説明

継手連結具

【課題】 本発明は、各種の継手に硬質ホースを連結する作業において、ホースの口径寸法に合わせてこれを確実に固定しかつ迅速に連結することを円滑に行うことを目的とする。
【解決手段】 本発明は、一方のハンドル24の上端部に一端を枢着したリンク21を設け、このリンクの他端に下端部を枢着したU形ヨーク5に交叉枢着する各支脚7の上端にU形支腕9を設け、この支腕間に設置する両ホースクリップ10に大きさの異なる多種類の凹部12を設け、この凹部間にはこの凹部に適合する口径のホースaを取付け、他方のハンドル48の上端部に一端を枢着したリンク43の他端に上方のラック杆32に噛合うラック爪41を枢着し、前記ラック杆上の支台34の横U形部35に設置する継手取付部材に継手bを前記ホースに対向して取付け、このような状態下において所定の継手を所定のホースに連結する作業を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の継手に合成樹脂材製の硬質ホースを連結作業するための専用工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の工具としては、例えば特開平6−182675号(特許第2582712号)のごとき発明が公開されているが、この工具では取付けるホースの口径寸法に合わせた治具とその付属部品をその度に交換しなければならない手数がかかり、ホースと継手との連結作業に時間がかかり、またホースの固定が必ずしも確実になされない不安な構造である等の欠点があるため、この欠点を解消するために改良した工具を本願発明の出願人は特願2003−20138として出願していた。しかし、作業の迅速性と確実性に問題があることがわかったので、これを改良する必要があった。
【0003】
【特許文献1】特開平6−182675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、先願発明の欠点を一掃し、硬質ホースを継手に連結する作業を簡単かつ迅速に行うことができる工具を提供するとともにその連結方法を提供し、連結作業を常に円滑に行うようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一方のハンドルの上端部に一端を枢着したリンクを設け、このリンクの他端に下端部を枢着したU形ヨークに交叉枢着する各支脚の上端にU形支腕を設け、この支腕間に設置する両ホースクリップに大きさの異なる多種類の凹部を設け、この凹部間にはこの凹部に適合する口径のホースを取付け、他方のハンドルの上端部に一端を枢着したリンクの他端に上方のラック杆に噛合うラック爪を枢着し、前記ラック杆上の支台の横U形部に設置する継手取付部材に継手を前記ホースに対向して取付け、このような状態下において所定の継手を所定のホースに連結する作業を行うものである。
【発明の効果】
【0006】
第1に、一個の工具で口径寸法の異なるホースとその継手とを迅速かつ確実に連結することができるから、多種類の治具や取付け用の付属品を用意しておく必要はなく、作業性と経済性がきわめて良い。
【0007】
第2に、前記口径寸法の異なるホースを固定する手段は、一方のハンドル操作によって相対する両ホースグリップ間で確実に挟持することができる。
【0008】
第3に、ホース口端部に対応する継手の取付け手段は、支台の横U形部に固定する口金端部に確実に取付けておくことができ、ラック杆の移動操作によって対向するホース口端部に堅固に挿着連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
いま器体上部の一側部上方に突出しているU形支腕9,9のホースグリップ10,10間にホースaを挟持するときは、まず一方のハンドル24を外方に作動して両ホースグリップ10,10を開口した後、ホースの口径を見てこれに合う大きさの凹部12,12を選ぶ。凹部の選択は、ロック用の雄螺子19,19の頭部を指で押すと、弾機18,18の収縮によって雄螺子19,19の内方移動にともない支軸他端部の多角形部14,14が係合していた多角形孔15,15から離脱するから、この状態でホースグリップ10,10を回動して凹部を選ぶ。選んだ後は、前記雄螺子の頭部から指を離すと、弾機の伸張によって雄螺子は外方移動するから、支軸の他端部の多角形部が再び多角形孔に係合し、ホースグリップの凹部定置が固定される。
【0010】
このような状態において、開いて相対する凹部間にホースを挿入した後、一方のハンドル24を内方に作動する。すると、該ハンドルはピン27―ピン25―リンク21―ピン22−U形ヨーク5―斜孔6,6―突子8,8―支脚7,7―U形支腕9,9の作動を介して前記ホースグリップ10,10の凹部12,12が内方移動して閉口するから、これによってホースaは挟持されるようになる。
【0011】
また、器体上部のラック杆32の他側部上方にL形に突設する支台34の横U形部35に取付けた口金37の突子40に継手bを係合するときは、他方のハンドル48を外方に作動し、前記ラック杆32の歯列32'に噛合うラック爪41を解除した後、ラック杆32を外方に引き、前記口金の突子40に前記ホース口径に合わせた継手bの通口部を係合する。
【0012】
しかる後、ハンドル48を内方に作動すると、ラック爪41の移動にともないラック杆32の歯列へ係合が起るから、ラック杆32は内方へ移動する。継手bがホースaの口端部に接しこれを強圧すれば、継手の端部はホースに挿入するようになるから、作業者はホースへの継手の嵌着状況を見てハンドル48の操作を何回か繰り返す。これによって、両部材は完全に連結されるから、再びラック爪41をラック杆32の歯列からフリーにしてラック杆を後方に戻した後、一方のハンドル24を再び外方に作動すれば、ホースグリップ10,10は開口するから、ホースの挟圧状態が解放され、取外し状態になる。
【実施例】
【0013】
1は所定の大きさに成る凾体で、この凾体の内部に以下の機構が構成する。
【0014】
2は前記凾体1の前側板で、この前側板は後側板3及び左右板4に対して最初の組立て時には開口状態に成る。(図2参照)
【0015】
5は前記凾体の一側板4部に一部を接し配置したU形ヨークで、このヨークの左右両側部には同一の角度方向に成る斜孔6,6が設けられている。
【0016】
7,7は前記U形ヨーク5内に交叉配置した2個の支脚で、この支脚の下外端部に設けた各突子8,8は前記斜孔6,6に係合し斜孔内を上下に移動するようになる。
【0017】
9,9は前記支脚7,7の上端部にそれぞれ設けたU形支腕で、この各支腕の両中間部にはそれぞれホースクリップ10,10を枢着する支軸11,11を架設する。
【0018】
相対する前記両ホースクリップ10,10には、それぞれアール寸法の異なる多種類の凹部12,12・・を形成する。(図示では5種類の凹部を設ける。)
【0019】
13は前記両支脚7,7の交叉部に枢着する支軸で、この支軸を支点に前記支脚7,7を介して両支腕9,9上のホースクリップ10,10の同一の凹部12,12を相対しこの間にホース(硬質樹脂管)aを架けわたして固定するようにする。
【0020】
14は前記支軸11の一端部に設けた多角形部で、この多角形部は前記一方のU形支腕9に設けた多角形孔15に係合してロックするようになる。図示では、多角形部14と多角形孔15はそれぞれ五角形に成る。
【0021】
16は前記支軸11の他端部に設けた螺孔で、この螺孔には支軸周囲の通孔17に介装する弾機18の外端を抑止する雄螺子19が螺合する。
【0022】
20は前記U形ヨーク5の下側部に設けた横凹溝部で、この横凹溝部にはリンク21の一端部を嵌挿しこれにピン22を懸架して枢着する。前記リンク21の中心部には、凾体1の後側板3部に一端を固着した支軸23を枢支する。
【0023】
24は前記リンク21の他端部にピン25を介して上端部を枢着する一方のハンドルで、このハンドルの全体は2つに曲折した板状のものから成る。
【0024】
26は前記ハンドル24の上側内側部に架設したピン27に一端部を枢着した連板で、この連板の他端部にはクランプ28の上端部をピン29にて枢着し、このクランプの上下位置の変動によって、前記ホースクリップ10,10の凹部12,12間に把持しているホースaに対する挟圧力を変えることになる。
【0025】
30は前記クランプ28の下側部に形成した螺軸で、この螺軸にはナット31を螺合している。また、螺軸30の下端部は凾体1の後側板3の下端部に設けたガイド53に係合する。
【0026】
32は前記凾体1の後側板3の上端部に設けたラックガイド33に介装したラック杆で、その下側面部には歯列32'を形成している。
【0027】
34は前記ラック杆32の上面部上にL形に立設した支台で、この支台の垂直の横U形部35においては、内側方に雄螺子36を有する口金材37を、その内側面に設けた凸段部38を前記横U形部側のU溝46に係合し、外側方には前記雄螺子36に螺合する雌螺子39を配置し、この雌螺子の内側面に設けた凸段部47は前記横U形部側の凹段部52に係止する。
【0028】
40は前記口金37の内面中央部に設けた突子で、この突子には継手bが係合し、前記ホースクリップ10,10の一凹部12,12間に係合して固定されているホースaに対応するようになる。
【0029】
41は前記ラック杆32の歯列に噛合するラック爪で、このラック爪はピン42を介してリンク43の上端部に設けた長孔44に挿通して連結する。
【0030】
45は凾体1の後側板3に突設する支軸で、この支軸は前記リンク43の中央部に挿通して枢支する。
【0031】
48は前記リンク43の下端部に設けた長孔49に挿通するピン50を介して上端部を枢着する他方のハンドルで、このハンドル全体の横断面は曲折した板材から成る。
【0032】
51は前記ハンドル48の上側内側部が枢着する支軸で、この支軸は前記凾体1の後側板3部から突設している。
【0033】
前記ラック杆32と一体に成る支台34上の横U形部35が後方移動し、相対するホースaに嵌着した継手bが口金37の突子40から離脱すると、嵌着作業は終了することになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】全体の正面図
【図2】凾体の前側板を取外した全体内部の正面図で、(A)は作業前の状態、(B)は作業時の状態を示す。
【図3】凾体の一側板を取外した全体内部の側面図で、(A)は作業前の状態、(B)は作業時の状態を示す。
【図4】ホース固定手段の要部の正面図
【図5】ホース固定手段を分離した各部の正面図
【図6】ホース固定手段の他の要部各部の正面図
【図7】継手固定手段の要部の正面図
【図8】継手固定手段の他の要部の正面図
【図9】継手固定手段を分解した斜視図
【符号の説明】
【0035】
1 凾体
2 前側板
3 後側板
4 左側板
5 U形ヨーク
6,6 斜孔
7,7 支脚
8,8 突子
9,9 U形支腕
10,10 ホースクリップ
11,11 支軸
12,12・・ 凹部
13 支軸
14 多角形部
15 多角形孔
16 螺孔
17 通孔
18 弾機
19 雄螺子
20 横凹溝部
21 リンク
22 ピン
23 支軸
24 ハンドル
25 ピン
26 連板
27 ピン
28 クランプ
29 ピン
30 螺軸
31 ナット
32 ラック杆
32' 歯列
33 ラックガイド
34 支台
35 横U形部
36 雄螺子
37 口金材
38 凸段部
39 雌螺子
40 突子
41 ラック爪
42 ピン
43 リンク
44 長孔
45 支軸
46 U溝
47 凸段部
48 他方のハンドル
49 長孔
50 ピン
51 支軸
52 凹段部
53 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のハンドルの上端部に一端を枢着したリンクを設け、このリンクの他端に下端部を枢着したU形ヨークに交叉枢着する各支脚の上端にU形支腕を設け、この支腕間に設置する両ホースクリップに大きさの異なる多種類の凹部を設け、この凹部間にはこの凹部に適合する口径のホースを取付け、他方のハンドルの上端部に一端を枢着したリンクの他端に上方のラック杆に噛合うラック爪を枢着し、前記ラック杆上の支台の横U形部に設置した継手取付部材に継手を前記ホースに対向して取付けることを特徴とする継手連結具。
【請求項2】
相対するU形支腕間に配置するホースクリップの外周形状は取付けるホースの口径寸法に適合する多種類の凹部を形成し、このホースクリップを前記U形支腕間に懸架する支軸の一端部は角形にし、この角形部を一方のU形支腕に設けた角形孔に着脱し得るように成る請求項1に記載した継手連結具。
【請求項3】
ラック杆に立設した支台の横U形部において、内側方に雄螺子を有する口金材を、その内側面に設けた凸段部を前記横U形部の凹溝に係合して配置し、外側方には前記雄螺子に螺合する雌螺子を配置して成る請求項1に記載した継手連結具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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