説明

緑色〜透過性可溶性エレクトロクロミックポリマー

緑色〜透過性の可溶性エレクトロクロミックポリマーは、複数の繰り返しユニットを有する共役ポリマーであり、繰り返しユニットはアクセプター基に結合した複数の置換ジオキシ複素環ベースのドナー基である。この共役ポリマーは、ニュートラル時に可視スペクトルの第1帯域および可視スペクトルの第2帯域の電磁線を吸収して緑色を生じ、酸化状態時には透過性である。このポリマーは、可溶であり、溶液からのフィルムおよびコーティングの加工を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年10月30日に提出した米国仮出願第61/000,908号の利益を主張する。化学式、表および図面を含む全てを参照することによってこの仮出願を本明細書中に組み込む。
【背景技術】
【0002】
電気化学的酸化および還元で高感度な可逆性の色変化が可能な高分子エレクトクロミック材料がここ10年にわたってかなり注目を浴びている。予想される産業的および商業的応用のために、特に、デバイス、例えばウィンドウ、ミラー(車用バックミラー/サイドミラー)およびディスプレイへの、この電気活性材料の最も安定な組み込みに重点が置かれてきた。多くのニュートラル状態で赤色を吸収する共役ポリマーおよびニュートラル状態で青色を吸収する共役ポリマーが合成され、エレクトロクロミックデバイスに一体化されてきたが、飽和緑色ポリマーであって、透過状態に切り替えられるポリマーを化学的にまたは電気化学的に合成する試みは、材料のニュートラル状態において少なくとも2つの帯域を含まなければならないという要求される吸収スペクトルの複雑な性質のために限られた成功しか収められていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで、1つの記事しか、酸化すると(青みがかった)透過状態になる緑色共役ポリマーの存在を報告していない(Durmusら,Chem.Commun.,2007,3246〜3248)。しかしながら、この材料は、電気化学的重合/フィルム蒸着によって製造され、可溶性/加工性を示さず、デバイスへの一体化を困難にし、可能な応用範囲を限定している。従って、高いエレクトロクロミックコントラスト、早い切り替え時間および高い透過性酸化状態を有する可溶性のニュートラル状態で緑色の共役ポリマーが共役ポリマーの分野で望ましい改良である。加えて、溶液加工性材料が幅広い範囲の応用に利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は、複数の繰り返しユニットで構成される共役ポリマーであって、繰り返しユニットがアクセプター基と結合した複数の置換ジオキシ複素環ベースのドナー基を有する共役ポリマーに関する。共役ポリマーは、ニュートラル状態で可視スペクトルの第1帯域および可視スペクトルの第2帯域内の電磁線を吸収するが、酸化状態ではこれらの帯域において透過性である。酸化状態での第1帯域および第2帯域の電磁線の吸光度は、ニュートラル状態での吸光度よりも低く、しばしば200%以上低く、観測者は、ポリマーをニュートラル状態では着色していると認識するが、酸化状態ではほとんど着色していないか全く着色していないと認識する。ニュートラル状態着色ポリマーの外観が緑色であるように、第1吸収帯域は約500nm以下の波長に可視吸収極大を有し、第2吸収帯域は約550nm以上の波長に可視吸収極大を有し、480〜580に局所的極小を有する。
【0005】
このポリマーは、1種類以上の溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ピリジン、酢酸エチル、ブタノール、エタノール、メタノール、アセトニトリル、アセトン、イソプロパノール、水およびそれらの混合物、に可溶である。従って、このポリマーは、溶液からフィルムまたはコーティングに製造され、加工される。このポリマーのジオキシ複素環は、ジオキシチオフェン、例えばアルキレンジオキシチオフェン、例えば3,4−プロピレンジオキシチオフェンである。アクセプター基は、電子不足芳香族ユニット、例えば置換または非置換ベンゾチアジアゾール基、チアジアゾロキノキサリン基、キノキサリン基、チエノチアジアゾール基、チエノピラジン基、ピラジノキノキサリン基、ベンゾビスチアジアゾール基またはチアジアゾロチエノピラジン基である。
【0006】
多くの態様において、共役ポリマーは、その繰り返しユニットが一連の構造式III
−Z−Y−E−X−E−Y−Z III
〔式中、Xは電子不足芳香族ユニットであり、Eは電子豊富な共役ユニットであり、Yは置換ジオキシ複素環であり、Zは共役ユニットであり、qおよびrは0、1、2または3である。〕
によって想定される。ユニットYは、式II
【化1】

〔式中、Xは電子不足芳香族ユニットであり、Eは電子豊富な共役ユニットであり、Zは共役ユニットであり、qおよびrは0、1、2または3であり、R10、R11、R12およびR13は同一であるかまたは異なっており、R10、R11、R12およびR13の少なくとも1つは任意に1以上の複素原子を含んでいてもよい直鎖または分枝脂肪族炭素鎖を含む。〕
にプロピレンジオキシチオフェン(ProDOT)によって示されるように鎖中に1以上の複素原子を有していてもよい少なくとも1つの直鎖または分枝脂肪族炭素鎖で置換されているアルキレンジオキシチオフェンであってもよい置換ジオキシチオフェンである。電子不足芳香族ユニットXは、置換または非置換ベンゾチアジアゾール基、チアジアゾロキノキサリン基、キノキサリン基、チエノチアジアゾール基、チエノピラジン基、ピラジノキノキサリン基、ベンゾビスチアジアゾール基またはチアジアゾロチエノピラジン基である。例えば、本発明の態様において、電子不足芳香族ユニットは、2,1,3−ベンゾチアジアゾール基(BTD)である。電子豊富な共役ユニットEは、置換または非置換チオフェンであり、Zは置換または非置換ジオキシチオフェン基である。
【0007】
本発明の別の態様は、置換ジオキシ複素環部分を有する2つのドナー化合物を、アクセプター部分を有する共役アクセプター化合物と反応させて、ジオキシ複素環ベースのドナー基がアクセプター基に結合したオリゴマーである重合性ユニットを生じる工程を含む、共役ポリマーの製造方法を伴う。次に、複数のこのオリゴマー重合性ユニットを共有結合させて共役ポリマーを生じる。この共役ポリマーは、ニュートラル状態で可視スペクトルの第1帯域および可視スペクトルの第2帯域の電磁線を吸収し、酸化するとポリマーが上記のように透過性になる。このポリマーは少なくとも1種類の溶媒に可溶性である。一態様では、ジオキシ複素環部分は、有機金属置換基、例えば有機錫置換基、有機ホウ素置換基、有機マグネシウム置換基、有機亜鉛置換基または有機シラン置換基、であってもよいカップリング部分を有するジオキシチオフェン部分であり、共役アクセプター化合物は共役アクセプター化合物上に対称的に配置された一対の相補的ハロゲン官能基を含む。反対に、別の態様では、一対の有機金属置換基が共役アクセプター化合物に結合しており、ハロゲン基がジオキシ複素環部分のカップリング部分である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、薄いフィルムをトルエンからITO上にキャストし、LiBFの0.1Mアセトニトリル溶液中で電気化学的に酸化したポリマー6aの吸収スペクトルを示す。
【図1B】図1Bは、薄いフィルムをトルエンからITO上にキャストし、LiBFの0.1Mアセトニトリル溶液中で電気化学的に酸化したポリマー6bの吸収スペクトルを示す。
【図1C】図1Cは、薄いフィルムをトルエンからITO上にキャストし、LiBFの0.1Mアセトニトリル溶液中で電気化学的に酸化したポリマー9の吸収スペクトルを示す。
【図1D】図1Dは、薄いフィルムをクロロホルムからITO上にキャストし、LiBFの0.1Mアセトニトリル溶液中で電気化学的に酸化したポリマー12の吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、ポリマー6a(P([ProDOT−OOct−BTD))(●)、6b(P([ProDOT−OEtHex−BTD))(▲)、9(P([ProDOT−OOct−Th]−BTD))(■)および12(P([ProDOT−OOct−Th]−BTD))(▼)の薄いフィルム上で測定される相対輝度を示す。トルエン(6a、6b、9)またはクロロホルム(12)からITO上にスプレーキャストされたソリッド薄フィルムを使用して実験を行った。
【図3A】図3Aは、トルエンからITO上にスプレーキャストされたソリッド薄または/および厚フィルムとしてのニュートラルおよび酸化ポリマー6a(P([ProDOT−OOct−BTD))の写真を示す。
【図3B】図3Bは、トルエンからITO上にスプレーキャストされたソリッド薄または/および厚フィルムとしてのニュートラルおよび酸化ポリマー6b(P([ProDOT−OEtHex−BTD))の写真を示す。
【図3C】図3Cは、トルエンからITO上にスプレーキャストされたソリッド薄または/および厚フィルムとしてのニュートラルおよび酸化ポリマー9(P([ProDOT−OOct−Th]−BTD))の写真を示す。
【図3D】図3Dは、クロロホルムからITO上にスプレーキャストされたソリッド薄または/および厚フィルムとしてのニュートラルおよび酸化ポリマー12(P([ProDOT−OOct−EDOT]−BTD))の写真を示す。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、ニュートラル状態で緑色であり、酸化状態で高透過性である新規の可溶性共役ポリマーの合成に対する新規の有効なルートである。本発明の態様によると、可溶性共役ポリマーは、下記利点:可視領域における高い光学コントラスト;極めて優れた電気化学的切り替え特性;緑色太陽電池に所望されるような電荷輸送特性;および便利な付着方法、例えばスピンコーティング、ロールツーロールコーティング、スプレーキャスティング、および様々な印刷方法(例えばインクジェットプリント)、を使用するエレクトロクロミックデバイスへの加工能力、の1つ以上を提供する。
【0010】
ニュートラル状態で緑色のポリマーを得るために、可視スペクトルの赤色および青色領域の吸収が必要とされる。エネルギーギャップの細かい調整、並びに電磁スペクトルにおける十分なセットの吸収帯域の導入は、ポリマーの共役部分を構成する繰り返しユニットの構造の選択によって達成される。構造パラメータを制御してこの新規の可溶性ポリマー群に所望の光学特性および加工性をもたらす。重合すると起こる深色移動の慎重な分析および比較が、合成され、重合される単一重合性ユニットの期待される吸収スペクトルの決定を可能にする。この重合性ユニットは、エレクトロクロミックポリマーの主鎖を構成する電子供与部分および受容部分を含有する。
【0011】
本発明の態様において、少なくとも1つの可溶化鎖を有するジオキシチオフェン部分は、ポリマーを形成するために用いられる重合性ユニット内に供与部分を含有する。加工中に所望の可溶性を提供する任意の可溶化鎖が用いられる。一態様において、可溶化鎖はアルコキシ可溶化鎖(直鎖または分枝)であり、これは溶液キャスティングによってソリッド薄フィルムに加工することを可能にし、酸化状態の透過性を増加させる。緑色光を透過/反射する高分子材料に関して、酸化時に高透過性コントラストを得ることは、可視スペクトルの青色および赤色の位置に起こる2つの吸収帯域の同時の有効なブリーチングを要求する。
【0012】
本発明の態様の可溶性共役ポリマーは、カップリング反応によってジオキシ複素環ドナー部分をアクセプター部分とカップリングさせることによって製造される。使用されるカップリング反応としては、これらに限定されるわけではないが、スティルカップリング、熊田カップリング、檜山カップリング、根岸カップリングおよび鈴木カップリングが挙げられる。
【0013】
本発明の一態様において、スティルカップリングをカップリング反応として用いる。この態様において、重合性ユニットは、好適な技術を使用して製造されるスタニル化ジオキシチオフェンを使用して製造され、次にこのユニットの酸化的重合が続く。このユニットは、緑色〜透過性のポリマーのエレクトロクロミック特性を組み合わせで生じるドナー部分とアクセプター部分との適切に官能化されたオリゴマーである。一態様において、スタニル化ジオキシチオフェン化合物は、トリメチル錫(−SnMe3)、または好適な有機錫置換基、例えばトリエチル錫(−SnEt)もしくはトリブチル錫(−SnBu)として示されるような下記スキーム1の式3の3,4−プロピレンジオキシチオフェン化合物である。有機錫置換基は、好適な置換基、例えば、有機ホウ素、有機マグネシウム、有機亜鉛、または有機シラン置換基、で置換されてもよい。式3のR基は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖もしくは分枝脂肪族炭素鎖、または芳香族部分を含む炭素鎖であるように選択され、脂肪族または芳香族炭素鎖は任意に1以上の複素原子(例えば酸素または窒素原子)またはオリゴエーテル基、エステル基、アミド基、カルボン酸基、スルホネート基、アミン基および他の極性官能基から選択される官能基を含んでいてもよい。全てのCHOR基がアルキルまたはアリール鎖で置換されていてもよく、CHOR基の1つが水素置換基で置換されていてもよい。スタニル化3,4−プロピレンジオキシチオフェンの一般式は式I
【化2】

〔式中、R基は同一であるかまたは異なっており、直鎖または分枝脂肪族炭素鎖を含み、任意にオリゴエーテル基、エステル基、アミド基、カルボン酸基、スルホネート基、アミン基、および別の極性官能基から選択される1以上の官能基を含んでいてもよく、R’はアルキル基を含む。〕
で示される。
【化3】

【0014】
本発明の一態様としては、スタニル化アルキレンジオキシチオフェン、例えば、上記スキーム1に示されるような、重合性ユニットに結合可能なモノスタニル化ビスアルコキシメチル置換3,4−プロピレンジオキシチオフェン(3)、を製造することが挙げられる。この合成は、アルコールと水素化ナトリウムとの反応によってナトリウムアルコキシドを形成するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)における化合物2を生じるウィリアムソンエーテル化として示される化合物1のBrのアルコキシ誘導体(可溶化基)の容易な求核置換で開始する。スキーム1のR基は、オクチルまたは2−エチルヘキシルとして示されているが、あらゆる好適な直鎖または分枝アルキル基、例えばC2〜C30アルキル基、が用いられる。エーテル化反応に関する適切な反応条件は当業者に既知である。他の反応を用いて、重合性ユニットを形成するドナー部分としての使用のための適切に置換された3,4−プロピレンジオキシチオフェンを生じてもよい。
【0015】
スキーム1の生じる対称アルコキシ置換化合物2は、好適な有機リチウム試薬、例えばn−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、またはメチルリチウム、を使用してモノリチウム化される。モノスタニル化生成物3の製造のために、別の十分に塩基性の試薬を有機金属中間体であって、金属が例えばアルカリまたはアルカリ土類金属である有機金属中間体の製造に用いてもよい。この反応は、好適な有機溶媒、一般的に極性非プロトン溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、中で行われる。次に、生じる化合物を、好適な錫含有試薬、例えばトリメチル錫塩化物またはトリブチル錫塩化物、を使用して生じるリチウム置換基を有機錫置換基で置換することによってモノスタニル化して空気中で比較的安定な化合物3を高収率で生じる。別のスタニル化アルキレンジオキシチオフェンまたはジオキシチオフェンは、適切な出発化合物を用いることによって、スキーム1に図示される方法と同様の方法で製造される。エーテル化反応は反応の多くの態様に必要ではないが、可溶化を達成するのに適切な基は必要である。カップリング反応に使用されるドナー部分は、必ずしも可溶性を付与する置換基の存在を必要としないが、重合性ユニット中の少なくとも1つの部分はポリマーに可溶性を付与する置換基を有する。
【0016】
次にスタニル化アルキレンジオキシチオフェンを使用して重合性ユニットであるアルキレンジオキシチオフェン末端基を有するオリゴマーを生じる。このプロセスは、スタニル化アルキレンジオキシチオフェンを、少なくとも1つのアクセプター部分を含む別の化合物と混合することを含む。例えば、一態様において、化合物3は、アクセプター部分を含む1種類以上のハロゲン化化合物と反応する。
【0017】
スキーム2は、ドナー部分およびアクセプター部分を有する可溶性対称共役オリゴマー重合性ユニットの構築およびこのオリゴマーの重合を通じて進行して直鎖共役ポリマーを生じる本発明の態様による方法の例を示す。表1は、本発明の態様によるいくつかのポリマーの特性を開示している。
【0018】
スキーム2に示されるように、スティル反応を使用してスタニル化化合物3を化学種4、7または10を含む二臭素化アクセプターと結合させてもよい。別のハロゲン、例えば塩素、ヨウ素、または更にフッ素をアクセプター化合物の臭素の位置で使用してもよい。アクセプターは、一般的に、必ずしもそうではないが、対称的にハロゲン化されて、化合物4、7および10に関して示されるように、アクセプター化合物の対応する対向位置にハロゲンが位置する。スティル反応プロセスは当業者によく知られており、例えば、パラジウム(0)またはパラジウム(II)触媒を使用して行われる。多くの態様において、反応は、反応収量を最大化するために、大気中、湿度のない条件のもとで行われる。可溶性オリゴマー5、8および11は、例えば固定相としてシリカを使用し、溶離に用いられる溶媒の比を変えるカラムクロマトグラフィーを含む、様々な技術によって単離される。そのような溶媒としては、例えば、ヘキサン、ジクロロメタンおよびエチルアセトンの混合物が挙げられる。
【0019】
このオリゴマーは、アルキレンジオキシチオフェン末端基が自己縮合して共役ポリマーを形成する段階的成長形態で重合しうる。例えば、スキーム2に示されるように、標的オリゴマー5、8および11は、クロロホルムまたは別の好適な溶媒中で、塩化鉄を有効な酸化剤として酸化電位の低い3,4−プロピレンジオキシチオフェン鎖末端を通じて自己縮合して、表1に示されるような、完全に共役した、明確に電気活性なポリマー6a、6b、9および12を生じる。ポリマーの精製を、MeOH中の沈殿、クロロホルム中でヒドラジン一水和物を使用する還元、続く48時間のソックスレー精製によって行う(表1参照。)。スキーム2の「R」基をオクチルまたは2−エチルヘキシルと示したが、任意の好適な直鎖または分枝アルキル基、例えばC2〜C30アルキル基、を用いて加工性を高め、緑色の色合いおよび彩度を含む色を微調整し、酸化形態の透過性を高め、ソリッドフィルムのモルホロジーを変更してもよい。
【化4】


【表1】

【0020】
スキーム3、4および5は、スキーム2に示される有効な合成方法を使用する、ニュートラル状態で緑色であり、酸化状態で透過性のポリマーの製造に関する本発明の別の態様を示す。スキーム3は、重合性ユニットに組み込まれるアクセプターコアの性質が異なる一連のトリマーの合成を示す。スキーム3に示すように、二臭素化2,1,3−ベンゾチアジアゾール(4)でなく、または二臭素化2,1,3−ベンゾチアジアゾール(4)(スキーム2)に加えて、別のアクセプターユニット、例えば、チアジアゾロキノキサリン誘導体(A)、キノキサリン誘導体(B)またはチエノチアジアゾール(C)を使用してもよい。本発明の態様において使用される別のアクセプターユニットとしては、チエノピラジン誘導体、ピラジノキノキサリン誘導体、ベンゾビスチアジアゾールおよびチアジアゾロチエノピラジンが挙げられる。
【化5】

【0021】
スキーム4は、アクセプターコアが5量体重合性ユニットの一部である本発明の態様による別のポリマーを示す。これらの5量体重合性ユニットは、スキーム2の縮合を使用して酸化的に重合される。
【化6】

【0022】
スキーム5は、3,4−プロピレンジオキシチオフェン化合物を、上に記述されるようにアクセプター部分を含むハロゲン化化合物(式中、A、BおよびCはスキーム3中に示されている。)と反応させてオリゴマーを生成し、次にこのオリゴマーをハロゲン化して中間体を生じて重合性ユニットを製造することを伴う本発明の態様を示す。第2のアルキレンジオキシチオフェン化合物をこのハロゲン化中間体と反応させてオリゴマー重合性ユニットを生成し、これを結合させて共役ポリマーを生じる。第2のアルキレンジオキシチオフェン化合物は、例えば、スキーム5に示すように、ハロゲン化オリゴマーとの反応のためにスタニル化されたエチレンジオキシチオフェンまたはプロピレンジオキシチオフェンである。スキーム5に示されるアルキレンジオキシチオフェンに加えて、別のジオキシ複素環化合物、例えば3,4−アルキレンジオキシピロール、3,4−アルキレンジオキシフラン、および3,4−アルキレンジオキシセレノフェンを用いてもよい。用いられうるジオキシ複素環化合物の好適な例は、2004年9月14日付のReynolds等の米国特許第6,791,738号に開示されている。
【化7】

【0023】
スキーム1〜5に概要を説明したケミストリーは、チオフェンベースのドナーおよびアクセプターを変えることによる共役主鎖の性質による光学特性の制御方法を説明している。上記ポリマーは直鎖および分枝アルキル基を置換基として有して有機溶媒溶解性および加工性を提供しているが、別の態様において極性またはイオン性側鎖を用いてもよい。例えば、スキーム1〜5に示される化合物のR、Rおよび/またはR基のいずれも、オリゴエーテル、エステル、アミド、カルボン酸、スルホネート、アミン、ホスホン酸および別の極性官能基を含みうる。そのようなR、RおよびR基を含む化合物は、当業者によって容易に理解されるように、提案されているケミストリーまたは改変ケミストリーを使用して製造されうる。イオン性または極性の大きなペンダント基は、水または極性溶媒における可溶性および加工性を提供し、このことは水ベースの電解質中でのエレクトロクロミック切り替えを可能にし、ポリマーがエレクトロクロミズムの酸化物表面およびチタニアベースの太陽電池(グレッツエルセル)に吸着されることを可能にする。
【0024】
本発明の別の態様では、2007年8月2日付のReynolds等の公開国際出願WO 2007/087587(参照することによってその全体を本明細書中に組み込む。)、およびReeves等,Macromolecules 2007,40,5344(参照することによってその全体を本明細書中に組み込む。)に開示されているように、エステル官能化PProDOTをドナーとして使用し、フィルムに加工した後にこのエステルを加水分解するかまたは他の方法でアルコールおよびカルボン酸、またはそれらの誘導体に転化する。このことは本発明の態様による可溶性フィルムの不溶性フィルムへの転化を可能にする。このようにして、本発明の態様によって、不溶性の緑色〜透過性フィルムを、可溶性の緑色〜透過性フィルムから生じうる。
【0025】
上記例示の態様では、ジオキシ複素環ドナー部分は、アクセプター部分を含むハロゲン化化合物と反応する活性化カップリング試薬に含まれる。別の態様では、アクセプター部分が、活性化カップリング試薬の一部であってもよく、ジオキシ複素環ドナー化合物は重合性ユニットに結合するためのハロゲン化物官能性を有していてもよい。例えば、ハロゲン化される代わりに、上記アクセプター化合物は、有機錫置換基(上記有機錫基のいずれかを含む。)、有機ホウ素置換基、有機マグネシウム置換基、有機亜鉛置換基、および有機シラン置換基からなる群から選択されるカップリング基を含んでいてもよい。そのようなカップリング基が位置して、例えば、上記アクセプター化合物の2つのハロゲン官能基を置換してもよい。このアクセプター化合物は、ジオキシ複素環ベースのドナー化合物と上記のように結合し、モノハロゲン基が上記二官能性アクセプター化合物と結合することを可能にする。
【0026】
上記方法で生成される生じるポリマーは、アクセプター基に結合した少なくとも2つの置換ジオキシ複素環ベースのドナー基を備える繰り返しユニットを複数含有する。ジオキシ複素環基の好適な例は、本明細書中に開示されるジオキシチオフェン基、並びに、3,4−アルキレンジオキシピロール、3,4−アルキレンジオキシフラン、3,4−アルキレンジオキシセレノフェン、3,4−アルキレンジオキシテルロフェンまたは別のジオキシピロール、ジオキシフラン、ジオキシセレノフェン、またはジオキシテルロフェン基である。好適なジオキシ複素環基としては、2004年9月14日付のReynolds等の米国特許第6,791,738号に開示されているジオキシ複素環から誘導されるものが挙げられる。一態様では、繰り返しユニットの生成に用いられるジオキシ複素環基としては、3,4−プロピレンジオキシチオフェンが挙げられる。例えば、繰り返しユニットは、一般式II
【化8】

〔式中、Xは好適な電子不足アクセプター基から選択される。〕
の繰り返しユニットである。X基は、置換されていても非置換であってもよいベンゾチアゾール基、チアジアゾロキノキサリン基、キノキサリン基、チエノチアジアゾール基、チエノピラジン基、ピラジノキノキサリン基、ベンゾビスチアジアゾール基またはチアジアゾロチエノピラジン基である。E基は、好適な電子豊富な共役ユニットであり、Z基は、好適な共役ユニットから選択される。EおよびZの両方に関する好適な共役ユニットとしては、置換または非置換チオフェン基、アルキレンジオキシチオフェン基、例えば置換または非置換エチレンジオキシチオフェン基およびプロピレンジオキシチオフェン基、並びに本明細書中に開示されている別のジオキシ複素環基が挙げられる。qおよびrは0、1または2であり、R10〜R13は、同一であっても異なっていてもよく、任意に1以上の複素原子(例えば酸素または窒素原子)もしくは、オリゴエーテル基、エステル基、アミド基、カルボン酸基、スルホネート基、アミン基および別の極性官能基から選択される官能基を含有していてもよい直鎖または分枝脂肪族炭素鎖であるように選択される。一態様では、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ−R’OR’’基であり、R’はメチル、エチルまたはプロピルであり、R’’は直鎖または分枝C〜C30アルキル、例えばオクチルもしくは2−エチルヘキシルである。ある態様では、R10、R11、R12およびR13は同一の置換基であるように選択される。
【0027】
本発明の別の態様では、繰り返しユニットは、一般式III
−Z−Y−E−X−E−Y−Z III
〔式中、X、E、Z、qおよびrは、上で式Iに関して定義したとおりであり、Yは、好適な置換ジオキシ複素環化合物である。〕
の繰り返しユニットである。例えば、Yはジオキシチオフェン、例えば任意に1以上の複素原子を含有していてもよい少なくとも1つの直鎖または分枝脂肪族炭素鎖で置換されたアルキレンジオキシチオフェンである。
【0028】
式IおよびIIのX、EおよびZ基は、これらの化合物の環構造の任意の可能な置換サイトに位置する好適な置換基を含んでいてもよい。好適な置換基の例としては、本明細書中に開示しているR10〜R13置換基が挙げられる。当業者は、好適な置換基およびこれらの基の置換位置を容易に決定することができる。
【0029】
本願の共役ポリマーの数平均分子量は、用いられる特定の繰り返しユニットおよびポリマーを生じるのに使用される処理パラメータに依存して幅広く変えられる。ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される例示的な数平均分子量は約3000g/mol〜約100,000g/molであるが、数平均分子量がこの範囲外のポリマーもまた形成されうる。
【0030】
材料および方法
図1は、合成されたポリマー(6a、6b、9、12)の光学特性およびそれらの電気化学的酸化における電気活性を特徴付ける。ニュートラル状態で緑色のポリマーに想定されるように、特徴付けられている全ての材料は、青色部分(約500nm以下)における中程度に高い第1の吸収ピークおよび橙色〜赤色部分(約580nm以上)における概して第1のピークよりも高い(強い吸収を示す)第2の吸収ピークを含む2つの吸収帯域を電磁スペクトルの可視領域に示し、緑色領域(約480〜580nm)にオーバーラップがほとんどないかまたは全くないので、第1のピークと第2のピークとの間の緑色の領域に極小吸収ポイントが生じる。特徴付けられている全ての材料に関して、酸化するとこれらの2つの吸収帯域が同時に消え、電荷担体が形成される(ポーラロンおよびバイポーラロン)ので近赤外に新しい吸収帯域が生じる。ある態様では、観測される2つのp−p遷移の強いブリーチング並びに近赤外吸収帯域の可視領域への残存テイル(residual tail)の準不在が認められ、ポリマーは酸化状態の高い透過性を有する。最も強い吸収帯域の吸収の出現を計算の対照とすると、これらの材料の光エネルギーギャップは1.43〜1.54eVの領域で見出され、従って、「バンドギャップの狭い」ポリマーと見なされる。
【0031】
図2は、一定の照度のもとで、ITO上にスプレーキャストされ、連続的な電気化学的酸化を受けたポリマーの薄いフィルムから測定される相対輝度を示す。酸化時の平均30%の光学変化がこのポリマー群を特徴付ける。ポリマー12の相対輝度は中程度の値73%に到達し、ポリマー6bは、酸化時に著しい透過性を示し、完全に酸化された状態で相対輝度値が84%に到達する。図3の写真は、この違いを示しており、全ての材料を、薄いフィルム(上)および/または厚いフィルム(下)で、ニュートラル状態(左)と完全に酸化した状態(右)とで撮影している。ポリマー6aおよび6bはニュートラル状態で幾分「アクアマリン」(青緑色またはペルシアングリーン)色を反射し、ポリマー9は「パイングリーン(pine green)」と見なされる。見たところ残存暗黄色反射のために、よりレッドシフトしたポリマー12は確実により「オリーブのような」緑色(フォレストグリーン)を提供しているように見える。表2は、全ての合成材料の色座標並びにその材料が光学変化を行う時点の電位をまとめている。本願の共役ポリマーを使用して達成されるニュートラル状態で緑色の例は、CIELabカラーシステムによって定義される「L」値が約71〜約80であり、「a」値が約−15〜約−23であり、「b」値が約−11〜約14である色の領域を含むが、この範囲以外の緑色も達成されうる。
【表2】

【0032】
本開示の共役ポリマーは、様々な電子デバイスにおいて用いられうる。そのようなデバイスの好適な例としては、エレクトロクロミックウィンドウ、ミラーおよびディスプレイ;ソーラーターフ(SolarTurf)、すなわち太陽エネルギーを取り入れ、電気を生じる人工ターフ;一般的な光起電装置(Common Photovoltaic Devices);電子ペーパー(Electronic paper);帯電防止導体および透明導体(Anti−Stat Conductors and Transparent Conductors);および電界効果トランジスタ(Field Effect Transistors)、スーパーコンデンサ(supercapacitors)、バッテリー、および他の電子部品が挙げられる。
【0033】
本発明の別の態様は、本明細書の斟酌および本明細書に開示している発明の実施をすると、当業者に明白である。本明細書および実施例が単に例示であると考慮されることを意図しており、本発明の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示される。
【0034】
本明細書の明示する技術に相反しない範囲で、上記および下記の本明細書中に参照されるかまたは引用される全ての特許、特許出願、仮出願および公開を参照することによって全ての図面および表を含むその全体を組み込む。
【0035】
本明細書中に記述される実施例および態様は説明のためのものであり、それらを踏まえる様々な変形または変更が、当業者によって提案され、この出願の精神および範囲内に含まれることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繰り返しユニットを含有する共役ポリマーであって、該繰り返しユニットがアクセプター基に結合した複数の置換ジオキシ複素環ベースのドナー基を含有し、該共役ポリマーがニュートラル状態時に可視スペクトルの第1帯域および可視スペクトルの第2帯域の電磁線を吸収し、酸化すると該共役ポリマーが透過状態になり、第1および第2帯域の電磁線の吸光度がニュートラル状態よりも小さくなる、共役ポリマー。
【請求項2】
該ポリマーが少なくとも1種類の溶媒に可溶性を示す、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
該溶媒が、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ピリジン、酢酸エチル、ブタノール、エタノール、メタノール、アセトニトリル、アセトン、イソプロパノール、水またはそれらの混合物を含有する、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
該第1吸収帯域が約500nm以下の波長に可視吸収極大を有し、該第2吸収帯域が約550nm以上の波長に可視吸収極大を有し、480〜580nmに吸収の局所極小がある、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
該ポリマーがニュートラル状態で緑色の色合いを有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
該共役ポリマーがニュートラル状態で第1および第2帯域の電磁線を、透過状態の強度の約200%以上の強度で吸収する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
該ジオキシ複素環がジオキシチオフェンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
該ジオキシ複素環がアルキレンジオキシチオフェンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
該ジオキシ複素環が3,4−プロピレンジオキシチオフェンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
該アクセプター基が電子不足芳香族ユニットである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
該電子不足芳香族ユニットが、置換または非置換ベンゾチアジアゾール基、チアジアゾロキノキサリン基、キノキサリン基、チエノチアジアゾール基、チエノピラジン基、ピラジノキノキサリン基、ベンゾビスチアジアゾール基またはチアジアゾロチエノピラジン基を含有する、請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
該電子不足芳香族ユニットが2,1,3−ベンゾチアジアゾール基(BTD)である、請求項10に記載のポリマー。
【請求項13】
該繰り返しユニットが式III
−Z−Y−E−X−E−Y−Z III
〔式中、Xは電子不足芳香族ユニットであり、Eは電子豊富な共役ユニットであり、Yは置換ジオキシ複素環であり、Zは共役ユニットであり、qおよびrは0、1、2または3である。〕
の構造を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
Yが置換ジオキシチオフェンである、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
該置換ジオキシチオフェンが任意に1以上の複素原子を含んでいてもよい少なくとも1つの直鎖または分枝脂肪族炭素鎖で置換されているアルキレンジオキシチオフェンである、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
該繰り返しユニットが式II
【化1】

〔式中、Xは電子不足芳香族ユニットであり、Eは電子豊富な共役ユニットであり、Zは共役ユニットであり、qおよびrは0、1、2または3であり、R10、R11、R12およびR13は同一であるかまたは異なっており、R10、R11、R12およびR13の少なくとも1つは任意に1以上の複素原子を含んでいてもよい直鎖または分枝脂肪族炭素鎖を含む。〕
の構造を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項17】
Xが置換または非置換ベンゾチアジアゾール基、チアジアゾロキノキサリン基、キノキサリン基、チエノチアジアゾール基、チエノピラジン基、ピラジノキノキサリン基、ベンゾビスチアジアゾール基およびチアジアゾロチエノピラジン基を含む、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
Eが置換または非置換チオフェンを含み、Zが置換または非置換ジオキシチオフェン基を含む、請求項16に記載のポリマー。
【請求項19】
10、R11、R12およびR13が、オリゴエーテル、エステル、アミド、カルボン酸、スルホネート、およびアミンから選択される官能基を含む、請求項16に記載のポリマー。
【請求項20】
10、R11、R12およびR13が−R’OR’’基〔式中、R’はメチレン、エチレンまたはプロピレン基であり、R’’は直鎖または分枝C2〜C30アルキルである。〕である、請求項16に記載のポリマー。
【請求項21】
置換ジオキシ複素環部分を含有する2つのドナー化合物とアクセプター部分を含有する共役アクセプター化合物とを反応させて重合性ユニットを生じる工程;および
複数の重合性ユニットをその末端で共有結合させて共役ポリマーを生じる工程
を包含する共役ポリマーの製造方法であって、該共役ポリマーが、ニュートラル状態時に可視スペクトルの第1帯域および可視スペクトルの第2帯域の電磁線を吸収し、酸化すると該ポリマーが透過性になり、第1および第2帯域の電磁線の吸光度がニュートラル状態よりも低くなり、該ポリマーが少なくとも1種類の溶媒に可溶である、共役ポリマーの製造方法。
【請求項22】
該反応させる工程が金属触媒の存在下で起こる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該重合性ユニットの末端がジオキシチオフェン部分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
該ジオキシ複素環部分が有機錫置換基、有機ホウ素置換基、有機マグネシウム置換基、有機亜鉛置換基、または有機シラン置換基を含有するカップリング部分を含み、該共役アクセプター化合物が共役アクセプター化合物上に対称的に配置された2つのハロゲン官能基を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
原文中に記載なし
【請求項26】
該共役アクセプター化合物が、共役アクセプター化合物上に対称的に配置された2つの有機錫置換基、有機ホウ素置換基、有機マグネシウム置換基、有機亜鉛置換基、または有機シラン置換基を含有するカップリング部分、およびハロゲンを含有するカップリング部分を有するジオキシチオフェン部分を含有するジオキシ複素環部分を有する、請求項21に記載に記載の方法。
【請求項27】
該共役アクセプター化合物が、二ハロゲン化ベンゾチアジアゾール、二ハロゲン化チアジアゾロキノキサリン、二ハロゲン化キノキサリン、二ハロゲン化チエノチアジアゾール、二ハロゲン化チエノピラジン、二ハロゲン化ピラジノキノキサリン、二ハロゲン化ベンゾビスチアジアゾールおよび二ハロゲン化チアジアゾロチエノピラジンから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
該アクセプター化合物が二臭素化2,1,3−ベンゾチアジアゾールである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
該ドナー化合物が式I

〔式中、R基は、同一であるかまたは異なっており、直鎖または分枝脂肪族炭素鎖を含有し、任意にオリゴエーテル基、エステル基、アミド基、カルボン酸基、スルホネート基、アミン基および別の極性官能基から選択される1以上の官能基を含有していてもよく、R’はアルキル基を含有する。〕
の化合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
Rが−R’’OR’’’基〔式中、R’’はメチレン、エチレンまたはプロピレンであり、R’’’は直鎖または分枝C2〜C30アルキルである。〕である、請求項29に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2011−503260(P2011−503260A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532208(P2010−532208)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081599
【国際公開番号】WO2009/058877
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】