説明

網状筋曲げ機

【課題】一つの網状筋に対する曲げ加工において、上向きに押し曲げる工程と下向きに押し曲げる工程とがある場合に、曲げ加工作業を能率良く行えるようにする。
【解決手段】網状筋Aを載置可能な基盤3と、基盤に載置された網状筋の複数の曲げ対象鉄筋aの夫々を上向きに押し曲げる上曲げ動作と、曲げ対象鉄筋の夫々を下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行可能な押圧部材10を設けてある押圧装置4と、上曲げ用反力受け部5と、下曲げ用反力受け部6とを備えている網状筋曲げ機であって、押圧部材を曲げ対象鉄筋毎に各別に備え、押圧部材の夫々を、上下方向に駆動揺動可能な基材17に曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で支持してあるとともに、基盤に載置された網状筋の隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、網状筋の下面側から上面側に突出移動可能に設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の鉄筋を互いに略直交する網状に組み付けてある網状筋を、その鉄筋の長手方向を基盤上面に略沿わせた姿勢で載置可能な基盤と、前記基盤に載置された網状筋のうちの互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその下面側から上曲げ用支点周りで上向きに押し曲げる上曲げ動作と、前記複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその上面側から下曲げ用支点周りで下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行可能な押圧部材を設けてある押圧装置と、前記押圧装置による上曲げ動作時に、前記網状筋が下向きに押し付けられる上曲げ用反力受け部と、前記押圧装置による下曲げ動作時に、前記網状筋が上向きに押し付けられる下曲げ用反力受け部とを備えている網状筋曲げ機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記網状筋曲げ機は、基盤に載置されている網状筋の複数部位を、その一端側から順に曲げ加工できるように構成してあり、基盤に載置された網状筋のうちの互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋の夫々を、その下面側から上曲げ用支点周りで上向きに押し曲げる上曲げ動作と、その上面側から下曲げ用支点周りで下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行できるので、一つの網状筋に対する曲げ加工において、上向きに押し曲げる工程と下向きに押し曲げる工程とがある場合に、基盤に載置した曲げ加工中の網状筋を、押し曲げ方向が変わる都度、上下に反転させることなく曲げ加工することができる。
従来の上記網状筋曲げ機では、上曲げ動作と下曲げ動作とを択一的に実行可能な押圧部材を、曲げ対象鉄筋の並設方向に沿って一連の曲げロールで構成し、その曲げロール(押圧部材)を上下方向に駆動揺動自在に支持して、曲げ対象鉄筋の夫々を単一の押圧部材で押し曲げることができるように構成してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−181581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、一つの網状筋に対する曲げ加工において、上向きに押し曲げる工程と下向きに押し曲げる工程とがある場合に、網状筋の押し曲げ方向を変更する都度、網状筋を上下に反転させる必要がないものの、一方向側への曲げ加工済みの網状筋を、一旦、支点と一連の曲げロールとの間から抜き取って、曲げロールの下方側に再度入り込ませたり、曲げロールの上方側に移動させるという煩雑な作業を行わなければ、曲げ加工前の網状筋部分の各曲げ対象鉄筋を曲げロールにセットすることができず、曲げ加工作業を能率良く行えない欠点がある。
つまり、網状筋をその下面側の曲げロールで上向きに押し曲げた後、次の加工部位を下向きに押し曲げるにあたって、上向き曲げ加工済みの網状筋を、支点と一連の曲げロールとの間から抜き取って、曲げロールの下方側に再度入り込ませてから、曲げ加工前の網状筋部分の各曲げ対象鉄筋を曲げロールの下方側にセットする必要がある。
また、網状筋をその上面側の曲げロールで下向きに押し曲げた後、次の加工部位を上向きに押し曲げるにあたって、下向き曲げ加工済みの網状筋を、支点と一連の曲げロールとの間から抜き取って、曲げロールの上方側に再度移動させてから、曲げ加工前の網状筋部分の各曲げ対象鉄筋を曲げロールの上方側にセットする必要がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、一つの網状筋に対する曲げ加工において、上向きに押し曲げる工程と下向きに押し曲げる工程とがある場合に、曲げ加工作業を能率良く行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、複数の鉄筋を互いに略直交する網状に組み付けてある網状筋を、その鉄筋の長手方向を基盤上面に略沿わせた姿勢で載置可能な基盤と、前記基盤に載置された網状筋のうちの互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその下面側から上曲げ用支点周りで上向きに押し曲げる上曲げ動作と、前記複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその上面側から下曲げ用支点周りで下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行可能な押圧部材を設けてある押圧装置と、前記押圧装置による上曲げ動作時に、前記網状筋が下向きに押し付けられる上曲げ用反力受け部と、前記押圧装置による下曲げ動作時に、前記網状筋が上向きに押し付けられる下曲げ用反力受け部とを備えている網状筋曲げ機であって、
前記押圧部材を前記曲げ対象鉄筋毎に各別に備え、前記押圧部材の夫々を、上下方向に駆動揺動可能な基材に前記曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で支持してあるとともに、前記基盤に載置された網状筋の隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、網状筋の下面側から上面側に突出移動可能に設けてある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
押圧部材を曲げ対象鉄筋毎に各別に備え、押圧部材の夫々を、基盤に載置された網状筋の隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、網状筋の下面側から上面側に突出移動可能に設けてあるので、一つの網状筋に対する曲げ加工において、網状筋をその下面側から上向きに押し曲げた後、次の加工部位を下向きに押し曲げるにあたって、上向きに押し曲げた後の押圧部材の夫々を基盤上面と略同じ高さ位置、又は、基盤上面よりも低い高さ位置に移動させた状態で、押圧部材の夫々が、平面視で、曲げ加工前の網状筋部分の隣り合う曲げ対象鉄筋の間に位置するように、基盤に載置されている網状筋を、基盤上に載せたまま横方向に移動させれば、隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、押圧部材の夫々を曲げ加工前の網状筋部分の下面側から上面側に突出移動させることができる。
また、網状筋をその上面側に突出移動させた押圧部材で下向きに押し曲げた後、次の加工部位を上向きに押し曲げるにあたって、下向きに押し曲げた後の押圧部材の夫々が、曲げ加工済みの網状筋部分の隣り合う曲げ対象鉄筋の間に位置するように、基盤に載置されている網状筋を、基盤上に載せたまま単に横方向に移動させて、隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、押圧部材の夫々を曲げ加工済みの網状筋部分の下面側に移動させるだけで、曲げ加工前の網状筋部分の下面側に各押圧部材を位置させることができる。
そして、押圧部材の夫々を、上下方向に駆動揺動可能な基材に曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で支持してあるので、隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して曲げ加工前の網状筋部分の上面側又は下面側に移動させた押圧部材の夫々を、曲げ対象鉄筋に作用させることができるように、基盤に載置されている網状筋を、基盤上に載せたまま横方向に少しだけ移動させるだけで、次の加工部位を上向き又は下向きに押し曲げることができるように、曲げ加工前の網状筋部分の各曲げ対象鉄筋を押圧部材の上方側や下方側にセットすることができる。
従って、一つの網状筋に対する曲げ加工において、上向きに押し曲げる工程と下向きに押し曲げる工程とがある場合に、網状筋の押し曲げ方向を変更する都度、曲げ加工済みの網状筋を、支点と押圧部材との間から抜き取って、押圧部材の下方側に再度入り込ませたり、押圧部材の上方側に移動させるという煩雑な作業を特に要することなく、曲げ加工前の網状筋部分の各曲げ対象鉄筋を押圧部材の上方側や下方側にセットして、網状筋を上向き又は下向きに押し曲げることができ、曲げ加工作業を能率良く行える。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記押圧部材の夫々を、前記曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に移動自在、かつ、固定自在に、前記押圧装置に設けてある点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
押圧部材の夫々を、曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に移動自在、かつ、固定自在に、押圧装置に設けてあるので、互いに平行に隣り合う曲げ対象鉄筋どうしの間隔が網状筋毎に異なる場合でも、押圧部材の夫々をその間隔に応じた位置に移動して押圧装置に固定しておくことができ、各種寸法の網状筋を曲げ加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜図5は、図6に例示するように複数の鉄筋a,b1〜b5を互いに略直交する網状に溶接で組み付けて、略矩形の網目cが形成されている網状筋Aの複数部位を、その一端側から順に曲げ加工するための本発明による網状筋曲げ機を示している。
【0010】
前記網状筋曲げ機は、設置用架台1に、網状筋Aをその鉄筋a,b1〜b5の長手方向を基盤上面2に略沿わせた姿勢で載置可能な横長矩形の基盤3と、基盤3に載置された網状筋Aを押し曲げるための押圧装置4と、押圧装置4による曲げ動作時に、網状筋Aが押し付けられる反力受け部5,6とを備えている。
【0011】
前記押圧装置4は、基盤上面2よりも低い高さ位置の揺動軸芯Xであって、かつ、基盤長手方向に沿う揺動軸芯X周りで上下揺動自在に、基盤3の下面側に支持してある複数の揺動アーム7と、各揺動アーム7を一体に連結する一連の連結フレーム8と、各揺動アーム7を一体に駆動揺動させるアーム駆動部9と、曲げ対象鉄筋a毎に各別の複数の押圧部材としての力点ローラ10とを設けてある。
【0012】
前記アーム駆動部9は、揺動軸芯Xと平行な軸芯周りで駆動軸11を伝動ギア部13を介して駆動回転させる電動モータMと、駆動軸11を回転自在に支持する複数の軸受け部12と、各揺動アーム7毎に各別に対応させて駆動軸11に固定してある複数の駆動ギア14とを備え、各揺動アーム7には、駆動ギア14との噛み合いで駆動力が伝達される従動ギア15が揺動軸芯Xと同芯の円弧状に配置して形成されている従動ギア形成部材16を一体に設けてある。
【0013】
前記力点ローラ10の夫々は、連結フレーム8と共に上下方向に駆動揺動可能な基材としてのローラ支持ブロック17に、曲げ対象鉄筋aに対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で遊転自在に支持してあるとともに、基盤上面2に載置された網状筋Aの隣り合う曲げ対象鉄筋aの間を通して、網状筋Aの下面側から上面側に突出移動可能に設けてある。
【0014】
前記ローラ支持ブロック17は、曲げ対象鉄筋aの配置間隔が異なる各種寸法の網状筋Aに対応できるように、力点ローラ10と共に、連結フレーム8に固定してあるガイドレール18に沿って、曲げ対象鉄筋aに対して略直交する方向、つまり、基盤長手方向にスライド移動自在、かつ、固定ボルト19で連結フレーム8側に固定自在に設けてある。
【0015】
尚、各ローラ支持ブロック17どうしを、相対位置を変更自在に連結部材で一体に連結して、エアーシリンダなどで基盤長手方向にスライド移動自在に支持してあっても良い。
この場合は、一つの網状筋Aに対する曲げ加工における曲げ方向を変更するために、網状筋Aの下側に位置している各力点ローラ10を網状筋Aの上側に移動させるときや、網状筋Aの上側に位置している各力点ローラ10を網状筋Aの下側に移動させるときに、各力点ローラ10が網状筋Aの網目cを通して移動できるように、各ローラ支持ブロック17を能率良く移動させることができる。
【0016】
そして、駆動軸11を正逆に駆動回転させることにより、各揺動アーム7を連結フレーム8と共に上下方向に駆動揺動させて、力点ローラ10の夫々が、基盤上面2に載置された網状筋Aのうちの互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋aの夫々をその下面側から上曲げ用支点20周りで上向きに押し曲げる上曲げ動作と、互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋aの夫々をその上面側から下曲げ用支点21周りで下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行可能に設けられている。
【0017】
前記基盤3の前縁側に、複数の曲げ対象鉄筋a毎に各別に対応する支点ブロック22を、基盤3に固定してあるガイドレール23に沿って、曲げ対象鉄筋aに対して略直交する方向にスライド移動自在、かつ、固定ボルト24でガイドレール23に固定自在に設けて、曲げ対象鉄筋aの配置間隔が異なる各種寸法の網状筋Aに対応できるように構成してある。
【0018】
前記支点ブロック22に、上曲げ用支点を構成する上曲げ用支点軸部材20と、下曲げ用支点を構成する下曲げ用支点軸部材21とを、下曲げ用支点軸部材21を上曲げ用支点軸部材20よりも前方側に配置して、曲げ対象鉄筋aに対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で互いに略平行に固定してある。
【0019】
前記反力受け部5,6は、押圧装置4による上曲げ動作時に、網状筋Aが下向きに押し付けられる上曲げ用反力受け部5と、押圧装置4による下曲げ動作時に、網状筋Aのうちの曲げ対象鉄筋aが上向きに押し付けられる下曲げ用反力受け部6とからなり、上曲げ用反力受け部5は基盤2やガイドレール23で構成され、下曲げ用反力受け部6は、上曲げ用支点軸部材20、及び、その上曲げ用支点軸部材20よりも後方側に位置させて、かつ、上曲げ用支点軸部材20と略平行に片持ち姿勢で支点ブロック22に固定してある下曲げ用反力受け軸部材6aで構成され、下曲げ用反力受け部6(6a,20)は曲げ対象鉄筋a毎に各別に設けてある。
【0020】
尚、補助反力受け軸部材26を下曲げ用反力受け軸部材6aの前方側斜め上方に位置させて支点ブロック22に片持ち姿勢で着脱自在に固定して、図5(a)に示すように、曲げ対象鉄筋aを補助反力受け軸部材26と上曲げ用支点軸部材20との間に入り込ませ、かつ、上曲げ用支点軸部材20の下側に入り込ませて、補助反力受け軸部材26を反力受け部として、曲げ対象鉄筋aを上曲げ用支点軸部材20周りで略U字状に曲げ加工したり、図5(b)に示すように、補助反力受け軸部材26を支点ブロック22から外して、曲げ対象鉄筋aを下曲げ用反力受け軸部材6aと上曲げ用支点軸部材20との間から上曲げ用支点軸部材20の下側に入り込ませて、下曲げ用反力受け軸部材6aを反力受け部として、曲げ対象鉄筋aを上曲げ用支点軸部材20周りで略U字状に曲げ加工したりすることできるように構成してある。
【0021】
次に、上記網状筋曲げ機による曲げ動作を、図6に例示した矩形網状筋Aを図7に示す形状に加工するために、矩形網状筋Aの三つの部位P1,P2,P3を、図8,図9に示すように、部位P1の上曲げ動作から順に押し曲げる場合と、図10,図11に示すように、部位P3の下曲げ動作から順に押し曲げる場合とを例示して説明する。
【0022】
〔部位P1の上曲げ動作から順に押し曲げる場合〕
図8(a)に示すように、曲げ加工前の略扁平な網状筋Aを、網目c1に支点ブロック22を入り込ませた状態で、曲げ対象鉄筋aを下側にして基盤上面2に載置し、複数の曲げ対象鉄筋aの夫々を上曲げ用支点軸部材20の下方側に入り込ませると共に、各曲げ対象鉄筋aの下側に力点ローラ10をセットした後、図8(b)に示すように、力点ローラ10を上向きに駆動揺動させる上曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P1を上曲げ用支点軸部材20周りで上向きに押し曲げる。
【0023】
次に、力点ローラ10をその上向きローラ面が基盤上面2と略同じ高さ位置になるように下向きに駆動揺動させ、網状筋Aを持ち上げて網目c1から支点ブロック22を抜き出して、網目c1よりも後方側で隣り合う曲げ対象鉄筋aどうしの間に支点ブロック22を入り込ませた状態で、図8(c)に示すように、網状筋Aを基盤3の前方側に向けて略水平方向に押し出し、各曲げ対象鉄筋aを上曲げ用支点軸部材20の下方側に入り込ませると共に、各曲げ対象鉄筋aの下側に力点ローラ10をセットした後、図9(d)に示すように、力点ローラ10を上向きに駆動揺動させる上曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P2を上曲げ用支点軸部材20周りで上向きに押し曲げる。
【0024】
次に、力点ローラ10をその上向きローラ面が基盤上面2と略同じ高さ位置になるように下向きに駆動揺動させ、網状筋Aを基盤3の前方側に向けて略水平方向に押し出し、力点ローラ10の夫々が、平面視で、曲げ加工前の網状筋部分の隣り合う曲げ対象鉄筋aの間に位置するように、網状筋Aを横方向に移動させて、図9(e)に示すように、隣り合う曲げ対象鉄筋aの間を通して、力点ローラ10の夫々を曲げ加工前の網状筋部分の上面側に突出移動させ、各曲げ対象鉄筋aを下曲げ用支点軸部材21の上側に載置する共に、各曲げ対象鉄筋aの上側に力点ローラ10をセットした後、図9(f)に示すように、力点ローラ10を下向きに駆動揺動させる下曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P3を下曲げ用支点軸部材21周りで下向きに押し曲げて、図7に示した形状に加工する。
【0025】
〔部位P3の下曲げ動作から順に押し曲げる場合〕
図10(a)に示すように、曲げ加工前の略扁平な網状筋Aを、隣り合う曲げ対象鉄筋a間に支点ブロック22を入り込ませた状態で、力点ローラ10の夫々が、平面視で、隣り合う曲げ対象鉄筋aの間に位置するように、曲げ対象鉄筋aを下側にして基盤上面2に載置し、隣り合う曲げ対象鉄筋aの間を通して、力点ローラ10の夫々を網状筋Aの上面側に突出移動させ、各曲げ対象鉄筋aを下曲げ用支点軸部材21の上側に載置する共に、各曲げ対象鉄筋aの上側に力点ローラ10をセットした後、図10(b)に示すように、力点ローラ10を下向きに駆動揺動させる下曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P3を下曲げ用支点軸部材21周りで下向きに押し曲げる。
【0026】
次に、隣り合う曲げ対象鉄筋aの間を通して、力点ローラ10の夫々を網状筋Aの下面側に駆動揺動させ、網目c1に支点ブロック22を入り込ませた状態で、図10(c)に示すように、網状筋Aを基盤3の前方側に向けて略水平方向に押し出して、各曲げ対象鉄筋aを上曲げ用支点軸部材20の下方側に入り込ませると共に、各曲げ対象鉄筋aの下側に力点ローラ10をセットした後、図11(d)に示すように、力点ローラ10を上向きに駆動揺動させる上曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P2を上曲げ用支点軸部材20周りで上向きに押し曲げる。
【0027】
次に、力点ローラ10をその上向きローラ面が基盤上面2と略同じ高さ位置になるように下向きに駆動揺動させ、網状筋Aを持ち上げて網目c1から支点ブロック22を抜き出して、網目c2に支点ブロック22を入り込ませ、図11(e)に示すように、網状筋Aを基盤3の前方側に向けて略水平方向に押し出し、各曲げ対象鉄筋aを上曲げ用支点軸部材20の下方側に入り込ませると共に、各曲げ対象鉄筋aの下側に力点ローラ10をセットした後、図11(f)に示すように、力点ローラ10を上向きに駆動揺動させる上曲げ動作で、各曲げ対象鉄筋aにおける部位P1を上曲げ用支点軸部材20周りで上向きに押し曲げて、図7に示した形状に加工する。
【0028】
[第2実施形態]
図12は、本発明による網状筋曲げ機の別実施形態を示し、下曲げ用支点を構成する下曲げ用支点軸部材21を、各曲げ対象鉄筋aに共通の一連の軸部材で構成して、支点ブロック22とは別に、ブラケット25を介して、基盤3の前縁側に沿って固定してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0029】
[その他の実施形態]
1.本発明による網状筋曲げ機は、上曲げ用支点を構成する上曲げ用支点軸部材を、各曲げ対象鉄筋に共通の一連の軸部材で構成して、支点ブロックとは別に、基盤の前縁側に門型に固定してあっても良い。
2.本発明による網状筋曲げ機は、上曲げ用支点を構成する上曲げ用支点軸部材を下曲げ用反力受け部に兼用してあっても良い。
3.本発明による網状筋曲げ機は、複数の鉄筋を互いに略直交する網状に番線などで固縛して組み付けてある網状筋を曲げ加工するために使用するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】網状筋曲げ機の一部省略斜視図
【図2】要部の一部分解斜視図
【図3】網状筋曲げ機の一部断面側面図
【図4】要部の拡大側面図
【図5】要部の一部断面側面図
【図6】網状筋の斜視図
【図7】曲げ加工後の網状筋の側面図
【図8】曲げ動作の説明図
【図9】曲げ動作の説明図
【図10】曲げ動作の説明図
【図11】曲げ動作の説明図
【図12】第2実施形態の要部側面図
【符号の説明】
【0031】
A 網状筋
a 鉄筋(曲げ対象鉄筋)
b1〜b5 鉄筋
2 基盤上面
3 基盤
4 押圧装置
5 上曲げ用反力受け部
6 下曲げ用反力受け部
10 押圧部材
17 基材
20 上曲げ用支点
21 下曲げ用支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄筋を互いに略直交する網状に組み付けてある網状筋を、その鉄筋の長手方向を基盤上面に略沿わせた姿勢で載置可能な基盤と、
前記基盤に載置された網状筋のうちの互いに略平行な複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその下面側から上曲げ用支点周りで上向きに押し曲げる上曲げ動作と、前記複数の曲げ対象鉄筋の夫々をその上面側から下曲げ用支点周りで下向きに押し曲げる下曲げ動作とを択一的に実行可能な押圧部材を設けてある押圧装置と、
前記押圧装置による上曲げ動作時に、前記網状筋が下向きに押し付けられる上曲げ用反力受け部と、
記押圧装置による下曲げ動作時に、前記網状筋が上向きに押し付けられる下曲げ用反力受け部とを備えている網状筋曲げ機であって、
前記押圧部材を前記曲げ対象鉄筋毎に各別に備え、
前記押圧部材の夫々を、上下方向に駆動揺動可能な基材に前記曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に突出する片持ち姿勢で支持してあるとともに、前記基盤に載置された網状筋の隣り合う曲げ対象鉄筋の間を通して、網状筋の下面側から上面側に突出移動可能に設けてある網状筋曲げ機。
【請求項2】
前記押圧部材の夫々を、前記曲げ対象鉄筋に対して略直交する方向に移動自在、かつ、固定自在に、前記押圧装置に設けてある請求項1記載の網状筋曲げ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−142863(P2009−142863A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323624(P2007−323624)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】