説明

緑内障治療剤

【課題】 緑内障の治療および/または予防剤を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)
【化11】


[式中、nは1〜3の整数を表し、R1は水素原子を表し、R2は低級アルキルを表すか、またはR1とR2が一緒になってアルキレンを表し、R3は低級アルキルを表し、
4はNHSO26(式中、R6はヒドロキシなどを表す)などを表し、R5はアリールなどを表す]で表されるチアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を含有する緑内障の治療および/または予防剤などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する緑内障の治療および/または予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、視神経が障害され視野が狭くなる疾患で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われている。緑内障は、原発閉塞隅角緑内障、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障などの疾患の総称である。失明原因の上位疾患の一つであり、治療薬が求められている。現在、眼圧を低下させることが主な治療法として用いられている。眼圧を低下させる薬剤としてプロスタグランジン誘導体、アドレナリンα刺激薬、アドレナリンβ遮断薬などが使用されている(ドラッグズ(Drugs)、59巻、p.411(2000年))。最近、Rho−associated protein kinase(ROCK)阻害剤が眼圧を低下させることが報告された(インベスティゲーティブ・オフサルモロジー&ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.)、42巻、p.137(2001年))。ROCK阻害剤は房水の出口である線維柱帯の透過性を上げて、眼圧を低下させると考えられている。緑内障の発症には、血管内皮細胞の増殖が関与することも報告されている(クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・オフサルモロジー(Clin.Experimental Ophthalmol.)、31巻、p.492(2003年);オフサルモロジカ(Ophtalmologica)、218巻、p.344(2004年))。これらのことから、線維柱帯の透過性を向上させることや血管内皮細胞の異常増殖を抑制することにより、房水の流出を促進し、眼圧を低下させ、緑内障を治療できると考えられる。
【0003】
一方、M期キネシンはM期紡錘体制御に関わる蛋白質であり、細胞周期のM期進行において必須の役割を担っている。このM期キネシンの一つであるM期キネシンイージーファイブ(Eg5)は、ホモ四量体の双極性分子であって、2本の同じ向きの微小管を架橋して+(プラス)端方向へ移動させ、逆平行に並んだ2本の微小管の間でスライディングを起こし、微小管の−(マイナス)端同士を遠ざけることで、紡錘体極を分離し、双極性の紡錘体構造の形成に関与することが知られている[セル(Cell)、83巻、p.1159(1995年)、ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell Biol.)、150巻、p.975(2000年)、実験医学、17巻、p.439(1999年)]。従って、Eg5の阻害剤は細胞増殖が関わる疾患の治療剤として有望であると考えられている[WO2001/98278、WO2002/56880、WO2002/57244、トレンズ・イン・セル・バイオロジー(Trends in Cell Biology)、12巻、p.585(2002年)]。Eg5阻害剤としては、例えば、キナゾリン−4−オン誘導体(WO2001/30768、WO2003/039460など)、トリフェニルメタン誘導体(WO2002/56880)、チアジアゾリン誘導体(特許文献1〜3参照)などが知られている。
【特許文献1】国際公開第2004−092147号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004−111023号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004−111024号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、チアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する緑内障の治療および/または予防剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の(1)〜(12)に関する。
(1) 一般式(I)
【化4】

【0006】
{式中、nは1〜3の整数を表し、
1は水素原子を表し、
2は低級アルキルを表すか、
またはR1とR2が一緒になってアルキレンを表し、
3は低級アルキルを表し、
4は水素原子、
NHSO26(式中、R6はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、または低級アルケニルを表す)、
NHR7[式中、R7はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、COR8(式中、R8はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、グアニジル、メチルチオおよび低級アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、低級アルコキシカルボニルもしくはオキソで置換されていてもよい含窒素脂肪族複素環基、または低級アルコキシを表す)または水素原子を表す]または
CONHR9(式中、R9はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキルを表す)を表し、
5は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される1〜3個の置換基を有していてもよいアリールを表す}
で表されるチアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を含有する緑内障の治療および/または予防剤。
【0007】
(2) チアジアゾリン誘導体が、メタノールに溶解したときのナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度が負の値を示す下記式(II)
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびnはそれぞれ前記と同義である)で表されるチアジアゾリン誘導体である(1)記載の治療および/または予防剤。
【0008】
(3) R5がフェニルである(1)または(2)記載の治療および/または予防剤。
(4) R3がメチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである(1)〜(3)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
(5) R1が水素原子である(1)〜(4)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
(6) R2がメチルまたはtert−ブチルである(1)〜(5)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
(7) R1とR2が一緒になってトリメチレンまたはテトラメチレンである(1)〜(4)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【0009】
(8) R4がNHSO26(式中、R6は前記と同義である)である(1)〜(7)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
(9) R4がCONHR9(式中、R9は前記と同義である)である(1)〜(7)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
(10) nが1または2である(1)〜(9)のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【0010】
(11) チアジアゾリン誘導体が下記式(a)〜(o)
【化6】

のいずれかで表されるチアジアゾリン誘導体である(2)記載の治療および/または予防剤。
【0011】
(12) 一般式(III)
【化7】

で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する緑内障の治療および/または予防剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、チアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する緑内障の治療および/または予防剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、一般式(I)で表される化合物および一般式(II)で表される化合物をそれぞれ化合物(I)および化合物(II)という。他の式番号の化合物についても同様である。
一般式(I)および一般式(II)の各基の定義において、
(i)低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニルおよび低級アルコキシカルボニルアミノの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキルがあげられ、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどがあげられる。ジ低級アルキルアミノの2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよい。
【0014】
(ii)低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜10のアルケニルがあげられ、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなどがあげられる。
(iii)アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、より具体的にはフェニル、ナフチルなどがあげられる。
(iv)アルキレンとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキレンがあげられ、より具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、プロピレン、エチルエチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレンなどがあげられる。
【0015】
(v)含窒素脂肪族複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の単環性脂肪族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で少なくとも1個の窒素原子を含む縮環性脂肪族複素環基などがあげられ、より具体的にはアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロアゾシニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリニル、ジヒドロイソインドリニルなどがあげられる。
【0016】
(vi)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
化合物(I)または(II)の各基において、
1としては、好ましくは水素原子があげられる。
2としては、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどがあげられ、より好ましくはメチル、tert−ブチルなどがあげられる。
1とR2が一緒になって形成されるアルキレンとしては、好ましくはトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンなどがあげられる。
3としては、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどがあげられ、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルなどがあげられる。
【0017】
4としては、好ましくはNHSO26B[式中、R6Bはメチル、エチル、プロピル、ビニル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、1−(メチルアミノ)エチル、2−(メチルアミノ)エチル、1−(メチルアミノ)プロピル、2−(メチルアミノ)プロピル、3−(メチルアミノ)プロピル、ジメチルアミノメチル、1−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジメチルアミノ)エチル、1−(ジメチルアミノ)プロピル、2−(ジメチルアミノ)プロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、エチルアミノメチル、1−(エチルアミノ)エチル、2−(エチルアミノ)エチル、1−(エチルアミノ)プロピル、2−(エチルアミノ)プロピル、3−(エチルアミノ)プロピル、ジエチルアミノメチル、1−(ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、1−(ジエチルアミノ)プロピル、2−(ジエチルアミノ)プロピル、3−(ジエチルアミノ)プロピル、プロピルアミノメチル、2−(プロピルアミノ)エチル、3−(プロピルアミノ)プロピル、イソプロピルアミノメチル、2−(イソプロピルアミノ)エチル、3−(イソプロピルアミノ)プロピルなどを表す]、
【0018】
NHR7B[式中、R7Bは水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、1−(メチルアミノ)エチル、2−(メチルアミノ)エチル、1−(メチルアミノ)プロピル、2−(メチルアミノ)プロピル、3−(メチルアミノ)プロピル、ジメチルアミノメチル、1−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジメチルアミノ)エチル、1−(ジメチルアミノ)プロピル、2−(ジメチルアミノ)プロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、エチルアミノメチル、1−(エチルアミノ)エチル、2−(エチルアミノ)エチル、3−(エチルアミノ)プロピル、ジエチルアミノメチル、1−(ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、3−(ジエチルアミノ)プロピル、プロピルアミノメチル、2−(プロピルアミノ)エチル、3−(プロピルアミノ)プロピル、イソプロピルアミノメチル、2−(イソプロピルアミノ)エチル、3−(イソプロピルアミノ)プロピルなどを表す]、CONHR9B[式中、R9Bはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−n−ブチル、3−ヒドロキシ−n−ブチル、4−ヒドロキシ−n−ブチル、2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、1−(メチルアミノ)エチル、2−(メチルアミノ)エチル、1−(メチルアミノ)プロピル、2−(メチルアミノ)プロピル、3−(メチルアミノ)プロピル、ジメチルアミノメチル、1−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジメチルアミノ)エチル、1−(ジメチルアミノ)プロピル、2−(ジメチルアミノ)プロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、エチルアミノメチル、1−(エチルアミノ)エチル、2−(エチルアミノ)エチル、3−(エチルアミノ)プロピル、ジエチルアミノメチル、1−(ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、3−(ジエチルアミノ)プロピル、プロピルアミノメチル、2−(プロピルアミノ)エチル、3−(プロピルアミノ)プロピル、イソプロピルアミノメチル、2−(イソプロピルアミノ)エチル、3−(イソプロピルアミノ)プロピルなどを表す]などがあげられ、より好ましくはNHSO26B(式中、R6Bは前記と同義である)、CONHR9B(式中、R9Bは前記と同義である)などがあげられる。
【0019】
5としては、好ましくはフェニルなどがあげられる。
nは、1または2であるのが好ましい。
【0020】
さらに、化合物(I)または(II)としては、上記で示した好ましい置換基がそれぞれ組み合わされた化合物がより好ましい。例えば、R1が水素原子であり、R2がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどであるか、またはR1とR2が一緒になってトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンなどを表し、R3がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどであり、R4がNHSO26B(式中、R6Bは前記と同義である)、NHR7B(式中、R7Bは前記と同義である)、CONHR9B(式中、R9Bは前記と同義である)などであり、R5がフェニルであり、nが1または2である化合物が好ましく、R1が水素原子であり、R2がメチル、tert−ブチルなどであるか、またはR1とR2が一緒になってトリメチレン、テトラメチレンなどを表し、R3がメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルなどであり、R4がNHSO26B(式中、R6Bは前記と同義である)、CONHR9B(式中、R9Bは前記と同義である)などであり、R5がフェニルであり、nが1または2である化合物がより好ましく、R1が水素原子であり、R2がtert−ブチルなどであるか、またはR1とR2が一緒になってトリメチレン、テトラメチレンなどを表し、R3がメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルなどであり、R4がNHSO26B(式中、R6Bは前記と同義である)などであり、R5がフェニルであり、nが1または2である化合物がさらに好ましい。
【0021】
また、化合物(I)において、メタノールに溶解したときのナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度が負の値を示す化合物が好ましい。
さらに、化合物(I)において、nが1の場合、R5が結合している不斉中心はR配置、nが2または3の場合、R5が結合している不斉中心がS配置であることが好ましい。
【0022】
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などがあげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
【0023】
次に、化合物(I)および(II)の製造方法について説明する。
製造法1
化合物(I)は、WO2003/051854、WO2004/092147、WO2004/111024などに記載の方法により製造することができる。
製造法2
化合物(II)は、WO2003/051854、WO2004/092147、WO2004/111024などに記載の方法によって得られるラセミ体(Ia)を例えば光学異性体分離カラム[例えばCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業社製)など]を用いた分取高速液体クロマトグラフィーに付し、それぞれの立体異性体を分割することにより製造することができる。
【0024】
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびnそれぞれ前記と同義である)
【0025】
製造法3
化合物(II)は、以下の工程に従い製造することもできる。
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびnそれぞれ前記と同義であり、R10は、1つの不斉中心を有する光学活性な置換基であり、例えば光学活性なC1-10アルキル、光学活性なヒドロキシ置換C1-10アルキル、光学活性なC1-10アルコキシ置換C1-10アルキル、光学活性なフェニル置換C1-10アルキル、光学活性なナフチル置換C1-10アルキルなどを表す。ここで、C1-10アルキルおよびC1-10アルコキシのC1-10アルキル部分としては、例えば前記低級アルキルで例示した基があげられる)
【0026】
WO2003/051854、WO2004/092147、WO2004/111024などに記載の方法によって得られる化合物(A;ラセミ体)を光学活性なアシル化剤[R10COX(式中、R10は前記と同義であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを表す)、(R10CO)2O(式中、R10は前記と同義である)など;例えば(R)−(−)−2−フェニルプロピオニルクロリド、(S)−(+)−2−フェニルプロピオニルクロリドなど]と、新実験化学講座、第14巻、p.1142(1978年)、丸善株式会社などに記載の方法に準じて反応させることにより化合物(B;ジアステレオ混合物)を得る(工程1)。次いで得られた化合物(B)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶などに付すことによりそれぞれのジアステレオマーを分割し化合物(C;一方のジアステレオマー)を得る(工程2)。そして、得られた化合物(C)をWO2003/051854などに記載の方法に準じて化合物(D)へ変換し(工程3)、最後にWO2003/051854などに記載の方法に準じてアシル化を行うことにより(工程4)、化合物(II)を製造することができる。
【0027】
製造法4
化合物(II)のうち、nが1でR4がNHSO26(式中、R6は前記と同義である)またはNHR7(式中、R7は前記と同義である)である化合物(IIa)は、以下の工程に従い製造することもできる。
【化10】

(式中、R4aはNHSO26(式中、R6は前記と同義である)またはNHR7(式中、R7は前記と同義である)を表し、R1、R2、R3およびR5はそれぞれ前記と同義である)
【0028】
WO2003/051854、WO2004/092147、WO2004/111024などに記載の方法に準じて得られる化合物(Ib;ラセミ体)を光学異性体分離カラム[例えばCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業社製)など]を用いた分取高速液体クロマトグラフィーに付すことにより化合物(Ic;一方のエナンチオマー)を得る(工程1)。次いで、得られた化合物(Ic)をWO2004/111024などに記載の方法に準じて化合物(Id)へ変換した後(工程2)、化合物(Id)をWO2004/111024などに記載の方法に準じて処理することにより(工程3)、化合物(IIa)を製造することができる。
【0029】
化合物(I)および(II)の中には、位置異性体、幾何異性体、光学異性体、互変異性体などの立体異性体が存在し得るものもあるが、本発明の緑内障の治療および/または予防剤には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(III)は、WO03/070701に記載の方法に従って製造することができる。
化合物(I)、(II)または(III)の塩を取得したいとき、化合物(I)、(II)または(III)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)、(II)または(III)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えることにより塩を形成させて単離、精製すればよい。
【0030】
また、化合物(I)、(II)および(III)ならびにそれらの薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の緑内障の治療および/または予防剤に使用することができる。
化合物(I)および(II)の具体例を第1表および第2表に示す。ただし、本発明の緑内障の治療および/または予防剤に使用される化合物(I)および(II)はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
次に、化合物(I)、(II)および(III)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1:ヒト血管内皮細胞に対する細胞増殖阻害試験
ヒト血管内皮細胞として、正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞(倉敷紡績社、カタログ番号KE−4101)を使用した。細胞の培養には、2%ウシ胎児血清(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)、10ng/mL ヒト組換え型上皮成長因子(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)、5ng/mL ヒト組換え型塩基性線維芽細胞増殖因子(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)、10μg/mL ヘパリン(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)、1μg/mL ハイドロコルチゾン(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)、50μg/mL ゲンタマイシン(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)および50ng/mL アンフォテリシンB(倉敷紡績社、カタログ番号KE−6150)を含むHuMedia−EB2基礎培地(倉敷紡績社、カタログ番号KE−2150S)を使用した(以下培地と略す)。細胞は37℃、5%炭酸ガス条件下で培養した。
【0034】
正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞を96ウェルプレート(ヌンク社、カタログ番号167008)に4000細胞/ウェル(60μL/ウェル)で播種し、一晩培養した。培地で段階的に希釈した試験化合物を40μL加えて、さらに72時間培養した。96ウェルプレートを2枚用意し、1枚目は試験化合物を添加直後、2枚目は添加72時間後に、Cell Proliferation Kit II(XTT)(ロシュ・ダイアグノスティックス社、カタログ番号1465015)のXTT標識混合液を50μL加えて、37℃でインキュベートした。各プレートについては、XTT添加4時間後に490nm(対照波長655nm)での吸光度をプレートリーダー(モレキュラーデバイス社、SpectraMax 340PC384)で測定した。試験化合物の代わりに溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO))で処理したコントロールウェルの細胞の72時間での増殖(溶媒添加72時間培養後の吸光度−溶媒添加時の吸光度)を100%として、試験化合物で処理したウェルの細胞の増殖(試験化合物添加72時間培養後の吸光度−試験化合物添加時の吸光度)から、試験化合物添加時の増殖率を計算した。試験化合物の濃度とそのときの細胞増殖率のプロットから、50%増殖阻害濃度GI50値を算出した。
【0035】
化合物1、2、a、b、d、e、h、j、l、m、n、oおよび化合物(III)は正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞に対し、GI50値で10μmol/L以下の阻害活性を示した。
本試験により、化合物(I)、(II)および化合物(III)は、正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞などのヒト血管内皮細胞に対して、細胞増殖阻害活性を有すると考えられる。緑内障の発症には、血管内皮細胞の増殖が関与することが報告されていることから(クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・オフサルモロジー(Clin.Experimental Ophthalmol.)、31巻、p.492(2003年);オフサルモロジカ(Ophtalmologica)、218巻、p.344(2004年))、化合物(I)、(II)および化合物(III)は緑内障の治療および/または予防剤として有用であると考えられる。
【0036】
試験例2:化合物(I)、(II)および(III)の点眼投与による眼圧低下作用
日本白色種ウサギを使用する。眼圧(IOP)測定のために、ウサギの目に2%のリドカインによる点眼麻痺を行う。IOPをモニターするのに眼圧計を使用する。化合物(I)、(II)または(III)を0.1%含有する点眼剤を調製し、0.01−0.3mL点眼投与する。化合物(I)、(II)または(III)の投与前と投与後0.5、1、6、9および24時間後にIOPを測定することにより、化合物(I)、(II)または(III)による眼圧低下作用を確認できる。
【0037】
本試験により、化合物(I)、(II)および(III)が眼圧を低下させる作用があることが確認でき、緑内障の治療および/または予防剤として有用であることが確認できる。
化合物(I)、(II)もしくは(III)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物または人に使用されるものである。
【0038】
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)、(II)もしくは(III)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の医薬成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種またはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤、点眼剤などがあげられる。
【0039】
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニトールなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。また、例えば、点眼剤の場合は、リン酸バッファー、ホウ酸バッファーなどの緩衝剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤、塩化ベンザルコニウムバラベン類などの防腐剤などを用いて調製する。
【0040】
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤および希釈剤、防腐剤、フレーバー類などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)、(II)もしくは(III)またはその薬理学的に許容される塩は、上記の目的で用いる場合、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人1人あたり、1回につき0.01〜1000mg、好ましくは0.05〜500mgの範囲で、1日1回ないし数回、または数日〜1または2週間間隔で1回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、通常成人1人当り0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜300mgを1日1回ないし数回、または数日間隔あるいは1〜3週間間隔で1回投与する。また、投与方法としては、急速静注、1日1〜24時間の範囲での静脈内持続投与などがあげられる。点眼投与の場合、通常化合物(I)、(II)もしくは(III)またはその薬理学的に許容される塩を0.001〜1%含有する点眼剤を1日1回ないし数回、または数日間隔もしくは1〜3週間間隔で1回点眼投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【0041】
以下に、実施例および参考例により、本発明を詳細に説明する。
参考例で用いられるプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)は、270 MHzまたは300 MHzで測定されたものであり、化合物および測定条件によって交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いるが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。
【実施例1】
【0042】
錠剤(化合物3)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物3、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例2】
【0043】
錠剤(化合物4)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物4、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物4 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例3】
【0044】
錠剤(化合物7)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物7、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物7 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例4】
【0045】
注射剤(化合物3)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物3、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例5】
【0046】
注射剤(化合物9)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物9、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物9 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例6】
【0047】
注射剤(化合物12)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物12、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物12 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例7】
【0048】
錠剤(化合物a)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物a、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物a 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例8】
【0049】
錠剤(化合物d)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物d、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物d 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例9】
【0050】
錠剤(化合物e)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物e、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物e 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例10】
【0051】
錠剤(化合物l)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物l、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物l 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例11】
【0052】
錠剤(化合物m)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物m、40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。得られた混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物m 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【実施例12】
【0053】
注射剤(化合物a)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物a、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物a 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例13】
【0054】
注射剤(化合物l)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物l、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物l 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例14】
【0055】
注射剤(化合物m)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物m、1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物m 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
【実施例15】
【0056】
点眼剤(化合物3)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物3、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物3 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【実施例16】
【0057】
点眼剤(化合物4)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物4、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物4 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【実施例17】
【0058】
点眼剤(化合物a)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物a、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物a 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【実施例18】
【0059】
点眼剤(化合物d)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物d、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物d 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【実施例19】
【0060】
点眼剤(化合物l)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物l、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物l 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【実施例20】
【0061】
点眼剤(化合物m)
常法により、次の組成からなる点眼剤を調製する。化合物m、1gおよび塩化ナトリウム9gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液を点眼容器に1mLずつ無菌的に充填して、点眼剤(1容器あたり活性成分1mgを含有する)を得る。
処方 化合物m 1 mg
塩化ナトリウム 9 mg
塩酸 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
1.00 mL
【0062】
参考例1〜13(化合物1〜13)
化合物1〜13は、それぞれWO2003/051854またはWO2004/111024に記載の方法に従って合成した。
【0063】
参考例14
化合物a:(−)−N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:(S)−(+)−2−フェニルプロピオン酸(4.88 g, 32.5 mmol)をジクロロメタン(20 mL)に溶解し、塩化チオニル(30 mL)を加え、室温で4時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した後、得られた残渣をジクロロメタン(10 mL)に溶解した(ジクロロメタン溶液)。次いで、WO2003/051854に記載の方法に従って得られたN−{2−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド(4.93 g, 12.8 mmol)をジクロロメタン(15 mL)およびピリジン(3.1 mL)に溶解し、上記のジクロロメタン溶液を加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を1 mol/L塩酸、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣にクロロホルム(50 mL)およびジイソプロピルエーテル(10 mL)を加え撹拌し、析出した粉末を濾取した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン/n−へキサン/酢酸エチル=9/1/1/1、9/1/6.5/3.5、9/1/7/3、次いで9/1/5/5)で繰り返し精製し、先に溶出する画分としてN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー(2.48 g, 38%)、および後で溶出する画分としてN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドのもう一方のジアステレオマー(2.80 g, 43%)を得た。
【0064】
先に溶出するN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー:1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.26 (s, 9H), 1.53 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 2.60 (m, 1H), 2.93 (s, 3H), 3.20 (m, 1H), 3.36 (m, 1H), 3.57 (m, 1H), 3.67 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 4.45 (br t, 1H), 7.20-7.49 (m, 10H), 7.75 (s, 1H).
APCI-MS m/z: 515 (M−H)-.
【0065】
後で溶出するN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドのもう一方のジアステレオマー:1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.25 (s, 9H), 1.51 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 2.56 (m, 1H), 2.96 (s, 3H), 3.23 (m, 1H), 3.37 (m, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.63 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 4.67 (br t, J = 5.9 Hz, 1H), 7.17-7.52 (m, 10H), 7.99 (s, 1H).
APCI-MS m/z: 515 (M−H)-.
【0066】
工程2:上記工程1で得られた先に溶出するN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー(2.28 g, 4.41 mmol)をメタノール(100 mL)に溶解し、塩化セリウム・7水和物(1.64 g, 4.41 mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(6.68 g, 0.176 mmol)を加え、室温で40分間撹拌した。混合物に水素化ホウ素ナトリウム(20.04 g, 0.5297 mmol)およびメタノール(250 mL)を3回に分けて加えながら、室温でさらに2時間撹拌した後、減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルおよび1 mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン/n−へキサン/酢酸エチル=9/1/7/3 → 9/1/5/5)で精製した。この操作を繰り返し行い、得られた粗生成物(計0.802 g, 2.09 mmol)を、エタノール(20 mL)およびn−へキサン(200 mL)の混合溶媒に溶解し、析出した固体を濾別し、濾液を濃縮することにより、光学活性なN−{2−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド(0.647 g, 23%)を得た。
【0067】
工程3:上記工程2で得られた光学活性なN−{2−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド(90 mg, 0.23 mmol)をジクロロメタン(4 mL)に溶解し、ピリジン(0.224 mL, 2.77 mmol)および塩化トリメチルアセチル(0.288 mL, 2.33 mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応液に水および1 mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=3/1 → 2/1)で精製した後、得られたシロップにエタノール次いでn−ヘキサンを加え、上澄みをデカンテーション操作により分離し析出した固体を得た。次いでジイソプロピルエーテルを加えて撹拌することにより得られた固体を粉末化し、化合物a{(−)−N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(60 mg, 55%)を得た。
【0068】
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.30 (s, 9H), 1.34 (s, 9H), 2.56-2.65 (m, 1H), 2.94 (s, 3H), 3.21-3.44 (m, 2H), 3.58-3.70 (m, 1H), 4.45 (br s, 1H), 7.28-7.37 (m, 5H), 7.97 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 467 (M−1)-.
融点:204.0−206.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0069】
参考例15
化合物b:(−)−N−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:参考例14の工程1と同様にして、WO2003/051854に記載の方法に従って得られたN−[2−(5−アミノ−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(10.7 g, 30.0 mmol)、ならびに(R)−(−)−2−フェニルプロピオン酸(10.5 g, 69.9 mmol)および塩化チオニルより調製した塩化(R)−(−)−2−フェニルプロピオニルより、N−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドをジアステレオマー混合物(13.3 g, 92%)として得た。この一部(3.89 g, 7.96 mmol)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトニトリル/n−ヘキサン/酢酸エチル=9/1/1/1)で精製することにより、後で溶出する画分としてN−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー(0.861 g, 22%)、および先に溶出する画分としてN−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドのもう一方のジアステレオマー(0.802 g, 20%)を得た。
【0070】
工程2:参考例14の工程2と同様にして、上記工程1で得られた後で溶出するN−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー(4.41 g, 9.03 mmol)、塩化セリウム・7水和物(3.37 g, 9.05 mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(3.42 g, 90.5 mmol)より、N−[2−(5−アミノ−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(2.16 g, 67%)を得た。
【0071】
工程3:参考例14の工程3と同様にして、上記工程2で得られたN−[2−(5−アミノ−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(0.0480 g, 0.135 mmol)、ピリジン(32.7 μL, 0.405 mmol)および塩化トリメチルアセチル(41.7 μL, 0.338 mmol)より、化合物b{(−)−N−[5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4−プロピオニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.0504 g, 84%)を得た。
【0072】
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.13 (t, J = 6.0 Hz, 3H), 1.28 (s, 9H), 2.66 (m, 3H), 2.97 (s, 3H), 3.35 (m, 2H), 3.61 (m, 1H), 4.58 (br s, 1H), 7.32 (m, 5H), 8.08 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 441 (M+1) +.
融点:107.0−110.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0073】
参考例16
化合物c:(−)−N−{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド
参考例14の工程2で得られるN−{2−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド(0.647 g, 1.68 mmol)をジクロロメタン(25 mL)に溶解し、ピリジン(0.41 mL, 5.1 mmol)および塩化4−ブロモブチリル(0.49 mL, 4.2 mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を0.5 mol/L塩酸および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をジメチルスルホキシド(DMSO)(6 mL)に溶解し、酢酸ナトリウム(0.331 g, 4.04 mmol)を加え、撹拌しながら14分かけて100℃まで加熱した。放冷後、混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−へキサン/酢酸エチル=3/1 → 1/1)で精製した後、アセトンから再結晶することにより、化合物c{(−)−N−{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド}(0.649 g, 85%)を得た。
【0074】
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.34 (s, 9H), 2.23 (m, 2H), 2.56 (m, 2H), 2.61 (m, 1H), 2.97 (s, 3H), 3.27 (m, 1H), 3.40 (m, 1H), 3.63 (m, 1H), 3.98 (m, 2H), 4.01 (br t, J = 3.5 Hz, 1H), 7.20-7.37 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 453 (M+1) +.
融点:107.0−110.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0075】
参考例17
化合物d:(−)−N−[4−イソブチリル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:WO2003/051854に記載の方法に従って得られたN−[4−イソブチリル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(2.32 g, 5.10 mmol)を分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)[カラム:CHIRALPAK AD(ダイセル化学工業社製);溶出溶媒:12%イソプロピルアルコール/n−へキサン;流速:6 mL/分;カラム温度:25℃]に付し、保持時間10.2分と11.2分の画分をそれぞれ分取した。このうち、11.2分の画分を濃縮し、残渣をn−ペンタンおよびエタノールより再結晶することにより、化合物d{(−)−N−[4−イソブチリル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.707 g, 30%)を白色結晶として得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.15 (2 x d, J = 2.0 Hz, 6H), 1.29 (s, 9H), 2.57-2.67 (m, 1H), 2.96 (s, 3H), 3.23-3.44 (m, 3H), 3.37-3.68 (m, 1H), 4.46 (br s, 1H), 7.25-7.38 (m, 5H), 8.00 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 453 (M−1)-.
融点:162.0−164.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0076】
参考例18
化合物e:(−)−N−{2−[5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド
参考例15の工程2で得られたN−[2−(5−アミノ−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(1.01 g, 2.83 mmol)およびピリジン(330 μL, 4.08 mmol)をジクロロメタン(40 mL)に溶解し、0℃で4−ブロモブチリルクロリド(390 μL, 3.40 mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。混合物に1 mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣にDMSO(10 mL)および酢酸ナトリウム(560 mg, 6.83 mmol)を加え、100℃で5分間撹拌した。室温まで冷却後、混合物に水および1 mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製することにより、化合物e{(−)−N−{2−[5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−3−プロピオニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド}(878 mg, 73%)を得た。
【0077】
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.15 (t, J = 6.6 Hz, 3H), 2.22 (m, 2H), 2.55-2.67 (m, 3H), 2.94 (s, 3H), 3.31-3.47 (m, 4H), 3.61 (m, 1H), 3.91-3.98 (m, 2H), 5.0 (br s, 1H), 7.20-7.35 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 423 (M−1)-.
融点:188.0-191.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0078】
参考例19
化合物f:(−)−N−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:メタンスルホンアミド(0.476 g, 5.00 mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(10 mL)に溶解し、60%水素化ナトリウム(0.275 g, 5.00 mmol)を0℃で加え、同温度で20分間撹拌した。次いで、3−クロロプロピオフェノン(843 mg, 5.00 mol)を加え、同温度で2時間撹拌した後、室温でさらに15時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製することにより、N−メタンスルホニル−3−アミノプロピオフェノン(240 mg, 21%)を得た。
【0079】
次いでWO2003/051854に記載の方法と同様にして、上記で得られるN−メタンスルホニル−3−アミノプロピオフェノン(388 mg, 1.71 mmol)およびチオセミカルバジド(156 mg, 1.71 mmol)から、N−メタンスルホニル−3−アミノプロピオフェノン=チオセミカルバゾン(219 mg, 45%)を得た。
工程2:上記工程1で得られたN−メタンスルホニル−3−アミノプロピオフェノン=チオセミカルバゾン(9.83 g, 32.7 mmol)を無水酢酸(38 mL)に溶解し、130℃で10分間撹拌した後、70℃でさらに2時間、次いで室温で5時間撹拌した。析出した固体を濾取することにより、N−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アセトアミド(11.3 g, 73%)を得た。
【0080】
工程3:WO2003/051854に記載の方法と同様にして、上記工程2で得られたN−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アセトアミド(5.22 g, 13.6 mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(5.14 g, 136 mmol)および塩化セリウム・7水和物(5.07 g, 13.6 mmol)より、N−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミドを得た。
【0081】
次いで、(R)−(−)−2−フェニルプロピオン酸(4.65 g, 3.10 mmol)および塩化チオニル(30 mL)より調製した塩化(R)−(−)−2−フェニルプロピオニルと上記で得られたN−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミドとを、参考例14の工程1と同様にして、ピリジン(5.0 mL, 61.8 mmol)中で処理し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/n−ヘキサン/酢酸エチル/メタノール=20/3/2/1)で精製することにより、先に溶出する画分としてN−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドの一方のジアステレオマー(0.75 g, 12%)および後で溶出する画分としてN−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドのもう一方のジアステレオマー(0.82 g, 13%)を得た。
【0082】
工程4:参考例14の工程2と同様にして、上記工程3で得られた後で溶出するN−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2−フェニルプロパンアミドのもう一方のジアステレオマー(0.632 g, 1.33 mmol)、塩化セリウム・7水和物(0.496 g, 1.33 mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.503 g, 13.3 mmol)より、光学活性なN−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(232 mg, 51%)を得た。
【0083】
工程5:参考例14の工程3と同様にして、上記工程4で得られた光学活性なN−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(0.0393 g, 0.115 mmol)、ピリジン(44.7 μL, 0.552 mmol)および塩化トリメチルアセチル(56.7 μL, 0.460 mmol)より、化合物f{(−)−N−[4−アセチル−5−(2−メタンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.0420 g, 86%)を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.28 (s, 9H), 2.30 (s, 3H), 2.55-2.68 (m, 1H), 2.97 (s, 3H), 3.30-3.43 (m, 2H), 3.59-3.68 (m, 1H), 4.44 (br s, 1H), 7.27-7.39 (m, 5H), 8.00 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 425 (M−1)-.
融点:187.0−190.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0084】
参考例20
化合物g:N−{2−[3−アセチル−5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド
参考例16と同様にして、参考例19の工程4で得られたN−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(0.0300 g, 0.0876 mmol)、ピリジン(33.6 μL, 0.420 mmol)、塩化4−ブロモブチリル(40.6 μL, 0.350 mmol)および酢酸ナトリウム(0.0575 g, 0.701 mmol)より、化合物g{N−{2−[3−アセチル−5−(2−オキソピロリジン−1−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド}(0.0301 g, 84%)を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 2.15 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 2.50-2.67 (m, 3H), 2.97 (s, 3H), 3.31-3.44 (m, 2H), 3.60-3.65 (m, 1H), 3.87-3.97 (m, 2H), 4.46 (br s, 1H), 7.24-7.38 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 409 (M−1)-.
融点:137.0−140.0℃.
【0085】
参考例21
化合物h:(−)−N−{2−[3−アセチル−5−(2−オキソピペリジノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド
参考例16と同様にして、参考例19の工程4で得られたN−[2−(3−アセチル−5−アミノ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)エチル]メタンスルホンアミド(0.0260 g, 0.0759 mmol)、ピリジン(29.3 μL, 0.365 mmol)、塩化5−ブロモバレリル(40.7 μL, 0.304 mmol)および酢酸ナトリウム(0.0498 g, 0.607 mmol)より、化合物h{(−)−N−{2−[3−アセチル−5−(2−オキソピペリジノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}メタンスルホンアミド}(0.0241 g, 75%)を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.82-1.98 (m, 4H), 2.33 (s, 3H), 2.52-2.62 (m, 3H), 2.95 (s, 3H), 3.27-3.38 (m, 2H), 3.59-3.70 (m, 1H), 3.84-3.92 (m, 2H), 4.62 (br s, 1H), 7.23-7.37 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 423 (M−1) -.
融点:169.0−171.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0086】
参考例22
化合物i:N−{4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−[2−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノ)エチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:酢酸パラジウム(II)(125 mg, 0.559 mmol)およびトリフェニルホスフィン(317 mg, 1.21 mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(50 mL)に溶解した。得られた溶液にN−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(2.07 g, 10.9 mmol)、フェニルボロン酸(1.61 g, 13.2 mmol)、蒸留水(0.477 mL, 26.5 mmol)およびトリメチル酢酸無水物(3.23 mL, 15.9 mmol)を加えた後、60℃で24時間撹拌した。混合物を濾過した後、濾液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1→4/1)で精製することにより、(3−オキソ−3−フェニルプロピル)カルバミド酸 tert−ブチルエステル(1.85 g, 68%)を得た。
【0087】
工程2:上記工程1で得られた(3−オキソ−3−フェニルプロピル)カルバミド酸 tert−ブチルエステル(513 mg, 2.06 mmol)をメタノール(40 mL)に溶解した。得られた溶液にチオセミカルバジド塩酸塩(562 mg, 4.40 mmol)を加え、室温で8時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することにより、淡黄色固体(513 mg)を得た。得られた固体の一部(198 mg)をジクロロメタン(10 mL)に溶解した。得られた溶液にピリジン(0.300 mL, 3.73 mmol)および塩化トリメチルアセチル(0.415 mL, 3.37 mmol)を加え、室温で22時間撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温でさらに1時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することにより、{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}カルバミド酸 tert−ブチルエステル(319 mg, 100%)を得た。
APCI-MS m/z: 491(M+H)+.
【0088】
工程3:上記工程2で得られた{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]エチル}カルバミド酸 tert−ブチルエステル(274 mg, 0.557 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解した。得られた溶液にトリフルオロ酢酸(1.0 mL)を加え、室温で3時間撹拌した後、混合物を減圧下濃縮した。残渣にジイソプロピルエーテルを加え、3時間撹拌した。析出した白色固体を濾取することにより、N−[5−(2−アミノエチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミドのトリフルオロ酢酸塩(252 mg, 90%)を得た。
APCI-MS m/z: 391(M+H)+.
【0089】
工程4:上記工程3で得られたN−[5−(2−アミノエチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミドのトリフルオロ酢酸塩(0.25 g, 0.53 mmol)をメタノール(5 mL)に溶解し、イオン交換シリカゲル[SCX(Varian社製 BONDESIL SCX 40 uM)]を充填したカラムに担持した。SCXをメタノールで洗浄した後、1%塩化水素−メタノール溶液で溶出する画分を集め、減圧下濃縮することにより、N−[5−(2−アミノエチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミドの塩酸塩(0.19 g)を白色固体として得た。
【0090】
上記で得られた塩酸塩をジクロロメタン(10 mL)に溶解し、2−クロロエチルスルファモイルクロリド(0.14 mL, 2.2 mmol)およびトリエチルアミン(0.62 mL, 4.6 mmol)を0℃で加え、同温度で4時間、次いで室温で10時間撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−エテンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.17 g, 65%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.30 (s, 9H), 1.32 (s, 9H), 2.48-2.62 (m, 1H), 3.10-3.64 (m, 3H), 4.45 (br t, J = 5.7 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.26 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 6.52 (dd, J = 9.6, 16.2 Hz, 1H), 7.22-7.37 (m, 5H), 7.91 (br s, 1H).
【0091】
工程5 :上記工程4で得られたN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−エテンスルホニルアミノエチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.16 g, 0.33 mmol)をアセトニトリル(10 mL)に溶解し、70%エチルアミン水溶液(1.0 mL, 12 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/濃アンモニア水=100/10/1)で精製し、N−{4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−[2−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノ)エチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.15 g, 86%)を得た。
【0092】
工程6:上記工程5で得られたN−{4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−[2−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノ)エチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.15 g, 0.29 mmol)を分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)[カラム:CHIRALCEL OD φ20 X 250 mm(ダイセル化学工業社製);溶出溶媒:ヘキサン/エタノール=80/20(ジエチルアミン 0.1%含有);流速:6.0 mL/分]に付し、保持時間7.5分と9.0分の画分のうち9.0分の画分を分取した。分取した画分を濃縮することにより、化合物i{N−{4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−[2−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノ)エチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチルプロパンアミド}(33 mg, 22%)を白色固体として得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.11 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.30 (s, 9H), 1.33 (s, 9H), 2.67 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.53-2.70 (m, 1H), 3.00-3.76 (m, 8H), 7.22-7.38 (m, 5H), 7.92 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 526 (M+H)+.
【0093】
参考例23
化合物j:N−[5−アミノメチル−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:WO2004/092147に記載の方法に従って得られる[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルメチル]カルバミド酸 tert−ブチルエステルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)[カラム:CHIRALPAK AD φ4.6 X 250 mm(ダイセル化学工業社製);溶出溶媒:ヘキサン/エタノール=80/20;流速:1.0 mL/分]に付し、保持時間4.63分と5.76分の画分のうち、5.76分の画分を分取することにより、[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルメチル]カルバミド酸 tert−ブチルエステルを得た。
【0094】
工程2:上記工程1で得られた[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルメチル]カルバミド酸 tert−ブチルエステル(5.91 g, 12.4 mmol)を酢酸エチル(20 mL)に溶解し、次いで1 mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(40 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、得られた結晶を減圧下にて加熱乾燥し、化合物j{N−[5−アミノメチル−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}塩酸塩(4.72 g, 92%)を得た。
APCI-MS m/z: 377(M+H)+.
融点:175.0−182.0℃.
【0095】
参考例24
化合物k:N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−エテンスルホニルアミノメチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
参考例23で得られた化合物j{N−[5−アミノメチル−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}塩酸塩(0.502 g, 1.22 mmol)を酢酸エチル(20 mL)に溶解し、クロロエタンスルホニルクロリド(0.203 mL, 1.22 mmol)を加え、室温で2分間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.680 mL, 4.88 mmol)を加え、同温度で30分間撹拌した。混合物に、水および1.0 mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製することにより、化合物k{N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−エテンスルホニルアミノメチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.408 g, 72%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.29 (s, 9H), 1.33 (s, 9H), 3.85 (dd, J = 13.5, 4.8 Hz, 1H), 4.49 (dd, J = 13.5, 8.1 Hz, 1H), 5.29 (br s, 1H), 5.93 (br d, J = 9.9 Hz, 1H), 6.27 (br d, J = 16.5 Hz, 1H), 6.53 (br dd, J = 16.4, 9.6 Hz, 1H), 7.27-7.34 (m, 5H), 8.06 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 466 (M)+.
【0096】
参考例25
化合物l:(−)−N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
参考例24で得られる化合物k{N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−エテンスルホニルアミノメチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(1.50 g, 3.21 mmol)をアセトニトリル(60 mL)に溶解し、次いで、70%エチルアミン水溶液(13.9 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をエタノールに溶解した。水を加え、析出した固体を濾取することにより、化合物l{(−)−N−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2−エチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.830 g, 51%)を得た。
【0097】
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.09 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.28 (s, 9H), 1.34 (s, 9H), 2.64 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.20 (m, 2H), 4.00 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 4.57 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 7.26-7.38 (m, 5H), 7.92 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 512 (M+1) +.
融点:169.0−171.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0098】
参考例26
化合物m:(−)−N−[5−(2−ジメチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:参考例25と同様にして、WO2003/051854に記載の方法に従って得られたN−[4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−エテンスルホニルアミノメチル−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.05 g, 0.11 mmol)および2 mol/Lジメチルアミン−メタノール溶液(0.10 mL)から、N−[5−(2−ジメチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.02 g, 35%)を得た。
【0099】
工程2:上記工程1で得られたN−[5−(2−ジメチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(50 mg)を分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)[カラム:CHIRALPAK AD φ20 X 250 mm(ダイセル化学工業社製);溶出溶媒:ヘキサン/エタノール=91/9;流速:5.0 mL/分]に付し、保持時間22分および33分の画分をそれぞれ分取した。このうち、33分の画分を濃縮することにより、化合物m{(−)−N−[5−(2−ジメチルアミノエタンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(17 mg, 34%)を得た。
【0100】
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.28 (s, 9H), 1.34 (s, 9H), 2.25 (s, 6H), 2.73 (br q, J = 6.3 Hz, 1H), 2.84 (br q, J = 6.2 Hz, 1H), 3.18 (br t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.02 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 5.85 (br s, 1H), 7.27-7.35 (m, 5H), 8.02 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 512 (M+1) +.
融点:101.0−104.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0101】
参考例27
化合物n:(−)−N−[5−(3−ジメチルアミノプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
工程1:参考例23で得られる化合物j{N−[5−アミノメチル−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}塩酸塩(1.00 g, 2.42 mmol)をジクロロメタン(25 mL)に懸濁し、氷冷下、トリエチルアミン(1.35 mL, 9.69 mmol)および塩化3−クロロプロパンスルホニル(0.442 mL, 3.63 mmol)を加え、室温で22時間撹拌した。混合物に水および1 mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をジイソプロピルエーテルおよび酢酸エチルの混合溶媒でトリチュレーションすることにより、N−[5−(3−クロロプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(0.880 g, 70%)を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.29 (s, 9H), 1.35 (s, 9H), 2.25 (m, 2H), 3.22 (m, 2H), 3.63 (m, 2H), 4.01 (dd, J = 5.1, 13.7 Hz, 1H), 4.60 (dd, J = 8.0, 13.7 Hz, 1H), 5.19 (dd, J = 5.1, 8.0 Hz, 1H), 7.23-7.41 (m, 5H), 7.94 (s, 1H).
ESI-MS m/z: 515, 517 (M−H)-.
【0102】
工程2:上記工程1で得られたN−[5−(3−クロロプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(1.50 g, 2.90 mmol)、ヨウ化ナトリウム(8.69 g, 58.0 mmol)およびアジ化ナトリウム(1.89 g, 29.0 mmol)をDMF(20 mL)に懸濁し、90℃で4時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレーションすることにより、N−[5−(3−アジドプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(1.82 g)を得た。
【0103】
次いで、得られたN−[5−(3−アジドプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミドをTHF(53 mL)に溶解し、水(10.6 mL)およびトリフェニルホスフィン(1.24 g, 4.73 mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩酸水溶液で抽出し、水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え塩基性にした後、酢酸エチルを用いて抽出した。得られた有機層を減圧下濃縮することにより、N−[5−(3−アミノプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(1.29 g, 89%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.29 (s, 9H), 1.33 (s, 9H), 1.96 (m, 2H), 2.85 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.19 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.99 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 7.24-7.39 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 498 (M+H)+.
【0104】
工程3:上記工程2で得られたN−[5−(3−アミノプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(1.00 g, 2.01 mmol)をジクロロエタン(40 mL)に溶解し、37%ホルマリン水溶液(1.63 mL, 0.201 mmol)、酢酸(1.15 mL, 20.1 mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(4.26 g, 20.1 mmol)を加え、室温で13時間撹拌した。混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1→4/1→7/3)で精製することにより、化合物n{(−)−N−[5−(3−ジメチルアミノプロパンスルホニルアミノメチル)−4−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド}(0.910 mg, 86%)を得た。
【0105】
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.29 (s, 9H), 1.33 (s, 9H), 1.96 (m, 2H), 2.20 (s, 6H), 2.36 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.12 (m, 2H), 3.96 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.59 (m, 1H), 5.57 (br, 1H), 7.23-7.38 (m, 5H), 7.96 (br, 1H).
APCI-MS m/z: 526 (M+H)+.
融点:92.0-95.0℃.
比旋光度:得られた化合物のメタノール溶液のナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度は−の値を示した。
【0106】
参考例28
化合物o:4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)ブタンアミド
工程1:WO2003/051854に記載の方法と同様にして、WO2003/051854に記載の方法に従って得られた4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸 メチルエステル(11.2 g, 25.9 mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(2.94 g, 77.6 mmol)より、4−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸 メチルエステル(1.54 g, 17%)を得た。
APCI-MS m/z: 364 (M+H)+.
【0107】
工程2:参考例14の工程1と同様にして、上記工程1で得られた4−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸 メチルエステル(1.54 g, 4.24 mmol)、(S)−(+)−2−フェニルプロピオン酸(1.99 g, 13.2 mmol)、塩化チオニル(20 mL)およびピリジン(1.80 mL, 22.0 mmol)よりジアステレオ混合物を得た。得られたジアステレオ混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン=60/12)で精製することにより、先に溶出する画分としてN−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸 メチルエステルの一方のジアステレオマー(0.679 g, 32%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.24 (s, 9H), 1.54 (d, J = 8.0 Hz, 3H), 1.42-1.67 (m, 1H), 1.99-2.15 (m, 1H), 2.20-2.32 (m, 1H), 2.38-2.46 (m, 2H), 3.03-3.16 (m, 1H), 3.62-3.71 (m, 1H), 3.67 (s, 3H), 7.18-7.47 (m, 10H), 7.64 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 496 (M+H)+.
【0108】
工程3:水酸化ナトリウム(0.240 g, 6.01 mmol)を水(4.0 mL)に溶解し、次いでジオキサン(8.0 mL)を加え撹拌した。得られた溶液に上記工程2で得られるN−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸 メチルエステルの一方のジアステレオマー(0.992 g, 2.00 mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。混合物に1 mol/L 塩酸(20 mL)および水(30 mL)を加え、析出した白色固体を濾取した。得られた固体を水およびジイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧乾燥することにより、4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸(9.60 g, 99%)を得た。
APCI-MS m/z: 481 (M+H)+.
【0109】
工程4:上記で得られた4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタン酸(1.03 g, 2.14 mmol)に塩化オキサリル(0.223 mL, 2.57 mmol)およびDMF(17 μL, 0.214 mmol)を0℃で加え、同温度で1時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、残渣にジクロロメタン(20 mL)を加え、0℃で撹拌した後、エタノールアミン(1.2 mL, 21.4 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。混合物に1 mol/L塩酸(20 mL)と水(30 mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え、析出した白色固体を濾取した。得られた固体を水およびジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)ブタンアミド(1.10 g, 99%)を得た。
APCI-MS m/z: 525 (M+H)+.
【0110】
工程5:上記工程4で得られる4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)ブタンアミド(1.21 g, 2.31 mmol)にジクロロメタン(20 mL)を加え、0℃で撹拌した後、ピリジン(0.470 mL, 5.77 mmol)および塩化 tert−ブチルジメチルシリル(869 mg, 5.77 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。混合物に1 mol/L塩酸(20 mL)および水(30 mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え、析出した白色固体を濾取した。得られた固体を水およびジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、N−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]−4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタンアミド(1.25 g, 85%)を得た。
APCI-MS m/z: 638 (M+H)+.
【0111】
工程6:参考例14の工程2と同様にして、上記工程5で得られたN−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]−4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−5−(2−フェニルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタンアミド(0.376 g, 0.588 mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.111 g, 2.94 mmol)より、4−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]ブタンアミド (0.113 g, 38%)を得た。
1H NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm): 0.03 (s, 3H), 0.07 (s, 3H), 0.86 (s, 9H), 0.90 (s, 9H), 2.15-2.28 (m, 1H), 2.49-2.58 (m, 1H), 2.62-2.82 (m, 2H), 3.07-3.13 (m, 1H), 3.27-3.47 (m, 3H), 3.59-3.72 (m, 2H), 4.21 (br s, 2H), 5.97 (m, 1H), 7.22-7.44 (m, 5H).
APCI-MS m/z: 507 (M+H)+.
【0112】
工程7:参考例14の工程3と同様にして、上記工程6で得られた4−[5−アミノ−3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]ブタンアミド(0.0683 g, 0.135 mmol)、ピリジン(131 μL , 1.62 mmol)および塩化トリメチルアセチル(0.166 mL, 1.35 mmol)より、N−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]−4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタンアミド(68.0 mg, 83%)を得た。
【0113】
工程8:上記工程7で得られたN−[2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル]−4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ブタンアミド(71.0 mg, 0.117 mmol)をTHF(1 mL)に溶解し、1 mol/LテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(0.16 mL)を加え、室温で50分間撹拌した。混合物に水(1 mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製することにより、化合物o{4−[3−(2,2−ジメチルプロピオニル)−5−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾ−ル−2−イル]−N−(2−ヒドロキシエチル)ブタンアミド}(47.6 mg, 85%)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ(ppm): 1.28 (s, 9H), 1.33 (s, 9H), 1.56 (m, 1H), 2.22-2.51 (m, 4H), 3.15 (m, 1H), 3.35 (m, 1H), 3.45 (m, 1H), 3.61-3.76 (m, 2H), 6.31 (br s, 1H), 7.41-7.72 (m, 5H), 8.05 (br s, 1H).
APCI-MS m/z: 477 (M+H)+.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

{式中、nは1〜3の整数を表し、
1は水素原子を表し、
2は低級アルキルを表すか、
またはR1とR2が一緒になってアルキレンを表し、
3は低級アルキルを表し、
4は水素原子、
NHSO26(式中、R6はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、または低級アルケニルを表す)、
NHR7[式中、R7はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、COR8(式中、R8はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、グアニジル、メチルチオおよび低級アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキル、低級アルコキシカルボニルもしくはオキソで置換されていてもよい含窒素脂肪族複素環基、または低級アルコキシを表す)または水素原子を表す]または
CONHR9(式中、R9はヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノからなる群から選択される1〜2個の置換基を有していてもよい低級アルキルを表す)を表し、
5は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される1〜3個の置換基を有していてもよいアリールを表す}
で表されるチアジアゾリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を含有する緑内障の治療および/または予防剤。
【請求項2】
チアジアゾリン誘導体が、メタノールに溶解したときのナトリウムD線(波長:589.3nm)に対する20℃における比旋光度が負の値を示す下記式(II)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびnはそれぞれ前記と同義である)で表されるチアジアゾリン誘導体である請求項1記載の治療および/または予防剤。
【請求項3】
5がフェニルである請求項1または2記載の治療および/または予防剤。
【請求項4】
3がメチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである請求項1〜3のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項5】
1が水素原子である請求項1〜4のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項6】
2がメチルまたはtert−ブチルである請求項1〜5のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項7】
1とR2が一緒になってトリメチレンまたはテトラメチレンである請求項1〜4のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項8】
4がNHSO26(式中、R6は前記と同義である)である請求項1〜7のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項9】
4がCONHR9(式中、R9は前記と同義である)である請求項1〜7のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項10】
nが1または2である請求項1〜9のいずれかに記載の治療および/または予防剤。
【請求項11】
チアジアゾリン誘導体が下記式(a)〜(o)
【化3】

のいずれかで表されるチアジアゾリン誘導体である請求項2記載の治療および/または予防剤。

【公開番号】特開2006−265107(P2006−265107A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81151(P2005−81151)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】