説明

網戸用清掃具

【課題】 従来の網戸用清掃具では不充分であった払拭性を改善しようとすものであり、作業者の労力およびコスト負担を軽減すること、さらに網戸のネットを破損することなく清浄な状態に払拭できる網戸用清掃具を提供すること。
【解決手段】 ローラー芯材表面に払拭布が被覆された回転自在のローラーと該ローラーにハンドルが装着されてなる網戸用清掃具であって、払拭布の清掃面に捲縮率5〜30%のカットパイルが立設していることを特徴とする網戸用清掃具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸用清掃具に関する。より詳細には表面にカットパイル繊維を有する払拭布をローラー芯材に被覆させることで、網戸の表面を転動すると同時にカットパイル繊維が網戸の網目に進入することにより汚れを掻き取って、同時に繊維表面に汚れを付着させて清掃する網戸用清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
網戸の清掃に際しては、汚れが酷い場合取り外して水洗いするが、水洗いした後の乾燥に時間がかかる。一方、それ程酷い汚れではない場合、タオル、雑巾等を用いて清掃されることが多いが、汚れを十分に落とすことができず、また多大な時間と労力を要する。
このため、操作ハンドルを備えた基台部と、上記基台部の下面側に配設された植毛布とを有し、該植毛布は、基布に対してカットパイルが高密集度で略垂直に植毛されており、該植毛布を配設された前記基台部にシート状清掃体を捲回して、前記シート状清掃体により被清掃面を擦って被清掃物質を捕集するようにした清掃具の提案がある。(特許文献1参照)
しかしながら上記の清掃具では、植毛部が網戸の網目の中に進入して被清掃物質を捕集しようとしても、清掃具が網戸表面を擦りながら移動するために、移動方向と垂直な方向の網戸構成糸に被清掃物質が取り残され、充分な払拭性が得られなかった。
【0003】
また、網戸を清掃する際、通常はタオル、雑巾等を直接手で持ってネットに押し付け、該ネット表面を擦りながら汚れを落とすように操作するが、雑巾を強く押し付けるとネットがその部分で目ずれが生じたり、場合によっては破れてしまうことがある。逆に、押圧を弱めると汚れが落ちにくく感じるなど、清掃時の力加減が難しい。
このため、網戸の汚れを拭き取るための払拭布と、この払拭布を装着して清掃作業を行うための清掃具本体とからなり、該清掃具本体が、略矩形のプレート状をした圧縮性を有するスポンジ体の上面に、該スポンジ体より外形寸法の小さい略矩形の保持板を取付けると共に、この保持板に柄を取付けることにより構成されていて、上記保持板の四隅に孔を有すると共に、上記スポンジ体の上面の各孔との対応位置に、前記拭布を押し込んで止着させるための切り込みを有する清掃具の提案がある。(特許文献2参照)
しかしながら、上記の提案において、圧縮性のあるスポンジ層が網戸のネットに対して柔軟に均一な力で押し付けることができても、網戸表面を擦ることには何ら変わりがないため、先述の理由により払拭性は不十分のままであった。
【0004】
また清掃効果を上げる目的で、泡状の洗剤を使用して払拭する場合もあるが、払拭後にタオル、雑巾等で洗剤を拭き取る作業が必要となり、網目内に付着した汚れを確実に除去するのは困難である。
これを改善するために、払拭部材に洗浄剤を含浸させた含水性ジェルを設け、被清掃物に加圧されると、前記ジェルが汚れを包み込むようにして除去する掃除具の提案がある。(特許文献3参照)
上記の掃除具は、含水性ジェルがローラー状の基材表面に形成されており、網戸表面を押さえながら転動させて使用する。しかしながら、ジェル状物により払拭する場合、ジェル状物表面へ不必要に汚れが吸着されるため、一旦ジェル状物に汚れが付着すると、粘着性が低下してしまい、再生がきかなくなるので拭取面積も僅かであり、利用者へのコスト負担が高くついてしまうといった欠点があった。
【0005】
一方、網戸にダンボール等を貼り付け、これとは反対面を掃除機で吸い取りながら塵埃を除去するケースも見受けられる。しかしながら、作業が手間取ることと、ネットに目ずれを生じさせたりして日々の掃除では不向きな作業であった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−17619号公報
【特許文献2】特開2003−477号公報
【特許文献3】特開平11−99119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来の網戸用清掃具では不充分であった払拭性を改善しようとするものであり、その目的は、作業者の労力およびコスト負担を軽減し、さらに網戸のネットが変形、破損等することなく、手軽にかつ確実に払拭できる網戸用清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、ローラー芯材表面に払拭布が被覆された回転自在のローラーと該ローラーにハンドルが装着されてなる網戸用清掃具であって、払拭布の清掃面に捲縮率5〜30%のカットパイルが立設していることを特徴とする網戸用清掃具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ネット表面を軽い力で均一に転動させることができ、穴の開いた部分があってもそれを広げることなくネット上に付着した塵埃を効率よく払拭することができる。また、汚れた基布も簡単に洗浄することができ、使用者にとっては低コストで簡便に使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の網戸用掃除具の特徴は、網戸のネット上を払拭布が転動することによりネット表面に付着した汚れを掻き出すとともに、払拭布に付着させて汚れを除去しようとするものであり、ネット上を特定方向に往復させて擦りながら汚れを取るよりも優れた払拭性が発揮されるというものである。
上記のような操作により網戸に付着した汚れを除去するために、払拭布の表面(清掃面)にはカットパイルが立設している必要がある。すなわち、網戸を形成するネットの目(網目)の中にカットパイルが進入するような形状である必要がある。網目に進入することができない基布はネットのエッジ部に汚れを押し付けるだけになってしまい、除去することができない。
一方、単に表面にカットパイルが形成されている布帛を手で持って拭き取る場合には、網目に毛羽が進入することができてもネットのエッジに汚れを押し付けるだけになってしまう。
ところが、カットパイルを有する払拭布を回転可能なローラー芯材に被覆したものはネットのエッジ部に汚れを押し付けるようなことは起こらずに、カットパイルに汚れが捕捉されて、汚れを除去することが可能となる。
以上のように本発明の網戸用清掃具は、ローラー芯材の表面に払拭布が被覆されており、かつ該払拭布の表面(清掃面)にカットパイルが形成されていることが必須である。
【0011】
表面にカットパイルを有する払拭布には、織物地として例えばモケット地、コールテン地等がある。また編物地としてはトリコット地、ラッセル地、シンカーベロア地等がある。スライバーニットのような短繊維からなるカットパイルを有する基布は、使用中に毛羽として脱落する場合がある。これら基布を適当なサイズにスリットしたものをローラー芯材に巻き付ける、または袋状に製編織した基布を被せることにより本発明の網戸用清掃具を得ることが可能である。
【0012】
ここで、カットパイルはマルチフィラメントにより構成されていることが好ましい。モノフィラメントである場合にはカットパイル表面積が小さすぎるため、塵埃のような細かな汚れを捕捉することができない場合がある。
また、カットパイルを構成する繊維は、捲縮率(K1)が5〜30%である必要がある。捲縮率(K1)が5%を下回ると繊維にコシがなく、塵埃を掻き出すことができなくなってしまう。また、捲縮率(K1)が30%を超えると嵩が高すぎて、網目の中に繊維が進入しなくなり、ネット表面を転動するだけとなってしまい、充分な塵埃除去性が得られなくなってしまう。したがって、捲縮率(K1)は9〜20%が好ましい。ただし、カットパイルを構成する繊維よりも高さが低い位置にある繊維の捲縮率は30%を超えても構わない。
【0013】
カットパイルの高さについては、カットパイル糸が網目の中を根元まで突き刺さる必要はなく、ローラーが回転する際に進入すれば充分である。したがって、カットパイルの高さは目的とする網戸のサイズ等に応じて設定すればよく、概ね3〜30mmの範囲であれば払拭後の清浄性が得られる。
【0014】
また、カットパイルを構成する繊維の繊度については、0.1〜10dtexが好ましく、0.3〜5dtexがより好ましい。0.1dtexを下回ると繊維にコシがなくなり、拭取り性が低下する場合がある。また、繊度が10dtexを超えると、作業時に汚れが飛散することになり、作業者へ汚水が降りかかる場合がある。
【0015】
一方、本発明に用いるローラー芯材は、合成樹脂から形成されていることが好ましく、特に強度、剛性、耐衝撃性などに優れる熱可塑性樹脂から形成されていることが好ましい。
ローラー芯材の管状体部分の直径(外径)は特に限定されず、使用形態などに応じて決めることができ、一般的には、1.5〜6cmであることが製造の容易性、取扱性、拭取り性などの点から好ましい。また、ローラー芯材の長さも清掃具の使用形態などに応じて選択できるが、一般的には、2.0〜50cmであることが好ましい。
【0016】
本発明の網戸用掃除具は、回転可能なローラー芯材(以下、単にローラーと称する場合がある)を払拭布にて被覆し、ローラーにハンドルを差し込んで、網戸のネット上を転動させて使用するが、払拭布が汚れた場合にはハンドルからローラーを引き抜いて、ローラー自身を水洗いしてもよいが、以下に説明する方法で形成させておけば、払拭布のみを洗浄し、清浄化したのち、再度ローラーに被覆させて使用することができる。
【0017】
すなわち、ローラー芯材の表面にフック係合素子を固定しておき、払拭布の裏面(カットパイルが存在しない面)に該フック係合素子と係合可能なループを形成させておけば、それらは係合し合い、払拭布とローラーとを着脱可能に固定することができる。
【0018】
ローラー芯材の表面にフック係合素子を設ける場合、その形状および構造は払拭布裏面に設けるループの形状や形態に応じて、従来から知られている種々の係合素子形状の中から、適当な形状のものを選択することができる。何ら限定されるものではないが、本発明で採用し得るフック係合素子の形状としては、例えば、カギ型、キノコ型、T字型などを挙げることができる。
【0019】
該フック係合素子は、その高さが0.3mm以上であることが好ましい。フック係合素子の高さが0.3mm未満であると、払拭布裏面のループ係合素子との係合時の係合強力が低下し、小さな外力で払拭布がローラー芯材から剥離してしまい清掃作業が良好に行われなくなる場合がある。一方、フック係合素子の高さに特に制限はないが、例えば10mmを超える必要はなく、3mm程度あれば係合性は得られる。
【0020】
ローラー芯材の表面に設けるフック係合素子の密度は、ループ係合素子の形状や構造、ループ係合素子の高さ等の寸法などに応じて適宜選択すればよいが、一般的には、30〜150個/cmであることが、払拭布裏面のループ係合素子との係合が良好に行われ、しかも該払拭布を剥がす必要が生じた時に、ローラー芯材から円滑に剥がすことができるので好ましい。
【0021】
上記したフック係合素子を表面に有するローラー芯材の製法は特に制限されず、一例として、合成樹脂製の管状体の表面に、ホットメルト接着剤等を用いて、フック係合素子を表面に有するストリップ状のテープを巻き付けながら接着して、表面にフック係合素子を有するローラー芯材を製造する方法が、作業性および生産性に優れることから、好ましく採用される。
【0022】
一方、裏面にループを有する払拭布としては、製造時にループ状の繊維を地組織中に織り込んだり、編込んだりしてその裏面側にフック係合素子との係合機能が同時に発現するようにして製造した払拭布、またはカットパイル布帛などの基布を予め準備または作製しておき、その基布の裏面に、ループを有する別の不織布や布帛などを縫製、ラミネート等で装着することによって製造した払拭布を用いることができる。
【0023】
上記払拭布の製法は特に制限されず、清掃作業性、汚れの拭取り性に優れると共に裏面側にループを有する払拭布を製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよく、特に以下の方法によって、円滑に且つ生産性良く製造することができる。
すなわち、ループを有する糸条を、払拭布を構成する地糸の一部として用いて製編織する方法が好ましく採用され、この方法による場合は、裏面に小さなループが多数露出した払拭布が形成され、そのループが係合機能を発揮して、ローラー芯材の表面に存在するフック係合素子と係合して、該ローラー芯材の表面に払拭布を簡単に取り付けることができる。
【0024】
払拭布の裏面に露出させるループの数や大きさなどは、地組織の製編織に用いるループを有する糸条におけるループの数や大きさ、払拭布を製造する際の該糸条の使用本数、払拭布の目付などを調整することにより決めることができる。
該ループを有する糸条は、例えば、複数本の糸条を絡合装置に供給して絡合した加工糸を製造する際に、複数本の糸条の供給速度を互いに異ならせて絡合装置に供給し、遅い速度で供給した糸条を速い速度で供給した糸条の回りにループを形成しながら絡み付かせる既知の方法などにより製造することができる。
【0025】
次いで、上記で得られた払拭布をローラー芯材に固定する際、払拭布はローラー芯材を展開したような長方形に裁断して巻きつけてもよく、あるいは、ローラー芯材表面にスパイラル状に巻きつけてもよい。前記の長方形に裁断した場合はフック係合素子側を上側にしてハンドルを差し込んだローラー芯材をその表面を転がせるだけでローラー芯材と払拭布とが簡単に密着して使用できる状態になる。
【0026】
また、作業者自身よりも高い位置にある網戸の被清掃部を上記の清掃具を湿らせて清掃作業する場合、作業者に汚水がかかる場合がある。すなわち、ローラーの回転による汚水の飛散とネットの振動による飛散が生じ、飛散した汚水が作業者にかからないようにするため、ハンドルに飛散防止の工夫をすることは好ましいことであり、より具体的には樋状の汚水飛散防止用のカバーをハンドルに取り付ければよく、払拭部が見えるように透明のカバーを取り付けることが好ましい。
【0027】
以下、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
図1は、本発明の網戸用清掃具の一例を示す模式図である。カットパイル1を有する払拭布2をローラー芯材3に巻着したローラー4にハンドル5を挿入した状態のものである。
図2は、本発明に用いる払拭布の一例を示す断面模式図であり、モケット製布地の断面模式図である。図2では、カットパイル1と、該カットパイル1よりも高さが低く、かつ捲縮率が高い立毛糸6が存在している。
また、図3は本発明の網戸用清掃具のカットパイル1が網戸のネット7に進入している状態を示す断面模式図である。
図4は、払拭布の裏面に形成されたループ8とローラー芯材表面に固定されたフック係合素子9との係合状態を示す模式図である。
図5は、本発明の網戸用清掃具の他の一例を示す模式図であり、ハンドルに透明樹脂製の回転自在な汚水飛散防止用のカバー10を装着したものである。汚水飛散防止カバーがローラー4と接触しないように覆うように装着されている。
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例における各物性値は、以下のように測定した。
【0029】
・捲縮率(K1)
カセ巻取機で5500dtexとなるまで試料を巻き取った後、カセの下端中央に10gの荷重を吊して上部中央でこのカセを固定し、0.009cN/dtexの荷重が掛かった状態で90℃にて30分間熱水処理を行った。次いで無荷重状態で室温に放置し乾燥した後、再び10gの荷重を掛けて5分間放置後、糸長を測定しこれをL1(mm)とした。次に、1kgの荷重を掛け、30秒放置後の糸長を測定しこれをL2(mm)とした。そして、K1値(%)は下記式により求めた。
K1=[(L2−L1)/L2]×100
【0030】
・カットパイル高さ
最小目盛りが1mmの定規をパイル根元に挿入して、地部からカットパイル先端までの長さを測定した。
【0031】
・拭取り性評価
ポリプロピレン製モノフィラメント(白色)で製造された開き目が18メッシュのネットを用いて、縦横が200cm×100cmとなるように簡易網戸を組み立てた。次にウエスを用いて人工脂を網目に均一に塗り、その後にトナー粉末を振りかけ、簡易網戸を振動させて過剰のトナー粉末を脱落させて被清掃物とした。これを得られた清掃具を用いて清掃作業を行い、清掃後における被清掃物の汚れ具合を目視により3段階評価した。
3段階評価:
判定1;清掃面と反清掃面が白に近いグレー
判定2;清掃面は白に近いグレーであるが、反清掃面にトナーが付着しているのが判る
判定3;両面にトナーが付着しているのがはっきりと判る
【実施例1】
【0032】
ポリエステル繊維(SD;168dtex/48フィラメント)からなる1段ヒーター仮撚糸(K1値55%)をエア混繊機により3本集束させて504detx/144フィラメントとした後、これを真空セット機により90℃、10分の湿熱セット処理を施してK1値が11%であるカットパイル用捲縮繊維を得た。これをカットパイル高さが6mmとなるように、地組織の経糸としてポリエステル製紡績糸30番単糸、緯糸としてポリエステル繊維(SD;330dtex/72フィラメント)を用いて目付590g/mのモケット地を製造した。
【実施例2】
【0033】
ナイロンフィラメント糸(東レ株式会社製;140dtex/14フィラメント)1本を鞘糸として用い、芯糸として熱融着性繊維(芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる芯鞘型複合繊維;165dtex/48フィラメント)1本を用いて、芯糸のフィード率1.10、鞘糸のフィード率1.50としてタスラン(ヘバライン ファイバー テクノロジー Inc.の登録商標)ノズル(ヘバライン社製「#15」)に供給して、空気圧540kPa(5.5kg/cm2)、加工速度200m/分でタスラン加工を行って、410dtex/62フィラメントのループ加工糸(糸長1cm当りの平均ループ数22個)を製造した。
得られた加工糸を地組織用緯糸として用いたこと以外は、実施例1と同様にして目付けが670g/mのモケット地を製造した。
【0034】
比較例1
実施例1で使用したポリエステル繊維(SD;168dtex/48フィラメント)のみを用いて20ゲージのダブルニット編機にて製編し、目付160g/mのスムース組織の編地を得た。
【0035】
比較例2
ポリエステル繊維(SD;168dtex/48フィラメント)の1段ヒーター仮撚糸(K1値55%)をエア混繊機により3本集束させて504dtex/144フィラメントとした後、これを真空セット機により130℃、10分の湿熱セット処理を施してK1値が3%であるカットパイル用捲縮繊維を得た。これをカットパイル高さが6mmとなるように、地組織の経糸としてポリエステル製紡績糸30番単糸、緯糸としてポリエステル繊維(SD;330dtex/72フィラメント)を用いて目付580g/mのモケット地を製造した。
【0036】
比較例3
実施例1で用いた集束糸(504detx/144フィラメント)について、真空セットを施さずにそのまま用いたこと以外は、実施例1と同様にしてモケット地を製造した。
【0037】
比較例4
実施例1で使用したポリエステル繊維(SD;168dtex/48フィラメント)を20ゲージ、シンカー高さが3.2mmのシンカーパイル編機により製編し、全てのウエール、コースにループパイルが起立した、目付350g/mのパイル編地を得た。
【0038】
実施例1および比較例1〜3で得られた払拭布については、外径13mm、長さ16cmのポリプロピレン製筒状体(ローラー芯材)に巻き付け、回転が可能となるように部材を取り付けてローラーとした。一方、実施例2で得られた払拭布については、外径13mm、長さ16cmのポリプロピレン製筒状体にフック面ファスナー(マジックテープ株式会社製、マジロック)を巻着固定し、その表面に該当する払拭布を巻着つけてローラーを作製した。
これらのローラーにハンドルを差し込んで網戸用清掃具とし、清掃作業を実施した。
また、比較例5として、実施例1により製造した基布を16cm×4cmのプラスチック製基台に基布の裏面側を貼り合わせてコテ状の清掃具を作製し、網戸上を擦って清掃作業を実施した。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1の結果からも明らかなように、実施例1および2については清掃面も反清掃面の両面ともに充分な払拭性が得られた。比較例3〜5については、清掃面は充分清掃されていたが、裏面(反清掃面)に汚れがまわり込んで、汚れが除去できていない状態であった。一方、比較例1および2については、両面ともに網目に汚れが付着したままで、充分な払拭性が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の網戸用清掃具の一例を示す模式図
【図2】本発明に用いる払拭布の一例を示す断面模式図
【図3】本発明の網戸用清掃具のカットパイルが網戸のネットに進入している状態を示す断面模式図
【図4】払拭布の裏面に形成されたループとローラー芯材表面に固定されたフック係合素子との係合状態を示す模式図
【図5】本発明の網戸用清掃具の他の一例を示す模式図
【符号の説明】
【0042】
1:カットパイル
2:払拭布
3:ローラー芯材
4:ローラー
5:ハンドル
6:捲縮率が高い立毛糸
7:ネット
8:ループ
9:フック係合素子
10:汚水飛散防止用のカバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー芯材表面に払拭布が被覆された回転自在のローラーと該ローラーにハンドルが装着されてなる網戸用清掃具であって、払拭布の清掃面に捲縮率5〜30%のカットパイルが立設していることを特徴とする網戸用清掃具。
【請求項2】
払拭布が織編物からなる請求項1に記載の網戸用清掃具。
【請求項3】
ローラー芯材の表面にフック係合素子が存在し、払拭布の裏面にローラー芯材の表面に設けたフック係合素子と係合するループが存在し、該ローラー芯材と該払拭布が着脱可能である請求項1または2に記載の網戸用清掃具。
【請求項4】
ハンドルに汚水飛散防止用のカバーが装着されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の網戸用清掃具。
【請求項5】
汚水飛散防止用のカバーが回転自在に装着されてなる請求項4に記載の網戸用清掃具。
【請求項6】
汚水飛散防止用のカバーが透明である請求項4または5に記載の網戸用清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−55240(P2006−55240A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237916(P2004−237916)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)