説明

網戸用ネット及び網戸

【課題】
良好な「自立性」、「通気性」を備えた網戸用ネット及び網戸を提供することを目的とする。また、さらに、ロール式網戸やアコーディオンタ式網戸では、良好な「収納性能」をも兼ね備えた網戸を提供することを目的とする。
【解決手段】
1又は2以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、1又は2以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数と、前記糸を除く他の糸のデニール数とは異なることを特徴とする網戸用ネット(N)であり、例えば、ロール状に巻き取られて収納されるロール式網戸や、多数のプリーツを施すことにより折り畳まれて収納されるアコーディオン式網戸に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸に張設される網戸用ネット及びその網戸用ネットを使用した網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、窓枠サッシやドア枠サッシに張設される各種の網戸用ネットが提案されており、例えば、ロール状に巻き取られて収納されるロール式網戸(特許文献1)や、多数のプリーツを施すことにより折り畳まれて収納されるアコーディオン式網戸(特許文献2)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−336149
【特許文献2】特開2002−3392331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの網戸用ネットには、風圧の影響によって生じる膨れ等を防止する為の良好な「自立性」、また、室内の換気を促進するための良好な「通気性」が求められる。
【0005】
さらに、ロール式網戸やアコーディオン式網戸では、使用者の収納操作をスムーズに行う為の良好な「収納性能」も求められる。ロール式網戸であれば巻き上げ方向に柔軟性が無ければ収納性能に乏しく、アコーディオン式網戸であれば折り畳み方向に柔軟性がなければ収納性能に乏しいため問題である。
【0006】
したがって、本発明は、良好な「自立性」、「通気性」を備えた網戸用ネット及び網戸を提供することを目的とする。
【0007】
また、さらに、ロール式網戸やアコーディオン式網戸では、良好な「収納性能」をも兼ね備えた網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、一以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数と、前記糸を除く他の糸のデニール数とは異なることを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0009】
また、一以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、一以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を、前記糸を除く他の糸のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0010】
また、1又は2以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、1又は2以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数と、前記糸を除く他の糸のデニール数とは異なることを特徴とする網戸用ネット(N)である。また、一以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、一以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸の断面形状は、前記糸を除く他の糸の断面形状と異なることを特徴とする網戸用ネット(N)とすることもできる。
【0011】
また、本発明は、1又は2以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、1又は2以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を、前記糸を除く他の糸のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0012】
例えば、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を200〜600デニールとし、前記糸を除く他の糸のデニール数を50〜100デニールとする。より好適には、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を300〜500デニールとし、前記糸を除く他の糸のデニール数を75〜90デニールとする。
【0013】
また、前記緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸をモノフィラメントとし、前記他の糸をマルチフィラメントとしたことを特徴とする網戸用ネット(N)とするのが好適である。
【0014】
具体的には、前記緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸をポリエステルモノフィラメントとし、前記他の糸をポリエステルマルチフィラメントとしたことを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0015】
また、本発明は、1又は2以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、1又は2以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部の糸のデニール数を、前記糸を除く他の糸のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)、或いは、緯糸部(X)を構成する一部の糸のデニール数を、縦糸部(Y)のみを構成する糸(F)のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)、或いは、緯糸部(X)のみを構成する一の糸(R)のデニール数を、前記糸(R)を除く他の糸のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)であっても良い。
【0016】
なお、1本又は2本以上の糸で構成される糸又は糸束である縦糸部(Y)は、2〜5本の糸で構成される縦糸部(Y)であるのが好適であり、1本又は2本以上の糸で構成される糸又は糸束である緯糸部(X)は、2〜5本の糸で構成される緯糸部(X)であるのが好適である。
【0017】
このように、縦糸部(Y)と緯糸部(X)を構成する糸のデニール数を異ならしめた網戸用ネットであると、相対的に太い糸を自立性の要求される方向に沿うように配置することができると共に、相対的に細い糸と細い糸によってネット表面上に凹凸を形成し、空気の流れを促進して、通気性を高めることができる。同一メッシュ数の網戸用ネットであっても、相対的に細い糸と細い糸によってネット表面上に凹凸を形成することにより、通気性を高めているのである。
【0018】
また、上方向に巻き上げるロール式網戸において、網戸の上下方向に縦糸部(Y)、網戸の左右方向に緯糸部(X)が沿うように網戸用ネットを設置すると、上方向に巻き上げる際には、相対的に細く柔軟性のある縦糸部(Y)を巻き上げることになるため、収納性能が高い。そして、自立性が要求される使用状態(非収納状態)においては、左右方向に相対的に太くコシのある緯糸部(X)が配置されるため自立性が向上する。
【0019】
また、多数のプリーツを施すことにより左右方向に折り畳まれて収納されるアコーディオン式網戸においては、上記とは逆に、上下方向に相対的に太い糸を用いた緯糸部(X)、左右方向に相対的に細い縦糸部(Y)が沿うように網戸用ネットを設置する。そうすると、左右方向に折り畳む際には相対的に細く柔軟性のある縦糸部(Y)を巻き上げることになるため、収納性能が高い。そして、自立性が要求される使用状態(非収納状態)においては、上下方向に相対的に太くコシのある緯糸部(X)が配置されるため自立性が向上する。
【0020】
また、本発明は、具体的には、少なくともフロント糸(F)、ミドル糸(M)及びバック糸(B)で構成される縦糸部(Y)と、少なくとも前記ミドル糸(M)、前記バック糸(B)及び補強糸(R)で構成される緯糸部(X)とからなる編組成された網戸用ネットであって、緯糸部(X)のみを構成する補強糸(R)のデニール数を、フロント糸(F)、ミドル糸(M)及びバック糸(B)のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0021】
さらに具体的には、フロント糸(F)、ミドル糸(M)及びバック糸(B)で構成される縦糸部(Y)と、前記ミドル糸(M)、前記バック糸(B)及び補強糸(R)で構成される緯糸部(X)とからなり、フロント糸(F)は縦糸部(Y)のみを構成し、補強糸(R)は緯糸部(X)のみを構成するように編組成された網戸用ネットであって、前記フロント糸(F)、ミドル糸(M)及びバック糸(B)のデニール数は50〜100デニールであり、補強糸は300〜600デニールである網戸用ネット(N)とするのが好ましい。
【0022】
好適であるのは、前記フロント糸、ミドル糸及びバック糸のデニール数は75デニールであり、補強糸は300デニールである網戸用ネット(N)である。
【0023】
また好適であるのは、前記フロント糸、ミドル糸及びバック糸をマルチフィラメントとし、補強糸(R)をモノフィラメントとした網戸用ネット(N)である。
【0024】
また、本発明は、1又は2以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、1又は2以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数と、前記糸を除く他の糸のデニール数とを異ならしめると共に、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸の断面形状と、前記他の糸の断面形状を異ならしめたことを特徴とする網戸用ネット(N)である。
【0025】
なお、本発明の網戸用ネット(N)は、縦型又は横型のロール式網戸、横型アコーディオン式網戸、パネル網戸、中折網戸などに用いることができる。
【0026】
また、本発明の通気性は、JIS1096A法に基づく試験において確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、自立性、通気性を備えた網戸用ネット及び網戸である。さらに、ロール式網戸やアコーディオン式網戸では、良好な収納性をも兼ね備えた網戸である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施例の網戸用ネットの正面図
【図2】本実施例の網戸用ネットのA部拡大図
【図3】ロール網戸の斜視図
【図4】本実施例の網戸用ネットの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施例は、図1及び図2に示すとおり、フロント糸F、ミドル糸M及びバック糸Bで構成される縦糸部Yと、前記ミドル糸M、前記バックB糸及び補強糸Rで構成される緯糸部Xとからなる編組成された網戸用ネットであって、緯糸部Xのみを構成する補強糸Rのデニール数を、フロント糸F、ミドル糸M及びバック糸Bのデニール数よりもを大きくしたことを特徴とする網戸用ネットNである。
【0030】
図2に示すとおり、フロント糸F、ミドル糸M及びバック糸Bは縦糸部Yを構成する。そのうち、フロント糸Fは縦糸部Yのみを構成し、ミドル糸M及びバック糸Bは緯糸部Xをも構成する。また、補強糸Rは緯糸部Xのみを構成する。
【0031】
フロント糸F、ミドル糸M及びバック糸Bは、75デニールのポリエステルマルチフィラメントであり、補強糸Rは600デニールのポリエステルモノフィラメントである。
【0032】
なお、フロント糸F、ミドル糸M及びバック糸Bのデニール数は50〜100デニールの範囲内で適宜選択し、補強糸は300〜600デニールの範囲内で適宜選択することができる。
【0033】
各フィラメントはポリエステルが好ましいが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩ビなどを用いることもできる。
【0034】
また、ポリエステルとしては、主たる繰返単位がエチレンテレフテレートであるポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、主たる繰返単位がブチレンテレフタレートであるポリブチレンテレフテレート系ポリエステル、主たる繰返単位がトリメチレンテレフテレートであるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルが例示される。
【0035】
また、各フィラメントの断面形状は特に限定されず、丸、三角、扁平等の拘置の断面形状のものを用いることができる。
【0036】
また、これらのフィラメントからなる編織布の組織は特に限定されるものではなく、織物としては平組織、綾組織、斜文組織など公知の織組織が例示され、編物としては横編、縦編いずれでもよく、トリコット編、ミラニーズ編等が例示される。
【0037】
また、メッシュ数は特に限定されないが、16〜24メッシュが好適な範囲である。また、格子状の交点を熱溶着によって結合しても良い。
【0038】
図3は、上記ネットを用いたロール式網戸RNを示す図である。この場合、網戸の上下方向に縦糸部Y、網戸の左右方向に緯糸部Xが沿うように網戸用ネットを設置すると、まず、上方向に巻き上げる際には、相対的に細く柔軟性のある縦糸部Yを巻き上げることになるため、収納性能が高い。そして、自立性が要求される使用状態(非収納状態)においては、左右方向に相対的に太くコシのある緯糸部Xが配置されるため自立性が向上する。
【0039】
また図4は、図2を90°回転させたものであり、アコーディオン式網戸に好適に用いられる。つまり、上下方向に相対的に太い糸を用いた緯糸部X、左右方向に相対的に細い縦糸部Yが沿うように網戸用ネットを設置する。そうすると、左右方向に折り畳む際には相対的に細く柔軟性のある縦糸部Yを巻き上げることになるため、収納性能が高い。そして、自立性が要求される使用状態(非収納状態)においては、上下方向に相対的に太くコシのある緯糸部Xが配置されるため自立性が向上する。
【符号の説明】
【0040】
X 縦糸部
Y 緯糸部
F フロント糸
M ミドル糸
B バック糸
R 補強糸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、一以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数と、前記糸を除く他の糸のデニール数とは異なることを特徴とする網戸用ネット(N)
【請求項2】
一以上の糸で構成される縦糸部(Y)と、一以上の糸で構成される緯糸部(X)とで格子状に組成される網戸用ネットであって、緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を、前記糸を除く他の糸のデニール数よりも大きくしたことを特徴とする網戸用ネット(N)
【請求項3】
緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸のデニール数を300〜600デニールとし、前記糸を除く他の糸のデニール数を50〜100デニールとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の網戸用ネット(N)
【請求項4】
前記緯糸部(X)を構成する一部又は全部の糸をモノフィラメントとし、前記他の糸をマルチフィラメントとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の網戸用ネット(N)
【請求項5】
上方向に巻き上げるロール式網戸であって、網戸の上下方向に縦糸部(Y)、網戸の左右方向に緯糸部(X)が沿うように請求項1〜4のいずれかの網戸用ネットを設置したロール式網戸
【請求項6】
左右方向に折り畳むアコーディオン式網戸であって、網戸の上下方向に緯糸部(X)、左右方向に縦糸部(Y)が沿うように請求項1〜4のいずれかの網戸用ネットを設置したアコーディオン式網戸

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168686(P2010−168686A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12449(P2009−12449)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(300091382)シニオン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】