説明

綿棒包装容器

【課題】綿棒収納部と薬液収納部とを一体に設けてなり、使用前には薬液が不測に綿棒の綿球に含浸するのを防止しておくことができ、使用時には、簡単且つ確実に含浸させることができる綿棒包装容器を提供する。
【解決手段】綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3とを仕切壁5を介して区画していると共にこの仕切壁5にシール部剥離片9を収納した剥離片収納凹部6を設けてあり、さらに、綿棒収納凹部2及び薬液収容凹部3を密閉した密封シート材4によって剥離片収納凹部6の開口端面をシール8してなる綿棒包装容器であって、使用時には、シール部剥離片9の中央部を屈折させることによって、その屈折した頂部によって密封シート材4を上方に押圧してシール部8を剥離し、薬液収容凹部3を綿棒収納凹部2に連通させて薬液を綿棒11の綿球に含浸させるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿棒と薬液とを一体的に包装してなり、使用時に薬液を綿棒の綿球に含浸させて患部等に塗布するように構成した綿棒包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
綿棒は従来から、その軸部を摘んで該軸部の先端に装着している綿球を耳などに挿入して耳垢などの除去を行うために使用されるが、それ以外に綿棒の綿球に薬液を含浸させて患部の皮膚に塗布することにより消毒や治療等を行うためにも使用されている。この際、使用前においては綿棒を衛生的に収納しておき、使用時には該綿棒の綿球に薬液を直ちに含浸させるように構成した綿棒包装容器が開発されている。
【0003】
このような綿棒包装容器としては、例えば、特許文献1に記載されているように、綿棒の軸部収納凹部とこの軸部収納凹部の先端側に該軸部収納凹部に連通状態で設けられた綿球収納凹部とを有し、この綿球収納凹部の先端部内に薬液袋を配設、保持すると共に軸部収納凹部と綿球収納凹部との上端開口部を剥離可能なシート材によって密閉し、さらに、このシート材の先端部下面に先端が先鋭な突起を上記薬液袋に向かって突設してなり、使用に際しては、シート材の先端部を下方に押圧して撓ませることにより、上記突起で薬液袋を破壊させ、薬液を綿球収納凹部内に流出させ、該綿球に含浸させるように構成した構造の容器が開発されている。
【0004】
また、特許文献2に記載されているように、上端開口端面をシート材によって密閉されている綿棒収納凹部における綿球収納凹部側と薬液収容凹部間を隔離部によって仕切り、使用時に綿棒の綿球を隔離部に押圧することよって隔離部を破断して綿球に薬液収容凹部内の薬液を塗布、含浸させるように構成した綿棒包装容器も知られている。
【0005】
さらに、特許文献3には、綿棒収納凹部と薬液収容凹部とを分離帯部を介して仕切り、これらの凹部の開口端を密閉しているシート材における上記分離帯部に融着している部分を弱シールにして、使用時に、薬液収容凹部を押圧することによって該凹部内に発生する高圧力により分離帯部に融着している弱シールを剥離して薬液収容凹部と綿棒収納凹部間を連通させるように構成した綿棒包装容器が開示されている。
【特許文献1】特開平10−120041号公報
【特許文献2】実開平7−39818号公報
【特許文献3】特許第3654870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された構造の綿棒包装容器では、保管時や携行中などにおいて、綿球収納凹部の上端開口部を密閉しているシート材部分に不測に外力が作用すると、該シート材部分が容易に下方に撓み変形してその下面に突設している突起が綿球収納凹部内に設けている液体袋を突き破ってしまう虞れがあった。このため、液体袋を比較的弾力性を有する柔軟で且つ強度を有する合成樹脂材によって構成しているが、そうするとシート材を大きく下方に撓ませて突起を液体袋に押圧しても、薬液袋を破裂させることができない事態が発生することになり、その上、包装容器が不透明である場合には薬液袋が破壊したかを外部から確認することができない等の問題点がある。
【0007】
一方、上記特許文献2や特許文献3に記載の綿棒包装容器によれば、上記のような突起を設けることなく押圧力によって薬液収容凹部と綿棒収納凹部とを連通させることができるが、前者の綿棒包装容器のように、綿棒の綿球を隔離部に押圧することよって該隔離部を破断するには、綿棒の綿球を強く隔離部に押し付ける必要があるため、綿球が変形したり損傷する虞れがあり、また、小さな押圧力で隔離部を破断するように構成した場合には、携行中等において僅かな外力によって不測に隔離部が破断してしまう虞れがあった。
【0008】
さらに、後者の綿棒包装容器のように、密封シート材による綿棒収納凹部と薬液収容凹部との間の分離帯部のシール部を融着力の小さい弱シールに形成して、使用時に、薬液収容凹部を押圧することによって該弱シールからシート材部分を剥離させるように構成している場合においても、薬液収容凹部を密封しているシール材に不測に押圧力が作用すると弱シール部が剥がれてしまう虞れがあると共に、薬液収容凹部上のシート材部分を薬液収容凹部内に向かって押圧変形させる操作を行う時に、該薬液収容凹部が破裂して薬液が飛び散るのではないかとの不安感を与えて使用し難くなるといった問題点がある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、突起によって薬液袋を破裂させたり薬液収容凹部を押圧変形させたりすることなく、使用時には薬液収容凹部と綿棒収納凹部における綿球収納部間を密閉している密封シート材のシール部を簡単に且つ確実に剥離して薬液収容凹部を綿棒収納凹部側に連通させることができるようにした綿棒包装容器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の綿棒包装容器は、請求項1に記載したように、軸部の先端に綿球を取り付けてなる綿棒の収納凹部と、この綿棒収納凹部における綿球収納部側に仕切壁を介して設けられた薬液収容凹部と、上記仕切壁の頂面中央部に、上下方向に折り曲げ可能なシール部剥離片を収納している剥離片収納凹部とを設けてなり容器主体であって、この容器主体の上端面外周縁部に上記綿棒収納凹部と薬液収容凹部を密閉した密封シート材の下面外周縁部を剥離可能にシールしていると共にこの密封シート材によって上記仕切壁の上端面をシールしてあり、さらに、上記シール部剥離片の上下に折り曲げた際の折り曲げ高さをこの剥離片収納凹部の深さよりも高くなるように形成してこのシール部剥離片の折り曲げにより仕切壁のシール部を剥離し、薬液収納凹部を綿棒収納凹部に連通させるように構成している。
【0011】
このように構成した綿棒包装容器において、請求項2に係る発明は、上記シール部剥離片は容器主体の幅方向に長い硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、その長さ方向の中央部に折曲用溝部を全幅に亘って設けてこの折曲溝部を介して上下方向に折り曲げ可能に構成していることを特徴とする。
【0012】
一方、請求項3に係る発明は、上記シール部剥離片は容器主体の幅方向に長い上下2枚の硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、これらの上下剥離片の長さ方向の両端部を一体に設けていると共に長さ方向の中間部にV字状の折曲用溝部を全幅に亘って設けてこれらのシール部剥離片の両端面を指先で挟圧することにより上側剥離片を上方に、下側剥離片を下方にそれぞれ屈折させてシール部を剥離するように構成していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る綿棒包装容器は、軸部の先端に綿球を取り付けてなる綿棒の収納凹部と、この綿棒収納凹部における綿球収納部側に仕切壁を介して設けられた薬液収容凹部と、上記仕切壁の頂面中央部に、容器主体の長さ方向に対向する前後壁部間の幅が容器主体の一側端縁部から該容器主体の幅方向の中央部に向かって徐々に幅狭くなった剥離片収納凹部とを設けてなると共に、この剥離片収納凹部に前後両端面が該収納凹部の上記前後壁部の対向内壁面に摺接する傾斜端面に形成した剥離片を容器主体の幅方向に移動可能に収納してなる容器主体であって、この容器主体の上端面外周縁部に上記綿棒収納凹部と薬液収容凹部を密閉した密封シート材の下面外周縁部を剥離可能にシールしていると共にこの密封シート材によって上記仕切壁の上端面をシールしてあり、該シール部を上記シール部剥離片の移動により剥離して薬液収納凹部を綿棒収納凹部に連通させるように構成している。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、密封シート材によって上端開口部が熱融着により密封されている綿棒収納凹部における綿球収納部側と薬液収容凹部との間に仕切壁を設けてこの仕切壁の中央部に、上下方向に折り曲げ可能なシール部剥離片を収納している剥離片収納凹部を設けていると共にこのシール部剥離片の折り曲げ高さを剥離片収納凹部の深さよりも高くなるように形成しているので、携行中や取り扱い時等において、密封シート材に押圧力が作用してもシール部剥離片は何等、折り曲げられることはないので、綿棒収納凹部や薬液収容凹部を該密封シート材によって密閉した状態を確実に保持しておくことができるものであり、また、使用に際しては、シール部剥離片の長さ方向の両端部を指先で摘んでその中央部を上下方向に折り曲げれば、この剥離片収納凹部を熱融着により密閉している上記密封シール材部分の下面をその折曲部によって上方に押圧してシール部の接着力が大きくても仕切壁の頂面から簡単且つ確実に密封シート材部分を剥離させることができ、仕切板の頂面と密封シート材部分の下面との間に薬液収容凹部と綿棒収納凹部とを連通させた隙間を設けることができる。
【0015】
従って、密封シート材に何等の圧力を作用させることなく、このシール部の剥離によって薬液収容凹部を上記隙間を介して綿棒収納凹部側に連通させることができ、薬液収容凹部内の薬液を飛散させることなく、所要量の薬液を綿棒収納凹部側に流動させて綿球に円滑且つ確実に付着、含浸させることができる。
【0016】
上記剥離片収納凹部内に収納しているシール部剥離片の形状としては、請求項2に記載のシール部剥離片は、容器主体の幅方向に長い硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、その長さ方向の中央部に折曲用溝部を全幅に亘って設けてこの折曲溝部を介して上下方向に折り曲げ可能に構成してあり、折曲溝部から容易に且つ確実に山形状に折り曲げることができ、その折り曲げた頂部で剥離片収納凹部を密閉している密封シート材部分を上方に押し上げてこの密封シート材部分のシール部を容易に剥離することができる。
【0017】
また、シール部剥離片として、請求項3に記載したように、容器主体の幅方向に長い上下2枚の硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、これらの上下剥離片の長さ方向の両端部を一体に設けていると共に長さ方向の中間部に上側剥離片を上方に、下側剥離片を下方に屈折可能にするV字状の折曲用溝部を全幅に亘って設けた構造としておいてもよく、このように構成したシール部剥離片によれば、上下剥離片が一体化している両端部の両端面を、例えば、親指と人指し指との指先で摘んで互いに寄せ合う方向に挟圧すると、中間部に設けているV字状の折曲用溝部から上側の剥離片の中央部が上方に山形状に屈折する一方、下側の剥離片の中央部が下方にV字状に屈折して互いに上下方向に大きく変動し、これらの上下屈折部がそれぞれ剥離片収納凹部を密閉している密封シート材部分の下面と、剥離片収納凹部の内底部とに押圧して、剥離片収納凹部の内底部を支点として上側剥離片の中央屈折部により、剥離片収納凹部を密閉している密封シート材部分を上方に押し上げてこの密封シート材部分のシール部を剥離片収納凹部の頂面から簡単且つ確実に剥離することができる。
【0018】
一方、請求項4に係る発明によれば、密封シート材によって上端開口部が密封されている綿棒収納凹部における綿球収納部側と薬液収容凹部との間に設けた上記仕切壁において、この仕切壁の頂面中央部に凹設した剥離片収納凹部として、容器主体の長さ方向に対向する前後両側壁部間の幅が容器主体の一側端縁部から該容器主体の幅方向の中央部に向かって徐々に幅狭くなった形状に形成してあり、この剥離片収納凹部に前後両端面が該収納凹部の上記前後両壁部の対向内面に摺接する傾斜端面に形成したシール部剥離片を容器主体の幅方向に移動可能に収納しているので、容器主体の一側端側から剥離片収納凹部内のシール部剥離片の一側端面を指先で押圧して該シール部剥離片を容器主体の他側端に向かって押し進めると、このシール部剥離片の前後傾斜端面が容器主体の一側端縁部から中央部に向かって徐々に幅狭くなっている剥離片収納凹部の前後壁面に楔状に食い込みながら該剥離片収納凹部の前後壁面間をその前後傾斜端面によって拡開させ、この拡開によって剥離片収納凹部の前後壁部の頂面に熱融着している密封シート材部分のシール部を円滑且つ確実に剥離させることができる。
【0019】
そして、この剥離によって剥離片収納凹部の前後壁部の頂面と密封シート材部分との間に隙間が生じて、この隙間を介して薬液収容凹部内の薬液を綿棒収納凹部側に流動させることができ、薬液収容凹部内の薬液を飛散させることなく、所要量の薬液を綿棒収納凹部側に流動させて綿球に円滑且つ確実に付着、含浸させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
〔実施例1〕
本発明の一実施の形態を図面について説明すると、図1は綿棒を収納している綿棒包装容器の縦断側面図、図2はその下面側から見た斜視図、図3は下面図、図4はその一部の拡大縦断側面図であって、綿棒包装容器はポリエチレン等の合成樹脂よりなる一定幅と長さを有する平面長方形状の容器主体1と、この容器主体1に設けられている綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3とを密閉してなる剥離可能な密封シート材4とからなり、容器主体1には長さ方向の一端側を前側としてその前部以外の部分における幅方向の中央部に、下方に向かって一定深さの上記綿棒収納凹部2を膨出形成していると共に、前部には下方に向かって一定深さの上記薬液収容凹部3を膨出形成している。
【0021】
上記綿球収納凹部2は、綿棒11の軸部12を収納している軸部収納部2aと軸部12の先端に設けている綿球13の収納部2bとからなり、綿球収納部2bを前側にして綿球収納部2bと上記薬液収容凹部3との間に、これらの綿球収納部2bと薬液収容凹部3とを区画している前後方向に狭幅の仕切壁5を設けている。この仕切壁5の頂面5aの中央部には、容器主体1の幅方向に長く且つ上記綿球収納凹部2や薬液収容凹部3よりも浅底の一定深さを有する剥離片収納凹部6が下方に向かって膨出形成されている。
【0022】
さらに、容器主体1の四方外周縁部を、綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3との開口上端縁から水平方向に突出したフランジ部1aに形成していると共に、上記仕切壁4の頂面はこのフランジ部1aと面一状に連続した水平面に形成されてあり、容器主体1の上面にこの容器主体1と略同一長さと同一幅を有するポリエチレン等の合成樹脂製の薄い上記密封シート材4を被せてこの密封シート材4の四方外周縁部における下面を容器主体1の上記フランジ部1aに熱融着によって剥離可能にシール7していると共に剥離片収納凹部6の開口端周縁部を形成している上記仕切壁5の頂面5aもこの周縁部上に重ね合わせた上記密封シート材部分4aの下面を熱融着によって剥離可能にシールしたシール部8を設けている。
【0023】
また、上記剥離片収納凹部6内には、容器主体1の幅方向に長い硬質合成樹脂製の細幅長方形状のシール部剥離片9を収納している。このシール部剥離片9の長さ方向の中央部には断面V字状の折曲用溝部9aを全幅に亘って設けていて、該折曲用溝部9aを介してシール部剥離片9を上下方向に折り曲げ可能に形成している。このシール部剥離片9の厚みは剥離片収納凹部6の深さと同等か僅かに薄い厚みに形成されてあり、上下に折り曲げた際の折り曲げ高さをこの剥離片収納凹部6の深さよりも高くして、このシール部剥離片9の折り曲げにより剥離片収納凹部6を密閉している密封シート材部分4aを上方に押圧して仕切壁5の上記頂面シール部8を剥離し、薬液収容凹部3を綿棒収納凹部2に連通させるように構成している。
【0024】
なお、剥離片収納凹部6の平面形状は、容器主体1の両側端縁部から幅方向の中央部に向かって徐々に幅狭く形成してこの剥離片収納凹部6の前後対向壁面における長さ方向の中央部をシール部剥離片9の前後端面における長さ方向の中央部に近接または接触させているが、全長に亘って前後方向の幅を一定幅に形成しておいてもよい。図中、10は薬液収容凹部3内に封入収容されている薬液である。
【0025】
このように構成した綿棒包装容器の使用態様を説明すると、使用時に際しては、容器主体1における剥離片収納凹部6の両端部を両手の指先で摘んで、この剥離片収納凹部6内に収納しているシール部剥離片9の両端部を摘持し、この状態からこのシール部剥離片9の中央部をその中央部に設けている折曲用溝部9aから上方に山形状に折り曲げると、その折り曲げられた中央部が剥離片収納凹部6を熱融着により密閉している密封シート材部分4aの下面に押当したのちさらに該中央部の屈折により密封シート材部分4aの下面が押し上げられ、その押し上げによって図5に示すように、剥離片収納凹部6を密閉している該密封シート材部分4aのシール部8が上方に剥離して剥離片収納凹部6を設けている仕切壁5の頂面と密封シート材部分4aとの間に隙間が発生し、この隙間を通じて薬液収容凹部3と綿棒収納凹部2とが連通する。
【0026】
この状態にして薬液収容凹部3を綿棒収納凹部2側に向かって下方に傾けると、薬液収容凹部3内の薬液10が上記隙間を通じて綿棒収納凹部2内に流動し、綿棒11の綿球13に所要量の薬液を含浸させることができる。しかるのち、容器主体1から密封シート材4を剥離して綿棒収納凹部2内に収納している綿棒11を取り出し、綿球13に含浸させている薬液を患部に塗布するものである。
【0027】
〔実施例2〕
図6〜図10は本発明の別な実施の形態を示すもので、上記実施例1においては剥離片収納凹部6内に収納しているシール部剥離片9として、一枚の細幅長方形状の剥離片を採用してその中央部を上方に向かって折り曲げ可能に形成しているが、この実施例においてはシール部剥離片9'は、実施例1と平面略同一形状で一定厚みを有し且つ容器主体1の幅方向に長い上下2枚の硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、その厚さは上記シール部剥離片9と同様に剥離片収納凹部6の深さと同等ないしはやや薄く形成されている。
【0028】
このシール部剥離片9'を形成している上記上下剥離片91、92は、図8に示すように、その長さ方向の両端部を一体にしていると共にこれらの両端部間の中間部は分離していて常態においては互いに接合した状態で重ねてあり、この分離した部分の両端部と中間部とにV字状の折曲用溝部9a、9bを全幅に亘って設けて、このシール部剥離片9'の両端部を指先で摘んで互いに接近する方向に押圧することにより、図9に示すように、両端側の折曲用溝部9b、9bを支点として長さ方向の中央部をそれぞれ折曲用溝部9a、9aから上側の剥離片91においては上方に、下側剥離片92においては下方に屈折させて、このシール部剥離片9'を収納している剥離片収納凹部6を密閉した密封シート材4部分を突き上げ、シール部8を剥離するように構成している。
【0029】
なお、上下剥離片91、92の中央部の折曲用溝部9a、9aの対向面間に小径棒片等の分離用小片(図示せず)を介在させて上側剥離片91を上方に、下側剥離片92を下方にそれぞれ両端から中央に向かって僅かに傾斜させておくことにより、上下剥離片91、92の両端面を上述したように押圧した際には、確実に上側剥離片91を上方に、下側剥離片92を下方にそれぞれ屈折させてシール部8を剥離することができる。
【0030】
その他の構成については、上記実施例1と同様であるが、簡単に説明すると、綿棒包装容器はポリエチレン等の合成樹脂よりなる一定幅と長さを有する平面長方形状の容器主体1と、この容器主体1に設けられている綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3とを密閉してなる剥離可能な密封シート材4とからなり、さらに、綿棒収納凹部2における綿球収納部2bと上記薬液収容凹部3との間に、これらの綿球収納部2bと薬液収容凹部3とを区画している前後方向に狭幅の仕切壁5を設けている。この仕切壁5の頂面5aの中央部には、容器主体1の幅方向に長く且つ上記綿球収納凹部2や薬液収容凹部3よりも浅底の一定深さを有する剥離片収納凹部6が下方に向かって膨出形成されてあり、この剥離片収納凹部6内に上記シール部剥離片9'を収納している。
【0031】
さらに、容器主体1の四方外周縁部を、綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3との開口上端縁から水平方向に突出したフランジ部1aに形成していると共に、上記仕切壁4の頂面はこのフランジ部1aと面一状に連続した水平面に形成されてあり、容器主体1の上面にこの容器主体1と略同一長さと同一幅を有するポリエチレン等の合成樹脂製の薄い上記密封シート材4を被せてこの密封シート材4の四方外周縁部における下面を容器主体1の上記フランジ部1aに熱融着によって剥離可能にシール7していると共に剥離片収納凹部6の開口端周縁部を形成している上記仕切壁5の頂面5aの周縁部もこの周縁部上に重ね合わせた上記密封シート材部分4aの下面を熱融着によって剥離可能にシールしたシール部8を設けている。
【0032】
このように構成したので、使用に際しては、容器主体1における剥離片収納凹部6の両端面を例えば親指と人指し指との指先で摘んで互いに寄せ合う方向に挟圧すると、剥離片収納凹部6内に収納されているシール部剥離片9'の長さ方向の両端面が上述したように互いに接近する方向に押圧されて、該シール部剥離片9'を形成している上下剥離片91、92がその両端部側の折曲用溝部9b、9bを支点として長さ方向の中央部をそれぞれ折曲用溝部9a、9aから、上側の剥離片91においては上方に、下側剥離片92においては下方に屈折し、剥離片収納凹部6の内底面に圧接する下側の剥離片92の中央屈折部を支点として、上側の剥離片91の中央屈折部が図10に示すように、剥離片収納凹部6を密閉している密封シート材部分4aの下面に押当したのちさらに該中央部の屈折により密封シート材部分4aの下面が押し上げられ、その押し上げによって該密封シート材部分4aのシール部8が上方に剥離して剥離片収納凹部6を設けている仕切壁5の頂面と密封シート材部分4aとの間に隙間が発生し、この隙間を通じて薬液収容凹部3と綿棒収納凹部2とが連通する。
【0033】
この状態にして薬液収容凹部3を綿棒収納凹部2側に向かって下方に傾けると、薬液収容凹部3内の薬液10が上記隙間を通じて綿棒収納凹部2内に流動し、綿棒11の綿球13に所要量の薬液を含浸させることができる。しかるのち、容器主体1から密封シート材4を剥離して綿棒収納凹部2内に収納している綿棒11を取り出し、綿球13に含浸させている薬液を患部に塗布するものである。
【0034】
〔実施例3〕
図11〜図14は本発明の別な実施の形態を示すもので、上記実施例においては、シール部剥離片9、9'を上下方向に屈折させて剥離片収納凹部6をシールしている密封シート材部分4aのシール部8を剥離するように構成しているが、この実施例3においては、シール部剥離片9'' を剥離片収納凹部6内で容器主体1の幅方向に押し進めることによりシール部8を剥離するように構成している。
【0035】
綿棒包装容器は上記実施例と同様に、ポリエチレン等の合成樹脂よりなる一定幅と長さを有する平面長方形状の容器主体1と、この容器主体1に設けられている綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3とを密閉してなる剥離可能な密封シート材4とからなり、さらに、綿棒収納凹部2における綿球収納部2bと上記薬液収容凹部3との間に、これらの綿球収納部2bと薬液収容凹部3とを区画している前後方向に狭幅の仕切壁5を設けている。この仕切壁5の頂面5aの中央部には、容器主体1の幅方向に長く且つ上記綿球収納凹部2や薬液収容凹部3よりも浅底の一定深さを有する剥離片収納凹部6が下方に向かって膨出形成されてあり、この剥離片収納凹部6内に上記シール部剥離片9'' を収納している。
【0036】
さらに、容器主体1の四方外周縁部を、綿棒収納凹部2と薬液収容凹部3との開口上端縁から水平方向に突出したフランジ部1aに形成していると共に、上記仕切壁5の頂面はこのフランジ部1aと面一状に連続した水平面に形成されてあり、容器主体1の上面にこの容器主体1と略同一長さと同一幅を有するポリエチレン等の合成樹脂製の薄い上記密封シート材4を被せてこの密封シート材4の四方外周縁部における下面を容器主体1の上記フランジ部1aに熱融着によって剥離可能にシール7していると共に剥離片収納凹部6の開口端周縁部を形成している上記仕切壁5の頂面5aの周縁部もこの周縁部上に重ね合わせた上記密封シート材部分4aの下面を熱融着によって剥離可能にシールしたシール部8を設けている。
【0037】
このように構成した綿棒収納容器において、上記剥離片収納凹部6の平面形状は、容器主体1の幅方向の両側端側から幅方向の中央部に向かって徐々に幅狭く形成して、容器主体1の長さ方向に対向するこの剥離片収納凹部6の前後対向壁面を、両側端側から中央に向かって徐々に幅狭くなった傾斜内壁面6a、6aに形成している一方、シール部剥離片9''は容器主体1の幅方向に対応する剥離片収納凹部6の一半部又は他半部内に収納可能な大きさを有する平面三角形状に形成されていて、図においては剥離片収納凹部6の一半部内に収納され、その底面(一側端面)を剥離片収納凹部6の一側端側に向けていると共に前後の傾斜端面9c、9cを剥離片収納凹部6の前後に対向する上記傾斜内壁面6a、6aに近接または接触させている。
【0038】
以上のように構成したので、使用時に際しては、容器主体1の一側端側から剥離片収納凹部6内のシール部剥離片9'' の底面を指先で押圧して該シール部剥離片9'' を容器主体1の他側端に向かって押し進めると、このシール部剥離片9'' の前後傾斜端面9c、9cが剥離片収納凹部6における中央に向かって徐々に幅狭くなった傾斜内壁面6a、6aに楔状に食い込むようにしながら押圧して該傾斜内壁面6a、6a間を拡幅、拡開口させ、この拡開によって剥離片収納凹部6の前後壁部の頂面に熱融着している密封シート材部分4aのシール部8が図14に示すように剥離し、剥離片収納凹部6を設けている仕切壁5の頂面と密封シート材4との間に隙間が発生してこの隙間を通じて薬液収容凹部3と綿棒収納凹部2とが連通する。
【0039】
この状態にして薬液収容凹部3を綿棒収納凹部2側に向かって下方に傾けると、薬液収容凹部3内の薬液10が上記隙間を通じて綿棒収納凹部2内に流動し、綿棒11の綿球13に所要量の薬液を含浸させることができる。しかるのち、容器主体1から密封シート材4を剥離して綿棒収納凹部2内に収納している綿棒11を取り出し、綿球13に含浸させている薬液を患部に塗布するものである。なお、本発明の上記いずれの実施例においても、綿棒包装容器として、容器主体1を下側にし、この容器主体1に設けている綿棒収納凹部2や薬液収容凹部3を密封した密封シート材4を上側に設けた形状を図示しているが、容器主体1に設けている上記綿棒収納凹部2や薬液収容凹部3を下側に向け、この容器主体1の下端面に密封シート材4を剥離可能に密着させた構造としておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】綿棒包装容器の縦断側面図。
【図2】その下面側から見た斜視図。
【図3】下面図。
【図4】その一部の拡大縦断側面図。
【図5】シール部を剥離した状態の拡大縦断側面図。
【図6】本発明の別な実施例を示す下面図。
【図7】その一部の拡大縦断側面図。
【図8】シール部剥離片の斜視図。
【図9】上下に拡開させた状態の斜視図。
【図10】シール部を剥離した状態の縦断側面図。
【図11】本発明のさらに別な実施例を示す下面図。
【図12】その要部の斜視図。
【図13】その縦断側面図。
【図14】シール部を剥離した状態の縦断側面図。
【符号の説明】
【0041】
1 容器本体
2 綿棒収納凹部
3 薬液収容凹部
4 密封シート材
5 仕切壁
6 剥離片収納凹部
8 シール部
9 シール部剥離片
10 薬液
11 綿棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器主体は、軸部の先端に綿球を取り付けてなる綿棒の収納凹部と、この綿棒収納凹部における綿球収納部側に仕切壁を介して設けられた薬液収容凹部と、上記仕切壁の頂面中央部に、上下方向に折り曲げ可能なシール部剥離片を収納している剥離片収納凹部とを設けてなり、この容器主体の上端面外周縁部に上記綿棒収納凹部と薬液収容凹部を密閉した密封シート材の下面外周縁部を剥離可能にシールしていると共にこの密封シート材によって上記仕切壁の上端面をシールしてあり、さらに、上記シール部剥離片の上下に折り曲げた際の折り曲げ高さをこの剥離片収納凹部の深さよりも高くなるように形成してこのシール部剥離片の折り曲げにより仕切壁の上記シール部を剥離し、薬液収納凹部を綿棒収納凹部に連通させるように構成したことを特徴とする綿棒包装容器。
【請求項2】
シール部剥離片は容器主体の幅方向に長い硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、その長さ方向の中央部に折曲用溝部を全幅に亘って設けてこの折曲溝部を介して上下方向に折り曲げ可能に構成していることを特徴とする請求項1に記載の綿棒包装容器。
【請求項3】
シール部剥離片は容器主体の幅方向に長い上下2枚の硬質合成樹脂製の細幅長方形状片からなり、これらの上下剥離片の長さ方向の両端部を一体に設けていると共に長さ方向の中間部にV字状の折曲用溝部を全幅に亘って設けてこれらのシール部剥離片の両端面を指先で挟圧することにより上側剥離片を上方に、下側剥離片を下方にそれぞれ屈折させてシール部を剥離するように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の綿棒包装容器。
【請求項4】
容器主体は、軸部の先端に綿球を取り付けてなる綿棒の収納凹部とこの綿棒収納凹部における綿球収納部側に仕切壁を介して設けられた薬液収容凹部とを有していると共に、上記仕切壁の頂面中央部に、容器主体の長さ方向に対向する前後壁部間の幅が容器主体の一側端縁部から該容器主体の幅方向の中央部に向かって徐々に幅狭くなった剥離片収納凹部を設けて、この剥離片収納凹部に前後両端面が該収納凹部の上記前後壁部の対向内壁面に摺接する傾斜端面に形成したシール部剥離片を容器主体の幅方向に移動可能に収納してあり、さらに、この容器主体の上端面外周縁部に上記綿棒収納凹部と薬液収容凹部を密閉した密封シート材の下面外周縁部を剥離可能にシールしていると共にこの密封シート材によって上記仕切壁の上端面をシールしていることを特徴とする綿棒包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−112666(P2009−112666A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291410(P2007−291410)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(391003484)阿蘇製薬株式会社 (28)
【Fターム(参考)】