説明

緑色葉物野菜の品質を向上するための方法

本発明は、特に、有効量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、緑色葉物野菜の群葉に、その成長期間の間に施用することを含む、保存寿命が長い若しくは官能特性が強化された、又はその両方の緑色葉物野菜の生産方法に関する。特に、本発明は、保存寿命が長いか又は官能特性が強化されたレタスの生産方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質が向上し、そして保存寿命が長い緑色葉物野菜、特にレタスを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レタスのような新鮮な生産物の品質及び外観は、消費者並びに小売店及び園芸業界の両方に重要である。時間が経過して、生産物の外観又は質感が劣化すると、店内での保存寿命が短くなり、そして消費者が、当該生産物を購入することを思いとどまる場合がある。これにより、売上収益が減り、そして小売店レベルにおける廃棄物が増加する。
【0003】
レタスは、畑及び温室の両方で栽培されている。畑で栽培される作物は、通常、温室栽培した移植された植木から栽培されるが、種を直接蒔く場合がある。畑で栽培された葉の多いレタスは、移植から成長まで約7週間かかり、そしてタマチシャ(head lettuce)種は約11週間かかる。温室では、タマチシャは、泥炭のブロックの中に種を蒔かれ、次いで、最終的に栽培される媒体に移植される;これには、夏の場合には2〜3週間、そして冬の場合には4〜6週間かかる。全ての過程は、夏の場合には6〜7週間、そして冬の場合には10〜12週間かかる。上記作物は、機械的に又は手で摘み取って収穫されている。上記収穫されたレタス作物は、倉庫へ運ばれ、そこでは、当該レタス作物を急速冷却する。
【0004】
通常のレタスの場合、保存寿命は、品種及び保存条件次第で変わるが、典型的に、保存寿命は、冷蔵保存された条件下で2〜4週間、又は室温で5〜7日と予測することができ、それは、どのように大部分の生産物がスーパーマーケット内で保存されるかによる。品種は、大きく変わる:リトル・ジェム(Little Gem)は、長寿命品種であるが、ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)は、たった約5日の保存寿命しかない。
【0005】
レタス産業が直面する主な課題は、「ピンク化(pinking)」(老化し、傷つき、又はカットされた表面のピンク−赤の変色)として知られる変色であり、それにより、全体の、そして特に加工されたレタスの保存寿命が短くなる。ピンク化は、通常レタス中に存在するクロロゲン酸等のフェノール類に作用する、一連の酵素及び非酵素系酸化過程に起因する。
【0006】
上記変色の過程は、レタスが古くなる(老化する)につれ、そしてレタスがカットされるか又は傷むと促進され、保存寿命がさらに短くなる。レタスの傷は、収穫、出荷の際、及び新鮮なカットレタス処理の際に生ずる場合がある。保存寿命の短縮及び変色は、袋入りのサラダの小売店にとって特に直接関係性がある;消費者がこの生産物を受け入れることが少なくなっていることが認識されている。これら袋入りのサラダの保存寿命は、約5日である。
【0007】
保存寿命が向上して、より多くの消費者が上記生産物を受け入れることにより、袋入りレタスの売り上げを増すことができると当産業及び小売店では考えられている。上記生産物を購入しようとしない消費者がいる一方、上記生産物を購入したことがある他の人は、再度購入しないであろうと小売店は認識している。
【0008】
この課題を克服しようとする試みのために、現在、袋入りサラダを、高窒素濃度の高い雰囲気を使用する青果物鮮度保持包装(MAP)においてパックし、酸化及びそれに伴う変色を減少させている。「MAP」と組み合わせて、加湿した冷蔵庫を使用すること、並びに植物ホルモン、すなわち、ジベレリン、ベンジルアデニン、メチルシクロプロペン、及びインドール−3−酢酸を使用することを含む、全体のレタスの保存寿命の向上するための他の方法が用いられている。研究は、上記ピンク化に関与する酵素を同定することに基づく遺伝子工学の発展を目的としている。
【0009】
他の緑色葉物野菜の保存寿命は、他の状態により限定されることがある。例えば、ブロッコリー及びキャベツは、それらの緑の色が失われ(クロロフィル分解による)、そして黄色若しくはグレーに変色するか、又は不快な苦味が生じ、あるいはブロッコリーの場合には、キャベツ様の臭気が発生することがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を用いて、緑色葉物野菜、特にレタスの品質を改良することができ、そして緑色葉物野菜作物の収穫前処理によりそれらの保存寿命が延びることを見出したことに基づく。
【0011】
従って、本発明によると、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有する緑色葉物野菜を生産するための方法を提供し、当該方法は、有効量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、緑色葉物野菜の群葉にその成長期間の間、施用することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
緑色葉物野菜は、下記を含む食用の緑色葉を生産する任意の野菜を意味するが、それらに限定されるものではない:芽キャベツ、ブロッコリー、キャベツ、セロリ、チャード(例えば、スイスチャード)、チコリー、コラード、料理用ハーブ、タンポポ、エンダイブ、キクヂシャ、ガーデンクレス、ケール、レタス、カラシ菜、つるな、チンゲン菜、パセリ、赤チコリー、ホウレン草、及びオランダガラシ。しかし、本発明は、レタス、すなわち、任意のラクチュカ(Lactuca)科の構成員、そして特に栽培種ラクチュカ・サチバ(Lactuca sativa)に施用される場合に特に重要である。この種には、下記品種:クリスプヘッド(Crisphead)(アイスバーグ(Iceburg)型)、バタビアン(Batavian)若しくはフレンチ・クリスプ(French crisp)又はサマー・クリスプ(Summer crisp)型、バターヘッド(Butterhead)型、ビッブ(Bibb)型、例えば、リトル・ジェム(Little Gem)、リーフ(Leaf)型、例えば、ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)、オーク・リーフ(Oak Leaf)型、コス(Cos)(ロメイン(Romaine))型、ステム・レタス(Stem lettuce)、及びメスクラン・ミックス・グリーン(Mesclun mix greens)が含まれる。特に好ましいレタスの品種には、クリスプヘッド(Crisphead)(アイスバーグ(Iceburg)型)、ビッブ(Bibb)型、例えば、リトル・ジェム(Little Gem)、リーフ(Leaf)型、例えば、ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)が含まれる。
【0013】
ストロビルリン殺菌剤及びストロビルリン系殺菌剤は、ユビキノール酸化部位において、チトクロームbとチトクロームc1との間の電子伝達をブロックし、ミトコンドリア呼吸を抑制することにより作用する周知の殺菌剤の種類であることが知られている。それらは、メトキシアクリレートストロビルリン、例えば、アゾキシストロビン及びピコキシストロビン、オキシミノアセテートストロビルリン、例えば、クレソキシムメチル及びトリフロキシストロビン、オキシミノアセトアミドストロビルリン、例えば、ジモキシストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン(BAS 520)、及び下記式のストロビルリン:
【化1】

ジヒドロジオキサジンストロビルリン、例えば、フルオキサストロビン、メトキシカルバメートストロビルリン、例えば、ピラクロストロビン、下記式のストロビルリン:
【化2】

イミダゾリノンストロビルリン系、例えば、フェンアミドン、及びオキサゾリジンジオンストロビルリン系、例えば、ファモキサドンを含む。アゾキシストロビンが特に重要である。
【0014】
上記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、緑色葉物野菜に、その成長期間の間に、一回以上施用することができる。所望により、野菜の真菌感染症を防除するために使うことができる一種又は二種以上の他の殺菌剤に加えて、あるいは野菜への昆虫の横行を防除するために使うことができる一種又は二種以上の殺虫剤()に加えて、上記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を施用することができる。例えば、それをレタスに施用する場合には、上記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、成長期間の間に3回施用するのが典型的である;初めに、殺菌剤イプロジオンと組み合わせ、2回目に、メタラキシル/マンコゼブ混合殺菌剤と組み合わせ、そして3回目に、殺菌剤ホセチルアルミニウムと組み合わせる。これらの施用は、移植後、それぞれ1、3及び5週間になされる。
【0015】
施用される上記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤の量は、とりわけ、成長期間の間になされる施用の数、用いられる特定の殺菌剤、そしてどのように殺菌剤が処方されるかによって決まるであろう。当業者は、適度の実験をせずに上記量を決定することができるであろう。典型的には、上記ストロビルリンの量は、当該ストロビルリンが通常殺菌剤として施用される濃度程度となるであろう。アゾキシストロビンの場合、高濃度懸濁液の状態(市販の製品Amistar(商標)又はOrtiva(商標)は、250g/Lのアゾキシストロビンを含む高濃度懸濁液として販売されている。)で販売され、100〜400g/ha、概して250g/haが、有効量となるであろう。
【0016】
上記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤は、未変性の状態で用いることができるが、通常は、製剤の形態で用いられるであろう。その中で、当該殺菌剤は、担体、界面活性剤及び/又は農薬製剤技術で通常用いられるタイプの他の施用促進アジュバントと共に混合される。
【0017】
好適な担体及びアジュバントは、固体又は液体であることができ、そして、例えば、天然又は再生鉱物、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着剤、増粘剤、結合剤又は肥料である。それらは、例えば、乳化可能な濃縮物、塗布可能なペースト、直接スプレー可能な若しくは希釈可能な液体、希釈した乳剤、水和剤、水溶剤、粉剤、粒剤、又は例えば、ポリマー材料中のカプセル化によるカプセル剤を形成するために公知の様式において都合よく処方される。上記製剤の性質と同様、スプレー、噴霧、散布、コーティング又は流し込み等の施用方法を、通常の環境に従って選択する。
【0018】
上記製剤は、典型的には、ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、増量剤、例えば、溶媒又は固体若しくは液体の担体、及び適切な場合には一種又は二種以上の界面活性化合物(界面活性剤)と直接的に混合、粉砕及び/又は押出すことによる公知の様式で調製されうる。
【0019】
上記農薬組成物は、0.1〜99%、好ましくは、0.1〜95%のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤、そして99.9〜1%、好ましくは、99.9〜5%の固体又は液体の担体及び/又はアジュバント、そして0〜25%、好ましくは、0.1〜25%の界面活性剤を含むのが通常であろう。
【0020】
市販の製品、又は湿った若しくは乾燥した肥料は、濃縮物として処方されることが好ましい一方、最終使用者は、植物を発育させるために希釈製剤を用いるのが通常であろう。
粉剤、及び分散性粉剤向けに典型的に用いられている上記固体の担体は、方解石、タルカム、カオリン、モンモリロナイト及びアタパルガイト、高度分散化ケイ酸、又は吸収性ポリマーである。好適な粒状の吸着性の粒状の担体は、軽石、砕いたレンガ、海泡石及びベントナイトであり、そして好適な非吸着性の担体は、通常、方解石及び白雲石である。
【0021】
処方すべき特定のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤の性質によるが、好適な界面活性化合物は、良好な乳化、分散及び/又は湿潤特性を有する、非イオン性、カチオン性及び/又はアニオン性の界面活性剤である。用語「界面活性剤」はまた、界面活性剤の混合物を含むことが理解されるであろう。
【0022】
製剤技術の中で通常用いられている界面活性剤を、下記文献:「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」MC Publishing Corp.,Glen Rock,N.J.,1988と、M.及びJ.Ashの「Encyclopedia of Surfactants」Vol.I−III,Chemical Publishing Co.,New York,1980−1981とに見出すことができる。
本発明の特定の態様の一つでは、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有するレタス、特にラクチュカ・サチバ(Lactuca sativa)種を生産するための方法を提供し、当該方法は、有効量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、レタスの群葉に、その成長期間の間に施用することを含む。
【0023】
本発明の別の態様では、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有するレタス、特にラクチュカ・サチバ(Lactuca sativa)種を生産するための方法を提供し、当該方法は、有効量のアゾキシストロビン殺菌剤を、レタスの群葉に、その成長期間の間に施用することを含む。
本発明のさらに別の態様では、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有する緑色葉物野菜を生産するための方法を提供し、当該方法は、有効量のアゾキシストロビン殺菌剤を、緑色葉物野菜の群葉に、その成長期間の間に施用することを含む。
【0024】
本発明のさらに別の態様では、有効量の保存寿命長期化又は官能特性強化量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤、特にアゾキシストロビンを用いて処理した作物から生産された緑色葉物野菜、特にレタスが提供される。
本発明を、下記例により具体的に例証する。
【実施例】
【0025】
例1
市販のレタス作物の中で、「リトル・ジェム(Little Gem)」及び「ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)」の二種のレタスに、二つの処理プログラムを受けさせた。
第一のプログラムは、
(1)移植後1週、2.3L/haの施用率における「Roval Flo」イプロジオン殺菌剤;
(2)移植後3週、1.9kg/haの施用率における「Fubol Gold」メタラキシル/マンコゼブ混合物殺菌剤;及び
(3)移植後5週、30g/100m2の施用率における「Aliette 80WG」ホセチルアルミニウム殺菌剤;
を用いた、レタス苗木の処理を要する標準の殺菌剤プログラムであった。
上記生産物は、「リトル・ジェム(Little Gem)」の場合、移植後7週で収穫し、そして「ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)」の場合、移植後8週で収穫した。第二のプログラムは、各標準殺菌剤を、1.0L/haの施用率において、「Amistar」アゾキシストロビン殺菌剤(250g/Lのアゾキシストロビンを含む農薬)と組み合わせて施用したことを除いて、上記第一の標準プログラムと同一であった。二種のレタスが、それぞれ二つの処理プログラムを受けたこと、これは、4つの異なる試験があったことを意味する。各試験を4回繰り返し、各繰り返しは少なくとも16個のレタスを含んでいた。
【0026】
上記試験の作物の全ての収穫後評価を、1日目及び5日目(暗闇の中、4℃における5日の保存の後)に行った。レタス試料を、官能的品質(色、質感、風味)に関して評価し、そして色素(クロロフィル、カロチノイド、フェノール類及び特にアントシアニン)の含有率、及び抗酸化活性に関して分析した。
【0027】
要約すると、これらの結果は、「Amistar」を用いて処理した「リトル・ジェム(Little Gem)」では、下記:
1.視覚評価で、成長速度が増すこと(従って、より早期に最大バイオマスに達し、そしてより早期に成熟する)、そして
2.保存後の外茎内のピンク変色が減少すること;
を示し、そして「Amistar」を用いて処理した「ロロ・ロッソ(Lollo Rosso)」では、下記:
1.視覚評価で、成長速度及びロロ・ロッソ(Lollo Rosso)中の「赤み」が増すこと;
2.一部の試料中で、新鮮さ及びみずみずしさが向上すること;そして
3.抗酸化能が増すこと、
を示した。
【0028】
例2
市販のレタス作物の中で、アイスバーグ(Iceburg)種のレタスに、二つの処理プログラムを受けさせた。
第一のプログラムは、
(1)移植後10日、2.3L/haの施用率における「Roval Flo」イプロジオン殺菌剤;
(2)移植後21日、1.9kg/haの施用率における「Fubol Gold」メタラキシル/マンコゼブ混合物殺菌剤;及び
(3)移植後32日、30g/100m2の施用率における「Aliette 80WG」ホセチルアルミニウム殺菌剤;
を用いた、レタス苗木の処理を要する標準の殺菌剤プログラムであった。
上記生産物を、早期(41日)、後期(48日)、及び市販の作物と同時期に(45日)収穫した。第二のプログラムは、10日及び32日の標準殺菌剤の施用を、1.0L/haの施用率における、「Amistar(商標)」アゾキシストロビン殺菌剤(250g/Lアゾキシストロビンを含む農薬)と組み合わせて実施したことを除いて、上記第一の標準プログラムと同一であった。各処理を、3回繰り返し、各繰り返しは、10本×8列の苗木から構成されていた。各収穫は、中央の6列から、1回の繰り返し当り、無作為に12個の結球レタスを選択することによる各繰り返しからなされた。
【0029】
収穫後、上記結球レタスを、産業標準まで切り取って形を整え、そして12個の結球に関する総重量を記録した。次いで、冷蔵の改善された雰囲気(5%O2/5%CO2)下で、レタスを、細かく切断(12mmの断片サイズ)し、80〜100ppmの塩素を用いて処理し、そして袋詰めし、そして保存して加工した。レタス試料は、(i)収穫後24時間以内、(ii)冷蔵保存の3日後、及び(iii)冷蔵保存の6日後に、各試料の官能的品質(外観、風味、及び質感)を格付けする3人の品質評価人が評価した。
【0030】
要約すると、Amistar(商標)を用いて処理した又は処理していない試料の重量において、有意差がない結果が示された。さらに、畑で処理した、そして処理していないレタスの間に、明白な視覚的相違はなかった。
官能的品質に関して、早期の収穫では、Amistar(商標)は、収穫の際に風味に対する影響はなかったが、収穫後3日では、Amistar(商標)で処理したレタスの67%が、対照のレタスと比較して、より辛味の少ない、オランダガラシ風味を有し、一方、33%は、辛い後味と共に少し苦味があり、そして収穫後6日では、Amistar(商標)で処理したレタスの67%が、対照レタスより良好な風味(水っぽさがより少なくかつより甘い)を保ち、一方33%は、甘味が少なくかつ「わずかに保存された」風味を有した。
【0031】
通常収穫の試料において、収穫の際、Amistar(商標)で処理したレタスの33%が、対照のレタスよりもより鮮やかでかつより水分の多く、残りは、対照と違いがなかった。さらに、Amistar(商標)で処理したレタスの67%が、対照のレタスより苦味が少なく、一方、残りは、対照とは相違点がなかった。収穫後3日において、Amistar(商標)で処理したレタスの33%が、対照より苦味を有し、一方、残りは、相違がなかった。
【0032】
後期収穫の試料において、収穫の際、Amistar(商標)で処理したレタスの67%が、対照のレタスよりも苦味が少なく、より甘く、そして新鮮味を有し、一方、残りは、対照とは相違がなかった。収穫後3日において、Amistar(商標)で処理したレタスの100%が、変色が見られることなく、外観に関して高い評価を得たが、一方、対照レタスの33%が、この段階で、ピンク化を呈した。さらに、Amistar(商標)で処理したレタスの100%が、わずかな苦味と共に、一様にわずかに弱い香りがし、わずかに甘い対照のレタスよりも強いレタス風味を有した。収穫後6日において、Amistar(商標)で処理したレタスの67%が、対照と比較して、良好な風味を保ち、そしてよりみずみずしく、一方、残りは、対照とは違いがなかった。
【0033】
結論として、Amistar(商標)は、収穫から保存の間、レタスの風味及び外観に、概してプラスの影響を与え、それらは、変色を減少させると共に、より新鮮で、より苦味が少なく、より甘くそしてより強い風味として証明された。レタスが保存される所与の条件において、6日間は変色がほとんど観察されないことが期待され、保存がより長期にわたる場合、Amistar(商標)で処理の効果を、さらに特徴づけることができることに留意する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、緑色葉物野菜の群葉に、その成長期間の間に施用することを含む、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有する緑色葉物野菜の生産方法。
【請求項2】
前記緑色葉物野菜がレタスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レタスが、アイスバーグ(Iceberg)種、リトル・ジェム(Little Gem)種、又はロロ・ロッソ(Lollo Rosso)種である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤が、アゾキシストロビンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
有効量のストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を、レタスの群葉に、その成長期間の間に施用することを含む、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有するレタス、特にラクチュカ・サチバ(Lactuca sativa)種の生産方法。
【請求項6】
有効量のアゾキシストロビン殺菌剤を、レタスの群葉にその成長期間の間に施用することを含む、長期保存寿命若しくは強化された官能特性、又はその両方を有するレタス、特にラクチュカ・サチバ(Lactuca sativa)種の生産方法。
【請求項7】
前記レタスが、アイスバーグ(Iceberg)種、リトル・ジェム(Little Gem)種、又はロロ・ロッソ(Lollo Rosso)種である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有効量の保存寿命長期化量又は官能特性強化量の、ストロビルリン殺菌剤又はストロビルリン系殺菌剤を用いて処理した作物から生産された緑色葉物野菜。

【公表番号】特表2008−538696(P2008−538696A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507151(P2008−507151)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001381
【国際公開番号】WO2006/114574
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】