緑内障ステントおよび緑内障治療方法
【課題】動物の眼内の眼内圧を減少させる医療装置及び方法に関し、特に、眼の前眼房から房水を流出させ得るステント型装置及びその関連の緑内障治療方法に関する。
【解決手段】自己穿孔型ステント30によって、小柱網内に切開を行い、かつ眼の内の所望または所定の位置にステントまたは埋没物30を配置するワンステップ処置が可能となる。シャントまたはステント30は、概ね、シュノーケル32、およびメインボディ部分またはブレード34を備える。これによって、外科的処置全体が容易になり簡略される。
【解決手段】自己穿孔型ステント30によって、小柱網内に切開を行い、かつ眼の内の所望または所定の位置にステントまたは埋没物30を配置するワンステップ処置が可能となる。シャントまたはステント30は、概ね、シュノーケル32、およびメインボディ部分またはブレード34を備える。これによって、外科的処置全体が容易になり簡略される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、概ね、動物の眼内の眼内圧を減少させるための医療装置および方法に、かつ、より詳細には、眼の前眼房からの房水流出を可能にするためのシャント型装置および関連の緑内障治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
人間の眼は、光を受容可能であり、かつ視像を受け取り可能である特殊な感覚器官である。小柱網は、排液路として役立ち、虹彩と角膜との間に形成された前眼房隅角内に位置する。小柱網は、前眼房から眼房水を流出させることにより眼の前眼房内において均衡のとれた圧力を維持する。
【0003】
米国国民の約2パーセントが、緑内障である。緑内障は、広範囲の臨床症状、病因および治療法を含む眼疾患群である。緑内障は、視神経円板上に認められる、視神経における病理学的な変化を引き起こし、対応する視野の欠損を引き起こし、治療を怠れば失明に至る。眼内圧を低下させることは、すべての緑内障における主要な治療目的である。
【0004】
眼内圧の上昇(高眼内圧)と関連した緑内障では、流出に対する抵抗の原因は、主として小柱網にある。小柱網の組織は、眼房水(「房水」)がシュレム管に入ることを可能にし、この眼房水は、次に、後部壁内のシュレム管の房水コレクタチャネル内へ、次いで、強膜上の静脈系を形成する房水静脈内へ排出される。眼房水は、眼の前方の角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。
眼房水は、水晶体のまわりの毛様体によって連続的に分泌され、よって、毛様体から前眼房へ眼房水の一定の流れがある。眼内圧は、房水の産生と、小柱網を通る流出(主なルート)またはブドウ膜強膜流出(二次ルート)との間のバランスによって決まる。小柱網は、前眼房隅角内の、虹彩の外側縁と角膜の裏との間に位置する。シュレム管に隣接する小柱網部分(小管近傍網(juxtacanilicular meshwork)が、房水流出に対する抵抗の殆どを引き起こす。
【0005】
緑内障は、隅角閉鎖緑内障としても知られる閉塞隅角緑内障、および開放隅角緑内障の2つの種類に大まかに分類される。 閉塞隅角緑内障は、虹彩と小柱網内面との間の接触による前眼房隅角の閉鎖によって引き起こされる。この解剖学的な隅角の閉鎖は、眼の前眼房からの正常な房水流出を妨げる。
【0006】
開放隅角緑内障は、前眼房の隅角が開放されたままである種々の緑内障であるが、小柱網を通る房水の出口が、小さくなる。ろ過作用が減少する正確な原因は、開放隅角緑内障のほとんどの場合について分かっていない。原発開放隅角緑内障は、緑内障の最も一般的なものであり、それは、多くの場合、進行中期に対して早期には無症候である。患者は、診断および治療の前に、実質的、不可逆的に視野が欠損する可能性がある。しかしながら、(例えばコルチコステロイドの使用による)小柱網空間の浮腫または腫脹、異常な色素分散、あるいは脈管を鬱滞させる甲状腺機能亢進症のような疾病を含み得る第2の開放隅角緑内障がある。
【0007】
現在の緑内障治療法は、眼内圧を低下させることに向けられる。薬物療法には、房水の産生を減少させるかまたは流出を増加させる、局所的な点眼あるいは経口投薬法が含まれる。しかしながら、緑内障のためのこれらの薬物療法は、頭痛、視力障害、アレルギー反応のような著しい副作用、心肺の合併症による死亡、起こり得る他の薬物との相互作用のような著しい副作用に関係することがある。薬物療法がうまくいかない時は、外科療法を用いる。開放隅角緑内障用外科療法は、レーザー線維柱帯形成術と、繊維柱帯切除術と、線維柱帯切除術がうまくいかなかった後あるいは線維柱帯切除術がうまくいく見込みがない場合には房水シャントの埋め込みとから成る。繊維柱帯切除術は、瘢痕を減少させかつ外科手術の成功の可能性を高める5−フルオロウラシルあるいはマイトマイシンCのような抗癌剤を局所的に適用して、広く使用されるとともに増加している主要な手術である。
【0008】
米国内において1年当たりおよそ100,000件の繊維柱帯切除術が、メディケア世代の患者に行なわれている。線維柱帯切除術に関連した合併症の発現頻度を減少させることができれば、この数はおそらく増加する。線維柱帯切除術に関連した現在の合併症発現頻度は、失敗(10−15%)、感染(終生続く危険2−5%)、脈絡膜出血、視力障害に至る、低眼内圧による激しい内出血(1%)、白内障形成、および低眼内圧黄斑症(可逆性となり得る、低眼内圧による視力障害)からなる。
【0009】
これらの理由のために、外科医が、数十年間、小柱網用の実行可能な外科手術の開発に努めてきた。
【0010】
試みられ実行されてきた外科技術は、隅角切開術または繊維柱帯切開術と、繊維柱帯穿刺(trabeculopuncture)、隅角光剥離(goniophotoablation)、レーザー小柱剥離(laser trabecular ablation)、および隅角掻爬(goniocurretage)のような、他の機械による小柱網の破壊とである。これらは、すべて主要な手術であり、以下に簡潔に述べる。
【0011】
隅角切開術または繊維柱帯切開術: 隅角切開術および繊維柱帯切開術は、顕微手術により、小柱網を機械破壊して切開を行う、簡易で管理された技術である。 これらには、初めに、開放隅角緑内障の治療において、良好な初期反応があった。しかしながら、外科手術上の長期的な調査結果によると、成人における成功は限定されたものに過ぎなかった。顧みると、これらの処置は、おそらく、細胞の修復および繊維増多メカニズムと、「閉塞(filling in)」のプロセスとにより失敗した。閉塞は、小柱網内に作り出した開口部を崩壊し閉鎖する、好ましくない作用である。一度、作り出した開口部が閉じれば、圧力は高くなり、手術は失敗する。
【0012】
繊維柱帯穿刺: Qスイッチネオジム(Nd)YAGレーザーがまた、小柱網内において十分な厚さの孔を作り出すための光学的侵襲性の技術として研究されてきた。 しかしながら、この繊維柱帯穿刺技術によって作り出した比較的小さな孔は、閉塞する結果となり、失敗する。
【0013】
隅角光剥離またはレーザー繊維柱帯剥離: 隅角光剥離が、米国特許第4,846,172号明細書にBerlinにより開示され、小柱網を剥離することにより緑内障を治療するためにエキシマレーザーを使用することを含む。これは成功しないことが、臨床試験により実証された。Hillらは、エルビウム:YAGレーザーを使用して、小柱網を通る十分な厚さの孔を作り出した(Hillら、Lasers in Surgery and Medicine 11:341−346, 1991年)。この技術は、アーヴィンのカリフォルニア大学で霊長類モデルおよび限られた人間の臨床試験において調査された。合併症の発現頻度は両方の試験でゼロだったが、成功率は、さらなる人間の試験が認められるものではなかった。失敗の原因は、またも修復メカニズムによる、小柱網に外科的に作り出した欠損の閉塞だった。これらのいずれも、実行可能な緑内障治療用の外科手技ではない。
【0014】
隅角掻爬: これは、アブ インテルノ(内部から)機械破壊を行う技術であって、先端にマイクロキュレットを有する毛様体解離へらに似た器具を使用する。 最初の結果は、繊維柱帯切開術と同様だった。それは、修復メカニズムおよび閉塞のプロセスにより失敗した。
【0015】
線維柱帯切除術は最も一般に行なわれる濾過手術であるが、ヴィスコカニュロストミー(VC)および非穿通型の繊維柱帯切除術(NPT)が、濾過手術の新しい2つの変型である。これらは、大きく非常に深い強膜フラップを作ることによりシュレム管を外科的に露出させる、アブ エクステルノ式の(外部からの)主な眼の処置である。VC処置において、シュレム管には、カニューレが挿入され、(シュレム管および房水コレクタチャネルを広げる)粘弾性物質注入が行われる。NPT処置において、外科的にシュレム管を露出した後に、シュレム管の内壁を剥離する。
【0016】
繊維柱帯切除術、VCおよびNPTは、結膜および強膜フラップの下に前眼房内への開口部または孔を形成することを含み、その結果、眼房水が、眼の表面上に、または眼の外壁内にある組織内へ流出する。これらの外科手術は、眼の合併症の発現頻度が顕著である、主な処置である。繊維柱帯切除術、VCおよびNPTが成功する可能性が低いと思われる時は、埋め込み可能ないくつかの排液器具が、外科手術による開口部を通じた眼房水の所望の濾過および流出が続くことを保証するために使用されてきた。緑内障排液器具を配置することについての危険は、出血、感染症および二重視(複視)も含む。
【0017】
埋め込み可能なシャント、および前眼房から強膜または結膜の下の空間への眼房水放出用の開口部を維持する外科手術法の例が、例えばHsiaらへの米国特許第6,059,772号及びBaerveldtへの第6,050,970号明細書に開示された。
【0018】
それらの上記の外科手術および変形のすべては、多数の欠点および中位の成功率を有する。それらは、眼への損傷をかなり含むとともに、結膜下の空間内へ強膜の十分な厚さを通って孔を作り出すことにおいてすぐれた外科手術技能を必要とする。その手技は、通常手術室で行なわれ、視力回復時間が長い。
【0019】
既存の濾過手術の合併症は、眼内圧を低下させる他の方法を見つけるように眼科医を促すことになった。
【0020】
小柱網および小管近傍組織は、ともに房水流出に対する大部分の抵抗を提供し、それ自体、開放隅角緑内障の治療において外科手術により除去される必然的な標的である。さらに、最小量の組織しか変化させず、既存の生理的流出経路を用いる。
【0021】
Arch. Ophthalm. (2000) 118:412に報告されるように、緑内障は、依然として失明の主な原因であり、濾過手術は、依然として疾病を制御する際に有効で重要な選択肢である。 しかしながら、それらの効果を高めるために著しく既存の濾過手術の技術を変更することは、行き詰まったように思われる。本文は、緑内障患者によりよくかつ安全な医療を提供可能な、新しい外科的アプローチを探す時が来たことをさらに明言する。
【0022】
したがって、より速く、より安全で、現在利用可能な方法ほど費用がかからない緑内障治療方法に対して臨床上の大きな要請がある。
【0023】
発明の概要
小柱網および小管近傍組織は、ともに房水流出に対する大部分の抵抗を提供し、それ自体、緑内障の治療において外科手術のための必然的な標的である。房水が、小柱網を通って(主なルート)またはブドウ膜強膜を通って(二次ルート)流出するか、あるいは眼内圧(IOP)を減少させるのに有効な他のルートから流出する、緑内障シャントの種々の実施形態が、ここに開示される。
【0024】
抵抗箇所のみにおいて房水の流出に対する局所抵抗をバイパスし、かつ残りの正常な房水流出機構を用いれば、緑内障手術上の合併症の発現頻度が大幅に減少する。これは、部分的には、眼内圧が低下し過ぎるのを妨げる背圧を強膜の房水がかけることにより、それ
によって低張を回避可能となることによる。したがって、このような手術は、実質的に、低張に関連する黄斑症および脈絡膜出血の危険を排除することになる。さらには、視力の回復が非常に迅速となり、感染の危険が非常に低くなり、発生率が2−5%から約0.05%まで減少する。
【0025】
緑内障治療装置及び方法という発明の名称で2000年4月14日付出願の、同時係属中の米国出願第09/549,350号明細書と、緑内障治療装置という発明の名称で2000年11月1日付出願の、同時係属中の米国出願第09/704,276号明細書とが、アブ インテルノ、すなわち前眼房内部から小柱網を通ってシュレム管内へ小柱シャントを配置する装置および方法を開示する。これらの同時係属中の特許出願の各1つの全内容は、参照によってここに組込まれる。本発明は、両アブ インテルノ式およびアブ エクステルノ式の緑内障シャントまたはステント、並びに方法を含む。
【0026】
ここに示した態様によって行なわれる技術は、一般に「小柱バイパス手術」と呼ばれる場合がある。この種の手術の利点は、簡易で有効であり疾患部位に特別の効能を有する方法で眼内圧を低下させることを含み、外来患者ごとに行うことができる。
【0027】
一般に、小柱バイパス手術(TBS)は、顕微小手術で、小柱網を貫通する開口、スリットあるいは孔を作り出す。TBSは、脈絡膜出血および感染の危険が先行技術よりもはるかに低いという長所を有し、既存の生理的流出機構を用いる。いくつかの態様では、この手術は、迅速な視力の回復を伴って外来患者ごとに表面あるいは局所麻酔の下で行なうことができる可能性がある。孔が「閉塞する」ことを防ぐために、生体適合性のある細長い装置が、孔の中に配置され、ステントとして役立つ。2000年4月14日付出願の米国特許出願第09/549,350号明細書が、小柱バイパス手術を開示し、それら全体の内容は、参照によってここに組込まれる。
【0028】
2000年4月14日付出願の米国特許出願第09/549,350号明細書と、2000年11月1日付出願の米国出願第09/704,276号明細書とに記述されたように、房水輸送用の小柱シャントまたはステントが提供され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。 小柱ステントは、入口部分および出口部分を有する、中空で細長い管状エレメントを含む。出口部分は、シュレム管内部に配置され安定するように適合された、2つのセグメントあるいはエレメントを任意に含み得る。一実施形態では、本装置は「T」字状の装置となっている。
【0029】
本発明の一態様では、眼の小柱網を通して小柱ステントを配置する送出装置(または「アプリケータ」)が、使用される。発明の名称が緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番
号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。
【0030】
ステントは、入口部分および出口部分を有する。送出装置は、ハンドピース、細長い先端部、ホルダーおよびアクチュエータを含む。 ハンドピースは、遠位端部および近位端部を有する。細長い先端部は、ハンドピースの遠位端部に連結される。 細長い先端部は、遠位部分を有し、角膜切開部位を通って、および前眼房内へ配置されるように形成される。ホルダーは、細長い先端部の遠位部分に取り付けられる。ホルダーは、小柱ステントの入口部分を保持し解放するように形成される。 アクチュエータは、ハンドピース上にあり、ホルダーを作動させてホルダーから小柱ステントの入口部分を解放する。小柱ステントが眼内へ送出装置から展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構は、プッシュプル型のプランジャーを含む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明のいくつかの態様は、眼の前眼房から房水を流出させ得ることにより、眼内圧を減少させるための装置に関する。本装置は、概ね、細長い管状部材及び切除用手段を備える。
管状部材は、眼の小柱網を延びるように適合される。管状部材は、概ね、流路を提供する入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを有する管腔を含む。切除用手段は、機械連結されるか、あるいは管状部材の少なくとも一部分を受け入れる切開を小柱網内に作り出すための管状部材と一体となった部分である。
【0032】
一態様では、自己穿孔型緑内障ステントは、眼内の眼内圧を減少させかつ/または平衡させるようにする。ステントは、概ね、シュノーケルおよび湾曲したブレードを備える。シュノーケルは、概ね、眼、シャンクおよび管腔内に前記ステントを安定させる上部シートを備える。シャンクは、シートに機械連結され、眼の小柱網を延びるように適合される。管腔は、シュノーケルを通って延び、少なくとも1つの入口フローポートおよび少なくとも1つの出口フローポートを有する。ブレードは、シュノーケルに機械連結される。ブレードは、概ね、シャンクを受け入れる切開を小柱網内に行うブレードの最も遠位部分の近傍に切除用先端部を備える。
【0033】
本発明のいくつかの態様は、眼に小柱ステント装置を埋め込む方法に関する。一態様では、本装置は、ブレードに機械連結されたシュノーケルを有する。ブレードは、眼の小柱網中を前進させられて、小柱網を切除しかつ切開を形成する。眼に本装置を埋め込むために、シュノーケルの少なくとも一部分が、切開部位に挿入される。
【0034】
いくつかの態様は、有利にはステントの切開および配置を単一の装置および手術によって行う「ワンステップ」処置を可能にする自己穿孔型緑内障ステントおよび方法を提供する。これによって、より速く、安全で、それほど高価でない外科的処置が可能となることが望ましい。実施形態のうちのどれにおいても、基準マーク、しるしまたは同種のもの、および/または予め載置されたアプリケータ内にステント装置を位置決めすることによって、埋め込み中において本装置の適切な方向付けおよび位置調整のために用いることができる。
【0035】
小柱バイパス手術の利点には、その簡易さがある。顕微手術は、迅速に視力を回復させかつ合併症の発現頻度を大幅に減少させて、外来患者ごとに行うことができる。先の技術によるよりも、感染症と脈絡膜出血の危険が低く回復が早くなる。
【0036】
本発明の概要を示す目的のために、本発明のいくつかの態様、利点および新規な特徴をここに上述した。当然ながら、必ずしもこのような利点のすべてが、本発明の種々の特定の実施形態によって達成可能とは限らないことが理解される。したがって、本発明は、ここに教示または示唆し得る他の利点を必ずしも達成せずに、ここに教示する1つの利点、あるいは利点群を達成または最適化するように実施または実行可能である。
【0037】
これらの実施形態はすべて、ここに開示された本発明の範囲内とする。本発明のこれらおよび他の実施形態は、添付の図面に関連する、以下に続く好ましい実施形態の詳細な説明から、当業者には容易に明らかとなり、本発明は、開示した特定の好ましい実施形態に限定されない。
【0038】
よって、本発明の全体的な特徴、並びにその特徴および利点の概要を要約すると、いくつかの好ましい実施形態およびそれらの変更のいくつかは、以下に続く図面と関連する、ここに述べる詳細な説明から当業者に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】眼の冠状断面図である。
【図2】図1の眼の前眼房隅角の拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化した部分図である;
【図4】図3のステントの側面図である。
【図5】図3のステントの上面図である。
【図6】図3のステントの底面図である。
【図7】(図4の7−7線に沿った)図3のステントの正面図である。
【図8】(図4の8−8線に沿った)図3のステントの背面図である。
【図9】図3のステントの切除用先端部の拡大上面図である。
【図10】シュノーケル上部着座面の典型的な一実施形態の上面図である。
【図11】シュノーケル上部着座面の別の典型的な実施形態の上面図である。
【図12】シュノーケル上部着座面のさらに別の典型的な実施形態の上面図である。
【図13】シュノーケル上部着座面のさらに別の典型的な実施形態の上面図である。
【図14】本発明の別の実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図15】本発明の別の実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの側面図である。
【図17】図16のステントの上面図である。
【図18】図16のステントの底面図である。
【図19】図16の19−19線に沿った正面図である。
【図20】図16の20−20線に沿った背面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの側面図である。
【図22】図21のステントの上面図である。
【図23】図21のステントの底面図である。
【図24】図21の24−24線に沿った正面図である。
【図25】図21の25−25線に沿った背面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの正面図である。
【図27】図26の27−27線に沿った側面図である。
【図28】図26の28−28線に沿った背面図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する送出装置を用いた、緑内障ステントの一時的な埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する関節連結式アームステント送出または回収装置の正面斜視図である。
【図31】前眼房を横切る送出装置を用いた、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図32】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図33】図32の逆刺付きピンの詳細な拡大図である。
【図34】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図37】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図38】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図39】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図40】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図41】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図42】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図43】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する、弁が取り付けられたチューブステント装置の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図44】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する浸透膜装置の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図45】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有するアブ エクステルノ式処置を用いた、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図46】本発明の変形した実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図47】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する薬物放出埋没物の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
ここに説明する本発明の好ましい実施形態は、特に、眼内圧の減少による緑内障の外科手術および治療法に関する。本説明は種々の実施形態の特定の詳細を述べるが、本説明が例示的であるに過ぎず本発明を限定する種々の解釈をすべきでないと理解される。さらには、当業者が着想し得る本発明の種々の適用および変更もまた、ここに述べる全般的な構想により達成される。
【0041】
図1は、眼10の断面図であり、また図2は、小柱網21、前眼房20およびシュレム管22の相対的な解剖学的位置を示す拡大図である。強膜11は、角膜12によって覆われる部分以外の眼10全体を覆う、厚い膠原組織である。
【0042】
図1および図2を参照すると、角膜12は、薄く透明な組織であって、光を、集束するとともに、眼内へかつ虹彩13の中央の円形の孔である瞳孔14(眼の色のついた部分)中へ透過させる組織である。角膜12は、角膜縁15と呼ばれる接合点で強膜11と結合する。毛様体16が、強膜11の内側に沿い延び、脈絡膜17と同一の広がりを有する。脈絡膜17は、強膜11と網膜18との間に位置する、眼10の脈管層(vascular layer)である。視神経19が、視覚情報を脳に送り、緑内障により次第に破壊される解剖学的構造体である。
【0043】
なお図1および図2を参照すると、眼10の前眼房20は、前方を角膜12により後方を虹彩13と水晶体26とにより拘束され、眼房水(以後「房水」とする)で満たされる。房水は、主に毛様体16によって産生され、次いで瞳孔14を通って前方へ移動し、虹彩13と角膜12との間に形成された、前眼房隅角25に到着する。
【0044】
図2の図面により最もよく示されるように、正常な眼において、房水は、小柱網21を通り前眼房20から除去される。房水は、小柱網21からシュレム管22内へ、その後、血液運搬用静脈と合流する複数の房水静脈23から静脈循環内へ通過して行く。眼内圧は、上述のように、房水の分泌と流出との間の複雑なバランスにより維持される。緑内障は、殆どの場合において、眼内圧を増加させることになる、前眼房20内における房水の産生超過という特徴を有する。流体は、比較的非圧縮性であり、したがって、眼内圧は、眼10全体に比較的均等に分配される。
【0045】
図2に示したように、小柱網21は、強膜11のわずかな部分に隣接する。強膜11の外側には、結膜24がある。結膜24および強膜11の組織から器具を埋め込むための孔または開口部を形成する従来の処置には、最終的に強膜11および角膜12の領域内に完全に存在する、ここに述べるような器具を埋め込む外科手術に比べて、アブ エクステルノ式処置による大がかりな処置が含まれる。
【0046】
自己穿孔型緑内障ステント
図3は、概ね、小柱網21を通り抜けて、流出経路を設置する小柱網ステント装置30の一実施形態の使用を図示し、これを以下により詳細に述べる。図4から図9は、ステント30の異なる図である。有利には、またここに後ほどより詳細に述べるように、自己穿孔型ステントによって、小柱網21内に切開を行い、かつ眼10の内の所望または所定の位置にステントまたは埋没物30を配置するワンステップ処置が可能となる。これによって、外科的処置全体が容易になり簡略されることが望ましい。
【0047】
図3から図9に示した実施形態では、シャントまたはステント30は、概ね、シュノーケル32、およびメインボディ部分またはブレード34を備える。シュノーケル32およびブレード34は、相互に機械連結されるか、または機械的に連絡する。ステント30および/またはボディ部分34は、概ね長手方向の軸線36を有する。
【0048】
図3から図9に示した実施形態では、ステント30は、一体化したユニットを含む。変形実施形態では、ステント30は、別個の部品または構成要素のアセンブリを含み得る。例えば、ステント30は、シュノーケル32およびブレード34のアセンブリを含み得る。
【0049】
図3から図9に示した実施形態では、シュノーケル32は、概ね細長い管状部材の形態であり、概して、上部シート、ヘッドまたはキャップ部分38、シャンク部分40、およびそれを通って延びる管腔または通路42を備える。シート38は、ブレード34と機械連結されるかまたは機械的に連絡するシャンク40に、機械連結されるかまたはそれと機械的に連絡する。シュノーケル32および/または管腔42は、概ね長手方向の軸線43を有する。
【0050】
図3から図9に示した実施形態では、シート38は、形状が概ね円形であり、上面44と、図3に示したように、眼10内に緑内障ステント30を安定させるために小柱網21に対して当接するかまたは押し当てられる低面46とを有する。変形実施形態では、シート38は、うまく、他の適切な方法で、要求されるかまたは望まれるような形状とすることができ、それは、眼10内に緑内障ステント30を安定させ、かつ/または、ここに教示または示唆した利益または利点の1つまたはそれ以上の利益または利点を達成するという目的を当然配慮した上で行う。例えば、シート38は、他の多角形または非多角形の形状とすることができ、かつ/または、他の適切な保持装置中には、放射状に外側へ延びる1つまたはそれ以上の隆起線状部が含まれ得る。
【0051】
図3から図9に示す実施形態において、また図5の上面図において最もよく分かるように、シート上面44は、基準マークまたはしるし48を備える。これらのマークまたはしるし48は、眼10内に埋め込まれる時に、ステント30の適切な方向付けおよび位置調整を容易にしかつ保証する。マークまたはしるし48は、色の相異のような視覚的区別手段を備えるか、あるいはリブ、溝またはその他同種の形状とすることができる。その代わりに、またはさらに、マーク48は、マーク48の周りに、放射線不透過性で検知可能なまたは超音波により画像化可能な基板を組込むことにより、外科医に触覚フィードバックを提供可能である。さらに、シート38および/またはシート上面44は、眼10内におけるステント器具30の適切な方向付けに備えるようにブレード34および/または長手方向軸線36と位置調整された所定の形状に形成可能である。例えば、シート上面44は、卵形または楕円体(図10)、長方形(図11)、六角形(図12)、その他の適切な形(例えば、図13)にすることができる。
【0052】
図3から図9に示す実施形態では、また上に示したように、眼10内に緑内障ステント30を安定させ保持するために、シート底面46を小柱網21に対して当接させるかまたは押し当てる。安定化のために、シート底面46は、短突起付き面、リブ付き面、支柱付き面、粗面または同種の面を含み得る。
【0053】
図3から図9に示す実施形態では、シュノーケルシャンク40の形状は、概ね円筒形である。図3に示すように、ステント30を埋め込んだ場合、シャンク40は、自己穿孔型ステント30によって小柱網21内に形成された切開部位または空洞50内に概ね位置する。有利には、また以下にさらに述べるように、ステント30自体によって空洞50を形成し所望の位置にステント30を配置するこの単一ステップは、全体的な外科的処置を容易にし促進する。変更実施形態では、シュノーケルシャンク40は、必要または所望の場合、効果的に他の適切な形状にすることができる。例えば、シャンク40は、他の多角形、または卵形、楕円体およびその他同種の形状のような非多角形の形状にすることができる。
【0054】
図3から図9に示す実施形態では、また、図3において最もよく分かるように、シャンク40は、空洞50を囲む小柱網21に接する外面52を有する。安定化のために、シャンク外面52は、短突起付き面、リブ付き面、支柱付き面、粗面またはその種の面を含み得る。
【0055】
図3から図9に示した実施形態では、シュノーケルの管腔42は、シート上面44に入口ポート、開口部またはオリフィス54を、かつシャンク40とブレード34との接合点に出口ポート、開口部またはオリフィス56を有する。管腔42は、形状が概ね円筒形であり、すなわち、それは、概ね円形の断面を有し、そのポート54、56の形状は、概ね円形である。変更実施形態では、管腔42およびポート54、56は、十分な房水流出を提供しかつ/または、ここに教示または示唆するような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的を当然考慮して、必要とされるかまたは望ましい場合、効果的に他の形状にすることができる。例えば、管腔42および/または、一方のまたは両方のポート54、56は、卵形、楕円体およびその種の形状に形成可能であるか、あるいは管腔42は、テーパー付きまたは段付き形状とすることができる。
【0056】
特に図3を参照すると、前眼房20からの房水は、入口ポート54から管腔42内へ流入し(全体を矢印58で示す)、出口ポート56からシュレム管22内へ流入して(全体を矢印60で示す)、眼内圧(IOP)が低下しかつ/またはバランスがとれる。別の実施形態では、以下にさらに詳細に述べるように、出口ポートの1つまたはそれ以上は、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成可能である。変更実施形態では、シュノーケル32は、必要なまたは望ましい場合、1つを超える管腔を備えて、シュレム管22内へ複数の房水流出輸送を促進する。
【0057】
図3から図9に示す実施形態では、ブレードの長手方向軸線36およびシュノーケルの長手方向軸線43は、相互に概ね垂直である。換言すれば、軸線36、43の両方に垂直でない共通の面上における投影が、90°で交差する。ブレードの長手方向軸線36とシュノーケルの長手方向軸線43とは、相互に交差させるかまたは相互にずらすことができる。
【0058】
図3から図9に示す実施形態では、メインボディ部分またはブレード34は、上部湾曲面62と、トラフまたは面開放型チャネル66を画定する下部湾曲面64とを有した、概ね湾曲し細長いシート状またはプレート状の構造体である。ブレード34の外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68と、一対の概ね直線の側縁72、74によって近位縁68から間隔をおいて配置された湾曲遠位縁70とによって概ね画定され、第1の側縁72は、第2の側縁74を超えて延び、かつブレード切除用先端部78に最も近いブレード34の最も遠位の部分76で遠位縁70と交わる。
【0059】
図3から図9に示す実施形態では、また図9の拡大図に示したように、切除用先端部78は、遠位縁70上の第1の切除用縁80と、側縁72上の第2の切除用縁82とを備える。切除用縁80、82は、ブレード34の最も遠位の部分76から延びて、遠位縁70および側縁72の少なくとも各一部分を含むことが好ましい。各切除用縁80、82は、斜角またはテーパーを付けた各面84、86の鋭角の縁に形成される。一実施形態では、遠位縁70および側縁72の残りの部分は、鈍いかあるいは丸くなっている。一実施形態では、最も遠位の端部76に近接した先端部78は、図7では(垂直方向を向いた)矢印88で、かつ図9では(紙面内を向いた)矢印88で全体を示すように、隣接するブレード34の曲率に対して、若干内側へ湾曲している。
【0060】
変更実施形態では、適切な切除用縁は、必要なまたは所望の場合、効果的に、1つまたはそれ以上の選択されるブレード縁68、70、72、74の選択した部分に設けることができ、これは、小柱網21を効果的に切除するための適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的を考慮して行う。
【0061】
特に図9を参照すると、一実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約2:1である。 別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約1:1である。さらに別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約1:2である。変更実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとは、必要なまたは望ましい場合、他の長さを効果的に選択可能であり、これは、小柱網21を有効に切除するために適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益または利点の1つまたはそれ以上の利益または利点を達成するという目的を考慮して行う。
【0062】
特になお図9を参照すると、一実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約2:1から約1:2の範囲内である。別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約5:1から約1:5の範囲内である。さらに別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約10:1から約1:10の範囲内にある。変更実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとは、必要なまたは望ましい場合、効果的に他の長さを選択可能であり、これは、小柱網21を効果的に切り抜く適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的にしかるべき考慮を払った上で行う。
【0063】
図9の上面図に示すように、切除用縁80(および/または遠位端70)と切除用縁82(および/または側縁72)とは、角度θで相交わる。
換言すれば、θは、これらの縁の両方に垂直でない共通の面上における、切除用縁80(および/または遠位端70)の投影と切除用縁82(および/または側縁72)の投影との間の角度である。
【0064】
特に図9を参照すると、一実施形態では、角度θは、約50°である。別の実施形態では、角度θは、約40°から約60°の範囲内にある。さらに別の実施形態では、角度θは、約30°から約70°の範囲内にある。変更実施形態では、角度θは、必要なまたは望ましい場合、他の角度を効果的に選択可能であり、これは、小柱網21を効果的に切り抜く適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的にしかるべき考慮を払った上で行う。
【0065】
ここに開示した実施形態のステント30は、種々に異なる寸法にすることができる。特に図3を参照すると、シュレム管22の深さは、約400ミクロン(μm)未満であるのが典型的である。従って、ステントブレード34は、ブレード34の高さ(図4ではH41とする)が典型的には約400μm未満となる寸法にする。シュノーケルシャンク40の寸法は、概ね小柱網21の厚さの典型的範囲である、典型的には約150μmから約400μmまでの範囲内の長さ(図4ではL41とする)にする。
【0066】
当然ながら、当業者が理解するように、ステント30を埋め込む場合には、ブレード34をシュレム管22内の種々の適切な位置に載置可能である。例えば、ブレード34は、必要な場合または所望の場合には、(図3に示すように)シュレム管22の前部壁90に隣接させるか、またはシュレム管22の後部壁92に隣接させるか、あるいはそれらの間のある中間位置とすることができる。さらに、シュノーケルシャンク40は、シュレム管22内へ延ばし得る。
シュノーケルシャンク40の長さおよび/またはブレード34の寸法は、埋没物の所望の位置決めを達成するように効果的に調節可能である。
【0067】
典型的な実施形態の小柱ステント装置30(図3から図9)は、幅広い種々の技術によって製造または製作可能である。これらは、限定はしないが、他の適切な技術の中には、成形、熱成形、または他のマイクロ機械加工技術による技術を含む。
【0068】
小柱ステント装置30は、装置30の外面と周囲の組織との間の洗浄により生じる炎症が最小限になる、生体適合性のある材料を含むことが好ましい。装置30に使用可能な生体適合性のある材料は、限定はしないが、チタン、チタン合金、医療用グレードのシリコン、例えばミシガン ミッドランドのダウ コーニング コーポレーションから入手可能なシラスティック(登録商標)、およびポリウレタン、例えばダウ コーニング コーポレーションから入手可能なペレセイン(登録商標)を含むことが好ましい。
【0069】
他の実施形態では、ステント装置30は、他のタイプの生体適合性材料を含み得、それには、例えば、一例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、ヘパリン化コラーゲン、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリマー、フッ素化エラストマー、可撓性のある融解石英、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリシリコン、および/または前述の生体適合性材料の混合物、およびその種のものがある。なお他の実施形態では、複合生体適合性材料を使用可能であり、表面材料が、さらに前述の材料の1つまたはそれ以上の材料に加えて使用され得る。例えば、そのような表面材料には、(テフロン(登録商標)のような)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ヒドロゲル、ヘパリン、(ベータアドレナリン作用性拮抗薬および他の抗緑内障薬、または抗生物質のような)治療薬、およびその種のものが含まれ得る。
【0070】
小柱網手術の典型的な実施形態では、患者は背臥位に配置され、プレプが行われ、布で覆われ、必要に応じて麻酔がかけられる。一実施形態では、自己閉鎖し得る、小さな(約1mm未満の)切開が、角膜12を通って行われる。角膜切開は、いくつかの方法で、他のツールの中では例えばマイクロナイフを使用することにより行うことができる。
【0071】
アプリケータまたは送出装置が、角膜切開部位から小柱網21へ緑内障ステント30を前進させるために使用される。発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。送出装置のいくつかの実施形態もまた、後ほどさらに詳細にここに説明する。小柱網手術中に、隅角鏡、顕微鏡、または内視鏡による誘導を用いることができる。
【0072】
送出装置によって自己穿孔型緑内障ステント装置30を保持したまま、装置30のブレード34を用いて、小柱網21の材料を切除しかつ/または押し退ける。シュノーケルシャンク40はまた、埋め込み中にこの材料の除去を促進し得る。一度装置30が眼10内に埋め込まれると、送出装置は引き抜かれる。図3に示すように、一度適切な埋め込みが行われると、シュノーケルシート38が、小柱網21の上面94の上に載り、シュノーケルシャンク40は、小柱網21内の、(装置30によって作り出された)空洞50を通って延び、ブレードは、シュレム管22の内部を延びる。
【0073】
有利には、本発明の自己穿孔型ステント装置の実施形態は、小柱網内を切開し、続いて前眼房からステントを通りシュレム管内へ房水の流出を可能にするように眼内において適切な方向付けおよび位置調整を行ってステントを埋め込む「ワン−ステップ」処置を行って、眼内圧(IOP)低くしかつ/または平衡させる。望ましくは、これは、より速く、より安全で、それほど費用のかからない外科処置を提供する。
【0074】
多くの合併症が、小柱網手術中に生じる場合があり、該出術では、まずナイフを用いて小柱網を切開し、続いてナイフを取り出し次いでステントを設置する。例えば、ナイフは、外科手術部位をぼやけさせる出血をいくらか引き起こす恐れがある。これは、ステントの配置前に外科手術部位を清浄にするより多くの労力および時間を必要とし得る。さらに、これは、望ましくないが眼内圧(IOP)を上昇または下降させる場合がある。したがって、望ましくないが、このような複数のステップ処置は、手術が遅くなり安全性が低くなり費用が嵩む危機の管理を必要とすることになり得る。
【0075】
図14は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30aの埋め込みを示す、眼10の、簡略化した部分図である。ステント30aは、シュノーケル32aが、シュレム管22内へ延びるより長いシャンク40aと、2つの流出チャネル45aへ二叉に分かれる管腔42aとを備える以外は、図3から図9のステント30に概ね類似する。
【0076】
図14に示した実施形態では、シャンク40aは、ブレード34で終わる。(矢印58aにより全体を示すように)前眼房20から入口ポート54aを通り管腔42a内へ、房水が流れる。次いで、房水は、(矢印60aにより全体を示すように)出口チャネル45aを通って各出口ポート56aからシュレム管22内へ流れる。出口チャネル45aは、概ね逆向きの外側半径方向に延び、出口ポート56aは、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成されて、その結果、シュレム管22内へ開口しかつ適切な方向付けとなって、眼内圧(IOP)を低下および/または平衡させる、シュレム管22内への房水流出が可能となる。上に示したように、シュノーケルシート38の基準マークまたはしるし、および/または所定の形状によって、シュレム管内におけるブレード34、並びにさらに出口チャネル45aおよび各ポート56aの適切な方向付けが可能となる。
【0077】
図14に示した実施形態では、2つの流出チャネル45aが設けられる。別の実施形態では、1つの流出チャネル45aのみが設けられる。さらに別の実施形態では、2つを超える流出チャネル45aが設けられる。変更実施形態では、管腔42aは、ブレード34中を終わりまで延びるとともに、図3から図9の実施形態に関して上に説明したような出口ポートを提供することができる。
【0078】
図15は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30bの埋め込みを示す、眼10の、簡略化した部分図である。ステント30bは、シュノーケル32bが、シュレム管22内へ延びるより長いシャンク40bと、2つの出力チャネル45b内へ二叉に分かれる管腔42bとを備える以外は、図3から図9のステント30に概ね類似する。
【0079】
図15に示した実施形態では、シャンク40bは、ブレード34を通って延びる。(矢印58bにより全体を示すように)前眼房20から入口ポート54bを通って管腔42b内へ、房水が流れる。次いで、房水は、(矢印60bにより全体を示すように)出口チャネル45bを通って各出口ポート56bからシュレム管22内へ流れる。出口チャネル45bは、概ね逆向きの外側半径方向に延び、出口ポート56bは、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成されて、その結果、シュレム管22内へ開口しかつ適切な方向付けとなって、眼内圧(IOP)を低下および/または平衡させる、シュレム管22内への房水の流出が可能となる。
上に示したように、シュノーケルシート38の基準マークまたはしるし、および/または所定の形状によって、シュレム管内におけるブレード34、並びにさらに出口チャネル45bおよび各ポート56bの適切な方向付けが可能となる。
【0080】
図15に示した実施形態では、2つの流出チャネル45bが設けられる。別の実施形態では、1つの流出チャネル45bのみが設けられる。さらに別の実施形態では、2つを超える流出チャネル45bが設けられる。変更実施形態では、管腔42bは、ブレード34中を終わりまで延びるとともに、図3から図9の実施形態に関して上に説明したような出口ポートを提供することができる。
【0081】
図16から図20は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30cの異なる図を示す。ステント30cは、変更したブレード形状を有することを除いて、図3から図9のステント30に概ね類似する。ステント30cは、全体が湾曲し細長くシートまたはプレート状の構造体であるブレード34cであり、トラフまたは面開放型チャネル66cを画定する湾曲した上面62cと湾曲した低面64cとを有するブレード34cを備える。ブレード34cの外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68cと、一対の概ね直線の側縁72c、74cによって近位縁68から間隔をおいて配置された湾曲遠位縁70cとによって概ね画定され、この側縁72c、74cは、概ね相互に平行でありかつほぼ同じ長さである。
【0082】
図16から図20に示した実施形態では、ブレード34cは、切除用先端部78cを備える。切除用先端部78cは、シュノーケル32の配置用に小柱網を切り抜くための、遠位縁70cの選択した部分および隣接する側縁72c、74cの部分の上に形成された切除用縁を含むことが好ましい。切除用縁は、図9に関して上に説明したような斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。図16から図20の実施形態は、図14および図15の実施形態のシュノーケル形状を組込むために効果的に変更可能である。
【0083】
図21から図25は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30dの異なる図を示す。ステント30dは、変更したブレード形状を有することを除いて、図3から図9のステント30に概ね類似する。ステント30dは、全体が湾曲し細長くシートまたはプレート状の構造体であるブレード34dであり、トラフまたは面開放型チャネル66dを画定する、湾曲した上面62dおよび湾曲した低面64dを有するブレード34dを備える。ブレード34dの外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68dと、概ね内側の一点に集まる一対の湾曲遠位縁70d’、70d”とによって全体が画定され、この遠位縁70d’、70d”は、一対の概ねまっすぐな各側縁72d、74dによって近位縁68dから間隔をおいて配置され、この各側縁72d、74dは、概ね相互に平行でありかつほぼ同じ長さである。遠位縁70d’、70d”は、ブレード切除用先端部78dに隣接する、ブレード34dの最も遠位部分76dで交わる。
【0084】
図21から図25に示した実施形態では、切除用先端部78dは、遠位縁70d’、70d”上に形成されブレード34dの最も遠位部分76dから延びる切除用縁を含むことが好ましい。一実施形態では、切除用縁は、各遠位縁70d’、70d”の一部分だけに沿って延びる。別の実施形態では、切除用縁は、実質的に各遠位縁70d’、70d”の全長に沿って延びる。さらに別の実施形態では、各遠位縁70d’、70d”に隣接した側縁72d、74dの少なくとも一部分が、切除用縁を有する。別の実施形態では、最も遠位の端部76dに隣接した先端部78dは、隣接したブレード34の湾曲に対して、図21では矢印88dによりかつ図22では(紙面内へ垂直方向を向いた)矢印88dにより全体を示すように若干内側に湾曲する。
【0085】
図21から図25の実施形態では、切除用縁は、図9に関して上に説明したように斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。図21から図25の実施形態は、図14および図15の実施形態のシュノーケル形状を組込むために効果的に変更可能である。
【0086】
図26から図28は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30eの異なる図を示す。ステント装置30eは、概ね、ブレードまたは切除用先端部34eと機械連結されるかまたは機械的に連絡するシュノーケル32eを備える。シュノーケル32eは、上述したように、シャンク40eと機械連結されるかまたは機械的に連絡するシート、ヘッドまたはキャップ38eを有する。シャンク40eは、遠位端またはベース47eを有する。図14および図15に関して上述したように、シュノーケル32eは、一対の出口チャネル45e内へ二叉に分かれる管腔42eをさらに有する。必要な場合または所望の場合には、(ここに教示または示唆したような)管腔、ならびに入口および出口ポートの他の形状も、効果的に使用可能である。
【0087】
図26から図28に示した実施形態では、ブレード34eは、シャンク遠位端47eから下向きにかつ外側へ延びる。ブレード34eは、図27および図28において最もよく分かるように、シュノーケル32eの概ね長手方向軸線43eに対して角度がつけられる。ブレード34eは、最も遠位の部分76eを有する。ブレードまたは切除用先端部34eは、図26において最もよく分かるように、切除用縁を含み最も遠位の部分76eで終わる一対の側縁70e’、70e”を有する。一実施形態では、切除用縁は、図9に関して上述したような、斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。
【0088】
図26から図28を参照すると、一実施形態では、ブレード34eは、縁70e’、70e”上に形成されブレード34dの最も遠位の部分76eから延びる切除用縁を含む。一実施形態では、切除用縁は、各遠位縁70e’、70e”の一部分のみに沿って延びる。別の実施形態では、切除用縁は、実質的に各遠位縁70e’、70e”の全長に沿って延びる。さらに別の実施形態では、ブレードまたは切除用先端部34eは、針、例えば30ゲージの針の曲がった先端部分を備える。
【0089】
一般に、ここに開示したブレード形状のいずれを、ここに開示したまたは参照によりここに組み込まれたシュノーケル形状のいずれと共に用いてもよく、その結果、対応のシュノーケルを受け入れるための切開を小柱網に行う自己穿孔型緑内障ステントが提供され、前眼房からシュレム管内への房水流出用通路が提供され、それにより、効果的に眼内圧(IOP)が低下および/または平衡する。本装置が自己穿孔可能であることによって、切開およびシュノーケルの配置を単一の装置および操作により行う「ワン−ステップ」処置が可能であることが有利である。実施形態のいずれにおいても、シュノーケルシートの基準マークまたはしるし、および/または予め選択された形状、および/または予め装入されたアプリケータ内におけるステント装置の位置決めは、埋め込み中に本装置を適切に方向付けおよび位置調整するために用いることができる。
【0090】
送出装置
多くの場合、外科医は、緑内障あるいは隅角切開術を行なう時、一時的切開作業を行う。図29は、一時的埋め込み処置を示し、湾曲した先端部102を有する送出装置またはアプリケータ100が、眼10の側頭部側27にステント30を送達するために使用される)。上述のように、角膜10内に切開28が行われる。次いで、装置100を使用して、切開部位28からステント30を導入し、眼10内にそれを埋め込む。
【0091】
特になお図29を参照すると、一実施形態では、同様に湾曲した器具が、小柱網21を切開するために使用される。他の実施形態では、自己穿孔型ステント装置30は、上述のように、小柱網21にこのように切開を行うために使用可能である。図29に示した一時的な埋め込み処置は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のいずれかとともに、利用可能である。
【0092】
図30に、関節連結式ステントアプリケータまたは回収器具100aを備える装置の一実施形態を示す。この実施形態では、近位アーム106が、関節部112で遠位アーム108に取り付けられる。この関節部112は、近位アーム106と遠位アーム108との間に形成される角度を変えられるように、可動である。ステント回収器具の場合には、遠位アーム108から、1つまたはそれ以上の鉤爪状部114が延び得る。同様に、この関節機構は、小柱ステントアプリケータに使用可能であり、したがって、種々の実施形態において、関節連結アプリケータまたは回収器具100aは、小柱ステント用アプリケータ、回収器具あるいはその両方のいずれかにすることができる。図30の実施形態は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のうちのいずれと利用してもよい。
【0093】
図31は、眼10内の埋め込み部位に、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のうちのいずれをも配置する別の例示的方法を示す。送出装置100bが、概ね、注射器部分116およびカニューレ部分118を備える。カニューレ遠位部分118は、少なくとも1つの洗浄孔120と、ステント装置30を保持する遠位空間122とを有する。遠位空間122の管腔の近位端部124は、カニューレ部分118の残りの管腔から密閉される。図30の送出装置は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のいずれとも使用可能である。
【0094】
本発明の一態様では、眼の小柱網から小柱ステントを配置する送出装置(または「アプリケータ」)が、使用される。発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、各実施形態の全内容が参照によってここに組込まれる。
【0095】
ステントは、入口部分および出口部分を有する。送出装置は、ハンドピース、細長い先端部、ホルダーおよびアクチュエータを含む。 ハンドピースは、遠位端および近位端を有する。細長い先端部は、ハンドピースの遠位端に連結される。 細長い先端部は、遠位部分を有し、角膜切開部位を通って眼の前眼房内へ配置されるように形成される。ホルダーは、細長い先端部の遠位部分に取り付けられる。ホルダーは、小柱ステントの入口部分を保持し解放するように形成される。 アクチュエータは、ハンドピース上にあり、ホルダーから小柱ステントの入口部分を解放するようにホルダーを作動させる。小柱ステントが送出装置から眼内へ展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構はプッシュプル型のプランジャーを含む
。
【0096】
いくつかの実施形態では、ホルダーはクランプを備える。いくつかの実施形態では、本装置は、ステントがホルダーによって保持されている時に荷重がかけられるように形成されたハンドピース内にばねをさらに備え、ばねは、アクチュエータを作動させると少なくとも部分的に荷重が軽減され、よって、ホルダーからステントが解放可能となる。
【0097】
種々の実施形態において、クランプは、ステントの入口部分上へ、締め付け力を働かせるように形成された複数の鉤爪状部を備える。ホルダーは、さらに複数のフランジも備え得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、細長い先端部の遠位部分は、可撓性材料からなる。これは、可撓性ワイヤにすることができる。遠位部分は、好ましくはハンドピースの長軸線から約45度のたわみ範囲を持ち得る。
【0099】
送出装置は、細長い先端部内に洗浄ポートをさらに備え得る。
【0100】
いくつかの態様は、眼の小柱網を通って、入口部分および出口部分を有する小柱ステントを配置する方法を含み、該方法は、小柱ステントを保持する送出装置を眼の前眼房から小柱網内へ前進させるステップと、ステントの一部分を小柱網から眼のシュレム管内へ配置するステップと、送出装置からステントを解放するステップとを含む。
【0101】
種々の実施形態では、本方法は、遠位端および近位端を有するハンドピースと、ハンドピース遠位端部に結合された細長い先端部であり、遠位部分を有するとともに、角膜切開部位を通って眼の前眼房内へ配置されるように形成された細長い先端部と、細長い先端部の遠位部分に取り付けられ、小柱ステント入口部分を保持し解放するように形成されたホルダーと、ホルダーから小柱ステント入口部分を解放するようにホルダーを作動させる、ハンドピース上のアクチュエータとを備える送出装置を使用することを含む。
【0102】
一態様では、小柱ステントは、(「アプリケータ」としても知られる)送出装置に取り外し可能に取り付けられる。小柱ステントが送出装置から眼内へ展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構が、プッシュプル型のプランジャーを含む。いくつかの実施形態では、送出アプリケータは、ガイドワイヤー、拡張可能なバスケット、膨張可能なバルーンまたは同様のものにすることができる。
【0103】
他の実施形態
ねじ/逆刺付きアンカーステント:
図32および図33は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30fを示す。小柱ステント30fのこの実施形態は、逆刺付きのまたはねじ切りしたねじ状でありアンカー用逆刺128を有する延長部分またはピン126を含む。逆刺付きピン126は、ステント30fの遠位またはベース部分130から延びる。
【0104】
使用中には、ステント30f(図32)は、小柱網21を通りシュレム管22を横切って前進させる。逆刺付きの(またはねじ切りした)延長部分126は、シュレム管22の後部壁92内へ、次いで肩状部またはベース130が管22の後部壁92に載るまで貫通する。肩状部130と特定の長さの逆刺付きピン126との組み合わせでは、逆刺付きピン126の貫通深さが所定のまたは予め選択した距離に制限される。一実施形態では、ピン126の長さは、約0.5mmまたはそれ未満である。有利には、この逆刺付き形状は、ステント30fの確実な固定を提供する。上述のように、ステント30fの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0105】
図32を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42fを通り、次いで2つの側方ポート56fから流出して、シュレム管22に沿って両方向を向けられる。あるいは、単一の側方ポート56fから一方向へのみ流れを向けることができる。他の実施形態では、2つを超える出口ポート56f、例えば(ピン歯車の外形のような)6つから8つのポートが、必要な場合または所望の場合、効果的に使用可能である。
【0106】
なお図32を参照すると、一実施形態では、ステント30fは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30fは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのいずれと組み合わせることもできる。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0107】
深くねじ切りしたステント:
図34は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30gを示す。ステント30gは、ヘッドまたはシート38gと、ベースまたは遠位端132を有するシャンクまたはメインボディ40gとを有する。小柱ステント30gのこの実施形態は、ステント30gの、ヘッド38gより下のメインボディ40gの上に(ねじ山136を有する)深いねじ134を含む。ねじは、ベース132の最後まで延ばすことができ、または延ばさなくてもよい。
【0108】
使用中には、ステント30g(図34)は、通常のねじの場合と同様に、回転運動によって小柱網21を通り前進させる。有利には、深いねじ山136によって、小柱網21内にステント30gを保持および安定させることができる。
【0109】
図34を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42gを通り、次いで2つの側方ポート56gを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56gを通って一方向へのみ向けることができる。他の実施形態では、2つを超える出口ポート56gが、必要な場合または所望の場合には、効果的に使用可能である。
【0110】
このステント30g(図34)用の1つの適切なアプリケータまたは送出装置は、例えば屈曲したねじりばねまたはその種の他のものを介した、予め調節された回転を含む。回転は、アプリケータ上の解放トリガーによって始まる。外科医が最後にアプリケータを回転させかつ適切な基準マーク、しるしあるいはその種のものを観察することによって、シュレム管22と側方ポート56gとの適切な位置調整が保証される。
【0111】
図34を参照すると、一実施形態では、ステント30gは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30gは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のうちのいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21中の切開は、ベースにまたはベースに隣接してブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0112】
リベット型ステント:
図35は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント30h装置を示す。ステントは、ベースまたは遠位端138を有する。小柱ステント30hのこの実施形態は、可撓性のある一対のリブ140を有する。未使用の状態では、リブは、最初は概ね直線形である(すなわち、概ね矢印142の方向に延びる)。
【0113】
図35を参照すると、小柱網21からステント30hを挿入すると、ステント30hの各リブ140の端部144は、シュレム管22の後部壁92上に載ることになる。ステント30hをさらに前進させると、リブ140が図35の図面に示すような曲がった形状に変形する。リブ140は、ステント30hのベース138の近くの第1の座屈部に設計される。次いで、ステント30hのシャンク部分40hを小柱網21からさらに前進させると、座屈部は、リブ140の上の方へ移動する。
【0114】
ステント30h内の管腔42h(図35)は、単純な直線形の孔である。房水は、前眼房20から、管腔42hを通って、次いでリブ140の周りを外にコレクタチャネルの方へさらにシュレム管22に沿っていずれの方向へも流出する。
【0115】
図35を参照すると、一実施形態では、ステント30hは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30hは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のうちのいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0116】
グロメット型ステント:
図36は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30iを示す。小柱ステント30iのこの実施形態は、ヘッドまたはシート38i、テーパーの付いたベース部分146、および細くなった中間ウエスト部分またはシャンク40iを含む。
【0117】
使用時には、ステント30i(図36)を小柱網21を通して前進させ、ベース146をシュレム管22内に押し込む。テーパーの付いたベース146によって伸びた小柱網21が緩んで元へ戻り次いで収縮してステント30iのより小さな直径の部分のウエスト40iと係合するまで、必要に応じて、さらにステント30iを若干押す。ステント30iのより大きな直径のヘッドまたはシート38iとベース146との組み合わせによって、望ましくないステントの移動が抑制されることが有利である。上述のように、ステント30iの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって、保証される。
【0118】
図36を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42iを通り、2つの側方ポート56iを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56iを通る一方向のみに向けることができる。他の実施形態では、必要な場合または望ましい場合には、2つを超える出口ポート56iを効果的に使用可能である。
【0119】
なお図36を参照すると、一実施形態では、ステント30iは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30iは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行う。
【0120】
バイオインタラクティブ型ステント:
図37は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30jを示す。 小柱ステント30jのこの実施形態は、バイオインタラクティブ材料148の領域を用い、このバイオインタラクティブ材料148の領域は、バイオインタラクティブ材料148内への組織の成長によって小柱網21がステント30jを堅く把持する部位を提供する。図37に示すように、バイオインタラクティブ層148は、小柱網21に当接するかまたは接することになるステント30jの面に適用されることが好ましい。
【0121】
一実施形態では、バイオインタラクティブ層148(図37)は、成長を促進する化学物質を有し多孔度の高い領域にすることができる。一実施形態では、時間とともに融解する一種の生物由来接着剤150が、安定化のために挿入してから十分内方への成長が生じるまでの間ステントをしっかり保持するために使用される。上述のように、ステント30jの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0122】
図37を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42jを通って、次いで2つの側方ポート56jを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56jを通って一方向にのみ向けることができる。他の実施形態では、必要な場合または望ましい場合、2つを超える出口ポート56jを効果的に使用可能である。
【0123】
なお図37を参照すると、一実施形態では、ステント30jは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30jは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0124】
接着または接合型ステント:
図38に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30kを示す。小柱ステント30kのこの実施形態は、接合点152を形成するために、永続型の(非溶解型の)生物由来接着剤152または「接合」プロセス(例えば加熱)を用いることにより、所定位置に固定される。
【0125】
ステント30kは、ヘッドまたはシート38kおよび下面46kを有する。ステント30kは、ヘッドまたはシート38kが小柱網21に載るまで小柱網21を通って前進させる。すなわち、図38に示すように、ヘッド下面46kが、小柱網21に当接し、接着剤または接合点152は、それらの間に塗布または形成される。上述のように、ステント30kの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め載置されたアプリケータ内のステントの位置決めによって保証される。
【0126】
図38を参照すると、房水は、前眼房20から管腔42kを通り、次いで、2つの側方ポート56kを通り流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れを、単一の側方ポート56kを通り一方向にのみ向けることができる。他の実施形態では、必要かまたは望ましい場合には、2つを超える出口ポート56kを効果的に使用可能である。
【0127】
なお図38を参照すると、一実施形態では、ステント30kは、予め切開した小柱網21から挿入する。他の実施形態では、ステント30kは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード構成のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベースの近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0128】
親水性ラッチ型ステント:
図39に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30mを示す。小柱ステント30mのこの実施形態は、水を吸収することで膨張する親水性材料から製作される。望ましくは、これによって、小柱網21内のより小さな切開から装置30mを挿入可能となる。続いて起こる、ステント30mの(小さめの矢印154により示した)膨張によって、小柱網21内の所定位置にステント30mがラッチ留めされ得ると有利である。上述のように、ステント30mの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め載置されたアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0129】
図39を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42mを通り、次いで2つの側方ポート56mを通り流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、単一の側方ポート56mを通り単一の方向のみに流れを向けることができる。他の実施形態では、必要なまたは望ましい場合、2つを超える出口ポート56mが、効果的に使用可能である。
【0130】
なお図39を参照すると、一実施形態では、ステント30mは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30mは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード構成のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21の切開は、ベースまたはベースの近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0131】
光力学型ステント:
図40に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30nを示す。小柱ステント30nのこの実施形態は、光にさらされると膨張する光力学材料から製作される。
【0132】
眼による眼房水の産生には日変化があることが一般に知られる―――眼房水の産生は、夜よりも日中の方が多い。ステント30nの管腔42nは、日中に角膜内に入る光に反応し、膨張して、これにより管腔42nからシュレム管22内への房水の流れが増え得る。この膨張全体を小さめの矢印156によって示し(図40)、この矢印156は、管腔42n(及びポート)が光の刺激に反応して膨張または開く様子を示す。(光または放射エネルギーE全体は、E=hυにより得られ、この式において、hはプランク定数であり、υは得られた光の振動数である。)夜、暗闇の中では、管腔の直径は小さくなり、管腔42n中を流れ得る流れが少なくなる。一実施形態では、シュレム管22への房水の流れを増加させるために必要に応じて、通常生じる励起波長とは異なる励起波長を得られる。
【0133】
ステント30nの自己ラッチ方式用のこの光力学手段を、図40に示すが、必要または望ましい場合には、他のステント実施形態のうちのどれとも効果的に用いることができる。上述のように、ステント30nの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものにより、かつ予め載置されたアプリケータ内におけるステントの位置決めにより保証される。
【0134】
図40を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42nを通り、次いで2つの側方ポート56nから流出してシュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、単一の側方ポート56nから単一の方向にのみ流れを向けることができる。他の実施形態では、必要または望ましい場合には、2つを超える出口ポート56nを効果的に使用可能である。
【0135】
なお図40を参照すると、一実施形態では、ステント30nは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30nは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0136】
コレクタチャネル整列型ステント:
図41に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30pを示す。この図は、房水を前眼房20から直接、房水静脈内へ注ぐコレクタチャネル29内へ向けるステント30pの実施形態を図示する。ステント30pは、ベースまたは遠位端160を有する。
【0137】
図41に示した実施形態では、取り外し可能な整列ピン158が、コレクタチャネル29とステントの管腔42pとを整列させるために使用される。使用時には、ピン158は、ステントの管腔42pを延び、ベース160から突出し、コレクタチャネル29内へ延びて、ステント30pをコレクタチャネル29の中心に置きかつ/またはその上方に整列させる。その後、ステント30pは、シュレム管22の後部壁92に対して堅固に押し付けられる。永続型の生物由来接着剤162が、ステントのベースとシュレム管22の後部壁92との間に使用されて、ステント30pを所定位置に着座させ固定状態に保持する。ピン158は、一度位置決めされると、房水が前眼房20からコレクタ管29内へ直接流出し得るように管腔42pから引き出される。コレクタ管は、直径が形式上20から100マイクロメートル(μm)であり、(超音波生体顕微鏡(UBM)のような)適切な顕微鏡検査法またはレーザーイメージング法により視覚化されて、ステント30pを配置するための案内を提供する。
【0138】
図41を参照すると、一実施形態では、ステント30pは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30pは、自己管穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0139】
逆刺付きステント(前眼房からコレクタチャネルへ):
図42に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30qを示す。この図は、房水を前眼房20から直接、房水静脈内へ注ぐコレクタチャネル29内へ向けるステント30qの実施形態を図示する。ステント30qはベースまたは遠位端166を有し、チャネル29は壁164を有する。
【0140】
図42に示した実施形態では、ステントのベース166上の、逆刺付きで直径が小さい延長部またはピン168が、コレクタチャネル29内へ案内され、チャネル29の壁164に留まる。ピン168は、有利にはステント30qを留め得る逆刺170を有する。コレクタ管29は、直径が形式上20から100マイクロメートル(μm)であり、(超音波生体顕微鏡(UBM)のような)適切な顕微鏡検査法またはレーザーイメージング法により視覚化されて、ステントを配置するための案内を提供する。
【0141】
図42を参照すると、一実施形態では、ステント30qは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30qは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0142】
弁付きチューブ型ステント(前眼房から脈絡膜へ):
図43に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する弁付きチューブ型ステント装置30rを示す。これは、前眼房20と血管の多い脈絡膜17との間における流れのためのチャネルを提供するステント30rの実施形態である。臨床上、脈絡膜17は、眼10に望ましい圧力よりも低い圧力になり得る。したがって、このステント30rは、脈絡膜17と前眼房20との間における所望の圧力差と等しい開放圧力を有する弁、あるいは所望の圧力低下を提供する狭窄部を含んでいる。
【0143】
浸透膜(前眼房から脈絡膜へ):
図44は、一実施形態に係る特徴及び利点を有する浸透膜装置30sを示す。この実施形態は、前眼房20と血管の多い脈絡膜17との間の流れのためのチャネルを提供する。浸透膜30sは、脈絡膜17の内皮層の一部分に代えて使用される。脈絡膜17には血管が多いので、水は、眼10の前眼房20内ほど脈絡膜側に集中しない。したがって、浸透勾配によって、前眼房20から脈絡膜17内へ水が流れる。
【0144】
臨床上、脈絡膜17(図44)は、眼10に望ましい圧力より低い圧力になり得る。したがって、浸透圧および物理的圧力勾配の両方が、脈絡膜17内への流れに役立つことが望ましい。流れの調節は、膜の面積を適切な広さにすることにより行われる。すなわち、膜の面積が広ければ流量も多くなる。これによって、流れを所望の生理的流量に調節可能であることが有利である。
【0145】
穿刺によるアブ エクステルノ式ステント挿入:
図45に、一実施形態に係る特徴及び利点を有するアブ エクステルノ式処置を用いた、ステント30tの埋め込みを示す。図45のアブ エクステルノ式処置では、眼10内へ穿刺を行うアプリケータまたは送出装置100cで、ステント30tをシュレム管21内へ挿入する。
【0146】
図45を参照すると、ステント30tは、アプリケータ100c内に収容され、一度アプリケータ先端が小柱網21内の所定位置になると、アプリケータ100cから押し出される。小柱網21を囲む組織が光学的に不透明であることから、超音波生体顕微鏡検法(UBM)またはレーザーイメージング技術のような画像化技術が用いられる。画像化によって、アプリケータ先端を挿入しステント30tを展開するための案内を得られる。小柱網21がアブ エクステルノ式挿入において前眼房側ではなく強膜側から穿刺されるので、この技術は、わずかに変更することで非常に様々なステントの実施形態と共に用いることができる。
【0147】
図46に、変更実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30uを示す。
アブ エクステルノ式挿入用のこのグロメット型ステント30uは、図36の実施形態の変更である。図46の実施形態では、図36の実施形態とは逆に、下部またはベース172が平坦であり、上部またはヘッド38uにテーパーがついている。ステント30uは、眼10の外側から穿刺を通って強膜内に挿入される。ここに教示または示唆したステントの他の実施形態の多くは、同様の埋め込みのために変更可能である。
【0148】
この超顕微鏡的装置30u(図46)は、(1)標的レーシック型レーザーとともに、(2)眼と接触させて、あるいは(3)超音波顕微鏡と組み合わせてまたは(4)他の装置挿入用ハンドピースと組み合わせて、使用可能である。
【0149】
小柱網へ向けた薬物送達:
図47に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する、標的を定めた薬物送達埋没物30vを示す。この図面は、標的を定めた薬物送達の概念を描写するものである。
緩やかな放出用の埋没物30vは、小柱網21内に埋め込まれる。
【0150】
小柱網21を標的にして、多孔度を増加させるかまたはシュレム管22の内皮層に渡って能動輸送を改良するように設計された薬を、この小さな埋没物30v内に入れておける(図47)。有利には、薬物を緩やかに放出することによって、修復するように設計されたまさにその構造体内へ薬物が放出されるので、最小限の投与量で所望の生理機能が促進される。
【0151】
本発明の構成要素および技術をある程度の特殊性をもって記述してきたが、多くの変更を、本開示の精神および範囲から逸脱せずに上に記述した特定の設計、構造および方法で行うことができるのは、明らかである。本発明が、例示目的のためにここに述べた実施形態に制限されないが、各要素が均等物に相当する全範囲を含めて、添付の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ限定されると理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、概ね、動物の眼内の眼内圧を減少させるための医療装置および方法に、かつ、より詳細には、眼の前眼房からの房水流出を可能にするためのシャント型装置および関連の緑内障治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
人間の眼は、光を受容可能であり、かつ視像を受け取り可能である特殊な感覚器官である。小柱網は、排液路として役立ち、虹彩と角膜との間に形成された前眼房隅角内に位置する。小柱網は、前眼房から眼房水を流出させることにより眼の前眼房内において均衡のとれた圧力を維持する。
【0003】
米国国民の約2パーセントが、緑内障である。緑内障は、広範囲の臨床症状、病因および治療法を含む眼疾患群である。緑内障は、視神経円板上に認められる、視神経における病理学的な変化を引き起こし、対応する視野の欠損を引き起こし、治療を怠れば失明に至る。眼内圧を低下させることは、すべての緑内障における主要な治療目的である。
【0004】
眼内圧の上昇(高眼内圧)と関連した緑内障では、流出に対する抵抗の原因は、主として小柱網にある。小柱網の組織は、眼房水(「房水」)がシュレム管に入ることを可能にし、この眼房水は、次に、後部壁内のシュレム管の房水コレクタチャネル内へ、次いで、強膜上の静脈系を形成する房水静脈内へ排出される。眼房水は、眼の前方の角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。
眼房水は、水晶体のまわりの毛様体によって連続的に分泌され、よって、毛様体から前眼房へ眼房水の一定の流れがある。眼内圧は、房水の産生と、小柱網を通る流出(主なルート)またはブドウ膜強膜流出(二次ルート)との間のバランスによって決まる。小柱網は、前眼房隅角内の、虹彩の外側縁と角膜の裏との間に位置する。シュレム管に隣接する小柱網部分(小管近傍網(juxtacanilicular meshwork)が、房水流出に対する抵抗の殆どを引き起こす。
【0005】
緑内障は、隅角閉鎖緑内障としても知られる閉塞隅角緑内障、および開放隅角緑内障の2つの種類に大まかに分類される。 閉塞隅角緑内障は、虹彩と小柱網内面との間の接触による前眼房隅角の閉鎖によって引き起こされる。この解剖学的な隅角の閉鎖は、眼の前眼房からの正常な房水流出を妨げる。
【0006】
開放隅角緑内障は、前眼房の隅角が開放されたままである種々の緑内障であるが、小柱網を通る房水の出口が、小さくなる。ろ過作用が減少する正確な原因は、開放隅角緑内障のほとんどの場合について分かっていない。原発開放隅角緑内障は、緑内障の最も一般的なものであり、それは、多くの場合、進行中期に対して早期には無症候である。患者は、診断および治療の前に、実質的、不可逆的に視野が欠損する可能性がある。しかしながら、(例えばコルチコステロイドの使用による)小柱網空間の浮腫または腫脹、異常な色素分散、あるいは脈管を鬱滞させる甲状腺機能亢進症のような疾病を含み得る第2の開放隅角緑内障がある。
【0007】
現在の緑内障治療法は、眼内圧を低下させることに向けられる。薬物療法には、房水の産生を減少させるかまたは流出を増加させる、局所的な点眼あるいは経口投薬法が含まれる。しかしながら、緑内障のためのこれらの薬物療法は、頭痛、視力障害、アレルギー反応のような著しい副作用、心肺の合併症による死亡、起こり得る他の薬物との相互作用のような著しい副作用に関係することがある。薬物療法がうまくいかない時は、外科療法を用いる。開放隅角緑内障用外科療法は、レーザー線維柱帯形成術と、繊維柱帯切除術と、線維柱帯切除術がうまくいかなかった後あるいは線維柱帯切除術がうまくいく見込みがない場合には房水シャントの埋め込みとから成る。繊維柱帯切除術は、瘢痕を減少させかつ外科手術の成功の可能性を高める5−フルオロウラシルあるいはマイトマイシンCのような抗癌剤を局所的に適用して、広く使用されるとともに増加している主要な手術である。
【0008】
米国内において1年当たりおよそ100,000件の繊維柱帯切除術が、メディケア世代の患者に行なわれている。線維柱帯切除術に関連した合併症の発現頻度を減少させることができれば、この数はおそらく増加する。線維柱帯切除術に関連した現在の合併症発現頻度は、失敗(10−15%)、感染(終生続く危険2−5%)、脈絡膜出血、視力障害に至る、低眼内圧による激しい内出血(1%)、白内障形成、および低眼内圧黄斑症(可逆性となり得る、低眼内圧による視力障害)からなる。
【0009】
これらの理由のために、外科医が、数十年間、小柱網用の実行可能な外科手術の開発に努めてきた。
【0010】
試みられ実行されてきた外科技術は、隅角切開術または繊維柱帯切開術と、繊維柱帯穿刺(trabeculopuncture)、隅角光剥離(goniophotoablation)、レーザー小柱剥離(laser trabecular ablation)、および隅角掻爬(goniocurretage)のような、他の機械による小柱網の破壊とである。これらは、すべて主要な手術であり、以下に簡潔に述べる。
【0011】
隅角切開術または繊維柱帯切開術: 隅角切開術および繊維柱帯切開術は、顕微手術により、小柱網を機械破壊して切開を行う、簡易で管理された技術である。 これらには、初めに、開放隅角緑内障の治療において、良好な初期反応があった。しかしながら、外科手術上の長期的な調査結果によると、成人における成功は限定されたものに過ぎなかった。顧みると、これらの処置は、おそらく、細胞の修復および繊維増多メカニズムと、「閉塞(filling in)」のプロセスとにより失敗した。閉塞は、小柱網内に作り出した開口部を崩壊し閉鎖する、好ましくない作用である。一度、作り出した開口部が閉じれば、圧力は高くなり、手術は失敗する。
【0012】
繊維柱帯穿刺: Qスイッチネオジム(Nd)YAGレーザーがまた、小柱網内において十分な厚さの孔を作り出すための光学的侵襲性の技術として研究されてきた。 しかしながら、この繊維柱帯穿刺技術によって作り出した比較的小さな孔は、閉塞する結果となり、失敗する。
【0013】
隅角光剥離またはレーザー繊維柱帯剥離: 隅角光剥離が、米国特許第4,846,172号明細書にBerlinにより開示され、小柱網を剥離することにより緑内障を治療するためにエキシマレーザーを使用することを含む。これは成功しないことが、臨床試験により実証された。Hillらは、エルビウム:YAGレーザーを使用して、小柱網を通る十分な厚さの孔を作り出した(Hillら、Lasers in Surgery and Medicine 11:341−346, 1991年)。この技術は、アーヴィンのカリフォルニア大学で霊長類モデルおよび限られた人間の臨床試験において調査された。合併症の発現頻度は両方の試験でゼロだったが、成功率は、さらなる人間の試験が認められるものではなかった。失敗の原因は、またも修復メカニズムによる、小柱網に外科的に作り出した欠損の閉塞だった。これらのいずれも、実行可能な緑内障治療用の外科手技ではない。
【0014】
隅角掻爬: これは、アブ インテルノ(内部から)機械破壊を行う技術であって、先端にマイクロキュレットを有する毛様体解離へらに似た器具を使用する。 最初の結果は、繊維柱帯切開術と同様だった。それは、修復メカニズムおよび閉塞のプロセスにより失敗した。
【0015】
線維柱帯切除術は最も一般に行なわれる濾過手術であるが、ヴィスコカニュロストミー(VC)および非穿通型の繊維柱帯切除術(NPT)が、濾過手術の新しい2つの変型である。これらは、大きく非常に深い強膜フラップを作ることによりシュレム管を外科的に露出させる、アブ エクステルノ式の(外部からの)主な眼の処置である。VC処置において、シュレム管には、カニューレが挿入され、(シュレム管および房水コレクタチャネルを広げる)粘弾性物質注入が行われる。NPT処置において、外科的にシュレム管を露出した後に、シュレム管の内壁を剥離する。
【0016】
繊維柱帯切除術、VCおよびNPTは、結膜および強膜フラップの下に前眼房内への開口部または孔を形成することを含み、その結果、眼房水が、眼の表面上に、または眼の外壁内にある組織内へ流出する。これらの外科手術は、眼の合併症の発現頻度が顕著である、主な処置である。繊維柱帯切除術、VCおよびNPTが成功する可能性が低いと思われる時は、埋め込み可能ないくつかの排液器具が、外科手術による開口部を通じた眼房水の所望の濾過および流出が続くことを保証するために使用されてきた。緑内障排液器具を配置することについての危険は、出血、感染症および二重視(複視)も含む。
【0017】
埋め込み可能なシャント、および前眼房から強膜または結膜の下の空間への眼房水放出用の開口部を維持する外科手術法の例が、例えばHsiaらへの米国特許第6,059,772号及びBaerveldtへの第6,050,970号明細書に開示された。
【0018】
それらの上記の外科手術および変形のすべては、多数の欠点および中位の成功率を有する。それらは、眼への損傷をかなり含むとともに、結膜下の空間内へ強膜の十分な厚さを通って孔を作り出すことにおいてすぐれた外科手術技能を必要とする。その手技は、通常手術室で行なわれ、視力回復時間が長い。
【0019】
既存の濾過手術の合併症は、眼内圧を低下させる他の方法を見つけるように眼科医を促すことになった。
【0020】
小柱網および小管近傍組織は、ともに房水流出に対する大部分の抵抗を提供し、それ自体、開放隅角緑内障の治療において外科手術により除去される必然的な標的である。さらに、最小量の組織しか変化させず、既存の生理的流出経路を用いる。
【0021】
Arch. Ophthalm. (2000) 118:412に報告されるように、緑内障は、依然として失明の主な原因であり、濾過手術は、依然として疾病を制御する際に有効で重要な選択肢である。 しかしながら、それらの効果を高めるために著しく既存の濾過手術の技術を変更することは、行き詰まったように思われる。本文は、緑内障患者によりよくかつ安全な医療を提供可能な、新しい外科的アプローチを探す時が来たことをさらに明言する。
【0022】
したがって、より速く、より安全で、現在利用可能な方法ほど費用がかからない緑内障治療方法に対して臨床上の大きな要請がある。
【0023】
発明の概要
小柱網および小管近傍組織は、ともに房水流出に対する大部分の抵抗を提供し、それ自体、緑内障の治療において外科手術のための必然的な標的である。房水が、小柱網を通って(主なルート)またはブドウ膜強膜を通って(二次ルート)流出するか、あるいは眼内圧(IOP)を減少させるのに有効な他のルートから流出する、緑内障シャントの種々の実施形態が、ここに開示される。
【0024】
抵抗箇所のみにおいて房水の流出に対する局所抵抗をバイパスし、かつ残りの正常な房水流出機構を用いれば、緑内障手術上の合併症の発現頻度が大幅に減少する。これは、部分的には、眼内圧が低下し過ぎるのを妨げる背圧を強膜の房水がかけることにより、それ
によって低張を回避可能となることによる。したがって、このような手術は、実質的に、低張に関連する黄斑症および脈絡膜出血の危険を排除することになる。さらには、視力の回復が非常に迅速となり、感染の危険が非常に低くなり、発生率が2−5%から約0.05%まで減少する。
【0025】
緑内障治療装置及び方法という発明の名称で2000年4月14日付出願の、同時係属中の米国出願第09/549,350号明細書と、緑内障治療装置という発明の名称で2000年11月1日付出願の、同時係属中の米国出願第09/704,276号明細書とが、アブ インテルノ、すなわち前眼房内部から小柱網を通ってシュレム管内へ小柱シャントを配置する装置および方法を開示する。これらの同時係属中の特許出願の各1つの全内容は、参照によってここに組込まれる。本発明は、両アブ インテルノ式およびアブ エクステルノ式の緑内障シャントまたはステント、並びに方法を含む。
【0026】
ここに示した態様によって行なわれる技術は、一般に「小柱バイパス手術」と呼ばれる場合がある。この種の手術の利点は、簡易で有効であり疾患部位に特別の効能を有する方法で眼内圧を低下させることを含み、外来患者ごとに行うことができる。
【0027】
一般に、小柱バイパス手術(TBS)は、顕微小手術で、小柱網を貫通する開口、スリットあるいは孔を作り出す。TBSは、脈絡膜出血および感染の危険が先行技術よりもはるかに低いという長所を有し、既存の生理的流出機構を用いる。いくつかの態様では、この手術は、迅速な視力の回復を伴って外来患者ごとに表面あるいは局所麻酔の下で行なうことができる可能性がある。孔が「閉塞する」ことを防ぐために、生体適合性のある細長い装置が、孔の中に配置され、ステントとして役立つ。2000年4月14日付出願の米国特許出願第09/549,350号明細書が、小柱バイパス手術を開示し、それら全体の内容は、参照によってここに組込まれる。
【0028】
2000年4月14日付出願の米国特許出願第09/549,350号明細書と、2000年11月1日付出願の米国出願第09/704,276号明細書とに記述されたように、房水輸送用の小柱シャントまたはステントが提供され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。 小柱ステントは、入口部分および出口部分を有する、中空で細長い管状エレメントを含む。出口部分は、シュレム管内部に配置され安定するように適合された、2つのセグメントあるいはエレメントを任意に含み得る。一実施形態では、本装置は「T」字状の装置となっている。
【0029】
本発明の一態様では、眼の小柱網を通して小柱ステントを配置する送出装置(または「アプリケータ」)が、使用される。発明の名称が緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番
号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。
【0030】
ステントは、入口部分および出口部分を有する。送出装置は、ハンドピース、細長い先端部、ホルダーおよびアクチュエータを含む。 ハンドピースは、遠位端部および近位端部を有する。細長い先端部は、ハンドピースの遠位端部に連結される。 細長い先端部は、遠位部分を有し、角膜切開部位を通って、および前眼房内へ配置されるように形成される。ホルダーは、細長い先端部の遠位部分に取り付けられる。ホルダーは、小柱ステントの入口部分を保持し解放するように形成される。 アクチュエータは、ハンドピース上にあり、ホルダーを作動させてホルダーから小柱ステントの入口部分を解放する。小柱ステントが眼内へ送出装置から展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構は、プッシュプル型のプランジャーを含む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明のいくつかの態様は、眼の前眼房から房水を流出させ得ることにより、眼内圧を減少させるための装置に関する。本装置は、概ね、細長い管状部材及び切除用手段を備える。
管状部材は、眼の小柱網を延びるように適合される。管状部材は、概ね、流路を提供する入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを有する管腔を含む。切除用手段は、機械連結されるか、あるいは管状部材の少なくとも一部分を受け入れる切開を小柱網内に作り出すための管状部材と一体となった部分である。
【0032】
一態様では、自己穿孔型緑内障ステントは、眼内の眼内圧を減少させかつ/または平衡させるようにする。ステントは、概ね、シュノーケルおよび湾曲したブレードを備える。シュノーケルは、概ね、眼、シャンクおよび管腔内に前記ステントを安定させる上部シートを備える。シャンクは、シートに機械連結され、眼の小柱網を延びるように適合される。管腔は、シュノーケルを通って延び、少なくとも1つの入口フローポートおよび少なくとも1つの出口フローポートを有する。ブレードは、シュノーケルに機械連結される。ブレードは、概ね、シャンクを受け入れる切開を小柱網内に行うブレードの最も遠位部分の近傍に切除用先端部を備える。
【0033】
本発明のいくつかの態様は、眼に小柱ステント装置を埋め込む方法に関する。一態様では、本装置は、ブレードに機械連結されたシュノーケルを有する。ブレードは、眼の小柱網中を前進させられて、小柱網を切除しかつ切開を形成する。眼に本装置を埋め込むために、シュノーケルの少なくとも一部分が、切開部位に挿入される。
【0034】
いくつかの態様は、有利にはステントの切開および配置を単一の装置および手術によって行う「ワンステップ」処置を可能にする自己穿孔型緑内障ステントおよび方法を提供する。これによって、より速く、安全で、それほど高価でない外科的処置が可能となることが望ましい。実施形態のうちのどれにおいても、基準マーク、しるしまたは同種のもの、および/または予め載置されたアプリケータ内にステント装置を位置決めすることによって、埋め込み中において本装置の適切な方向付けおよび位置調整のために用いることができる。
【0035】
小柱バイパス手術の利点には、その簡易さがある。顕微手術は、迅速に視力を回復させかつ合併症の発現頻度を大幅に減少させて、外来患者ごとに行うことができる。先の技術によるよりも、感染症と脈絡膜出血の危険が低く回復が早くなる。
【0036】
本発明の概要を示す目的のために、本発明のいくつかの態様、利点および新規な特徴をここに上述した。当然ながら、必ずしもこのような利点のすべてが、本発明の種々の特定の実施形態によって達成可能とは限らないことが理解される。したがって、本発明は、ここに教示または示唆し得る他の利点を必ずしも達成せずに、ここに教示する1つの利点、あるいは利点群を達成または最適化するように実施または実行可能である。
【0037】
これらの実施形態はすべて、ここに開示された本発明の範囲内とする。本発明のこれらおよび他の実施形態は、添付の図面に関連する、以下に続く好ましい実施形態の詳細な説明から、当業者には容易に明らかとなり、本発明は、開示した特定の好ましい実施形態に限定されない。
【0038】
よって、本発明の全体的な特徴、並びにその特徴および利点の概要を要約すると、いくつかの好ましい実施形態およびそれらの変更のいくつかは、以下に続く図面と関連する、ここに述べる詳細な説明から当業者に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】眼の冠状断面図である。
【図2】図1の眼の前眼房隅角の拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化した部分図である;
【図4】図3のステントの側面図である。
【図5】図3のステントの上面図である。
【図6】図3のステントの底面図である。
【図7】(図4の7−7線に沿った)図3のステントの正面図である。
【図8】(図4の8−8線に沿った)図3のステントの背面図である。
【図9】図3のステントの切除用先端部の拡大上面図である。
【図10】シュノーケル上部着座面の典型的な一実施形態の上面図である。
【図11】シュノーケル上部着座面の別の典型的な実施形態の上面図である。
【図12】シュノーケル上部着座面のさらに別の典型的な実施形態の上面図である。
【図13】シュノーケル上部着座面のさらに別の典型的な実施形態の上面図である。
【図14】本発明の別の実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図15】本発明の別の実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの側面図である。
【図17】図16のステントの上面図である。
【図18】図16のステントの底面図である。
【図19】図16の19−19線に沿った正面図である。
【図20】図16の20−20線に沿った背面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの側面図である。
【図22】図21のステントの上面図である。
【図23】図21のステントの底面図である。
【図24】図21の24−24線に沿った正面図である。
【図25】図21の25−25線に沿った背面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの正面図である。
【図27】図26の27−27線に沿った側面図である。
【図28】図26の28−28線に沿った背面図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する送出装置を用いた、緑内障ステントの一時的な埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する関節連結式アームステント送出または回収装置の正面斜視図である。
【図31】前眼房を横切る送出装置を用いた、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図32】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図33】図32の逆刺付きピンの詳細な拡大図である。
【図34】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図37】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図38】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図39】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図40】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図41】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図42】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図43】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する、弁が取り付けられたチューブステント装置の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図44】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する浸透膜装置の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図45】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有するアブ エクステルノ式処置を用いた、緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図46】本発明の変形した実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステントの埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【図47】本発明の一実施形態に係る特徴および利点を有する薬物放出埋没物の埋め込みを示す、眼の簡略化された部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
ここに説明する本発明の好ましい実施形態は、特に、眼内圧の減少による緑内障の外科手術および治療法に関する。本説明は種々の実施形態の特定の詳細を述べるが、本説明が例示的であるに過ぎず本発明を限定する種々の解釈をすべきでないと理解される。さらには、当業者が着想し得る本発明の種々の適用および変更もまた、ここに述べる全般的な構想により達成される。
【0041】
図1は、眼10の断面図であり、また図2は、小柱網21、前眼房20およびシュレム管22の相対的な解剖学的位置を示す拡大図である。強膜11は、角膜12によって覆われる部分以外の眼10全体を覆う、厚い膠原組織である。
【0042】
図1および図2を参照すると、角膜12は、薄く透明な組織であって、光を、集束するとともに、眼内へかつ虹彩13の中央の円形の孔である瞳孔14(眼の色のついた部分)中へ透過させる組織である。角膜12は、角膜縁15と呼ばれる接合点で強膜11と結合する。毛様体16が、強膜11の内側に沿い延び、脈絡膜17と同一の広がりを有する。脈絡膜17は、強膜11と網膜18との間に位置する、眼10の脈管層(vascular layer)である。視神経19が、視覚情報を脳に送り、緑内障により次第に破壊される解剖学的構造体である。
【0043】
なお図1および図2を参照すると、眼10の前眼房20は、前方を角膜12により後方を虹彩13と水晶体26とにより拘束され、眼房水(以後「房水」とする)で満たされる。房水は、主に毛様体16によって産生され、次いで瞳孔14を通って前方へ移動し、虹彩13と角膜12との間に形成された、前眼房隅角25に到着する。
【0044】
図2の図面により最もよく示されるように、正常な眼において、房水は、小柱網21を通り前眼房20から除去される。房水は、小柱網21からシュレム管22内へ、その後、血液運搬用静脈と合流する複数の房水静脈23から静脈循環内へ通過して行く。眼内圧は、上述のように、房水の分泌と流出との間の複雑なバランスにより維持される。緑内障は、殆どの場合において、眼内圧を増加させることになる、前眼房20内における房水の産生超過という特徴を有する。流体は、比較的非圧縮性であり、したがって、眼内圧は、眼10全体に比較的均等に分配される。
【0045】
図2に示したように、小柱網21は、強膜11のわずかな部分に隣接する。強膜11の外側には、結膜24がある。結膜24および強膜11の組織から器具を埋め込むための孔または開口部を形成する従来の処置には、最終的に強膜11および角膜12の領域内に完全に存在する、ここに述べるような器具を埋め込む外科手術に比べて、アブ エクステルノ式処置による大がかりな処置が含まれる。
【0046】
自己穿孔型緑内障ステント
図3は、概ね、小柱網21を通り抜けて、流出経路を設置する小柱網ステント装置30の一実施形態の使用を図示し、これを以下により詳細に述べる。図4から図9は、ステント30の異なる図である。有利には、またここに後ほどより詳細に述べるように、自己穿孔型ステントによって、小柱網21内に切開を行い、かつ眼10の内の所望または所定の位置にステントまたは埋没物30を配置するワンステップ処置が可能となる。これによって、外科的処置全体が容易になり簡略されることが望ましい。
【0047】
図3から図9に示した実施形態では、シャントまたはステント30は、概ね、シュノーケル32、およびメインボディ部分またはブレード34を備える。シュノーケル32およびブレード34は、相互に機械連結されるか、または機械的に連絡する。ステント30および/またはボディ部分34は、概ね長手方向の軸線36を有する。
【0048】
図3から図9に示した実施形態では、ステント30は、一体化したユニットを含む。変形実施形態では、ステント30は、別個の部品または構成要素のアセンブリを含み得る。例えば、ステント30は、シュノーケル32およびブレード34のアセンブリを含み得る。
【0049】
図3から図9に示した実施形態では、シュノーケル32は、概ね細長い管状部材の形態であり、概して、上部シート、ヘッドまたはキャップ部分38、シャンク部分40、およびそれを通って延びる管腔または通路42を備える。シート38は、ブレード34と機械連結されるかまたは機械的に連絡するシャンク40に、機械連結されるかまたはそれと機械的に連絡する。シュノーケル32および/または管腔42は、概ね長手方向の軸線43を有する。
【0050】
図3から図9に示した実施形態では、シート38は、形状が概ね円形であり、上面44と、図3に示したように、眼10内に緑内障ステント30を安定させるために小柱網21に対して当接するかまたは押し当てられる低面46とを有する。変形実施形態では、シート38は、うまく、他の適切な方法で、要求されるかまたは望まれるような形状とすることができ、それは、眼10内に緑内障ステント30を安定させ、かつ/または、ここに教示または示唆した利益または利点の1つまたはそれ以上の利益または利点を達成するという目的を当然配慮した上で行う。例えば、シート38は、他の多角形または非多角形の形状とすることができ、かつ/または、他の適切な保持装置中には、放射状に外側へ延びる1つまたはそれ以上の隆起線状部が含まれ得る。
【0051】
図3から図9に示す実施形態において、また図5の上面図において最もよく分かるように、シート上面44は、基準マークまたはしるし48を備える。これらのマークまたはしるし48は、眼10内に埋め込まれる時に、ステント30の適切な方向付けおよび位置調整を容易にしかつ保証する。マークまたはしるし48は、色の相異のような視覚的区別手段を備えるか、あるいはリブ、溝またはその他同種の形状とすることができる。その代わりに、またはさらに、マーク48は、マーク48の周りに、放射線不透過性で検知可能なまたは超音波により画像化可能な基板を組込むことにより、外科医に触覚フィードバックを提供可能である。さらに、シート38および/またはシート上面44は、眼10内におけるステント器具30の適切な方向付けに備えるようにブレード34および/または長手方向軸線36と位置調整された所定の形状に形成可能である。例えば、シート上面44は、卵形または楕円体(図10)、長方形(図11)、六角形(図12)、その他の適切な形(例えば、図13)にすることができる。
【0052】
図3から図9に示す実施形態では、また上に示したように、眼10内に緑内障ステント30を安定させ保持するために、シート底面46を小柱網21に対して当接させるかまたは押し当てる。安定化のために、シート底面46は、短突起付き面、リブ付き面、支柱付き面、粗面または同種の面を含み得る。
【0053】
図3から図9に示す実施形態では、シュノーケルシャンク40の形状は、概ね円筒形である。図3に示すように、ステント30を埋め込んだ場合、シャンク40は、自己穿孔型ステント30によって小柱網21内に形成された切開部位または空洞50内に概ね位置する。有利には、また以下にさらに述べるように、ステント30自体によって空洞50を形成し所望の位置にステント30を配置するこの単一ステップは、全体的な外科的処置を容易にし促進する。変更実施形態では、シュノーケルシャンク40は、必要または所望の場合、効果的に他の適切な形状にすることができる。例えば、シャンク40は、他の多角形、または卵形、楕円体およびその他同種の形状のような非多角形の形状にすることができる。
【0054】
図3から図9に示す実施形態では、また、図3において最もよく分かるように、シャンク40は、空洞50を囲む小柱網21に接する外面52を有する。安定化のために、シャンク外面52は、短突起付き面、リブ付き面、支柱付き面、粗面またはその種の面を含み得る。
【0055】
図3から図9に示した実施形態では、シュノーケルの管腔42は、シート上面44に入口ポート、開口部またはオリフィス54を、かつシャンク40とブレード34との接合点に出口ポート、開口部またはオリフィス56を有する。管腔42は、形状が概ね円筒形であり、すなわち、それは、概ね円形の断面を有し、そのポート54、56の形状は、概ね円形である。変更実施形態では、管腔42およびポート54、56は、十分な房水流出を提供しかつ/または、ここに教示または示唆するような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的を当然考慮して、必要とされるかまたは望ましい場合、効果的に他の形状にすることができる。例えば、管腔42および/または、一方のまたは両方のポート54、56は、卵形、楕円体およびその種の形状に形成可能であるか、あるいは管腔42は、テーパー付きまたは段付き形状とすることができる。
【0056】
特に図3を参照すると、前眼房20からの房水は、入口ポート54から管腔42内へ流入し(全体を矢印58で示す)、出口ポート56からシュレム管22内へ流入して(全体を矢印60で示す)、眼内圧(IOP)が低下しかつ/またはバランスがとれる。別の実施形態では、以下にさらに詳細に述べるように、出口ポートの1つまたはそれ以上は、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成可能である。変更実施形態では、シュノーケル32は、必要なまたは望ましい場合、1つを超える管腔を備えて、シュレム管22内へ複数の房水流出輸送を促進する。
【0057】
図3から図9に示す実施形態では、ブレードの長手方向軸線36およびシュノーケルの長手方向軸線43は、相互に概ね垂直である。換言すれば、軸線36、43の両方に垂直でない共通の面上における投影が、90°で交差する。ブレードの長手方向軸線36とシュノーケルの長手方向軸線43とは、相互に交差させるかまたは相互にずらすことができる。
【0058】
図3から図9に示す実施形態では、メインボディ部分またはブレード34は、上部湾曲面62と、トラフまたは面開放型チャネル66を画定する下部湾曲面64とを有した、概ね湾曲し細長いシート状またはプレート状の構造体である。ブレード34の外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68と、一対の概ね直線の側縁72、74によって近位縁68から間隔をおいて配置された湾曲遠位縁70とによって概ね画定され、第1の側縁72は、第2の側縁74を超えて延び、かつブレード切除用先端部78に最も近いブレード34の最も遠位の部分76で遠位縁70と交わる。
【0059】
図3から図9に示す実施形態では、また図9の拡大図に示したように、切除用先端部78は、遠位縁70上の第1の切除用縁80と、側縁72上の第2の切除用縁82とを備える。切除用縁80、82は、ブレード34の最も遠位の部分76から延びて、遠位縁70および側縁72の少なくとも各一部分を含むことが好ましい。各切除用縁80、82は、斜角またはテーパーを付けた各面84、86の鋭角の縁に形成される。一実施形態では、遠位縁70および側縁72の残りの部分は、鈍いかあるいは丸くなっている。一実施形態では、最も遠位の端部76に近接した先端部78は、図7では(垂直方向を向いた)矢印88で、かつ図9では(紙面内を向いた)矢印88で全体を示すように、隣接するブレード34の曲率に対して、若干内側へ湾曲している。
【0060】
変更実施形態では、適切な切除用縁は、必要なまたは所望の場合、効果的に、1つまたはそれ以上の選択されるブレード縁68、70、72、74の選択した部分に設けることができ、これは、小柱網21を効果的に切除するための適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的を考慮して行う。
【0061】
特に図9を参照すると、一実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約2:1である。 別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約1:1である。さらに別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約1:2である。変更実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとは、必要なまたは望ましい場合、他の長さを効果的に選択可能であり、これは、小柱網21を有効に切除するために適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益または利点の1つまたはそれ以上の利益または利点を達成するという目的を考慮して行う。
【0062】
特になお図9を参照すると、一実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約2:1から約1:2の範囲内である。別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約5:1から約1:5の範囲内である。さらに別の実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとの間の比は、約10:1から約1:10の範囲内にある。変更実施形態では、切除用縁80の長さと切除用縁82の長さとは、必要なまたは望ましい場合、効果的に他の長さを選択可能であり、これは、小柱網21を効果的に切り抜く適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的にしかるべき考慮を払った上で行う。
【0063】
図9の上面図に示すように、切除用縁80(および/または遠位端70)と切除用縁82(および/または側縁72)とは、角度θで相交わる。
換言すれば、θは、これらの縁の両方に垂直でない共通の面上における、切除用縁80(および/または遠位端70)の投影と切除用縁82(および/または側縁72)の投影との間の角度である。
【0064】
特に図9を参照すると、一実施形態では、角度θは、約50°である。別の実施形態では、角度θは、約40°から約60°の範囲内にある。さらに別の実施形態では、角度θは、約30°から約70°の範囲内にある。変更実施形態では、角度θは、必要なまたは望ましい場合、他の角度を効果的に選択可能であり、これは、小柱網21を効果的に切り抜く適切な切除手段をステント30に設け(図3)、かつ/またはここに教示または示唆されるような利益および利点の1つまたはそれ以上の利益および利点を達成するという目的にしかるべき考慮を払った上で行う。
【0065】
ここに開示した実施形態のステント30は、種々に異なる寸法にすることができる。特に図3を参照すると、シュレム管22の深さは、約400ミクロン(μm)未満であるのが典型的である。従って、ステントブレード34は、ブレード34の高さ(図4ではH41とする)が典型的には約400μm未満となる寸法にする。シュノーケルシャンク40の寸法は、概ね小柱網21の厚さの典型的範囲である、典型的には約150μmから約400μmまでの範囲内の長さ(図4ではL41とする)にする。
【0066】
当然ながら、当業者が理解するように、ステント30を埋め込む場合には、ブレード34をシュレム管22内の種々の適切な位置に載置可能である。例えば、ブレード34は、必要な場合または所望の場合には、(図3に示すように)シュレム管22の前部壁90に隣接させるか、またはシュレム管22の後部壁92に隣接させるか、あるいはそれらの間のある中間位置とすることができる。さらに、シュノーケルシャンク40は、シュレム管22内へ延ばし得る。
シュノーケルシャンク40の長さおよび/またはブレード34の寸法は、埋没物の所望の位置決めを達成するように効果的に調節可能である。
【0067】
典型的な実施形態の小柱ステント装置30(図3から図9)は、幅広い種々の技術によって製造または製作可能である。これらは、限定はしないが、他の適切な技術の中には、成形、熱成形、または他のマイクロ機械加工技術による技術を含む。
【0068】
小柱ステント装置30は、装置30の外面と周囲の組織との間の洗浄により生じる炎症が最小限になる、生体適合性のある材料を含むことが好ましい。装置30に使用可能な生体適合性のある材料は、限定はしないが、チタン、チタン合金、医療用グレードのシリコン、例えばミシガン ミッドランドのダウ コーニング コーポレーションから入手可能なシラスティック(登録商標)、およびポリウレタン、例えばダウ コーニング コーポレーションから入手可能なペレセイン(登録商標)を含むことが好ましい。
【0069】
他の実施形態では、ステント装置30は、他のタイプの生体適合性材料を含み得、それには、例えば、一例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、ヘパリン化コラーゲン、ポリテトラフルオロエチレン、発泡ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリマー、フッ素化エラストマー、可撓性のある融解石英、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリシリコン、および/または前述の生体適合性材料の混合物、およびその種のものがある。なお他の実施形態では、複合生体適合性材料を使用可能であり、表面材料が、さらに前述の材料の1つまたはそれ以上の材料に加えて使用され得る。例えば、そのような表面材料には、(テフロン(登録商標)のような)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ヒドロゲル、ヘパリン、(ベータアドレナリン作用性拮抗薬および他の抗緑内障薬、または抗生物質のような)治療薬、およびその種のものが含まれ得る。
【0070】
小柱網手術の典型的な実施形態では、患者は背臥位に配置され、プレプが行われ、布で覆われ、必要に応じて麻酔がかけられる。一実施形態では、自己閉鎖し得る、小さな(約1mm未満の)切開が、角膜12を通って行われる。角膜切開は、いくつかの方法で、他のツールの中では例えばマイクロナイフを使用することにより行うことができる。
【0071】
アプリケータまたは送出装置が、角膜切開部位から小柱網21へ緑内障ステント30を前進させるために使用される。発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、それぞれの全内容が参照によってここに組込まれる。送出装置のいくつかの実施形態もまた、後ほどさらに詳細にここに説明する。小柱網手術中に、隅角鏡、顕微鏡、または内視鏡による誘導を用いることができる。
【0072】
送出装置によって自己穿孔型緑内障ステント装置30を保持したまま、装置30のブレード34を用いて、小柱網21の材料を切除しかつ/または押し退ける。シュノーケルシャンク40はまた、埋め込み中にこの材料の除去を促進し得る。一度装置30が眼10内に埋め込まれると、送出装置は引き抜かれる。図3に示すように、一度適切な埋め込みが行われると、シュノーケルシート38が、小柱網21の上面94の上に載り、シュノーケルシャンク40は、小柱網21内の、(装置30によって作り出された)空洞50を通って延び、ブレードは、シュレム管22の内部を延びる。
【0073】
有利には、本発明の自己穿孔型ステント装置の実施形態は、小柱網内を切開し、続いて前眼房からステントを通りシュレム管内へ房水の流出を可能にするように眼内において適切な方向付けおよび位置調整を行ってステントを埋め込む「ワン−ステップ」処置を行って、眼内圧(IOP)低くしかつ/または平衡させる。望ましくは、これは、より速く、より安全で、それほど費用のかからない外科処置を提供する。
【0074】
多くの合併症が、小柱網手術中に生じる場合があり、該出術では、まずナイフを用いて小柱網を切開し、続いてナイフを取り出し次いでステントを設置する。例えば、ナイフは、外科手術部位をぼやけさせる出血をいくらか引き起こす恐れがある。これは、ステントの配置前に外科手術部位を清浄にするより多くの労力および時間を必要とし得る。さらに、これは、望ましくないが眼内圧(IOP)を上昇または下降させる場合がある。したがって、望ましくないが、このような複数のステップ処置は、手術が遅くなり安全性が低くなり費用が嵩む危機の管理を必要とすることになり得る。
【0075】
図14は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30aの埋め込みを示す、眼10の、簡略化した部分図である。ステント30aは、シュノーケル32aが、シュレム管22内へ延びるより長いシャンク40aと、2つの流出チャネル45aへ二叉に分かれる管腔42aとを備える以外は、図3から図9のステント30に概ね類似する。
【0076】
図14に示した実施形態では、シャンク40aは、ブレード34で終わる。(矢印58aにより全体を示すように)前眼房20から入口ポート54aを通り管腔42a内へ、房水が流れる。次いで、房水は、(矢印60aにより全体を示すように)出口チャネル45aを通って各出口ポート56aからシュレム管22内へ流れる。出口チャネル45aは、概ね逆向きの外側半径方向に延び、出口ポート56aは、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成されて、その結果、シュレム管22内へ開口しかつ適切な方向付けとなって、眼内圧(IOP)を低下および/または平衡させる、シュレム管22内への房水流出が可能となる。上に示したように、シュノーケルシート38の基準マークまたはしるし、および/または所定の形状によって、シュレム管内におけるブレード34、並びにさらに出口チャネル45aおよび各ポート56aの適切な方向付けが可能となる。
【0077】
図14に示した実施形態では、2つの流出チャネル45aが設けられる。別の実施形態では、1つの流出チャネル45aのみが設けられる。さらに別の実施形態では、2つを超える流出チャネル45aが設けられる。変更実施形態では、管腔42aは、ブレード34中を終わりまで延びるとともに、図3から図9の実施形態に関して上に説明したような出口ポートを提供することができる。
【0078】
図15は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30bの埋め込みを示す、眼10の、簡略化した部分図である。ステント30bは、シュノーケル32bが、シュレム管22内へ延びるより長いシャンク40bと、2つの出力チャネル45b内へ二叉に分かれる管腔42bとを備える以外は、図3から図9のステント30に概ね類似する。
【0079】
図15に示した実施形態では、シャンク40bは、ブレード34を通って延びる。(矢印58bにより全体を示すように)前眼房20から入口ポート54bを通って管腔42b内へ、房水が流れる。次いで、房水は、(矢印60bにより全体を示すように)出口チャネル45bを通って各出口ポート56bからシュレム管22内へ流れる。出口チャネル45bは、概ね逆向きの外側半径方向に延び、出口ポート56bは、概ねステントの長手方向軸線36の方向を向くように形成されて、その結果、シュレム管22内へ開口しかつ適切な方向付けとなって、眼内圧(IOP)を低下および/または平衡させる、シュレム管22内への房水の流出が可能となる。
上に示したように、シュノーケルシート38の基準マークまたはしるし、および/または所定の形状によって、シュレム管内におけるブレード34、並びにさらに出口チャネル45bおよび各ポート56bの適切な方向付けが可能となる。
【0080】
図15に示した実施形態では、2つの流出チャネル45bが設けられる。別の実施形態では、1つの流出チャネル45bのみが設けられる。さらに別の実施形態では、2つを超える流出チャネル45bが設けられる。変更実施形態では、管腔42bは、ブレード34中を終わりまで延びるとともに、図3から図9の実施形態に関して上に説明したような出口ポートを提供することができる。
【0081】
図16から図20は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30cの異なる図を示す。ステント30cは、変更したブレード形状を有することを除いて、図3から図9のステント30に概ね類似する。ステント30cは、全体が湾曲し細長くシートまたはプレート状の構造体であるブレード34cであり、トラフまたは面開放型チャネル66cを画定する湾曲した上面62cと湾曲した低面64cとを有するブレード34cを備える。ブレード34cの外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68cと、一対の概ね直線の側縁72c、74cによって近位縁68から間隔をおいて配置された湾曲遠位縁70cとによって概ね画定され、この側縁72c、74cは、概ね相互に平行でありかつほぼ同じ長さである。
【0082】
図16から図20に示した実施形態では、ブレード34cは、切除用先端部78cを備える。切除用先端部78cは、シュノーケル32の配置用に小柱網を切り抜くための、遠位縁70cの選択した部分および隣接する側縁72c、74cの部分の上に形成された切除用縁を含むことが好ましい。切除用縁は、図9に関して上に説明したような斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。図16から図20の実施形態は、図14および図15の実施形態のシュノーケル形状を組込むために効果的に変更可能である。
【0083】
図21から図25は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30dの異なる図を示す。ステント30dは、変更したブレード形状を有することを除いて、図3から図9のステント30に概ね類似する。ステント30dは、全体が湾曲し細長くシートまたはプレート状の構造体であるブレード34dであり、トラフまたは面開放型チャネル66dを画定する、湾曲した上面62dおよび湾曲した低面64dを有するブレード34dを備える。ブレード34dの外周は、シュノーケル32に隣接した湾曲近位縁68dと、概ね内側の一点に集まる一対の湾曲遠位縁70d’、70d”とによって全体が画定され、この遠位縁70d’、70d”は、一対の概ねまっすぐな各側縁72d、74dによって近位縁68dから間隔をおいて配置され、この各側縁72d、74dは、概ね相互に平行でありかつほぼ同じ長さである。遠位縁70d’、70d”は、ブレード切除用先端部78dに隣接する、ブレード34dの最も遠位部分76dで交わる。
【0084】
図21から図25に示した実施形態では、切除用先端部78dは、遠位縁70d’、70d”上に形成されブレード34dの最も遠位部分76dから延びる切除用縁を含むことが好ましい。一実施形態では、切除用縁は、各遠位縁70d’、70d”の一部分だけに沿って延びる。別の実施形態では、切除用縁は、実質的に各遠位縁70d’、70d”の全長に沿って延びる。さらに別の実施形態では、各遠位縁70d’、70d”に隣接した側縁72d、74dの少なくとも一部分が、切除用縁を有する。別の実施形態では、最も遠位の端部76dに隣接した先端部78dは、隣接したブレード34の湾曲に対して、図21では矢印88dによりかつ図22では(紙面内へ垂直方向を向いた)矢印88dにより全体を示すように若干内側に湾曲する。
【0085】
図21から図25の実施形態では、切除用縁は、図9に関して上に説明したように斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。図21から図25の実施形態は、図14および図15の実施形態のシュノーケル形状を組込むために効果的に変更可能である。
【0086】
図26から図28は、一実施形態に係る特徴および利点を有する自己穿孔型緑内障ステント装置30eの異なる図を示す。ステント装置30eは、概ね、ブレードまたは切除用先端部34eと機械連結されるかまたは機械的に連絡するシュノーケル32eを備える。シュノーケル32eは、上述したように、シャンク40eと機械連結されるかまたは機械的に連絡するシート、ヘッドまたはキャップ38eを有する。シャンク40eは、遠位端またはベース47eを有する。図14および図15に関して上述したように、シュノーケル32eは、一対の出口チャネル45e内へ二叉に分かれる管腔42eをさらに有する。必要な場合または所望の場合には、(ここに教示または示唆したような)管腔、ならびに入口および出口ポートの他の形状も、効果的に使用可能である。
【0087】
図26から図28に示した実施形態では、ブレード34eは、シャンク遠位端47eから下向きにかつ外側へ延びる。ブレード34eは、図27および図28において最もよく分かるように、シュノーケル32eの概ね長手方向軸線43eに対して角度がつけられる。ブレード34eは、最も遠位の部分76eを有する。ブレードまたは切除用先端部34eは、図26において最もよく分かるように、切除用縁を含み最も遠位の部分76eで終わる一対の側縁70e’、70e”を有する。一実施形態では、切除用縁は、図9に関して上述したような、斜角またはテーパーを付けた面の鋭角の縁である。
【0088】
図26から図28を参照すると、一実施形態では、ブレード34eは、縁70e’、70e”上に形成されブレード34dの最も遠位の部分76eから延びる切除用縁を含む。一実施形態では、切除用縁は、各遠位縁70e’、70e”の一部分のみに沿って延びる。別の実施形態では、切除用縁は、実質的に各遠位縁70e’、70e”の全長に沿って延びる。さらに別の実施形態では、ブレードまたは切除用先端部34eは、針、例えば30ゲージの針の曲がった先端部分を備える。
【0089】
一般に、ここに開示したブレード形状のいずれを、ここに開示したまたは参照によりここに組み込まれたシュノーケル形状のいずれと共に用いてもよく、その結果、対応のシュノーケルを受け入れるための切開を小柱網に行う自己穿孔型緑内障ステントが提供され、前眼房からシュレム管内への房水流出用通路が提供され、それにより、効果的に眼内圧(IOP)が低下および/または平衡する。本装置が自己穿孔可能であることによって、切開およびシュノーケルの配置を単一の装置および操作により行う「ワン−ステップ」処置が可能であることが有利である。実施形態のいずれにおいても、シュノーケルシートの基準マークまたはしるし、および/または予め選択された形状、および/または予め装入されたアプリケータ内におけるステント装置の位置決めは、埋め込み中に本装置を適切に方向付けおよび位置調整するために用いることができる。
【0090】
送出装置
多くの場合、外科医は、緑内障あるいは隅角切開術を行なう時、一時的切開作業を行う。図29は、一時的埋め込み処置を示し、湾曲した先端部102を有する送出装置またはアプリケータ100が、眼10の側頭部側27にステント30を送達するために使用される)。上述のように、角膜10内に切開28が行われる。次いで、装置100を使用して、切開部位28からステント30を導入し、眼10内にそれを埋め込む。
【0091】
特になお図29を参照すると、一実施形態では、同様に湾曲した器具が、小柱網21を切開するために使用される。他の実施形態では、自己穿孔型ステント装置30は、上述のように、小柱網21にこのように切開を行うために使用可能である。図29に示した一時的な埋め込み処置は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のいずれかとともに、利用可能である。
【0092】
図30に、関節連結式ステントアプリケータまたは回収器具100aを備える装置の一実施形態を示す。この実施形態では、近位アーム106が、関節部112で遠位アーム108に取り付けられる。この関節部112は、近位アーム106と遠位アーム108との間に形成される角度を変えられるように、可動である。ステント回収器具の場合には、遠位アーム108から、1つまたはそれ以上の鉤爪状部114が延び得る。同様に、この関節機構は、小柱ステントアプリケータに使用可能であり、したがって、種々の実施形態において、関節連結アプリケータまたは回収器具100aは、小柱ステント用アプリケータ、回収器具あるいはその両方のいずれかにすることができる。図30の実施形態は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のうちのいずれと利用してもよい。
【0093】
図31は、眼10内の埋め込み部位に、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のうちのいずれをも配置する別の例示的方法を示す。送出装置100bが、概ね、注射器部分116およびカニューレ部分118を備える。カニューレ遠位部分118は、少なくとも1つの洗浄孔120と、ステント装置30を保持する遠位空間122とを有する。遠位空間122の管腔の近位端部124は、カニューレ部分118の残りの管腔から密閉される。図30の送出装置は、ここに教示または示唆した種々のステントの実施形態のいずれとも使用可能である。
【0094】
本発明の一態様では、眼の小柱網から小柱ステントを配置する送出装置(または「アプリケータ」)が、使用される。発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2002年3月18日付出願の、同時係属中だが出願番号は未通知の米国出願明細書(発明者がカリフォルニア アーヴィンのグレゴリー ティー.スメッドリー、カリフォルニア パサデナのモーテザ ガリブ、カリフォルニア ニューポート ビーチのホーシェン テュであり、代理人整理番号がGLAUKO.012Aである)と、発明の名称が「緑内障治療用の小柱シャントを配置するアプリケータおよび方法」であり、2001年3月16日付出願の米国仮出願第60/276,609号明細書とに、そのような送出装置のいくつかの実施形態が開示され、各実施形態の全内容が参照によってここに組込まれる。
【0095】
ステントは、入口部分および出口部分を有する。送出装置は、ハンドピース、細長い先端部、ホルダーおよびアクチュエータを含む。 ハンドピースは、遠位端および近位端を有する。細長い先端部は、ハンドピースの遠位端に連結される。 細長い先端部は、遠位部分を有し、角膜切開部位を通って眼の前眼房内へ配置されるように形成される。ホルダーは、細長い先端部の遠位部分に取り付けられる。ホルダーは、小柱ステントの入口部分を保持し解放するように形成される。 アクチュエータは、ハンドピース上にあり、ホルダーから小柱ステントの入口部分を解放するようにホルダーを作動させる。小柱ステントが送出装置から眼内へ展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構はプッシュプル型のプランジャーを含む
。
【0096】
いくつかの実施形態では、ホルダーはクランプを備える。いくつかの実施形態では、本装置は、ステントがホルダーによって保持されている時に荷重がかけられるように形成されたハンドピース内にばねをさらに備え、ばねは、アクチュエータを作動させると少なくとも部分的に荷重が軽減され、よって、ホルダーからステントが解放可能となる。
【0097】
種々の実施形態において、クランプは、ステントの入口部分上へ、締め付け力を働かせるように形成された複数の鉤爪状部を備える。ホルダーは、さらに複数のフランジも備え得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、細長い先端部の遠位部分は、可撓性材料からなる。これは、可撓性ワイヤにすることができる。遠位部分は、好ましくはハンドピースの長軸線から約45度のたわみ範囲を持ち得る。
【0099】
送出装置は、細長い先端部内に洗浄ポートをさらに備え得る。
【0100】
いくつかの態様は、眼の小柱網を通って、入口部分および出口部分を有する小柱ステントを配置する方法を含み、該方法は、小柱ステントを保持する送出装置を眼の前眼房から小柱網内へ前進させるステップと、ステントの一部分を小柱網から眼のシュレム管内へ配置するステップと、送出装置からステントを解放するステップとを含む。
【0101】
種々の実施形態では、本方法は、遠位端および近位端を有するハンドピースと、ハンドピース遠位端部に結合された細長い先端部であり、遠位部分を有するとともに、角膜切開部位を通って眼の前眼房内へ配置されるように形成された細長い先端部と、細長い先端部の遠位部分に取り付けられ、小柱ステント入口部分を保持し解放するように形成されたホルダーと、ホルダーから小柱ステント入口部分を解放するようにホルダーを作動させる、ハンドピース上のアクチュエータとを備える送出装置を使用することを含む。
【0102】
一態様では、小柱ステントは、(「アプリケータ」としても知られる)送出装置に取り外し可能に取り付けられる。小柱ステントが送出装置から眼内へ展開されると、出口部分は、実質的に反対方向にシュレム管内に位置する。一実施形態では、送出装置内の展開機構が、プッシュプル型のプランジャーを含む。いくつかの実施形態では、送出アプリケータは、ガイドワイヤー、拡張可能なバスケット、膨張可能なバルーンまたは同様のものにすることができる。
【0103】
他の実施形態
ねじ/逆刺付きアンカーステント:
図32および図33は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30fを示す。小柱ステント30fのこの実施形態は、逆刺付きのまたはねじ切りしたねじ状でありアンカー用逆刺128を有する延長部分またはピン126を含む。逆刺付きピン126は、ステント30fの遠位またはベース部分130から延びる。
【0104】
使用中には、ステント30f(図32)は、小柱網21を通りシュレム管22を横切って前進させる。逆刺付きの(またはねじ切りした)延長部分126は、シュレム管22の後部壁92内へ、次いで肩状部またはベース130が管22の後部壁92に載るまで貫通する。肩状部130と特定の長さの逆刺付きピン126との組み合わせでは、逆刺付きピン126の貫通深さが所定のまたは予め選択した距離に制限される。一実施形態では、ピン126の長さは、約0.5mmまたはそれ未満である。有利には、この逆刺付き形状は、ステント30fの確実な固定を提供する。上述のように、ステント30fの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0105】
図32を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42fを通り、次いで2つの側方ポート56fから流出して、シュレム管22に沿って両方向を向けられる。あるいは、単一の側方ポート56fから一方向へのみ流れを向けることができる。他の実施形態では、2つを超える出口ポート56f、例えば(ピン歯車の外形のような)6つから8つのポートが、必要な場合または所望の場合、効果的に使用可能である。
【0106】
なお図32を参照すると、一実施形態では、ステント30fは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30fは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのいずれと組み合わせることもできる。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0107】
深くねじ切りしたステント:
図34は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30gを示す。ステント30gは、ヘッドまたはシート38gと、ベースまたは遠位端132を有するシャンクまたはメインボディ40gとを有する。小柱ステント30gのこの実施形態は、ステント30gの、ヘッド38gより下のメインボディ40gの上に(ねじ山136を有する)深いねじ134を含む。ねじは、ベース132の最後まで延ばすことができ、または延ばさなくてもよい。
【0108】
使用中には、ステント30g(図34)は、通常のねじの場合と同様に、回転運動によって小柱網21を通り前進させる。有利には、深いねじ山136によって、小柱網21内にステント30gを保持および安定させることができる。
【0109】
図34を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42gを通り、次いで2つの側方ポート56gを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56gを通って一方向へのみ向けることができる。他の実施形態では、2つを超える出口ポート56gが、必要な場合または所望の場合には、効果的に使用可能である。
【0110】
このステント30g(図34)用の1つの適切なアプリケータまたは送出装置は、例えば屈曲したねじりばねまたはその種の他のものを介した、予め調節された回転を含む。回転は、アプリケータ上の解放トリガーによって始まる。外科医が最後にアプリケータを回転させかつ適切な基準マーク、しるしあるいはその種のものを観察することによって、シュレム管22と側方ポート56gとの適切な位置調整が保証される。
【0111】
図34を参照すると、一実施形態では、ステント30gは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30gは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のうちのいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21中の切開は、ベースにまたはベースに隣接してブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0112】
リベット型ステント:
図35は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント30h装置を示す。ステントは、ベースまたは遠位端138を有する。小柱ステント30hのこの実施形態は、可撓性のある一対のリブ140を有する。未使用の状態では、リブは、最初は概ね直線形である(すなわち、概ね矢印142の方向に延びる)。
【0113】
図35を参照すると、小柱網21からステント30hを挿入すると、ステント30hの各リブ140の端部144は、シュレム管22の後部壁92上に載ることになる。ステント30hをさらに前進させると、リブ140が図35の図面に示すような曲がった形状に変形する。リブ140は、ステント30hのベース138の近くの第1の座屈部に設計される。次いで、ステント30hのシャンク部分40hを小柱網21からさらに前進させると、座屈部は、リブ140の上の方へ移動する。
【0114】
ステント30h内の管腔42h(図35)は、単純な直線形の孔である。房水は、前眼房20から、管腔42hを通って、次いでリブ140の周りを外にコレクタチャネルの方へさらにシュレム管22に沿っていずれの方向へも流出する。
【0115】
図35を参照すると、一実施形態では、ステント30hは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30hは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のうちのいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0116】
グロメット型ステント:
図36は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30iを示す。小柱ステント30iのこの実施形態は、ヘッドまたはシート38i、テーパーの付いたベース部分146、および細くなった中間ウエスト部分またはシャンク40iを含む。
【0117】
使用時には、ステント30i(図36)を小柱網21を通して前進させ、ベース146をシュレム管22内に押し込む。テーパーの付いたベース146によって伸びた小柱網21が緩んで元へ戻り次いで収縮してステント30iのより小さな直径の部分のウエスト40iと係合するまで、必要に応じて、さらにステント30iを若干押す。ステント30iのより大きな直径のヘッドまたはシート38iとベース146との組み合わせによって、望ましくないステントの移動が抑制されることが有利である。上述のように、ステント30iの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって、保証される。
【0118】
図36を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42iを通り、2つの側方ポート56iを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56iを通る一方向のみに向けることができる。他の実施形態では、必要な場合または望ましい場合には、2つを超える出口ポート56iを効果的に使用可能である。
【0119】
なお図36を参照すると、一実施形態では、ステント30iは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30iは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード形状のいずれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行う。
【0120】
バイオインタラクティブ型ステント:
図37は、一実施形態に係る特徴および利点を有する緑内障ステント装置30jを示す。 小柱ステント30jのこの実施形態は、バイオインタラクティブ材料148の領域を用い、このバイオインタラクティブ材料148の領域は、バイオインタラクティブ材料148内への組織の成長によって小柱網21がステント30jを堅く把持する部位を提供する。図37に示すように、バイオインタラクティブ層148は、小柱網21に当接するかまたは接することになるステント30jの面に適用されることが好ましい。
【0121】
一実施形態では、バイオインタラクティブ層148(図37)は、成長を促進する化学物質を有し多孔度の高い領域にすることができる。一実施形態では、時間とともに融解する一種の生物由来接着剤150が、安定化のために挿入してから十分内方への成長が生じるまでの間ステントをしっかり保持するために使用される。上述のように、ステント30jの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め装入したアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0122】
図37を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42jを通って、次いで2つの側方ポート56jを通って流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れは、単一の側方ポート56jを通って一方向にのみ向けることができる。他の実施形態では、必要な場合または望ましい場合、2つを超える出口ポート56jを効果的に使用可能である。
【0123】
なお図37を参照すると、一実施形態では、ステント30jは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30jは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21を通る切開は、ベースにまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0124】
接着または接合型ステント:
図38に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30kを示す。小柱ステント30kのこの実施形態は、接合点152を形成するために、永続型の(非溶解型の)生物由来接着剤152または「接合」プロセス(例えば加熱)を用いることにより、所定位置に固定される。
【0125】
ステント30kは、ヘッドまたはシート38kおよび下面46kを有する。ステント30kは、ヘッドまたはシート38kが小柱網21に載るまで小柱網21を通って前進させる。すなわち、図38に示すように、ヘッド下面46kが、小柱網21に当接し、接着剤または接合点152は、それらの間に塗布または形成される。上述のように、ステント30kの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め載置されたアプリケータ内のステントの位置決めによって保証される。
【0126】
図38を参照すると、房水は、前眼房20から管腔42kを通り、次いで、2つの側方ポート56kを通り流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、流れを、単一の側方ポート56kを通り一方向にのみ向けることができる。他の実施形態では、必要かまたは望ましい場合には、2つを超える出口ポート56kを効果的に使用可能である。
【0127】
なお図38を参照すると、一実施形態では、ステント30kは、予め切開した小柱網21から挿入する。他の実施形態では、ステント30kは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆されたブレード構成のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベースの近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0128】
親水性ラッチ型ステント:
図39に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30mを示す。小柱ステント30mのこの実施形態は、水を吸収することで膨張する親水性材料から製作される。望ましくは、これによって、小柱網21内のより小さな切開から装置30mを挿入可能となる。続いて起こる、ステント30mの(小さめの矢印154により示した)膨張によって、小柱網21内の所定位置にステント30mがラッチ留めされ得ると有利である。上述のように、ステント30mの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものによって、かつ予め載置されたアプリケータ内におけるステントの位置決めによって保証される。
【0129】
図39を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42mを通り、次いで2つの側方ポート56mを通り流出して、シュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、単一の側方ポート56mを通り単一の方向のみに流れを向けることができる。他の実施形態では、必要なまたは望ましい場合、2つを超える出口ポート56mが、効果的に使用可能である。
【0130】
なお図39を参照すると、一実施形態では、ステント30mは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30mは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード構成のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合には、小柱網21の切開は、ベースまたはベースの近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置によって行われる。
【0131】
光力学型ステント:
図40に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30nを示す。小柱ステント30nのこの実施形態は、光にさらされると膨張する光力学材料から製作される。
【0132】
眼による眼房水の産生には日変化があることが一般に知られる―――眼房水の産生は、夜よりも日中の方が多い。ステント30nの管腔42nは、日中に角膜内に入る光に反応し、膨張して、これにより管腔42nからシュレム管22内への房水の流れが増え得る。この膨張全体を小さめの矢印156によって示し(図40)、この矢印156は、管腔42n(及びポート)が光の刺激に反応して膨張または開く様子を示す。(光または放射エネルギーE全体は、E=hυにより得られ、この式において、hはプランク定数であり、υは得られた光の振動数である。)夜、暗闇の中では、管腔の直径は小さくなり、管腔42n中を流れ得る流れが少なくなる。一実施形態では、シュレム管22への房水の流れを増加させるために必要に応じて、通常生じる励起波長とは異なる励起波長を得られる。
【0133】
ステント30nの自己ラッチ方式用のこの光力学手段を、図40に示すが、必要または望ましい場合には、他のステント実施形態のうちのどれとも効果的に用いることができる。上述のように、ステント30nの正確な方向付けは、適切な基準マーク、しるしまたはその種の他のものにより、かつ予め載置されたアプリケータ内におけるステントの位置決めにより保証される。
【0134】
図40を参照すると、房水は、前眼房20から、管腔42nを通り、次いで2つの側方ポート56nから流出してシュレム管22に沿って両方向に向けられる。あるいは、単一の側方ポート56nから単一の方向にのみ流れを向けることができる。他の実施形態では、必要または望ましい場合には、2つを超える出口ポート56nを効果的に使用可能である。
【0135】
なお図40を参照すると、一実施形態では、ステント30nは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30nは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0136】
コレクタチャネル整列型ステント:
図41に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30pを示す。この図は、房水を前眼房20から直接、房水静脈内へ注ぐコレクタチャネル29内へ向けるステント30pの実施形態を図示する。ステント30pは、ベースまたは遠位端160を有する。
【0137】
図41に示した実施形態では、取り外し可能な整列ピン158が、コレクタチャネル29とステントの管腔42pとを整列させるために使用される。使用時には、ピン158は、ステントの管腔42pを延び、ベース160から突出し、コレクタチャネル29内へ延びて、ステント30pをコレクタチャネル29の中心に置きかつ/またはその上方に整列させる。その後、ステント30pは、シュレム管22の後部壁92に対して堅固に押し付けられる。永続型の生物由来接着剤162が、ステントのベースとシュレム管22の後部壁92との間に使用されて、ステント30pを所定位置に着座させ固定状態に保持する。ピン158は、一度位置決めされると、房水が前眼房20からコレクタ管29内へ直接流出し得るように管腔42pから引き出される。コレクタ管は、直径が形式上20から100マイクロメートル(μm)であり、(超音波生体顕微鏡(UBM)のような)適切な顕微鏡検査法またはレーザーイメージング法により視覚化されて、ステント30pを配置するための案内を提供する。
【0138】
図41を参照すると、一実施形態では、ステント30pは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30pは、自己管穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0139】
逆刺付きステント(前眼房からコレクタチャネルへ):
図42に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30qを示す。この図は、房水を前眼房20から直接、房水静脈内へ注ぐコレクタチャネル29内へ向けるステント30qの実施形態を図示する。ステント30qはベースまたは遠位端166を有し、チャネル29は壁164を有する。
【0140】
図42に示した実施形態では、ステントのベース166上の、逆刺付きで直径が小さい延長部またはピン168が、コレクタチャネル29内へ案内され、チャネル29の壁164に留まる。ピン168は、有利にはステント30qを留め得る逆刺170を有する。コレクタ管29は、直径が形式上20から100マイクロメートル(μm)であり、(超音波生体顕微鏡(UBM)のような)適切な顕微鏡検査法またはレーザーイメージング法により視覚化されて、ステントを配置するための案内を提供する。
【0141】
図42を参照すると、一実施形態では、ステント30qは、予め切開した小柱網21から挿入される。他の実施形態では、ステント30qは、自己穿孔能力を提供するように、ここに教示または示唆したブレード形状のうちのどれとも組み合わせ可能である。これらの場合、小柱網21への切開は、ベースまたはベース近傍にブレードを有する自己穿孔型ステント装置により行われる。
【0142】
弁付きチューブ型ステント(前眼房から脈絡膜へ):
図43に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する弁付きチューブ型ステント装置30rを示す。これは、前眼房20と血管の多い脈絡膜17との間における流れのためのチャネルを提供するステント30rの実施形態である。臨床上、脈絡膜17は、眼10に望ましい圧力よりも低い圧力になり得る。したがって、このステント30rは、脈絡膜17と前眼房20との間における所望の圧力差と等しい開放圧力を有する弁、あるいは所望の圧力低下を提供する狭窄部を含んでいる。
【0143】
浸透膜(前眼房から脈絡膜へ):
図44は、一実施形態に係る特徴及び利点を有する浸透膜装置30sを示す。この実施形態は、前眼房20と血管の多い脈絡膜17との間の流れのためのチャネルを提供する。浸透膜30sは、脈絡膜17の内皮層の一部分に代えて使用される。脈絡膜17には血管が多いので、水は、眼10の前眼房20内ほど脈絡膜側に集中しない。したがって、浸透勾配によって、前眼房20から脈絡膜17内へ水が流れる。
【0144】
臨床上、脈絡膜17(図44)は、眼10に望ましい圧力より低い圧力になり得る。したがって、浸透圧および物理的圧力勾配の両方が、脈絡膜17内への流れに役立つことが望ましい。流れの調節は、膜の面積を適切な広さにすることにより行われる。すなわち、膜の面積が広ければ流量も多くなる。これによって、流れを所望の生理的流量に調節可能であることが有利である。
【0145】
穿刺によるアブ エクステルノ式ステント挿入:
図45に、一実施形態に係る特徴及び利点を有するアブ エクステルノ式処置を用いた、ステント30tの埋め込みを示す。図45のアブ エクステルノ式処置では、眼10内へ穿刺を行うアプリケータまたは送出装置100cで、ステント30tをシュレム管21内へ挿入する。
【0146】
図45を参照すると、ステント30tは、アプリケータ100c内に収容され、一度アプリケータ先端が小柱網21内の所定位置になると、アプリケータ100cから押し出される。小柱網21を囲む組織が光学的に不透明であることから、超音波生体顕微鏡検法(UBM)またはレーザーイメージング技術のような画像化技術が用いられる。画像化によって、アプリケータ先端を挿入しステント30tを展開するための案内を得られる。小柱網21がアブ エクステルノ式挿入において前眼房側ではなく強膜側から穿刺されるので、この技術は、わずかに変更することで非常に様々なステントの実施形態と共に用いることができる。
【0147】
図46に、変更実施形態に係る特徴及び利点を有する緑内障ステント装置30uを示す。
アブ エクステルノ式挿入用のこのグロメット型ステント30uは、図36の実施形態の変更である。図46の実施形態では、図36の実施形態とは逆に、下部またはベース172が平坦であり、上部またはヘッド38uにテーパーがついている。ステント30uは、眼10の外側から穿刺を通って強膜内に挿入される。ここに教示または示唆したステントの他の実施形態の多くは、同様の埋め込みのために変更可能である。
【0148】
この超顕微鏡的装置30u(図46)は、(1)標的レーシック型レーザーとともに、(2)眼と接触させて、あるいは(3)超音波顕微鏡と組み合わせてまたは(4)他の装置挿入用ハンドピースと組み合わせて、使用可能である。
【0149】
小柱網へ向けた薬物送達:
図47に、一実施形態に係る特徴及び利点を有する、標的を定めた薬物送達埋没物30vを示す。この図面は、標的を定めた薬物送達の概念を描写するものである。
緩やかな放出用の埋没物30vは、小柱網21内に埋め込まれる。
【0150】
小柱網21を標的にして、多孔度を増加させるかまたはシュレム管22の内皮層に渡って能動輸送を改良するように設計された薬を、この小さな埋没物30v内に入れておける(図47)。有利には、薬物を緩やかに放出することによって、修復するように設計されたまさにその構造体内へ薬物が放出されるので、最小限の投与量で所望の生理機能が促進される。
【0151】
本発明の構成要素および技術をある程度の特殊性をもって記述してきたが、多くの変更を、本開示の精神および範囲から逸脱せずに上に記述した特定の設計、構造および方法で行うことができるのは、明らかである。本発明が、例示目的のためにここに述べた実施形態に制限されないが、各要素が均等物に相当する全範囲を含めて、添付の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ限定されると理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の異常を処置するシステムであって、
入口部と出口部とを有する埋没物と、送出装置とを備え、
前記埋没物は、管腔が入口部と出口部の間に延びて入口ポートと出口ポートとを接続し、使用状態において、眼房水が眼の前眼房から入口ポートを介して管腔へ流れ、そして、出口ポートを介して眼のブドウ膜強膜流出路へ流れるような大きさに構成されており、
前記送出装置は細長い部材を備え、前記埋没物を、前記出口部が前記入口部に先立つ状態で、前眼房内から、前記出口ポートがブドウ膜強膜流出路に通じ、前記入口ポートが前眼房に通じる位置へ進めるように構成されており、前記ポートが前記ブドウ膜強膜流出路に配置されている、システム。
【請求項2】
前記埋没物は、使用状態において眼の脈絡膜に接触するような大きさに構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出口部は、ヘッド部を有しており、前記出口ポートは、前記ヘッド部の外面に沿って位置している請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記外面は、概ね湾曲している請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッド部は、丸い形を有している請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記入口部は、眼の中に埋没物を安定させるためのシートを備える請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
シャンクが前記入口部と前記出口部との間に延びる請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記埋没物は、切除部材を更に備える請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記切除部材は、前記埋没物の少なくとも一部を受け入れるために眼の組織に切開を形成するように構成された切除用先端を備える請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記埋没物は、当該埋没物を眼に固定するための少なくとも1つのアンカーを備える請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記埋没物は、当該埋没物を通る房水の流れを規制するための流れコントローラを更に備える請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記流れコントローラは、弁を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記流れコントローラは、前記埋没物の管腔内に狭窄部を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記埋没物は、治療薬を備える請求項1から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された遠位部を備え、当該遠位部は、直線形ではなく、かつ、前記埋没物を眼の前記位置に配置するように構成されている請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記送出装置の前記遠位部は、前眼房内に延びるように構成され、かつ、前記埋没物を眼の前記位置に配置するように角度付けられている請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された近位部及び遠位部を備え、前記近位部は、前記遠位部に可動に取り付けられている請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記近位部は、可動関節で前記遠位部に取り付けられている請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された近位部及び遠位部を備え、前記近位部と前記遠位部との間に形成される角度は、可変である請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記送出装置は、ハンドピースと、前記ハンドピースの遠位端に接続された細長い先端部とを備え、前記細長い先端部は、前記埋没物を保持するように構成された遠位部を備える請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記送出装置は、前記細長い先端部の前記遠位部に取り付けられたホルダーを更に備え、前記ホルダーは、前記埋没物の少なくとも一部を保持及び解放するように構成されている請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記送出装置は、前記ハンドピース上のアクチュエータを更に備え、当該アクチュエータは、前記埋没物を前記ホルダーから解放するように、前記ホルダーを作動させるように構成されている請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記細長い先端部の前記遠位部は、可撓性の材料から作られている請求項20から22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記細長い先端部の前記遠位部は、たわみ範囲を有する請求項20から23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記埋没物は、可撓性の材料から作られた本体を備える請求項1から24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記送出装置は、遠位部を備え、該遠位部の少なくとも一方が湾曲した可撓性を有する請求項1から14および請求項25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記送出装置は、前記埋没物を配置するためのプランジャーを備えている請求項1から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記送出装置は、自己閉鎖可能な切開を通じて、前記眼房内にアクセスするように構成されている請求項1から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記埋没物は、管状部材および細長い部材のうち少なくとも1つを備えている請求項1から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記埋没物は、ヘパリンをコーティングして構成されている請求項1から29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記埋没物は、遠位に向けて先細に構成されている遠位部を備えている請求項1から30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
前記埋没物は、拡張可能である請求項1から31のいずれかに記載のシステム。
【請求項1】
眼の異常を処置するシステムであって、
入口部と出口部とを有する埋没物と、送出装置とを備え、
前記埋没物は、管腔が入口部と出口部の間に延びて入口ポートと出口ポートとを接続し、使用状態において、眼房水が眼の前眼房から入口ポートを介して管腔へ流れ、そして、出口ポートを介して眼のブドウ膜強膜流出路へ流れるような大きさに構成されており、
前記送出装置は細長い部材を備え、前記埋没物を、前記出口部が前記入口部に先立つ状態で、前眼房内から、前記出口ポートがブドウ膜強膜流出路に通じ、前記入口ポートが前眼房に通じる位置へ進めるように構成されており、前記ポートが前記ブドウ膜強膜流出路に配置されている、システム。
【請求項2】
前記埋没物は、使用状態において眼の脈絡膜に接触するような大きさに構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出口部は、ヘッド部を有しており、前記出口ポートは、前記ヘッド部の外面に沿って位置している請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記外面は、概ね湾曲している請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッド部は、丸い形を有している請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記入口部は、眼の中に埋没物を安定させるためのシートを備える請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
シャンクが前記入口部と前記出口部との間に延びる請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記埋没物は、切除部材を更に備える請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記切除部材は、前記埋没物の少なくとも一部を受け入れるために眼の組織に切開を形成するように構成された切除用先端を備える請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記埋没物は、当該埋没物を眼に固定するための少なくとも1つのアンカーを備える請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記埋没物は、当該埋没物を通る房水の流れを規制するための流れコントローラを更に備える請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記流れコントローラは、弁を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記流れコントローラは、前記埋没物の管腔内に狭窄部を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記埋没物は、治療薬を備える請求項1から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された遠位部を備え、当該遠位部は、直線形ではなく、かつ、前記埋没物を眼の前記位置に配置するように構成されている請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記送出装置の前記遠位部は、前眼房内に延びるように構成され、かつ、前記埋没物を眼の前記位置に配置するように角度付けられている請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された近位部及び遠位部を備え、前記近位部は、前記遠位部に可動に取り付けられている請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記近位部は、可動関節で前記遠位部に取り付けられている請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記送出装置は、前記埋没物を保持するように構成された近位部及び遠位部を備え、前記近位部と前記遠位部との間に形成される角度は、可変である請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記送出装置は、ハンドピースと、前記ハンドピースの遠位端に接続された細長い先端部とを備え、前記細長い先端部は、前記埋没物を保持するように構成された遠位部を備える請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記送出装置は、前記細長い先端部の前記遠位部に取り付けられたホルダーを更に備え、前記ホルダーは、前記埋没物の少なくとも一部を保持及び解放するように構成されている請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記送出装置は、前記ハンドピース上のアクチュエータを更に備え、当該アクチュエータは、前記埋没物を前記ホルダーから解放するように、前記ホルダーを作動させるように構成されている請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記細長い先端部の前記遠位部は、可撓性の材料から作られている請求項20から22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記細長い先端部の前記遠位部は、たわみ範囲を有する請求項20から23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記埋没物は、可撓性の材料から作られた本体を備える請求項1から24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記送出装置は、遠位部を備え、該遠位部の少なくとも一方が湾曲した可撓性を有する請求項1から14および請求項25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記送出装置は、前記埋没物を配置するためのプランジャーを備えている請求項1から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記送出装置は、自己閉鎖可能な切開を通じて、前記眼房内にアクセスするように構成されている請求項1から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記埋没物は、管状部材および細長い部材のうち少なくとも1つを備えている請求項1から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記埋没物は、ヘパリンをコーティングして構成されている請求項1から29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記埋没物は、遠位に向けて先細に構成されている遠位部を備えている請求項1から30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
前記埋没物は、拡張可能である請求項1から31のいずれかに記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公開番号】特開2013−66742(P2013−66742A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264721(P2012−264721)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2008−277217(P2008−277217)の分割
【原出願日】平成14年4月8日(2002.4.8)
【出願人】(502373503)グローコス コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2008−277217(P2008−277217)の分割
【原出願日】平成14年4月8日(2002.4.8)
【出願人】(502373503)グローコス コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
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