説明

維持管理能力を向上した遠方監視システム

【課題】 作業員を派遣せずに監視制御装置間の通信授受で信号検知不良を解消する遠方監視制御システムを提供する。
【解決手段】 子局3と親局2を具備した遠方監視システムにおいて、親局2と子局3は送信信号の増幅、変更機能を有し、通常の送受信を行う通常モードと増幅率変更のための増幅率変更モードとが切替可能に構成され、増幅率変更モードで親局2が増幅率を段階的に増大させつつ断続的に第一試験信号を送信するステップST104と、子局3が第一試験信号を判別した場合に親局2に第二試験信号を返信するステップST207と、親局2が第二試験信号を判別した場合に第一試験信号の増幅率に基づき増幅率を設定し子局3に完了信号を送信し通常モードに移行するステップST110と、子局3が親局2より完了信号を得て親局2の増幅率に対応する増幅率を設定するステップST210とを実行し通常モードに復帰するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を使用する遠方監視システムにおいて、電話回線信号の減衰による通信不良を適切に解消して、当該減衰を元の状態に復帰させる遠方監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道設備や農業集落排水設備などに用いられる遠方監視システムにおいて、例えば以下の特許文献に示されているように、監視に必要な情報の伝達を行うための伝送媒体は電話回線を使用することが一般的である。
【0003】
このような遠方監視システムにおいて、使用する電話線の距離や使用環境によっては、電話回線の伝送信号が減衰し、通信不良となることがあった。
【0004】
上記通信不良が発生した場合は、電話回線の減衰量を確認するために発振器を送信側に設置し、受信側に受信レベル確認装置を設置するために作業員が現地に出向き、確認し、適切な信号増幅率を求める必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−124137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法では、通信不良発生の度に現地に出向かなければならないので、特に、遠方監視制御装置の子局が離島など中央監視制御装置から離れたところにある場合は、手間や、人件費や、時間が掛かっていた。特に、監視対象が電気、水道、ガスなどのライフラインに関わるものである場合、復旧に手間取ることで市民生活に支障をきたす場合もあり得た。
【0007】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の遠方監視システムは、信号線によって接続され、当該信号線を通じて互いに信号の授受を行う親局と子局とを備え、前記子局に監視対象である機器が接続されており、前記親局によって前記信号の授受を通じて、前記子局に対し前記機器の監視に関する命令を送信する遠方監視システムにおいて、前記親局および子局は、送信に係る信号を増幅する機能およびその増幅率を変更する機能を有するとともに、通常の監視に関する送受信を行う通常モードと前記増幅率の変更のための送受信を行う増幅率変更モードとを切り替え可能に構成されており、前記親局および前記子局の各々が前記信号の検出不良に伴って信号増幅率の変更モードに移行した場合に、前記親局が増幅率を段階的に増大させつつ断続的に第一試験信号を送信するステップと、前記子局が前記親局より発せられる第一試験信号の判別が可能となった場合に前記親局に対して前記第一試験信号に対応した増幅率で第二試験信号を返信するステップと、前記親局が前記子局より発せられる第二試験信号の判別が所定の条件で可能となった場合には前記第一試験信号の送信を停止するとともに、それまでに判別された前記第一試験信号の増幅率に基づいて増幅率を設定した上で、前記子局に対して完了信号を送信するステップと、前記子局が前記親局より完了信号を得ることで、前記親局の増幅率に対応する増幅率を設定するステップとを実行し、その後に前記親局および子局は、通常モードに移行した際に前記新たに設定された増幅率で通常の監視に関する送受信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、専用回線である信号線の信号検出不良が発生したときに、現地に作業員を派遣することなく、親局と子局の間の信号の授受のみで増幅率の変更をすることができるので、これまで係っていたような手間や人件費や時間を削減することが可能となる。
【0011】
特に遠方監視システムにおける子局は、離島や遠隔地をはじめ、人的アクセスが難しい場所、あるいは災害時において人的アクセスが一層困難もしくは不可能になっていることもあるため、本発明の効果は大きい。
【0012】
また、より早期に信号の検出不良を発見し、早急に信号増幅率の変更を行い、一層早く通常モードに復帰する場合には、前記親局および前記子局の各々が前記信号の検出不良を認識した際に信号増幅率の変更モードに自動的に移行するステップと、前記親局が完了信号を送信し前記子局がその完了信号を得た場合に親局および子局が通常モードに自動的に移行するステップとを更に実行するように構成しておくことが好ましい。
【0013】
このようにすると、さらに早期に検出不良を発見して自動的に信号増幅率の変更モードに移行することができ、試験完了後には速やかに通常モードに復帰することができるため、短時間で当該検出不良に対処でき、より早い復旧が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した本発明によれば、回線の減衰が発生した時に、現地に作業員を派遣することなく、親局と子局の間の信号の授受のみで減衰信号の増幅率を上げる事ができるため、手間や人件費や時間を削減することができ、より維持管理能力の高い遠方監視システムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る遠方監視システムの模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る遠方監視システムの増幅率変更モードでの親局と子局間の増幅率変更手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態に係る遠方監視システムの増幅率変更モードでの親局と子局の構成手段を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の遠方監視システムは、図1に示すようなLAN回線4で接続された中央監視制御装置1及び親局2と、当該中央監視制御装置1及び親局2から、比較的遠方に設置された子局3から構成され、前記親局2と前記子局3は各々モデム22,32を通して専用回線である信号線5を介して1対1で接続されている。
【0018】
前記子局3には監視対象物を監視するための図示しない機器が接続されており、前記子局3は常時または中央監視制御装置1からの呼び出しに応じて前記親局2を介して監視されており、前記監視対象物を管理、設定変更、画像送信、情報交換、異常発生の連絡などの機能を発揮するためのプログラムを実行するためのプログラム実行部31と、信号線5を介して前記親局2と通信するためのモデム32を具備している。
【0019】
前記親局2は前記子局3を通じて、監視対象物を監視可能で、前記子局3同様、監視対象物を監視したり、子局3との情報の授受などをするために必要なプログラムを実行するためのプログラム実行部21と、信号線5を介して前記子局3と通信するためのモデム22を具備している。
【0020】
また、前記モデム22,32は、信号を増減できる信号増幅機能を備えており、必要に応じて信号増幅可能である。
【0021】
前記親局2と前記子局3は信号線5を介して、約2秒に一度通信を授受しており、通信が途切れることにより、前記親局2および前記子局3は以下に述べる検出不良認識部23a、33aにおいて信号検知不良を認識することができる。
【0022】
図3は増幅率変更モードでの前記親局2および前記子局3の各機能を示した機能ブロック図である。
【0023】
前記親局2において、当該親局2と前記子局3間の信号検出不良を認識する前述した検出不良認識部23aと、検出不良認識部23aからの情報を基に、通常の監視に関する送受信を行う通常モードから前記増幅率の変更のための送受信を行う増幅率変更モードに移行し、試験終了時には増幅変更モードから通常モードに復帰するためのモード切替部24と、モード切替部24からの切り替え指令を受けて起動する増幅率変更モード実行部Aとを具備して構成される。前記増幅率変更モード実行部Aは、前記親局2において、試験の開始から終了までの命令を司る変更モード制御部27と、当該変更モード制御部27からの命令によって通信試験のための第一信号を生成する第一試験信号生成部25と、この第一試験信号生成部25で生成した信号を前記変更モード制御部27の命令によって所定の増幅率で増幅し、そのときの信号の増幅率を記憶するための信号増幅部26とを備える。前記変更モード制御部27には、前記子局3から送られるAck信号に相当する第二試験信号を判別するための第二試験信号判別部28と、試験終了の際、前記子局3に試験が完了した信号を送信する終了命令部29とが接続される。前記モード切替部24は、検出不良認識部23aによらず、手入力部23bからの入力によってもモード切替を行うように構成されている。
【0024】
一方、前記子局3においては、前記親局2同様に、当該子局3と前記親局2間の信号検出不良を認識する前述した検出不良認識部33aと、検出不良認識部33aからの情報を基に通常の監視に関する送受信を行う通常モードから前記増幅率の変更のための送受信を行う増幅率変更モードに移行し、試験終了時には増幅変更モードから通常モードに復帰するためのモード切替部34と、モード切替部24からの切り替え指令を受けて起動する増幅率変更モード実行部Bとを具備して構成される。前記増幅率変更モード実行部Bは、前記子局3において、試験の開始から終了までの命令を司る変更モード制御部37と、当該変更モード制御部37からの命令によって前述した第一試験信号のAck信号である第二試験信号を生成する第二試験信号生成部35と、この第二試験信号生成部35で生成した信号を前記変更モード制御部37の命令によって所定の増幅率で増幅し、そのときの信号の増幅率を記憶するための信号増幅部36とを備える。前記変更モード制御部37には、前記親局3から送られる第一試験信号を判別するための第一試験信号判別部38が接続される。前記モード切替部34は、検出不良認識部33aによらず、手入力部33bからの入力によってもモード切替を行うように構成されている。
【0025】
以下、図3のブロック図を参照しながら、本実施形態における前記増幅率変更モードでの信号増幅率変更手順を図2のフローチャートに沿って説明する。
【0026】
前記親局2において、検出不良認識部23aは前記親局2と前記子局3間の信号の検出不良を認識するもので、前記親局2と前記子局3間で、信号検出不良を所定時間内に所定回数検知した時に(図2ステップST102)、前記モード切替部24によって、通常の監視に関する送受信を行う通常モードから前記増幅率の変更のための試験的な送受信を行う増幅率変更モード実行部Aへと移行する(図2ステップST103)。
【0027】
この時、前記モード切替を前記検出不良認識部23aによらずに、手入力によるモード切替が可能な手入力部23bも備えており、手動により前記増幅率変更モードに切り替えることもできる。
【0028】
前記子局3においても,前記親局2と同様に、検出不良認識部33aは前記親局2と前記子局3間の信号の検出不良を認識するもので、前記親局2と前記子局3間で、信号検出不良を所定時間内に所定回数検知した時に(図2ステップST202)、前記モード切替部34によって、通常の監視に関する送受信を行う通常モードから前記増幅率の変更のための試験的な送受信を行う増幅率変更モード実行部Bへと移行された後(図2ステップST203)、前記子局3は前記親局2からの試験信号を待つために受信待ち状態になる(図2ステップST204)。
【0029】
この場合も、前記モード切替を前記検出不良認識部33aによらずに、手入力によるモード切替が可能な手入力部33bも備えており、手動により前記増幅率変更モードに切り替えることもできる。
【0030】
次に、前記親局2の増幅率変更モード実行部Aにおいて、前記第一試験信号生成部25より前記信号増幅部26を介して、第一試験信号が送信され(図2ステップST104)、前記子局3において当該第一試験信号の判別がなされたことを前記親局2に知らせる前記子局3からの第二試験信号の受信を待つ(図2ステップST105)。
【0031】
一方、前記子局3が第一試験信号を前記第一試験信号判別部38にて、判別できなかった場合は、判別するまで第一試験信号を引き続き待つ(図2ステップST205→ST204)。
【0032】
この時、第二試験信号の受信を待つ前記親局2が(図2ステップST105)、第一試験信号発した後所定時間内に前記子局3からの第二試験信号を第二試験信号判別部28にて判別できなければ、前記第一試験信号の信号増幅率を前記信号増幅部26で、0dBから10dBの範囲内で、1dBずつ増加させ、(図2ステップST106〜ST107)、再び、前記第一試験信号生成部25より前記信号増幅部26を介して、第一試験信号を送信し(図2ステップST104)、前記子局3から送信される第二試験信号を判別するまで、上記の手順を繰り返す(図2ステップST104〜ST107→ST104)。
【0033】
前記親局2からの第一試験信号の受信待ち状態にある前記子局3が(図2ステップST204)、第一試験信号を第一試験信号判別部38にて判別できた場合は、前記親局2より受信した信号増幅率で第二試験信号を増幅させ(図2ステップST205〜ST206)、第二試験信号生成部35より信号増幅部36を介して、第二試験信号を前記親局2に対して送信し(図2ステップST207)、前記親局2からの試験完了信号を待つ(図2ステップST208)。
【0034】
前記親局2は、所定時間内に前記第二試験信号を前記第二試験信号判別部28で判別したら、第一試験信号の送信を停止するとともに、前記子局3で判別された第一試験信号の増幅率を前記信号増幅部26に設定し(図2ステップST106,ST108)、変更モード制御部27より、前記子局3に対して試験の完了を知らせる試験完了信号を終了命令部29より発する(図2ステップST109)。
【0035】
前記親局2からの試験完了信号受信待ち状態の前記子局3は(図2ステップST208)、所定時間内に前記親局2から試験完了信号を変更モード制御部37で受信したら、前記親局2の信号増幅部26に設定された前記第一試験信号の増幅率を(図2ステップST108)前記子局3の信号増幅部36にも設定し(図2ステップST209〜ST210)、前記モード切替部34にて、増幅率変更モードから通常モードへ復帰する(図2ステップST211〜ST212)。
【0036】
同様にして、前記試験完了信号を送信した前記親局2も(図2ステップST109)、前記モード切替部24にて、増幅率変更モードから通常モードへ復帰する(図2ステップST110〜ST111)。また、通常モードに復帰後は、前記親局2および前記子局3とも前記新たに設定された増幅率で通常の監視に関する送受信を行う。
【0037】
以上のように本実施形態に係る遠方監視システムは、信号線5によって接続され、当該信号線を通じて互いに信号の授受を行う親局2と子局3とを備え、前記子局3に監視対象である機器が接続されており、前記親局2によって前記信号の授受を通じて、前記子局3に対し前記機器の監視に関する命令を送信する遠方監視システムにおいて、前記親局2および子局3は、送信に係る信号を増幅する機能およびその増幅率を変更する機能を有するとともに、通常の監視に関する送受信を行う通常モードと前記増幅率の変更のための送受信を行う増幅率変更モードとを切り替え可能に構成されており、前記親局2および前記子局3の各々が前記信号の検出不良に伴って信号増幅率の変更モードに移行した場合に、前記親局2が増幅率を段階的に増大させつつ断続的に第一試験信号を送信するステップST104と、前記子局2が前記親局3より発せられる第一試験信号の判別が可能となった場合に前記親局2に対して前記第一試験信号に対応した増幅率で第二試験信号を返信するステップST207と、前記親局2が前記子局3より発せられる第二試験信号の判別が所定の条件で可能となった場合には前記第一試験信号の送信を停止するとともに、それまでに判別された前記第一試験信号の増幅率に基づいて増幅率を設定した上で、前記子局3に対して完了信号を送信するステップST109と、前記子局2が前記親局3より完了信号を得ることで、前記親局2の増幅率に対応する増幅率を設定するステップST210とを実行し、その後に前記親局2および子局3は、通常モードに移行した際に(ST110,ST211)、前記新たに設定された増幅率で通常の監視に関する送受信を行うように構成されていることを特徴とする。
【0038】
このようにすれば、専用回線である信号線5の検出不良が発生したときに、現地に作業員を派遣することなく、親局2と子局3の間の信号の授受のみで増幅率の変更をすることができるので、これまで係っていたような手間や人件費や時間を削減することが可能となる。
【0039】
特に遠方監視システムにおける子局3は、離島や遠隔地をはじめ、人的アクセスが難しい場所、あるいは災害時において人的アクセスが一層困難もしくは不可能になっていることもあるため、本発明の効果は大きい。
【0040】
加えて、本実施形態は、前記親局2および前記子局3の各々が前記信号の検出不良を認識した際に信号増幅率の変更モードに自動的に移行するステップと(ST103,ST203)、前記親局2が完了信号を送信し前記子局3がその完了信号を得た場合に親局2および子局3が通常モードに自動的に移行するステップ(ST110,ST211)とを更に実行するように構成しているので、さらに早期に検出不良を発見して自動的に信号増幅率の変更モードに移行することができ、試験完了後には速やかに通常モードに復帰することができるため、短時間で当該検出不良に対処でき、より早い復旧が可能となる。
【0041】
さらに、この種の通信は、必要以上に高い信号強度の通信を行うことを回避することが望まれるが、上記のように増幅率を徐々に上げて通信回復にこぎつけるように構成することで、当初より高い信号強度の通信を行うことを有効に回避することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
例えば、本実施形態では、第一試験信号の増幅量を1dBずつ増加させて,前記第一試験信号を送信したが、これに限定されるものではなく、信号増幅部の増幅可能範囲と信号線の信号強度許容範囲で、増幅量の選択は任意であるし、増幅率の増加幅も一定である必要はない。
【0044】
さらに、本実施形態では、第二試験信号の増幅率は受信した第一試験信号の増幅率と同一であるが、これに限定されるものではなく、前記第二試験信号の判別が第一試験信号判別部にて可能である限りにおいて、前記増幅率は同一である必要はないし、必ずしも増幅しなければならないわけではない。
【0045】
さらにまた、本実施形態では、子局3から返信され親局2で判別可能に受信された一回の第二試験信号の増幅率を各信号増幅部26、36に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の判別可能な第二試験信号を得て、それらに対応する第一試験信号の内の任意の値を採用したり、それらの平均値を採用したりしてもよい。
【0046】
さらに、上記のように単に複数の判別可能な第二試験信号を得た時のそれらに対応する第一試験信号というだけでなく、複数の判別可能な第二試験信号を「連続的に」得た時のそれらに対応する第一試験信号の内より設定値を採用すれば、さらに信頼性が増す。ここに、「連続的に」とは、例えば、増幅率を1dBずつ増加させていった時に、3dB、4dB、5dBと続けて判別された時ということであり、3dB、5dBは判別されたが、4dBでは判別されなかった時は、「連続的に」とは定義しない。
【0047】
加えて、本実施形態では親局2と子局3は1対1に接続されているが、これに限らず、一の親局に対して複数の子局を接続することも可能である。
【0048】
さらに、一組の親局と子局の間に信号検出不良が検知されたときに、他の親局にも当該信号検出不良を知らせることにより、他回線でも試験が自動でできるようにプログラムを組むことも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、元々、信号増幅部26,36の機能はモデム部22,32に備えられた機能であるために0dB〜10dBの増幅幅の試験であったが、搭載モデムや通信回線が許せば、増幅率の増加量はこれに限定されない。
【0050】
さらに、本実施形態は自動的に増幅率変更モードへの移行が可能であったが、図3に示されるように、調整用DIPSWなどを使用した手入力による入力部23b、33bによっても前記増幅変更モードへの移行や通常モードへの復帰が可能である。
【0051】
その他、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
2…親局
3…子局
5…信号線(専用回線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線によって接続され、当該信号線を通じて互いに信号の授受を行う親局と子局とを備え、前記子局に監視対象である機器が接続されており、前記親局によって前記信号の授受を通じて、前記子局に対し前記機器の監視に関する命令を送信する遠方監視システムにおいて、
前記親局および子局は、送信に係る信号を増幅する機能およびその増幅率を変更する機能を有するとともに、通常の監視に関する送受信を行う通常モードと前記増幅率の変更のための送受信を行う増幅率変更モードとを切り替え可能に構成されており、前記親局および前記子局の各々が前記信号の検出不良に伴って信号増幅率の変更モードに移行した場合に、前記親局が増幅率を段階的に増大させつつ断続的に第一試験信号を送信するステップと、
前記子局が前記親局より発せられる第一試験信号の判別が可能となった場合に前記親局に対して前記第一試験信号に対応した増幅率で第二試験信号を返信するステップと、
前記親局が前記子局より発せられる第二試験信号の判別が所定の条件で可能となった場合に前記第一試験信号の送信を停止するとともに、それまでに判別された前記第一試験信号の増幅率に基づいて増幅率を設定した上で、前記子局に対して完了信号を送信するステップと、
前記子局が前記親局より完了信号を得ることで、前記親局の増幅率に対応する増幅率を設定するステップとを実行し、
その後に前記親局および子局は、通常モードに移行した際に前記新たに設定された増幅率で通常の監視に関する送受信を行うように構成されていることを特徴とする遠方監視システム。
【請求項2】
前記親局および前記子局の各々が前記信号の検出不良を認識した際に信号増幅率の変更モードに自動的に移行するステップと、前記親局が完了信号を送信し前記子局がその完了信号を得た場合に親局および子局が通常モードに自動的に移行するステップとを更に実行するように構成されている請求項1記載の遠方監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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