説明

継手構造

本発明は、管の一部を受け入れるスリーブ部と、このスリーブ部に少なくとも部分的に挿入され上記管周りをシールするために配置されたシール体とを備える管用継手構造であって、上記シール体が、実質的に閉じた輪体の部分を形成する複数の部材と、さらに、第一部分が管と部材との間に位置するとともに第二部分が部材とスリーブ部との間に位置するゴム輪とを有し、上記部材が、円周に亘って協働する舌部および溝部による接続構造を形成し、これら接続構造が、部材において上記スリーブ部に隣接するゴム輪の第二部分に面する側面に位置するものに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の一部を受け入れるスリーブ部と、上記スリーブ部に少なくとも部分的に挿入され上記管周りをシールするために配置されたシール体とを備える管用継手構造であって、上記シール体が、実質的に閉じた輪体の部分を形成する複数の部材と、少なくとも第一部分が管と部材との間に位置するとともに第二部分が部材とスリーブ部との間に位置するゴム輪とを有し、上記部材が、円周に亘って協働する舌部および溝部の接続部を構成し、これら接続部が、部材において上記スリーブ部に隣接するゴム輪の第二部分に面する側面に位置するものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような継手構造は、欧州特許出願公開第794378号明細書に開示されたような、本出願人の先行発明の一つと知られている。
その知られた継手構造は、実質的に閉じた輪体の部分を形成する複数の摺動規制部材を具備する。その知られた構造の好ましい実施の形態では、それぞれの部材が第一の側面に切欠きを有するとともに第一の側面の反対側にある第二の側面に突起部を有し、切欠きおよび突起部は、対応する規制部材の突起部や切欠きの相互作用にそれぞれ適している。
【0003】
欧州特許出願公開第794378号明細書によると、規制部材の輪体は、ゴム輪と協働して、管と部材との間にシール閉止を強固に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第794378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、欧州特許出願公開第794378号明細書で知られた継手構造をさらに改良し、シール体と管との間だけでなく、特にシール体とスリーブ部との間も気密シールするものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を満たす継手構造を提供するために、本発明に従って、一またはそれ以上の別記請求項の特徴を有する継手構造が提案される。
本発明の第一の点では、継手構造において、部材が、協働する舌部および溝部の接続部を構成し、接続部が、部材においてスリーブ部に隣接するゴム輪の第二部分に面する側面に位置し、舌部および溝部の接続部における舌部と溝部とが、接線方向においてこれら接続部の半径方向幅の少なくとも1.5倍の長さとなるように寸法決めされているという特徴を有する。
【0007】
溝部および舌部の接続部を通じて継手構造の隣り合う部材を連結した配置は、本発明に係る継手構造のシール領域について妥協することなく、管の広範囲に亘る湾曲変化や広範囲に亘る管径変化を許容する絶大な適応性を示す。
【0008】
舌部および溝部の接続部は、管の表面、例えば、管内の縦方向の代わりに管の円周に実質的に平行して突出している。さらに、上述した点は、それぞれの舌部が対応する溝部の底面に支持されるという好ましい特徴と結合して、全ての実用上の状況や管径変化に対応し、継手構造のスリーブ部に面する側面で部材が効果的なシールをし得る。
【0009】
気密シールを容易にするために、舌部および溝部の接続部が、複数で且つ互いに平行であることは、有利であるという面で特に注目される。これは、これら平行な舌部および溝部の接続部が、たとえ継手構造の中心に関して相互に異なる距離にあるにもかかわらず、継手構造の隣り合う部材により具備されることを意味する。
【0010】
特にシール体が継手構造のスリーブ部に作用して、効果的なシールを促進するために、舌部および溝部の接続部は、部材と、隣り合う部材とが、互いに可変の距離を取り得る位置を許容するように配置されたものであることが好ましい。また、そのような位置で、シール体の円周全体を覆う半径方向に見られるように、少なくとも一つの接触点が、スリーブ部に隣接するゴム輪の第二部分と、一若しくはそれ以上の部材またはその部分との間にあることが好ましい。これは、ゴム輪が継手構造のスリーブ部に対して効果的に円周をシールする配置である。
【0011】
隣り合う部材の舌部と溝部との協働のために、舌部および溝部の接続部がスナップイン係合であることが有益である。
以下、本発明に係る継手構造の実施例を示す図面を参照して、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る継手構造を示す分解図である。
【図2】第一の位置でシール体を形成する部材による輪体を示す断面図である。
【図3】第二の位置でシール体を形成する部材による輪体を示す断面図である。
【図4】図2および図3で示す輪体から分離させた部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
これらの図面のいずれにおいても、同一の構成部材は同一の符号により示される。
本発明に係る継手構造の分解図である図1に示すように、本発明は、管10をスリーブ部1に接続部するためのものである。この目的のために、管10は少なくともその一部を、スリーブ部1に受け入れられることができる。
【0014】
効果的なシールのために、継手構造はさらにシール体3,12を備え、シール体3,12はゴム輪12と輪体3とからなり、特に、輪体3はシールのために管10の周りに配置される。この時、この管10は少なくとも部分的にスリーブ部1に挿入される。
【0015】
シール体3,12は、本発明に従って、部材4の輪体3とスリーブ部1との間を気密シールしようとするものである。
特許文献1に従って、当該先行発明のシール体3は、実質的に閉じた輪体を形成する複数の部材4を有する。さらに、上述したように、シール体3,12は、継手構造に装着された状態において、少なくとも第一部分2が管10と部材4との間に位置するゴム輪12を有する。同様に、ゴム輪12の第二部分5が、継手構造に装着された状態において、部材4とスリーブ部1との間に位置する。
【0016】
当該先行発明に係る継手構造により、特に、継手構造が異なる直径の管10またはスリーブ部1への適用で、漏れが発生するという問題の解決方法が知られている。また、先行技術である特許文献1に従って、直径がどのように変化しても、一方の部分の管10と他方の部分のスリーブ部1との効果的な継手による効果的な解決方法の提案が知られている。そのような状態の解決方法は、上記特許文献1に開示されたように、十分に挿入されて合体されたものと考えられる。
【0017】
本発明では、部材4の輪体3とスリーブ部1との効果的な気密シールのために、協働する舌部6および溝部7の接続部を部材4が構成し、舌部6は第一の部材であるとともに溝部7は第二の部材であり、そうして、第一の部材と第二の部材とが隣り合う部材となることを示す。
【0018】
上記舌部6および溝部7の接続部は、継手構造に装着された状態において、使用中にスリーブ部1に隣接するゴム輪12の第二部分5に面する、上記部材4の側面8に位置する。これは、図1に示す継手構造の分解図により、全てが非常に明確である。
【0019】
図2および図3には、継手構造の他の部分から部材4の輪体3を分離して、協働する舌部6および溝部7の接続部の明確な図面を示す。舌部6および溝部7の接続部は、使用中にスリーブ部1に隣接するゴム輪12の第二部分に面する上記側面8に位置する。
【0020】
図2には、部材4が互いに比較的離れている第一の位置において、それぞれの部材4が正確に形成する輪体3を示す。このようにして、輪体3は、比較的大きな直径の管および/またはスリーブ部1に適用させるため、直径が増加するものである。
【0021】
他方、図3には、図2に示す輪体3と同数の部材4を有する輪体3を示す。唯一の違いは、一連の部材4が、部材4の共通する距離が最小限にまで減少している第二の位置にあることである。この状態で、輪体3は、この輪体3が本発明の継手構造に使用されるかもしれない最小の直径の管および/またはスリーブ部に適合する直径を有する。
【0022】
図2と比較して図3には、さらに、舌部6および溝部7の接続部が、部材4と隣り合う部材とが可変の距離を取り得る位置にあることを許容するようにして、配置されていることを示す。
【0023】
本発明に係る継手構造が、非常に多様な管形状や管寸法に適合するために、好ましくは、舌部および溝部の接続部における舌部6と溝部7とが、接線方向においてこれら接続部の半径方向幅の少なくとも1.5倍の長さとなるように寸法決めされている。舌部6に関連して、その接線方向の長さは、部材4の本体から突出する舌部の長さに相当する。溝部7に関連して、その接線方向の長さは、部材4の本体から開口する溝部の長さに相当する。舌部6または溝部7のいずれかの幅は、図2および図3に示すように線Aに沿って計測される。
【0024】
しかしながら、管形状または管寸法がいずれのものであっても、図2および図3に示すような位置では、それぞれシール体3,12を形成する輪体3の半径方向に見られるように、常に接触点がある(図1も参照)。そのような接触線の一つは、図2および3に示され、それぞれ、線Aで示される。線Aの半径方向に沿って、常に、一若しくはそれ以上の部材4またはその部分とゴム輪12との間に、少なくとも一つの接触点があり、そのようにして、継手構造における部材4の輪体3と継手構造のスリーブ部1との間を気密シールする。
【0025】
同様に、図2に示す線Bは、シール体3,12を形成する輪体3の他の半径方向を示す。舌部6および溝部7は、互いに完全には移動せず開口部を残し、図2には明確には示さないが、上記線Bには少なくとも一つの接触点および実際には多くの接触点が、輪体3の部材4の一またはそれ以上とゴム輪12との間にある。
【0026】
本発明をより明確に且つさらに説明するために、図4には、図1,2および3でそれぞれ示された部材の輪体3を形成する部材4を分離したものを、最終的に示す。
図4には、一方の側面に舌部6があるとともに他方の側面に溝部7がある部材4を明確に示す。上記舌部6および溝部7は、隣り合う部材4の溝部および舌部の協働に適する形状および寸法を有し、そのようにして、そのような部材4の輪体3が簡単に組み立てられるようになる。図4にはさらに、本発明に従って、溝部7に形成される底面9を示す。この底面9は、当該溝部7に受け入れられる対応の舌部6を支持する。溝部7のこの底面9は、舌部6がゴム輪12の全周囲に圧力を与え続けるのに、非常に効果的な手段である。そして、この底面9は、スリーブ部1に隣接するゴム輪12の第二部分5に面する部材4の側面8(図1〜3参照)をシールするのに効果的である。
【0027】
本発明に係る継手構造の部材の部分を形成する舌部および溝部の接続部の多くの変形例は、別記請求の範囲に示された本発明を逸脱しない範囲で、実現可能である。例えば、図示しないが、本発明に係る継手構造は、いくつかの舌部および溝部の接続構造が互いに平行なものとして具体化されているかもしれない。上記いくつかの舌部および溝部の接続構造は、隣り合う部材にそれぞれ形成されており、継手構造の中心に関して相互に異なる距離にある。したがって、請求の範囲は、例として明示された実施の形態に限定されるものではない。この例は、単に、請求の範囲に関する曖昧さを取り除き、請求の範囲を明確にするためだけのものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(10)の一部を受け入れるスリーブ部(1)と、このスリーブ部(1)に少なくとも部分的に挿入され上記管(10)周りをシールするために配置されたシール体(3,12)とを備える管(10)用継手構造であって、上記シール体(3,12)が、実質的に閉じた輪体の部分を形成する複数の部材(4)と、少なくとも第一部分(2)が管(10)と部材(4)との間に位置するとともに第二部分(5)が部材(4)とスリーブ部(1)との間に位置するゴム輪(12)とを有し、上記部材(4)が、円周に亘って協働する舌部(6)および溝部(7)の接続部を構成し、これら接続部が、部材(4)において上記スリーブ部(1)に隣接するゴム輪(12)の第二部分(5)に面する側面(8)に位置し、舌部および溝部の接続部における舌部(6)と溝部(7)とが、接線方向においてこれら接続部の半径方向幅の少なくとも1.5倍の長さとなるように寸法決めされたものであることを特徴とする継手構造。
【請求項2】
舌部(6)および溝部(7)の接続部は、隣り合う部材(4)が互いに可変の距離を取ることができる位置を許容するように配置されたものであり、シール体(3,12)の円周全体についての半径方向において、ゴム輪(12)の第二部分(5)と一つ若しくはそれ以上の部材(4)またはその部材(4)の部分との間に、少なくとも一つの接触点が存在することを特徴とする請求項1に記載の継手構造。
【請求項3】
それぞれの舌部(6)が対応する溝部(7)の底面(9)に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の継手構造。
【請求項4】
隣り合う部材(4)に形成された舌部(6)および溝部(7)の接続部が複数で且つ互いに平行であり、上記接続部が継手構造の中心に関して相互に異なる距離にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の継手構造。
【請求項5】
舌部(6)および溝部(7)の接続部がスナップイン係合であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522200(P2012−522200A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503346(P2012−503346)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050153
【国際公開番号】WO2010/114366
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511236992)
【Fターム(参考)】