説明

緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水と、その植物加工用水を製造する装置

【課題】緑色植物の緑色発色を維持するより安全な植物加工用水を製造するためには、より正確に銅の溶出量の濃度が把握された植物加工用水を製造する必要がある
【解決手段】(1)より正確に銅の溶出量の濃度を把握するために、電極間に流れる逐次電流値を積算し、銅の推定溶出量を計算し目標溶出量となったとき、通電を停止する制御をする事
(2)より正確に銅の溶出量の濃度を得るには、銅の沈殿を防ぐ必要があり、水槽内に空気を送り込み植物加工用水を攪拌する事

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば生茶葉のような、本来の鮮やかな緑色発色を維持することのできる植物加工用水に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は生茶葉の緑色発色を維持することのできる茶加工品、並びにその製造方法の発明につき「PCT/JP2009/58583」として国際特許出願に及んでいるが、それらに用いられる銅イオン水はそこに供される水質、キレート剤の導電率等の条件によって多少とも変動することが判明した。
これらの発明には本来、より正確に濃度把握された銅イオン水を用いるのが望ましいところである。
本出願人は、この銅イオン水、すなわち、本発明における植物加工用水がファラデーの法則により、諸条件により変動する電流値を逐次積算し、より正確に濃度計算把握できることに気付き本発明をなした。
ちなみに、生茶葉の緑色発色を維持することのできる茶加工品、並びにその製造方法とは以下のものである。
【0003】
その第1の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、銅イオン水と、酵素が不活化された茶葉とが混合され、更に加熱されて銅クロロフィル化処理が施された茶加工品であって、このものは、水分中に茶葉成分が溶出または分散した状態の液茶であり、且つ、含有されている銅の量が把握されたものであることを特徴として成るものである。
【0004】
またその第2の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、銅イオン水と、酵素が不活化された茶葉とが混合され、更に加熱されて銅クロロフィル化処理が施された茶加工品であって、このものは、水分中に茶葉成分が溶出または分散した状態のものを、そのままあるいは濾過した後に乾燥させた加工茶葉であり、且つ、含有されている銅の量が把握されたものであることを特徴として成るものである。
【0005】
更にまたその第3の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、前記要件に加え、前記銅イオン水は、水に対して可食性キレート剤を添加した後、銅電極を用いて電気分解を行うことにより得られたものであることを特徴として成るものである。
【0006】
更にまたその第4の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、前記第3の発明の要件に加え、可食性キレート剤は、EDTA、フィチン酸、リンゴ酸、グルコン酸、コウジ酸、クエン酸、システイン、グルタチオン、ハロゲン化塩、グルコン酸ナトリウム、グリシンの中から選択される一または複数のものであることを特徴として成るものである。
【0007】
更にまたその第5の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、前記要件に加え、前記茶葉は25〜600μmの細粒状のもの、または8mm角以下の小片状のもののいずれか一方または双方であることを特徴として成るものである。
【0008】
更にまたその第6の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、第1,3,4または5の発明の要件に加え、液茶に含まれる粉砕茶葉の含有量が1重量%となるまで水で希釈したものを試料とし、この試料を、85〜135℃の温度で、20〜120分加熱した後、更に濾過した状態で測定された、緑色度の指標であるハンターの色差式によるLab表色系における色調の指数aが−7.00以下であることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまたその第7の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、第1,3,4または5の発明の要件に加え、液茶に含まれる粉砕茶葉の含有量が1重量%となるまで食酢で希釈したものを試料とし、この試料を、pH2.5〜6.5迄の酸性下にあって10日以上経過した後、更に濾過した状態で測定された、緑色度の指標であるハンターの色差式によるLab表色系における色調の指数aが−7.00以下であることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまたその第8の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、第1,3,4または5の発明の要件に加え、液茶に含まれる粉砕茶葉の含有量が1重量%となるまで水で希釈したものを試料とし、この試料を、太陽光を一週間に亘って照射した後、更に濾過した状態で測定された、緑色度の指標であるハンターの色差式によるLab表色系における色調の指数aが−7.00以下であることを特徴として成るものである。
【0011】
更にまたその第9の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、前記要件に加え、前記茶葉は、芽以外のものであって従来は製品とすることができずに刈り落とされていたものであることを特徴として成るものである。
【0012】
更にまたその第10の発明である緑色発色を維持した茶加工品は、前記要件に加え、前記銅イオン水には、可食性塩基物が添加されていることを特徴として成るものである。
【0013】
またその第11の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、対向して配された少なくとも一対の銅電極に通電することにより、これら電極間に位置する水に銅イオンを溶出させて銅イオン量が所望量に調製された銅イオン水を得る銅イオン水調製工程と、生茶葉を加熱することにより、酵素を不活化させる不活化工程と、前記不活化後の茶葉を粉砕して粉砕茶葉を得る粉砕工程と、前記粉砕茶葉と銅イオン水とを混合して原料液を得る原料液調製工程と、前記原料液を加熱することにより、クロロフィルに銅イオンを作用させる銅クロロフィル化処理工程とを具えたことを特徴として成るものである。
【0014】
更にまたその第12の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11の発明の要件に加え、前記銅イオン水調製工程は、別途工程でなされているものであることを特徴として成るものである。
【0015】
更にまたその第13の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11または12の発明の要件に加え、前記銅イオン水調整工程は、水に対して可食性キレート剤を添加した後に通電するものであることを特徴として成るものである。
【0016】
更にまたその第14の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第13の発明の要件に加え、前記水に対する可食性キレート剤の添加量は、0.01重量%以上とするものであることを特徴として成るものである。
【0017】
更にまたその第15の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第13または14の発明の要件に加え、前記可食性キレート剤は、EDTA、フィチン酸、リンゴ酸、グルコン酸、コウジ酸、クエン酸、システイン、グルタチオン、ハロゲン化塩、グルコン酸ナトリウム、グリシンの中から選択される一または複数のものであることを特徴として成るものである。
【0018】
更にまたその第16の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14または15の発明の要件に加え、前記原料液調製工程と銅クロロフィル化処理工程との間あるいは銅クロロフィル化処理工程の後段には、可食性塩基物を添加する塩基物添加工程を具えることを特徴として成るものである。
【0019】
更にまたその第17の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15または16の発明の要件に加え、前記粉砕工程は、茶葉を25〜600μmの細粒状にする工程および茶葉を8mm角以下の小片に裁断する工程のいずれか一方または双方を有するものであることを特徴として成るものである。
【0020】
更にまたその第18の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15,16または17の発明の要件に加え、前記銅イオン水調製工程は、銅イオン水に含まれる銅イオン量が、原料液調製工程において用いられる全粉砕茶葉に含まれるクロロフィル1重量部に対して、0.1重量部以上となるように調製するものであることを特徴として成るものである。
【0021】
更にまたその第19の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15,16,17または18の発明の要件に加え、前記原料液調製工程は、銅イオン水100重量部に対し、粉砕茶葉を0.05〜60重量部混合するものであることを特徴として成るものである。
【0022】
更にまたその第20の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15,16,17,18または19の発明の要件に加え、前記銅クロロフィル化処理工程は、85〜135℃の温度で、20〜120分加熱を行うものであることを特徴として成るものである。
【0023】
更にまたその第21の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15,16,17,18,19または20の発明の要件に加え、前記銅クロロフィル化処理工程における加熱は、密閉空間内において行われることを特徴として成るものである。
【0024】
更にまたその第22の発明である緑色発色を維持した茶加工品の製造方法は、第11,12,13,14,15,16,17,18,19,20または21の発明の要件に加え、前記生茶葉は、芽以外のものであって従来は製品とすることができずに刈り落とされていた茶葉であることを特徴として成るものである。
【0025】
まず第1の発明によれば、銅クロロフィル化処理が施された液茶を市場に供給するにあたり、液茶に含まれる銅の量が把握されているため、消費者は一日の所要量あるいは摂取制限量以上に摂取してしまうのを回避することができる。
【0026】
また第2の発明に、銅クロロフィル化処理が施された加工茶葉を市場に供給するにあたり、加工茶葉に含まれる銅の量が把握されているため、消費者は一日の所要量あるいは摂取制限量以上に摂取してしまうのを回避することができる。
【0027】
更にまた第3の発明によれば、可食性キレート剤の作用により銅電極からの銅イオンの溶出速度を速めることができるとともに、銅の析出を防止することができる。更に銅イオン水中には銅錯イオンが生成されるため、この銅錯イオンをクロロフィルに作用させることが可能となる。
【0028】
更にまた第4の発明によれば、茶加工品の適用対象に好適なキレート剤を選択し得ると共に、各々の可食性キレート剤に特有の作用を茶加工品に対して付与することができる。
【0029】
更にまた第5の発明によれば、茶加工品を、液茶として、あるいは加工茶葉として、更には液茶中に加工茶葉が分散したものとして製造することができる。
【0030】
更にまた第6の発明によれば、緑色発色の維持に優れた製品寿命の長い液茶を提供することが可能となり、商品価値を高めることができる。
【0031】
更にまた第7の発明によれば、緑色発色の維持に優れた製品寿命の長い液茶を提供することが可能となり、商品価値を高めることができる。
【0032】
更にまた第8の発明によれば、緑色発色の維持に優れた製品寿命の長い液茶を提供することが可能となり、商品価値を高めることができる。
【0033】
更にまた第9の発明によれば、従来は商品価値が低いかあるいは商品価値の無かった茶葉を、緑色発色が鮮やかな茶加工品として有効活用することができる。
【0034】
更にまた第10の発明によれば、可食性塩基物による中和作用によって酸味、酸臭を除去することができる。
【0035】
更にまた第11の発明によれば、銅イオン水を、所望量の銅が含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0036】
更にまた第12の発明によれば、銅イオン水を貯蔵しておき、このものを用いることにより効率的な生産を行うことができる。
【0037】
更にまた第13の発明によれば、可食性キレート剤の作用により銅イオンの溶出速度を高めることができるとともに、銅の析出を防止することができる。
【0038】
更にまた第14の発明によれば、可食性キレート剤の作用を最適なものとすることができる。
【0039】
更にまた第15の発明によれば、各々の可食性キレート剤に特有の作用を茶加工品に対して付与することができる。
【0040】
更にまた第16の発明によれば、可食性塩基物による中和によって可食性キレート剤による味、匂いへの影響を除去することができる。
【0041】
更にまた第17の発明によれば、茶加工品を、液茶として、あるいは加工茶葉として、更には液茶中に加工茶葉が分散したものとして製造することができる。
【0042】
更にまた第18の発明によれば、銅イオン水に含まれる銅の量が、実際に投入される茶葉に含まれるクロロフィルを銅クロロフィル化処理するために必要な量とすることができ、クロロフィルの未処理が生じない。
【0043】
更にまた第19の発明によれば、茶加工品を、そのまま飲用することのできる液茶として、あるいは水で希釈して飲用したり、そのまま他の食品に添加する濃縮茶として適宜製品化することができる。
【0044】
更にまた第20の発明によれば、銅をクロロフィルに効果的に作用させて、銅クロロフィル化処理を確実に実行することができるとともに、効果的な殺菌を行うことができる。
【0045】
更にまた第21の発明によれば、銅クロロフィル化処理工程において、原料液中の水分が蒸発してしまうのを防ぐことができるため、銅クロロフィル化処理後の加工茶葉(銅イオン水+粉砕茶葉)の銅イオン濃度を把握することができる。
【0046】
更にまた第22の発明によれば、従来は商品価値が低いかあるいは商品価値の無かった茶葉を、緑色発色が鮮やかな茶加工品として有効活用することができるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、より正確に濃度把握された植物加工用水及びその植物加工用水を製造する装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0048】
すなわち、請求項1記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水は、可食性キレート剤を溶解した水に対して電位差溶出法により銅を溶出させて成ることを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0049】
請求項2記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水は、可食性キレート剤が、クエン酸、グルコン酸、グリシンの内、少なくとも何れか一つであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水に使用する、これらのキレート剤がすべて可食性であるため茶加工品等の食品に安全に使用することができる。
【0050】
請求項3記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水は、可食性キレート剤がグリシンで、緑色植物が茶葉であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、可食性キレート剤のグリシンを使用することにより、味、匂いとも最良の茶加工品を製造することができる。
【0051】
請求項4に記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水は、電位差溶出法により銅を溶出させている最中の逐次電流値を通電時間分だけ積分することにより当該時点の積算電流値を把握し、該積算通電量から計算する当該時点における銅の推定溶出量が目標溶出量に達したと判断する時点で通電停止して得たことを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0052】
請求項5に記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置は、水槽内に浸漬される少なくとも1対以上の電極と、該電極間に電流を流す定電流回路と、電極間の電流値を逐次検出する電流検出回路と共に該逐次電流値を積算し、積算通電量から銅の溶出量を計算する制御演算回路を少なくとも有することを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0053】
請求項6に記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置は、水槽内に浸漬される少なくとも1対以上の電極と、該電極間に電流を流す定電流回路と、電極間に流れる電流を正負反転させる電流反転回路と、電極間の電流値を逐次検出する電流検出回路と共に該逐次電流値を積算し、積算通電量から銅の溶出量を計算する制御演算回路を少なくとも有することを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0054】
更に、請求項7に記載の、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置は、目標積算通電量の設定回路を有し、電極間通電中は、逐次電流値を積分し、積算通電量を基に算出した銅の推定溶出量が目標溶出量となった時には通電停止するよう制御されることを特徴として成るものである。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【0055】
更に、請求項8に記載の、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置は、電極間付近に送気口を配しポンプにより、空気を送り水槽内の植物加工用水を攪拌、銅イオンがキレート剤と反応せず沈殿を防ぐようにしたことを特徴として成るものである。なお、水槽の材質は導電性のないものが望ましい。
この発明によれば、植物加工用水を、所望量の銅イオンが含まれたものとして電気的に迅速に得ることができるため、茶葉本来の緑色発色を維持した茶加工品の大量生産が可能となる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、銅の溶出量をより正確に把握することにより、例えば茶加工品に使用するための、より安全な管理された植物用加工水を製造することが可能になる。
【0057】
従って、例えば生茶葉本来の鮮やかな、緑色植物の緑色発色を維持することのできる茶加工品の大量生産が可能となり、更に安全性の確保された製品として市場に提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
本装置発明は、可食性キレート剤を溶解した水に対して電位差溶出法により銅を溶出させて成る、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造するため、より銅の濃度管理を正確にし、更に安全性の確保された製品を市場に提供するための装置である。
なお、電位差溶出法とは溶液中の電極間に電位差を作ることにより、電流を流し電極である銅を溶出させることをいう。
緑色植物の緑色発色を維持する植物用加工水を製造するために可食性キレート剤を使用することを特徴とするが、キレート剤は金属イオンと結合し錯体を作る性質をもっている。金属錯体は溶液中で安定な状態になり、析出沈殿しない性質をもつため、銅イオンが安定的に溶けた植物用加工水を製造することが出来る。
また、この植物用加工水は食品に使用されるため、キレート剤が可食性である必要がある
【0059】
以後、図面を参照しながら詳細な説明を行う。
図1は本体の電気的な制御回路の構成を示したものであり、交流電源から直流安定化電源回路1で安定化した直流電圧を定電流回路2、極性切替回路4を経由し少なくとも一対の銅電極6に供給する。
【0060】
図1に於いて、電流検出回路5により銅電極6に流れる逐次電流値を検出し制御演算回路3により、逐次電流値を通電時間分だけ積分し、その積算した積算通電量を基に当該時点における銅の溶出推定値を計算し、該推定値が目標溶出量に達したと判断された時点で通電を停止する制御を行う。
【0061】
ここで、銅の溶出推定値の計算方法としては
ファラデーの法則によりモル質量m、原子価n、電気量Q、析出量M
ファラデー定数Fとすると
銅析出量M(g)=(1/F)×(m/n)×Qで計算される。
Qの電気量は逐次電流値を通電時間分だけ積算することにより積算通電量として算出される。
【0062】
図2は装置全体の構成概要を示したもので水槽の中に銅電極6を配し、ポンプ10により送気パイプ7を通し、送気口11から水槽内に空気を送り水槽中の植物加工用水を攪拌、溶出した銅イオンとキレート剤の接触を高め、溶出した銅の析出沈殿を防ぎ、混じり、沈殿物のない、そしてより正確に濃度把握された植物加工用水を製造する。
なお、制御装置8は図1の構成の制御回路をもち、表示部9は逐次電流値、積算通電量、設定した銅の目標溶出量等を表示する。
【0063】
図3は極性切替回路をもち極性切替を行ったときの電流の推移図であり、極性切替をする理由としては電極が銅のみの場合、電流の流れる方向が一方向であると、銅電極の片方のみ銅が溶出してしまう。これを防ぎ各銅電極から均等に銅を溶出するため電流の極性切替を行なう。また、このとき積算した積算電流値は正電流、負電流とも電流の絶対値を合計したものである。図4は極性切替をしないときの電流の推移図である。図3、図4は電流が一定の傾きで、あるいは一定値で推移した例として図解したが、実際には水質等条件が変化することにより一定値で推移せず、カーブ等を描く場合も考えられるため逐次電流値を積分することにより、より正確な濃度把握ができる。
なお、制御演算回路と言ったが、CPUを中核とする制御システムソフトウェアを用いた場合には、図5のフローチャートによりプログラム計算し、上記の制御をおこなう手段を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 制御回路の構成を示す図
【図2】 本発明における装置の概観を示す図
【図3】 極性切替回路がある場合の電流推移図
【図4】 極性切替回路がない場合の電流推移図
【図5】 制御演算回路の制御フローチャート
【符号の説明】
1 直流安定化電源回路
2 定電流回路
3 制御演算回路
4 極性切替回路
5 電流検出回路
6 銅電極
7 送気パイプ
8 制御装置
9 表示部
10 ポンプ
11 送気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食性キレート剤を溶解した水に対して電位差溶出法により銅を溶出させて成ることを特徴とする緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水。
【請求項2】
可食性キレート剤が、クエン酸、グルコン酸、グリシンの内、少なくとも何れか一つであることを特徴とする、請求項1記載の緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水。
【請求項3】
可食性キレート剤がグリシンで、緑色植物が茶葉であることを特徴とする、請求項1記載の緑色植物の緑色発色を維持することを特徴とする植物加工用水。
【請求項4】
銅の目標溶出量に反応充分な可食性キレート剤を溶解し、電位差溶出法により銅を溶出させている最中の逐次電流値を通電時間分だけ積分することにより当該時点の積算通電量を把握し、該積算通電量から計算する当該時点における銅の推定溶出量が目標溶出量に達したと判断する時点で通電停止して得たことを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載の緑色植物の緑色発色を維持することを特徴とする植物加工用水。
【請求項5】
水槽内に浸漬される少なくとも1対以上の電極と、該電極間に電流を流す定電流回路と、電極間の電流値を逐次検出する、電流検出回路と共に該逐次電流値を積算し銅の溶出量を計算する制御演算回路を少なくとも有することを特徴とする、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置。
【請求項6】
水槽内に浸漬される少なくとも1対以上の電極と、該電極間に電流を流す定電流回路と、電極間に流れる電流を正負反転させる電流反転回路と、電極間の電流値を逐次検出する、電流検出回路と共に該逐次電流値を積算し銅の溶出量を計算する制御演算回路を少なくとも有することを特徴とする、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置。
【請求項7】
更に、目標積算通電量の設定回路を有し、電極間通電中は、逐次電流値を積分し、積算通電量を基に算出した銅の推定溶出量が目標溶出量となった時には通電停止するよう制御されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置。
【請求項8】
更に、電極間付近に送気口を配したポンプにより、空気を送り水槽内の植物加工用水を攪拌して、銅イオンがキレート剤と反応せず沈殿を防ぐようにしたことを特徴とする、請求項5乃至請求項7に記載の、緑色植物の緑色発色を維持する植物加工用水を製造する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−92174(P2011−92174A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265620(P2009−265620)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(509321697)株式会社サーマクリエーション (1)
【Fターム(参考)】