説明

網点検出回路、及びこれを備えた画像処理装置

【課題】ラインメモリの容量を削減できる網点検出回路を提供する。
【解決手段】主走査方向の1ライン分の入力画像を記憶する第1のラインメモリ12と、新たなラインの入力画像と、受け付けた双方の入力画像を注目画素を互いに異なる位置に含む2次元の画素ブロックに区分して、それぞれの画素ブロック毎に、濃度値が最大となる画素の位置を特定する位置特定データを、入力画像の画素よりもビット数が小さなデータで表して出力する最大濃度画素特定手段15と、位置特定データを順次記憶する第2のラインメモリ14と、双方の位置特定データを順次受け付け、受け付けた双方の位置特定データから注目画素を含む全ての画素ブロックに対応する位置特定データを取得し、当該取得した全ての位置特定データが、各画素ブロックにおける注目画素の位置を示す場合には、注目画素を網点とする網点検出手段11と、を直列接続されてなる回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインメモリの容量を削減できる網点検出回路、及びこれを備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファクシミリ装置やプリンタなどの画像処理装置は、入力された画像をライン毎にラインメモリに記憶し、フィルター処理を行うことにより、入力画像の画像処理を行うようにしている。
【0003】
このような画像処理装置の例を図6(a)に示す。このような画像処理装置100は、入力画像(ここではラスター画像)を受け付けるラスター入力部110と、網点検出部111と、ラインメモリ112,113と、を備える(特許文献1参照)。
【0004】
ラスター入力部110には、ラインL1を通じて網点検出部111が接続されてなり、ラインL1から分岐したラインL2上にラインメモリ112を、ラインL2から分岐したラインL3上にラインメモリ113を接続し、ラインL2,L3の延長線上に網点検出部111が接続されてなる。つまり、ラスター入力部110と網点検出部11との間には、ラインL1、ラインメモリ112,113が並列して介在されている。
【0005】
図6(b)は、3×3画素からなる画素ブロックの例を示している。
【0006】
このような画素ブロックは網点検出に用いられ、ラインL1を通じて受け付けた入力画像、ラインメモリ112を通じて受け付けた入力画像、ラインメモリ113を通じて受け付けた入力画像を順次受け付け、受け付けたこれらの入力画像をこのような画素ブロックに区分することにより網点を検出する。
【0007】
すなわち、図6(b)を用いて説明すると、画素P0に注目し注目画素とする一方、画素P0に線的又は点的に接する画素P1・・・を周辺画素として、注目画素P0と周辺画素P1との濃度差が所定の閾値を超えるか否かを判別することにより、注目画素P0が周辺画素P1と比較して濃度値が大きいか否かを判別して、判別結果を1ビットのデータで出力する。
【0008】
図6(b)では、注目画素P0の階調値が「95」であるが、注目画素P0以外の周辺画素P1の階調値は注目画素P0のそれよりも小さい。その結果、注目画素P0が周辺画素P1と比較して濃度値が大きいので、注目画素P0を網点と検出する。
【特許文献1】特開2000−251065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ラスター画像は多値画像であり、このような多値画像を扱うためには、ラスター画像が256階調の多値画像であれば、1画素あたり8ビットのビット長を有するため、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を有するラインメモリを使用する必要がある。そうすると、前記画像処理装置では、このようなラインメモリが2個必要となってしまい、その分、製造コストが増大する。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ラインメモリの容量を削減できる網点検出回路、及びこれを備えた画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の網点検出回路は、注目画素と周辺画素との濃度差を判別することにより、前記注目画素が網点であることを検出する網点検出回路において、主走査方向の1ライン分の入力画像を記憶する第1のラインメモリと、新たなラインの入力画像と、前記第1のラインメモリに記憶された入力画像とを順次受け付け、受け付けた双方の前記入力画像を前記注目画素を互いに異なる位置に含む2次元の画素ブロックに区分して、それぞれの前記画素ブロック毎に、濃度値が最大となる画素の位置を特定する位置特定データを、前記入力画像の画素よりもビット数が小さなデータで表して出力する最大濃度画素特定手段と、前記位置特定データを順次記憶する第2のラインメモリと、前記最大濃度画素特定手段から出力された新たな前記位置特定データと、前記第2のラインメモリに記憶された位置特定データとを順次受け付け、受け付けた双方の前記位置特定データから前記注目画素を含む全ての前記画素ブロックに対応する位置特定データを取得し、当該取得した全ての位置特定データが、各画素ブロックにおける前記注目画素の位置を示す場合には、前記注目画素を前記網点とする網点検出手段と、を直列接続されてなることを特徴とする。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、最大濃度特定手段が、入力された入力画像を受け付けるとともに、第1のラインメモリに記憶された入力画像を受け付けて、双方の入力画像を注目画素を互いに異なる位置に含む2次元の画素ブロックに区分し、それぞれの画素ブロック毎に、前記入力画像の画素よりもビット数が小さく、かつ、濃度値が最大となる画素の位置を特定する位置特定データを出力する。
【0013】
このような位置特定データは、後段に接続される網点検出手段と第2のラインメモリとに出力され、網点検出手段が、網点検出手段と第2のラインメモリとから到達する位置特定データから全ての画素ブロックに対応する位置特定データを取得し、取得した全ての位置特定データが、各画素ブロックにおける注目画素の位置を示す場合には、注目画素を網点とする。
【0014】
そのため、第1のラインメモリは、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つものが必要ではあるが、第2のラインメモリの1記憶領域あたりの記憶容量は、入力画像1画素あたりのビット数(8ビット)よりも小さなビット数(例えば2ビット)の位置特定データにより決定されるので、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つ2つのラインメモリが1つで済むようになり、ラインメモリの容量の削減を行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明の網点検出回路は、請求項1に記載の発明の網点検出回路であって、前記最大濃度画素特定手段は、前記双方の入力画像を2×2の画素ブロックに区分する構成とされてなり、前記位置特定データとして、前記濃度値が最大となる画素の位置を、前記各画素ブロックにおける左上、右上、左下、右下の4位置で示すものであることを特徴とする。
【0016】
そのため、最大濃度画素特定手段から第2のラインメモリへ位置特定データとして出力されるデータ量が2ビットで済み、第2のラインメモリの1記憶領域あたりのビット数が2ビットで済むので、従来のように、第2のラインメモリを第1のラインメモリのように、1記憶領域あたり8ビットの容量を有するラインメモリで構成する必要がない。
【0017】
請求項3に記載の発明の網点検出回路は、請求項2に記載の発明の網点検出回路であって、前記網点検出手段は、前記受け付けた双方の位置特定データを、前記注目画素を左上に含む画素ブロックの位置特定データを第1特定データ、前記注目画素を右上に含む画素ブロックの位置特定データを第2特定データ、前記注目画素を左下に含む画素ブロックの位置特定データを第3特定データ、前記注目画素を右下に含む画素ブロックの位置特定データを第4特定データ、として取得し、前記濃度値が最大となる画素の位置として、前記第1特定データが前記左上位置を示し、かつ、前記第2特定データが前記右上位置を示し、かつ、前記第3特定データが前記左下位置を示し、かつ、前記第4特定データが前記右下位置を示す場合には、前記注目画素を網点とすることを特徴とする。
【0018】
そのため、最大濃度画素特定手段から出力される位置特定データを2ビットとしても注目画素が網点か否かを検出できる。
【0019】
請求項4に記載の発明の網点検出回路は、請求項2又は請求項3に記載の網点検出回路であって、前記画素は、8ビット以上のビット長を有するデータであり、前記位置特定データは、前記4位置を2ビットのデータで表すことを特徴とする。
【0020】
そのため、入力画像を最大濃度画素判別手段の前段で一旦記憶するラインメモリは、1記憶領域あたり8ビット以上の記憶領域を有することが必要であるが、網点検出手段の前段で一旦入力画像を記憶するラインメモリは、2ビットのデータで表される位置特定データを記憶できればよく1記憶領域あたり2ビットの記憶容量を有すればよいので、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つ2つのラインメモリが1つで済むようになり、ラインメモリの容量の削減を行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の網点検出回路を備えている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、第1のラインメモリは、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つものが必要ではあるが、第2のラインメモリの1記憶領域あたりの記憶容量は、入力画像1画素あたりのビット数(8ビット)よりも小さなビット数(例えば2ビット)の位置特定データにより決定されるので、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つ2つのラインメモリが1つで済むようになり、ラインメモリの容量の削減を行うことができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、最大濃度画素特定手段から第2のラインメモリへ位置特定データとして出力されるデータ量が2ビットで済み、第2のラインメモリの1記憶領域あたりのビット数が2ビットで済むので、従来のように、第2のラインメモリを第1のラインメモリのように、1記憶領域あたり8ビットの容量を有するラインメモリで構成する必要がない。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、最大濃度画素特定手段から出力される位置特定データを2ビットとしても注目画素が網点か否かを検出できる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、入力画像を最大濃度画素判別手段の前段で一旦記憶するラインメモリは、1記憶領域あたり8ビット以上の記憶領域を有することが必要であるが、網点検出手段の前段で一旦入力画像を記憶するラインメモリは、2ビットのデータで表される位置特定データを記憶できればよく1記憶領域あたり2ビットの記憶容量を有すればよいので、1記憶領域あたり8ビットの記憶容量を持つ2つのラインメモリが1つで済むようになり、ラインメモリの容量の削減を行うことができる。
【0026】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の網点検出回路を備えているので、請求項1〜4のいずれかに記載の効果を奏する画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る網点検出回路及び画像処理装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る網点検出回路及び画像処理装置の一例を示す図である。
【0028】
図1に示す画像処理装置Aは、本発明の網点検出回路1の他、原稿を読み取り入力画像(ここではラスター画像)を生成するCCD16、網点検出部11による検出結果を受けて入力画像の平滑化などといった画像処理を行う画像処理部17、を備えている。この網点検出回路1、画像処理装置Aにおいて、最大濃度画素特定部15は最大濃度画素特定手段を、ラインメモリ12は第1のラインメモリを、ラインメモリ14は第2のラインメモリを、網点検出部11は網点検出手段を、それぞれ構成している。
【0029】
網点検出回路1において、ラスター入力部10、ラインメモリ12、最大濃度画素特定部15、ラインメモリ14、網点検出部11は直列接続されている。
【0030】
ラスター入力部10は入力画像を受け付けて、最大濃度画素特定部15とラインメモリ12とに入力画像を出力する。ラスター入力部10から最大濃度画素特定部15には入力画像がラインL1を通じてダイレクトに出力される。
【0031】
ラインメモリ12は、ラインL1から分岐されたラインL2上に設けられたFIFOバッファで構成されてなり、ラインメモリ12を通じた入力画像を、ラインL1を通じてダイレクトに出力される入力画像と比べて1ライン分遅延して、最大濃度画素特定部15へ到達させるように構成されてなる。このように入力画像の到達を1ライン分遅延させるためには、ラインメモリ12へ供給される書き込みクロック又は読み出しクロックの周波数を調節すればよい。
【0032】
そのため、最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じてダイレクトに到着した入力画像と、ラインメモリ12を通じて1ライン分遅延して到着した入力画像とに基づいて、後述する最大濃度画素特定処理を行うことができる。
【0033】
最大濃度判別部15の後段には、ラインL3が接続されてなり、ラインL3及びラインL3から分岐したラインL4を通じて網点検出部11が接続されている。最大濃度判別部15は、ラインL3,L4を通じて、後述する位置特定データを受け付けて、後述する網点検出処理を行う。
【0034】
ラインメモリ14は、ラインL3から分岐されたラインL4上に設けられたFIFOバッファで構成されてなる。つまり、ラインL3を通じて出力される位置特定データはダイレクトに網点検出部11に到達するが、ラインメモリ14には位置特定データが一旦保持されるため、ラインL3を通じてダイレクトに出力される位置特定データと比べて所定データ数分遅延して網点検出部11へ到達する。
【0035】
ここに、遅延させるべきデータ数は、ラインメモリ14へ供給される書き込みクロック又は読み出しクロックの周波数により決定される。
【0036】
そのため、網点検出部11は、ラインL3を通じてダイレクトに出力される位置特定データと、ラインメモリ14を通じて出力される位置特定データとに基づいて、後述する網点検出処理を行うことができる。
【0037】
図2は、最大濃度画素特定部15による最大濃度画素特定処理について説明するため、ラスター入力部10から最大濃度画素特定部15への入力画像の出力態様を模式的に示す図であり、図3は、画素ブロックの構成と最大濃度画素特定処理における位置特定データの出力態様とを模式的に示す図である。
【0038】
図2、図3において、最大濃度画素特定部15へ入力される入力画像を区分して生成される画素ブロックは、画素P4を互いに異なる位置に注目画素として含む2次元の画素ブロック(1)〜(4)である。尚、画素ブロック(1)〜(4)以外にも、画素P4の他の画素を互いに異なる位置に注目画素として含む画素ブロックが生成されることがありうるが、最大濃度画素特定処理及び網点検出処理の説明を容易とするため、画素P4を互いに異なる位置に注目画素として含む画素ブロック(1)〜(4)のみを図示するものとする。
【0039】
先述したように、ラスター入力部10は、ラインL1,L2を通じて入力画像を最大濃度画素特定部15へ出力する。その際、出力される入力画像を画素順に画素P0、画素P1、・・・画素P8とし、画素P0,P1,P2と画素P3,P4,P5との間、画素P3,P4,P5と画素P6,P7,P8との間には、1ライン分の画素間隔があるものとする。ここに、それぞれの画素P0〜P8に付随している数値はそれぞれの画素の階調値を示しており、それぞれの画素P0〜P8のビット数は8ビットである。
【0040】
ラインメモリ12を通じて最大濃度画素特定部15に出力される入力画像は、先述したように、ラインL1を通じて出力される入力画像よりも1ライン分、遅延して最大濃度画素特定部15に到達する。
【0041】
このように、最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じて画素P3、P4,P5・・・を受け付けることに同期して、ラインメモリ12から画素P0,P1,P2・・・を受け付ける。
【0042】
最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じて受け付けた画素P3〜P8及びラインメモリ12を通じて受け付けた画素P0〜P8に基づいて後述するような最大濃度画素特定処理を行う。
【0043】
最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じた画素P3〜P8、及び、ラインメモリ12を通じた画素P0〜P8を1画素づつ順次受け付ける。最初の2画素を受け付けると、その後、1画素を受け付ける毎に、受け付けた画素を2×2画素からなる2次元の画素ブロックに区分し、各々の画素ブロックにおいて、どの位置の画素の濃度値が最大であるかを判別し、その判別結果を、入力画像の画素よりもビット数が小さな位置特定データ(ここでは2ビット)で表して出力する。
【0044】
次に、位置特定データの出力ルールを説明する。最大濃度画素特定部15は、入力画像を画素ブロックに区分する毎に、各々の画素ブロックにおいて、濃度値が最大となる画素の位置を、各画素ブロックにおける左上、右上、左下、右下の4位置で示す2ビットからなる位置特定データを出力する。
【0045】
例えば、図3において、最大濃度画素特定部15は、画素ブロック(1)では左上画素の濃度値が最大であるので「00」からなる位置特定データを出力する。また、画素ブロック(2)では右上画素の濃度値が最大であるので「01」からなる位置特定データを出力する。また、画素ブロック(3)では左下画素の濃度値が最大であるので「10」からなる位置特定データを出力する。また、画素ブロック(4)では右下画素の濃度値が最大であるので「11」からなる位置特定データを出力する。
【0046】
このような最大濃度画素特定部15による最大濃度画素特定処理を、図2とともに詳述する。
【0047】
最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じて画素P3,P4を2画素分、ラインメモリ12を通じて画素P0,P1を2画素分受け付けると、画素ブロック(1)(図3)に区分し、どの位置の画素の濃度値が最大であるかを判別し、左上画素P4の濃度値が最大であるので、2ビットからなる位置特定データ「00」を出力する。
【0048】
また、ラインL1を通じて画素P4,P5を2画素分、ラインメモリ12を通じて画素P1,P2を2画素分受け付けると、画素ブロック(2)(図3)に区分する。画素ブロック(2)では、右上画素P4の濃度値が最大であるので2ビットからなる位置特定データ「01」を出力する。
【0049】
その後、最大濃度画素特定部15は、ラインL1を通じて画素P6,P7を2画素分、ラインメモリ12を通じて画素P3,P4を2画素分受け付けると、画素ブロック(3)(図3)に区分し、どの位置の画素の濃度値が最大であるかを判別し、左下画素P4の濃度値が最大であるので、2ビットからなる位置特定データ「10」を出力する。
【0050】
また、ラインL1を通じて画素P7,P8を2画素分、ラインメモリ12を通じて画素P4,P5を2画素分受け付けると、画素ブロック(4)(図3)に区分する。画素ブロック(4)では、右下画素P4の濃度値が最大であるので2ビットからなる位置特定データ「11」を出力する。
【0051】
図4は、網点検出部15による網点検出処理について説明するため、最大濃度画素特定部15から網点検出部11への位置特定データの出力態様を模式的に示す図であり、図5は、網点検出部11が受け付けた位置特定データを模式的に示す図である。
【0052】
最大濃度画素特定部15から出力される位置特定データは、ラインL3を通じて網点検出部11に出力され、同時に、ラインメモリ14を通じて網点検出部11に出力される。
【0053】
ラインメモリ14は、FIFOバッファにより構成されてなり、ラインL3を通じた位置特定データよりも、入力画像1ラインあたりの画素数と同じ数の位置特定データ数分遅延して、位置特定データを出力する構成とされてなり、遅延させる位置特定データ数は、ラインメモリ14へ供給すべき書き込みクロック又は読み出しクロックの周波数を調整することにより設定できる。
【0054】
ここに、ラインメモリ14を通じた位置特定データを、入力画像1ラインあたりの画素数と同じ数だけ遅延させているのは、仮にこの数だけ遅延させていなければ、網点検出部11が、画素ブロック(2)(図3)の1ライン分後に存在する左下画素P4の濃度値が最大となる画素ブロック(3)(図3)の位置特定データ「10」を、画素ブロック(2)における位置特定データ「00」と同期して受け付けることができないからである。
【0055】
網点検出部11は、最大濃度画素特定部15から位置特定データを受け付ける毎に、受け付けた位置特定データを、注目画素を左上に含む画素ブロックの位置特定データを第1特定データ、注目画素を右上に含む画素ブロックの位置特定データを第2特定データ、注目画素を左下に含む画素ブロックの位置特定データを第3特定データ、注目画素を右下に含む画素ブロックの位置特定データを第4特定データとして取得する。
【0056】
そして、網点検出部11は、濃度値が最大となる画素の位置として、第1特定データが左上位置を示し、かつ、第2特定データが右上位置を示し、かつ、第3特定データが左下位置を示し、かつ、第4特定データが右下位置を示す場合には、取得した全ての位置特定データが、各画素ブロック(1)〜(4)における濃度値が最大となる画素として、注目画素を示しているので、当該注目画素を網点とする。
【0057】
ここに、第1特定データが濃度値が最大となる画素の位置として左上位置を示す場合とは、第1特定データが「00」の場合のことをいい、第2特定データが濃度値が最大となる画素の位置として右上位置を示す場合とは、第2特定データが「01」の場合のことをいい、第3特定データが濃度値が最大となる画素の位置として左下位置を示す場合とは、第3特定データが「10」の場合のことをいい、第4特定データが濃度値が最大となる画素の位置として右下位置を示す場合とは、第4特定データが「11」の場合のことをいう。
【0058】
図3及び図4において、網点検出部11は、位置特定データ「00」を、注目画素P4を左上に含む画素ブロック(1)の第1特定データとして取得する。また、位置特定データ「01」を、注目画素P4を右上に含む画素ブロック(2)の第2特定データとして取得する。また、位置特定データ「10」を注目画素P4を左下に含む画素ブロック(3)の第3特定データとして取得する。また、位置特定データ「11」を、注目画素P4を右下に含む画素ブロック(4)の第4特定データとして取得する。
【0059】
網点検出部11は、これらの第1〜第4特定データを、図5に示すような2×2データからなるデータブロックに区分する。このようなデータブロックは、ブロックX0〜X3からなり、それぞれのブロックX0〜X3には、第1〜第4特定データが位置している。
【0060】
網点検出部11は、ブロックX0〜X3の順に、「00」、「01」、「10」、「11」からなる第1〜第4特定データが配列されているか否かを判断する。ブロックX0〜X3の順に、「00」、「01」、「10」、「11」からなる第1〜第4特定データが配列されている場合には、濃度値が最大となる画素の位置として、第1特定データが左上位置を、第2特定データが右上位置を、第3特定データが左下位置を、第4特定データが右下位置を示しているので、注目画素P4が網点であるとして、1ビットからなるデータ「1」を出力する。なお、このような位置特定パターンが生成できなければ、注目画素P4が網点ではないとして、1ビットからなるデータ「0」を出力する。
【0061】
このように、本発明の網点検出回路1及び画像処理装置Aによれば、最大濃度画素特定部15が入力画像を2×2画素からなる画素ブロック(1)〜(4)に区分し、それぞれの画素ブロック(1)〜(4)における最大濃度値を示す画素の位置を特定する位置特定データを2ビットからなるデータで表して出力し、網点検出部11が、最大濃度画素特定部15から出力された位置特定データを第1〜第4特定データとして取得し、取得した第1〜第4特定データを区分して生成したデータブロックにおいて、ブロック順に、「00」、「01」、「10」、「11」からなる位置特定データを受け付けたと判断すると、画素P4を注目画素として網点であるか否かを検出できる。
【0062】
そのため、従来、1画素あたり8ビットの記憶容量を有するラインメモリが2つ必要であったのを、1つで済ませることができ、ラインメモリの容量を削減した網点検出回路1及び画像処理装置Aを提供できる。
【0063】
また、このような最大濃度画素特定処理及び網点検出処理は、以下の手法によっても行うことができる。
【0064】
すなわち、最大濃度画素特定部15が、入力画像を、順次、左上画素、右上画素、左下画素、右下画素を注目画素として含む画素ブロック(1)〜(4)に区分し、画素ブロック(1)〜(4)の各々において、それぞれの注目画素P4が他の画素に比べて最大である場合には、前記第1〜前記第4特定データとして、1ビットからなる「1」からなる位置特定データを出力する。
【0065】
そして、網点検出部11は、最大濃度画素特定部15から出力された位置特定データを2×2のデータブロックに区分し、区分したデータブロックが、「1」からなる位置特定データのみからなる場合には、第1特定データが左上位置の画素の濃度値が最大であることを示し、かつ、第2特定データが右上位置の画素の濃度値が最大であることを示し、かつ、第3特定データが左下位置の画素の濃度値が最大であることを示し、かつ、第4特定データが右下位置の画素の濃度値が最大であることを示すので、注目画素P4を網点とする。
【0066】
このように、最大濃度画素特定部15が、1ビットからなる第1〜第4特定データを出力し、網点検出部11が第1〜第4特定データにより注目画素P4が網点であることを検出できるので、従来、1画素あたり8ビットの記憶容量を有するラインメモリが2つ必要であったのを、1つで済ませることができ、ラインメモリの容量を削減した網点検出回路1及び画像処理装置Aを提供できる他、位置特定データを記憶するラインメモリ14を、1データあたり1ビットの記憶容量を有するラインメモリで構成することができるので、網点検出回路1及び画像処理装置Aの製造コストをより削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る網点検出回路及び画像処理装置の一例を示す図である。
【図2】ラスター入力部から最大濃度画素特定部への入力画像の出力態様を模式的に示す図である。
【図3】画素ブロックの構成と最大濃度画素特定処理における位置特定データの出力態様とを模式的に示す図である。
【図4】最大濃度画素特定部から網点検出部への位置特定データの出力態様を模式的に示す図である。
【図5】網点検出部が受け付けた位置特定データを模式的に示す図である。
【図6】従来の画像処理装置の網点検出処理を説明するための図であり、図6(a)は従来の画像処理装置を、図6(b)は3×3画素からなる画素ブロックを、それぞれ示している。
【符号の説明】
【0068】
A 画像処理装置
1 網点検出回路
11 網点検出部
12 第1のラインメモリ
14 第2のラインメモリ
15 最大濃度画素特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目画素と周辺画素との濃度差を判別することにより、前記注目画素が網点であることを検出する網点検出回路において、
主走査方向の1ライン分の入力画像を記憶する第1のラインメモリと、
新たなラインの入力画像と、前記第1のラインメモリに記憶された入力画像とを順次受け付け、受け付けた双方の前記入力画像を前記注目画素を互いに異なる位置に含む2次元の画素ブロックに区分して、それぞれの前記画素ブロック毎に、濃度値が最大となる画素の位置を特定する位置特定データを、前記入力画像の画素よりもビット数が小さなデータで表して出力する最大濃度画素特定手段と、
前記位置特定データを順次記憶する第2のラインメモリと、
前記最大濃度画素特定手段から出力された新たな前記位置特定データと、前記第2のラインメモリに記憶された位置特定データとを順次受け付け、受け付けた双方の前記位置特定データから前記注目画素を含む全ての前記画素ブロックに対応する位置特定データを取得し、当該取得した全ての位置特定データが、各画素ブロックにおける前記注目画素の位置を示す場合には、前記注目画素を前記網点とする網点検出手段と、
を直列接続されてなることを特徴とする網点検出回路。
【請求項2】
前記最大濃度画素特定手段は、前記双方の入力画像を2×2の画素ブロックに区分する構成とされてなり、
前記位置特定データとして、前記濃度値が最大となる画素の位置を、前記各画素ブロックにおける左上、右上、左下、右下の4位置で示すものであることを特徴とする請求項1に記載の網点検出回路。
【請求項3】
前記網点検出手段は、前記受け付けた双方の位置特定データを、
前記注目画素を左上に含む画素ブロックの位置特定データを第1特定データ、
前記注目画素を右上に含む画素ブロックの位置特定データを第2特定データ、
前記注目画素を左下に含む画素ブロックの位置特定データを第3特定データ、
前記注目画素を右下に含む画素ブロックの位置特定データを第4特定データ、
として取得し、
前記濃度値が最大となる画素の位置として、前記第1特定データが前記左上位置を示し、かつ、前記第2特定データが前記右上位置を示し、かつ、前記第3特定データが前記左下位置を示し、かつ、前記第4特定データが前記右下位置を示す場合には、前記注目画素を網点とすることを特徴とする請求項2に記載の網点検出回路。
【請求項4】
前記画素は、8ビット以上のビット長を有するデータであり、前記位置特定データは、前記4位置を2ビットのデータで表すことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の網点検出回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の網点検出回路を備えている画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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