説明

綿棒軸

【課題】狭い空間を通過させて検体を採取する場合、例えば、入口の狭い鼻孔から挿入する場合であっても、綿棒軸の挿入が容易であり、鼻腔の奥の部位に存在する検体を容易に採取しうる綿棒軸を提供すること。
【解決手段】可撓性を有する素材により形成された軸部と、上記軸部の先端部に綿球を形成しうる綿球形成部を有する綿棒軸であって、上記軸部は、把持部と、上記把持部より小さい径からなると共に上記把持部から軸方向に延設された中軸部とを有し、上記中軸部の先端部の径方向には、上記把持部より小さな径であると共に上記中軸部より大きな径の膨出部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿棒軸に係り、特に入口の狭い人体の部位等から挿入してその奥の部位に存在する検体を採取しうると共に、検体の採取の際に、軸部からの綿球部の脱落を防止しうる綿棒軸に関する。
【0002】
従来より、人体からの検体採取作業、菌の培養作業又は各種精密機器の検査作業等を行う場合には綿棒が広く使用されている。
このような綿棒の軸部は、一般に、押出成形により形成され、同一の径寸法からなる円柱棒形状により形成されている。
【0003】
しかしながら、このような綿棒を使用して人体から検体を採取等するような場合、例えば、入口の狭い鼻孔から綿棒を挿入して鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合には、従来の綿棒では軸の径寸法が全体に一様であるために、軸部の径寸法が大きい場合には、入口の狭い鼻孔等のような狭い空間をうまく通過させることができず、軸部の径寸法が小さい場合には、軸部をしっかりと把持できないため、安定して検体を採取し難いという問題が生じていた。
【0004】
また、綿棒の軸部の先端部の形状は、同一の太さからなる円柱棒形状である場合が多いので、このような綿棒を使用する場合、検体等の採取時に、採取の際の力が綿球部に作用し、軸部の先端部が引っ掛かりのない同一の太さからなる場合には、先端部から綿球部が抜け落ちてしまったり、綿球部が抜け落ちるまでは至らないが、綿棒の軸部の端面が露出してしまうという不具合も有していた。
【0005】
従来、特許文献1や特許文献2には、綿棒の軸部の端部に軸部の半径方向に膨出した膨出部が形成されている綿棒が開示されているが、入口の狭い人体の部位等から挿入してその奥の部位に存在する検体を採取しうる綿棒軸を開示した先行技術文献は見出すことができない。
【0006】
また、狭い空間を通過させて検体を採取することができる場合であっても、軸部が太いために綿棒の軸部をほとんど撓ませることができない場合には、検体の採取に至る前に、検体を収集する部位以外の部位、例えば、鼻孔の入口周辺部位に綿棒の軸部が接触してしまい、採取したい部位に綿棒の先端が到達できなかったり、無理に検体を採取しようとするために、検体を収集する部位以外の部位に接触してしまい、その接触した部位に痛みや損傷を与えてしまうことがある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−159877号
【特許文献2】実開昭51−73890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本願発明の課題は、狭い空間を通過させて検体を採取する場合、例えば、入口の狭い鼻孔から挿入する場合であっても、綿棒軸の挿入が容易であり、鼻腔の奥の部位に存在する検体を容易に採取でき、膨出部を軸部の先端部に設けることにより、軸部の先端に形成された綿球部の脱落を防止しうる取り扱いが容易な綿棒軸を提供することにある。
また、狭い空間を通過させて検体を採取する場合に、例えば、綿棒軸が鼻孔の入口周辺部位へ接触する場合であっても、鼻孔の入口周辺部位への接触による痛みや損傷を軽減しうる綿棒軸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、請求項1記載の発明は、可撓性を有する素材により形成された軸部と、上記軸部の先端部に綿球を形成しうる綿球形成部を有する綿棒軸であって、上記軸部は、把持部と、上記把持部より小さい径からなると共に上記把持部から軸方向に延設された中軸部とを有し、上記中軸部の先端部の径方向には、上記把持部より小さな径であると共に上記中軸部より大きな径の膨出部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1記載の発明にあっては、可撓性を有する素材により形成された軸部と、上記軸部の先端部に綿球を形成しうる綿球形成部を有する綿棒軸であるので、検体を採取する場合に軸部を撓ませることができる。
また、上記軸部は、把持部と、上記把持部より小さい径からなる中軸部とを有するので、把持部の径の大きさは把持し易いように形成されており、中軸部は狭い空間を通過しうるように上記把持部より小さい径からなる。
また、上記中軸部の先端部の径方向には、上記把持部より小さな径であると共に上記中軸部より大きな径の膨出部が形成されていることから、膨出部は、狭い空間を通過しうると共に綿球部の脱落を防止できる。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記膨出部は、球状部により形成されていることを特徴とする。
【0012】
従って、請求項2記載の発明にあっては、上記膨出部は、球状部を有することから、軸部の先端部に綿球が形成されている場合に、上記球状部により綿球部の脱落を防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記膨出部は、連設されたフランジ部により形成されていることを特徴とする。
【0014】
従って、請求項3記載の発明にあっては、上記膨出部は、連設されたフランジ部により形成されていることから、軸部の先端部に綿球が形成されている場合に、上記連設されたフランジ部により綿球部の脱落を防止することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、上記膨出部は、円筒状により形成されていることを特徴とする。
【0016】
従って、請求項4記載の発明にあっては、上記膨出部は、円筒状に形成されていることから、軸部の先端部に綿球が形成されている場合に、上記円筒状に形成されている膨出部により綿球部の脱落を防止することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、上記中軸部の先端部の表面には、細かい凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
従って、請求項5記載の発明にあっては、上記中軸部の先端部の表面には、細かい凹凸部が形成されていることから、軸部の先端部に綿球が形成されている場合に、上記中軸部の先端部の表面に形成されている細かい凹凸部により綿球部の脱落を防止することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、上記中軸部は、先端部側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
従って、請求項6記載の発明にあっては、上記中軸部は、先端部側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されていることから、中軸部は狭い空間を通過しうるように形成されている。
【0021】
請求項7記載の発明は、上記中軸部の先端部には、上記中軸部の軸方向に沿うと共に径方向に対向して設けられた一対の溝部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
従って、請求項7記載の発明にあっては、上記中軸部の先端部には、上記中軸部の軸方向に沿うと共に径方向に対向して設けられた一対の溝部が設けられていることから、軸部の先端部に綿球が形成されている場合に、上記中軸部の先端部の上記中軸部の軸方向に沿うと共に径方向に対向して設けられた一対の溝部より綿球部の脱落を防止することができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、上記軸部は、射出成形により形成されていることを特徴とする。
【0024】
従って、請求項8記載の発明にあっては、上記軸部は、射出成形により形成されているので、押出成形では形成することができない軸部の形状を形成することができる。
【0025】
請求項9記載の発明は、上記軸部は、上記把持部の長さ方向の所定の位置において、折り曲げて折断しうる折溝を有することを特徴とする。
【0026】
従って、請求項9記載の発明にあっては、上記軸部は、上記把持部の長さ方向の所定の位置において、折り曲げて折断しうる折溝を有するので、上記折溝により折り曲げて折断することで把持部の長さを調整することができる。
【0027】
請求項10記載の発明は、上記折溝は、上記把持部の周方向に沿って形成されると共に、上記把持部の径方向断面より小さい断面により形成されていることを特徴とする。
【0028】
従って、請求項10記載の発明にあっては、上記折溝は、上記把持部の周方向に沿って形成されると共に、上記把持部の径方向断面より小さい断面により形成されているので、折り曲げて折断することが容易である。
【0029】
請求項11記載の発明は、上記折溝は、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に、径方向断面が略円形状に形成されていることを特徴とする。
【0030】
従って、請求項11記載の発明にあっては、上記折溝は、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に、径方向断面が略円形状に形成されているので、折り曲げて折断することが容易である。
【0031】
請求項12記載の発明は、上記軸部の素材は、合成樹脂材であることを特徴とする。
【0032】
従って、請求項12記載の発明にあっては、上記軸部の素材は合成樹脂材であるので、可撓性を有する素材により形成された軸部を有する綿棒軸を製作することができると共に射出成形により形成することができる。
【発明の効果】
【0033】
請求項1記載の発明に係る綿棒軸にあっては、検体を採取する場合に軸部を撓ませることができるので、例えば、入口の狭い鼻孔から挿入する場合であっても、軸部を撓ませることにより鼻孔の内部形状に沿わせることができるため、周辺部位への接触による痛みや損傷を軽減させ、鼻腔の奥の部位に存在する検体を容易に採取しうる綿棒軸を提供することができる。
また、上記軸部の把持部は径の大きさが把持し易いように形成されているので、検体を容易に採取しうる綿棒軸を提供することができる。
また、中軸部及び膨出部は、狭い空間を通過しうるように上記把持部より小さい径により形成されているので、狭い空間を通過させて検体を容易に採取しうる綿棒軸を提供することができる。
また、膨出部は、綿球が形成される際に綿球部の脱落を防止しうるように上記中軸部より大きい径により形成されているので、軸部の先端に形成された綿球部の脱落を防止しうる綿棒軸を提供することができる。
【0034】
請求項2〜5又は7記載の発明に係る綿棒軸にあっては、綿球部の脱落を防止することができるので、軸部の先端に形成された綿球部の脱落を防止しうる取り扱いが容易な綿棒軸を提供することができる。
【0035】
請求項6記載の発明に係る綿棒軸にあっては、先端部側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されていることにより、先端部に形成された綿球形成部はしなり易いため、中軸部は狭い空間を通過し易くなるので、狭い空間を通過させて検体を容易に採取しうる綿棒軸を提供することができる。
【0036】
請求項8記載の発明に係る綿棒軸にあっては、射出成形により形成され押出成形では形成することができない軸部の形状を形成することができるので、様々な形状の綿棒軸を形成することができる綿棒軸を提供することができる。
【0037】
請求項8記載の発明に係る綿棒軸にあっては、把持部の長さ方向の所定の位置において、折溝により折り曲げて折断することで把持部の長さを調整することができるので、例えば、検体を採取した後に折溝で折断して保管する場合や、検体を採取する際に短い綿棒軸を使用したい場合には、上記折溝により容易に折断することにより取り扱いが容易な綿棒軸を提供することができる。
【0038】
請求項10又は11記載の発明に係る綿棒軸にあっては、上記折溝は、上記把持部の周方向に沿って形成されると共に上記把持部の径方向断面より小さい断面により形成され、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に、径方向断面が略円形状に形成されているので、折り曲げて折断することが容易となり、取り扱いが容易な綿棒軸を提供することができる。
【0039】
請求項12記載の発明に係る綿棒軸にあっては、軸部の素材は合成樹脂材であり可撓性を有する素材により形成された軸部を有する綿棒軸を製作することができると共に射出成形により形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明に係る綿棒軸を実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る綿棒軸10は、可撓性を有する素材により形成された軸部11と、上記軸部11の先端部12に綿球13を形成しうる綿球形成部14を有する綿棒軸10であって、上記軸部11は、把持部15と、上記把持部15より小さい径からなると共に上記把持部15から軸方向に延設された中軸部16とを備え、上記中軸部15の先端部12の径方向には、上記把持部15より小さな径であると共に上記中軸部16より大きな径の膨出部17が形成されている。
また、膨出部17は、球状部18を有し、連設されたフランジ部19,19,19により形成されている。
また、軸部11は、上記把持部15の長さ方向の所定の位置において、折り曲げて折断しうる折溝20を有し、上記折溝20は、上記把持部15の周方向に沿って形成されると共に上記把持部15の径方向断面より小さい断面により形成されており、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に径方向断面が略円形状に形成されている。
【実施例1】
【0041】
以下に、本実施例1について詳細を説明する。
図1に示すような実施例1としての綿棒軸10の軸部11は、径方向断面が略円形状に形成され、直径2.5mmからなると共に上記軸部11の長さ方向略半分の長さからなる把持部15と、上記把持部15より小さい直径1.6mmからなると共に上記把持部15から軸方向に延設された上記軸部11の長さ方向略半分の長さからなる中軸部16とから構成されている。
【0042】
また、軸部11の素材はポリエチレン又はポリプロピレンからなる可撓性を有する合成樹脂材であり、軸部11は射出成形により形成されている。
【0043】
また、直径1.6mmからなる中軸部16の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径1.8mmからなる球形の球状部18が上記先端部12の最先端に形成され、全周に張り出した直径1.8mmからなる3つのフランジ部19,19,19が所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成されている。
【0044】
また、図1に示す実施例1における寸法の異なる形態として、直径1.8mmからなる中軸部16により構成され、中軸部15の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径2.0mmからなる球形の球状部18が上記先端部12の最先端に形成され、全周に張り出した直径2.0mmからなる3つのフランジ部19,19,19が所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成される形態がある。
【0045】
また、図1に示すように、上記把持部15の上記折溝20は、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に、径方向断面が略円形状に形成され、上記折溝20の両側近傍から上記折溝20に掛けて径方向に円弧状に徐々に凹むように全周に亘って形成されると共に上記把持部15の周方向に沿って形成されている。
また、上記折溝20の径方向断面は略円形状に形成され、上記把持部15の直径2.5mmに対して上記折溝20が形成されている箇所の断面の直径は2.0mmであり、上記把持部15の径方向断面より小さい断面により形成されている。
【実施例2】
【0046】
また、図2〜図5に示すように、上記軸部11の先端部12の形状の他の実施例について、上記実施例1と異なる部分を説明する。
図2に示すような上記軸部11は、直径2.5mmからなる把持部(図示せず)と、直径1.6mmからなる中軸部16により構成され、中軸部16の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径1.8mmからなる全周に張り出した円柱状の3つのフランジ部21,21,21が上記先端部12の最先端から所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成されている。
また、図2に示す実施例における寸法の異なる形態として、直径1.8mmからなる中軸部16により構成され、直径2.0mmからなる所定の間隔を置いて連設された全周に張り出した3つの円柱状のフランジ部21,21,21とからなる膨出部17が形成される形態がある。
【0047】
また、図3に示すような上記軸部11は、直径2.5mmからなる把持部(図示せず)と、直径1.6mmからなる中軸部16により構成され、中軸部16の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径2.0mmからなる円柱状のフランジ部22が上記先端部12の最先端に形成され、上記円柱状のフランジ部22から連設された直径1.8mmからなる円筒状の膨出部23とからなる膨出部17が形成されている。
また、図3に示す実施例における寸法の異なる形態として、直径1.8mmからなる中軸部16により構成され、直径2.2mmからなる円柱状のフランジ部22が上記先端部12の最先端に形成され、上記円柱状のフランジ部22から連設された直径2.0mmからなる円筒状の膨出部23とからなる膨出部17が形成される形態がある。
【0048】
また、図4に示すような上記軸部11は、直径2.5mmからなる把持部(図示せず)と、直径1.6mmからなる中軸部16により構成され、中軸部16の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径1.8mmからなる円柱状のフランジ部24が上記先端部12の最先端に形成され、上記中軸部16の先端部12の表面には、細かい凹凸が形成された凹凸部25が形成されている。
また、図4に示す実施例における寸法の異なる形態として、直径1.8mmからなる中軸部16により構成され、直径2.0mmからなる円柱状のフランジ部24が上記先端部12の最先端に形成される形態がある。
【0049】
また、図5に示すような上記軸部11は、直径2.5mmからなる把持部(図示せず)と、直径1.6mmからなる中軸部16により構成され、中軸部16の先端部12の径方向には、直径2.5mmからなる上記把持部15より小さな径であると共に直径1.6mmからなる上記中軸部16より大きな径からなる直径1.8mmからなる円筒状の膨出部26が上記先端部12の最先端に形成され、全周に張り出したつば状の直径1.8mmからなる3つのフランジ部27,27,27が所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成されている。
また、上記先端部12には、上記中軸部16の軸方向に沿うと共に、上記円筒状の膨出部26及び3つのフランジ部27,27,27を横断するように溝部28,28が径方向に対向して設けられている。
また、図5に示す実施例における寸法の異なる形態として、直径1.8mmからなる中軸部16により構成され、直径2.0mmからなる円筒状の膨出部26が上記先端部12の最先端に形成され全周に張り出した直径2.0mmからなる3つのフランジ部27,27,27が所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成されている形態がある。
【0050】
また、図6に示すような上記軸部11は、上記中軸部16は、先端部12側に至るに従って径が小さくなるような円錐形からなるテーパ状に形成されている。
また、中軸部15の先端部12の径方向には、球形の球状部18が上記先端部12の最先端に形成され、全周に張り出した3つのフランジ部19,19,19が所定の間隔を置いて連設されることにより膨出部17が形成されている。
【0051】
以下に、上記実施例の作用について説明する。
図1に示すような綿棒軸10を使用する場合には、上記綿棒軸10の軸部11の先端部12の綿球形成部14に綿球13が形成された綿棒30を準備する。
このような綿棒30を使用して人体から検体を採取する場合、図1に示すような綿棒軸10の把持部15を指で把持して、綿球形成部14に形成されている綿球13を採取する検体に導くことにより、綿球13を検体に接触させて検体を採取する。
例えば、入口が狭い鼻孔を通過させて鼻腔の奥の部位に存在する検体を採取する場合には、図1に示すような綿棒軸10の把持部15を把持して、綿球13の形成された軸部11の先端部12側から鼻孔に挿入する。
このように採取しようとする検体が鼻腔の奥の部位のような入口が狭い鼻孔を通過した奥に存在するような場合には、綿棒軸10は狭い空間を通過しうるように径が小さいことが必要となる。
【0052】
また、把持部15の径が小さい場合には安定して綿棒軸10を把持できないことから、安定した検体の採取作業をするためには、把持部15の径は安定して検体を採取しうる径寸法により形成されている必要がある。
【0053】
図1に示すように、鼻孔に挿入された上記実施例1に示す綿棒軸10においては、安定して把持しうるように把持部15の直径を2.5mmにより形成し、狭い空間を通過させて検体を採取しうるように中軸部16の直径を1.6mm又は1.8mmにより形成しているので、安定した検体の採取を可能とし、入口が狭い鼻孔であっても容易に検体の採取することができる。
また、図6に示すような綿棒軸10においては、安定して把持しうるように把持部15の直径を2.5mmにより形成し、狭い空間を通過させて検体を採取しうるように中軸部16が先端部12側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されているので、安定した検体の採取を可能とし、入口が狭い鼻孔であっても容易に検体の採取することができる。
【0054】
次に、挿入された綿棒軸10を用いて鼻腔の奥の部位にある検体を採取するために、更に鼻腔の奥に上記綿棒軸10の先端部12を挿入していく。
この際、入口の鼻孔が狭いため検体に先端部12を導く過程において鼻孔入口の周辺部に綿棒軸10の軸部11が接触してしまう場合がある。
このような場合であっても、上記綿棒軸10の中軸部16は1.6mm又は1.8mmであることから、細く形成されて、可撓性を有するので、鼻孔入口の周辺部に綿棒軸10の軸部11が接触しても上記軸部11を鼻孔の内部形状に沿わせて自然に撓ませることができるので、接触した部位の痛みや損傷を軽減させて、検体の採取を可能とする。
特に、図1に示す中軸部16の径寸法は直径1.6mm又は1.8mmであり、上記把持部15の直径2.5mmに比して細い径寸法であるので、綿棒軸10の中軸部16を撓ますことが容易である。
また、図6に示すような綿棒軸10においては、中軸部16が先端部12側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されており、先端部12に形成された綿球形成部14はしなり易いため、入口の狭い鼻孔に中軸部16を通過させることが、より容易である。
【0055】
また、上記綿棒軸10の軸部11の素材はポリエチレン又はポリプロピレンからなる可撓性を有する合成樹脂材であり、軸部11は射出成形により形成されているので、上記綿棒軸10の把持部15の直径寸法を2.5mmに形成すると共に中軸部16の直径寸法を1.6mm又は1.8mmに形成することができる。
【0056】
そして、検体に導かれた上記綿棒軸10の先端部12に形成された綿球13により鼻腔の奥の部位にある検体を実際に採取する。
この際、図1に示すように、上記中軸部16の先端部12の径方向には、上記把持部15より小さな径であると共に上記中軸部16より大きな径の膨出部17が設けられ、上記膨出部17上に綿球13が形成されているので、綿球13を鼻腔の奥の部位に擦りつけて検体を採取する際に、綿球13の脱落を防止しうると共に、綿棒30の軸部11の端面の露出を防止することができる。
図1に示すように、上記膨出部17は、球形の球状部18が上記先端部12の最先端に形成され、全周に張り出した3つのフランジ部19,19,19が所定の間隔を置いて連設されている。
【0057】
また、同様に、図2〜図3に示す場合においても、綿棒軸10は、中軸部16の先端部12に膨出部17や凹凸部25が形成されている。
図2に示すような連設された3つのフランジ部21,21,21からなる膨出部17が形成されている。
また、図3に示すような円柱状のフランジ部22が形成され、上記フランジ部22から連設された円筒状の膨出部23とからなる膨出部17が形成されている。
また、図4に示すような円柱状の3つのフランジ部24が上記先端部12の最先端に形成され、中軸部16の先端部12の表面に細かい凹凸が形成された凹凸部25が形成されている。
また、図5に示すような円筒状の膨出部28が上記先端部12の最先端に形成され、所定の間隔を置いて連設された全周に張り出した3つのフランジ部27,27,27が形成されることにより膨出部17が形成され、かつ上記中軸部16の軸方向に沿うように径方向に対向して設けられた溝部28,28が形成されている。
このように、綿棒軸10の先端部12は、射出成形により成形されているため、先端部12の形状は様々な形状に成形することができる。
そして、膨出部17、凹凸部25又は溝部28を有する先端部12上に綿球13が形成されているので、綿球を鼻腔の奥の部位に擦りつけて検体を採取する際においても、綿球の脱落を防止しうると共に、綿棒の軸部の端面の露出を防止することができる。
【0058】
また、上記膨出部17の径方向の寸法は、例えば、入口の狭い鼻孔に挿入しうると共に綿球13の脱落を防止しうるように、上記把持部15の径寸法より小さな径寸法であると共に上記中軸部16より大きな径寸法により形成されている。
図1〜5に係る実施例においては、把持部15は2.5mmからなる直径寸法により形成され、膨出部17は、図1に示すような綿棒軸10においては、1.8mm又は1.6mmからなる直径寸法により形成され、図2に示すような綿棒軸10においては、1.8mm又は2.0mmからなる直径寸法により形成され、図3に示すような綿棒軸10においては、2.0mm又は2.2mmからなる直径寸法により形成され、図4に示すような綿棒軸10においては、1.8mm又は2.0mmからなる直径寸法により形成され、図5に示すような綿棒軸10においては、1.8mm又は2.0mmからなる直径寸法により形成されている。
【0059】
そして、検体を採取した後に、綿棒軸10の先端部12を鼻腔を通過させ、鼻孔から引き出す。
このような場合に、上記綿棒軸10は可撓性を有するので、鼻孔の周辺部に接触するような場合においても、上記綿棒軸10を鼻孔の内部形状に沿わせて自然に撓ませることができるので、接触した部位の痛みや損傷を軽減させることができる。
【0060】
そして、採取した検体が付着した綿球13を有する綿棒30を検体用容器等に入れて保管する。
保管する場合には、上記把持部15を折溝20で折り曲げることにより折断できるので、保管の際の取り扱いが容易となる。
また、綿棒軸10は、検体を採取する際においても、折溝20により折断できるので、検体までの距離を考慮して適宜長さを調整でき、取り扱いが容易となる。
【0061】
また、上記把持部15の上記折溝20は、対向する略半球状部29が互いに対向して接合されていると共に径方向断面が略円形状に形成され、上記折溝20の両側近傍から上記折溝20に掛けて径方向に円弧状に徐々に凹むように全周に亘って形成されると共に上記把持部15の周方向に沿って形成されており、上記折溝20の径方向断面は略円形状に形成され、上記把持部15の直径2.5mmに対して上記折溝20が形成されている箇所の断面の直径は2.0mmであり、上記把持部15の径方向断面より小さい断面により形成されている。
従って、上記綿棒軸10を上記折溝20により折断しないで使用する場合には、上記折溝20が形成されている直径2.0mmからなる断面により上記折溝20は固定されているので、安定して検体を採取することができ、検体を採取した後に折溝20で折断して保管する場合や、検体を採取する際に短い綿棒軸10を使用したい場合には、上記折溝20は、対向する略半球状部29が互いに対向して接合され上記折溝20により容易に折断できるので、取り扱いが容易な綿棒軸10とすることができる。
【0062】
また、綿棒軸10の軸部11の素材はポリエチレン又はポリプロピレンからなる合成樹脂材であり、軸部11は射出成形により形成されているので、上記折溝20の形状を成形することができる。
【0063】
また、本実施の形態においては記載されていないが、他の実施の形態としては、中間部16が把持部15より小さい径であり、かつ、膨出部17が把持部15より小さな径であると共に上記中軸部16より大きな径である範囲内であれば、上記実施の形態に限定されず、例えば、上記中軸部16を大きな径にすることにより上記中軸部16に強度を持たせたり、上記膨出部17を大きな径とすることにより上記膨出部17に強度を持たせることができる。
また、上記軸部11の素材は限定されず、撓ませるための太さや硬さや形状等を考慮して、適宜、材質等を選択し射出成形により成形できる。
また、上記実施の形態にあっては、綿棒軸10を鼻孔に挿入する医療用の綿棒として使用した場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されない。上記綿棒軸10には、各種精密機器の検査作業を行う場合等においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、綿棒軸に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る綿棒軸の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明に係る綿棒軸の軸部の先端部の一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る綿棒軸の軸部の先端部の一実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る綿棒軸の軸部の先端部の一実施の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る綿棒軸の軸部の先端部の一実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る綿棒軸の軸部の中軸部の一実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 綿棒軸
11 軸部
12 先端部
13 綿球
14 綿球形成部
15 把持部
16 中軸部
17 膨出部
18 球状部
19 フランジ部
20 折溝
21 フランジ部
22 フランジ部
23 円筒状の膨出部
24 フランジ部
25 凹凸部
26 フランジ部
27 フランジ部
28 溝部
29 半球状部
30 綿棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する素材により形成された軸部と、上記軸部の先端部に綿球を形成しうる綿球形成部を有する綿棒軸であって、
上記軸部は、把持部と、上記把持部より小さい径からなると共に上記把持部から軸方向に延設された中軸部とを有し、
上記中軸部の先端部の径方向には、上記把持部より小さな径であると共に上記中軸部より大きな径の膨出部が形成されていることを特徴とする綿棒軸。
【請求項2】
上記膨出部は、球状部を有することを特徴とする請求項1に記載の綿棒軸。
【請求項3】
上記膨出部は、連設されたフランジ部により形成されていることを特徴とする請求項1記載の綿棒軸。
【請求項4】
上記膨出部は、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の綿棒軸。
【請求項5】
上記中軸部の先端部の表面には、細かい凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の綿棒軸。
【請求項6】
上記中軸部は、先端部側に至るに従って径が小さくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の綿棒軸。
【請求項7】
上記中軸部の先端部には、上記中軸部の軸方向に沿うと共に径方向に対向して設けられた一対の溝部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の綿棒軸。
【請求項8】
上記軸部は、射出成形により形成されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の綿棒軸。
【請求項9】
上記軸部は、上記把持部の長さ方向の所定の位置において、折り曲げて折断しうる折溝を有することを特徴とする請求項8に記載の綿棒軸。
【請求項10】
上記折溝は、上記把持部の全周方向に沿って形成されると共に、上記把持部の径方向断面より小さい断面により形成されていることを特徴とする請求項9記載の綿棒軸。
【請求項11】
上記折溝は、対向する略半球状部が互いに対向して接合されていると共に、径方向断面が略円形状に形成されていることを特徴とする請求項10記載の綿棒軸。
【請求項12】
上記軸部の素材は、合成樹脂材であることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の綿棒軸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate