説明

緊急通報端末

【課題】緊急情報端末において、衛星測位システムを利用して位置情報を得ることができず、且つ無線基地局の設置位置が不明であっても、現在の概略位置を精度良く得ることを可能にする。
【解決手段】端末1は、CPU2aとRAM2bとを有する端末制御部2と、GPSにより端末位置を測位するGPS測位装置3と、無線基地局と通信する無線通信部4とを備えている。端末制御部2は、端末1が保持者により操作されて、測位装置3が位置情報を得たときに、そのとき無線通信部4が通信を行っている基地局の基地局IDコードと得られたGPS測位データとを対応付けてデータベース化し、RAM2bに記憶保持する。端末制御部2は、端末1が操作されたときに、測位装置3が位置情報を得ることができない場合には、このデータベースに記憶保持されているGPS測位データを現在の端末1のGPS測位データとして代用することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システムを利用して測位した端末の位置情報を、GSM(Global system for Mobile Communication)等の無線通信システムを利用して送信する機能を有する緊急通報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばGPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用して測位演算処理を行うことにより自らの位置を測位する測位装置を備えた携帯端末が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。このような携帯端末としては、例えば緊急通報システムに用いられる緊急通報端末が知られている。緊急通報端末は、例えば子供や老人等に保持されるようなものであり、緊急時等に操作されると、操作された時点での緊急通報端末の位置をGPS測位演算処理により求める。そして、緊急通報端末は、無線信号を送受信可能な無線基地局に接続することにより、求めた位置を無線通信網を介してコールセンタに通報する。コールセンタでは、緊急通報端末からその位置が通報されることにより、その緊急通報端末を保持する保持者の位置を把握することが可能となる。
【0003】
ところで、上述のように例えばGPSを利用して測位演算処理を行うためには、測位装置が、GPS衛星から送信される衛星信号を受信する必要がある。しかしながら、緊急通報端末が例えば屋内に位置していたり、また緊急情報端末の保持者が、送信される衛星信号を遮ってしまうような姿勢になったとき等には、GPS衛星から衛星信号を受信することができず、測位演算処理を行うことができなくなる。すなわち、衛星信号を受信可能なエリアは無線基地局との無線通信を行うことが可能なエリアよりも狭いため、緊急通報端末は、無線基地局と無線通信を行うことができても、衛星信号を受信できず自身の位置を測位することができないことがある。
【0004】
従来、このようにGPSにより測位することができない場合にもコールセンタが緊急通報端末の概略位置を把握することができるようにするために、位置情報が取得できないときに、前回測位した位置情報をコールセンタに送信するようにした緊急通報端末が知られている。しかしながら、前回測位したときから長時間GPSによる測位を行うことができなかったとき等、緊急通報端末の保持者が前回測位した地点から長距離移動したような場合には、前回測位した位置は現在の概略位置として用いるのに適切なものではなくなってしまうという問題がある。
【0005】
一方で、無線通信網を提供する通信事業者が、無線基地局の設置位置が記録されたデータベース等を用いて、携帯電話端末等が現在通信を行っている無線基地局の設置場所をその端末の概略位置として提供する位置情報サービスが知られている。緊急通報端末が現在通信を行っている無線基地局は、その無線基地局から送信される電波に含まれる基地局IDコード等により特定することができるものである。すなわち、この位置情報サービスのように、無線基地局を特定する情報とその無線基地局が設置された位置とが記録されたデータベースを使用すれば緊急通報端末の概略位置を求めることが可能となる。しかしながら、このデータベースを使用して位置情報を取得するためには、通信事業者と契約を交わす必要がある。そのため、例えば複数の通信事業者が提供する無線通信網を利用し、緊急通報システムによるサービスを広範囲にわたって提供するような場合には、これらの複数の通信事業者と契約しなければならず、手続きが煩雑となってしまう。また、複数の通信事業者の無線基地局の設置位置のデータベースを用いるため、コールセンタのデータ処理システムが複雑になってしまい、コストが掛かる。さらに、通信事業者によっては位置情報サービスを行っていない場合もあり、上述のように無線基地局の設置位置が不明のままであり、緊急情報端末の概略位置を求めることができないこともある。
【0006】
なお、特許文献1には、GPSによる測位可能で且つ無線基地局と無線通信不可であるときにGPSによる位置情報を取得し、無線基地局と通信可能になったときにその位置情報を圏外位置情報として送信する機能を有する携帯電話機が記載されている。しかしながら、この特許文献1には、上述の問題点に対して有効な解決策は開示されていない。
【特許文献1】特開2004−235827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、衛星測位システムを利用して位置情報を得ることができず、且つ無線基地局の設置位置が不明であっても、現在の概略位置を精度良く得ることが可能な緊急情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持するものである。
【0009】
請求項2の発明は、衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局から送信された無線信号に含まれるセルIDコード又はロケーションエリアコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持するものである。
【0010】
請求項3の発明は、衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと、得られた位置情報及び前記無線基地局から送信された電波の電界強度とを対応付けてデータベース化し、記憶保持するものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記端末制御部は、1つの基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対して1つ以上の位置情報をデータベース化して記憶保持したとき、前記位置情報を基に、当該基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応する無線基地局の位置と、その無線基地局に前記無線通信部が接続可能であるエリアを推定する機能を有するものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記端末制御部は、1つの基地局IDコードに対して1つ以上の位置情報及び前記無線基地局からから送信された電波の電界強度をデータベース化して記憶保持したとき、前記位置情報及び電界強度を基に、当該基地局IDコードに対応する無線基地局の位置及びその無線基地局に前記無線通信部が接続可能であるエリアを推定する機能を有するものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記測位装置は、前記無線通信部がそれ以前に通信したことがない無線基地局と通信したとき、自動的に端末位置の測位を開始するものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかの発明において、前記端末制御部は、既にデータベース化して記憶保持している基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、前記位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以内であれば、その記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持するものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかの発明において、前記端末制御部は、既にデータベース化して記憶保持している基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、前記位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以上であれば、その既に記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持するものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、端末制御部が、測位装置が位置情報を得たときに、そのとき無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持するので、衛星測位システムを利用して位置情報を得ることができない場合でも、このデータベースに記憶保持されている位置情報を現在の端末の位置情報として代用することが可能となる。従って、無線基地局の設置位置が不明であっても、現在の概略位置を精度良く得ることが可能となる。
【0017】
請求項2の発明によれば、端末制御部が、測位装置が位置情報を得たときに、そのとき無線通信部が通信を行っている無線基地局から送信された無線信号に含まれるセルIDコード又はロケーションエリアコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持するので、衛星測位システムを利用して位置情報を得ることができない場合でも、このデータベースに記憶保持されている位置情報を現在の端末の位置情報として代用することが可能となる。従って、無線基地局の設置位置が不明であっても、現在の概略位置を精度良く得ることが可能となる。また、セルIDコード又はロケーションエリアコードをデータベースに保存するので、基地局IDコードを保存する場合と比較して1つのレコードが広範囲に対応するものとなり、データベースに記憶しているレコードが少なくても、広範囲で現在の概略位置を得ることが可能となる。
【0018】
請求項3の発明によれば、端末制御部が、測位装置が位置情報を得たときに、そのとき無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと、得られた位置情報及び無線基地局から送信された電波の電界強度とを対応付けてデータベース化し、記憶保持する。従って、現在の端末1のGPS測位データとして代用するGPS測位データをデータベースから取得するときに、より現在の端末位置に対応していると考えられるGPS測位データを取得してコールセンタDに送信することが可能となり、現在の概略位置の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0019】
請求項4の発明によれば、端末制御部が、位置情報のデータベースを基に、対応する無線基地局の位置と、その無線基地局に無線通信部が接続可能であるエリアを推定するので、緊急通報端末の現在の概略位置をより精度良く得ることが可能となる。
【0020】
請求項5の発明によれば、端末制御部が、基地局IDと位置情報及び電界強度とのデータベースを基に無線基地局の位置とその無線基地局に無線通信部が接続可能であるエリアを推定するので、上述と同様に、無線基地局の設置位置が不明であっても、緊急通報端末の現在の概略位置を精度良く得ることが可能となる。また、電波の電界強度も併せて無線基地局の位置がさらに精度良く推定されるので、現在の概略位置の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0021】
請求項6の発明によれば、測位装置が、無線通信部がそれ以前に通信したことがない無線基地局と通信したときに自動的に端末位置の測位を開始するので、初めて通信する無線基地局についての情報を速やかにデータベースに登録することが可能となり、データベースをより多くの無線基地局に対応した充実したものとすることが可能となる。従って、このデータベースを用いることにより、より広い範囲で、より精度良く、現在の概略位置を得ることが可能となる。
【0022】
請求項7の発明によれば、既にデータベース化されている基地局IDコード等に対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、その位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以内であれば、その記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持するので、データベースに登録されているデータが最新の情報になる。従って、データベースのデータの確からしさを向上させることが可能となり、緊急情報端末の現在の概略位置をより確実に得ることが可能となる。
【0023】
請求項8の発明によれば、既にデータベース化されている基地局IDコード等に対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、その位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以上であれば、その記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持するので、例えば無線基地局の基地局IDコード等が変更になった場合でも、データベースに登録されているデータを変更後のデータに更新することが可能となる。従って、データベースのデータの確からしさを向上させることが可能となり、緊急情報端末の現在の概略位置をより確実に得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る緊急通報端末(以下、端末と称する)の一例を示す。また、図2は、端末1を用いた緊急通報システムの一例を示す。端末1は、例えばGPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用して自らの位置を測位した情報を、GSM(Global system for Mobile Communication)等の無線通信システムを利用して送信可能に構成されているものである。図1に示すように、端末1は、端末制御部2と、GPS測位装置(測位装置)3と、無線通信部4とを備えている。
【0025】
端末制御部2は、CPU2aとRAM2bとにより構成されている。CPU2aは、RAM2b、測位装置3、及び無線通信部4と通信可能に構成されており、この端末1の動作を制御する。RAM2bは、例えば、後述のように測位装置3により得られた位置情報等を記憶するものである。
【0026】
測位装置3は、GPSアンテナ3cを有し、例えばGPS衛星Eから送信される衛星信号を受信して測位演算処理を行うことにより端末位置を測位して位置情報を得るものである。測位装置3は、位置情報を得るために必要な測位情報を有している。この測位情報は、GPS衛星Eからの衛星信号を得るために用いられる。測位情報としては、現在時刻、端末1の概略位置、及びGPS衛星Eの軌道情報が用いられる。測位情報のうち、現在時刻及び軌道情報は、GPS衛星Eから送信される衛星信号を受信することにより取得される。また、端末1の概略位置は、例えば、RAM2bに保存された、測位装置3が前回測位した位置より取得される。測位装置3は、この測位情報を用いて、複数のGPS衛星Eのうち衛星信号を得ることが可能な位置にあるものを選択し、選択したGPS衛星Eから受信した衛星信号を基に測位演算処理を実行して、端末1の現在の位置情報を得ることができるように構成されている。
【0027】
無線通信部4は、無線回路制御部4aと無線回路部4bとを有している。無線通信部4は、無線回路制御部4aが無線回路部4bを時分割多重によりアクセス制御し、無線回路部4bが、その制御に応じて無線回路部4bに接続されたアンテナ4cを介して無線信号の送受信を行うものである。
【0028】
図2を参照して、この端末1を適用した緊急通報システムの一例について説明する。この端末1は、無線通信部4による無線通信により、複数の無線基地局(以下、基地局と称する)A1,A2,A3,…,Anのうち、無線信号を受信可能な状態であるいずれかと通信することにより、これらの基地局A1,A2,A3,…,Anにより構成される無線通信システムの無線通信網Bに接続される。端末1の位置が変わってそれまで通信していた基地局Anと通信できなくなったときには、その位置で通信可能な別の基地局Anとの通信を開始することにより、無線通信網Bへの接続が維持されるように構成されている。無線通信網Bには、端末1からの通報を受け付けるコールセンタDが接続している。なお、図2には、複数の基地局A1,A2,A3,…,Anのうち基地局A1のみを示して他の図示を省略する。
【0029】
図3は、この緊急通報システムが利用する通信事業者による無線通信システムの無線通信網Bの一部を示す。図に示すように、無線通信網Bを構成する基地局A1,A2,A3,…,Anのうち、例えば基地局A1,A2,A3と、基地局A4,A5,A6とが、それぞれ集まってセルC1,C2を構成する。そして、このセルC1,C2が集まって、1つのロケーションエリアLを構成している。すなわち、無線通信網Bは、それぞれ複数の基地局Anにより構成される複数のセルCnを含んだ、複数のロケーションエリアL1,L2,…,Lnにより構成されている。なお、これらの基地局An、セルCn、ロケーションエリアLnの各単位には、この無線通信網Bの中でそれぞれ一意に、基地局IDコード、セルIDコード、ロケーションエリアコードが付与されている。これらの各コードは、それぞれの基地局Anから送信される無線信号中に含まれているものである。これにより、端末1の無線通信部4が無線信号を受信したときに、その無線信号を送信した基地局Anが、どのセルCn及びロケーションエリアLnに属しているか判別することができるように構成されている。
【0030】
次に、この緊急通報システムにおいて、端末1が保持者により操作されたときの動作の一例を説明する。この緊急通報システムでは、端末1は、例えば子供や老人等の保持者により保持される。保持者により端末1の操作が行われると、測位装置3により端末位置がGPSにより測位されると共に、無線通信部4が、無線通信網Bを構成する基地局Anのうち、そのとき無線通信可能な状態にあるものと無線通信を行う。これにより端末1と無線通信網Bとの接続が確立されると、端末1で得られた位置情報が無線通信網Bを介してコールセンタDに通報され、コールセンタDにおいて端末1の位置を把握することが可能となる。
【0031】
ここで、端末1の端末制御部2は、端末1が保持者により操作されて、測位装置3が位置情報を得たときに、そのとき無線通信部4が通信を行っている基地局Anの基地局IDコードと得られたGPS測位データ(位置情報)とを対応付けてデータベース化し、RAM2bに記憶保持する。図4は、このようにして作成され、RAM2bに記憶保持されているデータベースの一例を示す。この基地局IDコードとGPS測位データのデータベースには、測位装置3が位置情報を得る毎にレコードが追加され、徐々にレコードが増えていくように構成されている。なお、測位装置3による端末1の位置の測位は、端末1が保持者により操作されたときのみに限られるものではない。例えば、端末制御部2の制御により所定時間毎に定期的に測位装置3を起動して端末位置の測位を行い、そのとき無線通信部4が通信可能である基地局Anの基地局IDコードを取得し、得られた位置情報と基地局IDコードをデータベース化してRAM2bに記憶させるような構成であってもよい。例えばこのような構成にすることにより、RAM2bに記憶されるデータベースのレコードを確実に増やしていくことができる。
【0032】
そして、本実施形態において、端末制御部2は、端末1が保持者により操作されたときに、例えばGPS衛星Eからの衛星信号を受信することができなかったりして測位装置3が端末位置の測位に失敗したときには、RAM2bに保持されているデータベースを参照する。そして、データベース中に、無線通信部4がそのとき通信している基地局Anの基地局IDコードと同一の基地局IDコードについてのレコードがないか探索する。データベース中にその基地局IDコードについてのレコードがあったときには、データベースよりその基地局IDコードと対応して記憶されているGPS測位データを取得し、そのデータを端末1の概略位置としてコールセンタDに送信する。
【0033】
このように、本実施形態においては、端末1が基地局Anの基地局IDコードと位置情報とを対応付けたデータベースを保持しているので、測位装置3が位置情報を得ることができない場合でも、このデータベースに記憶保持されているGPS測位データを現在の端末1のGPS測位データとして代用することが可能となる。従って、基地局Anの設置された位置が不明であっても、端末1の現在の概略位置を精度良く得て、コールセンタDに送信することが可能となる。
【0034】
なお、図5に示すように、データベースには、GPS測位データに対応付けて、基地局IDコードではなく上述のセルIDコード又はロケーションエリアコードを記録してもよい。このとき、端末1が操作され、測位装置3が測位に失敗してGPS測位データを得ることができない場合には、端末制御部2は、そのとき通信している基地局AnのセルIDコード又はロケーションエリアコードと同一のものを含むレコードをデータベース中から探索する。そのコードと同一のレコードがあれば、そのレコード中のGPS測位データを端末1の概略位置としてコールセンタDに送信する。従って、上述と同様に、基地局Anの設置された位置が不明であっても、端末1の現在の概略位置を精度良く得て、コールセンタDに送信することが可能となる。また、このようにデータベース化されるGPS測位データは複数の基地局Anにより構成されるセルCn又はロケーションエリアLnの範囲内のものとして記録されることから、上述のように基地局IDコードをGPS測位データと共にデータベース化する場合と比較して、ひとつのレコードは広範囲に対応するものとなっている。従って、データベースに保持されているレコードが少なくても、広範囲で端末1の現在の概略位置を得ることが可能となる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下に説明する各実施形態において、第1の実施形態と同様の構成部材のものは同一の符号を付し、第1の実施形態と相違する部分についてのみ説明する。第2の実施形態では、端末1の端末制御部2が、測位装置3がGPS測位データを得たときに、そのとき無線通信部4が通信を行っている基地局Anの基地局IDコードと、得られたGPS測位データ及びその基地局Anから送信された電波の電界強度とを対応付けてデータベース化し、RAM2bに記憶保持する。
【0036】
図6は、このようにして作成されRAM2bに記憶保持されるデータベースの一例を示す。端末制御部2は、端末1が保持者により操作されたときに、測位装置3が端末位置の測位に失敗したときには、RAM2bに保持されているデータベースを参照する。そして、データベース中に、無線通信部4がそのとき通信している基地局Anの基地局IDコードと同一の基地局IDコードについてのレコードがないか探索する。データベース中にその基地局IDコードについてのレコードが1つあったときには、上述と同様に、その基地局IDコードと対応して記憶されているGPS測位データを端末1の概略位置としてコールセンタDに送信する。一方、データベース中に同一の基地局IDコードについてのレコードが複数あったときには、それらのレコードの中から、無線通信部4が受信している基地局Anからの電波の電界強度に近い電界強度であるレコードを選択し、そのレコード中のGPS測位データを端末1の概略位置としてコールセンタDに送信する。
【0037】
無線通信部4が受信する基地局Anから送信された電波の電界強度は、基地局Anから端末1までの距離に応じて変化する。すなわち、第2の実施形態においては、第1の実施形態のデータベースに併せて電波の電界強度をデータベース化するので、測位された地点が、基地局Anからどのくらい離れているかを知ることができるようになる。そのため、現在の端末1のGPS測位データとして代用するGPS測位データをデータベースから取得するときに、より現在の端末位置に対応していると考えられるGPS測位データを取得してコールセンタDに送信することが可能となり、現在の概略位置の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態において、端末制御部2は、上述の第1の実施形態のように1つの基地局IDコードに対して1つ以上の位置情報をデータベース化して記憶保持したとき、その位置情報を基に、その基地局IDコードに対応する基地局Anの位置と、その基地局Anに無線通信部4が接続可能であるエリアを推定する。第3の実施形態において、例えば図7に示すようにGPS測位データと基地局IDコードのデータベースが記憶保持されているときのことを考える。この場合、例えば格納番号が1と4の2個のレコードが、同一の基地局IDコードについてのものになっている。
【0039】
このように、例えば同一の基地局IDコードについて複数のレコードがデータベースに保持されているときには、端末制御部2は、この基地局IDコードについての各GPS測位データが示す地点から所定範囲のエリアが重複しているエリア内に、その基地局IDコードを有する基地局Anが存在することを推定する。図8は、この推定処理の流れの一例を示す。また、図9(a)、(b)、(c)は、この推定処理により推定されるエリアを示す。図において、網掛けされた範囲が推定されたエリアを示す。
【0040】
以下に、図8を参照してこの推定処理について説明する。端末制御部2は、RAM2bに保持されているデータベースにGPS測位データと基地局IDコードとを対応付けて記憶させる。ここで、この基地局Anから送出される電波が届く距離をRとする。このとき、図9(a)に示すように、このGPS測位データが示す地点P1を中心に半径2Rで描かれる円c1の内部を、仮エリアとして設定する(S1)。その後、端末制御部2は、データベース中を探索し、このときデータベースに登録した基地局IDコードが、データベース中に既に登録されているものであるかどうかを判断する(S2)。データベース中にその基地局IDコードが登録されておらず、このとき記憶された基地局IDコードがデータベース中で新規なものであれば、仮エリアとして推定したエリアを、このとき無線通信部4が通信する基地局Anに無線通信部4が接続可能である本エリアとして設定する(S3)。一方、データベース中にその基地局IDコードが既に登録されていたときには、図9(b)に示すように、既に登録されているレコードのGPS測位データが示す地点P2を中心に半径2Rで描かれた円c2の内部と、上述のように設定された仮エリアである円c1の内部との重複範囲を、本エリアとして設定する(S4)。すなわち、その基地局Anに関して既に本エリアが設定されているときには、その本エリアと今回設定された仮エリアとのty往復範囲が、新しい本エリアとして設定される。
【0041】
図9(b)に示すように本エリアが設定された後、さらに同一の基地局Anと無線通信部4が接続しているときにGPS測位データが得られたときには、上述のようにデータベース化が行われると共に、そのGPS測位データが示す地点P3を中心とする円c3の内部が仮エリアとして設定される。そして、図9(c)に示すように、この仮エリアと、既にデータベースに登録されているレコードに基いて上述のように設定された本エリアとの重複範囲が、新たに本エリアとして設定される。このようにして端末制御部2が推定処理を行って基地局Anと無線通信部4とが通信可能であるエリアを推定し、エリアの情報をRAM2bに記憶する。そして、測位装置3がGPSにより測位不可能な状態で保持者により端末1が操作されたときに、無線通信部4がこの基地局Anと通信していた場合には、端末制御部2は、RAM2bに記憶されたこのエリアの情報を無線通信部4から送信させる。コールセンタDでは、この情報が端末1から送信されることにより、端末1が現在このエリア内に存在していることを把握することが可能となる。
【0042】
このように設定された本エリアは、基地局Anの設置位置である可能性がある範囲を示すものであり、また、基地局Anと無線通信部4とが通信可能である範囲を包含するものとなる。従って、第3の実施形態においては、基地局Anの設置位置が不明であっても、端末1の現在の概略位置をさらに精度良く得ることが可能となる。
【0043】
なお、データベースに基地局IDコードではなくセルIDコード又はロケーションエリアコードを記録しているときにも、同様に推定処理を行うことにより、そのセルIDコード又はロケーションエリアコードに対応するセル又はロケーションエリアの範囲を推定することが可能である。これにより、測位装置3がGPSにより測位不可能であるときにも、端末1の現在の概略位置を精度良く得て、端末1が存在するセル又はロケーションエリアの位置をコールセンタDに送信することが可能となる。
【0044】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態において、データベースが、基地局IDコードと、GPS測位データ及び電波の電界強度とを対応付けたものであるときに、端末1の無線通信部4が通信する基地局Anの位置とその基地局Anに無線通信部4が接続可能なエリアを推定するように構成されている。
【0045】
図10は、第4の実施形態におけるデータベースの一例を示す。第4の実施形態においては、推定処理の手順は上述の第3の実施形態と略同様であるが、仮エリアを設定するときに、そのとき基地局Anから送信された電波の電界強度に応じて仮エリアの大きさを変更させる点が第3の実施形態と異なるものである。
【0046】
この第4の実施形態において、仮エリアの大きさは、得られたGPS測位データが示す地点を中心とする円の半径を電波の電界強度に応じて変更させることにより変更される。円の半径は、電波の電界強度に応じて、例えば4段階の大きさに区分されるように予め設定されている。図11は、電波の電界強度と円の半径、すなわち仮エリアの範囲との関係の一例を示す。ここで、基地局Anから送出される電波が届く距離をRとする。図に示すように、電界強度が弱く、例えば30dBμV未満であるときには、仮エリアとなる円の半径は第3の実施形態と同様に半径が2Rとなるように設定されている。そして、電界強度が強くなるにつれて、仮エリアは徐々に小さくなり、例えば電界強度が、30乃至40dBμVの範囲内、40乃至50dBμVの範囲内、そして50dBμV以上であるときには、円の半径は、それぞれ、7/4R、6/4R、5/4Rとなるように設定されている。なお、この円の半径はこれに限られるものではない。すなわち、円の半径は、ある所定の電界強度において、そのときの基地局Anから端末1までの距離と同等の距離か、又はその距離より少し大きめの距離となるように設定すればよい。また、この円の半径は、電波の電界強度に応じてさらに多くの段階に区分されていたり、無段階に変化するように設定されていてもよい。
【0047】
図12(a)、(b)、(c)を参照して、第4の実施形態においての推定処理について説明する。なお、図において、網掛けされた範囲が本エリアに設定された範囲を示す。図12(a)に示すように、端末1の無線通信部4が基地局Anと通信しているときに測位装置3が端末位置を測位すると、端末制御部2は、得られたGPS測位データと基地局IDコード及び基地局Anから送信された電波の電界強度とをデータベース化する。このとき、データベースにこの基地局IDコードについてのデータは含まれておらず、また、電界強度が例えば45dBμVであったとする。端末制御部2は、仮エリアを、得られたGPS測位データが示す地点P4を中心に描かれた電界強度45dBμVに対応する半径6/4Rの円c4の内部とする。そして、データベースにこのとき通信していた基地局Anの基地局IDコードについてのデータがないことから、この仮エリアが本エリアとして設定される。
【0048】
その後、再び基地局Anと通信中にGPS測位データが得られ、例えばそのときの電界強度が32dBμVであるとする。このとき、図12(b)に示すように、このGPS測位データが示す地点P5を中心とする円c5が示す仮エリアの半径は、電界強度が32dBμVであることから7/4Rとなる。そして、図12(b)に示すように、上述のように設定されていた円c4が示す本エリアとこの仮エリアとの重複範囲が、新たな本エリアとして設定される。そして、さらに基地局Anと通信中にGPS測位データが得られ、そのときの電界強度が例えば28dBμVであるとき、図12(c)に示すように、このGPS測位データが示す地点P6を中心に半径2Rの円c6が示す仮エリアが設定される。この仮エリアと、図12(b)のように設定された本エリアとの重複範囲が、新たな本エリアとして設定される。
【0049】
端末1が操作されたとき、無線通信部4がこの基地局Anと通信していた場合には、端末制御部2は、例えば、RAM2bに記憶されたこの本エリアの情報と、そのときの電波の電界強度とから、端末1が現在位置するであろうエリアを推定する。そして、推定したエリアについての情報を無線通信部4から送信させる。これにより、コールセンタDでは、端末1が現在このエリア内に存在していることを把握することが可能となる。
【0050】
第4の実施形態においては、このように設定される本エリアが、第3の実施形態の本エリアよりも狭い範囲となるため、基地局Anの設置されている位置をより範囲を限定して示すものとなる。また、この本エリアは、基地局Anと無線通信部4とが通信可能である範囲を含むものであるため、端末1が現在位置すると考えられるエリアをより限定して推定することも可能となる。従って、端末1から送信される現在の概略位置の精度をさらに向上させ、その概略位置を信頼性の高いものにすることが可能となる。
【0051】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、端末1が移動等したときに、無線通信部4がそれ以前に通信したことがない基地局Anと通信したときには、測位装置3が、自動的に端末位置の測位を行うものである。
【0052】
図13は、第5の実施形態における端末1の動作を示す。先ず、無線通信部4が基地局Anと通信を開始したとき、端末制御部2は、無線通信部4が受信した基地局Anからの電波に含まれる基地局IDコードを取得する。その後、RAM2bに保持されているデータベースを参照し、その基地局IDコードに関するレコードがそのデータベース内に存在するかどうかを調べる(S31)。そして、データベース中にそのレコードが存在しない場合には、測位装置3に端末位置の測位を開始させ、GPS測位データの取得を試みる(S32)。GPS測位データが得られると、上述と同様に、そのGPS測位データと基地局IDコードとを対応付けてデータベース化する。一方、データベース中に既にその基地局IDコードに関するレコードが存在する場合には、端末制御部2は測位装置3に端末位置の測位を開始させない(S33)。
【0053】
このように、第5の実施形態においては、無線通信部4が初めて通信する基地局Anと通信を開始したときに、速やかにデータベースにその基地局Anに対応するGPS測位データを記憶させることが可能となり、データベースをより多くの基地局Anに対応した充実したものにすることが可能となる。従って、端末1は、このデータベースを用いることにより、より広い範囲で、より精度良く、現在の概略位置を得ることが可能となる。また、データベース中に既にレコードが保持されているときには、端末位置の測位を実行しないため、端末1を省電力化することが可能となる。
【0054】
なお、端末1は、データベースに基地局IDコードについてのレコードを保持するものに限らず、上述のようにセルIDコード又はロケーションエリアコードについてのレコードを保持するような構成であってもよい。また、基地局IDコードと、GPS測位データ及びそのときの電波の電界強度とを対応付けてデータベース化するような構成であってもよい。
【0055】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態において、端末1の端末制御部2は、RAM2bに保持しているデータベース中に既に記憶保持されている基地局IDコードに対応付けられる新たなGPS測位データが得られたときに、所定の場合にはデータベース中からその基地局IDコードに対応付けられるGPS測位データを削除する。より具体的には、データベースに保持されているGPS測位データが示す地点と、現在の地点との間の距離が、所定距離以内であったり、所定距離以上であったときには、
データベース中に記憶保持されているGPS測位データに関するレコードをデータベースから削除する。そして、新たに得られたGPS測位データと基地局IDコードとを対応付けてデータベース化する。この処理は、例えば図14に示すように、データベース中の格納番号1として既に記憶保持されている基地局IDコードと同一の基地局IDコードとGPS測位データとが、対応付けられて格納番号nとしてデータベース化されるときに実行される。
【0056】
図15は、第6の実施形態において端末制御部2が実行する処理の一例を示す。先ず、端末制御部2は、データベースに記録保持されたGPS測位データの緯度経度情報を基に、新たに得られたGPS測位データが示す地点と既に記憶保持されている前回得られたGPS測位データが示す地点との間の距離を計算する(S51)。そして、その距離が例えば10m以内かどうか判断し(S52)、10m以内であれば、既に記憶保持されている前回のGPS測位データについてのレコードをデータベース中から削除する(S53)。その後、新たに得られたGPS測位データとその基地局IDコードとを対応付けてデータベースに追加する(S54)。
【0057】
算出した距離が10mより大きかったときには(S52:NO)、次に、その距離が2R以上であるかどうかを判断する(S55)。ここで、Rは、この基地局Anから送出される電波が届く距離である。第6の実施形態において、端末制御部2は基地局Anの位置が変わったかどうかを判断するための変更カウンタを有している。そして、距離が2R以上であれば、この変更カウンタの値に1を加える(S56)。端末制御部2は、加算した後の変更カウンタの値が例えば3であれば(S57:YES)、変更カウンタをクリアして0にする(S58)。そして、上述と同様に既にデータベースに記憶保持されている前回のGPS測位データについてのレコードをデータベースから削除する(S53)。その後、新たに得られたGPS測位データとその基地局IDコードとを対応付けてデータベースに追加する(S54)。
【0058】
GPS測位データより計算した距離が10m以内ではなく2R以上でもなかったとき(S55:NO)や、距離が2R以上であっても変更カウンタの値が3にならなかったときには(S57:NO)、前回のGPS測位データについてのレコードをデータベース中に維持される(S59)。そして、その状態で、新たに得られたGPS測位データとその基地局IDコードとが対応付けてデータベースに追加される(S54)。
【0059】
このように、第6の実施形態においては、新たに得られたGPS測位データが示す地点とデータベース中に保持されている前回のGPS測位データが示す地点とが極めて近ければ、新たに得られたGPS測位データのみを保持するので、データベース中に記憶されるGPS測位データがより信頼性が高いと思われる新しいデータとなる。また、新たに得られたGPS測位データが示す地点と前回のGPS測位データが示す地点との距離が、共に同一の基地局Anからの電波を受信可能である範囲にあるとは考えられない程遠いようであれば、新たに得られたGPS測位データのみを保持するので、例えば基地局IDコードが変更された場合等でも、データベース中に記憶されるGPS測位データが、その変更が反映されたデータとなる。すなわち、第6の実施形態においては、データベースのデータの確からしさを向上させることが可能となり、端末1の現在の概略位置をより確実得ることが可能となる。
【0060】
ここで、端末制御部2は、上述のように、変更カウンタを用いて、変更カウンタの値が例えば3になったときに新たに得られたGPS測位データのみをデータベースに保持するように構成されていることから、例えば基地局IDコードが変更されていないのに、何らかの理由により新たに得られたGPS測位データが前回のGPS測位データが示す地点よりも2R以上離れた地点を示すものとなっても、すぐには前回のGPS測位データが削除されないようになっている。従って、前回のGPS測位データの削除が、確実に基地局IDコードの変更等があったときに実行されるので、よりデータベースのデータの確からしさを向上させることが可能となる。
【0061】
なお、第6の実施形態においても、端末1は、上述のようにセルIDコード又はロケーションエリアコードについてのレコードを保持するような構成であってもよく、基地局IDコードと、GPS測位データ及びそのときの電波の電界強度とを対応付けてデータベース化するような構成であってもよい。また、端末制御部2は、変更カウンタを有さず、計算した距離が例えば2R以上であったときにすぐに前回のGPS測位データを削除するように構成されていてもよい。さらに、前回のGPS測位データを削除するかどうか判断するときの距離の閾値や、変更カウンタの値は、上述に限られるものではなく、適当な値に設定されていればよい。
【0062】
本発明は上記の各実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、端末1は、いわゆる携帯電話のように通話機能を有しているようなものであってもよい。また、端末1の測位装置3は、GPSに対応しているものに限られるものではなく、GALILEOやGRONASS等、他のGNSS(Global Navigation Satellite Systems)に対応しているものであってもよい。このときにも、上述と同様に基地局IDコード等と端末1の位置情報とを対応付けてデータベース化しておくように構成することにより、端末1が、現在の概略位置を精度良く得ることが可能なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る緊急通報端末の一例を示すブロック図。
【図2】同端末を用いた緊急通報システムの構成を示す図。
【図3】同緊急通報システムに用いられる無線通信網を構成する無線基地局の一部を示す図。
【図4】同上端末に保持されるデータベースの一例を示す図。
【図5】同データベースの一変形例を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る緊急通報端末に保持されるデータベースの一例を示す図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る緊急通報端末に保持されるデータベースの一例を示す図。
【図8】同端末が行う推定処理の一例を説明するフローチャート。
【図9】(a)は同端末が推定する本エリアを説明する図、(b)は既に同一の基地局Anについて仮エリアが設定されていたときに推定される本エリアを説明する図、(c)は(b)からさらに端末位置の測位が行われたときに推定される本エリアを説明する図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る緊急通報端末に保持されるデータベースの一例を示す図。
【図11】同端末が行う推定処理に適用される電解強度と仮エリア範囲との関係を示す図。
【図12】(a)は同端末が推定する本エリアを説明する図、(b)は(a)からさらに端末位置の測位が行われたときに推定される本エリアを説明する図、(c)は(b)からさらに端末位置の測位が行われたときに推定される本エリアを説明する図。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る緊急通報端末の動作の一例を説明するフローチャート。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る緊急通報端末に保持されるデータベースの一例を示す図。
【図15】同端末が行う動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0064】
1 端末(緊急通報端末)
2 端末制御部
3 GPS測位装置(測位装置)
4 無線通信部
An 基地局(無線基地局)
B 無線通信網


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、
無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、
前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、
前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持することを特徴とする緊急通報端末。
【請求項2】
衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、
無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、
前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、
前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局から送信された無線信号に含まれるセルIDコード又はロケーションエリアコードと得られた位置情報とを対応付けてデータベース化し、記憶保持することを特徴とする緊急通報端末。
【請求項3】
衛星測位システムの信号を受信し端末位置を測位する測位装置と、
無線信号を送受信し、無線通信網を構成する複数の無線基地局のうちいずれかと通信することによりその無線通信網に接続する無線通信部と、
前記測位装置及び無線通信部と通信し、前記測位装置により得られた位置情報を前記無線通信部より送信する機能を有する端末制御部とを備えた緊急通報端末であって、
前記端末制御部は、前記測位装置が位置情報を得たときに、そのとき前記無線通信部が通信を行っている無線基地局の基地局IDコードと、得られた位置情報及び前記無線基地局から送信された電波の電界強度とを対応付けてデータベース化し、記憶保持することを特徴とする緊急通報端末。
【請求項4】
前記端末制御部は、1つの基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対して1つ以上の位置情報をデータベース化して記憶保持したとき、前記位置情報を基に、当該基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応する無線基地局の位置と、その無線基地局に前記無線通信部が接続可能であるエリアを推定する機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の緊急通報端末。
【請求項5】
前記端末制御部は、1つの基地局IDコードに対して1つ以上の位置情報及び前記無線基地局から送信された電波の電界強度をデータベース化して記憶保持したとき、前記位置情報及び電界強度を基に、当該基地局IDコードに対応する無線基地局の位置及びその無線基地局に前記無線通信部が接続可能であるエリアを推定する機能を有することを特徴とする請求項3記載の緊急通報端末。
【請求項6】
前記測位装置は、前記無線通信部がそれ以前に通信したことがない無線基地局と通信したとき、自動的に端末位置の測位を開始することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の緊急通報端末。
【請求項7】
前記端末制御部は、既にデータベース化して記憶保持している基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、前記位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以内であれば、その記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の緊急通報端末。
【請求項8】
前記端末制御部は、既にデータベース化して記憶保持している基地局IDコード、セルIDコード、又はロケーションエリアコードに対応付けられる新たな位置情報が得られたとき、前記位置情報と記憶保持されている位置情報との間の距離が所定距離以上であれば、その既に記憶保持されている位置情報を削除し新たに得られた位置情報を記憶保持することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の緊急通報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−228018(P2007−228018A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43539(P2006−43539)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】