説明

継手管

【課題】開閉弁の開放をスムーズに行うことの可能な継手管を提供する。
【解決手段】接続部材16において、第2流路16Bの第1流路14への開口端には、テーパー面取部46が形成されている。テーパー面取部46は、第1流路14に向かって、大径となるテーパー形状とされている。テーパー面取部46が形成されることにより、開閉弁26が第2流路16B側からの流体から押圧力を受ける面積(受圧面積A1)が第2流路16Bの断面積A0よりも大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が配管に接続される筒状部材と、この筒状部材の他端に接続される接続部材とを備えた継手管、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、継手管の一端がタンクに接続されると共に、継手管の他端が配管に接続され、タンク内の液体が継手管を通じて配管からサーバーへ送られる液送装置が知られている。
【0003】
この液送装置では、タンクの逆流を防ぐボールに代わり、継手管に開閉弁を取り付けている。配管を洗浄する際には、洗浄用スポンジを洗浄液と共に上流側から下流側へ配管内で移動させる。前述の開閉弁により、液体の逆流が防止されると共に、洗浄時におけるスポンジの逆流防止も行われ、洗浄工数が低減されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−142600号公報
【特許文献2】特開2010−112487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2に記載の継手管では、継手管内に流れる液体によっては、開閉弁がシール部分で固着して、開放しづらくなることがあった。例えば、液体がビールで、運転休止などで長期間管継手内を流れることがなかった場合、液体中の成分(エキス分)が乾燥し飴状(もしくはシュガーセメント)となって開閉弁を固着させてしまい、開放しづらくなってしまうことがあった。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、開閉弁の開放をスムーズに行うことの可能な継手管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る継手管は、一端が配管に接続され第1流路が構成された筒状部材と、第2流路が構成され、前記第1流路と前記第2流路とが連通するように前記筒状部材の他端に接続され、前記第2流路の前記第1流路側の径が前記第1流路の前記第2流路側の径よりも小径とされ、前記第1流路と前記第2流路との間に段差面を構成する接続部材と、前記接続部材と前記筒状部材の間に配置され、前記段差面に密着して前記第2流路を閉じる閉鎖位置と、前記段差面から前記第1流路側へ離間して前記第2流路を開放する開放位置との間を回動可能に設置された開閉弁と、前記接続部材の前記第1流路側に構成され、前記第2流路から前記第1流路へ向かう流体からの押圧力を受ける前記開閉弁の受圧面積を前記第2流路の断面積よりも広くする受圧面積拡大部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の発明では、筒状部材の一端に配管が接続されると共に、筒状部材の他端に接続部材が接続されている。そして、第1流路と第2流路とが連通されている。また、筒状部材と接続部材の間には開閉弁が設けられており、第1流路と第2流路との間が開閉可能とされている。開閉弁は、第1流路と第2流路との間に構成された段差面に密着して第2流路を閉鎖し、段差面から第1流路側へ回動すると共に段差面から離間して第2流路を開放する。開閉弁は、前記第2流路から前記第1流路へ向かう流体からの押圧力により、回動して第2流路を開放する。そこで、本発明では、第2流路から第1流路へ向かう流体からの押圧力を受ける開閉弁の受圧面積を、第2流路の断面積よりも広くする受圧面積拡大部を形成する。これにより、開閉弁に作用する流体押圧力が大きくなり、開閉弁の開放をスムーズに行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の継手管において、前記受圧面積拡大部が、前記接続部材における前記第2流路の前記第1流路への開口端に構成された面取部であること、を特徴とする。
【0010】
このように、接続部材の第2流路の第1流路への開口端に面取部を構成することにより、開口面積が広がり、開閉弁の受圧面積を広げることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の継手管において、前記受圧面積拡大部が、前記接続部材における前記第2流路の前記第1流路への開口端に構成された座繰部であること、を特徴とする。
【0012】
このように、接続部材の第2流路の第1流路への開口端に座繰部を構成することによっても、開口面積が広がり、開閉弁の受圧面積を広げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受圧面積拡大部を形成することにより、開閉弁の開放をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る継手管を示す断面図である。
【図2】図1に示す継手管に設けられる開閉部材を示す(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
【図3】図1に示す継手管の接続部にスポンジ部材をセットすると共に、洗浄タンクを接続した状態を示す断面図である。
【図4】接続部材と開閉部材との関係を示す説明図である。
【図5】図1に示す継手管において、スポンジ部材が継手管の筒状部内を移動する過程を示す断面図である。
【図6】図1に示す継手管の接続部材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1には、本発明の一実施形態である継手管10の断面図が示されている。この継手管10は、筒状部材12、及び、接続部材16を備えている。
【0017】
筒状部材12は筒状とされ、筒状部材12の内周側には、液体(例えば、ビールなど)が通過可能な第1流路14が形成されている。筒状部材12の内周側は、液体の導入方向上流側(図1中の下側)の大径部12Aと、その大径部12Aから液体の導入方向下流側に向かって径が徐々に縮小するテーパー部12Bと、そのテーパー部12Bより液体の導入方向下流側に連なる小径部12Cと、を備えている。すなわち、第1流路14は、大径部12Aとテーパー部12Bと小径部12Cとで構成されている。
【0018】
液体の導入方向下流側(図1中の上側)である筒状部材12の一端には、雄ネジ12Eが形成されており、継手18が接続されている。筒状部材12の一端は、継手18を介してホースなどの配管(図示省略)と接続されている。配管の下流側端部は、例えばビールなどを供給するためのサーバー(図示省略)に接続される。また、液体の導入方向上流側(図1中の下側)である筒状部材12の他端の内周部は、大径部12Aよりさらに大径であり、その内周部にねじ部12Dが形成されている。
【0019】
図3に示すように、継手18は、略L字状の筒状の継手本体40の一端に袋ナット42を備えている。この袋ナット42のネジ部42Aは、筒状部材12の他端に形成された雄ネジ12Eに螺合されている。袋ナット42の内壁には環状の係止部材44が配設されており、この係止部材44に継手本体40の突起部40Aが係止されている。また、継手本体40の突起部40Aの長手方向端面と筒状部材12の長手方向端面との間には、環状のシール部材46が配設されており、袋ナット42と継手本体40とがシールされている。
【0020】
接続部材16は、略筒状とされ、一端が筒状部材12の他端と接続されている。接続部材16の筒状部材12との接続側の外周部は、大径となっており、その外周部にねじ部12Dと螺合されるねじ部16Aが形成されている。そして、筒状部材12のねじ部12Dに接続部材16のねじ部16Aを螺合することにより、筒状部材12に接続部材16が取付けられている。
【0021】
接続部材16内には、第2流路16Bが構成されている。第2流路16Bは、接続部材16の筒状部材12側に開口しており、第1流路14の大径部12Aに対応する部分の径よりも小径とされている。筒状部材12と接続部材16とは、第1流路14と第2流路16Bとが連通されるように接続されている。接続部材16の一端側(筒状部材12側)には、段差面22が形成されている。接続部材16と筒状部材12の間には、第1流路14と第2流路16Bとの間を開閉可能な開閉部材20が配設されている。開閉部材20の取付け構造については後述する。
【0022】
接続部材16の筒状部材12との接続と逆側である他端には、筒内に開口部16Dが構成されている。開口部16Dは、第2流路16Bと連通され、第2流路16Bよりも大径とされている。開口部16Dと第2流路16Bとの間には、開口部16D側へ向かって大径となるテーパー部16Cが形成されている。開口部16Dに対応する壁面には、略U字状の開口36が形成されている。開口部16Dは、スポンジ部材30(図3参照)がセット可能な大きさに形成されている。
【0023】
スポンジ部材30は、略円柱状とされ、配管(図示省略)内を洗浄するためものである。スポンジ部材30(図3参照)の外径は、例えば、7.8mm〜8.5mmに設定されている。このスポンジ部材30としては、例えば、発泡性のポリウレタンが用いられている。開口部16Dは、スポンジ部材30を係止可能なスポンジ係止部となっており、第2流路16Bがスポンジ部材30の外径よりも内径が小さい挟穿部となっている。図3に示されるように、接続部材16は洗浄タンク70に接続される。
【0024】
図2(A)〜(B)に示すように、開閉部材20は、円形状のゴム板24を備えている。ゴム板24の外径は筒状部材12の大径部12Aの内径よりも大径とされ、外周に沿って円周部24Aが形成されている。円周部24Aより内径側には、円の一部である支持部25を残して円状にカットされたスリットS1が形成されている。このスリットS1の内側の円形部24Bが後述する剛性補助部材28と共に開閉弁26を構成している。支持部25及びこの支持部25の周囲には、ゴム板24の両面に凹部27が形成されており、支持部25及びこの支持部25の周囲の肉厚が他の部分のゴム板24の厚さより薄く形成されている。凹部27内の角部27Aは、R形状に切り欠かれている。また、円形部24Bの中央部には、円形状の開口26Bが形成されている。
【0025】
図1に示すように、ゴム板24の開口26Bには、開閉弁26の上面と下面に支持される支持部28A、28Bを備えた剛性補助部材28がはめ込まれている。この剛性補助部材28は、液体の逆流を防ぐためのものであり、ゴム板24の円形部が変形しないように、ゴム板24のゴム材料よりも硬い材料(例えば樹脂)で形成されている。剛性補助部材28は、液体の逆流を防ぐためのものであり、中央部に筒状部材12側に突出した円錐状の突出部28Cが形成されている。この突出部28Cは、中央部から支持部25側へ厚みが薄くなるように傾斜した形状となっている。言い換えると、剛性補助部材28は、支持部25の変形起点から突出部28Cの突出先端とを結んだ線の内方に収まる形状とされている。円形部24Bと剛性補助部材28とで、開閉弁26が構成されている。
【0026】
筒状部材12の大径部12Aとねじ部12Dの間には、弁挟持部13が構成されている。弁挟持部13は、大径部12Aよりも大径とされ、開閉部材20の円周部24Aの外周面が弁挟持部13の内周面13Bに密着し、円周部24Aの下流側の外縁が弁挟持部13と大径部12Aの間の段差面13Aに密着するように配置されている。そして、筒状部材12のねじ部12Dへの接続部材16のねじ部16Aの締付け量を調整することで、ゴム板24の円周部24Aが接続部材16の段差面22と筒状部材12の段差面13Aとの間に挟み込まれて固定されている。
【0027】
開閉部材20は、通常の状態では、円周部24A、円形部24Bが同一平面上にあり、円形部24Bが段差面22に密着して第1流路14と第2流路16Bの間が閉鎖されている。以下、この状態のときの開閉弁26の位置を「閉鎖位置P1」という。
【0028】
一方、図5に示すように、液体の導入時には、ゴム製の支持部25が弾性変形して開閉弁26が液体の導入方向下流側に回動することで、第1流路14と第2流路16Bとの間が開放されるようになっている。このように、第1流路14と第2流路16Bとの間が開放された状態のときの開閉弁26の位置を「開放位置P2」という。支持部25及びその支持部25の周囲の凹部27の部分の肉厚は、ゴム板24の厚さよりも薄いことにより、支持部25が変形しやすく、低い流圧で液体が導入されたときでも開閉弁26が回動しやすくなっている。また、開閉弁26の中央部に剛性補助部材28を設けることにより、第1流路14を閉じる位置に開閉弁26を安定して保持するとともに、液体の導入によって開閉弁26を筒状部材12側へスムーズに回動させることが可能となる。
【0029】
なお、ゴム板24を構成する材料としては、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。また、剛性補助部材28の材料は、ゴム板24の円形部の変形を防止するためにゴム板24よりも硬い材料が望ましく、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアセタールなどが用いられている。
【0030】
接続部材16において、第2流路16Bの第1流路14への開口端には、テーパー面取部46が形成されている。テーパー面取部46は、第1流路14に向かって、大径となるテーパー形状とされている。テーパー面取部46が形成されることにより、開閉弁26が第2流路16B側からの流体から押圧力を受ける面積(受圧面積A1、図4参照)が第2流路16Bの断面積A0よりも大きくなっている。また、開閉弁26の外径が同じ場合に、テーパー面取部46が形成されていない場合と比較して、段差面22との密着面積(以下「シール面積A2」という)を、小さくすることができる。したがって、テーパー面取部46が形成されていない場合と比較して、ビールなどの液体の滞留によって、開閉弁26が段差面22に固着していたとしても、開閉弁26が第2流路16Bからの流体から受ける押圧力が大きくなり、また、開閉弁26の段差面22への固着力が弱くなる。これにより、流体の流通時において、開閉弁26の閉鎖位置P1から開放位置P2への回動をスムーズに行わせることができる。
【0031】
なお、開閉弁の受圧面積A1は、第2流路16Bの断面積に対して140%〜330%の範囲であることが好ましい。開閉弁26の受圧面積A1が、第2流路16Bの断面積A0に対して140%未満では、開閉弁26が段差面22に固着している場合に開放がスムーズに行われない場合がある。また、330%を超えると、開閉弁26と段差面22とが密着する面積を確保しにくくなり、流体の逆流を適切に防止できないこともありうる。そこで、開閉弁26の受圧面積A1は、第2流路16Bの断面積A0に対して140%〜330%の範囲とすることが好ましい。
なお、開閉弁26の気密性を確保して液体の逆流をより確実に防止するために、受圧面積A1は、第2流路16Bの断面積に対して140%〜260%の範囲であることがより好ましく、140%〜200%の範囲であることが更に好ましい。
【0032】
また、開閉弁26の受圧面積A1は、開閉弁26が段差面22へ密着してシールするシール面積A2に対して60%〜1200%の範囲とすることが好ましい。開閉弁26の受圧面積A1が、シール面積A2に対して60%未満の場合には、開閉弁26が段差面22へ固着している場合に、開放がスムーズに行われない場合がある。また、1200%を超えると、開閉弁26の段差面22に対する十分なシール性が確保できない場合がある。
なお、開閉弁26の気密性を確保して液体の逆流をより確実に防止するために、受圧面積A1は、シール面積A2に対して60%〜270%の範囲であることがより好ましく、60%〜130%の範囲であることが更に好ましい。
【0033】
次に、本発明の継手管10の作用について説明する。本実施形態では、液送装置として、ビールを供給するためのビールサーバーを想定して説明する。ビールは、乾燥時に継手管内に残留物が固着しやすい液体であり、開閉弁が固着により開放しにくくなることがあることから、本実施形態の継手管10を好適に用いることができる。
【0034】
継手管10の接続部材16の他端にビール樽(図示省略)を接続し、継手18に配管、ビールサーバー(不図示)を接続する。この状態で、ビール樽から接続部材16の第2流路16Bを通じてビールが導入されると、開閉部材20の開閉弁26が、閉鎖位置P1から導入方向の下流側へ回動し、開放位置P2へ移動する。そして、ビールば、第1流路14を通って、継手18、配管へ向かい、ビールサーバーに送られる。継手管10にビールを導入しないときは、開閉弁26が段差面22と密着することで、開閉弁26から逆方向(接続部材16側)への液体逆流の発生が防止されている。
【0035】
継手管10や、下流側の配管及びサーバーを洗浄する際には、図3に示すように、接続部材16に接続されたビール樽(図示省略)を取り外して、接続部材16の開口部16Dに略円柱状のスポンジ部材30をセットする。次に、接続部材16に洗浄液(例えば、水)が充填された洗浄タンク70を取り付ける。継手管10では、このように少ない工程で継手管10、配管及びサーバー(図示省略)の洗浄準備を行うことができる。
【0036】
次に、所定のガス(例えば炭酸ガス)を導入してガス圧により洗浄液を接続部材16の第2流路16Bから継手管10の第1流路14内に導入する。これにより、開閉部材20の開閉弁26が、閉鎖位置P1から導入方向の下流側へ回動し、開放位置P2へ移動する。このとき、スポンジ部材30は、第2流路16B内を下流側へ移動し、図5に示すように、開閉弁26の開放により洗浄液と共に開閉部材20を通過し、第1流路14内を下流へ移動する。そして、スポンジ部材30は、さらに下流へと移動し、配管、ビールサーバーへと送られる。その際、スポンジ部材30は、第2流路16B、第1流路14、配管の流路内壁、ビールサーバーの流路内壁に付着し汚れを擦り落としながら下流へと移動し、各部の内壁を洗浄する。
【0037】
本実施形態によれば、接続部材16における第2流路16Aの第1流路14への開口端にテーパー面取部46が形成されているので、受圧面積A1が断面積A0よりも大きくなり、第2流路16Bから第1流路14へ向かう流体から開閉弁26が受ける押圧力が大きくなる。また、テーパー面取部46が形成されていない場合と比較して、開閉弁26と段差面22とのシール面積A2が小さくなり、開閉弁26の段差面22への固着力が弱くなる。したがって、流体(ビール)の供給時や、配管等の洗浄時において、開閉弁26の閉鎖位置P1から開放位置P2への回動をスムーズに行わせることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、受圧面積A1を断面積A0よりも大きくするために、テーパー面取部46を形成したが、他の構成により、受圧面積A1を断面積A0よりも大きくしてもよい。例えば、径方向外側に切欠きを構成したり、図6に示されるように、テーパー面取部46に代えて、座繰部48を形成してもよい。座繰部48は、段差部分の内角がR形状とされており、流体をスムーズに流通させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、テーパー面取部46を形成することにより、テーパー面取部46が形成されていない場合と比較して、開閉弁26と段差面22とのシール面積A2が小さくなるようにしたが、テーパー面取部46により拡大した受圧面積分よりも小さい面積で、シール面積A2を広げて、すなわち、開閉弁26の外径を大きくして、シール力を維持してもよい。
【実施例】
【0040】
本発明の効果を確認するために、比較例の継手管、及び本発明の適用された実施例1の継手管を用意し、開閉弁の開放圧力試験を行った。実施例1及び比較例の試験条件は以下の表1の通りである。
【表1】

【0041】
この洗浄試験では、ビールを送液した後に乾燥させた継手管10を用いた。第2流路16B側からエアーを供給して加圧し、開閉弁が開放される時のエアー圧力を測定した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示された結果から明らかなように、実施例1では、比較例よりも、小さいエアー圧力0.15Mpaで開放弁を開放させることができた。
【0044】
また、本発明において、テーパー面取部を構成したことによる、開閉弁の気密性への影響を確認するために、本発明の適用された実施例の継手管を用意し、第1流路側から加圧を行って、気密性確認試験を行った。実施例1〜4の、試験条件は以下の通りである。実施例1〜4の継手管は、実施形態で説明したテーパー面取部46のサイズに関する部分以外の構成については、同一であり、第2流路の内径5.0mm(第2流路の断面積A0:19.63mm)である。テーパー面取部のサイズ、受圧面積A1、シール面積A2は、以下の表3の通りである。
【0045】
【表3】

【0046】
この洗浄試験では、第1流路側から加圧を行い、気密性が保たれているかどうかを確認した。その結果を表4に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
表4に示された結果から明らかなように、実施例1、2では、エアー圧力0.10Mpa以上で気密性が確保され、実施例3では、エアー圧力0.14Mpa以上で気密性が確保され、実施例4では、エアー圧力0.15Mpa以上で気密性が確保された。
【符号の説明】
【0049】
10 継手管
12A 大径部
12 筒状部材
14 第1流路
16 接続部材
16B 第2流路
20 開閉部材
22 段差面
26 開閉弁
30 スポンジ部材
46 テーパー面取部
48 座繰部
A1 受圧面積
A2 シール面積
P1 閉鎖位置
P2 開放位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が配管に接続され第1流路が構成された筒状部材と、
第2流路が構成され、前記第1流路と前記第2流路とが連通するように前記筒状部材の他端に接続され、前記第2流路の前記第1流路側の径が前記第1流路の前記第2流路側の径よりも小径とされ、前記第1流路と前記第2流路との間に段差面を構成する接続部材と、
前記接続部材と前記筒状部材の間に配置され、前記段差面に密着して前記第2流路を閉じる閉鎖位置と、前記段差面から前記第1流路側へ離間して前記第2流路を開放する開放位置との間を回動可能に設置された開閉弁と、
前記接続部材の前記第1流路側に構成され、前記第2流路から前記第1流路へ向かう流体からの押圧力を受ける前記開閉弁の受圧面積を前記第2流路の断面積よりも広くする受圧面積拡大部と、
を備えた、継手管。
【請求項2】
前記受圧面積拡大部は、前記接続部材における前記第2流路の前記第1流路への開口端に構成されたテーパー面取部であること、を特徴とする請求項1に記載の継手管。
【請求項3】
前記受圧面積拡大部は、前記接続部材における前記第2流路の前記第1流路への開口端に構成された座繰部であること、を特徴とする請求項1に記載の継手管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141007(P2012−141007A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293619(P2010−293619)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(311007202)アサヒビール株式会社 (36)
【Fターム(参考)】