説明

緊急駆付け方法及び緊急駆付けシステム

【課題】専用の要員詰所での集中的な要員確保をせずに、分散配置した要員と倉庫を総合的に管理することにより、実効的に、多人数の駆付要員を現場に近い位置に確保し、規定された駆付時間を満たすように、効率的な要員駆付け及び物品搬送の体制を構築すること。
【解決手段】駆付要員の位置情報と倉庫の位置情報の組合せに対し、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算し、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる駆付要員及び倉庫の組合せから優先付けして、優先付けした結果に基づいて駆付要員に対し、倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を駆付要員の携帯端末装置に出力するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故処理に必要な駆付要員及び物品を、駆付要員の位置情報、倉庫位置情報を利用して、事故現場に短時間で到着できる駆付要員の選定、物品を保管した倉庫の選別、駆付け指示を行う緊急駆付け方法及び緊急駆付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
事故が発生した現場に、必要な物品及び対応可能な駆付要員を送り、事故対応を行うことは、様々な場面で発生する。例えば、通信機器の無人設備で事故が発生した場合、通信サービスへの影響を最小限にするために必要な機器、部品及び対応可能な技術要員を事故発生現場に駆付けさせることが必要となる。また、急な心臓停止に陥った人を救助するために、例えば、自動体外式除細動器(AED)とAEDの操作が出来る人を現場に駆付けさせる必要がある。
【0003】
図7を参照して、従来行われてきた駆付要員及び物品の現場駆付けの方法を説明する。図7は、従来の現場駆付けシステムの構成及び要員、物品の現場駆付けの方法を説明する図である。図7に示すように事故対応に関連する構成要素は、事故現場、駆付要員、物品を保管する倉庫59、駆付け指示等を行う事故管理要員55及び事故管理要員55を支援する管理システムである事故管理サーバ(MGサーバ)50である。事故は面的に分散された場所において確率的に発生するが、要員確保及び駆付時間を保証するために、駆付要員は、要員詰所57で待機していることが一般的である。また、倉庫59も効率的に物品を保管するためパーツセンター等の集約した形を採ることが多い。更に、事故処理を円滑に進めるために事故管理要員55を配し、事故管理要員55は、事故管理サーバ50を援用し、要員管理者、倉庫管理者と連携した事故処理のコントロールを行っている。
【0004】
事故が発生した場合、事故現場からは、電話、メール等で発生場所、発生時の現場状況が事故管理要員に通知される。事故管理要員55は、事故情報及び事故管理サーバ50に格納されている現場の構成、対応手順書に基づき、現場に派遣すべき要員の必要なスキル、事故対応に必要な物品を決定し、要員の現場駆付けの指示を駆付要員詰所の要員管理者に行い、更に、倉庫に保管されている物品の現場への搬送を倉庫管理者に指示する。また、駆付要員詰所では、駆付け可能な要員を選別し、現場に要員を派遣する。尚、スキルとは、事故に対する状況把握が適切に行え、また、修理等を行うための優れた能力、技術をいう。
【0005】
図7に示すように、事故現場より事故管理要員55に事故内容SA5が通知される。事故管理要員55は要員、倉庫、事故管理サーバ50配下のデータベースである要員氏名、所属詰所、要員のスキル等の要員情報を記憶した要員DB(テータベース)53、倉庫の位置、在庫物品等を記憶した倉庫DB52、事故現場の位置、現場の構成、事故対処方法を記憶した事故DB51を援用して、要員詰所57に要員駆付け指示SC5を送ることで、要員3が事故現場にルートA1で駆付けることとなる。一方、事故管理要員55は出庫指示SC6−1で倉庫管理者に物品の出庫を指示し、また、搬送指示SC6−2で運送業者に物品搬送の依頼を行う。運送業者はトラックTRを手配し、倉庫59から必要物品を受け取って、ルートA3で事故現場に送り届ける。他の方法としては、駆付要員4がルートA2により、倉庫から必要物品を引き出した後に現場に駆付ける方法である。この場合は、事故管理要員55の指示SC5に物品情報、倉庫立ち寄り指示が含まれている。
【0006】
このように、従来の現場駆付けの方法は、要員が要員詰所で待機し、また、物品をパーツセンター等の集約した状態で保管して、事故管理要員が、要員詰所の要員に駆付指示を行い、また、パーツセンターに物品の手配を行っていた。
【0007】
また、部品の手配、配送等を敏速に行うべく、処理装置からなる入力システムを用いた保守部品の搬送方法が特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、ユーザコンピュータが障害箇所を診断機能により自動的に特定し、受付システムが障害箇所の判定と保守部品の払い出し依頼を行い、入力システムが部品払い出し倉庫の選定と搬送者の携帯端末への搬送指示を行うとともに、保守部品の搬送動向を監視し、万が一、前記保守部品が予定通り現地に到着しそうにない状況になった場合は直ちに代替え手段にて前記部品の搬送を指示するとともに搬送先に待機する保守員の端末に連絡することにより、ユーザコンピュータの迅速な修理を実現可能となる。
【0008】
また、特許文献2には、設備故障が発生した建物に対して複数の係員から即応可能な候補者を迅速に選択して対応する係員出動指令システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−18199号公報
【特許文献2】特開2010−92193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
事故等による緊急駆付けでは、定められた駆付時間内に駆付要員、及び必要物品を短時間で現場に到着させるように、効率的な駆付要員、及び倉庫の配置を行うことが求められている。所定時間t0以内に駆付要員が現場に駆付けることを可能にするためには、要員の確保時間t1と、確保された要員のいる場所(要員詰所)から現場まで行くのに必要な移動時間t2を加えた時間がt0より小さいことが必要になる。移動時間t2を一定時間以内にするためには、現場と要員詰所の位置関係が重要となる。現場が広域の場合は、要員詰所を複数設置して、駆付時間の制限を満足させる必要がある。図8は、現場と要員詰所の関係を示す図である。ここで、ひとつの要員詰所の守備範囲をゾーンとする。図8では3つのゾーン61の構成例を示している。駆付時間の制限が短い場合は、ゾーン61を増やすこと、即ち、要員詰所を多く設置する必要が出てくるため、非効率な駆付体制を維持しなければならない。
【0011】
次に、駆付け要求が来た時、駆付要員を確保するための時間t1を一定時間以内にする必要がある。例えば、契約されたサービスレベルを満足させるためには、余裕のある駆付要員数を確保している必要がある。しかしながら、駆付要員数に余裕をもたせることにより、コストが上昇する。効率化のために、要員詰所にいる要員は複数の駆付サービスに対応する等の工夫で、稼働率をあげている。この時、要員稼働率と待ち時間(駆付要員を確保するまでの時間)の関係が重要となる。このようなサービスに対する待ち時間とサービス稼働率の関係は、待ち行列モデルで説明することができる。即ち、待ち行列M/M/nモデルでは駆付け要求がポアソン分布で到着し、n個(通常は複数)の指数サービス窓口(駆付要員)をもつモデルで表すことができる。待ち行列M/M/nモデルによれば、駆付要員の稼働率が上がると待ち時間が急激に増加することであり、要員数が小さいほど待ち時間が増加することである。このことは、効率的な運用を行うためには、多人数の駆付要員を収容する要員詰所が望ましいことを意味する。しかしながら、駆付時間を考慮すると、要員詰所は一定距離に設置する必要があるため、効率の点で、両者を満足することは容易ではない。
【0012】
このため、専用の要員詰所での集中的な駆付要員確保をせずに、分散配置した駆付要員と倉庫を総合的に管理することにより、実効的に、多人数の駆付要員を現場に近い位置に確保し、効率的な要員駆付け及び物品搬送の体制を構築することが求められる。
【0013】
そこで、本発明は、専用の要員詰所での集中的な要員確保をせずに、分散配置した駆付要員と倉庫を総合的に管理することにより、実効的に、多人数の駆付要員を現場に近い位置に確保し、規定された駆付時間を満たすように、効率的な要員駆付け、及び物品搬送の体制を構築することが可能な緊急駆付け方法及び緊急駆付けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的達成のため、本発明の緊急駆付け方法は、要求された駆付場所に、必要な要員と物品を到着させる緊急駆付け方法であって、位置情報を取得可能な携帯端末装置を各々所有した単数又は複数の駆付要員と、駆付け指令を発する指令サーバと、前記指令サーバから読み出し可能な、物品を保管した単数又は複数の倉庫の位置情報を記憶した倉庫データベースとを有し、前記指令サーバは、要求された駆付場所の位置情報と、駆付要求時の各々の駆付要員の前記携帯端末装置からの位置情報と、前記倉庫データベースに記憶されている各々の倉庫の位置情報とを用いて、前記各々の駆付要員の位置情報と前記各々の倉庫の位置情報の組合せに対し、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算するステップと、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けするステップと、優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を前記各々の駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップと、からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の緊急駆付け方法は、優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員の一方の駆付要員に対し、直接要求された駆付場所に駆付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力し、他方の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の緊急駆付け方法は、優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから要求された駆付場所に駆付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の緊急駆付け方法の前記指令サーバは、更に、読み出し可能な、駆付要員のスキル情報及び駆付け要求のあった時点の駆付要員の稼働状況を記憶したデータベースを有し、前記各々の駆付要員の前記位置情報に加えて前記データベースから読み出した前記駆付要員のスキル情報及び前記駆付要員の稼働状況に基づいて、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けするステップを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の緊急駆付け方法の前記指令サーバは、前記各々の駆付要員が移動可能な最速の移動手段の移動速度に基づいて、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算するステップを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の緊急駆付けシステムは、要求された駆付場所に、必要な要員と物品を到着させる緊急駆付けシステムであって、位置情報を取得可能な携帯端末装置を各々所有した単数又は複数の駆付要員と、駆付け指令を発する指令サーバと、前記指令サーバから読み出し可能な、物品を保管した単数又は複数の倉庫の位置情報を記憶した倉庫データベースとを有し、前記指令サーバは、要求された駆付場所の位置情報と、駆付要求時の各々の駆付要員の前記携帯端末装置からの位置情報と、前記倉庫データベースに記憶されている各々の倉庫の位置情報とを用いて、前記各々の駆付要員の位置情報と前記各々の倉庫の位置情報の組合せに対し、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算する駆付時間算出手段と、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けする優先順位決定手段と、前記優先順位決定手段の優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を前記各々の駆付要員の前記携帯端末装置に出力する駆付指令手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
[発明の効果]
以上の如く本発明に係わる緊急駆付け方法は、駆付要員の位置情報と倉庫の位置情報の組合せに対し、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算し、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる駆付要員及び倉庫の組合せから優先付けして、優先付けした結果に基づいて駆付要員に対し、倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を駆付要員の携帯端末装置に出力することにより、専任の駆付要員を確保することなく、他の業務を実行している駆付要員の現在位置情報を把握することで、緊急に駆付けが必要となる事故が発生した時の駆付要員の確保が容易となる。
【0021】
また、必要なスキルを有している駆付要員が直接現場に向かうことにより、事故状況の把握が行え、また、修理に必要な物品が到着していなくとも、修理に必要な準備等の一次作業をすることができる。このため、他の駆付要員に物品の搬送を指示して、物品が後から到着しても、物品の交換等の修理作業がスムーズに行える。
【0022】
更に、倉庫の分散配置も可能になり、小規模なスペースさえあれば、いろいろな場所を倉庫として利用することが可能になる。ユビキタス社会での各種インフラ機器の故障対応、一人暮らし、介護が必要な人に起きた事故への対処といった面的に広がった事故現場への緊急駆付けを可能とする。このことは、効率面での優位性のみならず、人材確保の面で有効となる。例えば、主婦、リタイアした高齢者等への駆付要員の拡大が実現できる。同様に、タクシー運転手、運送業の運転手等が駆付要員となることが可能になり、異業種との相乗効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の緊急駆付けシステムの構成を示す図である。
【図2】緊急駆付けシステムによる事故通知から駆付指示までの処理を示すフローチャートである。
【図3】緊急駆付けシステムのメッセージ及び移動動作を示すシーケンス図である。
【図4】駆付要員の移動手段を考慮した駆付時間の計算法を示す図であり、(a)は必要なスキルを有している駆付要員が直接現場に向かい、スキルを有していない駆付要員が倉庫に立寄る場合、(b)は駆付要員が倉庫に立寄る場合を示す。
【図5】データベースの情報に基づいた駆付処理の流れを示す図である。
【図6】(a)は、単純に要員、倉庫の位置を地図上に重畳した画面の図、(b)は、地図上の位置から移動経路を地図上に表示した図である。
【図7】従来の現場駆付けシステムの構成及び駆付要員、物品の現場駆付けの方法を説明する図である。
【図8】現場と要員詰所の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明による緊急駆付け方法を実施するための形態について説明する。
【0025】
[緊急駆付けシステムの構成]
図1は、本発明の緊急駆付けシステムの構成を示す図である。図1に示すように、緊急駆付けシステム1は、駆付要員が所持する携帯端末装置20と、倉庫に備えた倉庫端末装置23と、事故、設備の故障等の通報を行う事故通報装置26と、事故発生現場からの事故の通報を行う電話28、ファクシミリ28、電子メール(以下メールと記す)28と、事故の受付、駆付処理を行う駆付管理センター2を有している。携帯端末装置20、倉庫端末装置23、事故通報装置26及び電話28、ファクシミリ28、メール28は通信網30を介して駆付管理センター2に接続されている。
【0026】
携帯端末装置20を所持した駆付要員は、現場に駆付ける駆付要員を示しており、特に集合して一箇所で駆付けを待っているものではなく、移動中を含め、分散された位置に配置されている。駆付要員が所持する携帯端末装置20は、GPS機能付き携帯端末であり、駆付管理センター2からの位置確認メッセージを受信して、最新の位置情報を駆付管理センター2に出力するものである。また、携帯端末装置20は、駆付管理センター2に駆付要員の操作により駆付要員の稼働状況、可能な移動手段(自動車、バイク、自転車、電車等)を示すステータス情報を返送することが可能となっている。尚、携帯端末装置20は、GPS機能により位置情報を取得するものであるが、GPS以外の他の測位手段であってもよい。
【0027】
倉庫端末装置23を備えた倉庫は、現場に持っていく物品を保管している倉庫であり、駆付要員と同様に、分散して配置されている。倉庫端末装置23は、通信機能を有しており、駆付管理センター2とのデータ等の送受信が行えるようになっている。倉庫端末装置23は、倉庫内の物品の入出庫状況の駆付管理センター2への通知、駆付管理センター2からの部品の出庫通知の処理、倉庫の解錠処理等を行うものである。
【0028】
事故通報装置26は、事故、設備の故障等の通報を駆付管理センター2に行う装置であり、現場に設置されている監視装置、あるいは遠隔監視装置の一部である。また、事故通報装置26以外に電話28、ファクシミリ28、メール28等により事故発生現場から事故の通報を行うことも可能である。
【0029】
事故の受付、駆付処理を行う駆付管理センター2は、指令サーバ3(SCサーバともいう)と、事故受付装置5と、倉庫管理装置7と、要員管理装置9と、受付装置11と、経路サーバ4(RTサーバともいう)とを備えている。指令サーバ3、経路サーバ4及び各装置は、LAN(Local Area Network)13で接続されており、ゲートウェイ12を介して通信網30と接続されている。駆付管理センター2の指令サーバ3、事故受付装置5、倉庫管理装置7、要員管理装置9、受付装置11及び経路サーバ4は、コンピュータからなり、記憶装置に格納されているプログラムを実行して、処理を行うようになっている。
【0030】
指令サーバ3は、要求された駆付場所の位置情報と、駆付要求時の駆付要員の携帯端末装置20からの位置情報と、倉庫の位置情報とを用いて、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる駆付要員及び倉庫の組合せから優先付けを行い、優先付けした結果に基づいて駆付要員に対し、倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を駆付要員の携帯端末装置20に出力する駆付処理を行うものである。
【0031】
事故受付装置5は、事故通報装置26又は受付装置11から入力される事故を受付するものである。事故受付装置5は、事故データベース(事故DB)6を有しており、事故DB6は、事故現場の位置情報、事故現場の構成内容、事故対応の手順情報等を記憶している。
【0032】
倉庫管理装置7は、倉庫端末装置23からの倉庫内の物品の入出庫状況の通知等を行うものであり、倉庫の位置情報、保管されている物品情報を保持する倉庫データベース(倉庫DB)8を有している。倉庫管理装置7は、倉庫端末装置23からの倉庫内の物品の入出庫状況に応じて倉庫DB8の更新を行う。また、倉庫管理装置7は、指令サーバ3からの指示により、倉庫DB8のデータを読み出して、倉庫の位置情報、問合せ物品の在庫の有無を指令サーバ3に出力する。倉庫管理装置7は、物品に付したRFID(Radio Frequency Identification)タグやラベルの情報を読み出して物品の入出庫の管理を行っている。また、倉庫は、通常無人であり、指令サーバ3からの指示により、駆付要員が物品の出庫する際の電子錠の解錠の管理を行うことも可能である。例えば、駆付要員が物品の出庫する際に指令サーバ3からパスワードが送信され、また、倉庫管理装置7にもパスワードが送信されて、パスワードが一致したときのみ倉庫管理装置7は解錠を行うようにしてもよい。これにより、倉庫のセキュリティが維持される。
【0033】
要員管理装置9は、駆付要員の位置情報、ステータス情報を取得し、管理するものである。また、要員管理装置9は、駆付要員の氏名、所属ゾーン、駆付要員のスキル情報等を記憶した要員データベース(要員DB)10を有している。尚、スキルとは、事故に対する状況把握が適切に行え、また、修理等を行うための優れた能力、技術をいう。このため、スキルを持った駆付要員は、短時間で事故の把握、事故の解決が行える。
【0034】
受付装置11は、事故情報が電話28、ファクシミリ28、メール28等により通知されたときに、オペレータが事故情報を入力して、事故受付装置5に出力するものである。また、受付装置11は、事故管理者の駆付要員の決定、倉庫の選択を行うときの指令サーバ3からの情報を表示することも可能となっている。
【0035】
また、経路サーバ4は、事故現場の位置情報、駆付要員の位置情報及び倉庫の位置情報から道路情報等の地理情報に基づき各位置までの経路上の距離の計算を行うものである。経路サーバ4は、指令サーバ3からの処理要求に基づいて距離算出の処理を行う。また、経路サーバ4は、通信網30を介して道路状況、例えば、通行止め、混雑情報を定期的に取得するようにしてもよい。これにより、道路状況に応じた距離算出の処理を行うことができる。尚、図1に示す経路サーバ4は、駆付管理センター2に設けられているが、経路サーバ4を駆付管理センター2外に設けて通信網30を介して接続するようにしてもよい。
【0036】
通信網30は、インターネット、電話回線網等で構成されており、インターネット、電話回線網に限らず通信網として機能するものであればよい。
【0037】
[緊急駆付けシステムによる駆付処理]
次に、緊急駆付けシステムによる駆付処理について図2及び図3を用いて説明する。図2は、緊急駆付けシステムによる事故通知から駆付指示までの処理を示すフローチャート、図3は、緊急駆付けシステムのメッセージ及び移動動作を示すシーケンス図である。
【0038】
図2に示すように、最初に、事故発生通知の受領がなされる(ステップS1)。事故発生の通知は、図1に示す現場に設置されている事故通報装置26から事故情報(事故発生位置、事故の内容)が通信網30を介して事故受付装置5に出力されることにより行われる。また、電話28、ファクシミリ28、メール28等により事故が通知されたときには、オペレータにより受付装置11に事故情報が入力されて、事故受付装置5に出力される。事故受付装置5は、事故情報を事故データベース6に格納し、また、事故情報を指令サーバ3に転送する。このとき、図3に示すように、事故が発生した時、事故現場から事故情報SA1は、事故受付装置5に入力されて、事故DB6に事故情報が格納され、また、事故情報が指令サーバ3に事故情報S1として通知される。
【0039】
次に、指令サーバ3は、事故情報(事故発生位置、事故の内容)を基に、事故受付装置5の事故DB6に格納されている事故現場の位置、現場に必要な駆付要員スキル、必要物品、及び予め格納されている現場の構成情報、事故復旧の手順書等を入手する(ステップS2)。このとき、図3に示すように、指令サーバ3は、事故受付装置5に事故情報S2(S)を出力し、事故受付装置5は、事故情報S3をキーとして事故DB6を検索して、事故現場の位置、現場に必要な駆付要員スキル、必要物品等の情報を事故受付装置5から事故対応情報S2(R)を入手する。
【0040】
次に、駆付要員の現在位置、ステータス情報の入手を行う(ステップS3)。図3に示すように、指令サーバ3は、事故現場からの情報に基づき、要員管理装置9に位置情報入手指示S1(S)を行い、要員管理装置9は管理している駆付要員全員の現在位置を入手するため、各駆付要員の持っている携帯端末装置20に向けて、位置確認メッセージSL1(S)からSL3(S)を該当する携帯端末装置20に送り、各携帯端末装置20からの応答メッセージSL1(R)からSL3(R)により最新の位置情報を入手する。しかる後、要員管理装置9は、入手完了メッセージS1(R)を指令サーバ3に送出する。尚、要員位置情報入手指示S1(S)により駆付要員の位置情報だけでなく、各駆付要員の稼働状況、可能な移動手段(自動車、バイク、自転車、電車等)を示すステータス情報も返送することも可能である。また、要員管理装置9は、要員DB10から各駆付要員のスキルを入手して、駆付要員のスキル情報を返送することも可能である。ここで、要員位置情報入手指示S1(S)により駆付要員の携帯端末装置20から位置情報を入手しているが、要員管理装置9からの位置通報指示、又は各携帯端末装置20自体が自立的に更新した位置情報を出力して、要員DB10に常に更新した位置情報を記憶して、要員DB10から駆付要員の現在位置を入手するようにしてもよい。
【0041】
次に、指令サーバ3は、駆付要員の現在位置、ステータス情報、スキル情報を基に、駆付可能な要員の抽出を行う(ステップS4)。
【0042】
次に、駆付け修理に必要な部品を在庫している倉庫、及びその位置を抽出する(ステップS5)。図3に示すように、指令サーバ3はステップS2で得られた必要物品をキーとするS3(S)メッセージを倉庫管理装置7に出力し、倉庫管理装置7は、必要物品をキーとして倉庫DB8を検索して、物品を在庫している倉庫、及びその位置を入手する。倉庫管理装置7は、物品を在庫している倉庫、及びその位置をS3(R)として指令サーバ3に返送する。これにより、必要物品を在庫している倉庫、及びその位置情報を入手することができる)。尚、倉庫DBに格納されている物品は、入出庫管理と連動して、自動又は手動で予め最新の状況にアップデートされている。
【0043】
次に、駆付要員及び物品を入手する倉庫の選定を行う。駆付要員及び倉庫の選定処理では、事故現場と駆付要員の位置(場所)との距離、事故現場と倉庫の位置との距離及び駆付要員の位置と倉庫の位置との距離の各距離計算を実行する。距離計算は、指令サーバ3内のみで選別する方法(単純直線距離)と、図3に示すように、経路サーバ4により道路地図に基づいた経路探索を行う方法(道路情報による距離)がある。指令サーバ3内で行う選別方法には、単純な緯度、経度情報より単純にユークリッド距離を計算するものである。一方、地図情報を使って正確に距離を計算するためには、経路サーバ4との連携することにより、指令サーバ3からS4(S)で最短経路リクエストを経路サーバ4に送り、経路サーバ4の計算結果をS4(R)メッセージで受ける形態で行われる。経路サーバ4は所謂ナビゲーションシステムの一機能を実行するものであり、出発地点と目的地間の距離を推測することができる。
【0044】
指令サーバ3は、駆付要員及び倉庫の選定を行うための距離計算を行う。指令サーバ3は、距離計算に際して、単純直線距離又は道路情報による距離かの選択を行う(ステップS6)。尚、単純直線距離又は道路情報による距離かの選択は、前もって設定しておくようにする。
【0045】
しかる後、駆付要員、倉庫の選別のための計算を行う。単純直線距離が選択された場合には(ステップS6でNo)、事故現場の位置と、抽出された各駆付要員、各倉庫の全て組合せに対し、駆付けに要する距離を計算する。また、駆付要員の移動手段の速度から各位置までの移動時間を算出する(ステップS7)。一方、道路情報による選択された場合には(ステップS6でYes)、道路情報を加味した距離計算で行う。道路情報を加味した距離計算は、経路サーバ4で行うようにする。即ち、事故現場の位置情報、倉庫の位置情報及び駆付要員の位置情報を基に、駆付要員の位置から事故現場までの距離、駆付要員の位置から倉庫までの距離及び倉庫から事故現場までの距離を計算する。また、経路サーバ4からの距離データを基に、駆付要員の移動手段の速度から各位置までの移動時間を算出する(ステップS8)。尚、経路サーバ4を設けて距離計算を行うが、通信網を介して一般的な経路検索サービスを利用することもできる。
【0046】
図4は、駆付要員の移動手段を考慮した駆付時間の計算法を示す図であり(a)は、必要なスキルを有している駆付要員が直接現場に向かい、スキルを有していない駆付要員が倉庫に立寄る場合、(b)は、駆付要員が倉庫に立寄る場合を示す。徒歩、自転車、バイク、自動車、電車といった移動手段による移動速度の違いを考慮し、距離と駆付要員が移動可能な最速の移動手段の移動速度に基づいて駆付時間を計算するようにする。
【0047】
事故によっては、大至急スキルを持った要員を駆付けさせた方がよい場合がある。図4(a)に示すケース1は、事故対応に必要なスキルを有している要員1が直接現場に向かい、スキルを有していない要員2が倉庫に立寄る場合を示す。図4(a)に示すように、要員1と事故現場までの距離をL21とし、要員1の平均移動速度をV1すると、要員1の移動時間T11は、T11=L21/V1となる。また、要員2と倉庫までの距離をL23とし、倉庫と事故現場までの距離をL12とし、要員2の平均移動速度をV2とすると、要員2の移動時間T21は、T21=L23/V2+L12/V2となる。
【0048】
一方、図4(b)に示すケース2の場合は駆付する要員3が倉庫に立寄る場合を示す。図4(b)に示すように、要員3と倉庫までの距離をL11とし、倉庫と事故現場までの距離をL12とし、要員3の平均移動速度をV3とすると、移動時間T31は、T31=L11/V3+L12/V3となる。
【0049】
これにより、ケース1に示す必要なスキルを有している駆付要員が直接現場に向かう場合は、ケース2に示す駆付要員が倉庫に立寄る場合と比較して(T11≦T31)、駆付時間を短縮することが可能となる。必要なスキルを有している駆付要員が直接現場に向かうことにより、事故状況の把握が行え、また、事故処理に必要な物品が到着していなくとも、事故処理に必要な準備等の一次作業をすることができる。このため、他の駆付要員に物品の搬送を指示して、物品が後から到着しても、物品の交換等の事故処理の作業がスムーズに行える。
【0050】
このように、両者の計算を行い、倉庫経由の駆付時間が契約されたサービスレベル(SL)より長い場合は、スキルを有しない駆付要員が倉庫に立寄り、事故現場に必要物品を持参する組合せによる計算を実施する。
【0051】
次に、ステップS7又はステップS8で計算された移動時間の結果、駆付要員のスキルを用いて要員、倉庫の決定を行う(ステップS9)。即ち、契約されたサービスレベル(SL)に従い、駆付要員が倉庫に立寄り、現場に駆付けることでSLを満足できる場合は、その要員を駆付要員と決定し、SLが満足できない場合は、スキルを有する駆付要員が事故現場に直行し、スキルの無い駆付要員は倉庫に立ち寄って物品を現場に搬送するように優先付けを行って、駆付要員、倉庫の選出を行う。
【0052】
しかる後、ステップS10で駆付要員に対しての駆付け指示を行う。駆付け指示情報には、駆付現場の位置、立寄る倉庫の位置、現場に持参する物品名、数量、現場作業に必要なドキュメント類を含む。ドキュメントに関しては、通信で要員の持つ端末に送信する方法、倉庫に保管する方法がある。
【0053】
次に、ステップS9で決定した駆付要員の現場駆付けの実施例を説明する。図3に示すケース1は、駆付要員と物品を搬送する駆付要員が異なる場合を示す。ケース1は駆付け緊急度が高いため、スキルを有する要員1は倉庫に立寄らず、事故現場に直行するように指令サーバ3は、メッセージSC1(S)を発する。要員1は、事故現場到着時に携帯端末装置20から指令サーバ3にメッセージSC1(R)を送信して、現場到着を通報する。また、指令サーバ3は、倉庫に立ち寄って必要な物品を事故現場に搬送するように、要員2にメッセージSC2(S)を発する。要員2は必要なスキルを有していないが、物品の搬送時間が短いため、指令サーバ3によって選出されたものである。要員2は、倉庫に駆付け、必要な物品を出庫し、事故現場に駆付ける。出庫時、倉庫端末装置23は、出庫した物品の添付してあるRFIDにより自動的に出庫物品が何であるかを検出して、倉庫管理装置7に倉庫更新情報SD2(S)を送信し、倉庫管理装置7の倉庫DB8を更新する。また、要員2は、事故現場到着時に携帯端末装置20から指令サーバ3にメッセージSC2(R)を送信して、現場到着を通報する。
【0054】
また、図3に示すように、ケース2は、駆付要員が倉庫に立寄り、必要物品を倉庫から出庫し、現場に駆付ける場合を示している。指令サーバ3からメッセージSC3(S)で指示された要員3は、メッセージSC3(S)に含まれた倉庫情報を元に、倉庫に駆付け、必要な物品を出庫し、現場に駆付ける。出庫時、倉庫端末装置23は、出庫した物品の添付してあるRFIDにより自動的に出庫物品が何であるかを検出して、倉庫管理装置7に倉庫更新情報SD3(S)を送信し、倉庫管理装置7の倉庫DB8を更新する。また、要員3は、事故現場到着時に携帯端末装置20から指令サーバ3にメッセージSC3(R)を送信して、現場到着を通報する。
【0055】
また、ケース1の倉庫立ち寄り要員2又はケース2の要員3に対しては、倉庫の開錠に対し、許可情報を送り、倉庫管理の安全性を確保することも可能である。例えば、メッセージSC2(S)又はSC3(S)に、鍵情報を付加することで倉庫立寄り要員のみが鍵情報を入手できる。鍵情報はワンタイム使用とすることで、より強いセキュリティを確保できる。分散配備された倉庫の場合、無人倉庫となる場合が多く、駆付要員全員に、複数の倉庫の鍵を所持させるのは鍵管理の安全上問題があるが、鍵情報で管理することにより安全な倉庫管理が可能となる。
【0056】
[データベースの情報に基づいた駆付処理の流れ]
以上、緊急駆付けシステムによる駆付処理をフローチャーと及びシーケンス図で説明したが、次に、駆付処理に関して、各データベースの情報に基づいた処理の流れを図5を用いて説明する。図5は、データベースの情報に基づいた駆付処理の流れを示す図である。
尚、図5に示す固定情報は、前もって事故DB6、倉庫DB8及び要員DB10に記憶されていることを示す。また、テンポラリ情報とは、駆付処理の過程で生成されるデータベース情報を示す。また、太線で示す枠のADは、事故DB6を示し、SDは、倉庫DB8を示し、MDは、要員DB10を示す。DDは、最適な組合せ処理で得られる組合せ結果を格納した指令サーバの記憶装置のデータベースを示す。また、太線で示す枠には各データベースの項目を示し、下段の欄は、項目毎のデータ構成を示す。
【0057】
図5に示すように、事故情報が通報されて事故受付装置5で事故内容の取得が行われる。事故情報は、事故の発生位置、事故の内容である(図5に示す事故内容取得P1)。また、事故情報は、指令サーバ3に通知される。指令サーバ3は、事故の発生位置、事故の内容をキーワードとして事故受付装置5の事故DB6から現場の位置、現場の規模等を示す現場構成情報及び事故内容に応じた事故対処方法を読み出す。事故対処方法には、駆付要員の必要なスキル、修理修復等に必要な部品、マニュアル等である。これにより、指令サーバ3は、駆付け位置、駆付要員のスキル及び現場持込部品等の対応必要情報が得られる(図5に示す必要情報の抽出処理P2)。
【0058】
次に、指令サーバ3は、必要情報の抽出処理で得られた駆付け位置、要員管理装置9からの駆付要員位置、ステータス情報を基に、駆付け可能な駆付要員を抽出して、要員管理装置9の要員DB10から駆付要員名、駆付要員のスキルを読み出して、駆付要員の位置、その駆付要員のスキル、駆付要員のステータスのリストを生成する(図5に示す要員位置、ステータス取得処理P3)。また、必要情報の抽出処理で得られた現場持込部品の情報から、倉庫管理装置7の倉庫DB8から現場持込部品を保存している倉庫を抽出して、その倉庫名、倉庫の位置を取得する(図5に示す倉庫候補の抽出処理P4)。
【0059】
次に、P2の必要情報の抽出処理による必要とする駆付要員のスキル、及びP3の駆付要員位置、ステータス取得処理による駆付要員位置、ステータス取得処理による駆付要員位置、駆付のスキル、駆付要員のステータスから駆付け可能な要員の抽出を行い、駆付要員位置、駆付要員位置のスキルの有無のリストを生成する(図5に示す駆付要員の抽出処理P5)。
【0060】
以上の倉庫候補の抽出処理及び駆付要員の抽出処理から得られた情報を基に、駆付け位置、倉庫位置に対する駆付要員毎の組み合わせ処理を行う。次に、各組み合わせ毎の駆付け距離を算出して、駆付け時間を計算する。その後、計算した駆付け時間と前もって規定されている駆付け時間とを比較して、優先付けを行って最適な駆付要員、倉庫を決定する(図5に示す最適な組合せ処理P6)。
【0061】
このように、本発明の緊急駆付けシステムでは、事故通知から駆付指示までの処理が短時間で行うことが可能となる。
【0062】
尚、図1、図2では管理要員を表記していないが、事故解決を指揮する管理者が指令サーバ3を援用することにより、駆付け処理を行うことも可能である。
【0063】
また、図1に示す緊急駆付けシステム1では、指令サーバ3とデータベース(DB)を有する事故受付装置5、倉庫管理装置7及び要員管理装置9からなる構成を示すが、指令サーバ3上の記憶装置に事故受付装置5、倉庫管理装置7及び要員管理装置9の各データベースを構成するようにして、事故受付装置5、倉庫管理装置7及び要員管理装置9を設けることなしに、事故受付、倉庫管理及び要員管理を指令サーバ3で行うことも可能である。
【0064】
以上述べたように、本発明によれば、駆付要員の位置情報と倉庫の位置情報の組合せに対し、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算し、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる駆付要員及び倉庫の組合せから優先付けして、優先付けした結果に基づいて駆付要員に対し、倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆付けるかの指令を駆付要員の携帯端末装置に出力することにより、専任の駆付要員を確保することなく、他の業務を実行している要員の現在位置情報を把握することで、緊急に駆付けが必要となる事故が発生した時の駆付要員の確保が容易となる。
【0065】
更に、倉庫の分散配置も可能になり、小規模なスペースさえあれば、いろいろな場所を倉庫として利用することが可能になる。ユビキタス社会での各種インフラ機器の故障対応、一人暮らし、介護が必要な人に起きた事故への対処といった面的に広がった事故現場への緊急駆付けを可能とする。このことは、効率面での優位性のみならず、人材確保の面で有効となる。例えば、主婦、リタイアした高齢者等への駆付要員の拡大が実現できる。同様に、タクシー運転手、運送業の運転手等が駆付要員となることが可能になり、異業種との相乗効果も期待できる。
【0066】
[実施例]
他の実施例は、駆付要員、倉庫の選別を自動選別せず、地図上に駆付要員の位置、倉庫の位置を表示しすることで、管理要員による手動の駆付要員、倉庫選別を行う例である。地図上に示された駆付要員、倉庫の位置を視覚的に理解できるので、管理要員による土地勘等の直感を駆使した選別が出来る。例えば、図1に示す経路サーバ4からの地図情報上に事故現場、駆付要員、倉庫を配して、検索した経路を図1に示す受付装置11の表示するようにする。図6は、マニュアル選別を支援する画面の例を示している。図6(a)は単純に駆付要員、倉庫の位置を地図上に重畳した画面の図、図6(b)は管理要員が画面上で位置を指定し、経路を表示した画面の図である。また、経路及び走行距離を算出する機能を持たせることで、実際の距離確認を行うことが可能となる。
【0067】
また、駆付け経路上の混雑情報、道路工事等による通行止めの情報を画面情報に適時インプットしておき、画面上に示すことにより、より現実に合った駆付要員の誘導が可能となる。更に、駆付要員の移動状態をリアルタイムにトレースすることで、誤った経路を陥った駆付要員に対し適切なアドバイスを、地図画面を見つつ行うことにより、適切な駆付け支援を行うことが可能となる。
【0068】
また、現場に必要な物品が複数の倉庫に格納されている場合がある。このような場合、倉庫と要員の組合せ条件は増えるが、本発明で示す方法を適用することで解決できる。例えば、要員1、要員2、要員3、倉庫1、倉庫2の組合せがあり、要員1に現場対応のスキルがあった場合、以下の組合せを考慮する必要がある。
(1)要員1が倉庫1,2を経由して現場に駆付ける。
(2)要員1が倉庫1又は倉庫2を経由して、要員2が倉庫2又は倉庫1を経由してそれぞれが現場に駆付ける。
(3)要員1が直接現場に駆付け、要員2が倉庫1及び倉庫2を経由して現場に駆付ける。
(4)要員1が直接現場に駆付け、要員2が倉庫1を経由し、要員3が倉庫2を経由して現場に駆付ける。
【0069】
1つの倉庫に立寄る場合は、図4(a)及び図4(b)の2つのケースを考慮すればよかったが、上述した2つの倉庫に立寄る場合には、前記(1)乃至(4)の4つのケースを考慮して駆付時間を計算し、最適な組合せ処理を行うことになる。さらに、現場での事故対処に複数の要員が必要となる場合もあり、その場合は、倉庫と要員の組合せ条件は増えるが、本発明の緊急駆付け方法を適用することで解決することができる。
【0070】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 緊急駆付けシステム
2 駆付管理センター
3 指令サーバ(SCサーバ)
4 経路サーバ(RTサーバ)
5 事故受付装置
6、51 事故データベース(事故DB)
7 倉庫管理装置
8、52 倉庫データベース(倉庫DB)
9 要員管理装置
10、53 要員データベース(要員DB)
11 受付装置
12 ゲートウェイ
13 LAN
20 携帯端末装置(要員が携帯)
23 倉庫端末装置(倉庫に設置)
26 事故通報装置
28 電話、ファクシミリ、電子メール
30 通信網
50 事故管理サーバ(MGサーバ)
55 事故管理要員
57 要員詰所
59 倉庫
61 ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求された駆付場所に、必要な要員と物品を到着させる緊急駆付け方法であって、
位置情報を取得可能な携帯端末装置を各々所有した単数又は複数の駆付要員と、
駆付け指令を発する指令サーバと、
前記指令サーバから読み出し可能な、物品を保管した単数又は複数の倉庫の位置情報を記憶した倉庫データベースとを有し、
前記指令サーバは、要求された駆付場所の位置情報と、駆付要求時の各々の駆付要員の前記携帯端末装置からの位置情報と、前記倉庫データベースに記憶されている各々の倉庫の位置情報とを用いて、前記各々の駆付要員の位置情報と前記各々の倉庫の位置情報の組合せに対し、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算するステップと、
前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けするステップと、
優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆け付けるかの指令を前記各々の駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップと、
からなることを特徴とする緊急駆付け方法。
【請求項2】
優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員の一方の駆付要員に対し、直接要求された駆付場所に駆け付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力し、他方の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の緊急駆付け方法。
【請求項3】
優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから要求された駆付場所に駆付ける指令を前記駆付要員の前記携帯端末装置に出力するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の緊急駆付け方法。
【請求項4】
前記指令サーバは、更に、読み出し可能な、駆付要員のスキル情報及び駆付け要求のあった時点の駆付要員の稼働状況を記憶したデータベースを有し、前記各々の駆付要員の前記位置情報に加えて前記データベースから読み出した前記駆付要員のスキル情報及び前記駆付要員の稼働状況に基づいて、前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けするステップを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の緊急駆付け方法。
【請求項5】
前記指令サーバは、前記各々の駆付要員が移動可能な最速の移動手段の移動速度に基づいて、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算するステップを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の緊急駆付け方法。
【請求項6】
要求された駆付場所に、必要な要員と物品を到着させる緊急駆付けシステムであって、
位置情報を取得可能な携帯端末装置を各々所有した単数又は複数の駆付要員と、
駆付け指令を発する指令サーバと、
前記指令サーバから読み出し可能な、物品を保管した単数又は複数の倉庫の位置情報を記憶した倉庫データベースとを有し、
前記指令サーバは、要求された駆付場所の位置情報と、駆付要求時の各々の駆付要員の前記携帯端末装置からの位置情報と、前記倉庫データベースに記憶されている各々の倉庫の位置情報とを用いて、前記各々の駆付要員の位置情報と前記各々の倉庫の位置情報の組合せに対し、前記各々の駆付要員が前記各々の倉庫を経由する場合と経由しない場合の駆付時間を計算する駆付時間算出手段と、
前もって規定された駆付要求時間内で要求された駆付場所に到着できる、駆付要員が倉庫を経由する場合と経由しない場合を含む駆付要員及び/又は倉庫の組合せから優先付けする優先順位決定手段と、
前記優先順位決定手段の優先付けした結果に基づいて前記各々の駆付要員に対し、前記倉庫に立寄り物品を持参してから駆付けるか又は直接要求された駆付場所に駆け付けるかの指令を前記各々の駆付要員の前記携帯端末装置に出力する駆付指令手段と、
を有することを特徴とする緊急駆付けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97644(P2013−97644A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240863(P2011−240863)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390001454)NECネッツエスアイ株式会社 (36)