網目状で、制御された有孔率の電極を有する電池
【課題】電池における出力密度及びエネルギー密度を増大させる。
【解決手段】基部と網目状の第2の表面を有する対向電極12,14を近接して位置決めするための第1表面と基部とを有する第1電極を含み、該第1の表面は網目状であって複数個の突起と介在する凹みとを画定しており、平坦で非網目状の表面の理論的表面積の少なくとも1.5倍の表面積を与え、該突起は、長さl及び横断面厚さaを有し、横断面厚さaは突起の長さlに沿って変化して、突起の長さに沿って平均すると横断面厚さが100ミクロン未満であり、第1及び第2の網目状表面は相互に貫入していることを特徴とする電池又はエネルギーデバイス。
【解決手段】基部と網目状の第2の表面を有する対向電極12,14を近接して位置決めするための第1表面と基部とを有する第1電極を含み、該第1の表面は網目状であって複数個の突起と介在する凹みとを画定しており、平坦で非網目状の表面の理論的表面積の少なくとも1.5倍の表面積を与え、該突起は、長さl及び横断面厚さaを有し、横断面厚さaは突起の長さlに沿って変化して、突起の長さに沿って平均すると横断面厚さが100ミクロン未満であり、第1及び第2の網目状表面は相互に貫入していることを特徴とする電池又はエネルギーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景) 本発明は米国仮特許出願第60/242,124号(2000年10月20日出願)への優先権を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は一般に二極デバイスに関し、より詳しくは、網目状又は相互にかみ合った(interdigitated)形態であり、制御された有孔率の電極を有する電池に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
例えばリチウム電池及び燃料電池のような、固相エネルギー・デバイスは典型的に高エネルギー密度並びに高出力密度を必要とする用途に用いられている。出力密度は、イオン及び電子の運搬速度の関数でありうる放電率に関連づけることができる。例えば、リチウム電池において電極があまりに厚すぎると、電極から、例えば電解質の、電極からセパレータとの界面までのイオン/電極の輸送率が律速性(rate limiting)となるので、放電率が限定される可能性がある。他方では、電極層が非常に薄い場合には、電極の活物質に比べて、電解質、セパレータ及び集電装置がより大きい容積を占め、より大きい質量の一因となるので、エネルギー密度が損害を受けることになる。さらに、界面の単位面積当りのある一定の電流速度のみを可能にする界面抵抗によって、放電率が減少する可能性がある。
【0004】
リチウム−イオン及びリチウム−ポリマー再充電可能な電池は、その高いエネルギー密度、電池形態の自由さ、環境と安全上の問題の低い可能性、並びに低い関連する材料及び加工コストのために、再充電可能な電池用途のために魅力的なテクノロジーになりうる。
【0005】
カソード若しくはアノードとして用いられる蓄電物質(storage material)、又はこのような電池と共に用いられる液体若しくはポリマー電解質における改良がなされ、その結果、リチウムをベースとする再充電可能な電池テクノロジーにおいて改良がなされている。例えばLiCoO2及びLiMn2O4のような現在既知のカソード化合物は、例えばリチウム金属又は炭素のような現在既知のアノードと共に用いられた場合に、約3eV〜4eVの使用電圧を有する。多くの用途のために、カソードに関しては高電圧かつ低重量が望ましく、このことが高い比エネルギー(specific energy)を生じる。例えば、電気自動車用途のためには、電池の単位重量当たりのエネルギー比率が再充電するまでに走行できる距離を決定する。これまで行なわれてきたリチウム挿入化合物の研究は、種々な酸化物化合物の合成とその後の試験に主として集中している。これらの努力により、LiOxCoO2、LixNiO2、LixMn2O4及びLixV3O13を含めた、多様な化合物が開発された。さらに、LixTiS2及び他の二硫化物がリチウム挿入に用いるために研究されている。
【0006】
多重金属を含む系が幾つかの特許及び刊行物において述べられている。Ohzuku等,“Synthesis and Characterization of LiAl1/4Ni3/4O2for Lithium-ion(Shuttle Cock)Batteries”,J.Electrochem.Soc.,vol.142,p.4033(1995)及びChiang等,“High Capacity,Temperature-Stable Lithium Aluminum Manganese Oxide Cathodes for Rechargeable Batteries”,Electrochem.Sol.St.Lett.,2(3)pp.107-110(1999)は表記の混合金属組成物の電気化学的性質を報告している。
【0007】
幾つかの再充電可能なリチウム電池におけるカソードはリチウムイオン・ホスト物質、リチウムイオン・ホストを集電装置(即ち、電池端子)に電子的に接続(electronically connect)するための電子伝導性粒子(electronically conductive particles)、結合剤、及びリチウム伝導性液体電解質(lithium-conducting liquid electrolyte)を含有する。リチウムイオン・ホスト粒子は典型的にリチウム挿入化合物の粒子であり、電子伝導性粒子は典型的に、例えばカーボンブラック又は黒鉛のような物質から作られる。得られるカソードは典型的に約100ミクロン以下のオーダーの平均サイズの粒子の混合物を包含する。
【0008】
再充電可能なリチウムイオン電池のアノードは典型的に、例えば黒鉛のようなリチウムイオン・ホスト物質、結合剤、及びリチウム伝導性液体電解質を含有する。リチウムイオン・ホストとしての黒鉛又は他の炭素の代替え物は、Idota等によってScience 1997,276,1395に、そしてLimthongkul等によって“Nanocomposite Li-Ion Battery Anodes Produced by the Partial Reduction of Mixed Oxides”,Chem.Mat.2001に述べられている。
【0009】
このようなカソード又はアノードでは、信頼できる操作のためには、粒子間の良好な接触を維持して、リチウム・ホスト粒子と外部回路との間の電子伝導性径路と、リチウムホスト粒子と電解質との間のリチウムイオン伝導性径路を確保すべきである。このために、注液式電解質電池(flooded electrolyte battery)が用いられている。注液式電解質電池は一般に、電極が電解質溶液又はマトリックス中に浸漬されている電池である。これは、付加的な反応部位をもたらすことになるので、性能を改良する筈である。
【0010】
エネルギー密度は本質的に、蓄電物質によって決定されうる;電池電圧はカソードとアノードとの間のリチウムの化学ポテンシャルの差異によって決定されうるが、充電容量(charge capacity)はカソード及びアノードによって可逆的に挿入されうるリチウム濃度に依存する可能性がある。他方では、出力密度は、イオン又は電子を電極中に挿入するか又は電極から取り出すことのできる速度によって決定される可能性がある。
【0011】
種々の文献で固体ポリマー電解質が述べられている。例えば、Nagaoka等は、“A High Ionic Conductivity in Poly(dimethyl siloxane-co-ethylene oxide)Dissolving Lithium Perchlorate”,Journal of Polymer Science:Polymer Letters Edition,Vol.22,659-663(1984)中で、LiClO4によってドープされたジメチルシロキサン−エチレンオキシド共重合体中のイオン伝導性を述べている。Bouridah等は、“a Poly(dimethylsiloxane)-Poly(ethylene-oxide)Based Polyurethane Networks Used as Electrolytes in Lithium Electrochemical Solid State Batteries”なるタイトルの文献、Solid State Ionics,15,233-240(1985)において、10重量%LiClO4によって充填された架橋ポリエーテル−グラフト化PDMSと、そのイオン伝導性と熱安定性を述べている。Matsumoto等は、“Ionic Conductivity of Dual-Phase Polymer Electrolytes Comprised of NBR-SBR Latex Films Swollen with Lithium Salt Solutions”なるタイトルの文献、J.Electrochem.Soc.,141,8(August,1994)において、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴムとスチレンーブタジエン共重合体混合ラテックス・フィルムをリチウム塩溶液によって膨潤させて、二相ポリマー電解質(dual-phase polymer electrolytes)を生成することを包含する手法を述べている。
【0012】
ポリマー電池のための電極も述べられている。例えば、Minett等は、“polymeric insertion electrodes,Solid State Ionics,28-30,1192-1196(1988)”において、ピロール中に浸漬させたポリエチレンオキシド・フィルムをFeCl3水溶液に暴露させるか、又はFeCl3含浸ポリエチレンオキシド・フィルムをピロール蒸気に暴露させることによって形成された混合イオン/電子伝導性ポリマーマトリックスを述べている。このフィルムを用いて、アノードとしてリチウムを、電解質としてPEO8LiClO4を用いる全固相電気化学セル(all-solid-state electrochemical cells)が組み立てられている。米国特許第4,758,483号(Armand)は、複合電極に用いることができる固体ポリマー電解質について教示している。この電解質は、エチレンオキシドと、系に構造不規則性を導入して結晶性を減ずる又は排除する側基ラジカルを包含するエチレンポリオキシド構造でありうる第2単位とのコポリマー中に溶解しているイオン化合物を包含することができる。例えば過塩素酸リチウムのようなリチウム塩をポリマー系に溶解させることができる。
【0013】
電池構成(battery formulations)の顕著な進歩がなされてきたが、この種のデバイスにおける出力密度及びエネルギー密度を増大させるには、多くの改良の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(3. 発明の簡単な概要)
1実施態様では、本発明は、電解質とイオン的に接触(ionic contact)する、少なくとも1個の網目状電極を含むエネルギー蓄電デバイスを提供する。
【0015】
他の実施態様では、本発明は、電解質マトリックス中への複数個の延伸部(突起)を有する構造の第1電極を含むエネルギー・デバイスを提供する。
他の実施態様では、本発明は二極デバイスを提供する。この二極デバイスは、電解質中に延伸する第1セットの突起(proturberance)を有する第1電極と、第1セットの突起に対して相補的な形状であるように構築され、配置された第2セットの突起を有する第2電極とを含む。
【0016】
他の実施態様では、本発明は、その内部に多孔質ネットワークが画定された材料で形成される電極を提供する。
他の実施態様では、本発明は電池を提供する。この電池は第1電極、第2電極、第1電極と電子的に接続(electronic communication)する第1集電装置、及び第2電極と電子的に接続する第2集電装置含むから成っている。第1電極は、第1集電装置と第2電極との間に配置され、第1集電装置から第2電極への方向において有孔率が増大している部分を有している。
【0017】
他の実施態様では、本発明は、対向電極を近接位置決めするための第1接合面を有する第1電極を含み、該接合面が網目状で複数個の突起と介在する凹みとを画定しており、平坦で非網目状の形態の表面の理論的表面積の少なくとも1.5倍の表面積を生じる装置を提供する。
【0018】
他の実施態様では、本発明は、その内部に複数個のチャンネルが画定されており、該チャンネルが電解質から電極の表面までのイオン種の拡散を可能にするように構築され且つ配置されている電極を提供する。
【0019】
他の実施態様では、本発明は、電解質と接触し、その内部に複数個のチャンネルが画定されている電極を含み、該チャンネルが電解質から電極の表面までのイオン種の拡散を可能にするように構築され、配置されている電池を提供する。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、電解質とイオン的に接続(ionic communication)する、少なくとも1個の有孔電極を含む電池を提供する。
他の実施態様では、本発明は、ポリマー結合剤を含まない多孔質電極を含む二極デバイスを提供する。
【0021】
他の実施態様では、本発明は、炭素添加剤を含まない多孔質電極を含む二極デバイスを提供する。
他の実施態様では、本発明は、エネルギー発生を容易にする方法を提供する。
この方法は、第1電極、第2電極、第1電極と電子的に接続する第1集電装置、及び第2電極と電子的に接続する第2集電装置を含む電池であって、該第1電極が第1集電装置と第2電極との間に配置され、第1集電装置から第2電極への方向において増大する有孔率を有する部分を包含する上記第1電極を用意する工程を含む。
【0022】
本発明の他の利益、新規な特徴及び目的は、本発明の下記詳細な説明から、添付図面と共に考慮すると明らかになると思われる、これらの図面は概略的であり、正確な縮尺に合わせて描くように意図されていない。図面において、種々な図に例示される各同じ又は実質的に同様な要素は単一の数字又は記号によって表示される。明瞭さのために、全ての図において全ての要素を標識する訳ではない。そしてまた、当業者に本発明を理解させるために例示が必要でない場合には、本発明の各実施態様の全ての要素を示すとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に従って用いることができるアノード/カソード系を示す概略的な例示である;
【図2】図2は、シミュレートしたセルを図解して、本発明の他の実施態様を例証する概略ダイアグラムである;
【図3A】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3B】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3C】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3D】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図4】図4は、本発明の他の実施態様による、有孔構造を有する二極デバイスを示す概略説明図である;
【図5】図5は、本発明の1実施態様による電極における距離の関数としての電解質容量分率を示すグラフである;
【図6】図6は、本発明の1実施態様による二極デバイスの大きい有孔率構造における標準化累積イオン抵抗を予測するグラフである;
【図7】図7は、本発明の1実施態様による二極デバイスの大きい有孔率構造における標準化累積電位低下を示すグラフである;
【図8】図8は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける電流密度の関数としての大きい有孔率構造の比エネルギーを示すグラフである;
【図9】図9は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける比出力の関数として比エネルギーを示すグラフである;
【図10】図10は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける傾斜有孔率構造の表面における電解質分率の関数として比エネルギーを示すグラフである;
【図11】図11は、本発明の1実施態様による傾斜有孔率構造を有する二極デバイスにおける放電電流密度の関数として比エネルギーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(4. 詳細な説明)
電気化学的に活性な酸化物の固有な輸送特性を改良するために、三相多孔質電極を用いて、律速を改善することができる。例えば、蓄電物質である、リチウム、酸化コバルトに炭素質導電性添加剤及び電解質物質を加えて、電子伝導性及びイオン伝導性を改良することができる。
【0025】
通常、微細構造における特徴がこのような物質の重要な性質に影響を与える。したがって、このような系における構成部品の微細構造を調整して、望ましい性質を最適化し、望ましくない性質を最小にする。
【0026】
本発明の1実施態様による二極デバイスを図1に概略的に示す。エネルギー蓄電系でFある二極デバイス10は、1実施態様では、LiCoO2と炭素との組み合わせを用いることができる。幾つかの場合には、例えば電池のような、固体ポリマー・エネルギー蓄電系を提供することができ、この場合には、電解質16、リチウム金属アノード12及びカソード14から構成される。例えば、リチウムイオン電池のような、本発明によるエネルギー蓄電デバイスは、液体電解質を用いることができる。例えば、典型的なリチウム電池は、リチウム・ホイル又は複合炭素のアノード、リチウム塩による液体電解質、及び複合カソードを有する。放電中においては、リチウムイオンはアノードからカソードまで電解質を通って輸送され、次に酸化物蓄電物質中に入り込む(intercalate)。電荷中性を維持するために、電子が外部回路18から送り込まれて、電気化学的反応が完成する。好ましくは、電極においては、電子とリチウムイオンの両方が速やかに輸送されるべきである。
【0027】
実現可能なエネルギー及び出力密度は、例えば要素の配置(arrangement)及び選択を含めた系の設計によって典型的に影響される。典型的な高性能の再充電可能なエネルギー蓄電系は、ラミネート構造であり、典型的に活性物質、結合剤及び導電性添加剤の混合物からなる複合電極を用いることができる。この系に有機液体電解質を充満させることができる。リチウムイオン電池におけるカソードの厚さは典型的に200μm未満であるが、高出力電池では、100μm未満である。高エネルギー密度を得るために蓄電物質の充填密度(packing density)を最大にするには、孔チヤンネルを、断面積内で曲がりくねらせて作ることができる。電池反応の律速段階は、大抵の場合には、複合電極の液体充填孔チャンネルを通してのLi+イオン拡散であると考えられている。現在、“セル・スタック(cellstack)”は2個の金属ホイル集電装置、アノード、セパレータ及びカソードであることができ、これは約250μm厚さである。
【0028】
本発明の種々な態様を一般的に説明するために、リチウムイオン電池を用いることにする。このようなリチウムイオン二極デバイスの説明は例示であることを意味し、他の系への本発明の種々な特徴及び態様の使用も本発明の範囲内であると考えられる。例えば、以降で説明する網目状、有孔性又は制御多孔質構造は、非限定的に一次(使い捨て)電池及び二次(再充電可能)電池を含めたエネルギー蓄電又はエネルギー転換系に用いることができる。
【0029】
電極12と14の間に電圧を印加し、該電圧によってリチウムイオン及び電子が電池のカソード内のリチウム・ホストから引き出されることによって、リチウム電池を充電することができる。リチウムイオンは、カソード14からアノード12に電解質16を通って流れて、アノードにおいて還元される。放電中は、図1に関して、この逆が生じる。即ち、リチウムイオンと電子はカソード14におけるリチウム・ホスト中に侵入し、一方、アノード12ではリチウムが酸化されてリチウムイオンになる。そして、外部回路18に電子を供給することによって、この電池が接続されるデバイスに電力が供給される。したがって、電池の作動中には、例えば、リチウムイオンは幾つかのプロセスを通して、電気化学的反応を完成する。これらのプロセスとしては、アノード表面におけるリチウムの溶解(これは典型的に電子を外部回路に放出する);電解質(セパレータの孔中と、多孔質電極の場合には、電極の孔中に存在しうる)セパレータ、例えば電解質を通してのリチウムイオンの輸送;複合カソード中の電解質相を通してのリチウムイオンの輸送;外部回路から電子を受容する活性カソード物質中へのリチウムイオンの挿入(intercalation);及び集電装置から挿入部位への電子輸送と共に生じる、活性物質中へのリチウムイオンの拡散;などがある。
【0030】
アノードにおけるリチウム溶解と、カソード−電解質界面における挿入(intercalation)反応は、熱によって活性化することができる。電極における電荷移動反応は室温において比較的迅速であると考えられるので、必ずしも律速ではない。それにも拘わらず、このような反応は反応系の表面積を増大することによって、促進されうる。挿入物質の粒度の縮小すると反応速度を上昇させることができる。電極中へのイオン挿入は拡散によって行われる。典型的な挿入酸化物では、典型的なエネルギー蓄電デバイスにおける約1μmの典型的な距離を横切る拡散時間は、室温において約10秒間でありうる。特に、酸化物粒度を縮小することによって、拡散限界が縮小する可能性があるが、これは他の拡散パラメータを変化させることによって対処することができる。
【0031】
セパレータ16を横切ってのイオン輸送は、典型的に2つの領域、即ちセパレータ領域22と電極領域24において生じる。前者では、一般に、電気化学的反応は生じず、イオン輸送はセパレータの物理的性質によって決定されうる。このイオン輸送速度は、セパレータの物理的性質の設計若しくは最適化によって、又はセパレータを横切るイオン輸送距離を最小化することによって減ずることができる。後者では、イオン輸送は電極の電解質充填孔チャンネル又はネットワーク構造を通って行うことができる。このイオン輸送は、例えば平均イオン輸送径路の曲がりくねりによって影響される可能性がある。幾つかの系では、イオン電流は、電気化学的反応のために、電極の深さによって変化する。
【0032】
複合構造体12又は14における有効イオン伝導性は、孔に電解質が充填されるので、孔容積分率の減少に伴って速やかに低下すると考えられる。したがって、1実施態様では、本発明は、イオン輸送を助けるか又は促進する電極構造体12又は14を提供する。例えば、1実施態様によると、本発明は、電流の方向に実質的に並行であるように配置されたラメラ粒子(lamellar particles)を含む系を提供する。このようなラメラ微細構造によって、イオン伝導性を減ずることなく、活性物質の容積分率を高めることができる。
【0033】
他の実施態様によると、本発明は、集電装置と電解質の質量を最小化し、アノード構造とカソード構造の質量を最大化した二極デバイス10を提供する。1実施態様では、イオンが横断しなければならない拡散距離(d)又は拡散路を最小化し、イオン又は電子に接触する界面面積を最大化する。
【0034】
即ち、1実施態様では、この系は、界面の面積を増大させることができるように、網目状でありうるか又は網目状界面を有する要素又は構造を包含することができる。このように界面の面積を増大させることにより、例えばイオン種の利用可能な反応部位が増加する。本発明によると、図3A−3Dに概略的に示すような網目状構造を含めた、多くの種々な網目状パターンを用いることができる。1実施態様では、この網目状パターンのアスペクト比l/a(この場合、lは以降で説明する突起(又は凹み)の長さであり、aはその幅又は厚さである)は変化することができる。このような二極デバイスは、以降に説明するような、種々な方法又は手段によって、作ることができる。図3A−3Dは、種々な網目状構造を有する系を示す。図3Aでは、系10は、電解質マトリックス16中に伸長して、電解質マトリックス16とイオン的に接触する複数個の延伸部(突起)28を有する網目状アノード12を有する。この実施態様では、カソード14は非網目状として示されている。同様に、他の実施態様によると、図3Bは、網目状アノード12と網目状カソード14を有する系10を示しており、該アノード12と該カソード14は、各々、相互から均一な間隔を置いて離隔している突起28と、それと相補的な形状の凹み26とを有している。
【0035】
アノード12とカソード14は、電解質16とイオン的に接続、及び/又は電子的に接続することができる。図3Cでは、系10は相補的な形状の網目状構造12と14を有し、これらの各々は相互にかみ合っており(interdigitated)、網目状構造は、長さlと幅又は厚さaを有している。図3Dでは、系10は、網目状構造12と14を有し、これらの各々は集電装置30と電子的に接続している。該網目状組織は、凸面28を形成しており、これは対応する形状の凹面26から間隔dを置いて離隔している。
【0036】
単層セル又はスタックを製造する他に、平面状界面設計で同じ材料によって、より高いエネルギー密度及び出力密度を有する多層セルを得ることができる。本発明は広範囲な性質、例えば放電率、出力密度を有し、同じ材料セットから製造することができる系又はセルを提供する。このことはフレキシビリティーを与え、より効果的な設計、プロトタイプ製造及び製造シーケンスをもたらすことができ、並びに調整可能な(tailorable)若しくは特注生産可能な二極デバイスを生成させることができる。網目状界面の構造を有する二極デバイスを、充電及び放電動力学を調節し、最適化するために、調整することができる。
【0037】
本発明では、“網目状界面(reticulated interface)”又は“相互にかみ合った電極(interdigitated electrode)”とは、対向電極に相対する表面が網目状であって複数個の突起と介在する凹みとが画定され、対向電極においても、上記突起及び凹みに対して相補的な形状の突起及び凹みが画定されている正電極及び/又は負電極12と14を意味する。このような突起及び凹みは、周期的(periodic)であって、規則的な間隔を置いていてもよく、又は非周期的(aperiodic)若しくはランダムに配置されていてもよい。一方の電極が突起を有する場合には、他方の電極は、同様な形状及び寸法の凹みを有する。即ち、二つの電極は、互いに形状相補性(shape complementarity)を示す。正電極と負電極はそれらの“接合(mating)”界面に沿ったいずれの場所においても電解質16の層又は領域によって分離されることができる。幾つかの実施態様では、特に形状相補的な構造を有する系に関して、電解質16の層は薄いことができ、比較的均一な厚さを有することができる。
【0038】
正電極と負電極との間の電解質又はセパレータの層の空間的平均厚さ(spatially-averaged thickness)は約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、なお好ましくは約25ミクロン未満、さらに好ましくは約10ミクロン未満であるように選択される。さらに、正電極及び負電極の網目状の構造体は、突起又は凹みの長さに沿って平均化したときに、約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、なお好ましくは約25ミクロン未満、さらに好ましくは約10ミクロン未満である厚さを有するように選択される。このような設計は、通常はセパレータ、電解質、結合剤、導電性添加剤及び、実施態様によってはリチウムを有していない、他の不活性要素によって占められる系の容積を減じることができ、それによって電池のエネルギー密度を容積又は重量ベースで高めることができる。
【0039】
上記のような寸法を有することにより、本発明に係る電池は、イオン拡散距離を減ずることができるので、慣用的な設計の電池に比べて、容量又は重量ベースで改良された出力を有する。正電極及び負電極の厚さがほぼ均一である慣用的な積層電池では、充電又は放電中は、イオンは電極の厚さを横切って拡散しなければならない。慣用的なリチウムイオン・デバイスでは、電極厚さは典型的に約100〜約200μmである。大抵のこのような系では、電極厚さを横切るリチウムイオンの輸送速度によって電池の出力が制限される。電子の輸送速度は非常に大きいと考えられ、必ずしも律速ではない。本発明では、リチウムイオン電池に適用した場合には、リチウムイオンの拡散距離を電極の厚さから網目状又は相互にかみ合った構造体の横断方向の厚さにまで減ずることができる。
【0040】
他の実施態様では、本発明は、二極デバイスの電極とセパレータ又は電解質との間の界面面積を増大して、イオンの拡散距離を減ずるか又は拡散路の長さを最小化する。図4に概略的に示すような、幾つかの場合には、本発明は、その内部に画定された複数個のチャンネル32を有する、例えば電極12と14のような、有孔構造を有する系10を提供する。1実施態様では、複数個のチャンネルに電解質物質を充填することができる。このような構造は、拡散する際にイオンが曲がりくねって移動することを最小化することによってイオン拡散を改良することができる。したがって、イオンの有効拡散長さを減ずることができる。幾つかの場合には、好ましい有孔電極はリチウムイオン電池の複合電極として用いることができる。他の実施態様では、本発明は、電極が固体電解質16で充填された複数個のチャンネルを有する緻密な単相物質でありうる薄フィルム電池を提供する。図4の右側は電極14のa−aに沿った切断面を示す。この切断面は電極14のチャンネル32内の電解質16を示す。該チャンネルは、電極内を通って、セパレータ16との界面34の前面(front)から集電装置30近くの背面(back)まで伸長することができる。チャンネル32は電解質の背面と電極の背面近くの領域との間のイオン的な接続を可能にする。このイオン輸送路によって、イオン種が移動する際に曲がりくねって移動することを排除して、イオンの輸送距離が減少する。チャンネル32は例えば、非限定的に、図4に示すような円形、長方形又は多角形のような、多様な断面形状を有することができる。
【0041】
本発明の設計はまた、網目状又は相互に貫入する(interpenetrating)構造体の寸法を変えることによって、充電特性又は放電特性を選択的に変化させることができる系をも提供することができる。他の実施態様では、本発明は、構造体中の電流分布に基づいてイオン伝導性を調整することによって、例えば電極のような複合構造体における改良されたイオン輸送性を提供する。電極粒子における電荷移動電流(charge transfer current)が律速である場合には、電極中の電解質相によって運ばれる電流は深さと共に減少しうる。このような現象は、電解質セパレータから離れた領域近くの電解質相でのイオン伝導性に関しては重要ではないが、電極表面近くで高いイオン伝導性を得るためには電極構造のバルク構造体(the bulk of the electrode structure)への迅速なイオン輸送を必要とすることを示唆する。したがって、1実施態様では、本発明は、電極構造体の有孔率又は孔密度を傾斜的に変化させること(grading)によって、改良されたイオン輸送速度を提供する。本発明によれば、界面近くで電解質が高い容量分率(volume fraction)を有することにより,イオン電流が高くなりうる領域におけるイオン伝導性が改良される。一方、電極の深部においては活性物質が高い分率を示すことにより、高いエネルギー密度の保持が可能となる。
【0042】
本発明は、線状、上方に凹形(concave up)、及び下方に凹形(concave down)の有孔率勾配をはじめとする、多様な傾斜有孔率配置(graded porosity arrangements)を提供する。例えば、線状の有孔率勾配を有する電極は、ある領域から他の領域へ連続的に変化する有孔率を有する。例えば、1実施態様では、電解質近くの電極前面36においては電極構造体は0.4の有孔率を有し、一方、集電装置近くの電極背面38においては電極構造体は0.2の有孔率を有するように、線状に変化する有孔率を有することができ、その孔内に電解質が充填される。背面(back)とは集電装置と電子的に接続する電極の領域を意味し、前面(front)とはセパレータ電解質に隣接する電極の領域を意味する。他の実施態様では、電極は、上方に凹形又は下方に凹形のプロフィルを有しうる有孔率を有する。
【0043】
有孔率は平均して約10%から約70%とすることができる。有孔率が約80%を越えるように高くなり過ぎると、電極構造体が構造的に不安定になる可能性があり;一方、有孔率が約10%未満のように低くなり過ぎると、出力密度又はエネルギー密度の漸進的増加が生じるに過ぎない。したがって、平均有孔率は好ましくは約20%から約50%までである。他の実施態様では、平均有孔率は約30%から約45%までである。幾つかの実施態様では、電極における、集電装置から電解質又は他方の電極方向への有孔率勾配は平均有孔率から少なくとも約10%だけ、好ましくは少なくとも約20%だけ、より好ましくは少なくとも約30%だけ変化する。他の実施態様では、集電装置の質量中心と第2電極の質量中心とを結ぶラインに対して垂直な、電極の任意の横断面における有孔率変化は約+/−10%、好ましくは約+/−5%、より好ましくは約+/−3%、さらにより好ましくは+/−1%で均一である。
【0044】
したがって、電極構造体は、その構造中に多孔質ネットワーク構造を有することができる。この多孔質ネットワークは、イオンが多孔質構造内の任意の位置における有孔率を画定する空隙に拡散することができるように、イオン的に相互連絡することができる。例えば、リチウムイオンはバルク電解質から多孔質電極内の任意のイオン的に相互連絡する位置に拡散することができる。
【0045】
これらの傾斜有孔率勾配を図5にグラフ的に例示する。図5では、平均有孔率は約0.3であり、傾斜有孔率電極の各々はm電極の前面において約0.4の有孔率を有し、これは0.4の電解質分率に相当する。
【0046】
図5に示した二極系の性能は、図2に概略的に例示する、EC/DEC/LiPF6電解質と、MCMB炭素又はリチウム・アノードとを伴う、典型的なLiMn2O4スピネル・カソードに関する。傾斜有孔率電極を評価するために、メソ多孔質炭素微小ビーズ(mesoporous carbon microbeads)(MCMB)炭素アノードを用いた。放電に関しては、Li0.1705Mn2O4の初期リチウム含量を有するスピネル・カソードを想定した。約3.5Vのカットオフまで放電する系をシミュレートした。該カソード厚さは約200μmであると想定した;電解質厚さは約52μmであると想定され、アノード厚さは約100μmであると想定された。図5においては、0.3の平均有孔率に関して種々な勾配を示す。
【0047】
図6は、図5に示した傾斜有孔率電極の各々に関する電極深さの関数としての標準化累積イオン抵抗(normalized cumulative ionic resistance)をグラフ的に例示する。傾斜有孔率電極の各々は、表面近く及び電極の全体にわたって、慣用的電極よりも低い予測累積イオン抵抗を有した。図7は、図5に示した傾斜有孔率電極の各々に関する電極深さの関数としての標準化累積電位低下をグラフ的に例示する。傾斜有孔率電極の各々は、表面近く並びに電極の全体にわたって、慣用的電極よりも低い電位低下を有した。図6と7は、傾斜有孔率電極がより良好なイオン輸送性及び電位特性(potential properties)を有し、これらが当然より高い出力及びエネルギー密度に変わることを示す。このような性能は図8と9にグラフ的に例示することができ、図8と9は種々な傾斜有孔率電極に関して、それぞれ、電流密度及び比出力に対する比エネルギーを示す。図9は、傾斜有孔率電極を有する系が、一定の出力において、慣用的な電極系よりも多くのエネルギーを供給することを示す。さらに、有孔率の関数(電極表面における電解質分率)として比エネルギーをグラフ的に例示する図10は、放電電流が増加するにつれて、最適電極グレーディング(grading)が軽度の有孔率から高い電流密度におけるより重度な勾配までシフトすることを示す。このシフトは、電流増加による電極利用の低下から生じると考えられ、この場合には、特に高度に傾斜性電極(highly graded electrodes)に関して、電極の背面における低いイオン輸送性は低い及び中程度の放電率における利用を阻害する。上方に凹形、下方に凹形及び線状勾配の有孔率電極を有する系の放電電流密度の関数として比エネルギーをグラフ的に例示する図11は、傾斜有孔率系が慣用的な均質電極系に比べて、特に中間放電率方式(intermediate discharge rate regime)では、高い比エネルギーを有することを示す。
【0048】
他の実施態様によると、該電極は集電装置から他方の電極又は電解質への有孔率勾配を有し、この勾配は、電極に沿った任意の位置において5%未満又は以下、好ましくは10%未満又は以下、より好ましくは15%未満又は以下だけ変化する傾斜を有する。傾斜のこの変化は段階的でも平滑であることもできる。
【0049】
他の実施態様では、該構造は、網目状である接合面を有し、該網目状接合面の表面積は、平坦で非網目状構造の理論的表面積の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも約2.5倍、より好ましくは少なくとも約3倍、さらにより好ましくは少なくとも4倍、最も好ましくは少なくとも約5倍である。
【0050】
他の実施態様では、網目状組織は少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.5、より好ましくは少なくとも約3.0、より好ましくは少なくとも3.0、より好ましくは少なくとも約4.0、最も好ましくは少なくとも約5.0であるアスペクト比を有する。
【0051】
他の実施態様では、突起と凹みとは約100ミクロン未満の平均距離をもって離隔している。この距離は好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは25ミクロン未満、最も好ましくは約10ミクロン未満である。
【0052】
本発明のこれらの及び他の実施態様の機能及び利点は、以下の実施例からさらに詳しく理解されるであろう。下記実施例は本発明の利点を例示するように意図されるものであって、本発明の完全な範囲を典型的に示すものではない。
【0053】
実施例
実施例1.順次沈積によって調製されたリチウム電池
結合剤、任意に、例えば炭素のような導電性添加剤及び、所望の寸法範囲内であるプリント層(printed layer)に対する方位分解能を可能にするように選択されたステンシル、スクリーン・プリンティング、インキジェット・プリンティング又はリトグラフ方法を用いて、懸濁液を薄層状態に沈積させて、懸濁液に特性を与えることが周知の他の添加剤を含む溶媒中の例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiFePO4、V2O5、Li3Bi、Li3Sbのような微粉状リチウム蓄電カソード又は当業者に周知の他のこのようなカソードから、懸濁液を調製することができる。別の同様な懸濁液を例えば炭素、Sn、Sb、Al、Zn、Ag、LiAlのような微粉状リチウム蓄電アノード又は当業者に知られた他のアノード物質から調製することができる。該カソード懸濁液とアノード懸濁液とを1層ずつ沈積させて、図3に示すような、周期的又は非周期的な網目状又は相互にかみ合う構造体を形成する。乾燥時に結合剤の連続(濡れた(wetting))表面層が形成されるように溶媒及び結合剤系を選択することによって、及び/又は同じ層内でカソード・パターンとアノード・パターンとが適切に分離されるように層を沈積させることによって、該カソードと該アノードとの間の電子的接触、短絡が回避される。任意に、結合剤を含有し、カソードもアノードも導電性添加剤も含有しない第3懸濁液をカソード・パターンとアノード・パターンとの界面にパターンとして沈積させて、カソード・パターンとアノード・パターンとの電子的離隔を確実にすることができる。
【0054】
例えばアルミニウム又は銅から作製された金属ホイル又は微細なメッシュの集電装置を、層をその上に沈積させる基板として用いることができる。カソード化合物が第1連続層を形成する場合は、アルミニウムが好ましく、アノードが第1連続層を形成する場合には、銅が好ましい。連続沈着が完了し、アセンブリが乾燥され、任意に、強固にするため加熱された後に、該積層電池の表面に第2集電装置を加えることができる。任意に、電子デバイス製造の技術分野に熟練した人によって用いられるようなパターン化相互接続(patterned interconnects)を形成するために用いられる手法を用いて、頂部集電装置を導電性インクとしてプリンティングによって形成する。任意に、例えば、非限定的にポリエチレン又はポリエステル、例えばE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)から入手可能な、MYLAR(登録商標)フィルムのような絶縁フィルム上に電池構造体を沈積させて、次に、このフィルムから電池構造体を取り出して、集電装置を加えて、アノード及びカソードとの接点を形成することができる。
【0055】
結合剤は例えば固体ポリマー電解質である。これは電池内の液体電解質の必要性を除去する筈であるが、場合によっては、電池全体に液体電解質を注入しながら(充満させながら)、組み立てられたデバイス内で粒子を一緒に固定結合させるのに役立つ。適当な固体ポリマー電解質の例としては、非限定的に、例えば過塩素酸リチウム又はリチウム・トリフラートのようなリチウム塩が既に加えられている(ポリ)エチレンオキシドが挙げられる。寸法安定性に優れた、即ち、電解質が結合剤を溶解しない結合剤と液体電解質の例は、1:1のモル比での(ポリ)エチレンジフルオリド(PVdF)とエチレンカーボネート−ジメチルカーボネート(EC:DMC)であり、これには既にリチウム塩が加えられている。
【0056】
実施例2:プリンティングとコーティングによって製造された電池
実施例1の材料と方法を用いて、網目状又は相互にかみ合った構造を有する第1電極、カソード又はアノードのいずれかを調製する。プリントされた構造体の表面に、結合剤又はポリマー電解質の連続フィルムを形成することができる。このフィルムはアノードとカソードとの間に物理的セパレータを形成することができる。このフィルムはプリントされた電極の表面への結合剤溶液の自己−凝離(self-segregation)(濡れ)によって形成されうる。任意に、液体結合剤又は電解質溶液でコーティングし、続いて乾燥させることによって、又は薄フィルム物質調製の技術分野に熟練した人に知られた蒸着法によって、表面フィルムを形成することができる。
【0057】
形成された構造に液体懸濁液の適合コーティング(conformal coating)を加えて、対向電極を形成することができる。後者の凹みは第1電極の構造に対して相補的な形式で充填されて、平坦で平らな外面を残し、これに次に集電装置が加えられる。多重コーティングを用いて、適合充填(conformal filling)を達成することができる。次に、この系を乾燥させ、任意に、強固にするために加熱することができる。系を完成させるために片面又は両面に集電装置を加えることができる。
【0058】
実施例3:エンボスとコーティングによって製造された電池
実施例1の材料を金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上に層としてキャストするか又は塗布することにより、第1電極、カソード又はアノードのいずれかの層を形成する。。この層は、例えばスクリーン・プリンティング、テープ・キャスティング(tape casting)、ウェブ・コーティング(web coating)及び同様な方法による厚フィルム加工に適したレオロジー特性を有するように、当業者に知られた方法によって作製される。次に、この第1層の表面をダイによってエンボスして、所望の寸法を有する網目状表面にする。この成形された表面に、実施例2に述べた適合コーティング材料及び方法によって対向電極を加える。このアセンブリを乾燥させ、強固にするために任意に加熱して、集電装置を加える。
【0059】
エンボス工程の前又は後且つ対向電極配合物(counterelectrode formulation)を塗布する前に、結合剤又は電解質のフィルムを加える。
実施例4:サブトラクティブ・パターン化とその後の充填
実施例1の材料をか金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上に層としてキャストするか又は塗布することによって、第1電極、カソード又はアノードのいずれかの層を形成する。任意に、電極を懸濁液として金属ホイル集電装置上にキャストするか又は塗布し、焼成して、蓄電物質の連続固体フィルムを得るか、又は例えばスパッターリング、蒸発、化学的蒸着のような、当業者に知られた蒸着法によって固体フィルムとして付着させる。第1電極層をサブトラクティブ・パターン化して、即ち、リトグラフ・マスキングとその後の化学的若しくは反応性イオン・エッチング、レーザー除去又は厚フィルム及び薄フィルム物質加工において知られた他のこのような方法によって、物質を除去して、本発明の網目状又はインターディジテイティッド電極トポロジーを形成する。パターン化第1電極上に、結合剤又は電解質のフィルムを任意に付着させ、続いて、実施例3の方法によって第1電極内のパターンを適合充填するように、対向電極を塗布する。
【0060】
実施例5:示差沈降によって製造された傾斜有孔率電極
流体中の粒子のStokes’沈降速度が粒子のサイズと形状、粒子と、粒子がその中で沈降する流体との密度差、及び流体の粘度の関数であることは、粉末加工の技術分野に熟練した人に周知である。同じ粒状物質に関しては、小さい粒子は大きい粒子よりも緩慢に沈降する傾向があり、例えば長さ対直径比が大きいロッド又は幅対厚さ比の大きいプレートのような非等軸粒子(anisometric particles)は、同じ体積の球又は等軸粒子よりも緩慢な平均速度で沈降する。その上、高いアスペクト比の粒子(highly aspected particles)は同じ物質の等軸粒子よりも低い充填密度に沈降する傾向があることが知られている。それ故、粉末混合物又は懸濁液から作製された蓄電電極層に有孔率勾配を導入する方法は、複数の粒度及び形状の混合物を用いることである。
【0061】
粉末が粒度分布と複数の形状を有するカソード酸化物粉末から懸濁液を調製する。等軸粒子を、等軸粒子がより高いStokes’沈降速度を有するように選択された粒度を有する小片形状の粒子と混合する。粉末に結合剤(例えば、PVdF)、微細な導電性添加剤(例えば、高表面積炭素)及び溶媒を配合して、キャスティング可能な(castable)懸濁液を製造する。この懸濁液は、該懸濁液からフィルムをキャスティングした後に数分間から数時間内にカソード酸化物粒子が示差沈降するように、配合される。このフィルムは金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上にキャストされ、プリントされ、又は塗布され、該金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上で示差沈降が重力下で生じて、その結果、金属集電装置に隣接する電極部分では等軸粒子の高い充填密度が生じ、金属集電装置から離れては非等軸粒子の低い充填密度が生じる。このことは電極に所望の有孔率勾配を導入する。乾燥後に、該電極にセパレータと対向電極とを積層させ、有機液体電解質を注入して、電池セルを製造する。任意に、例えば、LiMg0.05 Co0.95O2のような、高い電子伝導性を有するカソード酸化物を用いて、炭素添加剤は用いない。
【0062】
傾斜有孔率炭素アノードを同様な方法で、等軸粒子形と非等軸粒子形との混合物並びにStokes’沈降速度を調節させる密度差を有するように選択された炭素粉末を用いて製造する。1例では、より迅速に沈降して、集電装置に隣接してより高密度に充填された領域を形成する等軸炭素粒子としてMCMBを用い、より緩慢に沈降して、セパレータに隣接してより低密度に充填された領域を形成する非等軸炭素粒子として、小片状粒子形を有するフレーク黒鉛を用いる。MCMB粒子とフレーク黒鉛粒子との粒子形及びサイズの相対的量を選択することによって、有孔率勾配を調節する。
【0063】
実施例6:Fugitive充填剤の示差沈降によって製造された傾斜有孔率電極
この実施例では、実施例5におけるように、電極のキャストされた、プリントされた又は塗布された層を形成するために懸濁液を用いる。しかし、該懸濁液中で電極蓄電物質に、加熱時に除去されて、それによって孔をあとに残す、1種類以上の付加的な固体添加剤を混合する。それ故、除去される固体物質は“フュージティブ(fugitive)”孔形成剤である。電極蓄電物質及びフュージティブ孔形成剤の密度、粒度及び粒度分布並びに粒子形は、示差Stokes’沈降速度を生じて、最終生成物中に集電装置に隣接してより高密度に充填された蓄電物質と、セパレータに隣接してより低密度に充填された蓄電物質を生じるように選択される。
【0064】
1例では、蓄電物質は例えばLiCoO2、LiMg0.05Co0.95O2、LiMnO2、又はLiFePO4のような酸化物カソードである。フュージティブ孔形成剤は、カソード酸化物よりも緩慢なStokes’沈降速度を生じる粒度を有するように選択されたMCMBである。これら2種類の固体並びに溶媒と任意に結合剤を含有する懸濁液を調製して、特定の構成(specific formulation)をカソード酸化物とMCMBとの示差沈降を可能にするように選択する。この懸濁液を金属集電装置上にキャストし、プリントし又は塗布して、酸化性雰囲気中で焼成する、これによってMCMBは熱分解され、カソード酸化物は焼結されて、結合される層を形成する。焼結した多孔質カソード層は、MCMBがひと度除去されたならば、所望の有孔率勾配を含有する。
【0065】
他の例では、フュージティブ孔形成剤は約0℃〜約800℃の融点を有する有機又は無機化合物の粒子から成る。懸濁液の調製とキャスティング・プロセスとは該化合物の融点未満で行なわれる。その後に、キャストされ、プリントされ又は塗布されたフィルムを該有機化合物の融点を越えて加熱して、該有機化合物を多孔質電極からドレンさせるか又は蒸発させて、所望の有孔率勾配を残す。
【0066】
さらに他の実施態様では、フュージティブ孔形成剤は例えばナフタレンのような高い蒸気圧を有する固体であり、これは溶融よりもむしろ昇華によって除去されて、所望の有孔率勾配を残す。
【0067】
当業者は、本明細書に述べる全てのパラメータ及び配置(configuration)が例示であることを意味し、実際のパラメータ及び配置が、本発明の系及び方法が用いられる特定の用途に依存することを理解する筈である。当業者は、ルーチンの実験のみを用いて、本明細書に述べる本発明の特定の実施態様の多くの同等物を認識する、又は確認することができる筈である。例えば、有孔電極におけるチャンネルの選択及び大きさを合わせた作製(sizing)はルーチンの実験のみを必要にすると考えられる。それ故、上記実施態様が例のためのみに提示されたものであり、添付請求項及びそれらの同等物の範囲内で、本発明が特に述べた以外の形式で実施されうることを理解すべきである。本発明は本明細書に述べる各特徴、系又は方法に関する。さらに、このような特徴、系又は方法が相互に矛盾しないならば、2つ以上の特徴、系又は方法の任意の組み合わせが本発明の範囲内であると考えられる。例えば、網目状電極におけるチャンネルの使用又は有孔若しくは網目状電極による有孔率勾配の取り入れは本発明の範囲内であると考えられる。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景) 本発明は米国仮特許出願第60/242,124号(2000年10月20日出願)への優先権を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は一般に二極デバイスに関し、より詳しくは、網目状又は相互にかみ合った(interdigitated)形態であり、制御された有孔率の電極を有する電池に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
例えばリチウム電池及び燃料電池のような、固相エネルギー・デバイスは典型的に高エネルギー密度並びに高出力密度を必要とする用途に用いられている。出力密度は、イオン及び電子の運搬速度の関数でありうる放電率に関連づけることができる。例えば、リチウム電池において電極があまりに厚すぎると、電極から、例えば電解質の、電極からセパレータとの界面までのイオン/電極の輸送率が律速性(rate limiting)となるので、放電率が限定される可能性がある。他方では、電極層が非常に薄い場合には、電極の活物質に比べて、電解質、セパレータ及び集電装置がより大きい容積を占め、より大きい質量の一因となるので、エネルギー密度が損害を受けることになる。さらに、界面の単位面積当りのある一定の電流速度のみを可能にする界面抵抗によって、放電率が減少する可能性がある。
【0004】
リチウム−イオン及びリチウム−ポリマー再充電可能な電池は、その高いエネルギー密度、電池形態の自由さ、環境と安全上の問題の低い可能性、並びに低い関連する材料及び加工コストのために、再充電可能な電池用途のために魅力的なテクノロジーになりうる。
【0005】
カソード若しくはアノードとして用いられる蓄電物質(storage material)、又はこのような電池と共に用いられる液体若しくはポリマー電解質における改良がなされ、その結果、リチウムをベースとする再充電可能な電池テクノロジーにおいて改良がなされている。例えばLiCoO2及びLiMn2O4のような現在既知のカソード化合物は、例えばリチウム金属又は炭素のような現在既知のアノードと共に用いられた場合に、約3eV〜4eVの使用電圧を有する。多くの用途のために、カソードに関しては高電圧かつ低重量が望ましく、このことが高い比エネルギー(specific energy)を生じる。例えば、電気自動車用途のためには、電池の単位重量当たりのエネルギー比率が再充電するまでに走行できる距離を決定する。これまで行なわれてきたリチウム挿入化合物の研究は、種々な酸化物化合物の合成とその後の試験に主として集中している。これらの努力により、LiOxCoO2、LixNiO2、LixMn2O4及びLixV3O13を含めた、多様な化合物が開発された。さらに、LixTiS2及び他の二硫化物がリチウム挿入に用いるために研究されている。
【0006】
多重金属を含む系が幾つかの特許及び刊行物において述べられている。Ohzuku等,“Synthesis and Characterization of LiAl1/4Ni3/4O2for Lithium-ion(Shuttle Cock)Batteries”,J.Electrochem.Soc.,vol.142,p.4033(1995)及びChiang等,“High Capacity,Temperature-Stable Lithium Aluminum Manganese Oxide Cathodes for Rechargeable Batteries”,Electrochem.Sol.St.Lett.,2(3)pp.107-110(1999)は表記の混合金属組成物の電気化学的性質を報告している。
【0007】
幾つかの再充電可能なリチウム電池におけるカソードはリチウムイオン・ホスト物質、リチウムイオン・ホストを集電装置(即ち、電池端子)に電子的に接続(electronically connect)するための電子伝導性粒子(electronically conductive particles)、結合剤、及びリチウム伝導性液体電解質(lithium-conducting liquid electrolyte)を含有する。リチウムイオン・ホスト粒子は典型的にリチウム挿入化合物の粒子であり、電子伝導性粒子は典型的に、例えばカーボンブラック又は黒鉛のような物質から作られる。得られるカソードは典型的に約100ミクロン以下のオーダーの平均サイズの粒子の混合物を包含する。
【0008】
再充電可能なリチウムイオン電池のアノードは典型的に、例えば黒鉛のようなリチウムイオン・ホスト物質、結合剤、及びリチウム伝導性液体電解質を含有する。リチウムイオン・ホストとしての黒鉛又は他の炭素の代替え物は、Idota等によってScience 1997,276,1395に、そしてLimthongkul等によって“Nanocomposite Li-Ion Battery Anodes Produced by the Partial Reduction of Mixed Oxides”,Chem.Mat.2001に述べられている。
【0009】
このようなカソード又はアノードでは、信頼できる操作のためには、粒子間の良好な接触を維持して、リチウム・ホスト粒子と外部回路との間の電子伝導性径路と、リチウムホスト粒子と電解質との間のリチウムイオン伝導性径路を確保すべきである。このために、注液式電解質電池(flooded electrolyte battery)が用いられている。注液式電解質電池は一般に、電極が電解質溶液又はマトリックス中に浸漬されている電池である。これは、付加的な反応部位をもたらすことになるので、性能を改良する筈である。
【0010】
エネルギー密度は本質的に、蓄電物質によって決定されうる;電池電圧はカソードとアノードとの間のリチウムの化学ポテンシャルの差異によって決定されうるが、充電容量(charge capacity)はカソード及びアノードによって可逆的に挿入されうるリチウム濃度に依存する可能性がある。他方では、出力密度は、イオン又は電子を電極中に挿入するか又は電極から取り出すことのできる速度によって決定される可能性がある。
【0011】
種々の文献で固体ポリマー電解質が述べられている。例えば、Nagaoka等は、“A High Ionic Conductivity in Poly(dimethyl siloxane-co-ethylene oxide)Dissolving Lithium Perchlorate”,Journal of Polymer Science:Polymer Letters Edition,Vol.22,659-663(1984)中で、LiClO4によってドープされたジメチルシロキサン−エチレンオキシド共重合体中のイオン伝導性を述べている。Bouridah等は、“a Poly(dimethylsiloxane)-Poly(ethylene-oxide)Based Polyurethane Networks Used as Electrolytes in Lithium Electrochemical Solid State Batteries”なるタイトルの文献、Solid State Ionics,15,233-240(1985)において、10重量%LiClO4によって充填された架橋ポリエーテル−グラフト化PDMSと、そのイオン伝導性と熱安定性を述べている。Matsumoto等は、“Ionic Conductivity of Dual-Phase Polymer Electrolytes Comprised of NBR-SBR Latex Films Swollen with Lithium Salt Solutions”なるタイトルの文献、J.Electrochem.Soc.,141,8(August,1994)において、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴムとスチレンーブタジエン共重合体混合ラテックス・フィルムをリチウム塩溶液によって膨潤させて、二相ポリマー電解質(dual-phase polymer electrolytes)を生成することを包含する手法を述べている。
【0012】
ポリマー電池のための電極も述べられている。例えば、Minett等は、“polymeric insertion electrodes,Solid State Ionics,28-30,1192-1196(1988)”において、ピロール中に浸漬させたポリエチレンオキシド・フィルムをFeCl3水溶液に暴露させるか、又はFeCl3含浸ポリエチレンオキシド・フィルムをピロール蒸気に暴露させることによって形成された混合イオン/電子伝導性ポリマーマトリックスを述べている。このフィルムを用いて、アノードとしてリチウムを、電解質としてPEO8LiClO4を用いる全固相電気化学セル(all-solid-state electrochemical cells)が組み立てられている。米国特許第4,758,483号(Armand)は、複合電極に用いることができる固体ポリマー電解質について教示している。この電解質は、エチレンオキシドと、系に構造不規則性を導入して結晶性を減ずる又は排除する側基ラジカルを包含するエチレンポリオキシド構造でありうる第2単位とのコポリマー中に溶解しているイオン化合物を包含することができる。例えば過塩素酸リチウムのようなリチウム塩をポリマー系に溶解させることができる。
【0013】
電池構成(battery formulations)の顕著な進歩がなされてきたが、この種のデバイスにおける出力密度及びエネルギー密度を増大させるには、多くの改良の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(3. 発明の簡単な概要)
1実施態様では、本発明は、電解質とイオン的に接触(ionic contact)する、少なくとも1個の網目状電極を含むエネルギー蓄電デバイスを提供する。
【0015】
他の実施態様では、本発明は、電解質マトリックス中への複数個の延伸部(突起)を有する構造の第1電極を含むエネルギー・デバイスを提供する。
他の実施態様では、本発明は二極デバイスを提供する。この二極デバイスは、電解質中に延伸する第1セットの突起(proturberance)を有する第1電極と、第1セットの突起に対して相補的な形状であるように構築され、配置された第2セットの突起を有する第2電極とを含む。
【0016】
他の実施態様では、本発明は、その内部に多孔質ネットワークが画定された材料で形成される電極を提供する。
他の実施態様では、本発明は電池を提供する。この電池は第1電極、第2電極、第1電極と電子的に接続(electronic communication)する第1集電装置、及び第2電極と電子的に接続する第2集電装置含むから成っている。第1電極は、第1集電装置と第2電極との間に配置され、第1集電装置から第2電極への方向において有孔率が増大している部分を有している。
【0017】
他の実施態様では、本発明は、対向電極を近接位置決めするための第1接合面を有する第1電極を含み、該接合面が網目状で複数個の突起と介在する凹みとを画定しており、平坦で非網目状の形態の表面の理論的表面積の少なくとも1.5倍の表面積を生じる装置を提供する。
【0018】
他の実施態様では、本発明は、その内部に複数個のチャンネルが画定されており、該チャンネルが電解質から電極の表面までのイオン種の拡散を可能にするように構築され且つ配置されている電極を提供する。
【0019】
他の実施態様では、本発明は、電解質と接触し、その内部に複数個のチャンネルが画定されている電極を含み、該チャンネルが電解質から電極の表面までのイオン種の拡散を可能にするように構築され、配置されている電池を提供する。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、電解質とイオン的に接続(ionic communication)する、少なくとも1個の有孔電極を含む電池を提供する。
他の実施態様では、本発明は、ポリマー結合剤を含まない多孔質電極を含む二極デバイスを提供する。
【0021】
他の実施態様では、本発明は、炭素添加剤を含まない多孔質電極を含む二極デバイスを提供する。
他の実施態様では、本発明は、エネルギー発生を容易にする方法を提供する。
この方法は、第1電極、第2電極、第1電極と電子的に接続する第1集電装置、及び第2電極と電子的に接続する第2集電装置を含む電池であって、該第1電極が第1集電装置と第2電極との間に配置され、第1集電装置から第2電極への方向において増大する有孔率を有する部分を包含する上記第1電極を用意する工程を含む。
【0022】
本発明の他の利益、新規な特徴及び目的は、本発明の下記詳細な説明から、添付図面と共に考慮すると明らかになると思われる、これらの図面は概略的であり、正確な縮尺に合わせて描くように意図されていない。図面において、種々な図に例示される各同じ又は実質的に同様な要素は単一の数字又は記号によって表示される。明瞭さのために、全ての図において全ての要素を標識する訳ではない。そしてまた、当業者に本発明を理解させるために例示が必要でない場合には、本発明の各実施態様の全ての要素を示すとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に従って用いることができるアノード/カソード系を示す概略的な例示である;
【図2】図2は、シミュレートしたセルを図解して、本発明の他の実施態様を例証する概略ダイアグラムである;
【図3A】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3B】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3C】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図3D】図3A〜3Dは、本発明の他の実施態様による、種々な網目状電極を有する二極デバイスを示す概略(断面)説明図である;
【図4】図4は、本発明の他の実施態様による、有孔構造を有する二極デバイスを示す概略説明図である;
【図5】図5は、本発明の1実施態様による電極における距離の関数としての電解質容量分率を示すグラフである;
【図6】図6は、本発明の1実施態様による二極デバイスの大きい有孔率構造における標準化累積イオン抵抗を予測するグラフである;
【図7】図7は、本発明の1実施態様による二極デバイスの大きい有孔率構造における標準化累積電位低下を示すグラフである;
【図8】図8は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける電流密度の関数としての大きい有孔率構造の比エネルギーを示すグラフである;
【図9】図9は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける比出力の関数として比エネルギーを示すグラフである;
【図10】図10は、本発明の1実施態様による二極デバイスにおける傾斜有孔率構造の表面における電解質分率の関数として比エネルギーを示すグラフである;
【図11】図11は、本発明の1実施態様による傾斜有孔率構造を有する二極デバイスにおける放電電流密度の関数として比エネルギーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(4. 詳細な説明)
電気化学的に活性な酸化物の固有な輸送特性を改良するために、三相多孔質電極を用いて、律速を改善することができる。例えば、蓄電物質である、リチウム、酸化コバルトに炭素質導電性添加剤及び電解質物質を加えて、電子伝導性及びイオン伝導性を改良することができる。
【0025】
通常、微細構造における特徴がこのような物質の重要な性質に影響を与える。したがって、このような系における構成部品の微細構造を調整して、望ましい性質を最適化し、望ましくない性質を最小にする。
【0026】
本発明の1実施態様による二極デバイスを図1に概略的に示す。エネルギー蓄電系でFある二極デバイス10は、1実施態様では、LiCoO2と炭素との組み合わせを用いることができる。幾つかの場合には、例えば電池のような、固体ポリマー・エネルギー蓄電系を提供することができ、この場合には、電解質16、リチウム金属アノード12及びカソード14から構成される。例えば、リチウムイオン電池のような、本発明によるエネルギー蓄電デバイスは、液体電解質を用いることができる。例えば、典型的なリチウム電池は、リチウム・ホイル又は複合炭素のアノード、リチウム塩による液体電解質、及び複合カソードを有する。放電中においては、リチウムイオンはアノードからカソードまで電解質を通って輸送され、次に酸化物蓄電物質中に入り込む(intercalate)。電荷中性を維持するために、電子が外部回路18から送り込まれて、電気化学的反応が完成する。好ましくは、電極においては、電子とリチウムイオンの両方が速やかに輸送されるべきである。
【0027】
実現可能なエネルギー及び出力密度は、例えば要素の配置(arrangement)及び選択を含めた系の設計によって典型的に影響される。典型的な高性能の再充電可能なエネルギー蓄電系は、ラミネート構造であり、典型的に活性物質、結合剤及び導電性添加剤の混合物からなる複合電極を用いることができる。この系に有機液体電解質を充満させることができる。リチウムイオン電池におけるカソードの厚さは典型的に200μm未満であるが、高出力電池では、100μm未満である。高エネルギー密度を得るために蓄電物質の充填密度(packing density)を最大にするには、孔チヤンネルを、断面積内で曲がりくねらせて作ることができる。電池反応の律速段階は、大抵の場合には、複合電極の液体充填孔チャンネルを通してのLi+イオン拡散であると考えられている。現在、“セル・スタック(cellstack)”は2個の金属ホイル集電装置、アノード、セパレータ及びカソードであることができ、これは約250μm厚さである。
【0028】
本発明の種々な態様を一般的に説明するために、リチウムイオン電池を用いることにする。このようなリチウムイオン二極デバイスの説明は例示であることを意味し、他の系への本発明の種々な特徴及び態様の使用も本発明の範囲内であると考えられる。例えば、以降で説明する網目状、有孔性又は制御多孔質構造は、非限定的に一次(使い捨て)電池及び二次(再充電可能)電池を含めたエネルギー蓄電又はエネルギー転換系に用いることができる。
【0029】
電極12と14の間に電圧を印加し、該電圧によってリチウムイオン及び電子が電池のカソード内のリチウム・ホストから引き出されることによって、リチウム電池を充電することができる。リチウムイオンは、カソード14からアノード12に電解質16を通って流れて、アノードにおいて還元される。放電中は、図1に関して、この逆が生じる。即ち、リチウムイオンと電子はカソード14におけるリチウム・ホスト中に侵入し、一方、アノード12ではリチウムが酸化されてリチウムイオンになる。そして、外部回路18に電子を供給することによって、この電池が接続されるデバイスに電力が供給される。したがって、電池の作動中には、例えば、リチウムイオンは幾つかのプロセスを通して、電気化学的反応を完成する。これらのプロセスとしては、アノード表面におけるリチウムの溶解(これは典型的に電子を外部回路に放出する);電解質(セパレータの孔中と、多孔質電極の場合には、電極の孔中に存在しうる)セパレータ、例えば電解質を通してのリチウムイオンの輸送;複合カソード中の電解質相を通してのリチウムイオンの輸送;外部回路から電子を受容する活性カソード物質中へのリチウムイオンの挿入(intercalation);及び集電装置から挿入部位への電子輸送と共に生じる、活性物質中へのリチウムイオンの拡散;などがある。
【0030】
アノードにおけるリチウム溶解と、カソード−電解質界面における挿入(intercalation)反応は、熱によって活性化することができる。電極における電荷移動反応は室温において比較的迅速であると考えられるので、必ずしも律速ではない。それにも拘わらず、このような反応は反応系の表面積を増大することによって、促進されうる。挿入物質の粒度の縮小すると反応速度を上昇させることができる。電極中へのイオン挿入は拡散によって行われる。典型的な挿入酸化物では、典型的なエネルギー蓄電デバイスにおける約1μmの典型的な距離を横切る拡散時間は、室温において約10秒間でありうる。特に、酸化物粒度を縮小することによって、拡散限界が縮小する可能性があるが、これは他の拡散パラメータを変化させることによって対処することができる。
【0031】
セパレータ16を横切ってのイオン輸送は、典型的に2つの領域、即ちセパレータ領域22と電極領域24において生じる。前者では、一般に、電気化学的反応は生じず、イオン輸送はセパレータの物理的性質によって決定されうる。このイオン輸送速度は、セパレータの物理的性質の設計若しくは最適化によって、又はセパレータを横切るイオン輸送距離を最小化することによって減ずることができる。後者では、イオン輸送は電極の電解質充填孔チャンネル又はネットワーク構造を通って行うことができる。このイオン輸送は、例えば平均イオン輸送径路の曲がりくねりによって影響される可能性がある。幾つかの系では、イオン電流は、電気化学的反応のために、電極の深さによって変化する。
【0032】
複合構造体12又は14における有効イオン伝導性は、孔に電解質が充填されるので、孔容積分率の減少に伴って速やかに低下すると考えられる。したがって、1実施態様では、本発明は、イオン輸送を助けるか又は促進する電極構造体12又は14を提供する。例えば、1実施態様によると、本発明は、電流の方向に実質的に並行であるように配置されたラメラ粒子(lamellar particles)を含む系を提供する。このようなラメラ微細構造によって、イオン伝導性を減ずることなく、活性物質の容積分率を高めることができる。
【0033】
他の実施態様によると、本発明は、集電装置と電解質の質量を最小化し、アノード構造とカソード構造の質量を最大化した二極デバイス10を提供する。1実施態様では、イオンが横断しなければならない拡散距離(d)又は拡散路を最小化し、イオン又は電子に接触する界面面積を最大化する。
【0034】
即ち、1実施態様では、この系は、界面の面積を増大させることができるように、網目状でありうるか又は網目状界面を有する要素又は構造を包含することができる。このように界面の面積を増大させることにより、例えばイオン種の利用可能な反応部位が増加する。本発明によると、図3A−3Dに概略的に示すような網目状構造を含めた、多くの種々な網目状パターンを用いることができる。1実施態様では、この網目状パターンのアスペクト比l/a(この場合、lは以降で説明する突起(又は凹み)の長さであり、aはその幅又は厚さである)は変化することができる。このような二極デバイスは、以降に説明するような、種々な方法又は手段によって、作ることができる。図3A−3Dは、種々な網目状構造を有する系を示す。図3Aでは、系10は、電解質マトリックス16中に伸長して、電解質マトリックス16とイオン的に接触する複数個の延伸部(突起)28を有する網目状アノード12を有する。この実施態様では、カソード14は非網目状として示されている。同様に、他の実施態様によると、図3Bは、網目状アノード12と網目状カソード14を有する系10を示しており、該アノード12と該カソード14は、各々、相互から均一な間隔を置いて離隔している突起28と、それと相補的な形状の凹み26とを有している。
【0035】
アノード12とカソード14は、電解質16とイオン的に接続、及び/又は電子的に接続することができる。図3Cでは、系10は相補的な形状の網目状構造12と14を有し、これらの各々は相互にかみ合っており(interdigitated)、網目状構造は、長さlと幅又は厚さaを有している。図3Dでは、系10は、網目状構造12と14を有し、これらの各々は集電装置30と電子的に接続している。該網目状組織は、凸面28を形成しており、これは対応する形状の凹面26から間隔dを置いて離隔している。
【0036】
単層セル又はスタックを製造する他に、平面状界面設計で同じ材料によって、より高いエネルギー密度及び出力密度を有する多層セルを得ることができる。本発明は広範囲な性質、例えば放電率、出力密度を有し、同じ材料セットから製造することができる系又はセルを提供する。このことはフレキシビリティーを与え、より効果的な設計、プロトタイプ製造及び製造シーケンスをもたらすことができ、並びに調整可能な(tailorable)若しくは特注生産可能な二極デバイスを生成させることができる。網目状界面の構造を有する二極デバイスを、充電及び放電動力学を調節し、最適化するために、調整することができる。
【0037】
本発明では、“網目状界面(reticulated interface)”又は“相互にかみ合った電極(interdigitated electrode)”とは、対向電極に相対する表面が網目状であって複数個の突起と介在する凹みとが画定され、対向電極においても、上記突起及び凹みに対して相補的な形状の突起及び凹みが画定されている正電極及び/又は負電極12と14を意味する。このような突起及び凹みは、周期的(periodic)であって、規則的な間隔を置いていてもよく、又は非周期的(aperiodic)若しくはランダムに配置されていてもよい。一方の電極が突起を有する場合には、他方の電極は、同様な形状及び寸法の凹みを有する。即ち、二つの電極は、互いに形状相補性(shape complementarity)を示す。正電極と負電極はそれらの“接合(mating)”界面に沿ったいずれの場所においても電解質16の層又は領域によって分離されることができる。幾つかの実施態様では、特に形状相補的な構造を有する系に関して、電解質16の層は薄いことができ、比較的均一な厚さを有することができる。
【0038】
正電極と負電極との間の電解質又はセパレータの層の空間的平均厚さ(spatially-averaged thickness)は約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、なお好ましくは約25ミクロン未満、さらに好ましくは約10ミクロン未満であるように選択される。さらに、正電極及び負電極の網目状の構造体は、突起又は凹みの長さに沿って平均化したときに、約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、なお好ましくは約25ミクロン未満、さらに好ましくは約10ミクロン未満である厚さを有するように選択される。このような設計は、通常はセパレータ、電解質、結合剤、導電性添加剤及び、実施態様によってはリチウムを有していない、他の不活性要素によって占められる系の容積を減じることができ、それによって電池のエネルギー密度を容積又は重量ベースで高めることができる。
【0039】
上記のような寸法を有することにより、本発明に係る電池は、イオン拡散距離を減ずることができるので、慣用的な設計の電池に比べて、容量又は重量ベースで改良された出力を有する。正電極及び負電極の厚さがほぼ均一である慣用的な積層電池では、充電又は放電中は、イオンは電極の厚さを横切って拡散しなければならない。慣用的なリチウムイオン・デバイスでは、電極厚さは典型的に約100〜約200μmである。大抵のこのような系では、電極厚さを横切るリチウムイオンの輸送速度によって電池の出力が制限される。電子の輸送速度は非常に大きいと考えられ、必ずしも律速ではない。本発明では、リチウムイオン電池に適用した場合には、リチウムイオンの拡散距離を電極の厚さから網目状又は相互にかみ合った構造体の横断方向の厚さにまで減ずることができる。
【0040】
他の実施態様では、本発明は、二極デバイスの電極とセパレータ又は電解質との間の界面面積を増大して、イオンの拡散距離を減ずるか又は拡散路の長さを最小化する。図4に概略的に示すような、幾つかの場合には、本発明は、その内部に画定された複数個のチャンネル32を有する、例えば電極12と14のような、有孔構造を有する系10を提供する。1実施態様では、複数個のチャンネルに電解質物質を充填することができる。このような構造は、拡散する際にイオンが曲がりくねって移動することを最小化することによってイオン拡散を改良することができる。したがって、イオンの有効拡散長さを減ずることができる。幾つかの場合には、好ましい有孔電極はリチウムイオン電池の複合電極として用いることができる。他の実施態様では、本発明は、電極が固体電解質16で充填された複数個のチャンネルを有する緻密な単相物質でありうる薄フィルム電池を提供する。図4の右側は電極14のa−aに沿った切断面を示す。この切断面は電極14のチャンネル32内の電解質16を示す。該チャンネルは、電極内を通って、セパレータ16との界面34の前面(front)から集電装置30近くの背面(back)まで伸長することができる。チャンネル32は電解質の背面と電極の背面近くの領域との間のイオン的な接続を可能にする。このイオン輸送路によって、イオン種が移動する際に曲がりくねって移動することを排除して、イオンの輸送距離が減少する。チャンネル32は例えば、非限定的に、図4に示すような円形、長方形又は多角形のような、多様な断面形状を有することができる。
【0041】
本発明の設計はまた、網目状又は相互に貫入する(interpenetrating)構造体の寸法を変えることによって、充電特性又は放電特性を選択的に変化させることができる系をも提供することができる。他の実施態様では、本発明は、構造体中の電流分布に基づいてイオン伝導性を調整することによって、例えば電極のような複合構造体における改良されたイオン輸送性を提供する。電極粒子における電荷移動電流(charge transfer current)が律速である場合には、電極中の電解質相によって運ばれる電流は深さと共に減少しうる。このような現象は、電解質セパレータから離れた領域近くの電解質相でのイオン伝導性に関しては重要ではないが、電極表面近くで高いイオン伝導性を得るためには電極構造のバルク構造体(the bulk of the electrode structure)への迅速なイオン輸送を必要とすることを示唆する。したがって、1実施態様では、本発明は、電極構造体の有孔率又は孔密度を傾斜的に変化させること(grading)によって、改良されたイオン輸送速度を提供する。本発明によれば、界面近くで電解質が高い容量分率(volume fraction)を有することにより,イオン電流が高くなりうる領域におけるイオン伝導性が改良される。一方、電極の深部においては活性物質が高い分率を示すことにより、高いエネルギー密度の保持が可能となる。
【0042】
本発明は、線状、上方に凹形(concave up)、及び下方に凹形(concave down)の有孔率勾配をはじめとする、多様な傾斜有孔率配置(graded porosity arrangements)を提供する。例えば、線状の有孔率勾配を有する電極は、ある領域から他の領域へ連続的に変化する有孔率を有する。例えば、1実施態様では、電解質近くの電極前面36においては電極構造体は0.4の有孔率を有し、一方、集電装置近くの電極背面38においては電極構造体は0.2の有孔率を有するように、線状に変化する有孔率を有することができ、その孔内に電解質が充填される。背面(back)とは集電装置と電子的に接続する電極の領域を意味し、前面(front)とはセパレータ電解質に隣接する電極の領域を意味する。他の実施態様では、電極は、上方に凹形又は下方に凹形のプロフィルを有しうる有孔率を有する。
【0043】
有孔率は平均して約10%から約70%とすることができる。有孔率が約80%を越えるように高くなり過ぎると、電極構造体が構造的に不安定になる可能性があり;一方、有孔率が約10%未満のように低くなり過ぎると、出力密度又はエネルギー密度の漸進的増加が生じるに過ぎない。したがって、平均有孔率は好ましくは約20%から約50%までである。他の実施態様では、平均有孔率は約30%から約45%までである。幾つかの実施態様では、電極における、集電装置から電解質又は他方の電極方向への有孔率勾配は平均有孔率から少なくとも約10%だけ、好ましくは少なくとも約20%だけ、より好ましくは少なくとも約30%だけ変化する。他の実施態様では、集電装置の質量中心と第2電極の質量中心とを結ぶラインに対して垂直な、電極の任意の横断面における有孔率変化は約+/−10%、好ましくは約+/−5%、より好ましくは約+/−3%、さらにより好ましくは+/−1%で均一である。
【0044】
したがって、電極構造体は、その構造中に多孔質ネットワーク構造を有することができる。この多孔質ネットワークは、イオンが多孔質構造内の任意の位置における有孔率を画定する空隙に拡散することができるように、イオン的に相互連絡することができる。例えば、リチウムイオンはバルク電解質から多孔質電極内の任意のイオン的に相互連絡する位置に拡散することができる。
【0045】
これらの傾斜有孔率勾配を図5にグラフ的に例示する。図5では、平均有孔率は約0.3であり、傾斜有孔率電極の各々はm電極の前面において約0.4の有孔率を有し、これは0.4の電解質分率に相当する。
【0046】
図5に示した二極系の性能は、図2に概略的に例示する、EC/DEC/LiPF6電解質と、MCMB炭素又はリチウム・アノードとを伴う、典型的なLiMn2O4スピネル・カソードに関する。傾斜有孔率電極を評価するために、メソ多孔質炭素微小ビーズ(mesoporous carbon microbeads)(MCMB)炭素アノードを用いた。放電に関しては、Li0.1705Mn2O4の初期リチウム含量を有するスピネル・カソードを想定した。約3.5Vのカットオフまで放電する系をシミュレートした。該カソード厚さは約200μmであると想定した;電解質厚さは約52μmであると想定され、アノード厚さは約100μmであると想定された。図5においては、0.3の平均有孔率に関して種々な勾配を示す。
【0047】
図6は、図5に示した傾斜有孔率電極の各々に関する電極深さの関数としての標準化累積イオン抵抗(normalized cumulative ionic resistance)をグラフ的に例示する。傾斜有孔率電極の各々は、表面近く及び電極の全体にわたって、慣用的電極よりも低い予測累積イオン抵抗を有した。図7は、図5に示した傾斜有孔率電極の各々に関する電極深さの関数としての標準化累積電位低下をグラフ的に例示する。傾斜有孔率電極の各々は、表面近く並びに電極の全体にわたって、慣用的電極よりも低い電位低下を有した。図6と7は、傾斜有孔率電極がより良好なイオン輸送性及び電位特性(potential properties)を有し、これらが当然より高い出力及びエネルギー密度に変わることを示す。このような性能は図8と9にグラフ的に例示することができ、図8と9は種々な傾斜有孔率電極に関して、それぞれ、電流密度及び比出力に対する比エネルギーを示す。図9は、傾斜有孔率電極を有する系が、一定の出力において、慣用的な電極系よりも多くのエネルギーを供給することを示す。さらに、有孔率の関数(電極表面における電解質分率)として比エネルギーをグラフ的に例示する図10は、放電電流が増加するにつれて、最適電極グレーディング(grading)が軽度の有孔率から高い電流密度におけるより重度な勾配までシフトすることを示す。このシフトは、電流増加による電極利用の低下から生じると考えられ、この場合には、特に高度に傾斜性電極(highly graded electrodes)に関して、電極の背面における低いイオン輸送性は低い及び中程度の放電率における利用を阻害する。上方に凹形、下方に凹形及び線状勾配の有孔率電極を有する系の放電電流密度の関数として比エネルギーをグラフ的に例示する図11は、傾斜有孔率系が慣用的な均質電極系に比べて、特に中間放電率方式(intermediate discharge rate regime)では、高い比エネルギーを有することを示す。
【0048】
他の実施態様によると、該電極は集電装置から他方の電極又は電解質への有孔率勾配を有し、この勾配は、電極に沿った任意の位置において5%未満又は以下、好ましくは10%未満又は以下、より好ましくは15%未満又は以下だけ変化する傾斜を有する。傾斜のこの変化は段階的でも平滑であることもできる。
【0049】
他の実施態様では、該構造は、網目状である接合面を有し、該網目状接合面の表面積は、平坦で非網目状構造の理論的表面積の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも約2.5倍、より好ましくは少なくとも約3倍、さらにより好ましくは少なくとも4倍、最も好ましくは少なくとも約5倍である。
【0050】
他の実施態様では、網目状組織は少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.5、より好ましくは少なくとも約3.0、より好ましくは少なくとも3.0、より好ましくは少なくとも約4.0、最も好ましくは少なくとも約5.0であるアスペクト比を有する。
【0051】
他の実施態様では、突起と凹みとは約100ミクロン未満の平均距離をもって離隔している。この距離は好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは25ミクロン未満、最も好ましくは約10ミクロン未満である。
【0052】
本発明のこれらの及び他の実施態様の機能及び利点は、以下の実施例からさらに詳しく理解されるであろう。下記実施例は本発明の利点を例示するように意図されるものであって、本発明の完全な範囲を典型的に示すものではない。
【0053】
実施例
実施例1.順次沈積によって調製されたリチウム電池
結合剤、任意に、例えば炭素のような導電性添加剤及び、所望の寸法範囲内であるプリント層(printed layer)に対する方位分解能を可能にするように選択されたステンシル、スクリーン・プリンティング、インキジェット・プリンティング又はリトグラフ方法を用いて、懸濁液を薄層状態に沈積させて、懸濁液に特性を与えることが周知の他の添加剤を含む溶媒中の例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiFePO4、V2O5、Li3Bi、Li3Sbのような微粉状リチウム蓄電カソード又は当業者に周知の他のこのようなカソードから、懸濁液を調製することができる。別の同様な懸濁液を例えば炭素、Sn、Sb、Al、Zn、Ag、LiAlのような微粉状リチウム蓄電アノード又は当業者に知られた他のアノード物質から調製することができる。該カソード懸濁液とアノード懸濁液とを1層ずつ沈積させて、図3に示すような、周期的又は非周期的な網目状又は相互にかみ合う構造体を形成する。乾燥時に結合剤の連続(濡れた(wetting))表面層が形成されるように溶媒及び結合剤系を選択することによって、及び/又は同じ層内でカソード・パターンとアノード・パターンとが適切に分離されるように層を沈積させることによって、該カソードと該アノードとの間の電子的接触、短絡が回避される。任意に、結合剤を含有し、カソードもアノードも導電性添加剤も含有しない第3懸濁液をカソード・パターンとアノード・パターンとの界面にパターンとして沈積させて、カソード・パターンとアノード・パターンとの電子的離隔を確実にすることができる。
【0054】
例えばアルミニウム又は銅から作製された金属ホイル又は微細なメッシュの集電装置を、層をその上に沈積させる基板として用いることができる。カソード化合物が第1連続層を形成する場合は、アルミニウムが好ましく、アノードが第1連続層を形成する場合には、銅が好ましい。連続沈着が完了し、アセンブリが乾燥され、任意に、強固にするため加熱された後に、該積層電池の表面に第2集電装置を加えることができる。任意に、電子デバイス製造の技術分野に熟練した人によって用いられるようなパターン化相互接続(patterned interconnects)を形成するために用いられる手法を用いて、頂部集電装置を導電性インクとしてプリンティングによって形成する。任意に、例えば、非限定的にポリエチレン又はポリエステル、例えばE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)から入手可能な、MYLAR(登録商標)フィルムのような絶縁フィルム上に電池構造体を沈積させて、次に、このフィルムから電池構造体を取り出して、集電装置を加えて、アノード及びカソードとの接点を形成することができる。
【0055】
結合剤は例えば固体ポリマー電解質である。これは電池内の液体電解質の必要性を除去する筈であるが、場合によっては、電池全体に液体電解質を注入しながら(充満させながら)、組み立てられたデバイス内で粒子を一緒に固定結合させるのに役立つ。適当な固体ポリマー電解質の例としては、非限定的に、例えば過塩素酸リチウム又はリチウム・トリフラートのようなリチウム塩が既に加えられている(ポリ)エチレンオキシドが挙げられる。寸法安定性に優れた、即ち、電解質が結合剤を溶解しない結合剤と液体電解質の例は、1:1のモル比での(ポリ)エチレンジフルオリド(PVdF)とエチレンカーボネート−ジメチルカーボネート(EC:DMC)であり、これには既にリチウム塩が加えられている。
【0056】
実施例2:プリンティングとコーティングによって製造された電池
実施例1の材料と方法を用いて、網目状又は相互にかみ合った構造を有する第1電極、カソード又はアノードのいずれかを調製する。プリントされた構造体の表面に、結合剤又はポリマー電解質の連続フィルムを形成することができる。このフィルムはアノードとカソードとの間に物理的セパレータを形成することができる。このフィルムはプリントされた電極の表面への結合剤溶液の自己−凝離(self-segregation)(濡れ)によって形成されうる。任意に、液体結合剤又は電解質溶液でコーティングし、続いて乾燥させることによって、又は薄フィルム物質調製の技術分野に熟練した人に知られた蒸着法によって、表面フィルムを形成することができる。
【0057】
形成された構造に液体懸濁液の適合コーティング(conformal coating)を加えて、対向電極を形成することができる。後者の凹みは第1電極の構造に対して相補的な形式で充填されて、平坦で平らな外面を残し、これに次に集電装置が加えられる。多重コーティングを用いて、適合充填(conformal filling)を達成することができる。次に、この系を乾燥させ、任意に、強固にするために加熱することができる。系を完成させるために片面又は両面に集電装置を加えることができる。
【0058】
実施例3:エンボスとコーティングによって製造された電池
実施例1の材料を金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上に層としてキャストするか又は塗布することにより、第1電極、カソード又はアノードのいずれかの層を形成する。。この層は、例えばスクリーン・プリンティング、テープ・キャスティング(tape casting)、ウェブ・コーティング(web coating)及び同様な方法による厚フィルム加工に適したレオロジー特性を有するように、当業者に知られた方法によって作製される。次に、この第1層の表面をダイによってエンボスして、所望の寸法を有する網目状表面にする。この成形された表面に、実施例2に述べた適合コーティング材料及び方法によって対向電極を加える。このアセンブリを乾燥させ、強固にするために任意に加熱して、集電装置を加える。
【0059】
エンボス工程の前又は後且つ対向電極配合物(counterelectrode formulation)を塗布する前に、結合剤又は電解質のフィルムを加える。
実施例4:サブトラクティブ・パターン化とその後の充填
実施例1の材料をか金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上に層としてキャストするか又は塗布することによって、第1電極、カソード又はアノードのいずれかの層を形成する。任意に、電極を懸濁液として金属ホイル集電装置上にキャストするか又は塗布し、焼成して、蓄電物質の連続固体フィルムを得るか、又は例えばスパッターリング、蒸発、化学的蒸着のような、当業者に知られた蒸着法によって固体フィルムとして付着させる。第1電極層をサブトラクティブ・パターン化して、即ち、リトグラフ・マスキングとその後の化学的若しくは反応性イオン・エッチング、レーザー除去又は厚フィルム及び薄フィルム物質加工において知られた他のこのような方法によって、物質を除去して、本発明の網目状又はインターディジテイティッド電極トポロジーを形成する。パターン化第1電極上に、結合剤又は電解質のフィルムを任意に付着させ、続いて、実施例3の方法によって第1電極内のパターンを適合充填するように、対向電極を塗布する。
【0060】
実施例5:示差沈降によって製造された傾斜有孔率電極
流体中の粒子のStokes’沈降速度が粒子のサイズと形状、粒子と、粒子がその中で沈降する流体との密度差、及び流体の粘度の関数であることは、粉末加工の技術分野に熟練した人に周知である。同じ粒状物質に関しては、小さい粒子は大きい粒子よりも緩慢に沈降する傾向があり、例えば長さ対直径比が大きいロッド又は幅対厚さ比の大きいプレートのような非等軸粒子(anisometric particles)は、同じ体積の球又は等軸粒子よりも緩慢な平均速度で沈降する。その上、高いアスペクト比の粒子(highly aspected particles)は同じ物質の等軸粒子よりも低い充填密度に沈降する傾向があることが知られている。それ故、粉末混合物又は懸濁液から作製された蓄電電極層に有孔率勾配を導入する方法は、複数の粒度及び形状の混合物を用いることである。
【0061】
粉末が粒度分布と複数の形状を有するカソード酸化物粉末から懸濁液を調製する。等軸粒子を、等軸粒子がより高いStokes’沈降速度を有するように選択された粒度を有する小片形状の粒子と混合する。粉末に結合剤(例えば、PVdF)、微細な導電性添加剤(例えば、高表面積炭素)及び溶媒を配合して、キャスティング可能な(castable)懸濁液を製造する。この懸濁液は、該懸濁液からフィルムをキャスティングした後に数分間から数時間内にカソード酸化物粒子が示差沈降するように、配合される。このフィルムは金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上にキャストされ、プリントされ、又は塗布され、該金属ホイル集電装置又は絶縁フィルム上で示差沈降が重力下で生じて、その結果、金属集電装置に隣接する電極部分では等軸粒子の高い充填密度が生じ、金属集電装置から離れては非等軸粒子の低い充填密度が生じる。このことは電極に所望の有孔率勾配を導入する。乾燥後に、該電極にセパレータと対向電極とを積層させ、有機液体電解質を注入して、電池セルを製造する。任意に、例えば、LiMg0.05 Co0.95O2のような、高い電子伝導性を有するカソード酸化物を用いて、炭素添加剤は用いない。
【0062】
傾斜有孔率炭素アノードを同様な方法で、等軸粒子形と非等軸粒子形との混合物並びにStokes’沈降速度を調節させる密度差を有するように選択された炭素粉末を用いて製造する。1例では、より迅速に沈降して、集電装置に隣接してより高密度に充填された領域を形成する等軸炭素粒子としてMCMBを用い、より緩慢に沈降して、セパレータに隣接してより低密度に充填された領域を形成する非等軸炭素粒子として、小片状粒子形を有するフレーク黒鉛を用いる。MCMB粒子とフレーク黒鉛粒子との粒子形及びサイズの相対的量を選択することによって、有孔率勾配を調節する。
【0063】
実施例6:Fugitive充填剤の示差沈降によって製造された傾斜有孔率電極
この実施例では、実施例5におけるように、電極のキャストされた、プリントされた又は塗布された層を形成するために懸濁液を用いる。しかし、該懸濁液中で電極蓄電物質に、加熱時に除去されて、それによって孔をあとに残す、1種類以上の付加的な固体添加剤を混合する。それ故、除去される固体物質は“フュージティブ(fugitive)”孔形成剤である。電極蓄電物質及びフュージティブ孔形成剤の密度、粒度及び粒度分布並びに粒子形は、示差Stokes’沈降速度を生じて、最終生成物中に集電装置に隣接してより高密度に充填された蓄電物質と、セパレータに隣接してより低密度に充填された蓄電物質を生じるように選択される。
【0064】
1例では、蓄電物質は例えばLiCoO2、LiMg0.05Co0.95O2、LiMnO2、又はLiFePO4のような酸化物カソードである。フュージティブ孔形成剤は、カソード酸化物よりも緩慢なStokes’沈降速度を生じる粒度を有するように選択されたMCMBである。これら2種類の固体並びに溶媒と任意に結合剤を含有する懸濁液を調製して、特定の構成(specific formulation)をカソード酸化物とMCMBとの示差沈降を可能にするように選択する。この懸濁液を金属集電装置上にキャストし、プリントし又は塗布して、酸化性雰囲気中で焼成する、これによってMCMBは熱分解され、カソード酸化物は焼結されて、結合される層を形成する。焼結した多孔質カソード層は、MCMBがひと度除去されたならば、所望の有孔率勾配を含有する。
【0065】
他の例では、フュージティブ孔形成剤は約0℃〜約800℃の融点を有する有機又は無機化合物の粒子から成る。懸濁液の調製とキャスティング・プロセスとは該化合物の融点未満で行なわれる。その後に、キャストされ、プリントされ又は塗布されたフィルムを該有機化合物の融点を越えて加熱して、該有機化合物を多孔質電極からドレンさせるか又は蒸発させて、所望の有孔率勾配を残す。
【0066】
さらに他の実施態様では、フュージティブ孔形成剤は例えばナフタレンのような高い蒸気圧を有する固体であり、これは溶融よりもむしろ昇華によって除去されて、所望の有孔率勾配を残す。
【0067】
当業者は、本明細書に述べる全てのパラメータ及び配置(configuration)が例示であることを意味し、実際のパラメータ及び配置が、本発明の系及び方法が用いられる特定の用途に依存することを理解する筈である。当業者は、ルーチンの実験のみを用いて、本明細書に述べる本発明の特定の実施態様の多くの同等物を認識する、又は確認することができる筈である。例えば、有孔電極におけるチャンネルの選択及び大きさを合わせた作製(sizing)はルーチンの実験のみを必要にすると考えられる。それ故、上記実施態様が例のためのみに提示されたものであり、添付請求項及びそれらの同等物の範囲内で、本発明が特に述べた以外の形式で実施されうることを理解すべきである。本発明は本明細書に述べる各特徴、系又は方法に関する。さらに、このような特徴、系又は方法が相互に矛盾しないならば、2つ以上の特徴、系又は方法の任意の組み合わせが本発明の範囲内であると考えられる。例えば、網目状電極におけるチャンネルの使用又は有孔若しくは網目状電極による有孔率勾配の取り入れは本発明の範囲内であると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載のデバイス。
【請求項1】
本明細書に記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−182141(P2012−182141A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105173(P2012−105173)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【分割の表示】特願2011−156139(P2011−156139)の分割
【原出願日】平成13年10月22日(2001.10.22)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【分割の表示】特願2011−156139(P2011−156139)の分割
【原出願日】平成13年10月22日(2001.10.22)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
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