説明

継手、および、継手へのパイプの挿入固定方法

【課題】樹脂製パイプを挿入し、挿入確認が目視で容易に確実に行え、装着状態が良くない場合も容易に解除機能を備えている継手および継手へのパイプの挿入固定方法を提供する。
【解決手段】端面部を有する本体部と、本体部に接続されるナットと、逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備え、本体部、抜け止め部材、固定リングおよびナットが組み合わされたナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、本体側の端面部とパイプの端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタと、
ヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、頭部の外径が樹脂製パイプよりも大きく、脚部の外径が樹脂製パイプの内径と概ね同一で、頭部と脚部が一体的なインコアとを備えた継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水給湯システムにおける分岐部に設けられるヘッダーに取り付けされる継手、および、継手へのパイプ挿入固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水給湯システムにおいては、分岐部に給水用・給湯用のヘッダーが設けられ、ヘッダーから一括分岐される。ヘッダーには、継手が取り付けられて、樹脂製のパイプがヘッダーと接続される。継手には一体型、分離型があり、一体型を使用すると、継手にパイプを挿入した場合に、パイプが正常に挿入されたか否かの確認は、目視と音によって行われる。従って、継手にパイプが正常に挿入されたことを確認するのが困難である。更に、一体型によると、パイプの挿入が正常でない場合に、改めて正常に挿入しようとすると、挿入されたパイプは抜け止めリング、圧縮リング等によって固定されており、この固定を解除する機構が無い。
【0003】
従来使用されている分離型の継手1つの例を説明する。図7は、従来の継手を説明する一部切り欠き部を備えた側面図である。
【0004】
継手100は、先端部103が(図示しない)ヘッダーに接続されるアダプタ101と、一方の端部から中央部の表面部107を覆うように樹脂製パイプ110が接続され、他方の端部(即ち、先端部)109がアダプタ101内に挿入されるインコア102からなっている。アタプタ101のインコア102の先端部109が挿入される部分の内部に、挿入されたインコア102を固定するグリップリング104が設けられている。
【0005】
インコア102の表面部107は、上述したように樹脂製パイプ内に挿入される。その際、パイプの先端面が突起部108の垂直面によって停止するまでインコア102の一方の端部がパイプ内に挿入される。このように一方の端部から中央部にかけて表面部を覆うように樹脂パイプの内側に挿入された状態で、インコア102がアダプタ101の内側に挿入され、グリップリングによって樹脂製パイプがアダプタ内に固定される。
【0006】
アダプタ101の先端部103は、ヘッダーの形状に対応した形状からなっており、アダプタの先端部が対応するヘッダーの中に挿入されて、例えばファスナによってその状態で固定される。樹脂製パイプ内に一部が挿入されたインコアをアダプタに挿入した際に、挿入が十分でない場合には、特殊な治具を用いてグリップリングを拡げることによって、インコアを固定する固定機能が解除され、改めて樹脂製パイプのインコアへの装着およびインコアのアダプタ内への挿入が行われる。
【0007】
従来の継手の場合には、上手く装着できなかった場合の解除機構は備えているが、パイプ110およびインコア102のアダプタ101への装着状況の確認は目で視認される。図8に継手の状態を示す。図8(b)に示す状態が正常な状態である。即ち、樹脂製パイプ110を通してOリング106が1本確認できる状態である。これに対して、図8(a)に示す状態は、樹脂製パイプ110を通してOリング105、106が2本確認できる状態であり、挿入不足であることを示す。図8(c)に示す状態は、樹脂製パイプ110を通してOリングが確認できない状態であり、インコア102の大部分を樹脂製パイプ110が覆った状態で、インコアの機能が発揮できていないことを示す。
【特許文献1】特開2004−183761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、一体型では、継手にパイプを挿入した場合に、パイプが正常に挿入されたか否かの確認は、目視と音によって行われる。従って、継手にパイプが正常に挿入されたことを確認するのが困難である。更に、一体型によると、パイプの挿入が正常でない場合に、改めて正常に挿入しようとすると、挿入されたパイプは抜け止めリング、圧縮リング等によって固定されており、この固定を解除する機構が無い。
【0009】
分離型では、暗いところで作業をする場合に視認が難しく、熟練者によって確認する必要があり、簡単に確実に挿入状況を確認することが難しい。
【0010】
従って、この発明の目的は、従来の問題点を解決して、ワンタッチで樹脂製パイプを挿入し、挿入確認が目視で容易に且つ確実に行え、装着状態が良くない場合にも容易に解除機能を備えている継手および継手へのパイプの挿入固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下のことが判明した。即ち、逆方向への進行を妨げる抜け止め部材を備えた継手用アダプタの一方の端部から、他方の端部まで樹脂製パイプを挿入し、他方の端部の平らな面と、パイプの先端面が概ね同一面にある状態でパイプが固定されるようにすると、パイプが所望の位置まで挿入された状態が確実に目で確認することができる。次いで、このように継手用アダプタの他方の端部の平らな面と、パイプの先端面が概ね同一面にある状態で固定されたパイプに、継手用アダプタの他方の端部の側(ヘッダー側)から、インコアを挿入することによって、パイプが所望の状態で装着された継手を、ワンタッチで確実に形成することができることが判明した。
【0012】
更に、上述したように、継手用アダプタの他方の端部の平らな面と、パイプの先端面が概ね同一面にならない場合、または、同一面になった状態でインコアを挿入時に不具合が生じた場合には、パイプをインコア側に更に押し出すことによって解除することができるので、解除機能を容易に持たせることができることが判明した。
【0013】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の継手用アダプタの第1の態様は、それぞれ中央に対応する貫通孔部を備えた、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部に接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタであって、
前記本体部、抜け止め部材および前記ナットが組み合わされて形成された前記アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、ワンタッチで、前記本体側の前記端面部と挿入された前記パイプの先端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタである。
【0014】
この発明の継手用アダプタの第2の態様は、前記抜け止め部材を固定する固定リングを更に備え、
前記本体部は、一方の端部に前記平らな端面部を、そして、他方の端部に前記ナットとの接続部をそれぞれ備え、内部に前記抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部を有し、
前記ナットは、一方の端部に前記本体部の前記接続部に対応する接続部を、そして、他方の端部に前記樹脂製パイプが挿入される前記端部をそれぞれ備え、内部に前記固定リングを収容する固定リング収容部を有していることを特徴とする継手用アダプタである。
【0015】
この発明の継手用アダプタの第3の態様は、前記本体部の接続部は外表面に形成されたネジ山からなっており、前記ナットの接続部は内表面に形成された対応するネジ溝からなっており、前記ネジ山と前記ネジ溝が噛み合わされて接続され、前記抜け止め部材収容部および前記固定リング収容部はそれぞれ円錐台形からなっており、本体部とナットの境界部に向かって内径が拡大し、前記本体部と前記ナットの概ね境界部に前記抜け止め部材および前記固定リングが配置されていることを特徴とする継手用アダプタである。
【0016】
この発明のインコアの第1の態様は、分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、前記頭部および前記脚部はそれぞれ中央に貫通孔を有し、
前記頭部の外径が前記樹脂製パイプの外径よりも大きく、前記脚部の外径が前記樹脂製パイプの内径と概ね同一で、前記頭部と前記脚部が一体的に形成されたインコアである。
【0017】
この発明のインコアの第2の態様は、前記頭部に少なくとも1つのOリングを有して、前記ヘッダとの間の止水機能を備え、前記脚部に少なくとも1つの別のOリングを有して、前記樹脂製パイプとの間の止水機能を備えているインコアである。
【0018】
この発明の継手の第1の態様は、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部に接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記抜け止め部材を固定する固定リングとを備え、前記本体部、前記抜け止め部材、前記固定リングおよび前記ナットが組み合わされて形成された前記ナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、前記本体側の前記端面部と前記パイプの端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタと、
分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、前記継手用アダプタに挿入され概ね同一面で固定された前記樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、前記頭部の外径が前記樹脂製パイプの外径よりも大きく、前記脚部の外径が前記樹脂製パイプの内径と概ね同一で、前記頭部と前記脚部が一体的に形成されたインコアとを備えた継手である。
【0019】
この発明の継手の第2の態様は、前記本体部は、一方の端部に前記平らな端面部を、そして、他方の端部に前記ナットとの接続部をそれぞれ備え、内部に前記抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部を有し、
前記ナットは、一方の端部に前記本体部の前記接続部に対応する接続部を、そして、他方の端部に前記樹脂製パイプが挿入される前記端部をそれぞれ備え、内部に前記固定リングを収容する固定リング収容部を有していることを特徴とする継手である。
【0020】
この発明の継手の第3の態様は、前記頭部に少なくとも1つのOリングを有して、前記ヘッダとの間の止水機能を備え、前記脚部に少なくとも1つの別のOリングを有して、前記樹脂製パイプとの間の止水機能を備えている継手である。
【0021】
この発明の継手の第4の態様は、前記本体部の接続部は外表面に形成されたネジ山からなっており、前記ナットの接続部は内表面に形成された対応するネジ溝からなっており、前記ネジ山と前記ネジ溝が噛み合わされて接続され、前記抜け止め部材収容部および前記固定リング収容部はそれぞれ円錐台形からなっており、本体部とナットの境界部に向かって内径が拡大し、前記本体部と前記ナットの概ね境界部に前記抜け止め部材および前記固定リングが配置されていることを特徴とする継手である。
【0022】
この発明の継手へのパイプの挿入固定方法の第1の態様は、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部と接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備えた継手用アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプを、その先端面が前記本体側の前記端面部と概ね同一面になるように、不可逆的に挿入し、
分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、前記継手用アダプタに挿入された前記樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを一体的に備えたインコアを、前記本体側の前記端面部と概ね同一面で固定された前記パイプの端面部から、前記脚部の全体が前記パイプ内に位置するように挿入する、継手へのパイプの挿入固定方法である。
【0023】
この発明の継手へのパイプの挿入固定方法の第2の態様は、前記抜け止め部材の前記歯部が前記アダプタの前記平らな端面側に突き出て、前記樹脂製パイプが挿入方向と逆方向へ進行するのを阻止し、
前記本体側の前記端部と概ね同一面になるように挿入され、固定された前記樹脂製パイプの先端面が視認できることを特徴とする、継手へのパイプの挿入固定方法である。
【0024】
継手用アダプタからの樹脂製パイプの解除方法の第1の態様は、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部と接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプを、その先端面が前記本体側の前記端面部と概ね同一面になるように、不可逆的に挿入、固定し、
前記継手用アダプタに不可逆的に挿入、固定された前記樹脂製パイプを、前記挿入方向に更に押し進め、
前記樹脂製パイプの前記ナット側の端部近傍において切断し、
前記樹脂製パイプを前記継手用アダプタから取り外す、
継手用アダプタからの樹脂製パイプの解除方法である。
【発明の効果】
【0025】
この発明の継手用アダプタによると、逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材を備えており、ナット側から樹脂製パイプを垂直方向に、先端面が平らな板に接するまで挿入すると、樹脂製パイプの先端面と平らな端面部が概ね同一平面になる状態で、樹脂製パイプが継手アダプタに、ワンタッチで容易に位置決めされ固定される。このように樹脂製パイプが所望の位置に固定されていることを目で容易に確認できる。
【0026】
この発明のインコアによると、分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備えているので、ワンタッチでアダプタおよび継手用アダプタに止水可能に装着することができる。
【0027】
この発明の継手によると、樹脂製パイプが継手アダプタに、ワンタッチで容易に位置決めされ固定され、樹脂製パイプが所望の位置に固定されていることを目で容易に確認でき、更に、ワンタッチでインコアを継手アダプタに固定された樹脂製パイプに装着することができ、分岐部に設けられるヘッダにワンタッチで止水機能を備えて装着することができる。
【0028】
この発明の継手へのパイプの挿入固定方法によると、樹脂製パイプが継手アダプタに、ワンタッチで容易に位置決めされ固定され、樹脂製パイプが所望の位置に固定されていることを目で容易に確認できる。
【0029】
更にこの発明の継手用アダプタからの樹脂製パイプの解除方法によると、樹脂製パイプを挿入方向に更に押し進めるだけで、樹脂製パイプを継手用アダプタから容易に解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の継手、および、継手へのパイプの挿入固定方法の態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
この発明の継手用アダプタの1つの態様は、それぞれ中央に対応する貫通孔部を備えた、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部に接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタであって、
前記本体部、抜け止め部材および前記ナットが組み合わされて形成された前記アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、ワンタッチで、前記本体側の前記端面部と挿入された前記パイプの先端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタである。
【0032】
図1は継手用アダプタを説明する図である。図1に示すように、継手用アダプタは、平らな端面部を有する本体部と、本体部に接続されるナットと、本体部とナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備えている。
【0033】
図1(a)はナットの斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(a)に示すように、ナット11は、樹脂製パイプが挿入される側の端部12と、後述する本体部の接続部に対応する接続部13を備え、内部に固定リングを収容する固定リング収容部20を備えている。樹脂製パイプが挿入される側の端部12には樹脂製パイプの断面外形と概ね同じ大きさの孔部が備えられている。ナット11の接続部13は内表面に沿って形成されたネジ溝からなっている。
【0034】
図1(b)は固定リングの斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(b)に示すように、固定リング14は、後述する抜け止め部材と接触する後端部15と、ナットの固定リング収容部に接触する前端部16とからなっている。何れも、抜け止め部材およびナットの固定リング収容部と組み合わされる形状を有している。例えば、後端部15は、抜け止め部材に挿入される部分と、抜け止め部材の端面と対応する端面を備えている。前端部はナットの固定リング収容部と対応する傾斜面を有している。
【0035】
図1(c)は抜け止め部材の斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(c)に示すように、抜け止め部材17は、挿入された樹脂パイプが逆方向への進行を阻止する歯部19を有している。好ましくは、抜け止め部材17は、挿入された樹脂製パイプが後戻りしないように、金属製の歯部19を備えている。抜け止め部材17は、薄板を加工して形成され、後述する本体部の抜け止め部材収容部に収容され、固定されるように垂直面18と、パイプの進行方向に先細り状に突き出した中空の概ね円錐台形状の歯部19とを備えている。
【0036】
図1(d)は、本体部の斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(d)に示すように、本体部31は、後述するように挿入されたパイプの先端面と同一面になる平らな端面部32と、ナット側の端部にナットとの接続部33をそれぞれ備え、内部に上述した抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部34を有している。接続部33は上述したナットの接続部13の内表面に沿って形成されたネジ溝と対応するネジ山を備えている。抜け止め部材収容部34は、樹脂パイプが逆方向への進行を阻止する機能を備えて抜け止め部材の歯部が収容されるように、ナット側に向かって末広がりに広がっている。更に、本体部が後述するヘッダとの間を固定するファスナが取り付けられる凹部35を備えていてもよい。本体部の平らな端面部32には、概ね樹脂製パイプの断面形状と概ね同じ大きさの孔部が備えられている。なお、接続部はネジ山、ネジ溝に限定されることはなく、密接に接続することができれる部材を適宜使用することができる。
【0037】
更に、固定リング14は必ずしも必要でなく、抜け止め部材17のみを使用してもよい。固定リングに代わって、抜け止め部材を保護するためにリング状の部材を使用してもよい。
【0038】
図1(a)から図1(d)に示したナット、固定リング、抜け止め部材、および、本体部は図に示した順に組み立てられる。抜け止め部材が無い状態では、樹脂製パイプは組み立てられたナット、本体部の孔部を所望の抵抗を伴って前進後退できる。長軸方向に沿った断面においては、固定リング収容部および抜け止め部材収容部は、境界線からそれぞれ先細り状の概ね台形状部分からなっている。
【0039】
次に、この発明のインコアの1つの態様を説明する。この発明のインコアの1つの態様は、分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、頭部および脚部はそれぞれ中央に貫通孔を有し、
頭部の外径が樹脂製パイプの外径よりも大きく、脚部の外径が樹脂製パイプの内径と概ね同一で、頭部と脚部が一体的に形成されたインコアである。
【0040】
図2は、インコアの1つの態様を示す斜視図である。図2に示すように、インコア41は、後述する分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部42と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部43とを備えている。頭部42および脚部43はそれぞれ中央に貫通孔を有している。頭部42の外径が樹脂製パイプの外径よりも大きく、脚部43の外径が樹脂製パイプの内径と概ね同一で、頭部42と脚部43が一体的に形成されている。更に、頭部42に少なくとも1つのOリング44を有して、上述したヘッダとの間の止水機能を備え、脚部43に少なくとも1つの別のOリング45を有して、樹脂製パイプとの間の止水機能を備えている。
【0041】
図3は、継手用アダプタに樹脂製パイプが挿入され、本体部31の平らな端面部32と樹脂製パイプの先端部が概ね同一面になるように固定された状況を説明する図である。この状態は、組み立てられた継手用アダプタに樹脂製パイプが挿入され、樹脂製パイプの先端面が本体部の平らな端面部が概ね同一面に位置している。
【0042】
即ち、図1を参照して説明したようにナット11、本体部31の間に固定リング、抜け止め部材が配置された状態で組み立てられた継手用アダプタ2を、本体部31の平らな端面部32が下になりナットが上になるように平らな板の上に垂直に載置し、ナット側から樹脂製パイプ3を垂直方向に、先端面が平らな板に接するまで挿入すると、樹脂製パイプ3の先端面と平らな端面部32が概ね同一平面になる状態で、樹脂製パイプ3が継手アダプタ2に、ワンタッチで容易に位置決めされ固定される。このように樹脂製パイプが所望の位置に固定されていることを目で容易に確認できる。
【0043】
なお、樹脂製パイプ3は、上述したように抜け止め部材によって逆戻りができないように固定されているので、樹脂製パイプ3がナット11側にずれて移動することは無い。なお、固定リング、抜け止め部材、固定リング収容部、および、抜け止め部材収容部の形状によって、固定された樹脂製パイプが長軸方向に微小移動するように若干の遊びを有していても良い。
【0044】
次に、この発明の継手について説明する。この発明の継手の1つの態様は、平らな端面部を有する本体部と、本体部に接続されるナットと、本体部とナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備え、本体部、抜け止め部材、固定リングおよびナットが組み合わされて形成されたナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、本体側の端面部とパイプの端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタと、分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入され概ね同一面で固定された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、頭部の外径が樹脂製パイプの外径よりも大きく、脚部の外径が樹脂製パイプの内径と概ね同一で、頭部と脚部が一体的に形成されたインコアとを備えた継手である。
【0045】
図4は、継手を説明する図である。即ち、継手用アダプタに、逆方向への進行を阻止された状態で固定された樹脂製パイプの中にインコアを挿入した状態をしめしている。図4に示すように、図3を参照して説明したように樹脂製パイプ3が継手アダプタ2に、ワンタッチで容易に位置決めされ固定された状態で、樹脂製パイプ3の先端部からインコア41の脚部43を挿入している。継手アダプタ2に位置決め固定された樹脂製パイプ3はナット11側に移動しないので、インコア41の脚部43を樹脂製パイプ3に挿入しても、図3で示した継手用アダプタ2と樹脂製パイプ3の相互の関係が崩れることは無い。従って、インコア41の頭部42の脚部43側の端面が本体部31の平らな端面部32と密着して固定される。この状態では、インコア41の脚部43の表面に取り付けられOリング45が樹脂製パイプ3の内表面との間で、止水機能を果たしているので、パイプ3内を通る水がインコア41との接続部から漏れることは無い。
【0046】
後述するようにインコア41の頭部42に設けられたOリング44が、同様に、ヘッダとの間の止水機能を果たす。
【0047】
図5は、図4を参照して説明した、樹脂製パイプが所望の位置に固定されたこの発明の継手がヘッダに接続される状況を説明する図である。図5に示すように、図4を参照して説明した、樹脂製パイプが所望の位置に固定されたこの発明の継手1が分岐部に設けられたヘッダ50に取り付けられている。継手1のインコア41の頭部42がヘッダ50の中に挿入されて、インコア41の頭部42に設けられたOリング44が、ヘッダ50との間の止水機能を果たす。
【0048】
従って、インコアの頭部の形状を対応するヘッダの形状と適合させることによって、本発明の機能を損なうことなく、ワンタッチで容易に取り付けることができる。
【0049】
図6は解除状態を説明する図である。この発明の継手2では、ナット11側から樹脂製パイプ3を挿入して樹脂製パイプ3の先端面が本体部31の平らな端面部32と概ね同一面になった状態で、インコア41の脚部43を挿入した際に、操作ミス等によって、樹脂製パイプ3の先端面が本体部31の平らな端面部32よりも突き出た場合には、樹脂製パイプ3を所望の箇所で切断し、インコア41の脚部43が挿入された状態で、矢印の方向に樹脂製パイプ3を引き抜くことによって、解除機能が働く。その後は、継手用アダプタ2に樹脂製パイプ3を挿入する、上述したと同じ動作を繰り返せばよい。
【0050】
次に、この発明の継手へのパイプの挿入固定方法を説明する。この発明の継手へのパイプの挿入固定方法の1つの態様は、図2から図4を参照して説明したように、平らな端面部を有する本体部と、本体部と接続されるナットと、本体部とナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、抜け止め部材を固定する固定リングとを備えた継手用アダプタのナット側の端部から、樹脂製パイプを、その先端面が本体側の端面部と概ね同一面になるように、不可逆的に挿入し、分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを一体的に備えたインコアを、本体側の端面部と概ね同一面で固定されたパイプの端面部から、脚部の全体が前記パイプ内に位置するように挿入する、継手へのパイプの挿入固定方法である。
【0051】
即ち、図2から図4を参照して説明したように、ワンタッチで継手へのパイプの挿入固定ができる。即ち、抜け止め部材の歯部がアダプタの平らな端面側に突き出て、樹脂製パイプが挿入方向と逆方向へ進行するのを阻止し、本体側の端部と概ね同一面になるように挿入され、固定された樹脂製パイプの先端面が視認できる。この状態が確認できた後、樹脂製パイプの先端からインコアの脚部が挿入される。
【0052】
上述したように、この発明によると、ワンタッチで樹脂製パイプを挿入し、挿入確認が目視で容易に且つ確実に行え、装着状態が良くない場合にも容易に解除機能を備えている継手および継手へのパイプの挿入固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は継手用アダプタを説明する図である。図1(a)はナットの斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(b)は固定リングの斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(c)は抜け止め部材の斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。図1(d)は、本体部の斜視図(左側の図)および側面図(右側の図)である。
【図2】図2は、インコアの1つの態様を示す斜視図である。
【図3】図3は、継手用アダプタに樹脂製パイプが挿入され、本体部31の平らな端面部32と樹脂製パイプの先端部が概ね同一面になるように固定された状況を説明する図である。
【図4】図4は、継手を説明する図である。
【図5】図5は、図4を参照して説明した、樹脂製パイプが所望の位置に固定されたこの発明の継手がヘッダに接続される状況を説明する図である。
【図6】図6は解除状態を説明する図である。
【図7】図7は、従来の継手を説明する一部切り欠き部を備えた側面図である。
【図8】図8は、継手の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 継手
2 継手用アダプタ
3 樹脂製パイプ
11 ナット
12 樹脂製パイプが挿入される側の端部
13 接続部
14 固定リング
15 後端部
16 前端部
17 抜け止め部材
18 垂直面
19 歯部
31 本体部
32 平らな端面部
33 接続部
34 抜け止め部材収容部
35 凹部
41 インコア
42 頭部
43 脚部
44、45 Oリング44
50 ヘッダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな端面部を有する本体部と、前記本体部に接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材と、前記本体部、前記抜け止め部材および前記ナットが組み合わされて形成された前記ナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、前記本体側の前記端面部と前記パイプの端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタと、
分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、前記継手用アダプタに挿入され概ね同一面で固定された前記樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、前記頭部の外径が前記樹脂製パイプの外径よりも大きく、前記脚部の外径が前記樹脂製パイプの内径と概ね同一で、前記頭部と前記脚部が一体的に形成されたインコアとを備えた継手。
【請求項2】
前記本体部は、一方の端部に前記平らな端面部を、そして、他方の端部に前記ナットとの接続部をそれぞれ備え、内部に前記抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部を有し、
前記ナットは、一方の端部に前記本体部の前記接続部に対応する接続部を、そして、他方の端部に前記樹脂製パイプが挿入される前記端部をそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記本体部の接続部は外表面に形成されたネジ山からなっており、前記ナットの接続部は内表面に形成された対応するネジ溝からなっており、前記ネジ山と前記ネジ溝が噛み合わされて接続され、前記抜け止め部材収容部は円錐台形からなっており、本体部とナットの境界部に向かって内径が拡大し、前記本体部と前記ナットの概ね境界部に前記抜け止め部材が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記頭部に少なくとも1つのOリングを有して、前記ヘッダとの間の止水機能を備え、前記脚部に少なくとも1つの別のOリングを有して、前記樹脂製パイプとの間の止水機能を備えている、請求項3に記載の継手。
【請求項5】
それぞれ中央に対応する貫通孔部を備えた、平らな端面部を有する本体部と、前記本体部に接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタであって、
前記本体部、抜け止め部材および前記ナットが組み合わされて形成された前記アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプが不可逆的に挿入されて、前記本体側の前記端面部と挿入された前記パイプの先端面部とが概ね同一面で固定される継手用アダプタ。
【請求項6】
前記抜け止め部材を固定する固定リングを更に備え、
前記本体部は、一方の端部に前記平らな端面部を、そして、他方の端部に前記ナットとの接続部をそれぞれ備え、内部に前記抜け止め部材を収容する抜け止め部材収容部を有し、
前記ナットは、一方の端部に前記本体部の前記接続部に対応する接続部を、そして、他方の端部に前記樹脂製パイプが挿入される前記端部をそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項5に記載の継手用アダプタ。
【請求項7】
前記本体部の接続部は外表面に形成されたネジ山からなっており、前記ナットの接続部は内表面に形成された対応するネジ溝からなっており、前記ネジ山と前記ネジ溝が噛み合わされて接続され、前記抜け止め部材収容部は円錐台形からなっており、本体部とナットの境界部に向かって内径が拡大し、前記本体部と前記ナットの概ね境界部に前記抜け止め部材および前記固定リングが配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の継手用アダプタ。
【請求項8】
分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、継手用アダプタに挿入された樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを備え、前記頭部および前記脚部はそれぞれ中央に貫通孔を有し、
前記頭部の外径が前記樹脂製パイプの外径よりも大きく、前記脚部の外径が前記樹脂製パイプの内径と概ね同一で、前記頭部と前記脚部が一体的に形成されたインコア。
【請求項9】
前記頭部に少なくとも1つのOリングを有して、前記ヘッダとの間の止水機能を備え、前記脚部に少なくとも1つの別のOリングを有して、前記樹脂製パイプとの間の止水機能を備えている、請求項8に記載のインコア。
【請求項10】
平らな端面部を有する本体部と、前記本体部と接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプを、その先端面が前記本体側の前記端面部と概ね同一面になるように、不可逆的に挿入、固定し、
分岐部に用いられるヘッダに、止水可能に挿入される頭部と、前記継手用アダプタに挿入された前記樹脂製パイプに、止水可能に挿入される脚部とを一体的に備えたインコアを、前記本体側の前記端面部と概ね同一面で固定された前記パイプの端面部から、前記脚部の全体が前記パイプ内に位置するように挿入する、継手へのパイプの挿入固定方法。
【請求項11】
前記抜け止め部材の前記歯部が前記アダプタの前記平らな端面側に突き出て、前記樹脂製パイプが挿入方向と逆方向へ進行するのを阻止し、
前記本体側の前記端部と概ね同一面になるように挿入され、固定された前記樹脂製パイプの先端面が視認できることを特徴とする請求項10に記載の継手へのパイプの挿入固定方法。
【請求項12】
平らな端面部を有する本体部と、前記本体部と接続されるナットと、前記本体部と前記ナットとの間に配置されて逆方向への進行を阻止する歯部を有する抜け止め部材とを備えた継手用アダプタの前記ナット側の端部から、樹脂製パイプを、その先端面が前記本体側の前記端面部と概ね同一面になるように、不可逆的に挿入、固定し、
前記継手用アダプタに不可逆的に挿入、固定された前記樹脂製パイプを、前記挿入方向に更に押し進め、
前記樹脂製パイプの前記ナット側の端部近傍において切断し、
前記樹脂製パイプを前記継手用アダプタから取り外す、
継手用アダプタからの樹脂製パイプの解除方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−115164(P2009−115164A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287527(P2007−287527)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】