の一般的な例には、繊維強化複合体が挙げられ、金属に対するその改善された機械的特性を有する一方で、その応力歪み応答において主に弾性であるために魅力的である。セラミック繊維強化金属ワイヤを含む複合体ケーブルなど、繊維強化ポリマーワイヤを含む複合体ケーブルは、当該技術において既知である(米国特許第6,559,385号及び同第7,093,416号、並びに公開済みPCT出願WO 97/00976号を参照のこと)。
【0004】
複合体ケーブル(例えば、ポリマーマトリックス複合体を含むケーブル、又は金属マトリックス複合体ワイヤ)の1つの使用は、地上−地中の送電に対して使用される裸(すなわち非絶縁)ケーブルにおける強化部材としてである。アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを含む裸の送電ケーブルは既知であるが、一部の用途では改善されたケーブル特性を得るという、継続した要望が存在する。例えば、裸の送電ケーブルは一般に、地中又は水中での送電用途における使用には適していないと考えられる。
【0005】
更に、一部の用途では、送電のために撚り複合体ケーブルを使用することが望ましい場合がある。ケーブル撚りは,個々の延性ワイヤが、一般的に螺旋状の配置で組み合わされて、完成したケーブルを製造するプロセスである。米国特許第5,171,942号及び同第5,554,826号を参照のこと。螺旋状に撚られた送電ケーブルは典型的に、延性金属、例えば鋼、アルミニウム、又は銅から製造される。いくつかの場合では、裸の架空送電ケーブルなど螺旋状に撚られたワイヤコアは,ワイヤ導体層によって包囲される。螺旋状に撚られたワイヤコアは、鋼などの第1材料から作製される延性金属ワイヤを含む場合があり、外側の動力伝導層は、例えばアルミニウムなど他の材料から作製される延性金属ワイヤを含む場合がある。いくつかの場合では、螺旋状に撚られたワイヤコアは、より大きな直径の送電ケーブルの製造への投入材料として使用される、事前に撚られた(pre-stranded)ケーブルであってもよい。螺旋状に撚られたケーブルは概ね、わずか7つの個々のワイヤから、50以上のワイヤを含む、より一般的な構造体を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該技術分野は、地下又は水中(例えば、水中用)送電用途における使用のための、改善された複合体ケーブルを絶えず模索している。当該技術分野は、改善された撚り複合体送電ケーブル、及び撚り複合体ケーブルを作製し、使用するための改善された方法を追求する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの用途では、複合体ケーブルの構造、及びそれらの製造方法を更に改善することが望ましい。特定の用途では、複合体送電ケーブルの短絡に対する耐性、耐湿性、及び/又は耐化学性を改善することが望ましい。いくつかの用途では、複合体送電ケーブルを包囲する絶縁シースを提供し、ケーブルを地下又は水中の送電用途における使用に好適にすることが望ましい場合がある。
【0008】
他の用途では、撚り複合体ケーブルの、例えばそれらの引張り強度及びケーブルの破断までの伸長など、撚り複合体ケーブルの物理的特性を改善することが望ましい。いくつかの特定の用途では、送電ケーブルなど、後続の物品に組み込む前に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤの螺旋状の配置を維持するための便利な手段を提供することが更に望ましい。螺旋状の配置を維持するためのかかる手段は、可塑的に変形可能な延性金属ワイヤを備える、又は螺旋状に配置された後に硬化することができる、若しくはセットすることができるワイヤを備える従来のコアでは必要ではなかった。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、送電ケーブルを包囲する絶縁性シースを提供することに関する。本開示の他の実施形態は、撚り複合体ケーブルと、各複合体ワイヤ層間で交互の撚り方向を使用して、螺旋状に撚られた複合体ケーブルと比較したときに、複合体ケーブルの引張り強度が驚くべき増加することになる、共通の撚り方向での、複合体ワイヤ層の螺旋状の撚り方法と、に関する。引張り強度における、そのような驚くべき増加は、共通の撚り方向を使用して撚られたとき、従来の延性(例えば金属又は他の非複合体)ワイヤでは観察されていない。更に、一般的に、従来の延性ワイヤケーブルの撚られたワイヤ層に、共通の撚り方向を使用したいという意欲は低い。なぜならば延性ワイヤは容易に可塑的に変形することができ、そのようなケーブルは概して、より短い撚り長さを使用し、そのため、交互のより方向がケーブルの一体性を維持するために好ましい場合がある。
【0010】
したがって、一態様では、本開示は、共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、このワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。他の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む。特定の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、少なくとも1つの光ファイバーを含む。
【0011】
更なる代表的な実施形態では、ワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤは、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される。追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、複合体ワイヤのみを含む。特定の更なる代表的な実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む。
【0012】
更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で撚られている。いくつかの更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は螺旋状に撚られている。他の追加の代表的実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、円形、楕円形、卵形、矩形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する。
【0013】
他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。いくつかの代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。特定の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。いくつかの代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。
【0014】
更なる代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー(完全フッ素化又は部分フッ素化(コ)ポリマーを含む)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0015】
他の代表的な実施形態では、金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0016】
特定の本好適実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。好適なセラミック繊維は、商標NEXTELセラミック繊維(3M Company(St.Paul.MN))として入手可能であり、例えばNEXTEL 312セラミック繊維を含む。特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0017】
追加の代表的実施形態では、絶縁シースは、絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0018】
他の態様では、本開示は、(a)共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、(b)このワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤ配置する工程と、(c)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法を提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。特定の代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層はある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている。更なる好ましい実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。
【0019】
更なる態様では、本開示は、上記のとおり、絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法を提供し、上記の絶縁複合体電力ケーブルの少なくとも一部分を埋める工程含む。
【0020】
本開示による絶縁複合体電力ケーブルの代表的な実施形態は、その使用を可能にし、様々な用途に利点をもたらす、様々な機能及び性質を有し得る。例えば、いくつかの代表的な実施形態では、本開示による絶縁複合体電力ケーブルは、他の複合体ケーブルに比べた場合、製造中又は使用中に、ケーブルの低い値の引張り歪みでの早期破壊又は故障を経験する傾向を低減し得る。更に、いくつかの代表的な実施形態による絶縁複合体電力ケーブルは、従来の撚り延性金属ワイヤケーブルに比べた場合、改善された耐腐食性、環境耐性(例えば紫外線及び湿度耐性)、高温での強度損失に対する抵抗性、クリープ耐性、並びに比較的高い弾性率、低密度、低熱膨張係数、高い導電率、高いたわみ抵抗、及び高強度を呈することができる。
【0021】
したがって、いくつかの具代表的実施形態において、本開示の実施形態によって製造された絶縁撚り複合体電力ケーブルは、先行技術の複合体ケーブルに比べ、10%以上の引張り強度の増加を呈し得る。本開示の特定の実施形態による、絶縁された撚り複合体電力ケーブルはまた、特定の重要な用途、例えば架空送電用途における使用において、引張り強度の最低要件に適合するケーブルの撚りプロセスにより、収率を増大させるため、より低い製造コストで製造することも可能である。
【0022】
本開示の例示的な実施形態の種々の態様及び利点の概要がまとめられてきた。上記の本開示の概要は、本発明の特定の代表的な実施形態の図示された各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。図及び以下の詳細な説明は、本明細書に開示された原理を使用するいくつかの好ましい実施形態を更に具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の代表的実施形態を添付の図面を参照して更に説明する。
【図1A】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1B】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1C】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1D】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1E】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1F】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図1G】本開示の代表的な実施形態による代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2A】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2B】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2C】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2D】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図2E】本開示の代表的な実施形態にしたがって、他の代表的な絶縁複合体電力ケーブルによる延性金属伝導体を組み込む、代表的な絶縁複合体電力ケーブルの横断端面図。
【図3A】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの側面図。
【図3B】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図3C】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図3D】本開示の絶縁撚り複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲に様々な保持手段を含む、代表的な撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図4】本開示の絶縁複合体電力ケーブルの代表的な実施形態の提供に有用な、撚り複合体ワイヤコアの周囲の保持手段と、撚り複合体ワイヤコアの周囲に撚られた複数の延性金属伝導体を含む1つ以上の層と、を含む、代表的な絶縁撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【図5】本開示の他の代表的な実施形態により、複数の個々に絶縁された非複合体ワイヤを含むコアの付近で複数の個々に絶縁された複合体ワイヤを含む、1つ以上の層を含む、代表的な絶縁された撚り複合体ケーブルの横断端面図。
【0024】
図中、同じ参照番号は、同様の要素を指す。本明細書に含まれる図は、縮尺図ではなく、これらの図中、複合体ケーブルの構成要素は、選択された特徴を強調するために採られたサイズである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明及び特許請求の範囲で特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とする場合がある。本明細書で使用されるとき、「ワイヤ」が「脆性」であると述べる場合は、そのワイヤがごくわずかな可塑性変形を伴い、引張り荷重下で破壊することを意味する。
【0026】
用語「ワイヤ」は一般に、延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、及び流体移送のための中空管状ワイヤを含むように使用される。
【0027】
ワイヤの変形に関して使用されるとき、用語「延性」は、そのワイヤが曲げの最中に破壊又は破損することなく実質的に可塑性変形されることを意味する。
【0028】
用語「複合体ワイヤ」は、一緒に束ねられた、組成物又は形態の異なる材料の組み合わせから形成されたフィラメントであり、脆性又は非延性の性質を呈するものを指す。
【0029】
用語「金属マトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上の延性金属相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の繊維状の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0030】
用語「ポリマーマトリックス複合体ワイヤ」は、1つ以上のポリマー相を含むマトリックスに束ねられた、1つ以上の繊維状の強化材料を含む複合体ワイヤを指す。
【0031】
用語「光ファイバー」は、光ファイバー通信に使用される少なくとも1つの長手方向に光透過性の繊維要素を含むフィラメントを指す。
【0032】
用語「中空の管状ワイヤ」は、流体の移送に有用な長手方向に中空の導管又はチューブを指す。
【0033】
ワイヤの変形に関して使用される用語「曲げ」又は「曲がる」には、二次元の曲げ、及び/又は、撚り中にワイヤを螺旋状に曲げることを含む三次元の曲げが含まれる。曲げ変形を有するワイヤを指す場合、これは、そのワイヤが引張り及び/又はねじり力によってもたらされた変形をも有する可能性を除外するものではない。
【0034】
「顕著な弾性曲げ」変形とは、ワイヤが、そのワイヤの半径の最高10,000倍までの曲率半径で曲げられたときに起こる曲げ変形を意味する。この顕著な弾性曲げ変形は、円形断面のワイヤに適用される場合、ワイヤの外側繊維における少なくとも0.01%の歪みを付与し得る。
【0035】
用語「ケーブル化」及び「撚る」は、「ケーブル化された(される)」及び「撚られた(撚られる)」として交換可能な用語として使用される。
【0036】
用語「撚り」は、螺旋状に撚られたケーブルの撚り層にあるワイヤが、螺旋状に巻かれている状態を指す。
【0037】
用語「撚り方向」は、螺旋状に撚られた層におけるワイヤの撚られた方向を指す。螺旋状に撚られる層の撚り方向を判定するには、そのケーブルが観測者とは反対の方向を指した状態で、観測者が、その螺旋状に撚られたワイヤ層の表面を見る。ワイヤ撚りが、撚りが観測者から離れて進行するに従って、時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「右旋撚り」を有すると記述される。ワイヤ撚りが観測者から離れるに従って反時計方向に回転するように見える場合、そのケーブルは「左旋撚り」を有すると記述される。
【0038】
用語「中心軸」及び「中心長手方向軸」は交換可能な用語として使用され、多層螺旋撚りケーブルの半径方向での中心に位置する、共通の長手方向軸を意味する。
【0039】
用語「撚り角度」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸に対して、撚られたワイヤによって形成される角度を指す。
【0040】
用語「交差角度」は、螺旋状に撚られたワイヤケーブルの、隣接するワイヤ層の撚り角度間の相対的な(絶対的な)差を意味する。
【0041】
用語「撚り長さ」は、螺旋状に撚られたケーブルの中心長手方向軸を中心に、螺旋状に撚られたある層内のある単一ワイヤが、螺旋状に完全に1回転する間の、その撚りケーブルの長さを指す。
【0042】
用語「セラミック」は、ガラス、結晶性セラミック、ガラスセラミック、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
用語「多結晶性」とは、主に複数の結晶性グレインを有し、そのグレイン寸法が、そのグレインの存在する繊維の直径よりも小さいような、材料を意味する。
【0044】
用語「連続繊維」とは、平均繊維直径に比較して、相対的に無限である長さを有する繊維を意味する。これは典型的に、アスペクト比(すなわち、繊維の平均直径に対する繊維の長さの比)1×105以上(いくつかの実施形態においては、少なくとも1×106、又は更に少なくとも1×107)を有する繊維を意味する。典型的に、そのような繊維は約15cm〜少なくとも数メートルの長さを有し、更には数キロメートル以上の桁の長さをも有し得る。
【0045】
本開示は、いくつかの代表的な実施形態において、水中又は地下の送電ケーブルとしての使用に適した、絶縁複合体ケーブルを提供する。特定の実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、複数の撚り複合体ワイヤを含む。複合体ワイヤは一般的に脆性及び非延性であり、よって、ワイヤを破壊せずに螺旋構造を維持しようとする従来のケーブル撚りプロセス中には、十分に変形されないことがある。よって、本開示は、いくつかの実施形態において、より高い引張り強度の撚り複合体ケーブルを提供し、更には、いくつかの実施形態において、撚りケーブルにおけるワイヤの螺旋構造を維持するための手段を提供する。このようにして、撚りケーブルは、中間物品又は最終物品として好都合に提供され得る。中間物品として使用される場合、撚り複合体ケーブルは、絶縁された複合体送電ケーブル、例えば、水中又は地下の送電ケーブルとして最終物品に後で組み込むことができる。
【0046】
本開示の様々な代表的な実施形態を、特に図面を参照しながら説明する。本開示の代表的な実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する代表的な実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0047】
一態様では、本開示は、共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、このワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースを含む、絶縁複合体電力ケーブルを提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。他の代表的な実施形態では、ワイヤコアは、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む。追加の代表的実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、複合体ワイヤのみを含む。特定の更なる代表的な実施形態では、少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つは、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む。
【0048】
このように、図1A〜1Gは、代表的な複合体ケーブル(例えば、それぞれ10、11、10’、及び11’)の横断端面図を図示し、これは任意に撚られてもよく、又は、より好ましくは螺旋状に撚られたケーブルであってもよく、これは本開示のいくつかの非限定的な代表的実施形態により、水中又は地下の絶縁複合体ケーブルの形成に使用されてもよい。図1A及び1Cに示される代表的な実施形態によって図示されるとき、絶縁複合体ケーブル(10、10’)は、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層(これは所望により、第1撚り方向において単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1撚り方向において複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含み得る。
【0049】
所望により、図1Cに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8(これは、第1撚り方向において、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に任意に撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第3層は、絶縁シース9を適用する前に含まれて、絶縁複合体ケーブル10’を形成してもよい。所望により、複合体ワイヤ(所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)の第4層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向で複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に含まれて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0050】
図1B及び1Dに示される他の代表的な実施形態において、複合体ケーブル(11、11’)は、中心長手方向軸を画定する単一延性金属ワイヤ4(これは例えば延性金属ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一延性金属ワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6を(これは所望により、第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含み得る。
【0051】
所望により、図1Dに示されるように、複数の第3複合体ワイヤ8を含む第3層が、第1撚り方向で、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られて、複合体ケーブル11’を形成し得る。所望により、複合体ワイヤ(所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)の第4層(図示せず)又は更に多くの追加層が、第1撚り方向で複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に含まれて複合体ケーブルを形成してもよい。
【0052】
図1E〜1Fによって図示されている更なる代表的な実施形態では、1つ以上の個々の複合体ワイヤは絶縁シースによって個々に包囲されてもよい。したがって、図1Eに示されるように、複合体ケーブル11’は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一コアワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1の撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シース9と、含み、それぞれ個々の複合体ワイヤ(4、6)は、絶縁シース9によって個々に包囲され、所望により単一コアワイヤ1はまた絶縁シースによって個々に包囲される。
【0053】
あるいは、1つ以上の個々の複合体ワイヤは、絶縁シース、及び複合体ワイヤの全体を包囲する任意の追加のシースによって個々に包囲されてもよい。したがって、図1Fに示されるように、複合体ケーブル11’’’は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で単一コアワイヤ1の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは所望により、第1の撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体ワイヤの全体を包囲する絶縁シース9’と、個々の複合体ワイヤ(4、6)をそれぞれ包囲する追加の絶縁シース9と、所望により単一コアワイヤ1とを含む。更に、図1Fは、個々のワイヤ(1、4、及び6)と、複数のワイヤ(1、4、6)の全体を包囲する絶縁シース9’との間に残ったいずれかの空洞を実質的に充填するための、所望の絶縁フィルタ(図1Gに3としてラベル表示されており、図1Gに関して更なる詳細が以下に記載されている)の使用を図示する。
【0054】
図1Gによって図示される追加の代表的な実施形態では、複合体ケーブル(11’’’’)は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは例えば、延性金属ワイヤであってもよい)と、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により、第1撚り方向で、単一の延性金属ワイヤ1の周囲で撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第1層と、複数の第2複合体ワイヤ6(これは第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲で所望により撚られてもよく、より好ましくはらせん状に撚られてもよい)を含む第2層と、複数の複合体を包囲し、個々のワイヤ(1、4、及び6)間に残されたいずれかの空隙を実質的に充填するための、絶縁充填剤3(これは、図3Dに関して以下に記載されているように結合剤24であってもよく、又は非導電性の固体若しくは液体など、絶縁材料であってもよい、絶縁金属であってもよい)を含む絶縁封入シースと、を含んでもよい。
【0055】
特に好適な固体充填剤3には、有機及び無機粉末、より具体的にはセラミック粉末(例えば、シリカ、酸化アルミニウム等)、ガラスビーズ、ガラスバブル、(コ)ポリマー(例えばフルオロポリマー)粉末、充填剤又はフィルム等が挙げられる。特に好適な液体充填剤3には、低導電率を呈し、約20以下の誘電率を有する液体誘電体、より好ましくは、低誘電体流体等として有用なオイル(例えば、シリコーンオイル、全フッ素置換された液体等)が挙げられる。
【0056】
上記のとおり、代表的な実施形態において、絶縁複合体ケーブルは複数の複合体ワイヤを含む。更なる代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で撚られている。好適な撚り方法、構造、及び材料は米国特許出願公開第2010/0038112号(Grether)に開示されている。
【0057】
したがって、いくつかの代表的な実施形態では、撚り複合体ケーブル(例えば図1A及び1Bにおいてそれぞれ10、11)は、を中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2又はコアワイヤ1と、中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られ、第1撚り長さを有する、複数の第1複合体ワイヤ4と、中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で、第1方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られ、第2撚り長さを有する、複数の第2複合体ワイヤ6と、を含む。
【0058】
更なる代表的な実施形態では、撚り複合体ケーブル(例えば図1C及び1Dにおいてそれぞれ10’及び11’)は所望により、中心長手方向軸に対して画定される第3撚り角度で、第1撚り方向で第3撚り長さを有し、複数の第2複合体ワイヤ6の周囲に撚られる複数の第3複合体ワイヤ8を更に含み、第2撚り角度と第3撚り角度との相対的な差は約4°以下である。
【0059】
更なる代表的な実施形態(図示なし)において、この撚りケーブルは、その共通の長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で、第1撚り方向で複数の第3複合体ワイヤ8の周囲に撚られる複合体ワイヤの追加の(例えば後続の)層(例えば第4、第5、又はそれ以降の層の)を更に含んでもよく、各層の複合体ワイヤが特徴的な撚り長さを有し、第3撚り角度と第4又はそれ以降の撚り角度との相対的な差は、約4°以下である。撚り複合体ワイヤの4層又はそれ以上の層が採用されている実施形態では、好ましくは、直径0.5mm以下の複合体ワイヤが利用される。
【0060】
いくつかの代表的な実施形態において、第1撚り角度と第2撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、0°より大きく、約4°以下である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度と第2撚り角度、第2撚り角度と第3撚り角度との間の相対的な(絶対的な)差は、4°以下、3°以下、2°以下、1°以下、又は0.5°である。特定の代表的な実施形態において、1つ以上の第1撚り角度は、第2撚り角度に等しく、第2撚り角度は第3撚り角度に等しく、及び/又は各後続撚り角度は直前の撚り角度に等しい。
【0061】
更なる実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さ以下であり、第2撚り長さは第3撚り長さ以下であり、第4撚り長さはすぐ後続の撚り長さ以下であり、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さ以下である。他の実施形態において、1つ以上の第1撚り長さは第2撚り長さに等しく、第2撚り長さは第3撚り長さに等しく、及び/又は各後続撚り長さは直前の撚り長さに等しい。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知のように、平行撚りを使用することが好ましいことがある。
【0062】
更なる代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、少なくとも1つの非複合体ワイヤを、一部の実施形態では複数の非複合体ワイヤを更に含み得る。いくつかの特定の代表的実施形態では、撚りケーブルは、全体的に複合体であろうと、部分的に複合体であろうと、全体的に非複合体であろうと、螺旋状に撚られてもよい。他の追加の代表的実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤ及び/又は非複合体ワイヤは、円形、出変形、及び台形から選択される断面形状を有する。
【0063】
特定の更なる代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、複数の延性金属ワイヤを更に含み得る。図2A〜2Eは、撚り複合体ケーブル(例えば10’及び10’’)の代表的な実施形態を図示し、ここでは延性ワイヤ(例えば28、28’、28’’)、例えば延性金属伝導体ワイヤの1以上の追加層が撚られ、より好ましくは図1Aの代表的な複合体ケーブルコアの周囲に螺旋状に撚られる。しかしながら、本開示はこれらの代表的な実施形態に限定されるものではなく、他の複合体ケーブルコアを用いた他の実施形態も、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0064】
したがって、図2Aに図示される特定の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル30は、図1Aに対応して、撚り非複合体ケーブルコア10の周囲に撚られた、複数の第1延性ワイヤ28と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含む。図2Bに図示されている追加の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル40は、図1Aに対応して、撚り非絶縁複合体ケーブル10の、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られる複数の第2延性ワイヤ28’と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9と、を含む。図2Cに更に図示されている追加の実施形態では、絶縁撚り複合体ケーブル50は、図1Aに対応して、撚り非絶縁複合体ケーブル10の、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られる複数の第3延性ワイヤ28’’と、複数の複合体及び延性ワイヤを包囲する絶縁シース9とを含む。
【0065】
図2A〜2Cによって図示される特定の実施形態において、対応する絶縁複合体ケーブル(例えば30、40、50)は、長手方向軸を画定する単一ワイヤ2と、第1撚り方向において、単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られる複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で、複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚られる複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層と、を含む、図1Aの撚られてはいるが、非絶縁複合体ケーブル10に対応する、非絶縁複合体コア10を有する。特定の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0066】
他の代表的な実施例において、複数の第1延性ワイヤ28は、隣接する放射状層(例えば、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)と同じ撚り方向で撚られる。更なる代表的な実施形態において、複数の第1延性ワイヤ28、複数の第2延性ワイヤ28’、又は複数の第3延性ワイヤ28’’の少なくとも1つは、隣接する放射状層(例えば複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層)とは逆の撚り方向で撚られる。
【0067】
更なる代表的な実施形態において、各延性ワイヤ(28、28’、又は28’’)は、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、円形、楕円形、卵型、矩形、又は台形から選択される断面形状を有する。図2A〜2Cは、各延性ワイヤ(28、28’)が、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、実質的に円形の断面形状を有する実施形態を示す。図2Dに示された特定の実施形態において、撚り複合体ケーブル60は、図1Aに対応する撚り複合体コアケーブル10の周囲に撚られる、複数の概ね第1台形形状の延性ワイヤ28を含む。図2Eに図示される更なる実施形態において、撚り複合体ケーブル10’’’は更に、図1Aに対応する非撚り複合体ケーブル10の周囲に撚られた、複数の第2の概ね台形形状の延性ワイヤ28’を含む。更なる代表的な実施形態において、これら延性ワイヤ(28、28’)の一部又は全ては、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、「Z」又は「S」形(図示なし)の断面形状を有し得る。そのような形状のワイヤは当該技術分野において既知であり、例えば、相互に連結するケーブル外層を形成するのに望ましいことがある。
【0068】
追加の実施形態において、延性ワイヤ(28、28’)は、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、マンガン、ケイ素、これらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0069】
図3A〜3Eは、中心長手方向軸を画定する単一の中心複合体コアワイヤ2を示しているが、図1B及び1Dに先に図示されるように、単一の中心複合体コアワイヤ2は別の方法として延性金属ワイヤ1であり得ることも、併せて理解される。更に、複合体ワイヤの各層はある撚り長さを呈し、複合体ワイヤの各層の撚り長さは異なっていてよく、又は好ましくは、同じ撚り長さであり得ることが理解される。
【0070】
更に、いくつかの代表的な実施形態において、各複合体ワイヤは、中心長手方向軸に対して実質的に垂直の方向に、全般に円形、楕円形、又は台形の断面形状を有する。特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、全般に円形の断面形状を有し、各複合体ワイヤの直径は約0.1mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上であり、更により好ましくは1mm以上であり、更により好ましくは2mm以上であり、最も好ましくは3mm以上であり、かつ、約15mm以下であり、より好ましくは10mm以下であり、更により好ましくは5mm以下であり、更により好ましくは4mm以下であり、最も好ましくは3mm以下である。他の代表的な実施形態において、各複合体ワイヤの直径は1mm未満、又は5mmを超え得る。
【0071】
典型的に、全般に円形の断面形状を有する単独中心ワイヤの平均直径は、約0.1mm〜約15mmの範囲である。いくつかの実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は望ましくは約0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、又は最高約5mmである。他の実施形態において、単独中心ワイヤの平均直径は約0.5mm未満、約1mm未満、約3mm未満、約5mm未満、約10mm未満、又は約15mm未満である。
【0072】
図2A〜2Eに図示されていない追加の代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤを中心に、3つを超える複合体ワイヤの撚られた層を含み得る。特定の代表的な実施形態において、複合体ケーブルの各層における各複合体ワイヤは、同じ構造及び形状であり得るが、これは、本明細書に記述される利点を達成するのに必須ではない。
【0073】
更なる態様において、本開示は、複合体コアと、その複合体コアの周囲の導体層とを含む、撚り送電ケーブルの様々な実施形態を提供し、この複合体コアは、上述の任意の撚り複合体ケーブルを含み得る。いくつかの実施形態では、送電ケーブルは、架空送電ケーブル、地下送電ケーブル、海中送電ケーブル、又はこれらの組み合わせとして有用であり得る。代表的な海中送電ケーブル及び用途は、同時係属の米国特許仮出願第61/226,056号、表題「SUBMERSIBLE COMPOSITE CABLE AND METHODS」(2009年7月16日出願)に記載されている。
【0074】
特定の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアのほぼ全表面を包囲し、いくつかの実施形態ではこれに接触する金属層を含む。他の代表的な実施形態において、この導体層は、複合体ケーブルコアの周囲に撚られた複数の延性金属伝導体ワイヤを含む。
【0075】
複数の複合体ワイヤ(例えば、2、4、6)及び所望により延性金属ワイヤ(例えば28、28’、28’’)を含む撚られた複合体ケーブルに関して、いくつかの実施形態において、撚り中又は撚り後に、例えばテープの上巻き(接着剤の有無を問わず)又は結合剤(例えば米国特許第6,559,385(B1)号(Johnsonら)を参照)などの保持手段を用いて、複合体ワイヤ(例えば、少なくとも、図1A〜1D又は2A〜2Eの第2層における複数の第2複合体ワイヤ6)を一緒に保持することが望ましい。図3A〜3D、及び図4は、撚った後に複合体ワイヤを一緒に保持するため、テープ18の形状の保持手段を使用している様々な実施形態を図示する。特定の実施形態では、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース32として機能することができる。
【0076】
図3Aは、代表的な撚り複合体ケーブル10(図1A)の側面図であり、複合体ワイヤ(2、4、6)の周囲の撚り複合体ケーブル10に部分的に適用されるテープ18を含む、代表的な保持手段を備える。図3Bに示すように、テープ18は、接着層22備える支持体20を含み得る。別の方法としては、図3Cに示すように、テープ18は、接着剤なしで、支持体20のみを含み得る。特定の実施形態では、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース32として機能することができる。
【0077】
特定の代表的な実施形態において、テープ18は、図3Aに示すように、各後続の巻きを、隙間なくかつ重なりなしに、前の巻きに境を接するように巻き付けることができる。別の方法としては、いくつかの実施形態において、後続の巻きは、各巻きの間に隙間を残すような間隔があるように、あるいは前の巻きに重なるように、離間することができる。1つの好ましい実施形態において、テープ18は、各巻きが、前の巻きに対して、テープ幅の約1/3〜1/2重なるように巻き付けられる。
【0078】
図3Bは、保持手段が、接着剤22を備える支持体20を含むテープ18である、図3Aの撚られた、テープが巻き付けられた複合体ケーブル32の横断端面図である。この代表的な実施形態において、好適な接着剤には例えば、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー系接着剤、ポリ(α−オレフィン)接着剤、ブロックコポリマー系接着剤、天然ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、及びホットメルト接着剤が挙げられる。感圧性接着剤は、特定の実施形態において好ましいことがある。いくつかの代表的な実施形態では、テープ18は、複合体ケーブルを包囲する絶縁シースとして機能し得る。
【0079】
更なる代表的な実施形態において、テープ18が弾性曲げ変形を維持するのに十分強く、かつその包まれた構成をそれ自体だけで保持することができる、又は必要に応じて十分に拘束されるという条件で、テープ18又は支持体20の好適な材料には、金属ホイル(特にアルミニウム)、ポリエステル、ポリイミド、フルオロポリマーフィルム(完全フッ素化(コ)ポリマー及び部分フッ素化(コ)ポリマーを含むこれらのものが挙げられる)、ガラス強化支持体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。1つの特に好ましい支持体20はアルミニウムである。そのような支持体は、好ましくは厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)であり、幅は撚り複合体ケーブル10の直径に基づいて選択される。例えば、2層の撚り複合体ワイヤを有し(例えば3Aに示すもの)、直径約0.5インチ(1.3cm)を有する、撚られた複合体コアケーブル10については、幅1.0インチ(2.5cm)を有するアルミニウムテープが好ましい。
【0080】
現在好ましい市販のテープには、次の金属ホイルテープが挙げられる(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能):テープ438、厚さ0.005インチ(0.13mm)アルミ支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0072インチ(0.18mm);テープ431、厚さ0.0019インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、アクリル接着剤付き、合計テープ厚さ0.0031インチ(0.08mm);及びテープ433、厚さ0.002インチ(0.05mm)アルミニウム支持体、シリコーン接着剤付き、合計テープ厚さ0.0036インチ(0.09mm)。好適な金属箔/ガラス布は、実施例で記載されているように、テープ363(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)である。好適なポリエステル支持体テープには、厚さ0.001インチ(0.03mm)のポリエステル支持体、シリコーン系接着剤、及び合計テープ厚さ0.0018インチ(0.03mm)の、ポリエステルテープ8402(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)が挙げられる。
【0081】
図3Cは、テープ18が、接着剤を有さない支持体20を含む、図3Aによる、テープが巻き付けられた撚り複合体ケーブル32’の他の実施形態の横断端面図である。テープ18が接着剤を有さない支持体20である場合、支持体20の好適な材料には、接着剤付きの使用において上述したもののうち任意のものを挙げることができ、好ましい支持体は、厚さが0.002〜0.005インチ(0.05〜0.13mm)、幅1.0インチ(2.54cm)を有するアルミニウム支持体である。特定の実施形態では、図1F〜1Gの要素3に関して上記のとおり、テープ18は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シースとして機能することができる。
【0082】
接着剤22の有無を問わず、テープ18を保持手段として使用する場合、テープは、当該技術分野において既知であるような従来型のテープ巻き装置で、撚りケーブルに適用することができる。好適なテープ巻き装置には、例えばモデル番号CT−300同心テーピングヘッドなどの、Watson Machine,International(Patterson,NJ)から入手可能なものが挙げられる。テープ上巻きステーションは一般に、ケーブル撚り装置の出口に配置され、ケーブル10が巻き取りスプール上に巻かれる前に、螺旋状に撚られた複合体ワイヤに適用される。テープ18は、弾性変形された複合体ワイヤの撚り配置を保持できるよう選択される。
【0083】
図3Dは、複合体ワイヤ(2、4、6)をその撚り配置に保持するよう、図1Aに示される非絶縁撚り複合体コアケーブル10に適用される結合剤24の形体での保持手段を用いた、撚られて、封入された複合体ケーブル34の別の代表的な実施形態を図示する。特定の実施形態では、図1F〜1G関して上記のとおり、結合剤24は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シース3として機能することができる。特定の実施形態では、図1F〜1Gの要素3に関して上記のとおり、結合剤24は、撚り複合体ワイヤを包囲する電気絶縁シースとして機能することができる。
【0084】
好適な結合剤24(これは、いくつかの代表的な実施形態では、図1F〜1Gに示されるように、絶縁充填剤3として使用されてもよい)には、米国特許第5,112,882号(Babuら)に記述されているような、6〜20個の炭素原子を含むモノマーから誘導された、1つ以上のポリ(α−オレフィン)ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマーと、光架橋剤とを含む感圧接着剤が挙げられる。これらの材料の放射線硬化は、剥離及び剪断接着特性の有利なバランスを有する接着フィルムを提供する。
【0085】
別の方法としては、結合剤24は熱硬化性材料を含み得、これにはエポキシが含まれるがこれに限定されない。いくつかの結合剤について、上述のように、ワイヤがケーブル化装置から出る際に、非絶縁撚り複合体コアケーブル10上に結合剤24を押し出すか又は別の方法でコーティングすることが好ましい。別の方法としては、結合剤24は、転写テープとして供給される接着剤の形態で適用することができる。この場合、結合剤24は転写又は剥離シート(図示なし)に適用される。この剥離シートで、撚り複合体ケーブル10の複合体ワイヤの周囲が包まれる。次に支持体を除去すると、接着剤層が結合剤24として残る。
【0086】
更なる実施形態において、接着剤22又は結合剤24は所望により、それぞれ個々の複合体ワイヤ周囲に、又は、複合体ワイヤと延性金属ワイヤの任意の好適な層の間に適用されることが望ましい場合がある。したがって、図4に図示される特定の施形態では、撚り複合体ケーブル90は、複数の第1延性ワイヤ28と、図3Cによって図示される、テープが巻き付けられた複合体コア32’の周囲に撚られた複数の第1延性ワイヤ28と、複数の第1延性ワイヤ28の周囲に撚られた複数の第2延性ワイヤ28’と、を含む。テープ18は、図1Aに示される非絶縁撚り複合体コア10の周囲に巻きつけられ、これは、中心長手方向軸を画定する単一複合体ワイヤ2と、第1撚り方向において単一複合体ワイヤ2の周囲に撚られ得る複数の第1複合体ワイヤ4を含む第1層と、第1撚り方向で複数の第1複合体ワイヤ4の周囲に撚ら得る、複数の第2複合体ワイヤ6を含む第2層14と、を含む。テープ18は、撚り複合体ワイヤ(図2、4、6)を包囲する電気絶縁シース32’を形成する。第2絶縁シース9は、複数の複合体ワイヤ(例えば2、4、及び6)及び複数の延性ワイヤ(28及び28’’)の両方を包囲する。
【0087】
1つの本好適実施形態において、保持手段は、撚り複合体ケーブル10の合計直径に著しい増加をもたらさない。好ましくは、保持手段を含む撚り複合体ケーブルの外形は、保持手段を除外した複数の撚り複合体ワイヤ(2、4、6、8)の外形の110%以下であり、より好ましくは105%以下であり、最も好ましくは102%以下である。
【0088】
複合体ワイヤには、従来型のケーブル化装置で撚られているときに、顕著な量の弾性曲げ変形が行われることが認識されよう。ワイヤの螺旋構成を保持するための保持手段が存在しない場合、この顕著な弾性曲げ変形によって、ワイヤの撚りをほどく、又は曲げ形状を元に戻すような作用が生じ得る。よって、いくつかの実施形態において、保持手段は、複数の撚り複合体ワイヤの顕著な弾性曲げ変形を保持するよう選択される。
【0089】
更に、撚り複合体ケーブルの目的用途によっては、特定の保持手段がその用途に、より好適であることが示唆され得る。例えば、撚り複合体ケーブルが水中又は地下送電ケーブルとして使用される場合は、この用途で曝され得る温度、深度、及びその他の条件で、この送電ケーブルが悪影響を受けないように、結合剤24、又は接着剤22を使用しないテープ18のいずれかを選択すべきである。接着テープ18が保持手段として使用されるとき、接着剤22と支持体20との両方が、この目的用途に好適となるよう選択されるべきである。
【0090】
図5に図示される更に他の代替の代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブル100は、複数の個々に絶縁されたワイヤを含むコアの付近で、複数の個々にゼ点された複合体ワイヤと、複合体ワイヤの全体を包囲する任意の追加のシースと、を含む1つ以上の層を含む。したがって、図5に示されるように、絶縁複合体ケーブル100は、中心長手方向軸を画定する単一コアワイヤ1(これは、例えば延性金属ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマトリックス複合体ワイヤ、光ファイバーワイヤ、又は流体移送のための中空の管状ワイヤであってもよい)と、前述のように複数の第1コアワイヤ5(これは所望により、撚られてもよく、より好ましくは、第1撚り方向で、単一コアワイヤ1の周囲で螺旋状に撚られてもよい)を含む少なくとも第1層であって、複数の第1複合体ワイヤ4(これは所望により第1撚り方向で、単一コアワイヤ1の周囲で撚られてもよく、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む第1層と、第2の複数の複合体ワイヤ6(これは、第1撚り方向で、第1の複数の複合体ワイヤ4の周囲に撚られてもよい、より好ましくは螺旋状に撚られてもよい)を含む任意の第2層と、複数の複合体ワイヤの全体を包囲する絶縁シース9’と、各個々のワイヤ(1、4、5、6等)を任意に包囲する追加の絶縁シース9と、を含む。
【0091】
更に、図5は、上記のとおり個々のワイヤ(1、2、4、及び6)と、複数のワイヤ(1、2、4、6等)の全体を包囲する絶縁シース9’との間に残されたいずれかの空隙を実質的に充填するための、上記の任意の絶縁充填剤3(これは、図3Dに関して以下に記載の結合剤24であってもよく、又は非導電性の固体又は液体などの非導電性材料であってもよい)の使用を図示する。
【0092】
特定の代表的な実施形態において、撚り複合体ワイヤはそれぞれ、後に詳しく述べるように、マトリックス内に複数の連続繊維を含む。ワイヤは複合体であるため、延性金属ワイヤでは可能であるようなケーブル化又は撚り操作中の可塑性変形を一般に受け入れない。例えば、延性ワイヤを含む先行技術の構成において、従来のケーブル化プロセスは、複合体ワイヤを螺旋形状に恒久的かつ可塑的に変形させるよう実行することができる。本開示は、従来の延性金属ワイヤに比べ、優れた望ましい特性を提供できる、複合体ワイヤの使用を可能にする。この保持手段により、この撚り複合体ケーブルを後続の最終物品に、例えば水中又は地下複合体ケーブルに組み込まれるときに、便利に取り扱うことが可能になる。
【0093】
いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。特定の代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。更なる代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤのいくつかは、金属マトリックス複合体ワイヤであるように選択され、複合体ワイヤのいくつかは、ポリマーマトリックス複合体ワイヤであるように選択される。他の代表的な実施形態において、複合体ワイヤの全ては、金属マトリックス複合体ワイヤ又はポリマーマトリックス複合体ワイヤのいずれかであるように選択され得る。
【0094】
いくつかの代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。特定の代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。更なる代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0095】
他の代表的な実施形態では、金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。更なる代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。いくつかの代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0096】
金属マトリックス複合体ワイヤが、外装及び/又は強度要素を提供するのに使用される特定の代表的実施形態では、繊維は、好ましくは、ポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の代表的な実施形態では、外装要素は、円筒状の層においてコア複合体ケーブルを包囲する複数のワイヤを含む。好ましくは、ワイヤは、金属外装ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマットリックスワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0097】
図6A〜6Cによって図示される特定の代表的な実施形態では、コア(11、11’、11’’)を含む撚り複合体ケーブル及び/又は導電性非複合体ケーブルは、少なくとも1つの、好ましくは複数の延性金属ワイヤを含む。追加の代表的な実施形態では、複数の金属ワイヤのそれぞれは、径方向の断面で見たときに、円形、楕円形、台形、S字形、及びZ字形からなる群から選択される断面形状を有する。いくつかの特定の代表的実施形態では、複数の金属ワイヤは、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウム、これら相互の合金、他の金属とのこれらの合金、シリコンとのこれらの合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの金属を含む。
【0098】
いくつかの特定の更なる代表的実施形態では、複合体ケーブルの少なくとも1つは、径方向の断面で見たときに、少なくとも1つの複合体ケーブルの中心長手方向軸を中心に撚られた複合体ワイヤの複数の円筒状の層を含む、撚り複合体ケーブルである。特定の代表的実施形態では、少なくとも1つの撚り複合体ケーブルは螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層は、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている。特定の本好適実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、0°より大きく、3°以下である。
【0099】
更なる代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する。いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、繊維強化複合体ワイヤである。特定の代表的な実施形態では、繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つは、繊維トウ又は単繊維のうちの1つで強化される。他の代表的実施形態では、複合体ワイヤのそれぞれは、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される。特定の他の代表的な実施形態では、高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む。
【0100】
いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む。特定の代表的な実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む。
【0101】
いくつかの代表的な実施形態では、複合体ワイヤは金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。他の代表的な実施形態では、複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む。特定の代表的な実施形態では、少なくとも1つの連続繊維は、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。特定の代表的な実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態では、金属マトリックスはアルミニウムを含み、少なくとも1つの連続繊維はセラミック繊維を含む。いくつかの特定の本好適実施形態では、セラミック繊維は多結晶性α−Al2O3を含む。
【0102】
更なる代表的実施形態では、絶縁シースは、水中又は地下複合体ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0103】
いくつかの代表的な実施形態では、シースは望ましい特徴を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シースは絶縁性であってもよい(すなわち、電気的に絶縁性であり及び/又は熱的若しくは音響的に絶縁性)。特定の代表的な実施形態では、シースは、下層のコアケーブル、及び任意の複数の導電性非複合体ケーブルに対する保護機能を提供する。保護機能は、例えば、改善された耐穿刺性、改善された耐食性、高温若しくは低温に対する改善された耐性、改善された摩擦抵抗等であってもよい。
【0104】
好ましくは、シースは、熱可塑性高分子材料、より好ましくは、高密度ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン)、中密度ポリオレフィン(例えば、中密度ポリエチレン)、及び/又は熱可塑性フルオロポリマーを含む。好適なフルオロポリマーには、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンポリマー(TFV)が挙げられる。特に好適なフルオロポリマーは、商標DYNEON THV FLUOROPLASTICS、DYNEON ETFE FLUOROPLASTICS、DYNEON FEP FLUOROPLASTICS、DYNEON PFA FLUOROPLASTICS、及びDYNEON PVDF FLUOROPLASTICSで販売されているものである(全て3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)。
【0105】
いくつかの代表的な実施形態では、シースは、外装要素を更に含み、これは好ましくは強度要素としても機能する。他の本好適代表的な実施形態では、外装及び/又は強度要素は、コアケーブルを包囲し、円筒状の層に配置されている複数のワイヤを含む。好ましくは、ワイヤは、金属(例えば鋼)ワイヤ、金属マトリックス複合体ワイヤ、ポリマーマットリックスワイヤ、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0106】
いくつかの代表的な実施形態では、絶縁複合体ケーブルは、外装、すなわち強化層を更に含み得る。特定の代表的な実施形態では、外装層は、少なくとも複合体コアを包囲する1つ以上の円筒状の層を含む。いくつかの代表的な実施形態では、外装、すなわち強化層は、絶縁複合体電力ケーブル内に半径方向に形成されるテープ又は繊維層の形体をとってもよく、少なくとも複合体コアの周囲、したがって複数の複合体ワイヤを包囲する、又はこれの周囲に巻き付けられる複数の繊維を含むことが好ましい。好ましくは、繊維はポリ(アラミド)繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0107】
特定の実施形態では、外装、すなわち強化層及び/又はシースは、導電性複合体若しくは非複合体ケーブルの絶縁性要素として機能し得る。かかる実施形態では、外装、すなわち強化層及び/又はシースは、好ましくは、上記のとおり絶縁性材料、より好ましくは絶縁性高分子材料を含む。
【0108】
本開示は任意の好適な複合体ワイヤと共に実施することができるが、特定の代表的な実施形態において、複合体ワイヤのそれぞれが、マトリックス中に少なくとも1つの連続繊維トウ、又は連続単繊維を含む、繊維強化複合体ワイヤとなるよう選択される。
【0109】
複合体ワイヤの好ましい実施形態は、マトリックス中に複数の連続繊維を含む。好ましい繊維は、多結晶性α−Al2O3を含む。これらの、複合体ワイヤの好ましい実施形態は、好ましくは、0.4%以上の破断引張り歪み、より好ましくは0.7%以上の破断引張り歪みを有する。いくつかの実施形態において、金属マトリックス複合体コア内の繊維の数の85%以上(実施形態によっては、90%以上、又は更には95%以上)が連続している。
【0110】
本開示に使用し得る他の複合体ワイヤには、ガラス/エポキシワイヤ、炭化ケイ素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/アルミニウム複合体ワイヤ、炭素/エポキシ複合体ワイヤ、炭素/ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ワイヤ、炭素/(コ)ポリマーワイヤ、及びこれら複合体ワイヤの組み合わせが挙げられる。
【0111】
好適なガラス繊維の例には、当該技術分野において既知であるように、A−Glass、B−Glass、C−Glass、D−Glass、S−Glass、AR−Glass、R−Glass、グラスファイバー及びパラグラスが挙げられる。他のガラス繊維も使用することができるが、このリストは限定的ではなく、例えばCorning Glass Company(Corning,NY)から市販されている様々な種類のガラス繊維が存在する。
【0112】
いくつかの代表的な実施形態において、連続ガラス繊維が好ましい場合がある。典型的には、連続ガラス繊維は、約3μm〜約19μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、少なくとも3GPa、4GPa、及び/又は更には少なくとも5GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、約60GPa〜95GPa、又は約60GPa〜約90GPaの範囲の弾性率を有する。
【0113】
好適なセラミック繊維の例には、金属酸化物(例えばアルミナ)繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、及びこれらの繊維の任意の組み合わせが挙げられる。典型的に、セラミック酸化物繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続セラミック繊維は、約5μm〜約50μm、約5μm〜約25μm、約8μm〜約25μm、又は更に約8μm〜約20μmの、範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、1.4GPa以上、1.7GPa以上、2.1GPa以上、又は更には2.8GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、70GPaを超え約1000GPa以下、又は更には420GPa以下の弾性率を有する。
【0114】
好適な単繊維セラミック繊維の例には、炭化ケイ素繊維が挙げられる。典型的に、炭化ケイ素単繊維は、結晶性セラミック、及び/又は結晶性セラミックとガラスとの混合物(すなわち、繊維は結晶性セラミックとガラス相の両方を含み得る)である。典型的には、そのような繊維は、50m以上の桁の長さを有し、キロメートル又はそれ以上の桁の長さを有することさえできる。典型的には、連続炭化ケイ素単繊維は、約100μm〜約250μmの範囲の平均繊維直径を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、2.8GPa以上、3.5GPa以上、4.2GPa以上、及び/又は更には6GPaの平均引張り強度を有する。いくつかの実施形態において、この結晶性セラミック繊維は、250GPaを超え約500GPa以下、又は更には430GPa以下の弾性率を有する。
【0115】
好適なアルミナ繊維は、例えば、米国特許第4,954,462号(Woodら)及び同第5,185,299号(Woodら)に記載されている。いくつかの実施形態では、アルミナ繊維は多結晶性アルファアルミナ繊維であり、理論上の酸化物系で、アルミナ繊維の総重量を基準として、99重量%を超えるAl2O3及び0.2〜0.5重量%のSiO2を含む。別の態様では、いくつかの望ましい多結晶性アルファアルミナ繊維は、平均粒径1マイクロメートル未満(又は、いくつかの実施形態においては、更には0.5マイクロメートル未満)のアルファアルミナを含む。別の様態では、いくつかの実施形態において、多結晶性アルファアルミナ繊維の平均引張り強度は、1.6GPa以上(いくつかの実施形態では、2.1GPa以上、又は更には2.8GPa以上)である。代表的なアルファアルミナ繊維は、商品名「NEXTEL 610」(3M Company(St.Paul,MN))として市販されている。
【0116】
好適なアルミノシリケート繊維は、例えば、米国特許第4,047,965号(Karstら)に記述されている。代表的なアルミノシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 440」、「NEXTEL 550」、及び「NEXTEL 720」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。アルミノボロシリケート繊維は、例えば、米国特許第3,795,524号(Sowman)に記述されている。代表的なアルミノボロシリケート繊維は、商品名「NEXTEL 312」(3M Company(St.Paul,MN))として販売されている。窒化ホウ素繊維は、例えば、米国特許第3,429,722号(Economy)及び同第5,780,154号(Okanoら)に記述されている。更に、代表的な炭化ケイ素繊維は、例えば、COI Ceramics(San Diego,CA)から500繊維のトウの商品名「NICALON」が、日本の宇部興産(Ube Industries)から商品名「TYRANNO」が、Dow Corning(Midland,MI)から商品名「SYLRAMIC」が、市販されている。
【0117】
好適な炭素繊維には、例えばPANEX(登録商標)及びPYRON(登録商標)(ZOLTEK(Bridgeton,MO)から入手可能)、THORNEL(CYTEC Industries,Inc.(Paterson,NJ)から入手可能)、HEXTOW(HEXCEL,Inc.(Southbury,CT)から入手可能)、及びTORAYCA(東レ株式会社(TORAY Industries,Ltd.)(日本・東京)から入手可能)など市販されている炭素繊維が挙げられる。そのような炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)前駆体から誘導され得る。その他の好適な炭素繊維には、当該技術分野において既知のように、PAN−IM、PAN−HM、PAN UHM、PITCH又はレーヨン副産物が挙げられる。
【0118】
追加の好適な市販されている繊維には、ALTEX(住友化学株式会社(Sumitomo Chemical Company)(日本・大阪)から入手可能)、ALCEN(株式会社ニチビ(Nitivy Company,Ltd.)、日本・東京)から入手可能)が挙げられる。
【0119】
好適な繊維には更に、形状記憶合金(マルテンサイト形質転換を起こす金属合金で、形質転換温度より下の温度で双晶化メカニズムにより変形可能となり、形質転換温度より上に加熱されて双晶組織が元の相に戻ると、このような変形が元に戻り得る)が挙げられる。市販されている形状記憶合金繊維があり、例えばJohnson Matthey Company(West Whiteland,PA)から入手可能である。
【0120】
いくつかの実施形態において、セラミック繊維がトウ内にある。トウは、繊維分野で既知であり、複数の(個別の)繊維(典型的には100本以上、より典型的には400本以上の繊維)がロービング様形状に集まったものを指す。いくつかの実施形態において、トウは、トウ当たり780本以上の個別繊維を含み、場合によっては、トウ当たり2600本以上の個別繊維、又は別の場合では、トウ当たり5200本以上の個別繊維を含む。セラミック繊維のトウは一般に、300m、500m、750m、1000m、1500m、2500m、5000m、7500m及びそれ以上を含む、様々な長さで入手可能である。繊維は、円形又は楕円形である断面形状を有し得る。
【0121】
市販されている繊維は典型的に、潤滑性をもたらし、取り扱い中に繊維ストランドを保護するために、製造中に繊維に添加される有機糊剤を典型的に含み得る。糊剤は、例えば、繊維から離れた糊剤を溶解又は燃焼させることによって除去することができる。典型的には、金属マトリックス複合体ワイヤを形成する前に、糊剤を除去することが望ましい。繊維はまた、例えば繊維の湿潤性を強化するために使用されているコーティングを有していることがあり、これが繊維と溶融金属マトリックス材料との間の反応を低下又は阻害する。このようなコーティング、及びこのようなコーティングを提供するための技法は、繊維及び複合体の分野で既知である。
【0122】
更なる代表的な実施形態において、複合体ワイヤはそれぞれ、金属マトリックス複合体ワイヤと高分子複合体ワイヤから選択される。好適な複合体ワイヤは、例えば、米国特許第6,180,232号、同第6,245,425号、同第6,329,056号、同第6,336,495号、同第6,344,270号、同第6,447,927号、同第6,460,597号、同第6,544,645号、同第6,559,385号、同第6,723,451号、及び同第7,093,416号に開示されている。
【0123】
1つの現在好まれている繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤは、セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤである。セラミック繊維強化アルミニウムマトリックス複合体ワイヤは、好ましくは、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は純粋なアルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかのマトリックス内に封入された、多結晶性α−Al2O3の連続繊維を含む。好ましい繊維は、寸法が約100nm未満の等軸晶グレインを含み、繊維直径が約1〜50μmの範囲である。約5〜25μmの範囲の繊維直径が好ましく、約5〜15μmの範囲の繊維直径が最も好ましい。
【0124】
本開示の好ましい繊維強化複合体ワイヤは、1立方センチメートル当たり約3.90〜3.95グラムの繊維密度を有する。好ましい繊維の中には、Minnesota Mining and Manufacturing Company(St.Paul,MN)に付与された米国特許第4,954,462号(Woodら)に記述されているものがある。好ましい繊維は、商品名「NEXTEL 610」アルファアルミナ系繊維(3M Company(St.Paul,MN))として入手可能である。封入するマトリックスは、それ自体が繊維材料と化学的に顕著に反応しない(すなわち、繊維材料に対して化学的に比較的不活性である)ように選択され、これにより繊維外側に保護コーティングを施す必要がなくなる。
【0125】
複合体ワイヤで、特定の本好適実施形態において、ほぼ純粋な元素アルミニウム、又は元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金のいずれかを含むマトリックスの使用は、好結果のワイヤを生み出すことが示されている。本明細書において用語「ほぼ純粋な元素アルミニウム」、「純粋なアルミニウム」及び「元素アルミニウム」は互換可能な用語であり、約0.05重量%未満の不純物を含むアルミニウムを意味するためのものである。
【0126】
1つの現在好まれている実施形態において、複合体ワイヤは、ほぼ元素アルミニウムのマトリックス内に、約30〜70体積%(複合体ワイヤの合計体積に対して)の多結晶性α−Al2O3繊維を含む。このマトリックスは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含むことが現在好ましく、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。約40〜60%の多結晶性α−Al2O3繊維の繊維含有量が好ましい。約20MPa未満の降伏強さを有するマトリックスと、約2.8GPa未満の長手方向引張り強度を有する繊維と、を有するマトリックスで形成された、そのような複合体ワイヤは、優れた強度特性を有することが見出されている。
【0127】
マトリックスはまた、元素アルミニウムと最高約2重量%(マトリックスの合計重量に対して)の銅との合金から形成され得る。ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックスが使用されている実施形態と同様、アルミニウム/銅合金マトリックスを有する複合体ワイヤは好ましくは、複合体の合計体積に対して約30〜70体積%の多結晶性α−Al2O3繊維を含み、より好ましくは約40〜60体積%の多結晶性α−Al2O3繊維を含む。加えて、このマトリックスは好ましくは、マトリックスの合計重量に対して、約0.03重量%未満の鉄を含み、最も好ましくは、約0.01重量%未満の鉄を含む。アルミニウム/銅マトリックスは好ましくは、約90MPa未満の降伏強さを有し、多結晶性α−Al2O3繊維は約2.8GPa以上の長手方向引張り強度を有する。
【0128】
複合体ワイヤは、好ましくは、上述の、ほぼ純粋な元素アルミニウムマトリックス内に、又は元素アルミニウムと最高約2重量%の銅との合金から形成されたマトリックス内に、封入された、ほぼ連続の多結晶性α−Al2O3繊維から形成される。そのようなワイヤは、一般に、ほぼ連続の多結晶性α−Al2O3繊維のスプールを、繊維トウに配置するプロセスによって製造され、溶融マトリックス材料の液浴内を通って引っ張られる。結果として得られたセグメントを次に固化させることにより、マトリックス内に封入された繊維が得られる。
【0129】
代表的な金属マトリックス材料は、アルミニウム(例えば高純度(例えば99.95%超)元素アルミニウム)、亜鉛、スズ、マグネシウム、及びこれらの合金(例えばアルミニウムと銅の合金)が挙げられる。通常、例えば繊維外面に保護コーティングを提供する必要性を排除するために、マトリックス材料が繊維と著しく化学反応しない(すなわち、繊維材料に関して比較的化学的に不活性である)ように、マトリックス材料が選択される。いくつかの実施形態において、マトリックス材料としては、望ましくは、アルミニウム及びその合金が挙げられる。
【0130】
いくつかの実施形態において、金属マトリックスは、98重量パーセント以上のアルミニウム、99重量パーセント以上のアルミニウム、99.9重量パーセントを超えるアルミニウム、又は更には99.95重量パーセントを超えるアルミニウムを含む。アルミニウムと銅との代表的なアルミニウム合金は、98重量パーセント以上のAlと最高2重量パーセントの銅を含む。いくつかの実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000及び/又は8000シリーズのアルミニウム合金である(アルミニウム協会表記)。より高い純度の金属が、より高い引張り強度のワイヤを製造するのに望ましい傾向があるが、純度のより低い形態の金属も有用である。
【0131】
適切な金属が市販されている。例えば、アルミニウムは、Alcoa(Pittsburgh,PA)から、商品名「SUPRE PURE ALUMINUM;99.99% Al」で入手可能である。アルミニウム合金(例えば、Al−2重量%の銅(0.03重量%不純物))はBelmont Metals(New York,NY)から得ることができる。亜鉛及びスズは、例えば、Metal Services(St.Paul,MN)から入手可能である(「純亜鉛」;99.999%の純度及び「純スズ」;99.95%の純度)。例えば、マグネシウムは、Magnesium Elektron(Manchester,England)から、商品名「PURE」で入手可能である。マグネシウム合金(例えばWE43A、EZ33A、AZ81A、及びZE41A)は、例えばTIMET(Denver,CO)から得ることができる。
【0132】
金属マトリックス複合体ワイヤは、典型的には、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、15体積パーセント以上(実施形態によっては、20、25、30、35、40、45、又は更には50体積パーセント以上)の繊維を含む。より典型的には、複合体コア及びワイヤは、繊維及びマトリックス材料の合わせた総体積に対して、40〜75(実施形態によっては45〜70)体積パーセントの範囲の繊維を含む。
【0133】
金属マトリックス複合体ワイヤは、当該技術分野において既知の手法を用いて作製できる。例えば、連続金属マトリックス浸潤プロセスで、連続する金属マトリックス複合体ワイヤを作製することができる。1つの好適なプロセスが、例えば、米国特許第6,485,796号(Carpenterら)に記載されている。当該技術分野において既知の引抜成形プロセスによって、ポリマー及び繊維を含むワイヤが作製され得る。
【0134】
追加の代表的な実施形態において、複合体ワイヤは高分子複合体ワイヤを含むよう選択される。高分子複合体ワイヤは、ポリマーマトリックス内に少なくとも1本の連続繊維を含む。いくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、金属、炭素、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む。特定の本好適実施形態において、少なくとも1本の連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、ホウ素、ポリ(アラミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)3、及びこれらの組み合わせを含む。追加の本好適実施形態では、ポリマーマトリックスは、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー及びこれらの組み合わせから選択される(コ)ポリマーを含む。
【0135】
本開示の特定の実施形態に従って複合体コアの周囲に撚る複合コア(例えば送電ケーブル)を提供するための延性金属ワイヤは、当該技術分野において既知である。好ましい延性金属には、鉄、鋼、ジルコニウム、銅、スズ、カドミウム、アルミニウム、マンガン、及び亜鉛、並びに他の金属及び/又はケイ素との合金、及び同様物が挙げられる。銅ワイヤは、例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されている。アルミニウムワイヤは、例えば、Nexans(Weyburn,Canada)から商品名「1350−H19アルミニウム」又はSouthwire Company(Carrolton,GA)から「1350−H0アルミニウム」として市販されている。
【0136】
典型的には、銅ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約12ppm/℃〜約18ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。銅合金(例えば、Southwire Company(Carrolton,GA)から市販されているCu−Si−X、Cu−Al−X、Cu−Sn−X、Cu−Cd(式中、X=Fe、Mn、Zn、Sn、及び/又はSi)などの銅ブロンズ、例えば、OMG Americas Corporation(Research Triangle Park,NC)から商品名「GLIDCOP」として入手可能な酸化物分散強化銅)のワイヤ。いくつかの実施形態において、銅合金ワイヤは、約20℃〜約800℃の温度範囲以上で、約10ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。ワイヤは、どのような種類の形状(例えば、円形、楕円形、及び台形)であってもよい。
【0137】
典型的には、アルミニウムワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H19アルミニウム」)は、138MPa(20ksi)以上、158MPa(23ksi)以上、172MPa(25ksi)以上、186MPa(27ksi)以上、又は更には200MPa(29ksi)以上の引張り破壊強度を有する。いくつかの実施形態では、アルミニウムワイヤ(例えば、「1350−H0アルミニウム」)は、41MPa(6ksi)超〜97MPa(14ksi)以下、又は更には83MPa(12ksi)以下の引張り破壊強度を有する。
【0138】
アルミニウム合金ワイヤは市販されており、例えば、商品名「ZTAL」、「XTAL」及び「KTAL」(住友電気工業株式会社(Sumitomo Electric Industries)(日本・大阪))、又は、「6201」(Southwire Company(Carrolton,GA))で入手可能なアルミニウム−ジルコニウム合金ワイヤがある。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金ワイヤは、約20℃〜約500℃の温度範囲以上で、約20ppm/℃〜約25ppm/℃の範囲の熱膨張係数を有する。
【0139】
絶縁複合体ケーブル内の複合体ワイヤの重量又は面積パーセントは、絶縁複合体ケーブルの設計及びその意図された使用の条件に依存する。絶縁され、好ましくは撚られた複合体ケーブルが、絶縁複合体ケーブル(これは地上、地下、又は水中複合体ケーブルであってもよい)の構成要素として使用される一部の用途では、撚りケーブルは、複数の複合体ケーブルの周囲に電力導体層を有さないことが好ましい。特定の本好適実施形態では、水中又は地下複合体ケーブルは、少なくとも0.5%の破壊限度までの歪みを呈する。
【0140】
本開示は好ましくは、非常に長い水中又は地下複合体ケーブルを提供するように実施される。また、撚り複合体ケーブル10自体の中の複合体ワイヤは、撚りケーブルの長さにわたって連続であることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、複合体ワイヤは実質的に連続であり、長さは少なくとも150メートルである。より好ましくは、複合体ワイヤは撚り複合体ケーブル10において、連続で、かつ長さは250メートル以上であり、より好ましくは500メートル以上であり、更により好ましくは750メートル以上であり、最も好ましくは1000メートル以上である。
【0141】
他の態様では、本開示は、(a)共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、(b)このワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤ配置する工程と、(c)複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法を提供する。いくつかの代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される。特定の代表的な実施形態では、複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、共通の長手方向軸を中心に、ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている。特定の本好適実施形態では、各円筒状の層はある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている。更なる好ましい実施形態では、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は、約4°以下である。
【0142】
一つの追加的な本発明の好適な態様において、本開示は、上述の撚り複合体ケーブルの製造方法を提供し、この方法は、中心長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第1複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第1撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第1複合体ワイヤが第1撚り長さを有する、工程と、複数の第1複合体ワイヤの回りに、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程であって、複数の第2複合体ワイヤを撚る工程が中心長手方向軸に対して画定される第2撚り角度で第1撚り方向に実行され、複数の第2複合体ワイヤが第2撚り長さを有する、工程と、を含み、更に第1撚り角度と第2撚り角度との相対的な差が、4°以下である。1つの本好適実施形態において、この方法は更に、複合体ワイヤの回りを複数の延性ワイヤで撚っている工程を含む。
【0143】
撚り複合体ケーブルは、延性ワイヤを複合体コアの周囲に含んでいるか、又は含んでいない、いずれかであり、次いで絶縁シースで被覆されてもよい。追加の代表的実施形態では、絶縁シースは、絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する。いくつかの代表的実施形態では、絶縁シースは、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される材料を含む。
【0144】
複合体ワイヤは、任意の好適なケーブル撚り装置(例えばCortinovis,Spa(Bergamo,Italy)、及びWatson Machinery International(Patterson,NJ)から入手可能なプラネタリーケーブルストランダーなど)で、当該技術分野において既知であるように、撚られ、又は螺旋状に巻かれ得る。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知であるように、剛性のストランダーを採用すると有利であり得る。
【0145】
任意の好適な寸法の複合体ワイヤを使用することができるが、多くの実施形態及び多くの用途について、この複合体ワイヤは、1mm〜4mmの直径を有することが好ましいが、これより大きい直径又は小さい直径の複合体ワイヤを使用することもできる。
【0146】
1つの好ましい実施形態において、撚り複合体ケーブルには、10〜150の撚り係数を有するような撚り方向で螺旋状に撚られる複数の複合体ワイヤが含まれる。撚りケーブルの「撚り係数」は、単一ワイヤが螺旋に沿って1回転するときの撚りケーブルの長さを、そのストランドを含む層の公称外径で割ることによって算出される。
【0147】
ケーブル撚りプロセスの間、その中心ワイヤ、又はその周囲に巻かれる1つ以上の追加層を有する未完成の中間撚り複合体ケーブルは、様々なキャリッジの中央を通過して引っ張られ、各キャリッジでその撚りケーブルに1層が追加される。1層として追加される個々のワイヤは、モーター駆動キャリッジによってケーブルの中心軸を中心に回転されている間、それぞれのボビンから同時に引っ張られる。これは、望ましい各層について順に行われる。その結果、螺旋状に撚られたコアとなる。所望により、結果として得られたこの撚り複合体コアに、上記のように例えばテープなどの保持手段を適用して、撚られたワイヤを一緒に保持するのに役立てることができる。
【0148】
全般に、本開示による撚り複合体ケーブルは、上述のように、単一ワイヤの回りに、同じ撚り方向で、複合体ワイヤを撚ることによって作製することができる。この単一ワイヤは、複合体ワイヤ又は延性ワイヤを含み得る。少なくとも二層の複合体ワイヤが、単一ワイヤコアを中心に複合体ワイヤを撚ることによって形成され、例えば、単一中心ワイヤの回りに少なくとも二層に形成された19本又は37本のワイヤである。
【0149】
いくつかの代表的な実施形態において、撚り複合体ケーブルは、100メートル以上、200メートル以上、300メートル以上、400メートル以上、500メートル以上、1000メートル以上、2000メートル以上、3000メートル以上、又は更には4500メートル以上もの長さを有する撚り複合体ワイヤを含む。
【0150】
撚りケーブルの取り扱い性は、望ましい特性である。理論に拘束されるものではないが、製造中に、金属ワイヤには、降伏応力を超えるが最大応力又は破壊応力よりは下の応力(曲げ応力など)がかかるため、ケーブルはその螺旋状に撚られた構成が保持される。この応力は、前の層又は中心ワイヤの比較的小さな半径の周囲にワイヤが螺旋状に巻かれるように、付加されるものである。追加の応力は、製造中にケーブルに対し放射方向の力及び剪断力が適用されるクロージングダイによって付加される。このワイヤはこれによって可塑的に変形し、その螺旋状に撚られた形状が保持される。
【0151】
いくつかの実施形態において、ケーブルをまっすぐにするための当該技術分野において既知の方法が望ましいことがある。例えば、完成したケーブルは、ローラー(各ローラーは例えば10〜15cm(4〜6インチ))を含み、ローラーを2つのバンクに線形に配置した(例えば各バンクにローラー5〜9個)、直線化装置を通すことができる。ローラーの2つのバンク間の距離は、ローラーがケーブルにちょうど当たるように(さもないとケーブルに過度の屈曲が生じる)、変えることができる。ローラーの2つのバンクは、ケーブルを挟んで向かい合って配置され、一方のバンクのローラーは、もう一方のバンクの相対するローラーによって生じるスペースと一致するよう配置される。ここで、これら2つのバンクは互いに中心をずらして配置することができる。ケーブルがこの直線化装置を通り抜ける際、ケーブルはローラー上で前後に屈曲され、これにより伝導体内のストランドは同じ長さに伸ばされ、これによって、緩んだストランドを低減又は排除することができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、単独の中心ワイヤを、周囲温度(例えば22℃)より上の高温(例えば、25℃以上、50℃以上、75℃以上、100℃以上、125℃以上、150℃以上、200℃以上、250℃以上、300℃以上、400℃以上、又は、いくつかの実施形態において、500℃以上もの温度)で提供することが望ましい場合がある。単独中心ワイヤは、例えば、スプールワイヤを加熱する(例えばオーブンに数時間入れる)ことにより、望ましい温度にすることができる。加熱されたスプールワイヤは、撚り装置の供給スプールに置かれる。更に、この高温のスプールは、ワイヤが依然として望ましい温度、又はそれに近い温度である間に、撚りプロセスにある(典型的には約2時間以内)。
【0153】
更に、ケーブルの外側層を形成する、供給スプール上の複合体ワイヤについては、周囲温度であることが望ましい場合がある。すなわち、いくつかの実施形態において、撚りプロセス中に、外側複合体層を形成する、単一ワイヤと複合体ワイヤとの間の温度差が、望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、単一ワイヤが100kg以上、200kg以上、500kg以上、1000kg以上、又は5000kg以上もの張力を伴って撚ることが望ましい場合がある。
【0154】
更なる態様では、本開示は、上記のとおり、絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法を提供し、上記の絶縁複合体電力ケーブルの少なくとも一部分を埋める工程含む。
【0155】
本明細書全体を通し、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」を指す参照は、「実施形態(embodiment)」という用語の前に「例示的(代表的)(exemplary)」という用語が含まれているかどうかに関わらず、その実施形態の、ある特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の代表的な実施形態の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本開示の特定の代表的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0156】
本明細書で特定の代表的実施形態を詳細に説明したが、当然のことながら、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起することができるであろう。したがって、本開示は本明細書で以上に述べた例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。特に、本明細書で使用されるように、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図されている(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本文書中、使用されている全ての数字は用語「約」によって修飾されていると見なされる。
【0157】
更に、本明細書にて参照される全ての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示されるかのごとく、それらの全体が同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。様々な代表的実施形態が上述された。これらの及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁複合体電力ケーブルであって、
共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、
前記ワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、
前記複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む、絶縁複合体ケーブル。
【請求項2】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において前記共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項3】
前記ワイヤコアが、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項4】
前記ワイヤコアが、少なくとも1つの光ファイバーを含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項5】
前記ワイヤコアの周囲の前記複数の複合体ワイヤが、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項6】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、前記複合体ワイヤのみを含む、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項7】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項8】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、前記共通の長手方向軸を中心に、前記ワイヤコアの周囲で撚られている、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項9】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分が螺旋状に撚られている、請求項8に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項10】
前記各円筒状の層がある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている、請求項9に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項11】
前記それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は0°より大きく、4°以下である、請求項10に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項12】
前記複合体ワイヤが、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項13】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、繊維強化複合体ワイヤである、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項14】
前記繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つが、繊維トウ又は単繊維のうちの一つで強化される、請求項13に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項15】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される、請求項14に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項16】
前記高分子複合体ワイヤが、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項15に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項17】
前記少なくとも1つの連続繊維が、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項18】
前記少なくとも1つの連続繊維が、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項19】
前記ポリマーマトリックスが、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項20】
前記金属マトリックス複合体ワイヤが、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項15に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項21】
前記少なくとも1つの連続繊維が、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項20に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項22】
前記金属マトリックスが、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項23】
前記金属マトリックスがアルミニウムを含み、前記少なくとも1つの連続繊維がセラミック繊維を含む、請求項22に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項24】
前記セラミック繊維が多結晶性α−Al2O3を含む、請求項23に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項25】
前記絶縁シースが、前記絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項26】
前記絶縁シースが、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項27】
共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、
前記ワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤを配置する工程と、
前記複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法。
【請求項28】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において前記共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、前記共通の長手方向軸を中心に、前記ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている、請求項28に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項30】
前記各円筒状の層がある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている、請求項29に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項31】
前記それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は0°より大きく、4°以下である、請求項30に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項32】
請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを地下に埋める工程を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法。
【請求項1】
絶縁複合体電力ケーブルであって、
共通の長手方向軸を画定するワイヤコアと、
前記ワイヤコアの周囲の複数の複合体ワイヤと、
前記複数の複合体ワイヤを包囲する絶縁シースと、を含む、絶縁複合体ケーブル。
【請求項2】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において前記共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項3】
前記ワイヤコアが、金属伝導体ワイヤ又は複合体ワイヤの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項4】
前記ワイヤコアが、少なくとも1つの光ファイバーを含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項5】
前記ワイヤコアの周囲の前記複数の複合体ワイヤが、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に画定される少なくとも2つの円筒状の層に配置される、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項6】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、前記複合体ワイヤのみを含む、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項7】
前記少なくとも2つの円筒状の層の少なくとも1つが、少なくとも1つの延性金属ワイヤを更に含む、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項8】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、前記共通の長手方向軸を中心に、前記ワイヤコアの周囲で撚られている、請求項5に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項9】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分が螺旋状に撚られている、請求項8に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項10】
前記各円筒状の層がある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と同じ撚り方向で撚られている、請求項9に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項11】
前記それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は0°より大きく、4°以下である、請求項10に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項12】
前記複合体ワイヤが、円形、楕円形、及び台形からなる群から選択される断面形状を有する、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項13】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、繊維強化複合体ワイヤである、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項14】
前記繊維強化複合体ワイヤのうち少なくとも1つが、繊維トウ又は単繊維のうちの一つで強化される、請求項13に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項15】
前記複合体ワイヤのそれぞれが、金属マトリックス複合体ワイヤ及び高分子複合体ワイヤからなる群から選択される、請求項14に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項16】
前記高分子複合体ワイヤが、ポリマーマトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項15に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項17】
前記少なくとも1つの連続繊維が、金属、炭素、セラミック、ガラス、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項18】
前記少なくとも1つの連続繊維が、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、炭素、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭化ケイ素、アラミド、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項19】
前記ポリマーマトリックスが、エポキシ、エステル、ビニルエステル、ポリイミド、ポリエステル、シアン酸エステル、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(コ)ポリマーを含む、請求項16に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項20】
前記金属マトリックス複合体ワイヤが、金属マトリックス内に少なくとも1つの連続繊維を含む、請求項15に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項21】
前記少なくとも1つの連続繊維が、セラミック、ガラス、カーボンナノチューブ、炭素、炭化ケイ素、ホウ素、鉄、鋼、鉄合金、タングステン、チタン、形状記憶合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項20に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項22】
前記金属マトリックスが、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項23】
前記金属マトリックスがアルミニウムを含み、前記少なくとも1つの連続繊維がセラミック繊維を含む、請求項22に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項24】
前記セラミック繊維が多結晶性α−Al2O3を含む、請求項23に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項25】
前記絶縁シースが、前記絶縁複合体電力ケーブルの外側表面を形成する、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項26】
前記絶縁シースが、セラミック、ガラス、(コ)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項27】
共通の長手方向軸を画定するワイヤコアを提供する工程と、
前記ワイヤコアの周囲に複数の複合体ワイヤを配置する工程と、
前記複数の複合体ワイヤを絶縁シースで包囲する工程と、を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを作製する方法。
【請求項28】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、径方向の断面で見たときに、前記共通の長手方向軸を中心に形成される少なくとも1つの円筒状の層において前記共通の長手方向軸を画定する単一ワイヤの周囲に配置される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の複合体ワイヤの少なくとも一部分は、前記共通の長手方向軸を中心に、前記ワイヤコアの周囲で螺旋状に撚られている、請求項28に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項30】
前記各円筒状の層がある撚り角度で、それぞれ隣接する円筒状の層の撚り方向と反対の撚り方向で撚られている、請求項29に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項31】
前記それぞれ隣接する円筒状の層の撚り角度間の相対的な差は0°より大きく、4°以下である、請求項30に記載の絶縁複合体電力ケーブル。
【請求項32】
請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを地下に埋める工程を含む、請求項1に記載の絶縁複合体電力ケーブルを使用する方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2012−533850(P2012−533850A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520675(P2012−520675)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041315
【国際公開番号】WO2011/008620
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041315
【国際公開番号】WO2011/008620
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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