説明

緊急時にライフラインとして利用可能な冷凍食品用自動販売機

【課題】災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、商品と解凍手段の取り出しを可能とした自動販売機を提供する。
【解決手段】災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、商品の取り出しを可能とした自動販売機が存在する。しかし、冷凍食品用自動販売機0101では、さらに解凍手段がなければ、冷凍食品用自動販売機0101を非常用食料として利用する上で問題がある。本発明における冷凍食品用自動販売機0101は、災害等緊急時に、無料で、冷凍食品とその解凍ツールを提供可能な構成である点に特徴を有する。本発明により、冷凍食品用自動販売機において、冷凍食品を災害等緊急時において非常用食料として利用するために必要な、解凍するための手段を、冷凍食品とあわせて提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害等緊急時にライフラインとして利用可能な冷凍食品用自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、商品の取り出しを可能とした自動販売機が存在する(例えば、特許文献1)。
【0003】
災害等緊急時には、電気、水道、ガス、道路や鉄道などが途絶する場合がある。この場合、食料や水が不足する可能性があるため、日頃から食料や水を備蓄しておくことが望ましい。しかしながら、災害等緊急時にしか利用されない非常用食料や水を保管する場合、保管場所が必要となるし、これらの非常用食料や水の消費期限の管理などを行う必要があり、手間とコストがかかる。
【0004】
これに対し、自動販売機の場合は、日常時には有料で販売している商品を、そのまま災害等緊急時にはライフライン(非常用食料)として利用可能であるから、保管場所を別途必要としない。しかも、販売により、商品が入れ替わっていくので、消費期限の管理の手間とコストを省くことができる。
【0005】
さらに、冷凍食品の場合は、長期にわたり品質の劣化を防止できるので、消費期限の管理の手間とコストの観点からは、さらに好ましく、廃棄ロスを大幅に減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−195950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、冷凍食品の場合には、単に、災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、商品の取り出しを可能とするだけでは、非常用食料として利用するという観点から十分とはいえない。すなわち、冷凍食品を食事に適した状態とするためには、これを解凍するための手段が必要である。日常時には、電子レンジで解凍するなどの方法をとることができるが、災害等緊急時には、電気やガスなどの供給が停止する場合があり、この場合は、電子レンジやガスコンロを利用して解凍することができない。常温に放置するなどにより、解凍を行うことも考えられるが、時間がかかる上、温かい食事をとることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本出願人は、以下の発明を提案する。
【0009】
すなわち、第一の発明として、電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための商品収納部と、災害等緊急事態に応じ、外部から入力される緊急信号を取得する緊急信号取得部と、緊急信号取得部が緊急信号を取得した場合に、金銭等の投入なしに商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とする切換部と、災害等緊急時に、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能な、水分と反応させることで発熱する発熱剤、ならびに、発熱剤を水分とともに収容し冷凍食品を載置するための容器本体、を収納するための解凍ツール収納部と、を有する冷凍食品用自動販売機、を提案する。
【0010】
第二の発明として、第一の発明に記載の冷凍食品用自動販売機と、この冷凍食品用自動販売機の商品収納部に収納される冷凍食品であって、冷凍食品の容器は、電子レンジにそのまま入れて食品とともに加熱され周縁部に容器本体の水からの水蒸気を通すための通気孔を備える電子レンジで加熱可能な加熱用盛付皿と、加熱用盛り付け皿にかぶせて盛り付けられる料理を覆うことで、前記水蒸気を盛り付けられる料理の周囲に充満させるための蓋と、を有する冷凍食品と、第一の発明に記載の冷凍食品用自動販売機の解凍ツール収納部に収納される容器本体と、発熱剤と、からなる冷凍食品自動販売機システム、を提案する。
【0011】
第三の発明として、災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための商品収納部に収納された冷凍食品の取出しを可能とする切換部を備えた冷凍食品用自動販売機本体と、災害等緊急時に、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能な、水分と反応させることで発熱する発熱剤、ならびに、発熱剤を水分とともに収容し冷凍食品をその上に載置するための容器本体、を収め、日常時はロックされた解凍ツール収納箱と、からなる緊急時冷凍食品供給システムの動作方法であって、緊急時であるとの情報の入力を受け付ける情報入力受付ステップ情報入力受付ステップで情報を受け付けた場合に、所定の金額の投入がなくとも、商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とするための切換ステップと、情報入力受付ステップで情報を受付けた場合に、解凍ツール収納箱のロックを解除するロック解除ステップと、を有する緊急時冷凍食品供給システムの動作方法を提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、冷凍食品用自動販売機において、冷凍食品を災害等緊急時において非常用食料として利用するために必要な、解凍するための手段を、冷凍食品とあわせて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1の冷凍食品用自動販売機の機能的構成を示す図の一例
【図2】実施形態1の冷凍食品用自動販売機の外観を示す図の一例
【図3A】実施形態1の解凍ツールに収納される発熱剤ならびに容器本体を解凍する際に利用する様子を示す概念図の一例
【図3B】実施形態1の解凍ツールに収納される発熱剤ならびに容器本体を解凍する際に利用する様子を示す概念図の一例
【図4】実施形態2の加熱用盛付皿の平面図及び断面図の一例
【図5】実施形態2蓋の平面図及び断面図である。
【図6】実施形態2の加熱用盛付皿に蓋をかぶせた様子を示す平面図及び断面図
【図7A】実施形態3における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法のフロー図の一例
【図7B】実施形態3における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法のフロー図の一例
【図8】実施形態3における緊急時冷凍食品供給システムの概念図の一例
【図9】実施形態3における緊急時冷凍食品供給システムの概念図の一例
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明はこれらの実施形態になんら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0015】
実施形態1は、主に、請求項1などについて説明する。実施形態2は、主に、請求項2などについて説明する。実施形態3は、主に、請求項3などについて説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0016】
本実施形態の冷凍食品用自動販売機は、災害等緊急時に、無料で、冷凍食品とその解凍ツールを提供可能な構成である点に特徴を有する。これにより、日常時は、有料で販売されている冷凍食品を、災害等緊急時には、非常用食料として利用することが可能となる。
【0017】
なお、当然のことながら、本実施形態において、日常時における解凍ツールの提供の有無は限定されない。近くに電子レンジ等がある場合や、持ち帰ることが想定されている場合には、日常時は、解凍ツールの提供がなく、災害等緊急時のみに解凍ツールが提供されてもよい。あるいは、屋外など、電子レンジの設置が困難な場合などには、日常時においても、解凍ツールの提供が行われていてもよい。
<実施形態1:全体の構成>
【0018】
図1は、本実施形態の冷凍食品用自動販売機の機能的構成を示す図の一例である。
【0019】
本実施形態の冷凍食品用自動販売機(0101)は、商品収納部(0104)と、緊急信号取得部(0102)と、切換部(0103)と、解凍ツール収納部(0105)と、を有する。
【0020】
また、図2は、本実施形態の冷凍食品用自動販売機の外観を示す図の一例である。この図には、冷凍食品用自動販売機(0201)、商品収納部(0202)と、解凍ツール収納部(0203)が図示されている。
<実施形態1:各部の構成>
<商品収納部の構成>
【0021】
ここで、再び、図1を参照する。
【0022】
「商品収納部」(0104)は、電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための機能を有する。
【0023】
すなわち、少なくとも、冷凍食品の収納領域は、冷凍保存のために冷凍機能を有している。
【0024】
また、図2に示すような商品購入ボタン(0204)が設けられており、日常時は、金銭投入を検知し、所定金額以上の投入がある場合に、利用者が商品購入ボタンを押すと、商品が排出され、商品取出口(0205)に落下移動するための機能を備える。利用者が商品購入ボタンを押した場合の商品の排出は、例えば、押されたボタンに応じた商品の一番先頭に並んだ商品だけが、電動で、商品の落下を防ぐための、つっかえをはずされることにより、落下するといった構成が考えられる。
【0025】
商品収納部に収納される商品は、冷凍食品のみに限られず、水やジュース、清涼飲料水などのドリンク類をも収納するための機能を有していてもよい。この場合は、災害等緊急時に、これらのドリンク類についても無料で取り出し可能とすれば、後述する発熱剤を反応させるための水分として利用することができるので、水道の断水などの場合にも冷凍食品を解凍することが可能となる。
<緊急信号取得部の構成>
【0026】
再び、図1を参照する。
【0027】
「緊急信号取得部」(0102)は、災害等緊急事態に応じ、外部から入力される緊急信号を取得する。緊急信号としては、例えば、商用電源の停電などが考えられる。すなわち、緊急信号取得部は、一定時間毎に商用電源からの給電部の電流量を測定し、これが一定値以上であるかを判定する構成を有しているといった具合であり、給電部の電流量が一定値以下となった場合、緊急信号が生成され、これが緊急信号取得部に取得される。あるいは、ラジオやテレビの緊急放送を受信して、これを緊急信号として取得するとの構成をとってもよい。または、マニュアル操作により、商品購入ボタンが暗証番号の入力を受け付ける機能を有しており、自動販売機の設置者や管理者が暗証番号を入力した場合に、緊急信号が生成され、これが緊急信号取得部に取得されることとしてもよい。取得された緊急信号は、緊急信号取得部から切換部へ送出される。
<切換部の構成>
【0028】
「切換部」(0103)は、緊急信号取得部が緊急信号を取得した場合に、金銭等の投入なしに商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とする。例えば、通常時に、非常用電源として用いるバッテリーに蓄電しておき、このバッテリーの電力を用いて、切換部を動かしたり、商品購入ボタンが押下された場合に、所定金額の投入がなくとも、商品を排出するために商品排出動作(排出されるべき商品について、つっかえをはずすモーターの駆動など)を行ったりする、といった具合である。これにより、災害等緊急時に停電等の事態が生じても、バッテリーの電力を利用できる間は、商品を取り出すことが可能となる。
【0029】
なお、このバッテリーの電力は、商品収納部の冷凍機能にも利用されて良いが、電力を消費しすぎると、商品排出動作に用いるべき電力が不足することとなる。したがって、商品収納部の冷凍機能には電力を利用しないか、または、利用する電力を制限する必要がある。この場合、商品収納部の、冷凍食品の収納領域の温度が上がり、冷凍食品が解凍される。解凍された冷凍食品は、しばらく経つと雑菌が繁殖するなどの問題が生じる。雑菌が繁殖するなどした冷凍食品は、非常用食料として利用しない方が好ましい。このため、例えば、切換部には、タイマーが備えられていて、一定時間経過後は、商品購入ボタンが押下されても、商品排出動作を行わないような構成にしてもよい。この場合は、停電などにより保存状態が悪化した食品が提供されることを防止できる。さらに、前述の電光掲示板に、冷凍食品の保存状態が悪化したため、非常用食料として利用できない旨の表示を行ってもよい。
<解凍ツール収納部の構成>
【0030】
「解凍ツール収納部」(0105)は、発熱剤ならびに容器本体(すなわち、解凍ツール)を収納するための機能を有する。
【0031】
発熱剤ならびに容器本体は、災害等緊急時に、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能である。
【0032】
「解凍」には、解凍された食品を加熱する場合を含む。
【0033】
図3A及び図3Bは、本実施形態の解凍ツールに収納される発熱剤ならびに容器本体を解凍する際に利用する様子を示す概念図の一例である。なお、この図には、実施形態2以降において説明される蓋(0301)や加熱用盛付皿(0302)も示されているが、これらは、本実施形態に必須の構成ではない。
【0034】
「発熱剤」(0304)は、水分と反応させることで発熱する。発熱剤としては、例えば、アルミニウムと酸化カルシウムを成分とする市販の発熱剤を用いることができる。なお、発熱剤を反応させるための水分は水に限定されず、ジュースや清涼飲料水などでもよい。
【0035】
「容器本体」(0303)は、発熱剤(0304)を水分(0305)とともに収容し冷凍食品を載置するための機能を有する。容器本体の素材としては例えば発泡スチロールが考えられるが、機能として水分を収容でき、発熱剤の熱による変形をおこさないように耐熱性を有することで足りる。その形状、大きさ等は特に限定されるものではなく、例えば、この図に示すように皿のようなものでもよい。あるいは、袋状又は箱状として、冷凍食品を内部に収容できるような形状であっても良い。この場合には、発熱剤の熱により熱せられた水分が水蒸気となって容器本体の内部に充満することになり、効率よく冷凍食品全体を加熱することができる。
【0036】
「載置」とは、発熱剤の反応熱により冷凍食品を解凍するために、熱の伝わる位置に冷凍食品を置くことをいう。例えば、発熱剤の上部に冷凍食品を置くこととしてもよい。あるいは、発熱剤の周囲に冷凍食品を置くこととしても良いし、反対に、冷凍食品が発熱剤によって取り囲まれるように置いてもよい。
【0037】
なお、解凍ツール収納部には、水分をも収納しておく構成としてもよい。災害等緊急時には、水道が断水し、発熱剤を反応させるための水分が手に入らない可能性があるからである。
【0038】
ここで、再び、図2を参照する。この図を用いて、解凍ツール収納部を設ける位置について説明する。
【0039】
解凍ツール収納部を設ける位置については、特に限定されない。この図に示すように、本実施形態の冷凍食品用自動販売機(0201)において、例えば、冷凍食品用自動販売機の上部に、解凍ツール収納部(0203)を設けることとしてもよい。あるいは、商品取出口(0205)の左右又は下部に、解凍ツール収納部を設けることとしてもよい。もちろん、解凍ツール収納部は1か所でも、複数か所でもよく、これら複数の位置に設けられていてもよい。
【0040】
さらに、本実施形態の冷凍食品用自動販売機には、電光掲示板(0206)を設けてもよい。この電光掲示板に、例えば、緊急情報取得部で緊急信号が取得された場合には、商品を無料で取り出し可能である旨の表示や、解凍ツール収納部の位置などを表示することとすることが考えられる。この場合、本実施形態の冷凍食品用自動販売機に収納されている冷凍食品が非常用食料として利用可能であることを、利用者に容易に伝えることができる。
<実施形態1:効果>
【0041】
本実施形態における冷凍食品用自動販売機により、冷凍食品を災害等緊急時において非常用食料として利用するために必要な、解凍するための手段を、冷凍食品とあわせて提供することができる。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0042】
本実施形態の冷凍食品自動販売機システムは、実施形態1の冷凍食品用自動販売機に収納される冷凍食品の容器が、周縁部に容器本体の水からの水蒸気を通すための通気孔を備える加熱用盛り付け皿と、前記水蒸気を盛り付けられる料理の周囲に充満させるための蓋とを有する点に、特徴を有する。
<実施形態2:全体の構成>
【0043】
本実施形態の冷凍食品自動販売機システムは、冷凍食品用自動販売機と、冷凍食品と、容器本体と、発熱剤と、からなる。
<実施形態2:各部の構成>
<冷凍食品用自動販売機の構成>
【0044】
「冷凍食品用自動販売機」は、実施形態1に記載のものである。本実施形態の冷凍食品用自動販売機については、実施形態1について述べたところと同様であるので、説明を省略する。
<冷凍食品の構成>
【0045】
「冷凍食品」は、この冷凍食品用自動販売機の商品収納部に収納される。
【0046】
図3に示すように、冷凍食品の容器は、加熱用盛付皿(0302)と、蓋(0301)と、を有する。
【0047】
図4は、本実施形態の加熱用盛付皿の平面図及び断面図の一例である。
【0048】
「加熱用盛付皿」(0401)は、電子レンジで加熱可能であって、電子レンジにそのまま入れて食品とともに加熱される。また、周縁部に容器本体の水からの水蒸気を通すための通気孔(0402)を備える。
【0049】
加熱用盛付皿の素材は、電子レンジで加熱可能であればよく、例えば、ポリプロピレンなどが考えられるが、これに限定されない。また、形状についても、この図のような八角形に限定されず、円形や他の多角形であってもよい。
【0050】
加熱用盛付皿には、後述する蓋を取り外す際に持つことのできる、つまみ(0403)がついていてもよい。この場合、加熱により、加熱用盛付皿が熱くなっても、蓋が取り外し易くなる。
【0051】
あるいは、加熱用盛付皿は、内側部分(0404)が、やや凸型となるように構成されていてもよい。この場合は、蒸気に触れる面積が増すと共に、凸部分に加熱された水蒸気が溜まるので、効率よく加熱用盛付皿に盛り付けられる料理を加熱することができる。
【0052】
また、加熱用盛付皿の周壁付近に、複数の溝(0405)を設けてもよい。この場合は、蒸気に触れる面積が増すので、効率よく加熱用盛付皿に盛り付けられる料理を加熱することができる。
【0053】
図5は、本実施形態の蓋の平面図及び断面図である。
【0054】
また、図6は、本実施形態の加熱用盛付皿に、この蓋をかぶせた様子を示す平面図及び断面図である。
【0055】
「蓋」(0601)は、加熱用盛付皿(0602)にかぶせて盛り付けられる料理を覆うことで、前記水蒸気を盛り付けられる料理の周囲に充満させるための機能を有する。蓋の素材は耐熱性を有するプラスチック等の塑性変形素材であってもよいし、金属であってもよい。
【0056】
ここで、再び図3A及び図3Bを参照する。この図を用いて、水蒸気を、盛り付けられる料理の周囲に充満させるための機能について説明する。
【0057】
この図に示すように蓋(0301)をかぶせた加熱用盛付皿(0302)を容器本体(0303)に載置すると、発熱剤(0304)により熱せられた水分(0305)が水蒸気となる。この水蒸気は、加熱用盛付皿と容器本体とによって囲まれた空間に充満すると共に、加熱用盛付皿の通気孔(0306)を通って、加熱用盛付皿と蓋によって囲まれた空間にも充満する。
【0058】
これにより、加熱用盛付皿に盛り付けられる料理は、加熱用盛付皿と容器本体とによって囲まれた空間に充満した蒸気と、加熱用盛付皿と蓋によって囲まれた空間に充満した蒸気の両方の蒸気により上下から加熱されることとなるので、加熱用盛付皿に盛り付けられる料理を効率よく加熱することができる。
<容器本体と発熱剤の構成>
【0059】
「容器本体」と、「発熱剤」とは、実施形態1に記載の冷凍食品用自動販売機の解凍ツール収納部に収納される。容器本体と発熱剤とについては、実施形態1について述べたところと同様であるので、説明を省略する。
<実施形態2:効果>
【0060】
本実施形態の冷凍食品自動販売機システムにより、冷凍食品を災害等緊急時において非常用食料として利用する際に、冷凍食品とあわせて提供される、解凍するための手段を、効率的よく加熱に利用することができる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0061】
本実施形態の緊急時冷凍食品供給システムの動作方法は、災害等緊急時に、無料で、冷凍食品とその解凍ツールを提供可能な構成である点に特徴を有する。これにより、日常時は、有料で販売されている冷凍食品を、災害等緊急時には、非常用食料として利用することが可能となる。
<実施形態3:全体の構成>
【0062】
図7A及び図7Bは、本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法のフロー図の一例である。
【0063】
本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法は、情報入力受付ステップ(S0701)と、切換ステップ(S0702)と、ロック解除ステップ(S0703)と、を有する。
【0064】
図8は、本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの概念図の一例である。この図に示すように、本実施形態の緊急時冷凍食品供給システムは、冷凍食品用自動販売機本体(0801)と、解凍ツール収納箱(0802、0803、0804)と、からなる。この図に示すように解凍ツール収納箱は、冷凍食品用自動販売機本体と一体であってもよいし、冷凍食品用自動販売機本体とは独立していてもよい。冷凍食品用自動販売機本体とは独立している場合というのは、例えば、解凍ツール収納箱(0803)を電子レンジ(0805)を置くための台などとして利用している場合や、解凍ツール収納箱(0804)を飲料の自動販売機(0806)の一部として設ける場合を含む。
【0065】
また、図9は、本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの概念図の他の一例である。この図に示すように、本実施形態の緊急時冷凍食品供給システムは、冷凍食品用自動販売機本体(0901)と、解凍ツール収納箱(0902)と、からなる。この図に示すように、解凍ツール収納箱は、自動販売機付近に設置されたゴミ箱の上部の空間を利用して、設けてもよい。ゴミ箱は、ゴミを入れるための入れ口(0903)と、ゴミをためるための袋(0904)が設けられていればよく、その上部に空間が空いているので、この部分を利用することで、新たなスペースを必要とせず、簡単に解凍ツール収納箱を設けることができる。あるいは、AED(自動体外式除細動器)を収納するための箱の上部の空間を利用して、解凍ツール収納箱を設けてもよい。
【0066】
もちろん、解凍ツール収納箱は1つでも、複数でもよいので、これらのいずれかでも、全部を組み合わせていてもよい。
<実施形態3:各部の構成>
<緊急時冷凍食品供給システム:冷凍食品用自動販売機本体の構成>
【0067】
再び図8を参照する。「冷凍食品用自動販売機本体」(0801)は、商品収納部(0807)及び切換部を備える。
【0068】
商品収納部は、電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための機能を有する。商品収納部については、実施形態1又は2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0069】
切換部は、災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、商品収納部に収納された冷凍食品の取出しを可能とする機能を有する。切換部については、実施形態1又は2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
<緊急時冷凍食品供給システム:解凍ツール収納箱の構成>
【0070】
「解凍ツール収納箱」(0802、0803、0804)は、発熱剤ならびに容器本体を収めている。発熱剤ならびに容器本体は、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能である。
【0071】
「発熱剤」は、水分と反応させることで発熱する。発熱剤については、実施形態1又は2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0072】
「容器本体」は、発熱剤を水分とともに収容し冷凍食品をその上に載置するための機能を有する。容器本体については、実施形態1又は2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0073】
解凍ツール収納箱は、日常時はロックされている。
【0074】
「ロックされている」とは、利用者が収納されている解凍ツールを無料で取り出すことを制限するための機構を備えていることをいう。冷凍食品を販売する際に提供される場合は、無料で取り出すことに含まれない。したがって、日常時においても、ロックが解除され、解凍ツールの提供が行われる場合はあり得る。
<情報入力受付ステップの構成>
【0075】
ここで、再び、図7Aを参照する。
【0076】
「情報入力受付ステップ」(S0701)は、緊急時であるとの情報の入力を受け付ける。すなわち、緊急時であるかを判定し、Yesであれば、切換ステップへ進む。緊急時であるとの情報(緊急信号)としては、例えば、商用電源の停電などが考えられる。すなわち、情報入力受付ステップは、一定時間毎に商用電源からの給電部の電流量を測定し、これが一定値以上であるかを判定する構成を有しているといった具合であり、給電部の電流量が一定値以下となった場合、緊急信号が生成され、これが情報入力受付ステップに取得される。あるいは、ラジオやテレビの緊急放送を受信して、これを緊急信号として取得するとの構成をとってもよい。または、マニュアル操作により、商品購入ボタンが暗証番号の入力を受け付ける機能を有しており、自動販売機の設置者や管理者が暗証番号を入力した場合に、緊急信号が生成され、これが情報入力受付ステップに取得されることとしてもよい。取得された緊急信号は、情報入力受付ステップから切換ステップへ送出される。
<切換ステップの構成>
【0077】
「切換ステップ」(S0702)は、情報入力受付ステップで情報を受け付けた場合に、所定の金額の投入がなくとも、商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とするための機能を有する。例えば、通常時に、非常用電源として用いるバッテリーに蓄電しておき、このバッテリーの電力を用いて、切換部を動かしたり、商品購入ボタンが押下された場合に、所定金額の投入がなくとも、商品を排出するために商品排出動作(排出されるべき商品について、つっかえをはずすモーターの駆動など)を行ったりする、といった具合である。これにより、災害等緊急時に停電等の事態が生じても、バッテリーの電力を利用できる間は、商品を取り出すことが可能となる。
【0078】
なお、切換ステップと、後述するロック解除ステップとは、順番が逆になっていてもよい。
<ロック解除ステップの構成>
【0079】
「ロック解除ステップ」(S0703)は、情報入力受付ステップで情報(すなわち、緊急信号)を受付けた場合に、解凍ツール収納箱のロックを解除する。
【0080】
ロック解除ステップの構成としては、情報入力受付ステップにおいて、緊急信号を受け付けた場合、特殊なコイン又は鍵が商品取出口に排出され、この特殊なコイン又は鍵が、解凍ツール収納箱のロックの解除に利用できるといった構成が考えられる。
【0081】
あるいは、解凍ツール収納箱に暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部を設けておき、情報入力受付ステップで緊急信号を受け付けた場合、解凍ツール収納箱のロックを解除するための暗証番号が、冷凍食品用自動販売機本体に備えられた電光掲示板に表示され、又は、冷凍食品用自動販売機本体から音声として出力される構成としてもよい。暗証番号が入力されると、例えば、電動でロックが解除される。
<付加的な構成>
【0082】
ここで、図7Bを参照する。
【0083】
本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法には、さらに、商品購入ボタンが押下されたかを判定する購入ボタン押下判定ステップ(S0704)、商品購入ボタンが押下された場合に商品を排出する商品排出ステップ(S0705)、緊急時であるとの情報の入力を受け付けてからの時間を計測し、一定時間が経過したかを判定し、一定時間が経過した場合には、商品購入ボタンが押下されても商品が排出されないようにするための時間計測ステップ(S0706)をさらにくわえても良い。
【0084】
この場合は、災害等緊急時に、停電がおこり、商品が冷やされなくなった場合にも、一定時間が経過した場合には、冷凍食品の排出を停止することが可能となるので、停電などにより保存状態が悪化した食品が提供されることを防止できる。すなわち、災害等緊急時に、停電が起こると、商品収納部の、冷凍食品の収納領域の温度が上がり、冷凍食品が解凍される。解凍された冷凍食品は、しばらく経つと雑菌が繁殖するなどの問題が生じる。雑菌が繁殖するなどした冷凍食品は、非常用食料として利用しない方が好ましい。そこで、前記のような付加的な構成により、一定時間経過後は、商品購入ボタンが押下されても、商品排出動作を行わないような構成にしてもよい。
【0085】
さらに、図8に示す電光掲示板(0808)に、冷凍食品の保存状態が悪化したため、非常用食料として利用できない旨の表示を行ってもよい
<実施形態3:効果>
【0086】
本実施形態における緊急時冷凍食品供給システムの動作方法により、冷凍食品を災害等緊急時において非常用食料として利用するために必要な、解凍するための手段を、冷凍食品とあわせて提供することができる。
【符号の説明】
【0087】
冷凍食品用自動販売機 0101、0201
商品収納部 0104、0202、0807
緊急信号取得部 0102、
切換部 0103
解凍ツール収納部 0105、0203
商品購入ボタン 0204
商品取出口 0205
電光掲示板 0206、0808
蓋 0301、0601
加熱用盛付皿 0302、0401、0602
容器本体 0303
発熱剤 0304
水分 0305
通気孔 0306、0402
つまみ 0403
加熱用盛付皿の内側部分 0404
加熱用盛付皿の周壁付近の溝 0405
情報入力受付ステップ S0701
切換ステップ S0702
ロック解除ステップ S0703
購入ボタン押下判定ステップ S0704
商品排出ステップ S0705
時間計測ステップ S0706
冷凍食品用自動販売機本体 0801、0901
解凍ツール収納箱 0802、0803、0804、0902
電子レンジ 0805
飲料の自動販売機 0806
ゴミを入れるための入れ口 0903
ゴミをためるための袋 0904

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための商品収納部と、
災害等緊急事態に応じ、外部から入力される緊急信号を取得する緊急信号取得部と、
緊急信号取得部が緊急信号を取得した場合に、金銭等の投入なしに商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とする切換部と、
災害等緊急時に、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能な、水分と反応させることで発熱する発熱剤、ならびに、発熱剤を水分とともに収容し冷凍食品を載置するための容器本体、を収納するための解凍ツール収納部と、
を有する冷凍食品用自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍食品用自動販売機と、
この冷凍食品用自動販売機の商品収納部に収納される冷凍食品であって、
冷凍食品の容器は、
電子レンジにそのまま入れて食品とともに加熱され周縁部に容器本体の水からの水蒸気を通すための通気孔を備える電子レンジで加熱可能な加熱用盛付皿と、
加熱用盛り付け皿にかぶせて盛り付けられる料理を覆うことで、前記水蒸気を盛り付けられる料理の周囲に充満させるための蓋と、を有する冷凍食品と、
請求項1に記載の冷凍食品用自動販売機の解凍ツール収納部に収納される容器本体と、発熱剤と、からなる冷凍食品自動販売機システム。
【請求項3】
災害等緊急時に、所定の金額の投入がなくとも、電子レンジで解凍可能な冷凍食品を販売のために収納するための商品収納部に収納された冷凍食品の取出しを可能とする切換部を備えた冷凍食品用自動販売機本体と、
災害等緊急時に、切換部の動作によって商品収納部から取り出された冷凍食品を電気を用いずに解凍する際に利用可能な、水分と反応させることで発熱する発熱剤、ならびに、発熱剤を水分とともに収容し冷凍食品をその上に載置するための容器本体、を収め、日常時はロックされた解凍ツール収納箱と、からなる緊急時冷凍食品供給システムの動作方法であって、
緊急時であるとの情報の入力を受け付ける情報入力受付ステップ
情報入力受付ステップで情報を受け付けた場合に、所定の金額の投入がなくとも、商品収納部から冷凍食品の取り出しを可能とするための切換ステップと、
情報入力受付ステップで情報を受付けた場合に、解凍ツール収納箱のロックを解除するロック解除ステップと、
を有する緊急時冷凍食品供給システムの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−215801(P2011−215801A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82573(P2010−82573)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(507422884)株式会社 キュイジーヌ・ラボ (8)
【Fターム(参考)】