説明

緊急通報システム

【課題】無線端末の所有者が当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)になった場合に、遠方にある救助機関へ緊急通報が容易に行える緊急通報システムの提供。
【解決手段】
緊急通報システムAは、送信回路、受信回路、通報モードまたは中継モードで送・受信回路を動作させる制御器を備え、盗難防止装置である車載器mを無線操作可能なリモコンnと、送信回路、受信回路、待機モード、アンサーモード、または中継モードで送・受信回路を動作させる制御器を備える車載器mと、受信回路等が通報情報を取得すると、通報回路が救助本部dへ通報するモニターセンターcとに15より構成される。通報を受けた救助本部dは当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチピンを引き抜くと警報音が鳴る携帯用防犯ブザーが開示されている。
特許文献2には、防犯ブザー装置の警報音が鳴ると、周囲に点在する他の防犯ブザー装置が自らも続けて、新たに警報音を発することで、遠方の人々まで警報音を届かせる事が出来る防犯ブザー装置が開示されている。
また、携帯電話の音声通話や、携帯無線端末によるメール送信や掲示板書き込みなどにより、緊急通報を行う方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−316450号公報
【特許文献2】特開2007−207212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、警報音が届く数十m範囲内に人がいる必要がある。
特許文献2の技術は、警報音が届く数十m範囲内に、同じ機能を有する防犯ブザー装置を携帯した人が点在している必要がある。
被災時には、通話制限がかかるので携帯電話での音声通話が使えない場合が多く、更に、被災地の中継局が損傷していると圏外になってしまう。
また、携帯無線端末によるメールや掲示板が使用可能であっても、周りが暗闇であったり、怪我をしていたり、身体が瓦礫に埋まっていたりすると、メール作成送信などの複雑な操作ができない場合もある。
【0005】
本発明の目的は、無線端末の所有者が当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)になった場合に、遠方にある救助機関へ緊急通報が容易に行える緊急通報システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[請求項1について]
請求項1の緊急通報システムは、通報モードおよび中継モードを有する複数の無線端末と、取得した通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成される。
【0007】
各無線端末は、搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、送信信号を受信回路が復調した他機の通報情報とする中継モードの何れかで送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器とを具備する。
【0008】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0009】
所有者が当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)となり、携帯する無線端末が通報モードになる(手動や自動による)と、端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報を送信信号として搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される様に制御器が送・受信回路を動作させる。
【0010】
当事者の近くにあり中継モードで動作している無線端末の制御器は、受信回路が復調した他機からの通報情報を送信信号として搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される様に送・受信回路を動作させる。
【0011】
通報情報を含む送信波が、通報監視用の無線端末の到達範囲にない場合には、上記の無線端末の近くにあり中継モードで動作している無線端末の制御器は、受信回路が復調した他機の通報情報とした低周波の送信信号を搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される様に送・受信回路を動作させる。
【0012】
請求項1の緊急通報システムは、下記の利点を有する。
1台または複数台の無線端末を経て、通報情報を含む送信波が通報監視用の無線端末に届き、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
通報を受けた通報機関は、通報情報に含まれる端末位置特定に貢献する支援情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【0013】
[請求項2について]
請求項2の緊急通報システムは、待機モード、通報モード、および中継モードを有する複数の無線端末と、取得した通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成される。
【0014】
複数の無線端末は、搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、受信波を検知しない空きチャンネル、受信信号に通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル、および他の受信波が受信される使用チャンネルを探査する待機モード、送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、および送信信号を後述するメモリに記憶させた他機の通報情報とする中継モードの何れかで送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器と、チャンネルスキャン結果や受信手段が復調した他機の通報情報を格納するためのメモリとを具備する。
【0015】
各無線端末の制御器は、受信回路が待機モードで動作する様に制御し、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンにより、空きチャンネル(キャリアレベルが一定強度未満のチャンネル)、通報チャンネル(キャリアレベルは一定強度以上)、使用チャンネル(キャリアレベルは一定強度以上)を探査し、そのチャンネルスキャン結果をメモリに格納する。
【0016】
所有者が当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)となり、携帯する無線端末が待機モード中に通報指示(手動や自動による)があると、制御器は、空きチャンネルで送信波が放射される様に送・受信回路を所定時間、通報モードで動作させる。
なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまで通報モードを一時保留にするキャリアセンスを行っても良い。
【0017】
通報モードになると、端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報を送信信号として搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される。
当事者の近くにあり、中継モードで動作している無線端末が、上記送信信号を受信すると、他の無線端末に通報情報が中継される。
【0018】
また、待機モード中に、メモリに他機からの通報情報が格納された場合には、制御器は、送・受信回路を待機モードから中継モードに所定時間、切り替える。
中継モードでは、メモリに格納した他機の通報情報を送信信号として搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される。
【0019】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0020】
請求項2の緊急通報システムは、下記の利点を有する。
1台または複数台の無線端末を経て、通報情報を含む送信波が通報監視用の無線端末に届き、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
通報を受けた通報機関は、通報情報に含まれる端末位置特定に貢献する支援情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【0021】
キャリアレベルが一定強度未満の空きチャンネルで送信波を放射して、自機の通報情報を通報したり、他機の通報情報を中継する構成であるので、混信による通報や中継の失敗を防止でき、通達距離を延ばすことができる。
【0022】
[請求項3について]
請求項3の緊急通報システムは、待機モード、アンサーモード、通報モード、および中継モードを有する複数の無線端末と、取得した通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成される。
【0023】
複数の無線端末は、搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、受信波を検知しない空きチャンネル、受信信号に通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル、および他の受信波が受信される使用チャンネルを探査する待機モード、送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、送信信号をアンサー情報とするアンサーモード、および送信信号を後述するメモリに記憶させた他機の通報情報とする中継モードの何れかで送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器と、チャンネルスキャン結果や受信手段が復調した他機の通報情報を格納するための前記メモリとを具備する。
【0024】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0025】
各無線端末の制御器は、受信回路が待機モードで動作する様に制御し、受信波を検知しない空きチャンネル(キャリアレベルが一定強度未満のチャンネル)、受信信号に通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル(キャリアレベルは一定強度以上)、および他の受信波が受信される使用チャンネル(キャリアレベルは一定強度以上)を探査し、そのチャンネルスキャン結果をメモリに格納する。
【0026】
所有者が当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)となり、携帯する無線端末が待機モード中に通報指示(手動や自動による)があると、制御器は、空きチャンネルで送信波が放射される様に送・受信回路を所定時間、通報モードで動作させる。
なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまで通報モードを一時保留にするキャリアセンスを行っても良い。
【0027】
通報モードになると、端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする低周波の送信信号を搬送波に重畳させた送信波がアンテナから空中へ放射される。
当事者の近くにある無線端末が上記送信信号を受信すると、送信信号をアンサー情報とするアンサーモードで送・受信回路を所定時間、動作させる。なお、当事者が携帯する無線端末が待機モードに戻った時にアンサー情報を取得する。
【0028】
当事者の近くにあり、他機からの通報情報がメモリに格納されている無線端末が所定時間、中継モードで動作し、他の無線端末へ空チャンネルで送信波を放射して通報情報を中継する。
【0029】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0030】
請求項3の緊急通報システムは、下記の利点を有する。
1台または複数台の無線端末を経て、通報情報を含む送信波が通報監視用の無線端末に届き、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
通報を受けた通報機関は、通報情報に含まれる端末位置特定に貢献する支援情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【0031】
キャリアレベルが一定強度未満の空きチャンネルで送信波を放射して、自機の通報情報を通報したり、他機の通報情報を中継する構成であるので、混信による通報や中継の失敗を防止でき、通達距離を延ばすことができる。
【0032】
当事者が携帯する無線端末が待機モードに戻った時にアンサー情報を取得するため、当事者の近くにある無線端末へ、支援情報を含む自機の通報情報が送られたことを当事者が携帯する無線端末で確認することができる。
【0033】
[請求項4について]
請求項4の緊急通報システムは、複数のビーコン端末と、中継モードを有する複数の無線端末と、取得した通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成される。
【0034】
ビーコン端末は、非常通報スイッチを入れると、長波〜中波域のビーコン搬送波を周期的に内蔵バーアンテナから空中へ放射する送信回路を有する。
各無線端末は、ビーコン搬送波を受信可能なビーコン受信回路、極超短波帯の搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路、アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路、およびビーコン受信回路がビーコン搬送波を受信すると送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む通報情報として送・受信回路を動作させ、受信回路が受信波から通報情報が含まれる受信信号を復調すると送信信号を通報情報として送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器を具備する。
【0035】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0036】
ビーコン端末を携帯する所有者が非常事態(被災、犯罪被害、事故)遭遇して当事者となり非常通報スイッチを入れると、ビーコン端末は、長波〜中波域のビーコン搬送波を周期的に内蔵バーアンテナから空中へ放射する。
【0037】
ビーコン端末の近くの無線端末のビーコン受信回路がビーコン搬送波を受信すると、制御器は、送・受信回路を動作させ、搬送波に重畳させる送信信号を、端末位置特定に貢献する支援情報を含む通報情報とする。これにより、位置情報を含む通報情報が送信波となってアンテナから空中へ放射される。
また、受信回路が受信波から通報情報が含まれる他機からの受信信号を復調すると、制御器は、送・受信回路を動作させ、搬送波に重畳させる送信信号を、受信回路が復調した通報情報とする。
【0038】
通報監視用の無線端末は、無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
【0039】
請求項4の緊急通報システムは、下記の利点を有する。
1台または複数台の無線端末を経て、通報情報を含む送信波が通報監視用の無線端末に届き、受信手段が通報情報を取得すると、通報手段が通報情報を救助機関へ通報する。
通報を受けた通報機関は、通報情報に含まれる端末位置特定に貢献する支援情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【0040】
長波〜中波域のビーコン搬送波をビーコン端末の内蔵バーアンテナから空中へ放射する構成であるので、ビーコン端末を携帯する当事者が瓦礫等に埋まっていても、電波の減衰量が少ない。このため、無線端末でビーコン搬送波を捕捉することができる。
【0041】
[請求項5について]
無線端末は、車載された盗難防止装置や、盗難防止装置を操作するための携帯型の操作リモコンである。
当事者が、被災したり、犯罪被害者になったり、事故にあった時に操作リモコンを携帯している可能性が高く、支援情報を含む送信波を確実に放射させることができる。また、操作リモコンと盗難防止装置との距離が近い場合が多い。
【0042】
[請求項6について]
端末位置特定に貢献する支援情報は、盗難防止装置のGPSによる位置情報である。
当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)が携帯する操作リモコンを小形化でき、且つ、消費電力も抑えることができる。
また、盗難防止装置のGPSは、瓦礫等に埋まり難いので、位置情報を確実に行うことができる。
盗難防止装置の位置と当事者の位置とが近いはずであるので、盗難防止装置の近くを探せば当事者を見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1に係る緊急通報システムの構成図である。
【図2】その緊急通報システムに用いるリモコンのブロック図である。
【図3】その緊急通報システムに用いる車載器のブロック図である。
【図4】その緊急通報システムに用いるモニターセンターのブロック図である。
【図5】本発明の実施例2に係る緊急通報システムの構成図である。
【図6】その緊急通報システムに用いるリモコンのブロック図である。
【図7】その緊急通報システムに用いる車載器のブロック図である。
【図8】その緊急通報システムに用いるモニターセンターのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
緊急通報システムは、送信回路、受信回路、通報モードまたは中継モードで送・受信回路を動作させる制御器を備え、盗難防止装置である車載器を無線操作可能なリモコンと、送信回路、受信回路、待機モード、アンサーモード、または中継モードで送・受信回路を動作させる制御器を備える車載器と、受信回路等が通報情報を取得すると、通報回路が救助本部へ通報するモニターセンターとにより構成される。通報を受けた救助本部は当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【実施例1】
【0045】
本発明の実施例1に係る緊急通報システムA(請求項1、2、3、5、6に対応)を、図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示す緊急通報システムAは、盗難防止装置を操作するためのリモコンn(無線端末)と、盗難防止装置の車載器m(無線端末)と、モニターセンターc(通報監視用の無線端末)とにより構成される。
【0046】
図2に示すリモコンnは、アンテナ11、アンテナ切換回路12、受信回路13、SQL回路14、デコーダ15、駆動回路16、PLL OSC17、送信回路18、変調回路19、エンコーダ20、送受切換回路21、アンサーバックLED22、通報済LED23、センサ異常LED24、センサコントロール用SW25、非常通報SW26、メモリ27、電池28、および制御器32を有する。
【0047】
送信回路18は、搬送波(429MHz帯)に低周波の送信信号を重畳させた送信波29(=受信波56)を作るためのものであり、送信波29はアンテナ11から空中へ放射される。
アンテナ切換回路12は、送信時にはアンテナ11が送信回路18に接続され、受信時にはアンテナ11が受信回路13に接続される様に、送受切換回路21により電子的に切り換えられる。
【0048】
受信回路13は、アンテナ11で捉えた受信波30(=送信波55)から低周波の受信信号を復調する。
SQL回路14は、受信信号が無信号である場合における雑音をカットするための回路である。
デコーダ15は、暗号化された受信信号から、アンサーバック信号、他機の通報情報、通報済信号、非常通報信号、センサ異常信号、機器IDなどを解読する。
【0049】
駆動回路46は、アンサーバック信号、通報済信号、およびセンサ異常信号に基づいて、アンサーバックLED22、通報済LED23、およびセンサ異常LED24に通電して点灯する。
PLL OSC17は、受信回路13および送信回路18用の発振出力を作るための回路である。
【0050】
変調回路19は、低周波の送信信号を搬送波に重畳させるためのものである。
エンコーダ20は、中継用の他機からの通報情報、センサコントロールSW25の押圧によるセンサコントロール信号、非常通報SW26の押圧による自機の通報通報、リモコンIDなどをデジタル変換して暗号化し、変調回路19へ送る。
【0051】
送受切換回路21は、送信時には、送信に関わる送信回路18等へ電力を供給するとともに、アンテナ切換回路12へ切換信号を送出する。また、受信時には、受信に関わる受信回路13等へ電力を供給する。
メモリ27は、チャンネルスキャン結果や、受信回路13などが復調した通報情報を格納するための記憶素子である。
CPU31を有する制御器32は、通常は、待機モードまたは中継モードで送信回路18、受信回路13を含む各回路を動作させる。
【0052】
待機モードでは、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、受信波30を検知しない空きチャンネル(キャリアレベルが一定強度未満のチャンネル)、受信信号に他機からの通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)、および他の通信の受信波30が受信される使用チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)を探査し、チャンネルスキャン結果や他機からの通報情報をメモリ27へ格納する。
【0053】
待機モード中に、通報指示(非常通報SW26の押圧)があると、制御器32は、搬送波に送信信号を重畳させた送信波29が空きチャンネルで放射される様に、送信回路18を含む各回路を通報モードで動作させる。通報モードでは、搬送波に重畳させる送信信号は、リモコンIDを含む自機の通報情報である。
なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って通報モードを一時保留にする。
【0054】
また、メモリ27に他機からの通報情報が格納された場合には、制御器32は、空きチャンネルで所定時間、送信回路18を含む各回路を中継モードで動作させる。なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って中継モードを一時保留にする。
中継モードでは、搬送波に重畳させる送信信号を、メモリ27に記憶させた通報情報とする。
【0055】
図3に示す車載器m(無線端末)は、アンテナ41、アンテナ切換回路42、受信回路43、SQL回路44、デコーダ45、駆動回路46、PLL OSC47、送信回路48、変調回路49、エンコーダ50、送受切換回路51、メモリ52、車載バッテリ53、GPS54、および制御器57を有する。
【0056】
送信回路48は、搬送波(429MHz帯)に低周波の送信信号を重畳させた送信波55を作るためのものであり、送信波55はアンテナ41から空中へ放射される。
アンテナ切換回路42は、送信時にはアンテナ41が送信回路48に接続され、受信時にはアンテナ41が受信回路43に接続される様に、送受切換回路51により電子的に切り換えられる。
【0057】
受信回路43は、アンテナ41で捉えた受信波56(=送信波29)から低周波の受信信号を復調する。
SQL回路44は、受信信号が無信号である場合における雑音をカットするための回路である。
デコーダ45は、暗号化された受信信号から、他機の通報情報、非常通報信号、リモコンID信号などを解読する。
【0058】
駆動回路46は、センサコントロール信号に基づいて、車載器mのセンサ操作を制御する。
PLL OSC47は、受信回路43および送信回路48用の発振出力を作るための回路である。
【0059】
変調回路49は、低周波の送信信号を搬送波に重畳させるためのものである。
エンコーダ50は、自機のリモコンnや他機からの通報情報、センサ検知信号、GPS54が検出した位置情報、機器IDなどをデジタル変換して暗号化し、変調回路49へ送る。
【0060】
送受切換回路51は、送信時には、送信に関わる送信回路48等へ電力を供給するとともに、アンテナ切換回路42へ切換信号を送出する。また、受信時には、受信に関わる受信回路43等へ電力を供給する。
メモリ52は、チャンネルスキャン結果や、受信回路43が復調した通報情報を格納するための記憶素子である。
CPU58を有する制御器57は、待機モード、アンサーモード、中継モードの何れかで送信回路48、受信回路43を含む各回路を動作させる。
【0061】
待機モードでは、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、受信波56(=送信波29)を検知しない空きチャンネル(キャリアレベルが一定強度未満のチャンネル)、受信信号に自機や他機の通報情報が含まれる受信波56が受信される通報チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)、および他の通信の受信波56が受信される使用チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)を探査し、チャンネルスキャン結果、および自機や他機からの通報情報をメモリ52へ格納する。
【0062】
待機モード中に自機のリモコンnからの通報情報が含まれる受信波を受信すると、制御器57は、送信回路48および受信回路43を含む各回路を所定時間、アンサーモードで動作させる。アンサーモードでは、搬送波に重畳させる送信信号をアンサー情報とする。
【0063】
メモリ52に自機や他機の通報情報が格納された場合には、制御器57は、空きチャンネルで所定時間、送信回路48を含む各回路を中継モードで動作させる。なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って中継モードを一時保留にする。
中継モードでは、搬送波に重畳させる送信信号を、メモリ52に記憶させた通報情報とする。
なお、メモリ52に記憶させた通報情報に含まれるIDが機器ID(=リモコンID)の場合には、自機の通報情報であるので、搬送波に重畳させる送信信号にGPS54の位置情報を含ませて中継送信する。
また、メモリ52に記憶させた通報情報に含まれるID≠機器IDの場合には、他機からの通報情報であるので、通報情報に含まれる位置情報をそのまま中継送信する。
【0064】
図4に示すモニターセンターc(通報監視用の無線端末)は、アンテナ61、受信回路62、SQL回路63、デコーダ64、PLL OSC65、メモリ66、電源67、制御器68、および通報回路69を有する。
【0065】
受信回路62(受信手段)は、アンテナ61で捉えた受信波70(=送信波55)から低周波の受信信号を復調する。
SQL回路63は、受信信号が無信号である場合における雑音をカットするための回路である。
デコーダ64は、暗号化された受信信号から通報情報を解読する。
PLL OSC65は、受信回路62用の局部発振出力を作るための回路である。
メモリ66は、受信回路62が復調した通報情報を格納するための記憶素子である。
【0066】
CPU71を有する制御器68(通報手段)は、受信回路62等により通報情報を取得すると、その通報情報を通報回路69(通報手段)がインターネット回線72を介して救助機関へ通報する。
【0067】
本実施例の緊急通報システムAは、以下の利点を有する。
当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)となったリモコンnの所有者が非常通報SW26を押圧して通報指示を出して近くの車載器m(無線端末)に届き、送信信号をGPS54が検出した位置情報および機器IDを含む自機の通報情報として車載器mが中継し、1台または複数台の車載器mを経てモニターセンターcに届き、救助本部d(救助機関)へ通報が行われる。
通報を受けた救助本部dは、通報情報に含まれる端末位置情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く当事者の救助活動を行うことができる。
【0068】
リモコンnや車載器mは、キャリアレベルが一定強度未満の空きチャンネルで送信波29、55を放射して、自機の通報情報を通報したり他機の通報情報を中継し、空きチャンネルがない場合には、通報や中継モードを一時保留にする構成であるので、混信による通報や中継の失敗を防止でき、通達距離を延ばすことができる。
【0069】
リモコンnでGPSの位置情報を取得する構成であると、障害物(瓦礫や倒壊建物等)により取得できない場合が考えられる、また、リモコンnのコスト高や大形化や消費電流の増大を招く。
しかし、緊急通報システムAは、リモコンnで位置情報を取得せず、車載器mのGPS54が検出する位置情報を中継する構成であるので、確実に位置情報を救助本部dへ伝達することができる。また、リモコンnの製造コストが安価で、小形化が図れ、消費電流を抑えることができる。
【0070】
緊急通報システムAは、当事者が携帯するリモコンnが待機モードに戻った時にアンサー情報を取得するため、当事者の近くの車載器mや、当事者の近くにいる人が携帯するリモコンnに自機の通報情報が届いた場合には、支援情報を含む自機の通報情報が送られたことを当事者が携帯するリモコンnの通報済LED23の点灯により確認することができる。
【実施例2】
【0071】
本発明の実施例2に係る緊急通報システムB(請求項4、5、6に対応)を、図5〜図8に基づいて説明する。
図5に示す緊急通報システムBは、盗難防止装置を操作するためのリモコンp(無線端末)と、盗難防止装置の車載器q(無線端末)と、モニターセンターr(通報監視用の無線端末)とにより構成される。
【0072】
図6に示すリモコンp(ビーコン端末)は、ビーコン送信部とリモコン送信部とFMラジオ受信部と電源部とを有する。
ビーコン送信部は、送信回路81、変調回路82、内蔵バーアンテナ83からなり、非常通報SW84を入れると、457kHzのビーコン搬送波85が周期的に内蔵バーアンテナ83から空中へ放射される。
【0073】
リモコン送信部は、リモコンIDが入力されるエンコーダ86、変調回路87、送信回路88、アンテナ89からなり、リモコン用SW90を押圧すると、429MHz帯の送信波91がアンテナ89から空中へ放射される。
【0074】
FMラジオ受信部は、アンテナ92と、アンテナ92で捕捉した放送波93を受信するFMラジオ受信回路94と、受信信号から通報済信号を解読するデコーダ95と、通報済信号が入力されると通報済LED96を点灯駆動する駆動回路97とを有する。
【0075】
電源部は、電池98と、非常通報SW84を入れると、ビーコン送信部とFMラジオ受信部に通電を行う通電回路99とを有する。
【0076】
図7に示す車載器qは、ビーコン受信部と送受信部とを有する。
ビーコン受信部は、ビーコン搬送波85を捉える内蔵バーアンテナ73と、捉えたビーコン搬送波85を受信するビーコン受信回路74とを有する。
送受信部は、アンテナ100、アンテナ切換回路101、受信回路102、SQL回路103、デコーダ104、駆動回路105、PLL OSC106、送信回路107、変調回路108、エンコーダ109、送受切換回路110、メモリ111、車載バッテリ112、GPS113、および制御器114を有する。
【0077】
受信回路102は、アンテナ100で捉えた受信波116(=送信波91)から低周波の受信信号を復調する。
SQL回路103は、受信信号が無信号である場合における雑音をカットするための回路である。
デコーダ104は、暗号化された受信信号から、他機の通報情報、非常通報信号、リモコンIDなどを解読する。
【0078】
駆動回路105は、センサコントロール信号に基づいて車載器qのセンサ操作を制御する。
PLL OSC106は、受信回路102および送信回路107用の発振出力を作るための回路である。
【0079】
送信回路107は、搬送波(429MHz帯)に低周波の送信信号を重畳させた送信波117を作るためのものであり、送信波117はアンテナ100から空中へ放射される。
【0080】
アンテナ切換回路101は、送信時にはアンテナ100が送信回路107に接続され、受信時にはアンテナ100が受信回路102に接続される様に、送受切換回路110により電子的に切り換えられる。
【0081】
変調回路108は、低周波の送信信号を搬送波に重畳させるためのものである。
エンコーダ109は、他機からの通報情報、センサコントロール信号、GPS113が検出した位置情報、および機器IDをデジタル変換して暗号化する。
【0082】
CPU115を有する制御器114は、待機モード、通報モード、および中継モードの何れかで、車載器qの受信回路102および送信回路107を含む各回路を動作させる。 待機モードでは、車載器qがリモコンpの送信周波数(固定)を受信する。なお、リモコン用SW90の押圧操作により放射される受信波116(=送信波91)が検知されると、車載器qの防犯センサーを操作する。
【0083】
また、待機モードでは、所定時間毎に、チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行い、リモコンpの送信周波数以外で受信波116を検知しない空きチャンネル(キャリアレベルが一定強度未満のチャンネル)、受信信号に他の車載器q等からの通報情報が含まれる通報チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)、および他の通信の受信波116が受信される使用チャンネル(キャリアレベルが一定強度以上)を探査し、チャンネルスキャン結果や他機からの通報情報をメモリ111に格納する。
【0084】
この待機モード中に、リモコンpの非常通報SW84を投入し、リモコンpの近くにある車載器qのビーコン受信回路74がビーコン搬送波85を受信すると、車載器qから搬送波に送信信号を重畳させた送信波117が、キャリアレベルが一定強度未満の空きチャンネルで放射される様に、送信回路107、変調回路108、エンコーダ109などが動作する様に、制御器114が所定時間、通報モードで動作させる。
なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って通報モードを一時保留にする。
【0085】
通報モードでは、送信信号をGPS113が検出した位置情報および機器IDを含む自機の通報情報とする。
メモリ111に自機や他機の通報情報が格納された場合には、制御器114は、キャリアレベルが一定強度未満の空きチャンネルで所定時間、送信回路107を含む各回路を中継モードで動作させる。
なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って中継モードを一時保留にする。
中継モードでは、搬送波に重畳させる送信信号を、メモリ111に記憶させた通報情報とする。
【0086】
なお、メモリ111に記憶させた通報情報に含まれるIDが機器ID(=リモコンID)の場合には、自機の通報情報であるので、搬送波に重畳させる送信信号にGPS113の位置情報を含ませて中継送信する。
また、メモリ111に記憶させた通報情報に含まれるID≠機器IDの場合には、他機からの通報情報であるので、通報情報に含まれる位置情報をそのまま中継送信する。
【0087】
なお、車載器qのビーコン受信回路74がリモコンpからのビーコン搬送波85を受信した場合には、リモコンpのID信号と同一の車載器qのID信号をエンコーダ109に入力する。また、GPS113が検出した自機の位置情報(端末位置特定に貢献する支援情報)を含む通報情報を送信信号として搬送波に重畳させる。
これにより、ID信号および自機の位置情報を含む通報情報が送信波117となってアンテナ100から空中へ放射される。
【0088】
また、待機モードのチャンネルスキャンで通報チャンネルが検知されて、チャンネルスキャン結果や他機からの通報情報がメモリ111に格納されると、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルで所定時間、送信回路107を含む各回路を中継モードで動作させる。なお、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルがない場合には、同一チャンネルでの複数波の送信防止の観点から、チャンネルが空くまでキャリアセンスを行って中継モードを一時保留にする。
この中継モードでは、制御器114が、送信回路107、変調回路108、エンコーダ109などを動作させ、搬送波に重畳させる送信信号を、受信回路102が復調し、メモリ111に記憶させた他機の位置情報を含む通報情報とする。これにより、他の車載器qの位置情報を含む通報情報が送信波117となってアンテナ100から空中へ放射される。
【0089】
送受切換回路110は、送信時には、送信に関わる送信回路107等へ電力を供給するとともに、アンテナ切換回路101へ切換信号を送出する。また、受信時には、受信に関わる受信回路102等へ電力を供給する。
メモリ111は、チャンネルスキャン結果や、受信回路102が復調した他機の通報情報を格納するための記憶素子である。
【0090】
モニターセンターr(通報監視用の無線端末)は、アンテナ120、受信回路121、SQL回路123、デコーダ124、PLL OSC125、および制御器126からなり車載器qからの通報情報を取得可能な受信手段と、受信手段が通報情報を取得すると救助本部127(救助機関)および放送局128へ通報する通報回路129(通報手段)と、電源130とを備える。
【0091】
受信回路121は、アンテナ120で捉えた受信波131(=送信波117)から低周波の受信信号を復調する。
SQL回路123は、受信信号が無信号である場合における雑音をカットするための回路である。
デコーダ124は、暗号化された受信信号から通報情報を解読する。
PLL OSC125は、受信回路121用の局部発振出力を作るための回路である。 メモリ132は、受信回路121などが復調した通報情報を格納するための記憶素子である。
【0092】
CPU133を有する制御器126は、受信回路121が、機器IDを含む他機の通報情報を取得すると、その通報情報を通報回路129が、救助本部127(救助機関)および放送局128へ通報する。
通報を受けた放送局は、IDに対応するリモコンpのデコーダ95で解読される通報済信号80を放送波に重畳させる。
【0093】
実施例2の緊急通報システムBは、以下の利点を有する。
当事者(被災者、犯罪被害者、事故者)となったリモコンpの所有者が非常通報SW84を投入してリモコンp(ビーコン端末)からビーコン搬送波85を放射して、車載器q(無線端末)に届き、送信信号をGPS113が検出した位置情報および機器IDを含む自機の通報情報として他の車載器qへ送信波117を放射し、直接または複数台の車載器qを経て、通報情報を含む送信波117がモニターセンターrに届き通報情報を取得すると、通報回路129が通報情報を救助本部127へ通報する。通報を受けた救助本部127が通報情報に含まれるGPS113が検出した位置情報に基づいて当事者が居る場所を特定できるので、効率良く救助活動を行うことができる。
【0094】
457kHzのビーコン搬送波85をリモコンpの内蔵バーアンテナ83から空中へ放射する構成であるので、リモコンpを携帯する当事者が瓦礫等に埋まっていても、電波の減衰量が少ない。このため、車載器qでビーコン搬送波を捕捉し易い。
【0095】
車載器qは、キャリア強度が一定強度未満の空きチャンネルで送信波117を放射して、自機の通報情報を通報したり、他機の通報情報を中継する構成であり、空きチャンネルがない場合には、キャリアセンスを行ってチャンネルが空くまで通報や中継モードを一時保留にしているので、混信による通報や中継の失敗を防止でき、通達距離を延ばすことができる。
【0096】
当事者が携帯するリモコンpから発信した非常通報がモニターセンターrに届き、モニターセンターrから放送局へ通報が届くと、IDに対応するリモコンpのデコーダ95で解読される通報済信号を放送波に重畳させる構成である。
これにより、リモコンpの通報済LED96が点灯するため、自機の通報情報が送られたことを当事者が携帯するリモコンpで確認することができる。
【0097】
リモコンpでGPSの位置情報を取得する構成であると、障害物(瓦礫や倒壊建物等)により取得できない場合が考えられる。また、リモコンpのコスト高や大形化や消費電流の増大を招く。
しかし、緊急通報システムBは、リモコンpで位置情報を取得せず、車載器qのGPS113が検出する位置情報を中継する構成であるので、確実に位置情報を救助本部127へ伝達することができる。また、リモコンpの製造コストが安価で、小形化が図れ、消費電流を抑えることができる。
【0098】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.請求項1〜3において、所有者が携帯する無線端末は、所有者が当事者(被災者、被害者、事故者)になったことをセンサが検知すると、制御器が自動で通報モードになる構成でも良い。
【0099】
b.無線端末は、2.595GHz〜2.625GHzのIEEE802.16e(WiMAX)の周波数帯を使っても良い。
【0100】
c.メモリに、他機の通報情報が複数、格納されている場合には、ID番号順や、格納された順に中継すれば良い。
【符号の説明】
【0101】
A、B 緊急通報システム
n リモコン(無線端末)
m、q 車載器(無線端末)
p リモコン(ビーコン端末)
c、r モニターセンター(通報監視用の無線端末)
11、41、100 アンテナ
13、43、102 受信回路
18、48、81、107 送信回路
27、52 メモリ
29、55、117 送信波
30、56、116 受信波
31、58、115、133 CPU(マイクロコンピュータ)
32、57、114 制御器
62、121 受信回路(受信手段)
69、129 通報回路(通報手段)
74 ビーコン受信回路
83 内蔵バーアンテナ
84 非常通報SW(非常通報スイッチ)
85 ビーコン搬送波
127 救助本部(救助機関)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、
前記アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、
前記送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、前記送信信号を前記受信回路が復調した他機の通報情報とする中継モードの何れかで前記送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器とを具備する複数の無線端末と、
前記無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、前記受信手段が前記通報情報を取得すると、前記通報手段が前記通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成されることを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、
前記アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、
チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、前記受信波を検知しない空きチャンネル、前記受信信号に通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル、および他の受信波が受信される使用チャンネルを探査する待機モード、前記送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、および前記送信信号を後述するメモリに記憶させた他機の通報情報とする中継モードの何れかで前記送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器と、
チャンネルスキャン結果や前記受信回路が復調した前記他機の通報情報を格納するための前記メモリとを具備する複数の無線端末と、
前記無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、前記受信手段が前記通報情報を取得すると、前記通報手段が前記通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成され、
前記待機モード中に通報指示があると、前記制御器は、前記空きチャンネルで前記送信波が放射される様に前記送・受信回路を所定時間、前記通報モードで動作させ、
また、前記メモリに他機からの通報情報が格納されている場合には、前記送・受信回路を前記空きチャンネルで所定時間、前記中継モードで動作させることを特徴とする緊急通報システム。
【請求項3】
搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路と、
前記アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路と、
チャンネル毎に一定強度以上のキャリアの有無を検知するチャンネルスキャンを行って、前記受信波を検知しない空きチャンネル、前記受信信号に通報情報が含まれる受信波が受信される通報チャンネル、および他の受信波が受信される使用チャンネルを探査する待機モード、前記送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む自機の通報情報とする通報モード、前記送信信号をアンサー情報とするアンサーモード、および前記送信信号を後述するメモリに記憶させた他機の通報情報とする中継モードの何れかで前記送・受信回路を動作させるマイクロコンピュータを有する制御器と、
チャンネルスキャン結果や前記受信回路が復調した前記他機の通報情報を格納するための前記メモリとを具備する複数の無線端末と、
前記無線端末からの通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、前記受信手段が前記通報情報を取得すると、前記通報手段が前記通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成され、
前記待機モード中に通報指示があると、前記制御器は、前記空きチャンネルで前記送信波が放射される様に前記送・受信回路を所定時間、前記通報モードで動作させ、
前記待機モード中に前記通報情報が含まれる受信波を受信すると、前記制御器は、前記送・受信回路を所定時間、前記アンサーモードで動作させ、
また、前記メモリに他機からの通報情報が格納されている場合には、前記送・受信回路を前記空きチャンネルで所定時間、前記中継モードで動作させることを特徴とする緊急通報システム。
【請求項4】
非常通報スイッチを入れると、長波〜中波域のビーコン搬送波を周期的に内蔵バーアンテナから空中へ放射する送信回路を有する複数のビーコン端末と、
前記ビーコン搬送波を受信可能なビーコン受信回路、
極超短波帯の搬送波に低周波の送信信号を重畳させた送信波をアンテナから空中へ放射する送信回路、
アンテナで捉えた受信波から低周波の受信信号を復調する受信回路、および前記ビーコン受信回路が前記ビーコン搬送波を受信すると前記送・受信回路を動作させ、前記送信信号を端末位置特定に貢献する支援情報を含む通報情報とし、前記受信回路が受信波から前記通報情報が含まれる受信信号を復調すると前記送・受信回路を動作させ前記送信信号を前記通報情報とするマイクロコンピュータを有する制御器を具備する複数の無線端末と、 前記無線端末からの前記通報情報を取得可能な受信手段、および救助機関へ通報可能な通報手段を備え、前記受信手段が前記通報情報を取得すると、前記通報手段が前記通報情報を救助機関へ通報する通報監視用の無線端末とにより構成されることを特徴とする緊急通報システム。
【請求項5】
前記無線端末は、車載された盗難防止装置や、該盗難防止装置を操作するための携帯型の操作リモコンであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の緊急通報システム。
【請求項6】
端末位置特定に貢献する前記支援情報は、前記盗難防止装置のGPSによる位置情報であることを特徴とする請求項5に記載の緊急通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248132(P2012−248132A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121265(P2011−121265)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(596013143)加藤電機株式会社 (11)
【Fターム(参考)】