説明

緊急用貯水装置

【課題】容量の大きな貯水槽であっても沈殿物の排出効率を向上させることができ、しかも貯水槽内を清掃したり、沈殿物を排出するメンテナンスをほとんど必要としない緊急用貯水装置を提供する。
【解決手段】給水管13を貯水槽12の下部に接続すると共に、送水管14,15を貯水槽12の上下部に接続し、送水管14,15のうち上側送水管14の他端部を、飲料用として使用する頻度の高い給水設備に接続し、送水管14,15のうち下側送水管15の他端部を、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続すると共に、下側送水管15の一端部は、貯水槽12内の沈殿物を排出し易い様に貯水槽12の底壁12d近傍に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害時の飲料水確保のために、住宅敷地等の地下に埋設される緊急用貯水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の緊急用貯水装置にあっては、図12に示されるように、貯水槽1の底壁2近傍の上手側鏡板3に、上水道管4に連なった給水管5を接続すると共に、下手側鏡板6の上部に送水管7を接続し、通常は貯水槽1を水道管の一部として機能させ、日常の生活用水の使用により貯水槽1内の水を新鮮な水に入れ替えるようになっている。そして、断水時には、貯水槽1内に蓄えられた水を蓋体8に設けた汲み上げ口9から汲み取って使用できるように構成されていた(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記した従来の緊急用貯水装置にあっては、次のような問題がある。すなわち、家族の人数に対応させるため容量の大きな貯水槽(例えば、約400〜500リットル)が用いられる場合には、貯水槽1のなかで水の澱みが生じ、貯水槽1内で雑菌が発生したり、水道水中に含まれる不純物が蓄積する虞がある。貯水槽1内で雑菌が発生したり不純物が蓄積すると、災害時ばかりでなく日常の生活用水の使用にも支障を来してしまう。
そこで、給水管5の開口管端部から噴出する水を、貯水槽1の内周壁に沿って螺旋状に流すことによって貯水槽1内の水を攪拌して、水の澱みを防止することが提案されている。ところが、このような方法によると、水より比重の大きな不純物を十分に排出することは難しく、水より比重の大きな不純物は、長期の使用で貯水槽1内に沈殿物として蓄積してしまうという問題があった。
そして、沈殿物が過度に蓄積すると貯水槽1内の水質を悪化させてしまうため、点検口10から定期的に貯水槽1内を清掃したり、ドレイン孔を設けて沈殿物を排出する必要があり、メンテナンス上の煩わしさがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−238820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、容量の大きな貯水槽であっても沈殿物の排出効率を向上させることができ、しかも貯水槽内を清掃したり、沈殿物を排出するメンテナンスをほとんど必要としない緊急用貯水装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明は、貯水槽の上手側に給水管を配管し、前記給水管を上水道管に接続して前記貯水槽に水を供給すると共に、前記貯水槽の下手側に送水管を配管し、前記貯水槽内に常に満水状態に保持すべく構成し、前記送水管に接続される給水設備によって給水可能とされ、断水時には前記貯水槽内の水を汲出し可能とした緊急用貯水装置において、
前記給水管を前記貯水槽の下部に接続すると共に、前記送水管を前記貯水槽の上下部に接続し、前記送水管のうち上側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の高い給水設備に接続し、前記送水管のうち下側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続すると共に、前記下側送水管の一端部は、前記貯水槽内の沈殿物を排出し易い様に前記貯水槽底壁近傍に接続されていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、飲料用として使用される頻度の高い給水設備、例えば、台所、風呂等飲料用の蛇口等の栓を開けると、貯水槽の上壁付近から上澄みの水が上側送水管を介して飲料用として使用される頻度の高い給水設備に給水される。一方、飲料用として使用される頻度の低い給水設備、例えばトイレ、屋外散水用等の蛇口等の栓を開けると、貯水槽の底壁に溜まった水が下側送水管を介して飲料用として使用される頻度の低い給水設備に給水される。これにより、必要に応じて給水設備の栓を開くと通常どおり水を使用することができると共に、このとき使用した水の量に応じて給水管から水が給水されるので、貯水槽内の水位は自動的に満水状態に保持される。さらには、水道水中に僅かに含まれる水より比重が大きく、貯水槽の底壁に蓄積する沈殿物は、トイレ、屋外散水用等の給水設備を使用する度に下側送水管より排出される。こうした給水設備は日常的に利用されるので、貯水槽内の水は常に新鮮で清浄な状態を保つことができる。しかも、下側送水管より供給される水は、飲料用として使用されることは殆どないので、水の味が多少劣っても影響はない。さらには、台所、風呂等飲料用として使用する頻度の高い給水設備は、上側送水管に接続されているので、沈殿物を殆ど含まない上澄みの水、つまり良質で美味な水を提供することができる。
また、貯水槽内に日常的に、新鮮で沈殿物を殆ど含まない水が蓄えられるので、断水が長引いても、長期に亘って衛生状態の良好な水を確保することが可能となる。
【0008】
上記目的を達成するため第2の発明は、第1の発明において、前記給水管を分岐して前記貯水槽の上下部に接続すると共に、前記上側送水管に接続される給水設備と前記下側送水管に接続される給水設備との使用水量に応じて、前記給水管の上側給水管或いは下側給水管のうち何れか一方から前記貯水槽へ給水可能とする給水切換装置を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため第3の発明は、第2の発明において、前記給水切換装置は、前記上側給水管と前記下側給水管とが接続されると共に、前記上側送水管又は及び前記下側送水管からの接続細管が接続され、前記上側送水管又は及び前記下側送水管の圧力変化に応じて機械式に前記上側給水管或いは前記下側給水管の切り換えを行うことを特徴とする。
【0010】
第2、第3の発明によれば、上側送水管に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、上側送水管の水圧が低下し、上側送水管と下側送水管の圧力差の変化が接続細管を介して給水切換装置に伝達され、上水道管と下側給水管とを連通させるので、貯水槽の上壁付近から上澄みの水が上側送水管を介して飲料用として使用される頻度の高い給水設備に給水される。また、下側送水管に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、下側送水管の水圧が低下し、上側送水管と下側送水管の圧力差の変化が接続細管を介して給水切換装置に伝達され、上水道管と上側給水管とを連通させるので、貯水槽の底壁付近に溜まった水が沈殿物と一緒に下側送水管を介して飲料用として使用される頻度の低い給水設備に給水される。これにより、第1の発明の作用効果に加えて、給水状況に応じて貯水槽内の水の流れを制御できるようになると共に、下側送水管からの沈殿物の積極的な排出及び上側送水管からの清浄な飲料用水の給水を自動的、且つ効率的に行うことができるようになる。従って、第1の発明よりも、さらに沈殿物を含まない良質で美味な水を給水設備に向かって日常的に給水することが可能となるうえに、貯水槽内に新鮮で沈殿物を殆ど含まない水を日常的に蓄えることができるようになる。
特に、第3の発明によれば、給水切換装置が上側送水管又は及び下側送水管の圧力変化に応じて機械的に自動切換を行うので、停電時であっても給水切換装置は作動可能であり、断水にならない限り給水切換機能を維持させることができる。また、電機系を必要としないので、給水切換装置の保守を容易化することができると共に、電力がかからずローコストに構成することができる。
【0011】
上記目的を達成するため第4の発明は、第2又第3の発明において、前記上側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記貯水槽内を上手側から下手側に向かって螺旋状に流れるように前記下側給水管から給水し、前記下側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく排出するように前記上側給水管から給水することを特徴とする。
【0012】
第4の発明によれば、上側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、貯水槽内の内壁に沿って螺旋状に流れるように貯水槽内に給水される。これにより、貯水槽内の水が常に攪拌されて澱むのを防止することができる。また、下側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく排出するように上側給水管から貯水槽内に給水される。これにより、第2又は第3の発明の作用効果に加えて、貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく、より効率的に排出することができるようになる。
【0013】
上記目的を達成するため第5の発明は、第2又は第3の発明において、前記貯水槽内に、前記上側給水管からの給水方向と前記下側給水管からの給水方向とを維持させる仕切部材を配設すると共に、前記上側送水管に接続される給水設備のみ送水する場合には、前記上側給水管から給水し、前記下側送水管に接続される給水設備のみ送水する場合には、前記貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく排出するように前記下側給水管から給水することを特徴とする。
【0014】
第5の発明によれば、上側給水管から噴出された水は、仕切部材によって貯水槽の上手側から下手側にほぼ直進するように流れる。また、下側給水管から噴出された水も、仕切部材によって貯水槽の上手側から下手側にほぼ直進するように流れる。これにより、第2又は第3の発明の作用効果に加えて、貯水槽の上手側から下手側に水が流れても、貯水槽の底壁に溜まった沈殿物の拡散が防止されるので、上側送水管から給水設備に供給される水には沈殿物が殆ど含まれず、下側送水管からより効率的に沈殿物を排出することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の緊急用貯水装置によれば、給水管を貯水槽の下部に接続すると共に、送水管を貯水槽の上下部に接続し、送水管のうち上側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の高い給水設備に接続し、送水管のうち下側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続すると共に、下側送水管の一端部は、貯水槽内の沈殿物を排出し易い様に貯水槽底壁近傍に接続した。
これにより、台所、風呂等飲料用等の飲料用として使用される頻度の高い給水設備、蛇口等の栓を開けると、貯水槽からオーバーフローした上澄みの水が上側送水管を介して飲料用として使用される頻度の高い給水設備に給水される一方で、トイレ、屋外散水用等の飲料用として使用される頻度の低い給水設備の蛇口等の栓を開けると、貯水槽の底壁に溜まった水が下側送水管を介して飲料用として使用される頻度の低い給水設備に給水されるので、水道水中に僅かに含まれる水より比重が大きく、貯水槽の底壁に蓄積する沈殿物は、トイレ、屋外散水用等の給水設備を使用する度に下側送水管より排出される。こうした給水設備は日常的に利用されるので、貯水槽内の水は常に新鮮で清浄な状態を保つことができるようになる。しかも、下側送水管より供給される水は、飲料用として使用されることは殆どないので、水の味が多少劣っても影響はない。さらには、台所、風呂等飲料用として使用する頻度の高い給水設備は、上側送水管に接続されているので、沈殿物を殆ど含まない上澄みの水、つまり良質で美味な水を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図、図2は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【0017】
図1,2に示されるように、本緊急用貯水装置11は、災害時の生活用水が常に確保できるように住宅敷地等の地下に埋設されるものであって、貯水槽12、給水管13、上側送水管14及び下側送水管15とを備えて構成されている。
【0018】
詳述すると、貯水槽12は、本体部12aが横置き円筒状に形成されており、その長手方向の中央部上面には、上方に開口した点検口16を有する円筒状の立ち上げ部12bが一体的に形成されている。さらに、この貯水槽12は、通常は水道管の一部として機能する強度、耐久性等が付与されていると共に、軽量且つ防錆性に優れた材質(例えばステンレス鋼板)が用いられている。
なお、本実施形態に係る貯水槽の容量は、約400〜500リットルの大きさとされているが、これに限定されるものではない。
【0019】
点検口16の上側には蓋体17が載置されていると共に、この蓋体17は複数の止めボルト(図示せず)によって点検口16に着脱自在に取り付け固定されている。そして、これら複数の止めボルトを取り外すことにより、蓋体17を開けて貯水槽12内を容易に点検、清掃できようになっている。また、蓋体17には、貯水槽12内のエアを抜くためのエア抜き口(図示せず)と、汲み上げポンプ等を用いて貯水槽内の水を汲み上げるための汲み上げ口(図示せず)とが設けられており、これらエア抜き口及び汲み上げ口には、それぞれ開閉用のキャップ18,19が冠着されている。
【0020】
貯水槽12の上手側には、貯水槽12内部に水を供給する給水管13が配管されている。この給水管13の一端部は、道路等に埋設された上水道管20に図示しない逆止弁を介して接続されている。また、給水管13の他端部、つまり開口管端部は、本体部12aの上手側の鏡板12cの下部を貫通した状態で、貯水槽12内の底壁12d近傍に位置するように配管されている。さらに、給水管13の開口管端部は、貯水槽12の本体部12aの内壁に臨むように側方に向けられ、且つ僅かに前方、つまり貯水槽12内の下手側の鏡板12eに向けられている。これにより、上水道管20からの水が、その水圧により逆止弁を経て貯水槽12内に流入すると共に、給水管13の開口管端部から噴出された水は、図2に示されるように、貯水槽12の内壁に沿って上手側から下手側に向かって螺旋状に流れるようになっている。
【0021】
一方、貯水槽12の下手側には、貯水槽12内の水を給水設備(図示せず)に送水する2本の送水管、つまり上側送水管14及び下側送水管15が上下方向に離間した状態で配管されている。上側送水管14の一端部は、本体部12aの上壁12f(図2に図示)近傍とされる位置、つまりこの実施形態にあっては本体部12aの下手側の鏡板12eの上部に接続されている。また、この上側送水管14の他端部は、家屋内の台所や風呂場等、飲料用として使用される頻度の高い給水設備に接続されている。
【0022】
これに対し、下側送水管15の一端部は、本体部12aの下手側の鏡板12e近傍の底壁12dに接続されている。また、この下側送水管15の他端部は、トイレや屋外散水用等、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続されている。
なお、下側送水管15の一端部は、本体部12aの底壁12dに接続される構成にのみ限定されるものではなく、例えば、下手側の鏡板12eの最下部に接続することが可能である。
【0023】
かかる構成によれば、上水道管20からの水は、逆止弁を介して給水管13から貯水槽12の本体部12a内に流入し、水位が本体部12aの上壁12fに達しようとすると、上側送水管14から流出しようするが、上側及び下側送水管14,15に接続された給水設備の蛇口等の栓を閉じておくことによって、給水管13からの水の流入が停止した状態となっている。そして、飲料用として使用される頻度の高い給水設備の蛇口等の栓を開けると、本体部12aからオーバーフローした水が上側送水管14を介して飲料用として使用される頻度の高い給水設備に給水される。一方、飲料用として使用される頻度の低い給水設備の蛇口等の栓を開けると、本体部12aの底壁12dに溜まった水が下側送水管15を介して飲料用として使用される頻度の低い給水設備に給水される。このように、必要に応じて給水設備の栓を開くと通常どおり水を使用することができると共に、このとき使用した水の量に応じて給水管13から水が給水されるので、貯水槽12内の水位は自動的に満水状態に保持される。しかも、貯水槽12内に供給される水は給水管13の開口管端部から噴出して貯水槽12内の内壁に沿って螺旋状に流れるので、貯水槽12内の水は常に攪拌されるので澱むようなことはない。
【0024】
また、水道水中に僅かに含まれる水より比重が大きく、貯水槽12の底に蓄積する沈殿物は、トイレ、屋外散水用等の給水設備を使用する度に下側送水管15より排出される。こうした給水設備は日常的に利用されるので、貯水槽12内の水は常に新鮮で清浄な状態が保たれる。また、下側送水管15より供給される水は、飲料用として使用されることは殆どないので、水の味が多少劣っても影響はない。さらには、台所、風呂等飲料用として使用する頻度の高い給水設備は、上側送水管14に接続されているので、沈殿物を殆ど含まない上澄みの水、つまり良質で美味な水を提供することができる。
【0025】
そして、災害時によって水道が断水した状態にあっては、上水道管20の水圧の低下に伴って逆止弁が作動し、水が貯水槽12から上水道管20側に向かって逆流するのを阻止するので、貯水槽12を満水状態のまま保持することができる。従って、蓋体17に設けた汲み上げ口から、貯水槽12内に貯留されている水を手動ポンプ等で自由に汲み出して、飲料水、生活用水として使用することができる。このように、本実施形態によれば、日常的に新鮮で沈殿物を殆ど含まない水が蓄えられているので、断水が長引いても、長期に亘って衛生状態の良好な水を確保することができるようになる。
【0026】
次に、第2の実施形態について図3〜6を用いて詳細に説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図、図4は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図、図5は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図、図6(a)は、同例における給水切換装置の内部構造を示した断面図、(b)は、給水切換装置の一動作状態を示した断面図、(c)は、(b)とは異なる給水切換装置の動作状態を示した断面図である。
【0027】
第2の実施形態における緊急用貯水装置110にあっては、第1の実施形態における緊急用貯水装置11の構成に対し、立ち上げ部12b、上側及び下側送水管14,15がほぼ同一の構成部材として備えられており、これらの説明はここでは省略するものとする。
【0028】
図3〜5に示されるように、第2の実施形態に係る緊急用貯水装置110における貯水槽12と上水道管20との間には、貯水槽12に水を供給するように上水道管20に接続されると共に管路途中で二叉に分岐された給水管21が配管されている。二叉に分岐された給水管21は、貯水槽12の上手側の鏡板12cに上下方向に離間した状態で、貯水槽の鏡板12cの底壁12d近傍位置には下側給水管21a、貯水槽の鏡板12cの上壁12f近傍位置には上側給水管21bがそれぞれ接続されている。
【0029】
下側給水管21aの開口管端部は、図4,5に示されるように、鏡板12cの下部を貫通した状態で、貯水槽12内の底壁12d近傍に位置するように配管されている。さらに、この下側給水管21aの開口管端部は、本体部12aの内壁に臨むように側方に向けられ、且つ僅かに前方、つまり下手側の鏡板12eに向けられている。これにより、下側給水管21aの開口管端部から噴出された水は、貯水槽12の内壁に沿って上手側から下手側に向かって螺旋状に流れるようになっている。
【0030】
さらに、この貯水槽12の底壁12dには、下側給水管21aの開口管端部の下方側において上手側から下手側、好ましくは、下側送水管15に向けて緩やかなスロープ12d1が一体的に形成されており、貯水槽12の底壁12dに溜まる沈殿物を下手側に集積し易い構造となっており、小孔21b1が無数に設けられることで流量が確保される。
【0031】
一方、上側給水管21bの開口管端部は、上手側の鏡板12cの上部を貫通した状態で、下手側の鏡板12eに近接するように延設されている。さらに、貯水槽12内における上側給水管21bには、管内から管外に向けて水を排出可能とする無数の小孔21b1が開口形成されている。これら小孔21b1は、管内の水を下向きに緩やかに拡散させて貯水槽12内の水を攪拌しないような径状に設定されている。
【0032】
さらに、この上側給水管21bは、下側給水管21aから噴出される水が本体部12a内を螺旋状に流れる際に抵抗とならない程度の管径を有している。これにより、上側給水管21bから給水される水は、底壁12dに堆積した沈殿物を強く攪拌することなく本体部12a内に流入する。そして、底壁12dに堆積した沈殿物は、スロープ12d1を伝って下手側に効率的に集積されたのち下側送水管15から排出されるようになっている。
【0033】
なお、貯水槽12内における上側給水管21bは、本体部12aの上壁12fから図示しない支持部材を介して吊設されているが、このような支持部材を省略することも可能である。また、支持部材を配設する場合には、本体部12a内を螺旋状に流れる水の抵抗とならないような形状、配置場所にするのが望ましい。
【0034】
そして、これら上側給水管21bと下側給水管21aとの分岐部には、図3に示されるように、給水切換装置22が設けられている。この給水切換装置22には、図示しない逆止弁が備えられており、この逆止弁を介して給水切換装置22と上水道管20とが接続されている。そして、上水道管20からの水が、その水圧によって逆止弁を通過して貯水槽12に流入するようになっている。
【0035】
この給水切換装置22には、上側送水管14に連なった接続細管23と、下側送水管15に連なった接続細管24とが接続されており、これら接続細管23,24を介して伝達される水圧に応じて、上水道管20からの水を上側給水管21b、下側給水管21aのうち何れか一方を選択して給水するように構成されている。なお、第1の実施形態と同様に、上側送水管14は、家屋内の台所や風呂場等、飲料用として使用される頻度の高い給水設備、下側送水管15はトイレや屋外散水用等、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続されている。
【0036】
給水切換装置22の一例について説明する。給水切換装置22は、図6(a)に示されるように、筒状の本体部22aと、本体部22aの長手方向に向かって進退移動する筒状の可動体としての切換通路部22bと、本体部22aと切換通路部22bの上下両端部との間に形成された第1及び第2調圧室22c,22d内にそれぞれ配設された一対の付勢部材としてのバネ部材22e,22fと、を備えて構成されている。
【0037】
本体部22aの上手側の側面部には、給水管21或いは上水道管20用の接続口22a1が開口形成されている。また、下手側の側面部には、上側給水管21b用の接続口22a2と下側給水管21a用の接続口と22a3が上下に離間した状態でそれぞれ開口形成されている。また、本体部22aの上面部には、上側接続細管用の接続口22a4が形成されていると共に、下面部には、下側接続細管用の接続口22a5が形成されている。そして、上側細管接続口22a4には、下側送水管15に連なった接続細管24が接続されていると共に、下側細管接続口22a5には、上側送水管14に連なった接続細管23が接続されている。
【0038】
切換通路部22bの上手側の側面部には、上下に離れた2つの開口部22b1,22b2が形成されている。これらの開口部22b1,22b2は、給水管21或いは上水道管20とほぼ同径の孔径を有している。そして、図6(b),(c)に示されるように、切換通路部22bが長手方向に移動して本体部22の端部に当接すると、開口部22b1(或いは開口部22b2)と給水管21との位置がほぼ一致するようになっている。
【0039】
これに対し、切換通路部22bの下手側の側面中央部には、開口部22b3が形成されている。この開口部22b3は、上側給水管21b或いは下側給水管21aとほぼ同径の孔径を有している。そして、図6(b)に示されるように、切換通路部22bが移動して本体部22aの下部に当接すると、開口部22b3と下側給水管21aとが連通する。また、図6(c)に示されるように、切換通路部22bが移動して本体部22aの上部に当接すると、開口部22b3と上側給水管21bとが連通する。
【0040】
また、切換通路部22bの上面部及び下面部には、接続細管23,24への水の流量を調節するための流量調節孔22b4が複数設けられており、切換通路部22bが2つの給水管21a,21bのうち一方に切り換わることで、流量調節孔22b4の一部が塞がれることによって接続細管23,24から送水管14,15へ供給される水量を制限する構造となっている。なお、この実施形態にあっては、給水切換装置22を安定的に機能させるため、流量調整孔22b4のうちの一部は常に送水管14,15と連通させてある。
【0041】
バネ部材22e,22fは、切換通路部22bを上下方向から挟むように付勢するものである。このバネ部材22e,22fの付勢力は、上側及び下側送水管14,15に接続された給水設備の全ての蛇口等の栓が閉じられた状態にあっては、接続細管23,24と接続細管との圧力差が基準(この場合、圧力差は0)となり、図6(a)に示されるように、切換通路部22bが本体部22aのほぼ中央位置に位置するように設定されている。なお、この状態にあっては、切換通路部22bは、上側給水管21b或いは下側給水管22aのいずれとも連通していない。
【0042】
また、バネ部材22e,22fの付勢力は、上側送水管14に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、上側送水管14の水圧が低下することによって、接続細管23を介し第2調圧室22dの圧力が低下し、図6(b)に示されるように、下側のバネ部材22fの付勢力に抗って切換通路部22bが下方移動して本体部22aの下面部に当接するように設定されている。そして、この状態にあっては、切換通路部22bは、上水道管20と下側給水管21aとを連通させるように機能する。
【0043】
さらにまた、バネ部材22e,22fの付勢力は、下側送水管15に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、下側送水管15の水圧が低下することによって、接続細管24を介し第1調圧室22cの圧力が低下し、図6(c)に示されるように、上側のバネ部材22eの付勢力抗って切換通路部22bが上方移動して本体部22aの上面部に当接するように設定されている。そして、この状態にあっては、切換通路部22bは、上水道管20と上側給水管21bとを連通させるように機能する。
【0044】
すなわち、この第2の実施形態にあっては、上側送水管14に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、上側送水管14の水圧が低下することによって、上水道管20からの水が給水切換装置22及び接続細管24を介して上側送水管14に少量流入する。この状態にあっては、上側送水管14と下側送水管15の圧力差の変化が接続細管23,24を介して給水切換装置22に伝達され、切換通路部22bは、図6(b)に示されるように、上水道管20と下側給水管21aとを連通させる。これにより、下側給水管21aより給水され、本体部12aからオーバーフローした水が上側送水管14を介して飲料用として使用される頻度の高い給水設備に給水される。さらに、貯水槽12内に給水される水は、図4に示されるように、下側給水管21aの開口管端部から噴出して貯水槽内の内壁に沿って螺旋状に流れるので、貯水槽12内の水は常に攪拌されて澱むのが防止される。
【0045】
また、下側送水管15に接続された給水設備の栓が開かれた状態にあっては、下側送水管15の水圧が低下することによって、上水道管20からの水が給水切換装置22及び接続細管23を介して下側送水管15に少量流入する。この状態にあっては、上側送水管14と下側送水管15の圧力差の変化が接続細管23,24を介して給水切換装置22に伝達され、切換通路部22bは、図6(c)に示されるように、上水道管20と上側給水管21bとを連通させる。これにより、上側給水管21bより給水され、本体部12aの底壁12d付近に溜まった水が沈殿物と一緒に下側送水管15を介して飲料用として使用される頻度の低い給水設備に給水される。さらに、貯水槽12内に給水される水は、図5に示されるように、上側給水管21bの管端部や小孔21b1から噴出して貯水槽12内部の水を攪拌しないように流れるので、スロープ12d1と相まって沈殿物の排出がより一層円滑になされるようになる。
【0046】
このように、給水切換装置22は、上側送水管14と下側送水管15とに接続された給水設備の使用状況に応じて、自動的に給水管21a,21bの流路を切り換えるようになっており、貯水槽12内に沈殿物が溜まりにくいようになっているだけでなく、沈殿物を速やかに貯水槽12外に排出するようになっている。
これらの結果、給水状況に応じて貯水槽12内の水の流れを制御できるようになると共に、下側送水管15からの沈殿物の積極的な排出及び上側送水管14からの清浄な飲料用水の給水を自動的、且つ効率的に行うことができるようになる。従って、第1の実施形態に比較すると、さらに沈殿物を含まない良質で美味な水を給水設備に向かって日常的に給水することが可能となるうえに、貯水槽12内に新鮮で沈殿物を殆ど含まない水を日常的に蓄えることができるようになる。
さらにまた、給水切換装置22は、上側送水管14又は及び下側送水管15の圧力変化に応じて機械的に自動切換を行うので、停電時であっても給水切換装置22は作動可能であり、断水にならない限り給水切換機能を維持させることができる。また、電機系を必要としないので、給水切換装置22の保守を容易化することができると共に、電力がかからずローコストに構成することができる。
【0047】
なお、接続細管23,24は、上側給水管21b、下側給水管21aや上側及び下側送水管14,15に比べて十分に細く、上側及び下側送水管14,15の圧力差の変化を給水切換装置22に十分に伝達できる管径で構成されている。このため、接続細管23,24から給水設備へ供給される水の流量は、給水設備で使用されるうちのごく一部である。
【0048】
また、この第2の実施形態にあっては、接続細管23,24を給水切換装置22の上下方向から接続するように構成したが、これに限定されるものではなく、接続細管23,24を給水切換装置22のほぼ水平方向から接続するように構成することができる。そのようにすることで、止水時にあっては、上側送水管14と下側送水管15とからの接続細管23,24を介して伝達される圧力が、給水切換装置22においてほぼ等しくなり、切換通路部22bを駆動させるバネ部材22e,22fの設計が容易となる。
これらの結果、第1の実施形態と比較すると、第2の実施形態に係る緊急用貯水装置110は、さらに沈殿物を含まない良質で美味な水を提供することができる。
【0049】
なお、第2の実施形態の一変形例として、図7,8に示したような構成が挙げられる。図7は、第2の実施形態の一変形例を示した側面図、図8(a)は、同例における給水切換装置の断面図、(b)は、同例における給水切換装置の動作を示した断面図である。
【0050】
この緊急用貯水装置111によると、給水切換装置220は、通常時は上水道管20と下側給水管21aとを連通させており、下側送水管15に接続される給水設備の使用状況に応じて、上水道管20と上側給水管21bに切替えて連通させるように構成されている。
【0051】
具体的には、給水切換装置220は、図8(a)に示されるように、回動支点221により回動可能に支持された切換板222を、通常時は押しバネ223及び押圧部材224により押しつけることによって、上側給水管21bを塞いで上水道管20と下側給水管21aとが連通状態となるように機能する。そして、下側送水管15に接続された給水設備での使用水量が多くなると、図8(b)に示されるように、接続細管24を介して切換板222に力が加わり、切換板222が接続細管24側に引き込まれることによって、下側給水管21aを塞いで上水道管20と上側給水管21bとが連通する。このように構成することで、第2の実施形態とほぼ同等の機能を発揮しながらも、第2の実施形態よりも部品点数を削減することが可能となる。
【0052】
次に、第3の実施形態について図9〜11を用いて説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図、図10(a)は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図、(b)は、(a)中のA−A矢視断面図、図11は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【0053】
この第3の実施形態による緊急用貯水装置112にあっては、第2の実施形態における緊急用貯水装置110の構成に対し、立ち上げ部12b、上側及び下側送水管14,15がほぼ同一の構成部材として備えられており、これらの説明はここでも省略するものとする。
【0054】
緊急用貯水装置112の貯水槽12の上手側には、図9に示されるように、貯水槽12に水を供給する給水管21が配管されており、貯水槽12の底壁12d近傍には下側給水管21a、上壁12f近傍には上側給水管21bがそれぞれ接続されている。これら上側給水管21bと下側給水管21aとは、第2の実施形態と同様に、給水切換装置22から分岐されているものであって、給水切換装置の上手側には、道路等に埋設された上水道管が接続されている。そして、上水道管からの水が、その水圧により貯水槽内に流入するように構成されている。
【0055】
給水切換装置22は、第2の実施形態において用いられた給水切換装置(図6に図示)とほぼ同様の装置が用いられている。
そして、この第3の実施形態にあっては、図9に示されるように、上側細管接続口22a4と上側送水管14とが接続細管23を介して接続されていると共に、下側細管接続口22a5と下側送水管15とが接続細管24を介して接続されている。これにより、上側送水管14に接続された給水設備の栓が開かれると上側給水管21bから貯水槽12内に給水され、下側送水管15に接続された給水設備の栓が開かれると下側給水管21aから貯水槽12内に給水されるようになっている。
【0056】
下側給水管21aの開口管端部は、図10(a),11に示されるように、下手側の鏡板12eに向けてほぼ真っ直ぐ前方を向くように配設されており、第2の実施形態に示した下側給水管21aの開口管端部の構成、すなわち、開口管端部が貯水槽12の本体部12aの内壁に臨むように側方に向けられ、且つ僅かに前方に向けられた構成、とは異なっている。
【0057】
また、貯水槽12内の底壁12dには、上手側から下手側にかけて緩やかなスロープ12d1が下側給水管21aと干渉しないように形成されている。このため、貯水槽12内の底壁に溜まる沈殿物が、下手側に集積され易い構造となっている。
【0058】
さらに、貯水槽12の上壁12fと底壁12dとの対向面間には、図10(a),(b)に示されるように、仕切部材としての仕切板25が上手側から下手側に延びるように配設されている。この仕切板25は、上側及び下側給水管21b,21aと干渉しないように、長手方向における両端部が上手側の鏡板12cと下手側の鏡板12eとによって支持されている。
【0059】
さらに、図10(b)に示されるように、この仕切板25の断面視形状は、上壁12fに向かって凸型形状、底壁12dに向かって凹型形状とされていると共に、短手方向における左右両端部と本体部12aの内壁とは適宜距離があけられている。このため、仕切板25の上側と下側との水は仕切板25の左右側方を通って行き来することができるようになっている。さらには、仕切板25よりも上側の水は仕切板25の下方側に容易に流れ込むようになるのに対し、仕切板25よりも下側の水は仕切板25の上方側に流れ込みにくくなっている。
【0060】
上述したように、給水切換装置22は、第2の実施形態と同じ原理作用により切換動作するが、この実施形態にあっては、上側送水管14に接続された給水設備の使用水量が多くなると、切換通路部22bは、図6(c)に示されたように、上水道管20と上側給水管21bとを連通させるように機能する。これに対し、下側送水管15に接続された給水設備の使用水量が多くなると、切換通路部22bは、図6(b)に示されたように、上水道管20と下側送水管21aとを連通させるように機能する。
【0061】
そして、上側給水管21bから噴出された水は、図10(a)に示されるように、仕切板25によって貯水槽12の上手側から下手側にほぼ直進するように流れる。また、図11に示されるように、下側給水管21aから噴出された水も、仕切板25によって貯水槽12の上手側から下手側にほぼ直進するように流れる。このため、貯水槽12の上手側から下手側に水が流れても、本体部12aの底壁12dに溜まった沈殿物の拡散が防止される。
【0062】
また、上側送水管14から給水設備に供給される水には沈殿物が殆ど含まれず、下側送水管15からより効率的に沈殿物を排出することかできるようになる。また、仕切板25は、凸型形状なので、沈殿物は仕切板25上に蓄積せず、貯水槽12の底壁12dに蓄積する。このため、上側送水管14から給水設備に供給される水への沈殿物の混入防止効果をより高めることができる。
なお、第3の実施形態についても、第2の実施形態の一変形例で説明したような給水切換装置220を使用できる様に構成することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図である。
【図2】同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図である。
【図4】同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【図5】同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【図6】(a)は、同例における給水切換装置の内部構造を示した断面図、(b)は、給水切換装置の一動作状態を示した断面図、(c)は、(b)とは異なる給水切換装置の動作状態を示した断面図である。
【図7】第2の実施形態の一変形例を示した側面図である。
【図8】(a)は、同例における給水切換装置の断面図、(b)は、同例における給水切換装置の動作を示した断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る緊急用貯水装置の側面図
【図10】(a)は、同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図、(b)は、(a)中のA−A矢視断面図である。
【図11】同例における貯留槽内部の水の流れを示した模式図である。
【図12】従来の緊急用貯水装置の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
11,110,111,112 緊急用貯水装置
12 貯水槽
12a 本体部
12d 底壁
12d1 スロープ
12f 上壁
13 給水管
14 上側送水管
15 下側送水管
20 上水道管
21 2叉給水管
21a 下側給水管
21b 上側給水管
21b1 小孔
22,220 給水切換装置
23,24 接続細管
25 仕切板(仕切部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽の上手側に給水管を配管し、前記給水管を上水道管に接続して前記貯水槽に水を供給すると共に、前記貯水槽の下手側に送水管を配管し、前記貯水槽内に常に満水状態に保持すべく構成し、前記送水管に接続される給水設備によって給水可能とされ、断水時には前記貯水槽内の水を汲出し可能とした緊急用貯水装置において、
前記給水管を前記貯水槽の下部に接続すると共に、前記送水管を前記貯水槽の上下部に接続し、
前記送水管のうち上側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の高い給水設備に接続し、
前記送水管のうち下側送水管の他端部を、飲料用として使用する頻度の低い給水設備に接続すると共に、前記下側送水管の一端部は、前記貯水槽内の沈殿物を排出し易い様に前記貯水槽底壁近傍に接続されていることを特徴とする緊急用貯水装置。
【請求項2】
前記給水管を分岐して前記貯水槽の上下部に接続すると共に、前記上側送水管に接続される給水設備と前記下側送水管に接続される給水設備との使用水量に応じて、前記給水管の上側給水管或いは下側給水管のうち何れか一方から前記貯水槽へ給水可能とする給水切換装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の緊急用貯水装置。
【請求項3】
前記給水切換装置は、前記上側給水管と前記下側給水管とが接続されると共に、前記上側送水管又は及び前記下側送水管からの接続細管が接続され、前記上側送水管又は及び前記下側送水管の圧力変化に応じて機械式に前記上側給水管或いは前記下側給水管の切り換えを行うことを特徴とする請求項2記載の緊急用貯水装置。
【請求項4】
前記上側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記貯水槽内を上手側から下手側に向かって螺旋状に流れるように前記下側給水管から給水し、前記下側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく排出するように前記上側給水管から給水することを特徴とする請求項2又は3に記載の緊急用貯水装置。
【請求項5】
前記貯水槽内に、前記上側給水管からの給水方向と前記下側給水管からの給水方向とを維持させる仕切部材を配設すると共に、前記上側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記上側給水管から給水し、前記下側送水管に接続される給水設備にのみ給水する場合には、前記貯水槽内に堆積した沈殿物を拡散させることなく排出するように前記下側給水管から給水することを特徴とする請求項2又は3に記載の緊急用貯水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−217976(P2007−217976A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40502(P2006−40502)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000237215)富士ロビン株式会社 (27)
【Fターム(参考)】