説明

緊急呼び出しの送信方法並びに装置

予め定めた事故判断基準に依存して緊急呼び出しを送信するために、緊急呼び出しと一緒に、殊に事故判断基準の発生の直前および/または直後に書き込まれかつ事故状況についての推定を可能にするダイナミックなセンサデータが送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は予め定めた事故判断基準に依存して緊急呼び出しを送信するための方法から出発している。DE10240830B3からこの種の方法に対する装置が公知である。そこではクラッシュセンサの応答に依存して緊急呼び出しが発せられる。類似のシステムはDE4321416A1から公知であり、ここでは緊急呼び出しを用いてポジションデータが伝送される。
【0002】
発明の利点
請求項1の構成により、すなわち緊急呼び出しと一緒に、事故判断基準の発生の直前および/または直後に書き込まれかつ事故状況に関する推測を可能にするダイナミックなセンサデータを送出することによって、救急隊に事故現場での状況に関する正確なイメージ、事故の重さおよび/または別の重要な指示を与えることができる。例えばこれにより特有の救助装置を初期の段階で要求することができる。
【0003】
救助隊に対するアンケートにより分かったことは、救急隊にとって重要な問題は、彼らが通例事故現場に到着する際に現場の状況の不十分なイメージしか持っていないことである。それは1つには、救急隊が事故現場の情報を第3者を介してしか得ていない、更に彼らはしばしば事故の成り行きの正確な情報を持ち合わせていないことによる。今日の車両は、殊に車両の周辺における一層の技術革新を考慮して、持続的に多数の情報を生成する一連の車両用センソトロニックを使用することができる。この場合この関係において例えば次のものを挙げることができる:加速度(長手方向および横断方向)、速度、ローリング、熱、ビデオ、タンク容積、座席占有、圧縮および衝撃力などを測定するためのセンサ。これらから例えば事故の前の走行状況に関する情報が導き出される(車両はどのくらいの速度だったか?事故の際車両はどのくらい加速していたか?)同様に、車両が燃えているかどうか、燃料が流出しているかどうか、ドアまたは車体が著しく歪みを受けているかどうか、車両には何人の乗員がいるか/いたかまたは車両はどんなポジションをとっているのかを導き出すことができる。
【0004】
これまでのシステムはセンサ情報を、そもそも事故があって、それに基づいて分析されていない、つまりともかくの緊急呼び出しが発生されることにだけ基づいて評価する。せいぜいポジションデータまたはスタチックなデータが伝送されるぐらいで、そこからは具体的な事故状況およびその程度を推し量ることは殆どできない。
【0005】
本発明は自動車において既に組み込まれ使用されているセンサを用いることができる。大抵はいずれにせよ車両バスを介して中央の制御装置に伝送される関連のダイナミックセンサデータを予め定めた時間の間持続的に一緒に記憶しておくことが必要なだけである。その際制限された容量でかつ例えば数秒ないし1分という記憶時間を有する簡単なメモリで十分である。有利にはダイナミックセンサデータは中央に伝送されかつそこに指示されるようにすることができ、そこから個別のユーザ、例えば救急員の呼び出しが可能である。センサデータは個々のユーザに直接伝送することもできる。ダイナミックセンサデータは伝送の前に調製することができ、すなわち殊に論理結合および/または相関して、冗長さが低減されまたは合理性チェックが行われるようにすることができる。また、データを時間的に圧縮しかつ標準化されたプロトコルにおいて例えばGSMまたはUMTS規格に従って送信することができ、この場合には車両において既存のまたは持ち込まれる送信装置を使用することができる。
【0006】
自動的または例えば緊急呼び出しセンターによってイネーブル化することができる音声および/またはビデオコネクションを介して、被害者への質問または被害者の監視を可能にすることができる。車内または車外センサを介して監視または救助センターは車両および周囲の状況の直接的かつ包括的なイメージを形作ることができかつ救助隊を適正に投入しかつ統括することができる。
【0007】
図面
可能な伝送路を有するブロックを示している図1に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0008】
実施例の説明
車両センサ1(エアバッグセンサ、レーダセンサ、ドアロックセンサ、タンクセンサ、加速度センサ、速度センサ、温度センサ、…のような状態センサ)、2(ビデオセンサ)および3(オーディオセンサ)のうち関連のダイナミックセンサデータは所定の予め定めた時間の間、例えば1分間、固有のメモリ4によって連続的に書き込まれかつ保存される。このメモリは例えば、物理的な力に対して並びにエネルギー消失に対して保護されているようにすることができる。事故状況が発生すると、すなわちクラッシュセンサ5が応答すると、ちょうどその前に書き込まれていたダイナミックセンサデータが、ユニット6において生成される緊急呼び出し信号と結び付けられて緊急呼び出しセンター7に送信機ユニット8を介して送信される(送信機Aから受信機B)。択一的にデータは救急車両9に直接伝送するようにしてもよい(送信機Aから受信機C)。場合によってはデータをその前に更に、メモリ4に配属されている評価および論理結合ユニットを介して適当な手法で調製しておくことができる。択一的に車両と外部の場所との間に適当なデータコネクションを確立しておいてこれを介して関連データを呼び出すようにすることができる(モジュールA,BおよびCはこの場合送信機/受信機(トランシーバ)と考えてよい)。同様にこの種のコネクションを使用して使用可能なビデオセンサトロニックを用いて室内または車両周辺のライブ画像を伝送することができる。同様に、事故車とセンターもしくは救助隊との間の音声コネクションが可能になるようにイネーブル化することができる。このイネーブル切換は自動的にまたはセンター7もしくは救助隊による要求に基づいて行うことができる。
【0009】
事故後、本発明の実施形態において自動的に、緊急呼び出しセンター、救急ステーションまたは救急車に対するデータコネクションを確立することができる。更に事故時点での速度、事故時の加速値、車両の姿勢に関する情報はローリングセンソトロニックから伝送されかつその他の関連情報は上述したように伝送される。こうして救急隊は既に事故状況、従って事故現場の予測される状況に関する概要を把握することができる。事故後自動的に、緊急呼び出しセンター、救急ステーションおよび場合によっては救急車に対するデータコネクションが確立される。このコネクションを介して、室内も室外もイメージ化することができるビデオデータ(車両におけるビデオセンサトロニックの利用)が伝送される。これらのデータにより、救急隊が直接現場の状況を分析しかつ救助をより有効に準備することができる。例えば特定の救援装置を既に早期に要求することができる。
【0010】
ビデオコネクションに類似して、オーディオコネクションを確立して、被害者がもはや操作エレメントに近づけないもしくは起動することができないときですら、被害者に対する直接的な質問もしくは被害者に対するケアを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】可能な伝送路を示すブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた事故判断基準に依存して緊急呼び出しを送信するための方法において、
緊急呼び出しと一緒に、殊に事故判断基準の発生の直前および/または直後に書き込まれかつ事故状況についての推定を可能にするダイナミックなセンサデータが送信される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ダイナミックセンサデータは緊急呼び出しと一緒にセンターまたは個別ユーザ、例えば救急隊に伝送される
請求項1記載の方法。
【請求項3】
ダイナミックセンサデータは伝送の前に調製される、すなわち殊に論理結合および/または相関される
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ダイナミックセンサデータの伝送と一緒に、音声および/またはビデオコネクションがイネーブル化される
請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ダイナミックセンサデータは通例はいずれにせよ車両に設けられているセンサによって取り上げられかつ記憶される
請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
クラッシュセンサ(5)と、車両センサ(1,2,3)と、該車両センサ(1,2,3)のデータをダイナミックに記憶するためのメモリ(4)と、前記クラッシュセンサ(5)が応答した際に車両センサ(1,2,3)の記憶されたデータと一緒に緊急呼び出しを送信するための伝送装置(8)とを備えている、予め定めた事故判断基準に依存して緊急呼び出しを送信するための装置。
【請求項7】
前記車両センサ(1,2,3,5)の記憶されたダイナミックセンサデータの論理結合および/または相関手段を備えている
請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記車両センサ(1,2,3,5)の記憶されたデータを呼び出すための手段を備えている
請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
音声および/またはビデオコネクションを自動的にイネーブル化するための手段(8)を備えている
請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
音声および/またはビデオコネクションをセンター(7)および/または個別ユーザ、例えば救急隊(9)による呼び出しに基づいて自動的にイネーブル化するための手段(7,8)を備えている
請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−524733(P2008−524733A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547421(P2007−547421)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056075
【国際公開番号】WO2006/067008
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】