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絶縁電線
説明

絶縁電線

【課題】ハロゲンフリーで、難燃性、耐傷付き性および耐ピンキング性に優れる絶縁電線を提供する。
【解決手段】(A)ポリオレフィン30〜70質量%、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体20〜60質量%、および(C)マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ5〜20質量%からなるベースポリマー100質量部に対し、(D)水酸化アルミニウム、および/または水酸化マグネシウム40〜80質量部、並びに(E)フェノール・リン複合系酸化防止剤0.2〜0.5質量部を含有するハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を、導体上に被覆した絶縁電線である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンフリーで、高い難燃性を有し、さらに耐傷付き性および耐ピンキング性にも優れる絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電線分野においては、環境への負荷を低減するため、焼却時にハロゲン化水素などの有害なガスを発生するポリ塩化ビニル(PVC)をベースポリマーに用いた難燃性樹脂組成物や非ハロゲン系ポリマーにハロゲン系難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物に代えて、ポリエチレンに水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に添加して難燃化したハロゲンフリーの組成物を絶縁被覆材料として用いた電線が使用されるようになってきた。このような環境に配慮した材料を用いた電線は、一般に、エコ電線と呼ばれている。
【0003】
しかしながら、このエコ電線では、金属水和物の多量配合により、従来のPVCなどを用いたものと比較して耐傷付き性に劣り、輸送時の振動や包装作業の際、さらには電線を配線する際などに外表面に簡単に傷が付いてしまうという問題があった。外表面に傷が付くと、外観が損われるだけでなく、耐アーク性や絶縁特性などの電気特性も低下する。また、倉庫保管時に排気ガス(NOx)などの影響で電線表面がピンク色に変色するピンキングという現象も問題になっている。
【0004】
前者の耐傷付き性の問題を解決する方法は、例えば、ポリエチレンより硬く傷付きにくいポリプロピレンをベースポリマーに用いたり、金属水和物に特定の難燃助剤を併用するなど、これまでに種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、いずれも難燃性および耐傷付き性を十分に両立させるまでには至っておらず、さらなる改善が求められている。一方、ピンキング現象については未だ検討がされていないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−77092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、環境に配慮したハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物を用いた電線は、外表面が傷付きやすい、電線表面がピンク色に変色するピンキング現象を生ずるという問題があり、未だ十分な難燃性、耐外傷性および耐ピンキング性を併せ持つものは得られていない。
【0008】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、ハロゲンフリーで、優れた難燃性を有し、かつ耐傷付き性、耐ピンキング性にも優れる組成物を絶縁被覆材料として用いた絶縁電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマという3種の特定のポリマーを組み合わせ、さらに、これらのポリマー成分にフェノール・リン複合系酸化防止剤という特定の酸化防止剤を併用した組成物を絶縁被覆材料として用いることにより、ハロゲンフリーで、難燃性、耐傷付き性および耐ピンキング性に優れる絶縁電線が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、上記目的を解決するため、請求項1に記載された発明は、(A)ポリオレフィン30〜70質量%、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体20〜60質量%、および(C)マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ5〜20質量%からなるベースポリマー100質量部に対し、(D)水酸化アルミニウム、および/または水酸化マグネシウム40〜80質量部、並びに(E)フェノール・リン複合系酸化防止剤0.2〜0.5質量部を含有するハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を、導体上に被覆したことを特徴とする絶縁電線である。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の絶縁電線において、前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン40〜60質量%、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体30〜40質量%、および(C)マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ10〜15質量%からなるベースポリマー100質量部に対し、(D)水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウム40〜80質量部、並びに(E)フェノール・リン複合系酸化防止剤0.2〜0.5質量部を含有することを特徴とする絶縁電線である。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の絶縁電線において、(E)成分のフェノール・リン複合系酸化防止剤は、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5メチル−)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ビチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピンを含むことを特徴とする絶縁電線である。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の絶縁電線において、(A)成分のポリオレフィンは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の絶縁電線である。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の絶縁電線において、前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、前記ベースポリマー100質量部に対し、(F)脂肪酸誘導体滑剤1〜5質量部、(G)低分子量ポリエチレン3〜5質量部、および(H)シリコーン・アクリル複合ゴム1〜3質量部をさらに含有することを特徴とする絶縁電線である。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の絶縁電線において、前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物からなる被覆は、引張強さが12MPa以上、伸びが500%以上であることを特徴とする絶縁電線である。
【0016】
請求項7に記載された発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の絶縁電線において、電線全体として、傾斜燃焼試験(JIS C 3005)に合格する難燃性を有することを特徴とする絶縁電線である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の絶縁電線によれば、ハロゲンフリーの高い難燃性とともに、優れた耐傷付き性および耐ピンキング性を併せ持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の絶縁電線の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
まず、本発明の絶縁電線に使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物について説明する。
【0021】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物のベースポリマーを構成する(A)成分のポリオレフィンとしては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン;ポリプロピレン(PP);ポリイソブチレン;エチレンに、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンを共重合させたエチレン・α−オレフィン共重合体;イソブチレン・イソプレン共重合体などが挙げられる。ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマーのみならず、エチレンとのランダムコポリマーやブロックコポリマー、少量のα−オレフィンとの共重合体なども使用することができる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン・αオレフィン共重合体には、非共役ポリエンがさらに共重合されていてもよい。非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。(A)成分のポリオレフィンとしては、なかでも、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンが好ましく、そのなかでも、低密度ポリエチレンがより好ましく、特に、MFR(JIS K 6922−1;190℃、2.16g荷重)0.4〜0.5g/10分、密度(JIS K 7112)0.92〜0.93g/cm、引張破断強さ(JIS K 7113)20〜25MPa、引張破断伸び(JIS K 7113)700〜900%の低密度ポリエチレンが好ましい。このような物性を有する市販品を具体的に例示すると、例えばスミカセンEP(住友化学社製 商品名)が挙げられる。
【0022】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物のベースポリマーを構成する(B)成分のエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、特に、MFR(JIS K 7210;190℃、2.16kg荷重)0.6〜1.0g/10分、密度(JIS K 7112)0.93〜0.95g/cm、VA含有量(JIS K 7192)15〜20質量%のものが好ましい。このような物性を有する市販品を具体的に例示すると、例えばエバフレックスV5274(三井・デュポンポリケミカル社製 商品名)が挙げられる。
【0023】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物のベースポリマーを構成する(C)成分のマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマは、ポリブタジエンをソフトセグメントとするスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)のポリブタジエンブロックを水素添加して得られる水添型共重合体(SEBS)を無水マレイン酸で変性したものである。このようなマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマを配合することにより、後述する金属水和物と樹脂成分とを強固に接着させることができ、組成物の機械的特性、特に引張強さおよび引張伸びを向上させることができる。本発明においては、なかでも、酸価(滴定法)8mgCHONa/g以上、スチレン/エチレン・ブチレン比10/90〜20/80のマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマの使用が好ましい。このような物性を有する市販品を具体的に例示すると、例えばタフテックM1943(旭化成ケミカルズ社製 商品名)が挙げられる。
【0024】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物のベースポリマーにおける上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の配合割合は、(A)成分のポリオレフィンが30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%、(B)成分のエチレン・酢酸ビニル共重合体が20〜60質量%、好ましくは30〜40質量%、(C)成分のマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマが5〜20質量%、好ましくは10〜15質量%である。(A)成分のポリオレフィンの割合が30質量%未満では、ベースポリマーの機械的特性が劣り、70質量%を超えると、後述する金属水和物(水酸化アルミニウム、および/または水酸化マグネシウム)に対する受容性が低下し、その結果、耐傷付き性が不良となる。また、(B)成分のエチレン・酢酸ビニル共重合体の割合が20質量%未満では、金属水和物を組成物中に受容し、かつ均一に分散させることができず、耐傷付き性が不良となり、60質量%を超えると、ベースポリマーの機械的特性が劣る。さらに、(C)成分のマレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマの割合が5質量%未満では、前述した添加による効果が得られず、20質量%を超えると、ベースポリマーにおける金属水和物の分散性が低下する。
【0025】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物に配合される(D)成分の水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムは、いずれも高温に曝されると水を放出し、その際の気化熱で昇温を抑制して難燃効果を発現するものであり、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムのいずれか一方を単独で使用してもよく、両者を併用してもよい。水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムは、ステアリン酸などの高級脂肪酸やシランカップリング剤によって表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理された化合物を使用することにより、ベースポリマーと混練する際の分散性を高めることができる。また、引張強さや引張伸びなどの機械的特性を高め、耐外傷性をより向上させることができる。(D)成分として好適に使用される市販品を具体的に例示すると、水酸化アルミニウムとしては、例えばハイジライトH42M(昭和電工社製 商品名)などが挙げられる。また、水酸化マグネシウムとしては、マグシーズV6−F(神島化学工業社製 商品名)などが挙げられる。
【0026】
この(D)成分の水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムの配合量は、前述したベースポリマーの構成成分である(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量100質量部に対して40〜80質量部であり、好ましくは60〜80質量部である。配合量が40質量部未満では十分な難燃性が得られず、逆に80質量部を超えると、機械的特性および耐傷付き性が低下する。
【0027】
本発明で使用されるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物に配合される(E)成分のフェノール・リン複合系酸化防止剤としては、例えば、スミライザーGPという商品名で住友化学社から市販されている、下記式(1)で示される6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5メチル−)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ビチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピンが好適に使用される。このようなフェノール・リン複合系酸化防止剤を使用することにより、耐ピンキング性を向上させることができる。
【化1】

【0028】
この(E)成分のフェノール・リン複合系酸化防止剤の配合量は、前述したベースポリマーの構成成分である(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量100質量部に対して0.2〜0.5質量部であり、好ましくは0.2〜0.4質量部である。配合量が0.2質量部未満では前述した添加による効果が得られず、0.5質量部を超えると、表面にブルームするおそれがある。
【0029】
なお、ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物には、上記(A)〜(E)成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、軟化剤、銅害防止剤、紫外線吸収剤、熱老化防止剤、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、着色剤、安定剤などの添加剤を配合することができる。
【0030】
例えば、滑剤として、脂肪酸誘導体をベースポリマー100質量部に対し1〜5質量部配合することができる。また、軟化剤として、低分子量ポリエチレンをベースポリマー100質量部に対し3〜5質量部配合することができる。軟化剤としては、その他、鉱物油、ワックス、パラフィン類なども使用することができる。
【0031】
さらに、上述した水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム以外のノンハロゲン系難燃剤や、フェノール・リン複合系酸化防止剤以外の酸化防止剤も、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。但し、フェノール系酸化防止剤については、耐ピンキング性を低下させるおそれがあることから、配合しないことが好ましい。水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム以外のノンハロゲン系難燃剤としては、例えば、グアニジン系、メラミン系などの窒素系難燃剤、リン酸アンモニウム、赤燐などのリン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛などのホウ酸化合物、炭酸カルシウムなどが例示される。
【0032】
ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物には、耐傷付き性を向上させるため、さらに、シリコーン・アクリル複合ゴムを配合することができる。シリコーン・アクリル複合ゴムとしては、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフトさせて得られる、表面にグラフト層を有するコアシェル構造の複合ゴム粒子が好ましく使用される。複合ゴムのポリオルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどが挙げられる。また、ポリアルキル(メタ)アクリレートを構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n‐プロピルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレート、n‐ラウリルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートが挙げられる。表面にグラフト層を有するコアシェル構造のシリコーン・アクリル複合ゴム粒子の市販品としては、例えば、メタブレンSX−005(三菱レイヨン社製 商品名)などが挙げられる。このメタブレンSX−005は、耐傷付き性の向上のために特に好ましく使用される。
【0033】
このシリコーン・アクリル複合ゴムの配合量は、前述したベースポリマー100質量部に対して1〜3質量部の範囲が好ましい。配合量が1質量部未満では、耐傷付き性を向上させる効果が小さく、また、3質量部を超えると、シロキサンが表面にブルームするおそれがある。
【0034】
ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、以上の各成分をバンバリーミキサ、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより容易に調製することができる。
【0035】
本発明の絶縁電線は、上記のようにして得られたハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を、導体外周に直接もしくは他の被覆を介して押出被覆するか、あるいはテープ状に成形したものを巻き付けることにより製造される。組成物は、被覆後もしくは成形後、必要に応じて常法により架橋される。
【0036】
図1は、本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。
【0037】
図1において、符号1は、1本乃至複数本のすずめっき軟銅線などからなる導体を示し、この導体1上には、前述したハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を押出被覆することによって絶縁体2が形成されている。
【0038】
本実施形態の絶縁電線は、以下の要件を満足するように構成されていることが好ましい。
(1)ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物からなる絶縁体2の、JIS C 3005に準拠して測定される引張強さが12MPa以上、同伸びが500%以上である。
(2)電線全体として、傾斜燃焼試験(JIS C 3005)に合格する難燃性を有する。
【0039】
本実施形態の絶縁電線においては、ハロゲンフリーであって、難燃性に優れ、かつ耐傷付き性および耐ピンキング性にも優れている。
【0040】
なお、上述したハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、ハロゲンフリーであって、難燃性に優れ、かつ耐傷付き性および耐ピンキング性にも優れているので、電線の絶縁被覆材料として有用であるが、その他の電気部品や電子部品の被覆材、絶縁材などとしても使用することができる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は「質量部」と示すものとする。
【0042】
(実施例1)
低密度ポリエチレン(LDPE;住友化学社製 商品名 スミカセンEP;密度0.927g/cm)60部、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVR;三井・デュポンポリケミカル社製 商品名 エバフレックスV5274)30部、マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ(旭化成ケミカルズ社製 商品名 タフテックM1943)10部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製 商品名 ハイジライトH42M)30部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製 商品名 マグシーズV6−F)30部、およびフェノール・リン系酸化防止剤(住友化学社製 商品名 スミライザーGP)0.2部を加圧ニーダにより均一に混練して難燃性樹脂組成物を得た。
【0043】
次いで、得られた難燃性樹脂組成物を、すずめっき軟銅線からなる撚線導体(断面積 約2mm)上に押出被覆して外径約3.4mmの絶縁電線を製造した。
【0044】
(実施例2〜15、比較例1〜9)
組成を表1〜表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして各成分を均一に混合して難燃性樹脂組成物を得、さらに、得られた組成物を用いて実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。実施例1で用いた成分以外の配合成分は以下の通りである。
脂肪酸誘導体滑剤:川研ファインケミカル社製 商品名 LE−5
低分子量ポリエチレン:三井化学社製 商品名 ハイワックス400P
シリコーン・アクリル複合ゴム:三菱レイヨン社製 商品名 メタブレンSX−005
【0045】
上記各実施例および各比較例で得られた絶縁電線について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[引張強さおよび引張伸び]
JIS C 3005に基づく引張試験(引張速度200mm/分)を行い、測定した。
[耐傷付き性]
金属製エッジ治具上を荷重300g、速度100mm/分の条件で絶縁電線を長さ約150mmに亘って移動させ、電線表面の傷の発生の有無を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
合格:傷が観察されない
不合格:傷が観察される
[耐ピンキング性]
絶縁電線をNOx雰囲気下に1週間暴露し、表面の変色の有無を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
合格:変色なし
不合格:変色あり
[難燃性]
JIS C 3005に規定する60°傾斜燃焼試験を行い、評価した。
【0046】
これらの結果を表1〜表3の下欄に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
表1〜表3から明らかなように、実施例に係る絶縁電線は、機械的特性(引張強さおよび引張伸び)、耐傷付き性、耐ピンキング性および難燃性においていずれも良好な評価結果が得られた。これに対し、比較例では、機械的特性、耐傷付き性、耐ピンキング性および難燃性のすべてにおいて十分な特性を有しているものはなかった。
【符号の説明】
【0051】
1…導体、2…絶縁体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオレフィン30〜70質量%、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体20〜60質量%、および(C)マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ5〜20質量%からなるベースポリマー100質量部に対し、(D)水酸化アルミニウム、および/または水酸化マグネシウム40〜80質量部、並びに(E)フェノール・リン複合系酸化防止剤0.2〜0.5質量部を含有するハロゲンフリー難燃性樹脂組成物を、導体上に被覆したことを特徴とする絶縁電線。
【請求項2】
前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン40〜60質量%、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体30〜40質量%、および(C)マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマ10〜15質量%からなるベースポリマー100質量部に対し、(D)水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウム40〜80質量部、並びに(E)フェノール・リン複合系酸化防止剤0.2〜0.5質量部を含有することを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
【請求項3】
(E)成分のフェノール・リン複合系酸化防止剤は、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5メチル−)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ビチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピンを含むことを特徴とする請求項1または2記載の絶縁電線。
【請求項4】
(A)成分のポリオレフィンは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の絶縁電線。
【請求項5】
前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物は、前記ベースポリマー100質量部に対し、(F)脂肪酸誘導体滑剤1〜5質量部、(G)低分子量ポリエチレン3〜5質量部、および(H)シリコーン・アクリル複合ゴム1〜3質量部をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の絶縁電線。
【請求項6】
前記ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物からなる被覆は、引張強さが12MPa以上、伸びが500%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の絶縁電線。
【請求項7】
電線全体として、傾斜燃焼試験(JIS C 3005)に合格する難燃性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の絶縁電線。

【図1】
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【公開番号】特開2011−233459(P2011−233459A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104981(P2010−104981)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】