説明

継手の接続判別装置及び方法

【課題】継手の接続の適否を判別可能な接続判別装置を提供する。
【解決手段】移送部材で構成され、流体を移送する移送経路に用いられる継手2の接続側2b及び受け側2aの移送部材のそれぞれにはバーコードラベル11が取り付けられ、各バーコードラベル11を読取り装置にて読み取ることにより継手2の接続の適否が判別される流体移送システムに適用される接続判別装置1であって、継手2の緩みを検出する検出装置3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製又は樹脂製等の管、チューブ、ホース等の配管に使用する継手の接続の適否を判別する接続判別装置及び接続判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の移送経路は、金属製又は樹脂製等の管、チューブ、ホース等の各種配管が組み合わされて構成されている。これらの配管には継手が適宜設けられ、着脱することで移送経路の変更が可能である。継手の誤接続を防止するため、継手の受け側と接続側のそれぞれに識別コードを取り付けて接続の適否を判別する装置(特許文献1参照。)や、バーコードラベルを取り付けてリーダーで読み取る検知方法(特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−108934号公報
【特許文献2】特開平6−313500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適切に継手を接続しても、流体の移送に伴い継手が緩んでくることがある。継手の緩みを放置していると液体が噴き出たり、漏洩したりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は継手の接続の適否を判別可能な接続判別装置及び接続判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の継手の接続判別装置は、移送部材で構成され、流体を移送する移送経路に用いられる継手(2)の接続側(2b)及び受け側(2a)の移送部材のそれぞれにはバーコードラベル(11)が取り付けられ、各バーコードラベルを読取り装置にて読み取ることにより前記継手の接続の適否が判別される流体移送システムに適用される接続判別装置(1)であって、前記継手の緩みを検出する緩み検出手段(3)備えたことにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の継手の接続判別装置によれば、継手の接続時には、接続されるべき継手のそれぞれに設けられたバーコードラベルを読み取って接続が適切か否かが判別される。継手を適切に接続した後は緩み検出手段により接続が常時監視され、継手が緩むとそれが検出される。従って、誤接続を防止しつつ、継手接続後は使用による継手の緩みを検出することができる。よって、流体移送システム全体における適切な移送経路を管理することができる。
【0008】
本発明の接続判別装置の一形態において、前記緩み検出手段には、前記継手の受け側に固定されるストライカー(5c)と、前記ストライカーの移動を検知する検知手段(6)と、が設けられ、前記継手の接続時に前記ストライカーを前記検知手段に検知させつつ、前記バーコードラベルを読み取ることにより前記継手の接続の適否を判別してもよい。この形態によれば、継手の接続時には、検知手段にてストライカーを検知させつつ継手の受け側及び接続側のそれぞれに設けられたバーコードラベルを読み取って継手の接続が適切か否かを判別する。そして、継手が緩んだ際には、緩みに応じてストライカーが移動する。ストライカーの移動を検知手段が検知して継手の緩みを検出することができる。
【0009】
継手の受け側にストライカーが固定されている形態において、前記受け側には前記ストライカーを位置決め可能にガイドするガイドプレート(4)が固定され、前記ストライカーは前記ガイドプレートに対して固定可能であってもよい。この形態によれば、継手の受け側に固定されたガイドプレートがストライカーをガイドして適宜の位置で固定することができる。継手の接続側として複数の異なる継手を使用する場合に、付替えに応じて接続される受け側の継手が回転してもガイドプレートがストライカーを適宜の位置で固定することができるので検知手段の位置に合わせてストライカーを調整することができる。
【0010】
継手の受け側にストライカーが固定されている形態において、前記検知手段が近接センサ(6)であってもよい。この形態によれば、近接センサを使用することにより、継手の緩みに応じたストライカーの移動を確実に検知することができる。
【0011】
本発明の継手の接続判別方法は、移送部材で構成され、流体を移送する移送経路に用いられる継手(2)の受け側(2a)に固定されたストライカー(5c)を検知手段(6)に検知させつつ、前記継手の受け側及びその接続側(2b)の移送部材のそれぞれに取り付けられたバーコードラベル(11)を読み取って前記継手の接続の適否を判別する適否判別工程と、前記ストライカーの移動を検知することにより、前記継手の緩みを検出する緩み検出工程と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0012】
本発明の継手の接続判別方法によれば、継手の接続時には、検知手段にてストライカーを検知させつつ継手の受け側及び接続側のそれぞれに設けられたバーコードラベルを読み取って接続が適切か否かを判別する。継手を適切に接続した後は継手の接続が常時監視され、継手が緩むと検知手段からストライカーが離れて非検知状態となり、これにより継手の緩みが検出される。従って、誤接続を防止しつつ、継手接続後は使用による継手の緩みを検出することができる。よって、流体移送システム全体における適切な移送経路を管理することができる。
【0013】
本発明の接続判別方法の一形態において、前記継手の緩みを検出した場合に流体の移送を停止する停止工程をさらに備えてもよい。この形態によれば、継手の緩みを放置していると、流体が噴き出たり漏洩したりすることがあるため、継手の緩みの検出後に流体の移送を停止することで流体の噴出及び漏洩を未然に防ぐことができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の継手の接続判別装置及び方法においては、継手の接続時には、接続されるべき継手のそれぞれに設けられたバーコードラベルを読み取って接続が適切か否かが判別される。継手を適切に接続した後は緩み検出手段により接続が常時監視され、継手が緩むとそれが検出される。従って、誤接続を防止しつつ、継手接続後は使用による継手の緩みを検出することができる。よって、流体移送システム全体における適切な移送経路を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係る接続判別装置が適用された継手の側面図。
【図2】図1の上面図。
【図3】適否判別工程の流れを示すフローチャート。
【図4】接続判別装置が適用された継手の設置例を示す斜視図。
【図5】制御装置が実行する緩み検出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明の一形態に係る接続判別装置が適用された継手の側面図、図2にその上面図をそれぞれ示す。接続判別装置1は、継手2の緩みを検出する装置である。継手2は、流体の移送経路に用いられている。移送経路は、配管、ホース、タンク等の移送部材を組み合わせて構成され、適宜の箇所には継手2が設置されて移送経路の変更、切替が可能である。このような移送経路全体を指して流体移送システムという。
【0018】
接続判別装置1は、継手2の緩みを検出する緩み検出手段としての検出装置3を備えている。検出装置3は、継手2の受け側2aに固定されるガイドプレート4と、ガイドプレート4に対して固定される被検出部材5と、被検出部材5の移動を検知する検知手段としての近接センサ6とを備えている。継手2の受け側2aは、隔壁7に支持されている。隔壁7には、複数の継手2の受け側2aが支持され、移送経路の集中管理がされている。継手2の他方となる接続側2bはホース8に取り付けられ、継手2の受け側2aと接続側2bとを接続することにより、流体の移送経路が形成される。ガイドプレート4には、継手2に取り付けられるリング状の固定部4aと、固定部4aからその半径方向外側にせり出した扇形の板状のプレート部4bとが設けられている。ガイドプレート4は、金属で成形され、固定部4aが継手2の受け側2aと溶接されて固定される。プレート部4bには、固定部4aの周方向に沿ってガイド孔4cが設けられている。
【0019】
被検出部材5には、継手2の受け側2aに継手2の軸線AX方向の回りに回転可能に取り付けられるリング状の取付部5aと、取付部5aからその半径方向外側に突出する調整部5bと、取付部5aの調整部5bと対向する位置に設けられ、取付部5aの半径方向外側に突出するストライカー5cとが設けられている。被検出部材5の取付部5aは、ガイドプレート4の固定部4aと隣接して取り付けられる。調整部5bの先端部には、ガイドプレート4に対して位置決め調整可能な調整つまみ5dが設けられている。調整つまみ5dは、つまみ5eと、つまみ5eから延び、調整部5bを貫通するねじ5fと、ねじ5fに取り付けられるナット5g、5hとを有する。ねじ5fは、ガイドプレート4のガイド孔4cに挿入され、ナット5gを締めることによりガイドプレート4に固定される。ねじ5fの下端には、調整つまみ5dが調整部5b及びガイド孔4cから脱落することを防止するためナット5hが点付け溶接されている。従って、ガイド孔4cに沿って調整つまみ5dを移動でき、任意の場所でナット5gを閉めることでガイドプレート4に対して被検出部材5を固定することができる。ストライカー5cは金属製で、近接センサ6との間で所定間隔を保つように設けられる。近接センサ6は、ストライカー5cを検出可能な継手2に隣接した位置に隔壁7に固定されて設けられている。近接センサ6として各種公知の近接センサを用いることができる。
【0020】
隔壁7には、継手2の受け側2aであることを示すバーコードラベル11(図3)が取り付けられる。バーコードラベル11のバーコード情報には、継手2の個体識別情報等が含まれている。継手2の接続側2bのホース8にも図示しない同様のバーコードラベル11が取り付けられる。継手2の受け側2aであることを示す隔壁7のバーコードラベル11と接続側2bであることを示すホース8のバーコードラベル11とをそれぞれ図示しない読取り装置で読み取ることにより、接続した継手2の情報を管理し、継手2の誤接続を防止する。なお、バーコードラベル11は、継手2の受け側2a及び接続側2bを識別できるように取り付けられればよく、取付け位置は隔壁7やホース8に限られない。継手2の受け側2a又は接続側2bに付属する部品に取り付けてもよく、あるいは、札をぶら下げる要領でホース8等に取り付けてもよい。また、読取り装置は各種周知技術を利用してよい。
【0021】
接続判別装置1は、近接センサ6と接続される制御装置10を備えている。制御装置10は、マイクロプロセッシングユニットを備えたコンピュータユニットの一種として構成される。さらに、制御装置10は移送経路上に設けられた図示しないバルブと接続されている。制御装置10は、近接センサ6の出力信号に基づいて継手2の緩みを検知した場合に、緩みが生じた継手2の移送経路上のバルブを閉じる等して流体の移送を停止するように制御する。また、上述の読取り装置を制御装置10と接続してもよく、誤接続が生じたときに緩みが生じた場合と同様、バルブを閉じる等して流体の移送を停止するように制御装置10が制御してもよい。また、制御装置10をオペレータに異常を知らせる報知装置と接続して、緩みや誤接続が生じた場合にその旨の報知をさせるように制御させてもよい。
【0022】
接続判別装置1における継手2の接続の適否を判別する適否判別工程を説明する。図3に適否判別工程の流れを示すフローチャートを示す。適否判別工程は、まずステップS1で近接センサ6がストライカー5cを検知しているか否かを判別する。図4は接続判別装置1が適用された継手2の設置例を示す斜視図である。継手2を接続する際には、継手2の受け側2aと接続側2bとを正常に接続した状態でストライカー5cが近接センサ6により検知されるようにストライカー5cの位置を調整する。ストライカー5cの位置調整には、調整つまみ5dをガイドプレート4のガイド孔4cに沿って移動させ、適宜の位置で固定すればよい。次に、ステップS2で継手2の受け側2a及び接続側2bのバーコードラベル11を読取り装置にて読み取ることにより接続された継手2が誤接続か否かを判別する。接続された継手2の受け側2a及び接続側2bのそれぞれに取り付けられた各バーコードラベル11が合致し、適切に接続されていることを確認したら今回の工程を終了する。一方、誤接続が生じている場合にはその継手2を接続し直して適切な移送経路を構成して今回の工程を終了する。従って、近接センサ6でストライカー5cを検知することにより継手2の接続を確認しつつ、接続された継手2の受け側2a及び接続側2bにそれぞれ取り付けられたバーコードラベル11を読み取ることにより、構成されている移送経路が適切か否かを管理できる。
【0023】
次に、図5を参照して制御装置10が実行する継手2の緩みを検出する緩み検出処理を説明する。緩み検出処理は、適否判別工程後の適切に接続された継手2に対して実行される処理である。ステップS11にて制御装置10は、近接センサ6がストライカー5cを検出しているか否かを判別する。継続的な使用により継手2に緩みが生じると継手2の受け側2aが回転する。受け側2aの回転移動に伴ってストライカー5cも移動し、近接センサ6が非検知状態となる。これにより、継手2の緩みを検出することができる。ステップS11にて近接センサ6が検知状態である場合、制御装置10はステップS12へ進んで流体の移送を継続する。具体的には、移送経路上に設けられたバルブの状態を維持して現時点の送液状態を継続する。そして制御装置10は今回の処理を終了する。一方、ステップS11にて近接センサ6が非検知状態である場合、制御装置10はステップS13に進んで流体の移送を停止する。近接センサ6の非検知状態、つまり、検知信号がオフになったことに基づいて制御装置10は、移送経路上の適宜のバルブを閉じる等して流体の移送を停止するように制御する。あるいは、報知装置を動作させ、オペレータに異常を知らせるようにしてもよい。そして制御装置10は今回の処理を終了する。緩み検出処理によれば、継手2の緩みによる流体の噴出及び漏洩を防止することができる。また、オペレータが取り外すべきでない継手2を取り外した際にもその継手2の近接センサ6が非検知状態となるので、ステップS13の処理と同様、流体の移送を停止するように制御装置10に制御させてもよい。各継手2に検知装置3を設けることで移送経路全体を管理することができる。なお、ステップS11が緩み検出工程に、ステップS13が停止工程にそれぞれ相当する。
【0024】
本発明の接続判別装置1は、相対的に回転して結合するタイプの継手2に対して適用することができる。例えば、ワンタッチ継手(一例として櫻護謨株式会社製ツインスター(登録商標))やナットタイプの継手等に適用可能である。ナットタイプの継手であれば、ナットを継手の受け側にして、ナットにガイドプレート4を溶接等して固定し、隔壁7に設けられる近接センサ6にてストライカー5cを検知可能に構成すればよい。ガイドプレート4を設けることでストライカー5cの位置を調整可能としているが、これは、継手2の受け側2aが複数の異なる接続側2bの継手2を接続する場合に、使用につれストライカー5cの位置関係が変わってくるからである。この場合には、ガイドプレート4のガイド孔4cに沿って調整部5bを移動し適宜の位置で固定することでストライカー5cの位置を接続の都度調整することができる。継手2の受け側2aと接続側2bとが1対1の関係であれば、ストライカー5cの位置関係が変更されることもないので継手2の受け側2aに直接ストライカー5cを固定して設けるようにしてもよい。
【0025】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、近接センサ6を利用してストライカー5cを検知したがセンサの種類は限られない。例えば、ストライカー5cが金属製でない場合は、非金属検出タイプの近接センサを用いてもよい。その他、光電センサでストライカー5cの移動を検知するようにしてもよい。また、近接センサ6を隔壁7に設置したが、隔壁7がない場合には継手2の受け側2aの回転を検知できるように適宜の場所に固定された近接センサ6を設置すればよい。上述した継手2は、受け側2aに検出装置3が設けられているが、検出装置3は継手2のいずれか一方に設ければよい。継手2の緩む側に検出装置3を設けることで継手2の緩みを検出することができる。検出対象はストライカー5cに限られず、継手2の受け側2aに設けられたマーク等を適宜のセンサで検知するように構成してもよい。継手2の受け側2aの回転を検知するような構成であればよく、各種の周知技術を利用してよい。
【符号の説明】
【0026】
1 接続判別装置
2 継手
2a 継手の受け側
2b 継手の接続側
3 検出装置(緩み検出手段)
11 バーコードラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送部材で構成され、流体を移送する移送経路に用いられる継手の接続側及び受け側の移送部材のそれぞれにはバーコードラベルが取り付けられ、各バーコードラベルを読取り装置にて読み取ることにより前記継手の接続の適否が判別される流体移送システムに適用される接続判別装置であって、
前記継手の緩みを検出する緩み検出手段を備えた継手の接続判別装置。
【請求項2】
前記緩み検出手段には、前記継手の受け側に固定されるストライカーと、前記ストライカーの移動を検知する検知手段と、が設けられ、
前記継手の接続時に前記ストライカーを前記検知手段に検知させつつ、前記バーコードラベルを読み取ることにより前記継手の接続の適否を判別する請求項1に記載の接続判別装置。
【請求項3】
前記受け側には前記ストライカーを位置決め可能にガイドするガイドプレートが固定され、前記ストライカーは前記ガイドプレートに対して固定可能である請求項2に記載の接続判別装置。
【請求項4】
前記検知手段が近接センサである請求項2又は3に記載の接続判別装置。
【請求項5】
移送部材で構成され、流体を移送する移送経路に用いられる継手の受け側に固定されたストライカーを検知手段に検知させつつ、前記継手の受け側及びその接続側の移送部材のそれぞれに取り付けられたバーコードラベルを読み取って前記継手の接続の適否を判別する適否判別工程と、
前記ストライカーの移動を検知することにより、前記継手の緩みを検出する緩み検出工程と、を備えた継手の接続判別方法。
【請求項6】
前記継手の緩みを検出した場合に流体の移送を停止する停止工程をさらに備えた請求項5に記載の接続判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112065(P2011−112065A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266256(P2009−266256)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】