説明

緑内障性網膜症および視神経障害の処置のための薬剤

【課題】緑内障性網膜症および視神経障害に対処する改善された処置方法を提供すること。
【解決手段】Nrf2タンパク質の核転位、ならびに、細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤が、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための方法において提供される。Nrf2/ARE経路に作用する構造的に多様な薬剤は、化学的に多様な細胞保護特性を有し、毒性代謝産物および生体異物に対する防御となる酵素およびタンパク質の発現を誘導する。薬剤としては、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログ等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、緑内障に関連する網膜症および視神経障害のための予防剤および治療剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
緑内障は、視神経の損傷、および網膜神経節細胞(RGC)の選択的なアポトーシスによる死(視野の進行性の喪失および失明につながる)を含む、類似のセットの臨床的特徴を有する、疾患の異質の群である。眼内圧(IOP)の異常な増加は、緑内障のほとんどの形態に付随する。唯一の利用可能な処置は、医薬または外科手術のいずれかによってIOPを低下させることである。IOPを低下させることは、特定の型の緑内障の発症を遅くし、そして、その損傷効果を遅延させるのに有効である。それにもかかわらず、緑内障患者における視野の喪失は、常にIOPと相関するわけではなく、IOPを低下させることだけでは、疾患の進行を完全には停止しない。このことは、圧力が、緑内障性網膜症および視神経障害の唯一の原因ではない可能性があることに関係している。おそらく、さらなる機構が疾患の進行に寄与する。緑内障性網膜症は、一般に、緑内障を有する患者または動物において見られる、網膜における機能障害または病理学的変化、特に、RGCの死として理解されている。緑内障性視神経障害とは、RGCの軸索が通過する視神経における機能障害または病理学的変化をいう。
【0003】
成人のヒトの網膜全体の断面は、近位もしくは最深の領域(硝子体側)から、遠位もしくは最外の領域(脈絡叢側)の方向で並ぶ、以下の細胞の層を示す:
内境界膜、
眼線維層(optic fiber layer)、
神経節細胞層、
内網状叢、
内顆粒層、
外網状層、
外顆粒層、
外部境界膜、
杆状体および網膜錐体の内節、
杆状体および網膜錐体の外節、
網膜の色素上皮、および
脈絡毛細管板。
【0004】
網膜の色素上皮および脈絡毛細管板は、脈絡膜に最も近い網膜の背部で見られ、一方で、内境界膜は、硝子体房(vitreal chamber)の最も近くにある。神経節細胞層は、光受容の入力を集め、その入力を、有髄軸索を介し、視神経を通じて、脳に送る。神経節細胞は、緑内障の危険にさらされている細胞である。
【0005】
RGCの死に寄与する、提案される分子機構としては、グルタミン酸の毒性、神経栄養性因子の離脱症状、脈管の異常(虚血)、反応性神経膠症、および一酸化窒素誘導性の毒性が挙げられる。しかし、これらの提案される機構のいずれもが、当該分野の研究者によって広く受け入れられていない。
特許文献1として公開された、Gao,X.らに対するPCT特許出願第PCT/US02/40457号は、聞くところによれば、ヒト網膜の色素上皮細胞におけるスルホラファン(sulforaphane)による第II段階の解毒酵素の誘導を提供する。Zhang,Y.らに対する特許文献2は、聞くところによれば、グルタチオン、または、脊髄組織における第II段階の解毒酵素を上昇させる化合物、スルホラファンによる、神経変性疾患(アルツハイマー病および筋萎縮性側索硬化症)の処置を提供する。網膜の色素上皮細胞は、神経節細胞が、ニューロンであり、網膜の色素上皮細胞はニューロンではないという点で、網膜の神経節細胞とは異なる。さらに、眼組織(例えば、網膜)の、特定の治療剤に対する生物学的応答は、脊髄組織および脳組織の生物学的応答からは予測され得ない。引用される出願は、緑内障における網膜の神経節細胞(RGC)の喪失および視神経障害のための、保護または処置に対処していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/051313号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0091087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
緑内障性網膜症および視神経障害を管理するための、一般に受け入れられている抗緑内障治療法は存在しない。健康に対する緑内障の衝撃、および先行技術における処置方法の不備を鑑みて、緑内障性網膜症および視神経障害に対処する改善された処置方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明によれば、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する、遺伝子産物のその後の増加は、網膜の神経節細胞の喪失、および視神経に対する緑内障性の損傷の遅延または防止に、保護効果または治療効果を提供する。本明細書中で使用される場合、「Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性」とは、Nrf2の有効性または核への輸送を増強する薬剤を意味する。Nrf2タンパク質の核への転位は、細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物の発現のその後の増加を可能にする。本発明の方法は、被験体において、緑内障性網膜症および視神経障害を処置する方法を提供し、この方法は、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、被験体に投与する工程を包含する。被験体は、緑内障性網膜症もしくは視神経障害を発症する危険があり得るか、または、緑内障性網膜症もしくは視神経障害の症状を有し得る。
【0009】
Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する、本発明の薬剤は、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン(ethoxyquin)、3−ヒドロキシクマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含み得る。1つの実施形態において、この薬剤は、イソチオシアネート(例えば、スルホラファン)またはその薬理学的に活性な誘導体を含む。別の実施形態において、この薬剤は、1,2−ジチオール−3−チオン(例えば、オルチプラッツ(oltipraz))またはその薬理学的に活性な誘導体を含む。
【0010】
Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤の投与は、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、鼻腔内投与、全身注射または他の全身投与によってであり得る。
【0011】
本発明の方法のさらなる実施形態において、被験体は、緑内障性網膜症または視神経障害を有すると診断され、そして、本発明の別の実施形態において、被験体は、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための方法であって、該方法は、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害を発症する危険がある、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記薬剤が、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記薬剤が、フラボノイドまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目4に記載の方法。
(項目10)
前記フラボノイドが、ケルセチンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記投与が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与によるものである、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記投与が、眼内投与によるものである、項目1に記載の方法。
(項目13)
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための方法であって、該方法は、以下:
被験体を緑内障性網膜症または視神経障害を有すると診断する工程;および
Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量を、該被験体に投与する工程
を包含する、方法。
(項目14)
前記薬剤が、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記投与が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与によるものである、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記投与が、眼内投与によるものである、項目13に記載の方法。
(項目21)
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための医薬の調製における、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量の、使用。
(項目22)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害を発症する危険がある、項目21に記載の使用。
(項目23)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する、項目21に記載の使用。
(項目24)
前記薬剤が、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、項目21に記載の使用。
(項目25)
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目24に記載の使用。
(項目26)
前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目25に記載の使用。
(項目27)
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目24に記載の使用。
(項目28)
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目27に記載の使用。
(項目29)
前記薬剤が、フラボノイドまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目24に記載の使用。
(項目30)
前記フラボノイドが、ケルセチンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目29に記載の使用。
(項目31)
前記医薬が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、項目21に記載の使用。
(項目32)
前記医薬が、眼内投与のために調製される、項目21に記載の使用。
(項目33)
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための組成物であって、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤の有効量、および受容可能なキャリアを含有する、組成物。
(項目34)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害を発症する危険がある、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する、項目33に記載の組成物。
(項目36)
前記薬剤が、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含む、項目33に記載の組成物。
(項目37)
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目36に記載の組成物。
(項目38)
前記イソチオシアネートが、スルホラファンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目37に記載の組成物。
(項目39)
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目36に記載の組成物。
(項目40)
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目39に記載の組成物。
(項目41)
前記薬剤が、フラボノイドまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目36に記載の組成物。
(項目42)
前記フラボノイドが、ケルセチンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記組成物が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、項目33に記載の組成物。
(項目44)
前記組成物が、眼内投与のために調製される、項目33に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、培養した成体のラット網膜神経節細胞におけるグルタミン酸誘導性の毒性に対する、スルホラファンの効果を示す。細胞を、示された化合物で3日間処理した。Thy−1陽性の健康な細胞をカウントすることにより、生存率を評価した。アスタリスクは、群間の分散の一元ANOVA分析、その後のDunnett検定による、対照値からの有意差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤の、緑内障性網膜症および視神経障害の処置方法としての使用に関する。
用語「緑内障性網膜症および視神経障害を処置する」とは、本明細書中で使用される場合、緑内障性網膜症もしくは視神経障害、またはそれらの症状の発症を遅延もしくは予防するか、その進行を抑制するか、または、軽減することを意味する。Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激することは、網膜の神経節細胞の保護、および視神経の保護のために提供される。
【0014】
Nrf2の核転位は、特定の求電子物質および酸化物質に曝露された細胞において誘導される。Nrf2の核転位により誘導された遺伝子は、求電子物質に対する保護を増強し、そして、損傷を受けたタンパク質の修復または分解を促進する、解毒酵素を生じる。これらの酵素の誘導は、転写レベルで調節され、この酵素をコードする遺伝子のプロモーターに見られる、特定のエンハンサー(抗酸化物質応答エレメント(antioxidant response element)すなわちARE)により媒介される。AREの配列の前後関係、化学誘発物質の性質、および細胞型は、特定の遺伝子におけるエンハンサーの活性に影響を与える。
【0015】
転写因子であるNrf2は、NF−E2転写因子ファミリーのメンバーであり、抗酸化物質応答エレメント(ARE)媒介性の遺伝子発現をアップレギュレートすることを担っている。Nrf2は、プロモーターのARE(抗酸化物質応答エレメント)領域に結合することによって遺伝子発現を誘導し、恒常的に、または、抗酸化物質ストレスシグナルに応答して、遺伝子の転写を活性化する。通常の条件下では、Nrf2は、リプレッサータンパク質Keap1(アクチン細胞骨格に係留された細胞質タンパク質)により結合されて、細胞質中に存在すると考えられる。理論に束縛されることは望まないが、本発明者らは、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤は、Nrf2との相互作用のために、細胞質ゾル因子Keap1のシステインリッチな介在領域と競合し得ると考える(Dinkova−Kostova,A.T.ら,Proc Natl Acad Sci,USA,99:11908−11913(2002))。特定の化合物(例えば、スルホラファン)によるNrf2−Keap1複合体の崩壊は、Nrf2を遊離して、核へと転位させ得、核において、Nrf2は、遺伝子のARE領域において他の転写因子(すなわち、Maf、c−Junなど)とヘテロ二量体化して、AREが調節する遺伝子発現の誘導をもたらし得る。
【0016】
このNrf2/ARE経路により発現される酵素およびタンパク質は、化学的に可変性の細胞保護的な特性を有し、そして、これらは、毒性の代謝産物および生体異物に対する防御となる。Nrf2/ARE経路によって発現されることが知られている酵素およびタンパク質としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ、NADP(H)キノンオキシドレダクターゼ、γ−グルタミニルシステインシンテターゼ、シャペロン/ストレス応答タンパク質、およびユビキチン/プロテアソームタンパク質が挙げられる。
【0017】
Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤としては、例えば、以下が挙げられる:
Michael付加アクセプター(例えば、α,β−不飽和カルボニル化合物)(例えば、マレイン酸ジエチルまたはフマル酸ジメチル);
ジフェノール(例えば、レスベラトール(resveratrol))、
ブチル化ヒドロキシアニソール(例えば、2(3)−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール)、
チオカルバメート(例えば、ピロリジンジチオカルバメート)、
キノン(例えば、tert−ブチル−ヒドロキノン)、
イソチオシアネート(例えば、スルホラファン、その前駆体であるグルコシノレート、グルコラファニン、またはフェネチルイソチオシアネート(PEITC))、
1,2−ジチオール−3−チオン(例えば、オルチプラッツ)、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、
エトキシキン、
クマリン(例えば、3−ヒドロキシクマリン)、
フラボノイド(例えば、ケルセチンまたはクルクミン)、
硫化ジアリル、
インドール−3−カルビノール、
没食子酸エピガロ−3−カテキン、
エラグ酸、
これらの組み合わせ、または、これらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログ。
【0018】
Michaelアクセプターは、電子吸引基に隣接するアルケンを有する分子である。電子吸引基は、通常、カルボニルであるが、ニトリルまたはニトロ基でもあり得る。化学的な多様性により、これらの化合物は、求電子物質であり、そして、求核性のスルフヒドリル基と反応する能力を有する。「その薬理学的に活性な誘導体」とは、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する上記の化合物のいずれかに構造的に関連し、そこから誘導可能な薬剤であり、そして、例えば、そのエステル、アミドもしくは塩であり得る。「その薬理学的に活性ナアナログ」とは、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する上記化合物のいずれかに構造的に類似するが、例えば、異なる元素の1原子での1原子の置き換え、または、特定の官能基の存在のような、組成においてわずかに異なる薬剤である。1つの実施形態において、本発明は、緑内障性視神経障害または緑内障性網膜症の処置方法において、スルホラファン、オルチプラッツ、その薬理学的に活性なアナログ、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0019】
スルホラファン(製品番号S6317,Sigma−Aldrich)は、例えば、キノンレダクターゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびグルタチオンレダクターゼを誘導することが知られている。酵素の誘導は、ヒト成人の網膜色素上皮細胞(Zhang,Y.ら,Proc Natl Acad Sci,USA,89:2399−2403(1992))を含む、種々の細胞株において観察されている。スルホラファンアナログとしては、例えば、6−(イソチオシアナト−2−ヘキサノン)、エキソ−2−アセチル−6−イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−(イソチオシアナト−6−メチルスルホニルノルボルナン)、6−イソチオシアナト−2−ヘキサノール、1−(イソチオシアナト−4−ジメチルホスホニルブタン、エキソ−2−(1−ヒドロキシエチル)−5−)イソチオシアナトノルボルナン、エキソ−2−アセチル−5−イソチオシアナトノルボルナン、1−(イソチオシアナト−5−メチルスルホニルペンタン)、cis−3−(メチルスルホニル)(シクロヘキシルメチルイソチオシアネート)およびtrans−3−(メチルスルホニル)(シクロヘキシルメチルイソチオシアネート)が挙げられる。
【0020】
(投与様式)
本発明の薬剤は、当業者に周知の技術を用いて、眼に直接(例えば:局所用の眼ドロップまたは眼軟膏;盲嚢内の、または強膜の近くもしくは眼内に移植された、遅延放出デバイス;眼周囲注射、結膜注射、テノン嚢下注射、前房腔内(intracameral)注射、硝子体内注射、または小管内注射)、または、全身性(例えば:経口、静脈内注射、皮下注射または筋肉内注射;非経口送達、経皮送達または鼻腔送達)に送達され得る。本発明の薬剤は、眼内挿入物または眼内移植デバイス内に処方され得ることがさらに企図される。
【0021】
(被験体)
本明細書中で記載される、緑内障性網膜症もしくは視神経障害について処置される被験体は、緑内障性網膜症もしくは視神経障害を発症する危険のあるヒトもしくは別の動物であっても、緑内障性網膜症もしくは視神経障害の症状を有するヒトもしくは別の動物であってもよい。
【0022】
(処方および投薬量)
本発明の薬剤は、適切な眼科用キャリア中の、溶液、懸濁液またはエマルジョン(分散剤)として投与され得る。以下は、本発明により実施される可能な処方の例である。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

さらなる実施形態において、眼科用組成物は、約0.1〜100ナノモル濃度(nM)であるか、または、さらなる実施形態においては、1〜10nMの眼内濃度で提供されるように処方される。20μMまでのピーク血漿濃度が、全身投与について達成され得る。局所用組成物は、当業者の慣用的な指示に従って、1日1〜4回、眼の表面に送達される。処方物のpHは、4〜9、または4.5〜7.4であるべきである。全身用処方物は、例えば、約10mg〜1000mg、約10mg〜500mg、約10mg〜100mg、または125mgまでの、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤を含み得る。
【0027】
「有効量」とは、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激し得る薬剤の量をいう。このような遺伝子発現の誘導は、反応性の求電子物質の毒性および他の毒性代謝産物に対する防御を提供する。従って、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、細胞傷害性に対する防御のために提供される。このような保護は、緑内障性視神経障害または緑内障性網膜症を発祥する危険のある被験体における、症状の発症を遅延または防止する。処方物の有効量は、例えば、被験体の年齢、種族および性別、または視神経障害の重篤度のような要因に依存し得る。1つの実施形態において、薬剤は、眼に局所的に送達され、治療有効量で網膜の神経節細胞に達し、それにより、網膜症または視神経障害の疾患の進行を緩和する。
【0028】
正確なレジメンは、臨床医の裁量に委ねられるが、得られる溶液は、好ましくは、1日に1〜4回、各眼に各溶液を1滴入れるか、または、臨床医により指示されるように投与される。
【0029】
(受容可能なキャリア)
眼科的に受容可能なキャリアは、眼への刺激がせいぜいほとんど〜全く生じず、必要な場合、適切な保存を提供し、そして、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する、本発明の1種以上薬剤を、均質な投薬形態で送達するキャリアである。眼科用の送達について、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、眼科的に受容可能な保存料、共溶媒、界面活性剤、増粘剤(viscosity enhancer)、浸透増強剤(penetration enhancer)、緩衝液、塩化ナトリウム、または水と組み合わせて、水性の滅菌眼科用懸濁液、溶液、または粘性もしくは半粘性のゲル、または、他の型の固形もしくは半固形の組成物(例えば、軟膏)を形成し得る。眼科用の溶液処方物は、生理学的に受容可能な等張水溶性緩衝液中にこの薬剤を溶解することによって調製され得る。さらに、眼科用溶液は、薬剤の溶解を補助するために、眼科的に受容可能な界面活性剤を含み得る。粘性成形化合物(viscosity building compound)(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)が、化合物の保持を改善するために、本発明の組成物に添加され得る。
【0030】
滅菌眼科用軟膏処方物を調製するために、Nrf2タンパク質の核転位、ならびに細胞傷害性代謝産物を解毒および排除する遺伝子産物のその後の増加を刺激する薬剤は、適切なビヒクル(例えば、鉱油、液体ラノリン、または白色ワセリン)中で、保存剤と組み合わされる。滅菌眼科用ゲル処方物は、他の眼科用処方物についての当該分野で公知の方法に従って、例えば、CARBOPOL(登録商標)−940(BF Goodrich,Charlotte,NC)などの組み合わせから調製した親水性基材中にこの薬剤を懸濁することによって調製され得る。例えば、VISCOAT(登録商標)(Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,TX)は、眼内注射のために使用され得る。本発明の薬剤が、眼にあまり浸透しない場合には、本発明の他の組成物は、浸透増強物質(例えば、CREMOPHOR(登録商標)(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)およびTWEEN(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート,Sigma Aldrich))を含有し得る。
【実施例】
【0031】
(実施例1 Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤)
脈管内皮細胞(例えば、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC,VEC Technologies,Rensselaer, NY)を使用して、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤を決定する。例えば、コンフルエントな単層のウシ大動脈内皮細胞を、1%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地中で24時間まで候補薬剤に曝露する。Buckley,B.J.ら(Biochem Biophys Res Commum,307:973−979(2003))に記載されるように、細胞の溶解物、細胞質抽出物および核抽出物を調製し、イムノブロッティングを行い、定量する。薬剤なしの対照細胞と比較して、核の分画において検出されるNrf2の量を増加する薬剤を、次いで、実施例2に示すような網膜の神経節細胞の毒性アッセイにおいて、活性を試験する。
【0032】
(実施例2 Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤による、ラット網膜の神経節細胞の保護)
培養したラットの神経網膜細胞を、Nrf2タンパク質の核転位を刺激する薬剤と、1〜24時間合せ、次いで、この組み合わせを、過酸化物に曝露する。過酸化物なしの対照培養物と比較した、神経網膜細胞の生存は、その薬剤が酸化剤からの保護を提供することを示す。
【0033】
新生仔ラットの神経網膜細胞を、Pang,I−H.ら(Invest Ophthalmol Vis Sci 40:1170−1176(1999))に報告されるように、単離し、培養する。「神経網膜」とは、網膜の色素上皮なしの網膜をいう。従って、培養物は、網膜細胞型の混合された集団を含む。簡単に述べると、新生仔Sprague−Dawleyラット(2〜5日齢)を麻酔し、2mmの正中の開口部を、横静脈洞のすぐ尾側の頭皮に作製する。網膜の神経節細胞を、蛍光色素Di−I(Molecular Probes,Eugene,OR)(1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩化酸塩)で選択的に逆方向性に標識する。このDi−Iは、ニューロンを均一に標識する親油性のトレーサである。注射針(30ゲージ)の先端を、頭蓋の頂部の下6mmに挿入し、5μlのDi−I溶液を、上丘に注射する。Di−I溶液は、90%エタノールおよび10%ジメチルスルホキシド中に3mg/mLのDi−Iを含有する。創傷は、弾性コロジオンの液滴で覆う。
【0034】
DiーI注射の2〜4日後、ラットを麻酔して、断頭により屠殺する。これらのラットの眼を摘出して、ダルベッコの改変イーグル培地:栄養性混合物F12(1:1;DMEM/F12,Gibco,Gaithersburg,MD)中に入れる。各眼からの網膜を剥離して、単離する。網膜細胞を、5mlのDMEM/F12中に10mgのパパイン(34単位/mL)、2mgのDL−システイン(3.3mM)および2mgのウシ血清アルブミン(0.4mg/mL)を含有する溶液により、37℃にて25分間解離させ、次いで、5mL RGC培地(10%ウシ胎仔血清、4mMグルタミン酸、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補充したDMEM)で3回洗浄する。細胞が分散されるまで、網膜片を、使い捨てのピペットを数回通すことによって咀嚼(triturate)する。細胞懸濁液(約3×10細胞/mL)を、ポリ−D−リジンコーティングしたガラス底培養ディッシュに入れる。この細胞を、95%空気/5% COで、37℃にて培養する。
【0035】
Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤の保護作用を、この培養物を候補薬剤で1〜24時間処理しことによって決定し、次いで、300μMのHを添加する。培養したRGCを、Di−I蛍光により識別する。RGCの生存率を、Di−I蛍光を有する残存細胞の数をカウントすることによって評価する。対照と比較して、網膜の神経節細胞の生存率を改善する薬剤は、細胞傷害性の損傷からRGCを保護するために提供され、そして、緑内障性視神経障害の処置のために有用である。
【0036】
(実施例3 スルホラファンによる、グルタミン酸誘導性毒性からのラット網膜神経節細胞の保護)
成体のSprague−Dawleyラットを、CO窒息により安楽死させた。これらのラットの眼を摘出し、NEUROBASALTM培地(Gibco,Gaithersburg,MD)に入れた。各眼からの網膜を剥離し、単離した。網膜細胞を、20までの網膜を、5mLのNEUROBASALTM培地中に10mgのパパイン、2mgのDL−システインおよび2mgのウシ血清アルブミンを含有する5mlのパパイン溶液と、37℃にて25分間合せることによって解離させ、37℃にて25分間解離させ、次いで、5mlのRGC培地、すなわち実施齢2に列挙されたものおよび1%ウシ胎仔血清を補充した(NEUROBASALTM)培地で3回洗浄した。細胞が分散されるまで、網膜片を、熱加工した使い捨てのピペットを数回通すことによって咀嚼した。細胞懸濁液を、ポリ−D−リジンコーティングおよびラミニンコーティングした8ウェルチャンバの培養スライドに置いた。グルタミン酸、およびスルホラファンを含むグルタミン酸を、割り当てたウェルに添加した。この細胞を、次いで、95%空気/5% COで、37℃にて3日間培養した。
【0037】
インキュベーション期間の終わりに、細胞を固定し、免疫細胞化学により、Thy−1(RGCマーカー)について標識した。細胞の生存を、各ウェル内のThy−1陽性の健康な細胞を手動で数えることにより定量した。得られたデータを、図示し、そして、このデータは、グルタミン酸(100μM)でのRGCの3日間の処理が、生存細胞の40〜60%の減少をもたらしたことを示す。細胞をスルホラファン(0.5μM)で処理することにより、このような毒性が回避された。これらの結果は、スルホラファンが、網膜神経節細胞への損傷に対して保護性であることを示す。
【0038】
本明細書中に列挙される参考文献は、これらが、本明細書中に示されるものに対して例示的な手順または他の詳細な補足を提供する程度まで、具体的に参考として援用される。
【0039】
当業者は、本開示を踏まえ、本明細書中に開示される実施形態の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解する。本明細書中に開示される実施形態のすべては、本開示を踏まえて、過度の実験をすることなしに作製かつ実行され得る。本発明の全内容は、本開示およびその等価な実施形態に示される。本明細書は、本発明が権利を与えられる保護の全範囲を不当に狭くするものとして解釈されるべきでない。
【0040】
本明細書中で使用される場合、そして、特に示されない限り、用語「a」および「an」は、「1つ」、「少なくとも1つ」、または「1つ以上」を意味するものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための医薬の調製における、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤、および受容可能なキャリアを含有する組成物の有効量の、使用であって、該薬剤は、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含むが、ただし、該薬剤はスルホラファンではない、使用
【請求項2】
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害を発症する危険がある、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤が、フラボノイドまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記フラボノイドが、ケルセチンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記医薬が、眼内投与のために調製される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
被験体において、緑内障性網膜症または視神経障害を処置するための組成物であって、Nrf2タンパク質の核転位のための刺激活性を有する薬剤の有効量、および受容可能なキャリアを含有し、該薬剤は、Michael付加アクセプター、ジフェノール、チオカルバメート、キノン、1,2−ジチオール−3−チオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、フラボノイド、イソチオシアネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、エトキシキン、クマリン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬理学的に活性な誘導体もしくはアナログを含むが、ただし、該薬剤はスルホラファンではない、組成物。
【請求項12】
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害を発症する危険がある、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記被験体が、緑内障性網膜症または視神経障害の症状を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記薬剤が、イソチオシアネートまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記薬剤が、1,2−ジチオール−3−チオンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記1,2−ジチオール−3−チオンが、オルチプラッツまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記薬剤が、フラボノイドまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記フラボノイドが、ケルセチンまたはその薬理学的に活性な誘導体を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、眼内注射、遅延放出送達デバイスの移植、または、局所投与、経口投与、もしくは鼻腔内投与のために調製される、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、眼内投与のために調製される、請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【公開番号】特開2011−46736(P2011−46736A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247809(P2010−247809)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2006−545535(P2006−545535)の分割
【原出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】