説明

緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)のIATSO1血清型のリポ多糖類(LPS)に対して特異的なヒトモノクローナル抗体

本発明は緑膿菌(P. aeruginosa)の血清型IATS O1に特異的なヒトモノクローナル抗体と、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとに関する。加えて本発明は、少なくとも1つの抗体または該抗体をコードする少なくとも1つの核酸を含む薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑膿菌(P. aeruginosa)の血清型IATS O1に対して特異的なヒトモノクローナル抗体、それを産生するハイブリドーマ、それをコードする核酸、およびそれで形質移入された宿主細胞に関する。さらに本発明は、該モノクローナル抗体を産生するための方法に関する。加えて本発明は、少なくとも1つの抗体または該抗体をコードする少なくとも1つの核酸を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑膿菌は、淡水および土の中に見出される、広範に分布するグラム陰性環境細菌である。緑膿菌は、免疫応答性の宿主に通常脅威を与えない古典的日和見病原性菌であり、免疫応答性の宿主はオプソニン作用を持つ抗体と食作用により緑膿菌を取り除く。しかしながら嚢胞性線維症患者、ならびに熱傷犠牲者、ICUにおいて挿管された患者、癌およびAIDS患者、ならびに臓器移植を受けた患者を含む免疫無防備状態の個人は、院内感染にかかる危険性が特に高い。メチシリン耐性S. aureus(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci)(VRE)とともに、緑膿菌は、1975年の7.2/1000患者入院日数から1995年には9.8/1000患者入院日数に増加している全ての院内感染のうち、最大で34%を占める。院内感染の最も頻繁に観察される形態の中には、血流感染および肺炎がある。
【0003】
嚢胞性線維症患者における慢性緑膿菌感染の予防のために、緑膿菌の無毒化された毒素Aに結合した緑膿菌の8つの最適なLPS血清型からなる8価結合型ワクチン開発しようとする試みがなされた。初期臨床結果は、緑膿菌の血清型に特異的な強力な抗体の誘導を示し、有望であった。しかしながら、能動的なワクチン接種はただ単に、免疫が保たれてる患者、ならびに予測可能な状況においてのみ可能である。したがって多くの緑膿菌犠牲者は、8価ワクチンで能動的に免疫され得ない。多くの緑膿菌株が多剤耐性であるという事実のために、緑膿菌感染患者を治療するための代替の治療手段が必要である。1つの試みは、古典的なハイブリドーマ技術またはファージディスプレイレパートリークローニング(phage display repertoire cloning)によりヒトモノクローナル抗体を作製することである。
【0004】
両方の方法およびそれにより作製された抗体は、深刻な欠点を示す。
【0005】
古典的なハイブリドーマ技術(「KohlerおよびMilstein」の手法)は、選択抗原を用いた能動免疫により所望の特異性を持ちかつミエローマパートナーとの融合によって不死化したマウスB細胞を誘発することに基づく。その後、抗体産生クローンの遺伝情報を遺伝子操作によりヒト化し、抗体を適切な発現システム中で産生する必要がある。同様にファージディスプレイレパートリークローニングも、抗体の洗練された遺伝子操作および適切な発現システムの確立を必要とする。
【0006】
細菌のLPSに対するマウスモノクローナル抗体が、ヒト抗体とは別のエピトープを認識することが知られている。したがって、マウスにおけるモノクローナル抗体の生成とその後のヒト化は、ヒトにおける使用のために適した特異性を有する抗体の単離を必ずしももたらさない。
【0007】
さらにIgMアイソタイプの抗体は、抗菌免疫に対して最適であるIgMと関連しているエフェクター機構のために、最も効果的である。しかしながら、この分子の複雑な五量体の形態のために、今までIgM抗体の組換え発現は成し遂げられていない。その結果として、ファージディスプレイ技術により単離された抗体の発現は、IgM以外のアイソタイプに限られる。
【0008】
または、緑膿菌のLPS部分に対するヒトモノクローナル抗体を生成する異なる試みが存在している。しかしながら、それらの多くは、エフェクター機能を欠き、その結果防御能を有しなかった。
【0009】
したがって本発明の基礎をなす1つの技術的課題は、特にインビボで高い防御能を示す、緑膿菌の特定の血清型のLPSに対して特異的なヒトモノクローナル抗体を提供することにある。
【発明の概要】
【0010】
技術的課題は、以下に明らかにされるようなヒトモノクローナル抗体により解決される。
【0011】
本発明にしたがって、緑膿菌血清型IATS O1のLPSに特異的な、216-01と名付けられたヒトモノクローナル抗体、または該LPSに結合可能なそれらの断片もしくは誘導体が提供される。ここで抗体の軽鎖の可変領域は、CDR1領域における配列番号:1、CDR2領域における配列番号:2、およびCDR3領域における配列番号:3の少なくとも1つを含み、かつ抗体の重鎖の可変領域は、CDR1領域における配列番号:4、CDR2領域における配列番号:5、およびCDR3領域における配列番号:6の少なくとも1つを含む。
【0012】
本発明の好ましい態様にしたがって、緑膿菌血清型IATS O1のLPSに対して特異的なヒトモノクローナル抗体、または該LPSに結合可能なそれらの断片もしくは誘導体が提供される。ここで抗体の軽鎖の可変領域は、CDR1領域における配列番号:1、CDR2領域における配列番号:2、およびCDR3領域における配列番号:3を含み、抗体の重鎖の可変領域は、CDR1領域における配列番号:4、CDR2領域における配列番号:5、およびCDR3領域における配列番号:6を含む。
【0013】
本発明はさらに、モノクローナル抗体を産生可能なハイブリドーマと、抗体の軽鎖および重鎖をそれぞれコードする核酸とを提供する。さらに本発明は、核酸を含むベクターおよび宿主細胞を提供する。加えて、モノクローナル抗体を産生するための方法が提供される。加えて、少なくとも1つの抗体および/または少なくとも1つの核酸を含む薬学的組成物、ならびにその第2医薬用途が提供される。
【0014】
驚いたことに、本発明によるヒトモノクローナル抗体は高い防御能を示すことが見出されている。特にヒトモノクローナル抗体は、インビトロでオプソニン食作用を行う(opsonophagocytic)ことが判明した。さらに重要なことに、本発明によるモノクローナル抗体は、マウス熱傷創モデルにおける全身性の感染からの防御および治療により決定されるインビボ防御能を見せる。
【0015】
本発明によるヒトモノクローナル抗体を用いて、Collinsら(Collins MS et al., 1990. FEMSIM 64:263-268)により記載されたヒトモノクローナル抗体と比べて、はるかに少ない用量でのオプソニン食作用(opsonophagocytosis)ならびにより高い防御が達成される。さらに、当技術分野の技術水準において述べられるモノクローナル抗体とは対照的に、本発明によるヒトモノクローナル抗体は、患者分離株の認識における有意に優れた結果と、オプソニン食作用アッセイにおける好結果の両方を示す。
【0016】
最先端の技術(Harrison FJJ et al. 1997. Hybridoma 16(5):413-420; Zweerink HJ et al. 1988. Infection and Immunity 56(8): 1873-1879)に記載されたモノクローナル抗体と対照的に、本発明によるヒトモノクローナル抗体はさらに、結合型ワクチンで能動的に免疫された健常人の血液から生ずる。T細胞ヘルプの欠如のため、多糖類に対する抗体は質が低い(すなわち、ほとんどエフェクター潜在性を伴わない低親和性)ことが、一般的に公知である。結合型ワクチンの使用を通じてのみ、多糖類標的に対する強いエフェクター潜在性を伴う高親和性を有する価値ある抗体を生成できる。そのうえ、本発明によるヒトモノクローナル抗体の産生率は、最先端の技術(Zweerink HJ et al. 1988. Infection and Immunity 56(8): 1873-1879)に記載されたモノクローナル抗体の産生率と比べてより高かった。
【0017】
本発明により、抗体は、緑膿菌血清型IATS O1のLPSに対して特異的であり、かつ蛍光結合細菌を用いて決定される場合、0.1 ng/mlという低い濃度で、好ましくは0.5 ng/mlという低い濃度でオプソニン食作用活性を示す。いかなる先行技術抗体も、このような低投与量でオプソニン食作用活性を示すことは報告されていない。
【0018】
本発明の抗体は、緑膿菌血清型IATS O1のLPSに対して特異的であり、かつ1.7 ng/mlから4.3 ng/mlの間の濃度(95%信頼区間)で、具体的には約2.7 ng/mlの濃度で最大半減オプソニン食作用活性を示す。
【0019】
本発明はまた、1.03 108 M-1+/-3.41×107 M-1の力価で緑膿菌血清型IATS O1のLPSに特異的に結合する抗体も意図する。
【0020】
本発明によるモノクローナル抗体は、高い特異性で臨床分離株を認識する。IATS O1血清型の緑膿菌に感染した患者の10試料のうち10試料は、この抗体を用いて同定された。理論による制約にとらわれずに、モノクローナル抗体は、先行技術において公知のIATS O1の全緑膿菌株を認識する能力を有すると考えらる。この特性は、抗体を特に診断および治療に有用なものとする。したがって、本発明による抗体は、克服できない信頼度を示す。
【0021】
本明細書において用いられるような「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、モノクローナル抗体が得られる供給源とは無関係に任意の部分的なまたは完全なヒトモノクローナル抗体を包含する。ハイブリドーマによるヒトモノクローナル抗体の産生が好ましい。モノクローナル抗体はまた、遺伝子操作により、および特に特許請求の範囲において定義されているような特定のCDRセグメントでバックグラウンド抗体のCDR領域を置換することで、入手可能なモノクローナル抗体に対して特許請求の範囲において定義されているようなCDRセグメントをCDR挿入(grafting)することにより得られてもよい。
【0022】
「CDR領域」は、抗体の相補性決定領域、すなわち特定の抗原に対する抗体の特異性を決定する領域に対して用いられる用語である。軽鎖および重鎖の両方の上の3つのCDR領域(CDR1からCDR3)は、抗原結合を担う。
【0023】
CDRは、http://www.bioinf.orq.uk/abs/seqtest.html.に示されるように、Kabat番号付けを適用することによって決定された。
【0024】
重鎖内のCDR領域の位置は、以下の通りである:
CDR1領域 VHエクソン内のアミノ酸番号31から35、
CDR2領域 VHエクソン内のアミノ酸番号50から65、
CDR3領域 VHエクソン内のアミノ酸番号95およびそれに続くアミノ酸。
【0025】
CDR領域の位置は、抗体のクラス、すなわちIgM、IgAまたはIgGとは無関係である。
【0026】
κ軽鎖のCDR領域の位置は、以下の通りである:
CDR1領域 Vκエクソン内のアミノ酸番号24から34、
CDR2領域 Vκエクソン内のアミノ酸番号50から56、
CDR3領域 Vκエクソン内のアミノ酸番号89およびそれに続くアミノ酸。
【0027】
λ型軽鎖内ののCDR領域の位置は、以下の通りである:
CDR1領域 Vλエクソン内のアミノ酸番号24から34、
CDR2領域 Vλエクソン内のアミノ酸番号50から56、
CDR3領域 Vλエクソン内のアミノ酸番号89およびそれに続くアミノ酸。
【0028】
VH、VκおよびVλエクソンのアミノ酸配列は、V baseインデックスより入手し得る。(http//vbase.mrc-cpe.cam. ac.uk/)
【0029】
「血清型」という用語は、緑膿菌の任意の公知の血清型を意味する。異なる緑膿菌血清型に対して現在用いられている異なる命名法の一致表を、明細書中の表Iに示す。
【0030】
「断片」という用語は、LPS血清型に結合する能力を有する抗体の任意の断片を意味する。断片は、少なくとも10アミノ酸、好ましくは20アミノ酸、より好ましくは50アミノ酸の長さを持つ。適した抗体断片の例は、二価断片、例えばF(ab)2、F(ab')2、一価断片、例えばFab、Fab'、Fv、および前記の一本鎖組換え型などを含む。抗体断片は、グリコシル化されてもよく、例えば抗体可変領域に糖質成分を含む。断片は抗体の結合領域を含むことが好ましい。断片はFabもしくはF(ab')2断片またはその混合物であることが好ましい。
【0031】
「誘導体」という用語は、少なくとも1アミノ酸の付加、欠失および/または置換により異なるヒトモノクローナル抗体の任意の変異タンパク質を包含する。好ましくは、誘導体は、特許請求の範囲において示されているような重鎖および/または軽鎖中の任意のCDR中に少なくとも1つの保存的置換を保有する、ヒトモノクローナル抗体の変異タンパク質である。より好ましくは、変異タンパク質は、5以下、4以下、好ましくは3以下、特に好ましくは2以下の保存的置換を有する。抗体の断片または誘導体の特定のLPS血清型に結合する能力は、材料および方法の節に記載されているような以下の直接ELISAにより決定される:特定のLPSをELISAプレートの固相上に固定化する。抗体断片または抗体の誘導体を固定化したLPSと一緒にインキュベートし、結合した抗体またはその誘導体を適切な酵素結合二次抗体により可視化する。
【0032】
本発明において、「保存的置換」という用語は、特定の物理化学的グループに属する1アミノ酸を同じ物理化学的グループに属するアミノ酸で置換することを意味する。物理化学的グループは以下のように定義される。
【0033】
非極性アミノ酸のグループは以下を含む:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、およびトリプトファン。非荷電極性側鎖を有するアミノ酸のグループは、アスパラギン、グルタミン、チロシン、システイン、およびシスチンを含む。正に荷電した極性側鎖を有するアミノ酸の物理化学的グループは、リシン、アルギニン、およびヒスチジンを含む。負に荷電した極性側鎖を有するアミノ酸の物理化学的グループは、アルパラギン酸およびグルタミン酸を含み、アルパルタートおよびグルタマートとも言われる。
【0034】
本発明により緑膿菌血清型IATS O1のLPSに対して特異的な抗体が、上記に概略を説明したように提供される。
【0035】
さらなる態様により、本発明は、抗体の軽鎖の可変領域が配列番号:7のアミノ酸配列を有しかつ重鎖の可変領域が配列番号:8のアミノ酸配列を有する、LPSもしくは緑膿菌 LPS血清型IATS O1に対して特異的なヒトモノクローナル抗体、または抗体の軽鎖のアミノ酸配列の可変領域が配列番号:7と少なくとも85%相同、好ましくは少なくとも90%相同、より好ましくは少なくとも95%相同であり、かつ抗体の重鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号:8と少なくとも85%相同、好ましくは少なくとも90%相同、より好ましくは95%相同である、前記LPSに結合する能力を有する前記抗体の変異体を提供する。
【0036】
当業者に公知の「相同性」という用語は、配列間の一致により決定される、2以上のポリペプチド分子間の関連性の程度を意味する。「相同性」率は、ギャップまたは他の配列特徴を考慮する、2以上の配列における相同領域の百分率から見出される。
【0037】
相互に関連するポリペプチドの相同性は、公知の手法で決定され得る。通常、特別な要件を考慮するアルゴリズムを伴う特別なコンピュータプログラムが用いられる。相同性の決定のための好ましい手法は第一に、試験される配列間の最大の一致を発生させる。2配列間の相同性の決定のためのコンピュータプログラムは、GAP(Devereux J et al., Nucleic Acids Research 12 (12): 387 (1984)); Genetics Computer Group University of Wisconsin, Madison (WI); BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul S et al., J. Molec. Biol. 215: 403-410 (1990))を含む、GCGプログラムパッケージを含むが、これに限定されるわけではない。BLAST Xプログラムは、National Centre for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給元(BLAST Handbook, Altschul S et al., NCB NLM NIH Bethesda MD 20894; Altschul S et al., J. MoI. 215: 403-410 (1990))から入手され得る。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、相同性の決定のために用いられ得る。
【0038】
配列比較のための好ましいパラメータは以下を含む:
アルゴリズム:NeedlemanおよびWunsch, J. MoI. Biol. 48 (1970), 443-453
比較マトリクス:BLOSUM62 from Henikoff & Henikoff, PNAS USA 89 (1992), 10915-10919
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:2
【0039】
GAPプログラムもまた、上記パラメータでの使用に適している。上記パラメータは、末端のキャップが相同性の値を低下させない、アミノ酸配列比較のための標準的なパラメータ(初期設定のパラメータ)である。参照配列と比較して極めて小さな配列では、さらに予測値を最大100,000まで増大させ、いくつかの場合にはワードの長さ(ワードの大きさ)を2まで縮小する必要がある可能性がある。
【0040】
さらなるモデルアルゴリズム、ギャップ開始ペナルティ、ギャップ伸長ペナルティおよびProgram Handbook, Wisconsin Package, Version 9, September 1997で指定されたものを含む比較マトリクスが用いられ得る。選択は、実施すべき比較に依り、さらには比較が、配列対の間で行われる(この場合GAPもしくはBest Fitが好ましい)か、または1つの配列と膨大な配列データベースとの間で行われる(この場合FASTAもしくはBLASTが好ましい)かどうかに依る。
【0041】
前記のアルゴリズムを用いて決定される85%の一致は、85%相同性として記載される。同じことが、より高度の相同性に適用される。
【0042】
好ましい態様において、本発明による変異タンパク質は、85%またはそれより高い、例えば90%または95%より高い相同性を有する。
【0043】
本発明によるヒトモノクローナル抗体の軽鎖はκ型またはλ型であることが、さらに好ましい。軽鎖がκ型のものが特に好ましい。軽鎖は、自然に再配列されたものを含む天然の鎖、遺伝子改変体、または合成型の軽鎖のいずれであってもよい。IATS O1に特異的である本発明による抗体がκ型である場合、軽鎖は生殖系列DPK18由来であることが好ましい(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)。
【0044】
さらに好ましい態様によって、本発明のヒトモノクローナル抗体の重鎖は、全てのヒトアイソタイプ、すなわちIgM、IgA、またはIgGから選択される。好ましくは、重鎖はIgM型である。抗体がIgM型の場合、抗体は緑膿菌LPSに対する高い結合力の有利な特性を示し、効果的にその補体に結合し、その結果細菌の直接の殺傷を媒介するか、および/または食作用のために細菌を効率的にオプソニン化する。さらに、IgGまたはIgAなどの他のアイソタイプは分解され得るのに対し、IgMは、緑膿菌エラスターゼによるタンパク質分解に抵抗性である。IgM抗体は少量で有効である。マウス1匹当たり1から4 μgが、マウス熱傷創敗血症モデルにおいて防御性である。
【0045】
可変重鎖は生殖系列VH3-11由来であることが好ましい(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)。軽鎖および重鎖は、一本鎖抗体(例えば、二価のscFv、二機能性scFvおよび二重特異性scFV)として共有結合的または互いに非共有結合的のいずれで結合してもよい。
【0046】
本発明の好ましい態様にしたがって、ヒトモノクローナル抗体は、すべてヒトアミノ酸配列からなる。
【0047】
「すべてヒトアミノ酸配列からなる」は、ヒトモノクローナル抗体のアミノ酸配列がヒト生殖系列由来であることを意味する。これは、異なる方法で得られてもよい。例えば、ヒトアミノ酸配列からなるヒトモノクローナル抗体は、B細胞がヒトB細胞であるハイブリドーマから得られ得る。または、ヒトモノクローナル抗体は、入手可能なヒトモノクローナル抗体に対して特許請求の範囲において示されているようなCDR領域のCDRを挿入することによって得られてもよく、その結果本発明による緑膿菌 LPS血清型に対して特異的なヒトモノクローナル抗体が産生される。
【0048】
ヒトモノクローナル抗体のすべてのヒトアミノ酸配列は、拒絶反応またはアナフィラキシーショックなどの望ましくない有害な作用の発生を防止する。
【0049】
ヒトモノクローナル抗体がヒト抗原認識を示すことは、さらに好ましい。「ヒト抗原認識」とは、本発明によるヒトモノクローナル抗体による抗原認識が、抗体のヒト由来抗原特異的可変領域により本質的に仲介され、したがって健常なヒト個体による抗原の認識と同一であることを意味する。特に、ヒト補体系との相互作用を確実にし、いわゆるHAMA(ヒト抗マウス抗体)の発生の危険性を減らすために、ヒトモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖のFc部分がヒト型であることが必要とされる。
【0050】
さらに好ましい態様によって、本発明のヒトモノクローナル抗体は、ヒトB細胞から、またはミエローマ細胞もしくはヘテロミエローマ細胞と該ヒトB細胞の融合により得られるハイブリドーマから入手可能である。
【0051】
ヒトB細胞は、健常人または患者を免疫し、次いで血液試料を取り出し、そこから公知の方法(Current Protocols in Immunology. Chapter 7.1. Isolation of whole mononuclear cells from peripheral blood and cord blood. Published by Wiley & sons, Eds: JC Coligan et al.)でヒトB細胞を単離することにより得てもよい。ヒトB細胞は、古典的なKohlerおよび Milsteinの方法による公知の技術によって、ハイブリドーマを産生するようミエローマまたはヘテロミエローマと融合させてもよい。適切なミエローマ細胞は、P3X63Ag8.653(ATCC CRL-1580)またはSP2/0(ATCC CRL-1646)などのP3X63の派生細胞である。適切なヘテロミエローマ細胞は例えば、F3B6(ATCC HB-8785)である。その結果生じるハイブリドーマは、公知の手法によって選択されてもよい。ハイブリドーマは適切な培養培地中で培養され、産生した抗体は上清から回収される。
【0052】
さらに、本発明は、本発明のヒトモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をそれぞれコードする核酸を提供する。核酸は、生殖系列からもしくはB細胞中で生じる再構成からのいずれか由来の天然の核酸であってよく、または核酸は合成であってもよい。合成核酸には、分解からの核酸の抵抗性を高めるためのホスホチオエステルを含む修飾ヌクレオシド間結合を持つ核酸も含まれる。核酸は、遺伝子操作されてもよく、またはヌクレオチド合成によりすべて合成で産生されてもよい。
【0053】
本発明はさらに、本発明のヒトモノクローナル抗体の軽鎖をコードする少なくとも1つの核酸、および/または本発明のヒトモノクローナル抗体の重鎖をコードする少なくとも1つの核酸を含むベクターを提供する。核酸は、同じベクター中に存在しても、または二成分のベクターの形態で存在してもいずれでもよい。ベクターは好ましくは、軽鎖および/または重鎖をコードする核酸の発現を容易にするために、核酸に機能的に連結されるプロモーターを含む。好ましくは、ベクターはまた、宿主細胞中に複製および維持のための開始点も含む。ベクターはまた、軽鎖または重鎖をコードする核酸の5'に位置するシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。シグナル配列は、コードした鎖の培地中への分泌を容易にする可能性がある。
【0054】
好ましくは、ベクターは、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、SV40ウイルス、レトロウイスル、植物ウイルス、またはλ由来物もしくはM13などのバクテリオファージ由来である。特に好ましいベクターは、Persicら(Persic et al. 1997. Gene. 187(1): 9-18)により記載された免疫グロブリンの真核細胞発現のための統合されたベクターシステムなど、ヒトIg重鎖およびヒト軽鎖の定常領域を含むベクターである。
【0055】
ベクターはさらに、ヒトモノクローナル抗体の軽鎖および/または重鎖のN末端にHisタグを伴う融合産物を産生するための構築物の発現をもたらす、Hisタグコードヌクレオチド配列を含み、これはキレート形成によりニッケルカラムでのタンパク質の精製を容易にする。
【0056】
さらに、本発明は、ベクターおよび/または核酸を含む、ベクターの発現に適した宿主細胞を提供する。当技術分野において、多数の原核細胞のおよび真核細胞の発現システムが公知であり、例えばHEK293細胞、PerC6細胞、CHO細胞、COS細胞、またはHELA細胞、およびそれらの誘導体のような、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、および哺乳類細胞などの真核生物宿主細胞が好ましい。ヒト産生細胞株が特に好ましい。形質移入された宿主細胞が培養培地の中に産生抗体を分泌することが好ましい。細胞内発現が達成される場合、例えばBenetti PH et al., Protein Expr Purif Aug; 13:283-290,(1998)などの標準的な手法によって再生を実施する。
【0057】
本発明はまた、ヒトモノクローナル抗体を産生するための方法も提供する。1つの態様において、ヒトモノクローナル抗体は、上記のハイブリドーマを培養することにより産生される。産生されたモノクローナル抗体は上清の中に分泌され、通常のクロマトグラフィ技術を適用することにより精製され得る。
【0058】
または、ヒトモノクローナル抗体は、本発明によるベクターを含む宿主細胞によって、およびコードされた抗体鎖の組換え発現に適した条件下で宿主細胞を培養することによって産生される。好ましくは、宿主細胞は、少なくとも1つの軽鎖をコードする核酸および少なくとも1つの重鎖をコードする核酸を含み、ヒトB細胞により産生されたヒトモノクローナル抗体の3次元構造と同等である3次元構造を生じるようにヒトモノクローナル抗体を構築する能力を有する。軽鎖が重鎖と別に産生される場合、両鎖を精製し、その後ヒトB細胞により産生されるようなヒトモノクローナル抗体の3次元構造を本質的に有するヒトモノクローナル抗体を産生するように構築してもよい。
【0059】
ヒトモノクローナル抗体はまた、コードされた軽鎖および/または重鎖の組換え発現により得られてもよく、その場合公知の方法でヒトモノクローナル抗体をコードする核酸を単離し、単離された核酸に対し特許請求の範囲において定義されたようなCDRをコードする核酸配列を挿入することにより、その核酸が産生される。
【0060】
さらなる好ましい態様に従い、本発明によるヒトモノクローナル抗体は修飾される。修飾は、例えばジクロヘキシルカルボジイミドを用いる架橋結合による単量体型の二量体化、オリゴマー化、重合を含む。その結果産生された二量体、オリゴマー、または重合体は、ゲルろ過により互いに分離され得る。さらなる修飾は、側鎖修飾、例えばε-アミノリシン残基、またはそれぞれアミノ末端およびカルボキシ末端修飾を含む。さらなる修飾は、翻訳後修飾、例えばタンパク質のグリコシル化および/または部分的もしくは完全な脱グリコシル化、ならびにジスルフィド結合形成を含む。抗体はまた、酵素標識、蛍光標識、または放射性標識などの標識に結合してもよい。
【0061】
本発明はさらに、少なくとも1つヒトモノクローナル抗体および/または少なくとも1つのヒトモノクローナル抗体の軽鎖および/または重鎖をコードする核酸を含む、薬学的組成物を提供する。
【0062】
薬学的組成物はさらに、当技術分野において公知の薬学的に許容される成分を含んでもよい。
【0063】
好ましくは、薬学的組成物は、主に免疫無防備状態の患者および/または呼吸機能障害を有する患者における血流感染、肺炎、慢性気管支炎、創傷感染を含む局所感染および関節の侵襲的感染などの感染症において、緑膿菌により引き起こされる疾患の治療のために利用される。薬学的組成物はさらに、病院で罹患した(院内)感染の予防および/または治療を対象とするが、それに限定されるわけではない。緑膿菌感染の主な犠牲者は、嚢胞性線維症患者、熱傷犠牲者、挿管された患者、外科的および/または医学的集中治療室中の患者、癌およびAIDS患者、免疫無防備状態の患者、免疫抑制患者、糖尿病患者、ならびに静脈内薬物乱用者であることから、薬学的組成物は特に、該患者グループにおいて緑膿菌により引き起こされる疾患の予防および/または治療を対象とする。
【0064】
薬学的組成物は、抗生物質を、好ましくは新規モノクローナル抗体に連結している抗生物質をさらに含んでもよい。
【0065】
薬学的組成物は、0.1〜30 mg/kg体重の濃度範囲で新規モノクローナル抗体を含む。
【0066】
薬学的組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、局所的、鼻腔内投与、または吸入スプレーなどの任意の公知の方法で投与される可能性がある。
【0067】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明のヒトモノクローナル抗体および任意でさらに診断試験を行うのに適した成分を含む、緑膿菌感染の診断のための試験キットも提供する。そのような診断試験を行うのに適した成分は、当技術分野において周知である。特に有用な適した成分の例は、緩衝液であり、例えば、280〜320 mOsm/lの範囲内の重量モル濃度およびpH 6〜8の範囲内のpH値を有する緩衝液、キレート剤を含む緩衝液、約0.02 Mから約2.0 Mの範囲の総カチオン濃度の緩衝液組成を有する一価カチオンもしくは二価カチオンを含む緩衝液、または0.01%から20%の間の濃度で動物もしくはヒト由来の血清を含む緩衝液である。
【0068】
試験キットは、緑膿菌感染の特異的で信頼性の高い診断に適している。試験アッセイは、液体または膜結合形態における通常のELISA試験に基づいてもよい。検出は、当技術分野において公知であるように直接的または間接的であってよく、ここで抗体は酵素標識、蛍光標識、または放射性標識に機能的に結合している。
【0069】
以下の実施例は、発明を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。さらなる態様は、明細書を検討しかつ通常の一般的な知識を考慮すれば、当業者にとって明らかであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】216-O1重鎖可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列に関する。216-01のCDR1領域は31位から35位にあり、216-01のCDR2領域は50位から66位にあり、かつ216-01のCDR3領域は99位から104位にある。
【図2】216-O1κ軽鎖可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列に関する。216-01のCDR1領域は24位から39位にあり、216-01のCDR2領域は55位から61位にあり、かつ216-01のCDR3領域は94位から101位にある。
【図3】モノクローナル抗体216-O1による緑膿菌株から単離されたLSPの認識パターンに関する。216-O1の結合をELISAにより決定した。
【図4】図4aは、モノクローナル抗体216-O1による緑膿菌参考株(血清型O1-O17)の認識に関する。図4bは、モノクローナル抗体216-O1および2つの他の公知の抗体(MAb C1およびMAb C2)による、緑膿菌臨床分離株の認識パターンに関する。抗体の結合を全細胞ELISAにより決定した(抗体の供給源について、第19頁、具体例:全細胞ELISAを参照)。
【図5】緑膿菌血清型IATS O1に対して作られたモノクローナル抗体216-O1および2つの他の公知の抗体(MAb C1およびMAb C2)のオプソニン食作用活性に関する。
【図6】マウスにおけるモノクローナル抗体216-O1の薬力学に関する。216-O1のインビボ防御能をマウス熱傷創感染モデルで評価した。異なる用量の216-O1をNMRIマウスに静脈内投与した。生存率を攻撃誘発後96時間まで示し(図6A)、かつ攻撃誘発後3日の3試験の概要を示す(図6B)。
【発明を実施するための形態】
【0071】
材料および方法
実施例では、以下の材料および方法が用いられている:
【0072】
LPS特異性の決定およびIgMの定量化
細胞培養上清中の抗体のスクリーニングおよび解析のために、ELISAをいくつかの変更を伴い他に記載された(Cryz, S.J. et al., 1987. J. Clin. Invest. 80(1):51-56)ように行った。簡単に言えば、(社内で生産した)緑膿菌リポ多糖類(LPS)保存溶液を、36 mMトリエチルアミンまたはH2Oで2 mg/mlの濃度に調製した。コーティングのために、溶液をPBSで10 μg/mlに希釈した。この溶液を等量の10 μg/mlメチル化ヒト血清アルブミン(HSA;以下のように社内で生産した:2 gの凍結乾燥したHSAを200 ml無水メタノール中で溶解した)と混合した。1.68 mlの37%HClを加えた後、溶液を、不定期に振とうしながら暗中室温で少なくとも3日間保存する。沈殿物を10分の遠心分離(4500rpm、GS1ローター)により収集し、無水エタノールで2回および無水エーテルで2回、いずれも溶剤でペレットを再懸濁することにより洗浄する。沈殿物をデシケーター中で2時間乾燥し、乾燥ペレットをH2Oで懸濁し、一定分量で-20℃で保存する。NUNC(登録商標)ELSAプレートを室温で一晩、100 μl/ウェルLPS-HSA溶液でコーティングした。プレートを0.05% Tween20(#93773; Fluka Chemie AG, Switzerland)を含む(社内で製造した)300 μl PBS pH7.4(PBS-T)で3回洗浄した後、細胞培養上清をPBSで1:2に希釈し、室温で2時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した後、結合抗体を、PBS-Tで1:2000〜1:4000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgM抗体(#074-1003; KPL; Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc. Gaithersburg, MD)で検出した。プレートを室温で1時間インキュベートし、PBS-Tで3回洗浄した。100 μl/ウェルOPD基質溶液(0.012%(v/v)H2O2を含む、0.4 mg/mlオルトフェニルジアミンの0.1 Mクエン酸ナトリウム緩衝液)を添加することにより、抗体結合を可視化した。2〜3分後に50 μl/ウェル1M HClの添加により、呈色反応を停止した。SoftmaxPro(登録商標)ソフトウェアを用いて490 nmでELISAリーダーで、吸光度を読み取った。
【0073】
細胞培養上清中のIgMの定量化のために、ELISAプレートを4℃で一晩、1 μg/ml非結合ヤギ抗ヒトIgM抗体を含むPBSでコーティングした。プレートをPBS-Tで3回洗浄し、細胞上清および標準物質を2倍希釈でインキュベートした。標準物質として、精製ヒト抗体を0.5 μg/mlの開始濃度で用いた。全ての希釈をPBS-Tで行った。プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した後、結合抗体を、PBS-Tで1:2000〜1:4000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgM抗体(KPL)で検出した。プレートを室温で1時間インキュベートし、PBS-Tで3回洗浄した。抗体結合を、100 μl/ウェルOPD基質溶液を加えることにより可視化した。約1分後に50 μl/ウェル 1 M HClの添加により、呈色反応を停止した。SoftmaxPro(登録商標)ソフトウェアを用いて490 nmでELISAリーダーで、吸光度を読み取った。
【0074】
結合活性の決定
抗体に遊離LPSを添加すると、コーティングされたLPSへの抗体の結合にどのように影響を与えるかを調査する阻害アッセイを用いて、結合活性を決定した。結合活性は、コーティングされたLPSのみに対する抗体のシグナルの50%阻害を与える遊離LPSの濃度(mol/L)の逆数値である。これは、Reed-Munch法(Reed L.J. and Muench H., Am J of Hygiene(27), 493-497 (1938))を用いて計算された。
【0075】
上記(LPS特異性の決定)のように、プレートをLPSでコーティングした。プレートを0.05%Tween20(#93773; Fluka Chemie AG, Switzerland)を含む300 μl PBS pH7.4(社内で製造)(PBS-T)で3回洗浄した後、抗体を加えた。参照として、PBSによる抗体の希釈列を用いた。加えて、異なる濃度の遊離LPS(H2O中)を、一定濃度の216-O1を用いる第2の希釈列に加えた。プレートを室温で2時間インキュベートし、その後PBS-Tで3回洗浄した。プレート結合抗体を、PBS-Tで1:2000または1:4000にそれぞれに希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgM抗体(#074-1003; KPL; Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc. Gaithersburg, MDまたは#62-7500 Zymed, Invitrogen, Carlsbad)で検出した。プレートを室温で1時間インキュベートし、PBS-Tで3回洗浄した。抗体結合を、100 μl/ウェルOPD基質溶液(0.012%(v/v)H2O2を含む、0.4 mg/mlオルトフェニルジアミンの0.1 Mクエン酸ナトリウム緩衝液)を加えることにより可視化した。2〜3分後に50 μl/ウェル 1 M HClの添加により、呈色反応を停止した。SoftmaxPro(登録商標)ソフトウェアを用いて490 nmでELISAリーダーで、吸光度を読み取った。
【0076】
配列解析
ハイブリドーマ細胞のRNAを、QiagenのRNeasyキットを用いることにより単離した。cDNAを逆転写酵素(Superscript II, InvitrogenおよびPrimescript, Takara Bio Inc.)を用いて合成した。ヒト再配列IgGおよびIgM可変ドメインコード領域の増幅用に設計された、ヒトのIgGおよびIgMライブラリプライマーセット(#F2000, Progen)を用いて、重鎖および軽鎖のサブグループを決定した。PCRおよび配列決定により可変領域を増幅するために、リーダー配列中に特異的な順方向プライマーを設計し、定常プライマー(constant primer)と組み合わせて用いた。配列決定のために、さらに、可変領域の順方向プライマーを設計し、配列を確認した。配列決定は、Microsynth AG(Balgach, Switzerland)で行われた。PCRおよび配列決定のために、以下のプライマーを用いた(表III):
逆方向定常IgM(IgM con):

逆方向定常κ(κrev):

。重鎖VH3の順方向プライマーとして、

および、軽鎖リーダー1の順方向プライマーとして、

を用いた。配列決定のために、さらに、以下の順方向プライマーを設計し、重鎖HC CDR2-3に対して、

および軽鎖LC CDR2-3に対して、

用いている。http://www.bioinf.org.uk/abs/seqtest.html.を介してKabatの番号付け(Kabat numbering)に適用することにより、CDRを決定した。V-Base DNAPLOTソフトウェア(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)を用いて、配列を現存する生殖系列配列と比較した。
【0077】
(表I)緑膿菌ワクチン接種株のIATS血清型

【0078】
(表II)緑膿菌血清型IATS O1の臨床分離株

これらの緑膿菌分離株は、尿および気道など様々な供給源から患者より得られた。
【0079】
全細胞ELISA
緑膿菌参考株O1〜O17および様々な臨床分離株からの細菌(表II参照)をこのアッセイで用いた。各血清型O1〜O17のうち1つの緑膿菌株を参考株として試験した(ATCC−アメリカ培養細胞系統保存機関): 参考株O1(ATCC 33348)、参考株O2(ATCC 33356)、参考株O3(ATCC 33350)、参考株O4(ATCC 33351)、参考株O5(ATCC 33352)、参考株O6(ATCC 33354)、参考株O7(ATCC 33353)、参考株O8(ATCC 33355)、参考株O9(ATCC 33356)、参考株O10(ATCC 33357)、参考株O11(ATCC 33358)、参考株O12(ATCC 33359)、参考株O13(ATCC 33360)、参考株O14(ATCC 33361)、参考株O15(ATCC 33362)、参考株O16(ATCC 33363)および参考株O17(ATCC 33364)。
【0080】
細菌を、ブレインハートインフュージョン(BHI)培地中37℃で550 nmで吸光度1まで増殖させ、37℃で一晩37%ホルマリン(ホルマリンの最終濃度:0.5%)で固定した。固定した細菌を、PBSで1:50に希釈し、100 μlを室温で一晩ELISAプレート上に固定化した。プレートを、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む120 μl PBSで37℃で30分間ブロッキングした後に、モノクローナル抗体216-O1を含む100 μlのハイブリドーマ上清を固定した細菌と共に、37℃で90分間インキュベートした。もしくは、分離株を培地単独でまたは対照抗体と共にインキュベートした(データは示さず)。プレートをPBS-T(PBS、0.5%Tween-20)で3回洗浄した後、PBS-Tで1:2000〜1:4000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgM抗体(#074-1003; KPL; Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc. Gaithersburg, MD)で、結合抗体を検出した。プレートを37℃で1時間インキュベートし、PBS-Tで3回洗浄した。100 μl/ウェルOPD基質溶液(0.012%(v/v)H2O2を含む、0.4 mg/mlオルトフェニルジアミンの0.1 Mクエン酸ナトリウム緩衝液)を加えることにより、抗体結合を可視化した。2〜3分後に50 μl/ウェル 1 M HClの添加により、呈色反応を停止した。SoftmaxPro(登録商標)ソフトウェアを用いて490 nmでELISAリーダーで、吸光度を読み取った。
【0081】
比較試験のために、US4,834,975(Siadak)に記載のさらなる抗緑膿菌LPS血清型IATS O1分泌細胞株9D10およびC5D5をATCCから注文し、抗体を作製し(それぞれMAb C1(9D10)およびMAb C2(C5D5))、216-O1と比較した。
【0082】
オプソニン食作用アッセイ
生物活性を決定するために、モノクローナル抗体216-O1を、そのオプソニン食作用活性について試験した。この目的のために、血清型IATS O1の緑膿菌細菌(PA53株)を、TSBG(1%(w/v)グルコースを含む30 g/lトリプシン大豆ブロス)培地中で一晩増殖させた。20 mlの0.1 M重炭酸緩衝液pH8.0で細菌を2回洗浄した後、細菌ペレットを5 mlの0.1 M重炭酸緩衝液pH8.0で再懸濁した。50 μlの5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル(5(6)-FAM SE);Molecular Probes, Eugene, OR;10 mg/mlを含むジメチルスルホキシド)を加え、1時間37℃でインキュベートした。細菌を、100 μlの37%ホルムアルデヒトの添加および37℃で一晩のインキュベーションにより固定した。非結合色素を取り除くために、細菌を20 mlの冷たい滅菌PBSで6回洗浄し、5 mlに再懸濁し、OD550nm=1までPBSで希釈した。使用するまで、標識した細菌を一定分量で−80℃で保存した。アッセイのために、細菌の一定分量をHBSS-BSA(0.1%BSAを含むHanks平衡塩溶液)で1:50に希釈した。70 μlの細菌を、モノクローナル抗体216-O1または非特異的モノクローナル対照抗体をそれぞれを含む30 μlの異なる希釈のハイブリドーマ細胞培養物と混合した(データは示さず)。加えて、20 μlの仔ウサギ血清(Charles River Laboratories, Germany)を補体の供給源として、または対照として熱不活性化補体(1時間、56度)を加えた。37℃のインキュベーションの30分後、60 μlの分化したHL-60細胞(前骨髄球性細胞株HL-60を、20%(v/v)ウシ胎児血清および100 mMジメチルホルムアミドを追加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM; Sigma)中で4日間細胞をインキュベートすることにより顆粒球細胞に分化させた)を、1.3×106細胞/mlの最終濃度を得るようにオプソニン化した細菌に加えた。振とう機で37℃で90分間インキュベートした後、2 mlの細胞洗浄緩衝液(0.02%(v/v)アジ化物含有PBS; Becton Dickenson)および100 μlのトリパンブルー溶液(#T8154, Sigma)を、クエンチングのために1分間加えた。350×gでの5分間の遠心分離の後、細胞ペレットを約200 μl細胞洗浄緩衝液で再懸濁し、フローサイトメトリーにより解析した。背景染色と比較してHL-60細胞の緑色蛍光を解析することにより、陽性のオプソニン食作用活性を決定した。背景染色は、HL-60細胞と共に補体の存在下で蛍光結合細菌をインキュベートすることにより決定した。
【0083】
緑膿菌感染マウスのインビボ防御
マウス熱傷創モデル
216-O1のインビボ防御能をマウス熱傷創感染モデルで決定した。NMRIマウス(18〜20 g;Charles River Laboratories)は、攻撃誘発の2時間前に、0.1〜1.5 mg/kgモノクローナル抗体216-O1を約0.1 mlの量で静脈内に受けた。対照として、1.5 mg/kgの非特異的対照(ctr)抗体を注入した。攻撃誘発のために、10匹の雌マウス群に、66 mg/kg Ketamineおよび13.2 mg/kg Xylazineを有するKetamine(Narketan; Vetoquinola G)/Xalzine(Xylasol; Dr. E. Graeub AF)で麻酔した。熱傷の直前に、マウスをさらに5%イソフルラン中に2〜3分間維持した。背の2 cm2範囲に対する10秒エタノール熱傷に、マウスを供した。0.5 ml PBSに懸濁した攻撃誘発微生物(緑膿菌IATS O1;PA53、表1参照)をマウス1匹当たり2.5〜5×107 cfuで、熱傷範囲内へ直ちに皮下注入した。動物を0.3 mg/kg Temgesic(鎮痛剤)で皮下に一日2回処置し、生存を攻撃誘発後96時間まで毎日3回モニターした。
【実施例】
【0084】
実施例1:216-O1のDNA配列およびアミノ酸配列
抗体特異性を、DNA配列およびアミノ酸配列それぞれにより決定する。重鎖および軽鎖の様々な断片のDNA配列を決定した。簡単に言うと、ハイブリドーマ細胞の総RNAを単離し、完全cDNAに逆転写した。CκおよびCμ特異的プライマーを、リーダー配列中の順方向プライマーと組み合わせて用いて、IgMおよびκの可変領域ならびに定常領域の一部を、PCRにより増幅した。次いで、PCR断片をアガロースゲルからの切り出しにより精製し、表IIIに示すプライマーによる配列決定のための鋳型として用いた。
【0085】
(表III)216-O1のIgM重鎖およびκ軽鎖の可変領域のPCR増幅および配列決定のために用いられるプライマー

【0086】
その後可変領域の配列を、Vbaseインデックス(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)と比較した。生殖系列配列との比較により、軽鎖がDPK18生殖系列配列と、重鎖がVH3-11生殖系列配列と、最も高い類似度を有することが示された。216-O1のIgM重鎖およびκ軽鎖の可変領域のDNA配列およびアミノ酸配列を、図1および2に示す。
【0087】
実施例2:モノクローナル抗体216-O1による、緑膿菌由来の単離LPSおよび緑膿菌血清型IATS O1の臨床分離株の認識
216-O1は、健常人を8価OPS-毒素Aワクチンで免役することにより、作製されている。ワクチンは、IATS O1株PA53のLPSを含む。LPS特異性を決定するために、216-O1を緑膿菌由来の単離LPSのパネル(表1)で試験した(図3)。216-O1がIATS O1緑膿菌を特異的に認識するかどうか調べるために、17種類の参考株で試験した(図4a)。
【0088】
加えて、次いで、血清型IATS O1の種々の臨床分離株(図4b)を、216-O1および他の抗緑膿菌LPS IATS O1抗体(MAb C1およびMAb C2)への結合について、全細胞ELISAにより試験した。全分離株の血清型を、市販の血清型凝集キットを用いて決定し、かつPCRにより確認した。
【0089】
216-O1は、IATS O1血清型の単離したLPSと特異的に反応したが、他の試験した血清型とは反応しなかった。さらに、IATS O1参考株への結合が排他的に観察されたが、IATS O2〜O17参考株では観察されなかった。これらの分離株の整合性は、陽性対照として各血清型に対する複数の他のモノクローナル抗体を用いて保証された(データは示さず)。2つの公知の抗体(MAb C1およびMAB C2)と216-O1の臨床分離株の認識を比較すると、216-O1およびMAb C1は、全10種類の試験した臨床分離株への結合を示す一方で、MAb C2については10種類の試験した分離株のうち6種類への結合のみが検出された。
【0090】
実施例3:216-O1のインビトロ活性:オプソニン食作用活性
216-O1のインビトロ生物活性を、フローサイトメトリーオプソニンに基づく食作用アッセイを用いて評価した。蛍光標識((5(6)-FAM SE)に結合した血清型IATS O1の緑膿菌を、補体供給源として正常なウサギ血清の存在下で連続的に希釈した216-O1と共にインキュベートした。オプソニン化した細菌を、分化したHL-60細胞(前骨髄球細胞株、ATCC: CCL-240;食細胞への分化は4日間0.1 Mジメチルホルムアミドを加えることにより達成された)と共にインキュベートした。オプソニン食作用をFACSにより解析した。陽性のオプソニン食作用活性は、活性補体の非存在下(熱不活性化血清)でHL-60細胞による(5(6)-FAM SE)に結合した細菌の背景染色と比較して、HL-60細胞の緑色蛍光を解析することにより決定された。2つの独立した試験の平均結果を図5に示す。
【0091】
216-O1は、用量依存的動態で、IATS O1血清型の緑膿菌の食作用を媒介した(黒丸)。216-O1のオプソニン食作用活性(OA50)は、FITC陽性HL-60細胞の最大半減パーセンテージをもたらす濃度として定義され、約2.7 ng/mlであった。そのような低用量での活性は、216-O1のエフェクターとしての高い潜在能力を示す。216-O1のオプソニン食作用の媒介能を、MAb C1(四角)およびMab C2(三角)と比較すると、MAb C2(3.8 ng/ml)に関しては、かなりのオプソニン食作用活性が検出され、MAb-C1はほとんど有効ではない(50.9 ng/ml)ことがわかった。
【0092】
結果として、216-O1抗体は、患者分離株の認識に有意に優れた特徴と、ならびにオプソニン食作用活性の良い結果とを示す。
【0093】
実施例4:モノクローナル抗体216-O1のインビボ防御能
216-O1のインビボ防御能を、マウス熱傷創感染モデルで評価した。異なる用量の216-O1を、NMRIマウスに静脈内投与した。2時間後、2×2 cmの熱傷を負わせ、2.5×105〜5×105 CFUの緑脳菌株PA53(O1)を、熱傷した皮膚領域の皮下に注入した。マウスは、全試験期間にわたって麻酔された。生存を毎日3回モニターした。攻撃誘発後96時間までの生存率を示す1つの実験(図6A)、および3つ独立した試験による攻撃誘発後3日の生存率を示す(図6B)。
【0094】
0.1 mg/kg体重の用量は、全身性の緑膿菌攻撃誘発からの60〜100%防御を与えた。別の緑膿菌血清型に対して作られた対照抗体は、防御を与えなかった。投与量の低減は、生存率の低下をもたらした。熱傷創を有するが緑膿菌に感染していないマウスは100%生存率を有するため、致死は緑膿菌感染の直接的な結果であった。これらのデータは、緑膿菌による感染に対する216-O1のインビボ有効性を明らかにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑膿菌(P. aeruginosa)LPS血清型IATS O1のリポ多糖類(LPS)に特異的なヒトモノクローナル抗体であって、該抗体の軽鎖の可変領域が、CDR1領域において配列番号:1、CDR2領域において配列番号:2、およびCDR3領域において配列番号:3を含み、かつ該抗体の重鎖の可変領域が、CDR1領域において配列番号:4、CDR2領域において配列番号:5、およびCDR3領域において配列番号:6を含む、ヒトモノクローナル抗体、または該LPSに結合する能力を有するそれらの断片もしくは誘導体。
【請求項2】
抗体の軽鎖の可変領域が配列番号:7のアミノ酸配列を有し、かつ重鎖の可変領域が配列番号:8のアミノ酸配列を有する、請求項1記載ヒトモノクローナル抗体、または
抗体の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号:7に少なくとも85%相同であり、かつ前記抗体の重鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号:8に少なくとも85%相同である、前記LPSに結合する能力を有する請求項1記載のヒトモノクローナル抗体の変異体。
【請求項3】
前記軽鎖がκ型の軽鎖である、請求項1または2記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項4】
前記軽鎖がλ型の軽鎖である、請求項1または2記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項5】
前記重鎖が、IgM型、IgA型、またはIgG型の重鎖であり、好ましくはIgM型の重鎖である、請求項1〜4のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項6】
前記重鎖がIgM型の重鎖である、請求項5記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項7】
すべてヒトアミノ酸配列からなる、請求項1〜6のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項8】
ヒト抗原認識を示す、請求項1〜7のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項9】
前記誘導体が、重鎖および/または軽鎖内の任意のCDR領域において少なくとも1つの保存的置換を保有するヒトモノクローナル抗体の変異タンパク質である、請求項1〜8のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項10】
N末端で、内部で、および/またはC末端で修飾されている、請求項1〜9のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項11】
前記修飾が、オリゴマー化、ならびに薬剤および/または標識への結合の少なくとも1つから選択される、請求項10記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項12】
ヒトB細胞、またはミエローマ細胞もしくはヘテロミエローマ細胞と該ヒトB細胞との融合により得られるハイブリドーマから得ることができる、請求項1〜9のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項13】
請求項1〜9または12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体を産生する能力を有するハイブリドーマ。
【請求項14】
請求項1〜9または12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸。
【請求項15】
請求項1〜9または12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸。
【請求項16】
請求項14記載の軽鎖をコードする少なくとも1つの核酸、および/または
請求項15記載の重鎖をコードする少なくとも1つの核酸
を含む、ベクター。
【請求項17】
核酸に機能的に連結されてその発現を容易にするプロモーターも含む、請求項16記載のベクター。
【請求項18】
請求項14記載のベクターおよび/または請求項14もしくは15記載の核酸
を含む、宿主細胞。
【請求項19】
抗体の分泌を可能にする条件下で請求項13記載のハイブリドーマを培養する工程、または
ヒトモノクローナル抗体の発現に適した条件下で請求項18記載の宿主細胞を培養する工程、および
任意で培養上清から抗体を精製する工程
を含む、請求項1〜9または12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体を産生するための方法。
【請求項20】
請求項1〜12に記載のヒトモノクローナル抗体の少なくとも1つ、および/または
請求項13もしくは14に記載の核酸の少なくとも1つ、および
任意で薬学的に許容可能な担体もしくは成分
を含む、薬学的組成物。
【請求項21】
ヒト患者において緑膿菌感染の予防および/または治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体および/または請求項13もしくは14記載の核酸。
【請求項22】
ヒト患者における緑膿菌感染の予防および/または治療のための薬学的組成物の調製のための、請求項1〜12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体および/または請求項13もしくは14記載の核酸の使用。
【請求項23】
緑膿菌感染が院内感染である、請求項21または22記載の使用。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれか一項記載のヒトモノクローナル抗体の少なくとも1つ、および/または
請求項13もしくは14記載の核酸、および
任意で診断テストを行うのにさらに適した成分
を含む、試料中の緑膿菌の診断のための試験キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523221(P2012−523221A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503917(P2012−503917)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002158
【国際公開番号】WO2010/115606
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(507272979)ケンタ バイオテク アーゲー (4)
【Fターム(参考)】