説明

緊急地震速報受信装置

【課題】揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性を容易に評価することができる、緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置を提供する。
【解決手段】緊急地震速報受信装置6は、緊急地震速報に基づいて、当該装置の設置地点における揺れの推定到達時刻を算出する演算部22と、地震による揺れの大きさを単位時間毎に測定する加速度センサ11と、この加速度センサで測定された単位時間毎の揺れの大きさのデータを、時刻とともに保存する第1記憶部13と、保存されたデータから、演算部22で予測された揺れの推定到達時刻の近傍のデータを抽出するデータ管理部23と、抽出されたデータと、推定到達時刻を示す情報とを対応付けて保存する第2記憶部とを備える。これにより、実際の揺れの発生時刻と、揺れの推定到達時刻との間の誤差の検知を容易にし、揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性の評価を容易化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急地震速報受信装置に関する。より詳しくは、緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生すると、小さな揺れの縦波(P波)及び大きな揺れの横波(S波)の地震波が同時に発生する。これらのうち、P波は、S波に比べて、速く伝播する。そこで、かかる現象を利用して、地震の発生直後、前記P波を震源に近い場所に設置された地震計で観測して得られたデータから、地震の発生時刻、震源、規模などの値が推定され、さらに、得られた値に基づいて、各地におけるS波の到達時刻や震度が予測されることにより、緊急地震速報のデータが発信されている(特許文献1など参照)
【0003】
特許文献1には、緊急地震速報のデータを受信する機能を有するとともに、当該緊急地震速報が間に合わない場合であっても、前記内部地震計で観測されたP波のデータに基づいて、地震警報を出力すべく、内部に内部地震計を有する情報受信装置を備えた緊急地震速報受信システムが記載されている。
前記緊急地震速報受信システムでは、緊急地震速報から推定された揺れの大きさと、情報受信装置に設けられた内部地震計により測定された揺れの大きさとを比較することにより、その設置地点における地盤や建物による揺れの増幅特性の補正を行なうように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−96203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記情報受信装置に対して予め設定された初期情報が当該情報受信装置の実際の設置地点と異なっているときなどにおいては、実際の揺れの発生時刻と、揺れの推定到達時刻との間に誤差が生じることがある。
しかしながら、前記緊急地震速報受信システムの情報受信装置では、内部地震計で単位時間毎に測定された揺れのデータが保存されていないため、実際の揺れの発生時刻と、揺れの推定到達時刻とを比較することが困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性を容易に評価することができる、緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の緊急地震速報受信装置は、地震による揺れの推定到達時刻を算出するための情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置であって、
緊急地震速報に基づいて、当該緊急地震速報受信装置の設置地点における揺れの推定到達時刻を算出する演算部と、
地震による揺れの大きさを単位時間毎に測定する加速度センサと、
前記加速度センサで測定された単位時間毎の揺れの大きさのデータを、時刻とともに保存する記憶領域を有する第1記憶部と、
前記第1記憶部に保存されたデータから、前記演算部で算出された揺れの推定到達時刻の近傍のデータを抽出するデータ管理部と、
抽出されたデータと、前記推定到達時刻を示す情報とを対応付けて保存する第2記憶部と
を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の緊急地震速報受信装置によれば、加速度センサで単位時間毎に測定された揺れの大きさのデータを、前記推定到達時刻を示す情報と対応付けて保存することができる。したがって、本発明の緊急地震速報受信装置によれば、前記揺れの大きさのデータのうち、前記推定到達時刻の近傍の所定の時間内における実際の揺れの大きさのデータを容易に抽出することができるため、実際の揺れの発生時刻と揺れの推定到達時刻との間の誤差を容易に検知することができる。
これにより、揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性を評価することができる。
なお、本発明では、第1記憶部および第2記憶部は、互いに異なる記憶装置としてもよく、同一の記憶装置(ハードディスクやメモリなど)に設けてもよい。同一の記憶装置に設ける場合には、第1記憶部および第2記憶部は、当該同一の記憶装置の異なる領域に割り当てて設ければよい。
【0009】
本発明では、加速度センサによって地震による揺れが検出された時刻と、揺れの推定到達時刻とを対比して、揺れの推定到達時刻の精度を評価する判定部と、
前記判定部で評価された精度が、予め設定された精度よりも低いとき、外部に警告信号を出力する出力部と
をさらに備えていることが好ましい。
【0010】
このように構成された緊急地震速報受信装置によれば、加速度センサによって地震による揺れが検出された時刻(実際の揺れの発生時刻)と、演算部で算出された揺れの推定到達時刻とに基づいて、実際の揺れの発生時刻と揺れの推定到達時刻との間の誤差などを検知することによって、揺れの推定到達時刻の精度を判定することができる。そして、判定部で判定された精度が、予め設定された精度よりも低いときには、外部に警告信号が出力される。
【0011】
したがって、かかる緊急地震速報受信装置によれば、前記作用効果に加えて、揺れの推定到達時刻の精度の良し悪しを容易に知ることができる。また、前記精度の良し悪しによって、例えば、緊急地震速報受信装置の設置地点などに関する初期情報の修正の要否を容易に知ることもできる。したがって、前記緊急地震速報受信装置によれば、前記初期情報の点検の容易化を図ることができ、ひいては、揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明では、前記加速度センサで測定された揺れの大きさのデータを、時系列毎に管理してリングバッファに保存させるリングバッファ管理部をさらに備えており、
前記第1記憶部の記憶領域が、順次漸増するアドレスが付与された複数個の分割記憶領域に分割され、当該複数個の分割記憶領域の最終アドレスの次のアドレスが、先頭アドレスとされているリングバッファを形成しており、
前記複数個の分割記憶領域に付与されたアドレスの順にしたがって、前記加速度センサで測定された揺れの大きさのデータが時系列順に、当該複数個の分割記憶領域に割り当てられて保存されていることが好ましい。
【0013】
かかる緊急地震速報受信装置によれば、前記作用効果に加えて、第1記憶部における記憶領域の容量を減らすことができる。また、前記緊急地震速報受信装置によれば、アドレスの順にしたがって、前記加速度センサで測定された揺れの大きさのデータが時系列順に割り当てられるので、所望のデータへのアクセスが容易になり、第1記憶部の記憶領域に記憶されたデータからの前記揺れの推定到達時刻の前後のデータの抽出が容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の緊急地震速報受信装置によれば、揺れの推定到達時刻などに関する情報の正確性を容易に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】緊急地震速報の配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の第1記憶部におけるリングバッファを示す構成図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の第1記憶部における揺れデータのフォーマットを示す概略説明図である。
【図6】緊急地震速報として配信されるデータの構成を示す概略説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の第1記憶部に保存されたデータの構成を示す概略説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の演算部により出力されるデータの構成を示す概略説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の第2記憶部に保存されたデータの構成を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[配信システムの構成]
以下、本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置を備えた緊急地震速報の配信システムについて添付図面を参照しながら説明する。図1は、緊急地震速報の配信システムの構成を示すブロック図である。なお、図1においては、気象庁が発信する「緊急地震速報」を利用するシステムを例として説明するが、本発明では、気象庁の緊急地震速報に代えて、他の機関などが作成する緊急地震情報を用いてもよい。
【0017】
図1に示される配信システム1は、気象庁のコンピュータ2と、第1および第2配信サーバ3,5と、緊急地震速報受信装置(端末)4,6とから構成されている。
【0018】
コンピュータ2は、各地に配置された観測点(地震計)のうち、震源に近い観測点(地震計)で捉えられた初期微動のデータに基づいて、緊急地震速報Aを作成し、発信するコンピュータである。このコンピュータ2は、フレームリレー網などを介して各地に配置された地震計と接続されている。そして、サーバ2には、地震計により観測されたデータが集まるように構成されているため、例えば、震源に近い地震計で捉えられた初期微動(P波による振動)を解析して瞬時に地震の発生時刻、震源の位置、地震の規模(マグニチュード)などを特定することができる。
【0019】
第1配信サーバ3は、受信した緊急地震速報Aを、さらに下流の利用者(端末4および第2配信サーバ5)に分岐配信するサーバである。この第1配信サーバ3は、専用回線を介してコンピュータ2と接続されている。
【0020】
第1配信サーバ3の下流には、デジタル回線などの専用回線や、IP−VPNなどの私設通信網などの通信回線を介して、一次利用者が使用する端末4および第2配信サーバ5が接続されている。
【0021】
端末4は、第1配信サーバ3から分岐配信された緊急地震速報Aを受信する緊急地震速報受信装置である。この端末4では、第1配信サーバ3から直接受信した緊急地震速報Aと、当該端末4が設置された地点に関するデータとに基づいて、当該地点における揺れの推定到達時刻や揺れの大きさ(震度)などが予測される。これにより、例えば、前記端末4が設置された地点への主要動(S波による振動)の推定到達時刻及びその震度を推定して、地震被害をもたらす主要動が到達する前に、これらの情報を知らせることが可能となる。
【0022】
また、第2配信サーバ5は、第1配信サーバ3から分岐配信された緊急地震速報Aを受信し、さらに下流の利用者に配信する二次的な配信サーバである。この第2配信サーバ5は、CATV回線、インターネット回線などを介して二次利用者が使用する端末6に接続されている。
【0023】
この第2配信サーバ5によれば、第1配信サーバ3から配信された緊急地震速報Aをさらに分岐配信することができるため、より多くの利用者に対して緊急地震速報Aを配信する場合であっても、第1配信サーバ3への負荷を低減させることができる。
【0024】
端末6は、第2配信サーバ5から分岐配信された緊急地震速報Aを受信する緊急地震速報受信装置である。この端末6では、第2配信サーバ5から受信した緊急地震速報Aと、当該端末6が設置された地点に関するデータとに基づいて、当該地点における揺れの推定到達時刻や揺れの大きさ(震度)などが予測される。これにより、前記端末4の場合と同様に、地震被害をもたらす主要動が到達する前に、当該端末6が設置された地点への主要動の推定到達時刻及びその震度の情報を知らせることが可能となる。
【0025】
[緊急地震速報受信装置の構成]
つぎに、本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報の緊急地震速報受信装置について、添付図面に基づいて説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報の緊急地震速報受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、図1における緊急地震速報受信装置(端末)のうち、二次利用者が使用する端末6を例として挙げて説明するが、本発明は、一次利用者が使用する端末4にも適用することができる。
【0026】
図2に示される端末6は、加速度センサ11と、制御部12と、第1記憶部13と、通信部14と、第2記憶部15と、判定部16と、出力部17とから構成されている。
【0027】
加速度センサ11は、地震による揺れの大きさを測定するものである。この加速度センサ11は、端末6の設置地点における揺れの大きさを経時的に測定している。したがって、加速度センサ11によれば、端末6の設置地点における単位時間毎の揺れの大きさのデータを得ることができる。この単位時間毎の揺れの大きさのデータは、制御部12に出力され、処理されることによって、揺れの大きさが測定された時刻に対応付けられる。なお、制御部12における単位時間毎の揺れの大きさのデータの処理の詳細については、後述する。
【0028】
第1記憶部13には、制御部12で処理された前記加速度センサ11による揺れの大きさに関するデータや、端末6の設置地点に関する初期情報のデータなどが保存されている。第1記憶部13においては、前記加速度センサ11による揺れの大きさに関するデータは、揺れの大きさが測定された時刻と関連付けて保存されている。かかる第1記憶部13に保存されたデータは、制御部12によって入出力可能に管理されている。
【0029】
通信部14は、第2配信サーバ5(図1参照)から、通信回線を介して分岐配信された緊急地震速報Aを受信するものである。この通信部14は、緊急地震速報Aに関するデータを、通信回線の種類などに応じたデータとして受信する機能を有していればよい。
【0030】
通信部14で受信された緊急地震速報Aに関するデータは、制御部12によって処理され、端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻などの算出に用いられる。
【0031】
第2記憶部15には、通信部14で受信された緊急地震速報Aに関するデータと、第1記憶部13に保存されたデータとに基づいて、制御部12で生成されたデータが保存されている。また、この第2記憶部15に保存されたデータは、制御部12によって入出力可能に管理されている。
【0032】
判定部16は、端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻と、端末6の設置地点における実際の揺れの発生時刻とを対比して、揺れの推定到達時刻の精度などを評価するものである。
【0033】
この判定部16では、制御部12で算出された端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻に関するデータと、第2記憶部15に保存され、制御部12を介して出力されたデータとに基づいて、端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻と、端末6の設置地点における実際の揺れの発生時刻との間の誤差を検知し、かかる誤差に基づいて、前記精度の良し悪しなどが評価される。
この判定部16による判定は、出力部17を介して出力される。
【0034】
[制御部の構成および制御部による処理]
つぎに、制御部12の構成を説明するとともに、この制御部12で行なわれる処理について、説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る緊急地震速報受信装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【0035】
制御部12は、加速度センサ11で測定された揺れの大きさのデータを、時系列で管理してリングバッファに保存させるリングバッファ管理部21と、通信部14で受信された緊急地震速報Aのデータを処理する演算部22と、第1記憶部13に保存するデータおよび第2記憶部15に保存するデータを入出力可能に管理するデータ管理部23とを備えている。
【0036】
まず、加速度センサ11で測定された揺れの大きさのデータの処理について説明する。
制御部12では、加速度センサ11で単位時間毎に測定された揺れの大きさのデータは、リングバッファ管理部21に入力されると、このリングバッファ管理部21において、前記データと、揺れの大きさが測定された時刻とが対応付けられる。その後、対応付けられたデータが第1記憶部13に出力される。
【0037】
なお、第1記憶部13の記憶領域には、図4に示されるように、N+1個に分割され、それぞれに順次漸増するアドレス(インデックス番号:0〜N)が付与された分割記憶領域が形成されている。前記分割記憶領域では、最終アドレス(インデックス番号:N)の次のアドレス(インデックス番号:N+1)が、先頭アドレス(インデックス番号:0)として取り扱われる。そのため、第1記憶部13の記憶領域には、リング状の記憶領域としてのリングバッファが形成されていることになる。
【0038】
したがって、加速度センサ11で単位時間毎に経時的に測定され、制御部12における処理を経て、第1記憶部13に出力されたデータは、図5に示されるように、第1記憶部13における分割記憶領域それぞれに付与されたアドレスの順にしたがって、時系列順に、各分割記憶領域に割り当てられて保存されることになる。
【0039】
例えば、図5(a)に示されるリングバッファは、インデックス番号:0〜19のアドレスが順次付された20個の分割記憶領域から構成されている。このリングバッファでは、インデックス番号:3のアドレスが付された分割記憶領域に、最も前に測定された揺れデータ11が保存されている。また、インデックス番号:3から最後のアドレスであるインデックス番号:19までのアドレスが付された各分割記憶領域には、前記揺れデータ11の後に測定された揺れデータ12〜27が順次保存されている。さらに、揺れデータ27の後の揺れデータ28は、最初のアドレスであるインデックス番号:0の分割記憶領域0に記憶されており、その後の揺れデータ29および30は、つづくアドレスであるインデックス番号:1,2が付された各分割記憶領域に保存されている。
【0040】
一方、揺れデータ30の後にさらに揺れデータが得られた場合には、リングバッファに記憶された揺れデータのうちの最も新しい揺れデータ30が保存された分割記憶領域〔図5(a)の矢印A〕の直後の分割記憶領域に、順次保存される〔図5(b)参照〕。
【0041】
このようにリングバッファに揺れデータを保存することにより、第1記憶部13に保存されるデータの量を必要最小限の量に低減することができ、記憶領域の容量を節約することができる。
【0042】
つぎに、端末6の通信部14で、緊急地震速報Aを受信した場合の制御部12による処理について説明する。
通信部14において、緊急地震速報Aを受信した場合、緊急地震速報Aは、制御部12の演算部22に送られる。具体的には、この緊急地震速報Aは、例えば、図6に示されるように、地震毎に付与された固有の地震識別記号、地震の震源緯度および震源経度、地震のマグニチュード、地震が観測された検知時刻(実際の揺れの発生時刻)などのデータから構成されている。演算部22では、これらのデータのなかから、端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻などを算出するのに必要なデータ(例えば、震源緯度、震源経度、マグニチュードなど)が抽出される。
【0043】
これと同時に、演算部22では、データ管理部23を介して、第1記憶部13に保存されている端末6の設置地点に関する初期情報のデータが取得される。具体的には、前記初期情報のデータは、例えば、図7に示されるように、端末6に固有の端末識別番号と、当該端末6の設置地点の緯度および経度、端末6の設置地点における地盤による地震の増幅度を示す地盤増幅率などのデータから構成されている。演算部22では、データ管理部23を介して、これらのデータのなかから前記揺れの推定到達時刻などを算出するのに必要なデータ(例えば、設置地点の緯度および経度、地盤増幅率など)が取得される。
【0044】
その後、演算部22では、端末6の設置地点における揺れの推定到達時刻や揺れの大きさなどが算出される。このようにして、演算部22によって、例えば、図8に示されるような対象となる地震に固有の対象地震識別記号、端末6の設置地点における予想震度、揺れの推定到達時刻などのデータが生成される。
【0045】
さらに、データ管理部23は、演算部22で生成された前記データのうちの揺れの推定到達時刻に基づいて、第1記憶部13に保存された実際の揺れの大きさを示すデータのなかから前記推定到達時刻の近傍のデータを抽出し、抽出されたデータを、前記推定到達時刻を示す情報と対応付ける。その後、データ管理部23で対応付けられたデータは、データ管理部23によって、第2記憶部15に保存される。ここで、推定到達時刻の近傍のデータとしては、例えば、緊急地震速報の着信時刻の前から端末6の設置地点(端末設置場所)における揺れの収束時刻までの揺れデータ(図9中、揺れデータ36〜揺れデータ93)などが挙げられる。
【0046】
このように、第2記憶部15には、実際の揺れの大きさを示すデータのうちの推定到達時刻を示す情報と対応付けられたデータが保存されているため、端末6の設置地点における実際の揺れの発生時刻である地震の検知時刻と、推定到達時刻との間の誤差の検知が容易になる。
【0047】
[判定部による処理]
つぎに、判定部16において、揺れの推定到達時刻の精度を評価する処理について説明する。判定部16では、第2記憶部15に保存されたデータ(図9参照)に基づいて、前記精度を評価する処理が行なわれる。
【0048】
図9は、第2記憶部15に保存されたデータの構成を示す概略説明図である。なお、図9において、「記憶データ」における揺れデータは、それぞれ、順に、1秒毎に経時的に測定された揺れの大きさの測定結果のデータを示す。
【0049】
判定部16では、まず、制御部12のデータ管理部23を介して、第2記憶部15に保存されたデータが取得され、取得されたデータに基づいて、揺れの推定到達時刻と実際の揺れの発生時刻との間の誤差が算出される。
【0050】
そして、判定部16では、前記誤差の大きさに応じて、揺れの推定到達時刻の精度の良し悪しが判定される。その後、判定された精度が、予め設定された精度よりも低いときには、判定部16から出力部17に対して警告信号の出力を促す信号が出力される。
【0051】
なお、緊急地震速報Aから予測された推定震度と、実際の震度とが同程度である場合、前記誤差は、緊急地震速報受信装置の設置地点に関する初期情報における緯度及び/又は経度と実際の設置地点の緯度及び/又は経度との間の差異によるものであることが推測される。したがって、この場合には、判定部16による精度の判定結果に基づいて、前記初期情報の修正を促すこともできる。
【符号の説明】
【0052】
4,6:緊急地震速報受信装置(端末)、11:加速度センサ、13:第1記憶部、15:第2記憶部、16:判定部、17:出力部、21:リングバッファ管理部、22:演算部、23:データ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震による揺れの推定到達時刻を算出するための情報を含む緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置であって、
緊急地震速報に基づいて、当該緊急地震速報受信装置の設置地点における揺れの推定到達時刻を算出する演算部と、
地震による揺れの大きさを単位時間毎に測定する加速度センサと、
前記加速度センサで測定された単位時間毎の揺れの大きさのデータを、時刻とともに保存する記憶領域を有する第1記憶部と、
前記第1記憶部に保存されたデータから、前記演算部で算出された揺れの推定到達時刻の近傍のデータを抽出するデータ管理部と、
抽出されたデータと、前記推定到達時刻を示す情報とを対応付けて保存する第2記憶部と
を備えていることを特徴とする緊急地震速報受信装置。
【請求項2】
加速度センサによって地震による揺れが検出された時刻と、揺れの推定到達時刻とを対比して、揺れの推定到達時刻の精度を評価する判定部と、
前記判定部で評価された精度が、予め設定された精度よりも低いとき、外部に警告信号を出力する出力部と
をさらに備えている請求項1に記載の緊急地震速報受信装置。
【請求項3】
前記加速度センサで測定された揺れの大きさのデータを、時系列毎に管理してリングバッファに保存させるリングバッファ管理部をさらに備えており、
前記第1記憶部の記憶領域が、順次漸増するアドレスが付与された複数個の分割記憶領域に分割され、当該複数個の分割記憶領域の最終アドレスの次のアドレスが、先頭アドレスとされているリングバッファを形成しており、
前記複数個の分割記憶領域に付与されたアドレスの順にしたがって、前記加速度センサで測定された揺れの大きさのデータが時系列順に、当該複数個の分割記憶領域に割り当てられて保存されている請求項1又は2に記載の緊急地震速報受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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