説明

絶縁電線

【課題】ハロゲンフリーで優れた難燃性を有し、かつ機械的特性および耐傷性も良好な絶縁電線を提供する。
【解決手段】絶縁電線10は、導体11外周に内層12Aおよび外層12Bからなる2層構造の被覆12を備える。内層12Aは(A)(a-1)エチレン単位8〜16質量%およびプロピレン単位84〜92質量%を含むエチレン・プロピレン共重合体5〜75質量%、並びに(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜95質量%からなるポリオレフィン100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム110〜270質量部を含有する絶縁材料から構成される。外層12Bはスチレン系熱可塑性エラストマを含む絶縁材料から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンフリーで難燃性および耐傷性に優れる絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電気・電子機器における機器内配線の用途には、塩化ビニル樹脂を絶縁材料として用いた電線(以下、PVC電線と称する)が、機械的特性に優れ、また難燃性も良好であることから多用されてきた。しかし、PVC電線は燃焼時に人体に有害で、かつ腐食性の高い塩化水素ガスを発生する。このため、近時、塩化ビニル樹脂に代えて、ポリオレフィンに水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に添加して難燃化したハロゲンフリーの絶縁材料を用いた電線が使用されるようになってきた。
【0003】
しかし、このようなハロゲンフリーの絶縁材料を用いた電線は、金属水和物の多量配合により、従来のPVC電線と比較して引張強さや引張伸びなどの機械的特性、および耐傷性(耐傷付き性)が不十分で、輸送時の振動や包装作業の際に外表面に簡単に傷が付いてしまうなどの問題があった。外表面に傷が付くと、外観が損なわれるだけでなく、耐アーク性や絶縁特性などの電気特性も低下する。
【0004】
このような問題を解決するため、例えば、ポリエチレンより硬く傷付きにくいポリプロピレンをベースポリマーに用いた組成物や、特定の難燃助剤を併用することにより金属水和物の配合量を低減した組成物などが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、PVC電線に匹敵する難燃性を備えながら、機械的特性や耐傷性おいても十分に満足し得る特性を備えた電線は未だ得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−77092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、ハロゲンフリーで優れた難燃性を有し、かつ機械的特性および耐傷性も良好な絶縁電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様である絶縁電線は、導体外周に内層および外層からなる2層構造の被覆を備え、前記内層が、(A)(a-1)エチレン単位8〜16質量%およびプロピレン単位84〜92質量%を含むエチレン・プロピレン共重合体5〜75質量%、並びに(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜95質量%からなるポリオレフィン100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム110〜270質量部を含有する絶縁材料からなり、かつ前記外層が、スチレン系熱可塑性エラストマを含む絶縁材料からなるものである。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様の絶縁電線において、前記(A)ポリオレフィンが、前記(a-1)エチレン・プロピレン共重合体45〜75質量%および前記(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜55質量%からなるものである。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様の絶縁電線において、前記内層絶縁材料が、前記(A)ポリオレフィン100質量部に対して、前記(B)水酸化マグネシウムを140〜260質量部を含有するものである。
【0011】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかの態様である絶縁電線において、前記(a-1)エチレン・プロピレン共重合体が、アイソタクチックポリプロピレン部分を含むものである。
【0012】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれかの態様の絶縁電線において、前記外層用絶縁材料のスチレン系熱可塑性エラストマが、メルトフローレート(JIS K 7210;230℃、荷重2.16kg)が0.5〜5.0g/10分の水添型スチレン系熱可塑性エラストマであるものである。
【0013】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれかの態様の絶縁電線において、前記外層の厚さが0.03〜0.20mmであるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の絶縁電線によれば、ハロゲンフリーで、優れた難燃性と、良好な機械的特性および耐傷性を併せ持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の絶縁電線の一実施形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、説明は図面に基づいて行うが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の絶縁電線10は、導体11上に、後述するような内層用絶縁材料からなる内層12Aと、後述するような外層用絶縁材料からなる外層12Bの2層構造からなる絶縁体12を有している。
【0019】
導体11は、軟銅線等の導電性金属からなる線材の1本または複数本から構成される。具体的には、例えば28AWG(直径約0.381mm)、22AWG(直径約0.780mm)、または20AWG(直径約0.960mm)の、軟銅線からなる単線導体または撚線導体等が使用される。軟銅線は、すず、銀、ニッケル等のめっきが施されていてもよい。
【0020】
内層12Aを構成する内層用絶縁材料は、(A)(a-1)エチレン・プロピレン共重合体と(a-2)直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィンと、(B)水酸化マグネシウムとを必須成分として含有する組成物である。
【0021】
(a-1)成分のエチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位8〜16質量%およびプロピレン単位84〜92質量%を含み、結晶領域が主としてアイソタクチックポリプロピレン部分からなる準結晶性のポリマーである。ここで、準結晶性のポリマーとは、非結晶領域中に結晶領域が分散されているポリマーをいう。このポリマーは、典型的にはエチレン単位とプロピレン単位からなるが、場合により、エチレン単位およびプロピレン単位以外のコモノマー単位を含んでいてもよい。このような任意に含むことができるコモノマー単位としては、炭素数が4〜20個のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンなど)の他、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,7−シクロドデカジエン、テトラヒドロインデン、ノルボルマジエン、メチル−テトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ-(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンタニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、4−ビニルシクロへキセンなどのポリエンが挙げられる。
【0022】
この(a-1)成分のエチレン・プロピレン共重合体は、密度が0.850〜0.880g/cmで、メルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238;230℃)2〜20g/10分であることが好ましい。また、曲げモジュラス(ASTM D 790;1%セカント)が10〜50MPa、ショアA硬さ(ASTM D 2240)が60〜90であることが好ましい。このような物性を有する市販品を具体的に例示すると、例えば、VistamaxxTM6100、VistamaxxTM6102、VistamaxxTM6200、VistamaxxTM6202、VistamaxxTM3000、VistamaxxTM3020FL、VistamaxxTM3980FL(以上、エクソンモービルケミカル製 商品名)などが挙げられる。なかでも、VistamaxxTM6100、VistamaxxTM6102、VistamaxxTM6200、VistamaxxTM6202、VistamaxxTM3000が好ましく使用される。これらの市販品の物性を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
また、(a-2)成分の直鎖状低密度ポリエチレンは、特に限定されるものではないが、柔軟性および引張強さなどの機械的特性をバランスさせる観点から、密度(JIS K 6748)が0.910〜0.930g/cmであるものが好ましい。
【0025】
本発明においては、(A)ポリオレフィンの上記2成分の配合組成を、(a-1)エチレン・プロピレン共重合体5〜75質量%、および(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜95質量%とする。(a-1)成分のエチレン・プロピレン共重合体の割合が5質量%未満では、加工性が不良となり、逆に75質量%を超えると機械的特性が低下する。(A)ポリオレフィンは、(a-1)エチレン・プロピレン共重合体45〜75質量%、および(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜55質量%からなることがより好ましい。
【0026】
内層用絶縁材料の(B)成分の水酸化マグネシウムは、主として難燃剤として作用する成分であり、市販品のなかから1種以上を任意に選択して使用することができる。この水酸化マグネシウムは、ステアリン酸などの高級脂肪酸や、ビニルシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤などによって表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理された水酸化マグネシウムを使用することにより、ポリマー成分と混練する際の分散性を高めることができる。(B)成分の水酸化マグネシウムとして好ましく使用される市販品を例示すると、例えば協和化学工業社製のキスマ5A、キスマ5L、キスマ5P(以上、商品名)などが挙げられる。
【0027】
この(B)成分の水酸化マグネシウムの配合量は、(A)成分の合計量100質量部に対して110〜270質量部、好ましくは140〜260質量部である。配合量が110質量部未満では、難燃性が不十分となり、逆に270質量部を超えると、機械的特性や耐傷性が低下するだけでなく、水酸化マグネシウムが表面へブルームするおそれがある。
【0028】
内層用絶縁材料には、以上の各成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、電線の絶縁被覆材料に一般に使用されている可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、銅害防止剤、紫外線吸収剤、熱老化防止剤、充填剤、補強剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、難燃助剤、着色剤、安定剤などの添加剤を配合することができる。
【0029】
例えば、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤をポリオレフィン100質量部に対し1〜3質量部配合することができる。銅害防止剤として、ヒドラジン誘導体をポリオレフィン100質量部に対し0.1〜5.0質量部配合することができる。滑剤として、脂肪酸誘導体をポリオレフィン100質量部に対し1〜5質量部配合することができる。難燃助剤として、シリコーンパウダーをポリオレフィン100質量部に対し1〜10質量部配合することができる。摺動剤として、シリコーン−アクリル複合ゴムをポリオレフィン100質量部に対し1〜10質量部配合することができる。
【0030】
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記水酸化マグネシウム以外の他のノンハロゲン系難燃剤を配合することができる。そのようなノンハロゲン系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、グアニジン系、メラミン系などの窒素系難燃剤、リン酸アンモニウム、赤燐などのリン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛などのホウ酸化合物、炭酸カルシウムなどが例示される。
【0031】
内層用絶縁材料は、以上の各成分をバンバリーミキサ、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングロールなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより調製される。
【0032】
外層12Bを構成する外層用絶縁材料は、スチレン系熱可塑性エラストマを含む組成物である。スチレン系熱可塑性エラストマとしては、ポリブタジエンをソフトセグメントとするスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、ポリイソプレンをソフトセグメントとするスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、これらの共重合体のポリブタジエンブロックおよびポリイソプレンブロックをそれぞれ水素添加して得られる水添型共重合体(SEBSおよびSEPS)、以上の共重合体および水添型共重合体をそれぞれ無水マレイン酸などの酸で変性した酸変性共重合体および酸変性水添型共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、水添型共重合体の使用が、分子内に不飽和結合を持たず、耐熱性、耐候性などに優れることから好ましい。また、押出加工性と機械的特性のバランスの観点から、このスチレン系熱可塑性エラストマは、メルトフローレート(JIS K 7210;230℃、荷重2.16kg)が0.5〜5.0g/10分であることが好ましい。
【0033】
スチレン系熱可塑性エラストマとして好ましく使用される市販品を例示すると、例えば、クラレプラスチックス(株)製のセプトンKC626B、セプトンKC626C(以上、商品名)などが挙げられる。これらの市販品の物性を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
この外層用の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、スチレン系熱可塑性エラストマに通常配合される添加剤を配合してもよい。また、スチレン系熱可塑性エラストマ以外のポリマー、例えば、ポリエチレンや、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体なども、本発明の効果を阻害しない範囲であれば配合してもよい。しかしながら、本発明の目的のためには、組成物は、ポリマー成分として、スチレン系熱可塑性エラストマのみを含有するものであることが好ましい。
【0036】
内層12Aおよび外層12Bは、上記内層用絶縁材料および外層用絶縁材料を導体11上に同時に押出被覆することにより、あるいは、まず内層用絶縁材料を導体11上に押出被覆し、次いで、その上に外層用絶縁材料を押出被覆することにより形成される。内層12Aと外層12Bとの密着性、生産効率、低コスト化等の観点からは、2層同時押出により形成することが好ましい。外層12Bの厚さは、通常は0.03〜0.20mmであり、好ましくは0.04〜0.20mmの範囲である。外層12Bの厚さが0.03mm未満では、均一な厚さの層形成が困難になるうえ、十分な耐傷性が得られないおそれがある。また、外層12Bの厚さが0.20mmを超えると、耐屈曲性が低下する。
【0037】
このように構成される絶縁電線においては、絶縁体12が上記したような特定のエチレン・プロピレン共重合体と、直鎖状低密度ポリエチレンと、水酸化マグネシウムとを含有する絶縁材料からなる内層12Aと、スチレン系熱可塑性エラストマを含有する絶縁材料からなる外層12Bにより構成されているので、ハロゲンフリーの優れた難燃性を有するとともに、優れた機械的特性および耐傷性を備えることができる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例および比較例で用いた成分は以下の通りである。
【0039】
エチレン・プロピレン共重合体:
エクソンモービルケミカル製 商品名 VistamaxxTM6102
直鎖状低密度ポリエチレン:
(株)プライムポリマー製 商品名 モアテック0138N
水添型スチレン系熱可塑性エラストマ(1):
クラレプラスチックス(株)製 商品名 セプトンKC−626C
水添型スチレン系熱可塑性エラストマ(2):
クラレプラスチックス(株)製 商品名 セプトンKC−626B
水酸化マグネシウム:
協和化学工業(株)製 商品名 キスマ5P
【0040】
(実施例1)
エチレン・プロピレン共重合体6質量部、直鎖状低密度ポリエチレン94質量部および水酸化マグネシウム120質量部を加圧ニーダを用いて均一に混練して内層用絶縁材料を調製した。
【0041】
次いで、直径0.4mmのすずめっき軟銅線からなる単線導体上に、上記内層用絶縁材料と、外層用絶縁材料の水添型スチレン系熱可塑性エラストマ(1)とをこの順で2層同時押出により被覆して、厚さ約0.35mmの内層および厚さ約0.05mmの外層からなる絶縁体を形成し、外径約1.2mmの絶縁電線を製造した。
【0042】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
内層用絶縁材料および/または外層用絶縁材料と、内層および外層の各層厚とを表3に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
【0043】
上記各実施例および各比較例で得られた絶縁電線について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[引張強さおよび引張伸び]
絶縁電線から内部の導体を引き抜いて作成した長さ約15cmの管状試験片について、JIS C 3005に基づく引張試験(引張速度200mm/分、標点距離50mm)を行い、測定した。
[難燃性]
UL1581に規定されるVW−1垂直燃焼試験を行い、判定した。
【0044】
[耐摩耗性]
JASO((社)自動車技術会規格)D608に規定されるブレード法による摩耗試験(ブレード先端部のR=0.7mm、荷重=500g、ブレード移動長=10mm、速さ=60サイクル/分(但し、1往復を1サイクルとする))を行い、ブレードと電線試料の導体が接触し導通を生ずるまでの回数を測定した。
【0045】
これらの結果を、被覆(絶縁体)の構成とともに表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
表3から明らかなように、実施例1〜7はいずれも引張強さ、引張伸び、垂直燃焼試験および耐摩耗性において良好な結果が得られた。また、内層を構成するポリオレフィンのエチレン・プロピレン共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンの割合をそれぞれ45〜75質量%および25〜55質量%とすることにより、引張強さおよび引張伸びにおいてさらに良好な結果が得られた(実施例4〜6)。さらに、水酸化マグネシウムの含有量をポリオレフィン成分100質量部に対して140〜260質量部とすることにより、耐摩耗性において極めて良好な結果が得られた(実施例5)。
【符号の説明】
【0048】
11…導体、12…絶縁体、12A…(絶縁体の)内層、12B…(絶縁体の)外層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体外周に内層および外層からなる2層構造の被覆を備え、
前記内層が、(A)(a-1)エチレン単位8〜16質量%およびプロピレン単位84〜92質量%を含むエチレン・プロピレン共重合体5〜75質量%、並びに(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜95質量%からなるポリオレフィン100質量部に対して、(B)水酸化マグネシウム110〜270質量部を含有する絶縁材料からなり、かつ
前記外層が、スチレン系熱可塑性エラストマを含む絶縁材料からなる
ことを特徴とする絶縁電線。
【請求項2】
前記(A)ポリオレフィンが、前記(a-1)エチレン・プロピレン共重合体45〜75質量%および前記(a-2)直鎖状低密度ポリエチレン25〜55質量%からなることを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記内層絶縁材料は、前記(A)ポリオレフィン100質量部に対して、前記(B)水酸化マグネシウムを140〜260質量部を含有することを特徴とする請求項1または2記載の絶縁電線。
【請求項4】
前記(a-1)エチレン・プロピレン共重合体は、アイソタクチックポリプロピレン部分を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の絶縁電線。
【請求項5】
前記外層用絶縁材料のスチレン系熱可塑性エラストマは、メルトフローレート(JIS K 7210;230℃、荷重2.16kg)が0.5〜5.0g/10分の水添型スチレン系熱可塑性エラストマであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の絶縁電線。
【請求項6】
前記外層の厚さが0.03〜0.20mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の絶縁電線。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−113828(P2012−113828A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259190(P2010−259190)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】