説明

線材供給装置

【課題】 絡まりやすい極細のワイヤ等の線材を、1本ずつ供給できる線材供給装置を提供する。
【解決手段】 ワイヤ51を支える側面14、および、その側面14に対して立ち上がりつつ、一部に開孔を備える底面12を有する収容筒11、並びに、その収容筒11を変位させる傾斜台21および往復移動部31を含む線材供給装置49では、傾斜台21および往復移動部31が、ワイヤ51を開孔16に通ずるように、収容筒11を変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカテーテルのような医療器を製造する場合、ワイヤがカテーテルチューブに埋め込まれることがある。このようなワイヤは、ステンレス等の金属製で、直径1mm以下、長さ200mm以上で、簡単に折れたり曲がったままにはならないものの、非常に撓みやすい。すなわち、このようなワイヤは極めて柔軟である。
【0003】
ところで、このようなワイヤが、一度に、数十本から数百本で収納器(収納部)に投入され、その収容器から1本ずつ供給されれば、組立加工の作業効率が上がり、ひいては、組立加工の自動化装置の実現につながる。しかし、この剛性の無い柔軟なワイヤを、個別に収容器から取り出すこと(繰り出すこと)は、非常に困難であった。
【0004】
ワイヤを取り出す装置(線材供給装置)は、従来から種々開発されており、例えば、特許文献1に記載のように、ホッパからワイヤを1本ずつ取り出す装置が挙げられる。
【0005】
この特許文献1の装置では、ホッパの下側の供給口からワイヤを取り出すため、供給口付近で、ワイヤが絡まらないようにしなくてはいけない。例えば直径5mm程度以上の金属製のワイヤであれば、このような特許文献1の装置を用いると好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭59−019779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カテーテルに使用されるような、直径1mm以下の極細のワイヤの場合、ホッパへの投入直後に、ワイヤ同士で絡まってしまい、ホッパ下部の供給口から取り出せない。つまり、特許文献1のような装置は、絡まりやすいワイヤには不適である。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。そして、その目的は、例えば、絡まりやすい極細のワイヤ等の線材を、1本ずつ供給できる線材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
線材供給装置は、線材を収容する収容部と、収容部を変位させる変位部と、を含む。この線材供給装置では、収容部は、線材を支える支持面と、支持面に対して立ち上がりつつ、一部に開孔を備える壁面と、を有し、変位部は、線材を開孔に通ずるように、収容部を変位させる。
【0010】
また、変位部は、収容部に収まる線材の長手方向を、水平面に対して傾斜させるように、収容部を変位させると好ましい。
【0011】
また、変位部は、収容部に収まる線材の長手方向を軸として回転させるように、収容部を変位させると好ましい。
【0012】
また、開孔が複数、放射状に配置され、かつ、支持面に対する各々の開孔からの最短距離が異なっていると好ましい。
【0013】
また、支持面における線材を支える側の面には、開孔の面前に、線材を受け止める受け部が形成されると好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非常に細くて長く剛性の無い柔軟な線材を、多数、収容部に収容し、その中から一定方向に一本一本を切り離して供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は、線材供給装置の斜視図である。
【図2】は、線材供給装置の動作工程を示す斜視図である。
【図3】は、線材供給装置の動作工程を示す斜視図である。
【図4】は、線材供給装置の動作工程を示す斜視図である。
【図5】は、線材供給装置の動作工程を示す斜視図である。
【図6】は、収容筒の斜視図である。
【図7】は、収容筒の斜視図である。
【図8】は、収容筒の底面の平面図である。
【図9】は、収容筒の斜視図である。
【図10】は、収容筒の斜視図である。
【図11】は、収容筒の底面を直視した説明図と、収容筒に取り付けられるシャッタの説明図とを併示した説明図である。
【図12】は、収容筒の底面を直視した説明図と、収容筒に取り付けられるシャッタの説明図とを併示した説明図である。
【図13】は、線材供給装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。なお、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。また、図面における矢印は、部材の移動方向を示す。
【0017】
図1は、線材供給装置49を示す。この図に示すように、線材供給装置49は、収容筒[収容部]11、傾斜台[変位部]21、往復移動部[変位部]31、シャッタ41、検知センサ42、ハンドリングアーム43、およびCPU[制御部]45を含む。
【0018】
収容筒11は、ワイヤ[線材]51を収容するもので、例えば、図1に示すように円筒状である{なお、ワイヤ51(図2等参照)は、例えば、直径1mm以下で、全長200mm以下である}。
【0019】
詳説すると、収容筒11は、底面[壁面]12、この底面12に対向する天面[壁面]13、底面12から天面13までに架け渡って筒の周りを形成する側面[支持面]14を含む。そして、側面14には、ワイヤ51を入れるための開閉式の扉15が形成される(なお、扉15の開閉機構は、特に限定されない)。
【0020】
また、この収容筒11の底面12には、内部に収容されたワイヤ51を外部に向けて通すための開孔16が形成される。なお、この開孔16は、ワイヤ51の直径よりも大きな開孔径(直径)を有しており、例えば、ワイヤ51の直径よりも2.0倍以下で1.5倍程度が望ましい。
【0021】
また、収容筒11は、開孔16の面前方向(すなわち、収容筒11の軸方向)に、ワイヤ51を同方向に揃えて収容できればよいので、円筒状に限定されることはなく、例えば三角柱状の筒のように、多角柱の筒であっても構わない。ただし、収容筒11内部にて、ワイヤ51が開孔16の面前方向に対して大きく傾斜してしまうと、開孔16を通じて外部に進出しにくくなる。そのため、収容筒11においてワイヤ51周囲に対向する面(側面14等)が、過度に幅広いことは好ましくない。
【0022】
なお、収容筒11の材質については、金属、樹脂などのあらゆる材料が採用可能である。また、収容筒11の内面が、ワイヤ51による傷つき防止のために、ウレタンで加工されてもよいし、ワイヤ51の滑り性向上のために、テフロン(登録商標)で加工されてもよい。
【0023】
傾斜台21は、収容筒11を、傾けかつ移動できるように保持する台である。この傾斜台21は、水平方向HDに対して傾き、収容筒11の側面(外側曲面)14を嵌められるような傾斜面22を含み、かつ、その傾斜面22から隆起する隆起片(不図示)を含む。一方で、傾斜面22に面する収容筒11の側面14には、収容筒11の軸方向に伸びる溝レール(不図示)が形成されており、その溝レールに、隆起片が嵌ることで、傾斜台21は、収容筒11を、傾けかつ移動できるように保持する。
【0024】
なお、傾斜は、水平方向HDに対する収容筒11の傾きであって、傾斜台21は、収容筒11の軸方向[ワイヤ51の長手方向]を、5°以上45°以下、望ましくは10°以上30°以下になるように傾ける。
【0025】
往復移動部31は、クランク機構を含み、モータ等の駆動源32によって回転する回転板33に連結されたロッド34を収容筒11の天面13に連結させることで、傾斜面22上の収容筒11を往復移動させる(矢印Rは、往復移動を意味する)。なお、往復移動部31および傾斜台21のように、収容筒11を傾けたり移動させたりする(すなわち、収容筒11を変位させる)部材を、変位部と称する。
【0026】
シャッタ41は、収容筒11の開孔16よりも大型なシャッタ片41Pを移動させることで、その開孔16を開閉させる。
【0027】
検知センサ42は、開孔16付近を検知範囲とし、開孔16を通じて外部に出現するワイヤ51を検知する。なお、検知センサ42の種類は、特に限定されず、例えば、撮影式の検知センサが挙げられる。
【0028】
ハンドリングアーム43(43A・43B)は、収容筒11の開孔16から飛び出てくるワイヤ51を把持する把持片44を含むアームである。なお、このハンドリングアーム43は、水平面方向において自由に移動できる上、水平面方向に対する交差方向(例えば、重力方向)に沿っても移動できる機構を有する(この機構に関しては、特に限定されるものではない)。
【0029】
CPU[制御部]45は、線材供給装置49全体の動作制御等を行う中枢部分となっており、線材供給装置49の各部材の駆動を有機的に制御して、動作を統括制御する(なお、便宜上、図1以外の図面では、CPU45を省略する)。
【0030】
以上のような線材供給装置49は、図2〜図5に示されるように動作する。まず、図2に示されるように、収容筒11は、傾斜台21にて傾斜されつつ保持される。そして、この収容筒11の内部に、複数のワイヤ51が収められ、扉15が閉じられる。この後、往復移動部31が駆動することで、収容筒11が往復移動する。
【0031】
収容筒11が、往復移動部31によって、傾斜しつつ、自身の軸方向に沿って往復移動する場合に、収容筒11の開孔16がシャッタ41で閉ざされていなければ、図3に示すようになる。すなわち、複数のワイヤ51が、収容筒11内部にて往復移動する過程で、各々ばらけるようになり、それらワイヤ51のうちの1本が、開孔16を通じて外部に飛び出る。
【0032】
そして、この飛び出るワイヤ51が、検知センサ42によって検知される。検知センサ42がワイヤ51を検知することをきっかけにして、CPU45は、ハンドリングアーム43Aを移動させて、開孔16から飛び出るワイヤ51を把持させる。そして、ワイヤ51を把持したハンドリングアーム43Aは、そのワイヤ51を、収容筒11からさらに引き出すように移動する。
【0033】
さらに、図4に示すように、ワイヤ51が収容筒11から完全に引き出される直前に、CPU45は、ハンドリングアーム43Bを移動させて、ワイヤ51の他端(ハンドリングアーム43Aの把持するワイヤ51の一端に対して反対側の一端)を把持させる。なお、CPU45は、予めワイヤ51の全長を認識しており、さらに、ハンドリングアーム43Aの移動距離から、ワイヤ51が収容筒11から完全に引き出される直前を認識して、ハンドリングアーム43Bを制御する。
【0034】
この後、CPU45は、図5に示すように、ワイヤ51を把持する両ハンドリングアーム43A・43Bを移動させることで、そのワイヤ51を、収容筒11から完全に引き出し、所定の場所にて、ワイヤ51を離す。これにより、ワイヤ51が一本ずつ、所定の場所に配置されることになる。
【0035】
つまり、ワイヤ51を支える側面14、および、その側面14に対して立ち上がりつつ、一部に開孔16を備える底面12を有する収容筒11、並びに、その収容筒11を変位させる傾斜台21および往復移動部31を含む線材供給装置49では、傾斜台21および往復移動部31が、ワイヤ51を開孔16に通ずるように、収容筒11を変位させる。
【0036】
この結果、カテーテル等の組み立てにおいて、多量のワイヤ51のうちから一本ずつ、所定の場所に供給されることになり、そのカテーテル等の組み立て効率が高まる。また、このような線材供給装置49であれば、作業工数を削減でき、ひいては、全自動化も可能となる。
【0037】
ところで、収容筒11の底面12に形成される開孔16の数は、単数とは限らない。すなわち、開孔16は、複数個、収容筒11に形成されても構わない。
【0038】
そして、複数の開孔16の配置としては、例えば、図6に示すような配置が挙げられる。すなわち、収容筒11において、4個の開孔16が底面12に放射状に形成されている場合、側面14に対する各々の開孔16からの最短距離L(L1〜L4)が異なる。
【0039】
そして、このように複数の開孔16が形成されている場合に、図7に示すように、往復移動部31には、収容筒11に収まるワイヤ51の長手方向(すなわち収容筒11の軸方向)を軸として、その収容筒11を回転させるような、回転駆動部35が含まれているとよい(なお、この回転駆動部35も、収容筒11を変位させるので、変位部と称される)。
【0040】
通常、開孔16が収容筒11の側面14に近いと、その開孔16近傍のワイヤ51には、積み重なった複数のワイヤ51の重量がかかる。そのため、開孔16からワイヤ51が取り出されにくくなる。そこで、収容筒11には、ワイヤ51が満載されないようにし、さらに、開孔16は、収容筒11の側面14から乖離し、収容筒11の中心軸に近い位置に形成される。
【0041】
しかし、開孔16の位置が収容筒11の回転軸(例えば、底面12の中心12C)に近く形成されていると、ワイヤ51の積載量が減っていくと、開孔16の位置を上回るほどのワイヤ51が無くなるので、その開孔16からワイヤ51が取り出されにくくなる。
【0042】
しかしながら、開孔16が複数、放射状に配置され、かつ、側面14に対する各々の開孔16からの最短距離が異なっていると、収容筒11が自身の回転軸(例えば、底面12の中心12Cと天面13の中心13Cとを結んだ軸)を基準にして回転すれば、ワイヤ51の積載量に応じた開孔16が選択されるので、開孔16からスムーズにワイヤ51が取り出される(なお、回転駆動部35による収容筒11の回転速度は、特に限定されず、例えば1rpmが挙げられる)。
【0043】
また、図8に示すように、各開孔16と底面12の中心12Cとを結ぶ結合線(一点鎖線参照)同士は、中心12Cを基準とする角度で、一定になっている必要はない(すなわち、隣り合う結合線同士で形成される角度が一定でなくてもよい)。
【0044】
このように開孔16の放射状配置の間隔が不均一であれば、図9に示すように、開孔16の直径と同程度の間隔を空けた2枚のシャッタ片41Q・41Qを含むシャッタ41を用いることができる。このようなシャッタ41は、比較的簡単な構造であるので、線材供給装置49の構造も簡単になり、ひいてはコストも抑えられる。
【0045】
また、開孔16の内部は、テーパ状になっていてもよい。詳説すると、開孔16の内径(直径)が、収容筒11の内部側から外部側に向かって先細りしているとよい。
【0046】
このように開孔16の内径が、内部側で広く、外部側で狭まっていると、収容筒11の内部からワイヤ51が開孔16に入り込みやすくなる一方、外部に出るときに複数本で出にくくなる。すなわち、収容筒11に収容されたワイヤ51が開孔16の端にぶつかりにくくなって、スムーズに開孔16に導かれる一方、開孔16からは1本ずつワイヤ51が出てくる。
【0047】
また、線材供給装置49は、収容筒11の内部、すなわち、図10に示すように、側面14におけるワイヤ51を支える側の面には、開孔16の面前に、ワイヤ51を受け止める受け部17が形成されると好ましい。
【0048】
受け部17は、例えば、樋のように半円筒状で、開孔16の面前にて、収容筒11の長手方向と同方向に延びている。そして、受け部17にて、ワイヤ51を受け止める受け面17Sは、収容筒11の回転方向先に向く。例えば、図11に示すように、底面12を手前、天面13を奥とした配置で、手前側からみて、収容筒11が時計回りで回転するような場合、受け面17Sは、収容筒11の回転によって、ワイヤ51をすくい上げやすい方向である、収容筒11の回転方向先に向く。
【0049】
このような受け部17があると、ワイヤ51が開孔16を通じて外部に露出しようとする場合に、受け部17に支えられた状態で、ワイヤ51は移動する。そのため、ワイヤ51が安定的に開孔16から外部へと取り出される。
【0050】
また、収容筒11におけるワイヤ51の積載量が少なくなって、ワイヤ51が過剰に揺れて、開孔16に通じにくくなるような場合であっても、受け部17が側面14の内側に密着して配置されていると、その受け部17がワイヤ51をすくい上げることで、開孔16に導かれやすくなる。つまり、収容筒11に積載されるワイヤ51を確実に開孔16に導ける。
【0051】
なお、図11にて収容筒11に対して分けて図示されるシャッタ41は、開孔16と同程度の通過口41Hを有し、回転する収容筒11に対して不動である。このようになっていると、収容筒11が回転することで、シャッタ41の通過口41Hに、開孔16を合致した場合、その開孔16と通過口41Hとを通じて、ワイヤ51が取り出される。
【0052】
また、受け部17の形状は、樋のような形状に限定されることはなく、例えば、図12に示すように、板状(羽根状)であっても構わない。このような単純形状の受け部17であっても、樋のような受け部17同様に、ワイヤ51をすくい上げることで、開孔16に導けるためである。
【0053】
なお、以上では、回転駆動部35は、複数の開孔16を含む収容筒11を回転させる例について挙げているが、これに限定されるものではない。例えば、回転駆動部35は、単数の開孔16を含む収容筒11を回転させるために、駆動しても構わない。また、回転駆動部35による収容筒11の回転方向は一方向に限らず、正逆回転させても構わない。このようになっていると、例えば、ワイヤ51が開孔16付近で滞留している場合に、ワイヤ51が側面14にて揺れ動かされるので、一層、開孔16に導かれやすくなる。また、回転駆動部35を含む往復移動部31の駆動タイミングは、特に限定されず、制御部45によって、適宜設定される。
【0054】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0055】
以上では、収容筒11の開孔16から外部に露出したワイヤ51は、ハンドリングアーム43A・43Bによって、収容筒11から完全に取り出されるようになっていた。しかし、この取り出しのために、ハンドリングアーム43A・43Bは必須ではない。
【0056】
例えば、図13に示すような、搬送ユニット61があればよい。搬送ユニット61は、回転ローラ対62・62にて移動するベルト63と、開孔16から外部に向けて移動するワイヤ51の移動を停止させるストッパ[停止部]64と、を含む。
【0057】
ベルト63は、回転ローラ対62・62に架け渡ることで筒状になっており、収容筒11の長手方向に対して交差する方向に回転する。また、このベルト63の表面(回転ローラ対62・62に非接触な面)には、ワイヤ51を受ける溝63Dが形成される。なお、溝63Dの伸び方向と、収容筒11の長手方向とは同方向に向いている。
【0058】
ストッパ64は、収容筒11の底面12側にて、その収容筒11とともに搬送ユニット61を挟むように配置された、例えば板である(なお、詳説すると、ストッパ64は、収容筒11の底面12側で、かつ開孔16の面前側に配置される)。
【0059】
このような搬送ユニット61がある場合、CPU45は、ベルト63の溝63Dを、開孔16の面前に配置させた状態で、収容筒11を変位させ、ワイヤ51を開孔16から露出させる。ワイヤ51は、収容筒11の変位によって、開孔16から徐々に進出していき、ベルト63に重なるようになる。ただし、進出するワイヤ51は、ストッパ64にぶつかることで移動を止められ、ベルト63を越えるまでは移動せずに、ベルト63の溝63Dに落下する。この結果、収容筒11からのワイヤ51の取り出しのために、ハンドリングアーム43A・43Bは不要となる。
【0060】
なお、ベルト63によって搬送されるワイヤ51を一本ずつ、所定の場所に配置させるために、ハンドリングアーム43C・43Dが使用されるが、このハンドリングアーム43C・43Dは、ハンドリングアーム43Aのように、高機能型でなくてもかまわない。
【0061】
ハンドリングアーム43Aは、収容筒11の開孔16から外部に露出したワイヤ51を的確に把持するために、検知センサ42の検知結果と同期させた上に、開孔16からのワイヤ51のわずかな露出タイミングに対応できるだけの高速性を有さなくてはならない。しかし、ハンドリングアーム43C・43Dは、そこまでの高機能は要さない。したがって、搬送ユニット61が線材供給装置49に取り付けられると、ハンドリングアーム43の簡素化が図れる。
【符号の説明】
【0062】
11 収容筒[収容部]
12 底面[壁面]
13 天面
14 側面[支持面]
15 扉
16 開孔
17 受け部
21 傾斜台[変位部]
22 傾斜面[変位部]
31 往復移動部[変位部]
32 駆動源[変位部]
33 回転板[変位部]
34 ロッド[変位部]
35 回転駆動部[変位部]
41 シャッタ
41H 通過口
42 検知センサ
43 ハンドリングアーム
44 把持片
45 CPU[制御部]
49 線材供給装置
51 ワイヤ[線材]
61 搬送ユニット
62 回転ローラ
63 ベルト
63D 溝
64 ストッパ[停止部]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材供給装置にあって、
線材を収容する収容部と、
前記収容部を変位させる変位部と、
を含み、
前記収容部は、前記線材を支える支持面と、前記支持面に対して立ち上がりつつ、一部に開孔を備える壁面と、を有し、
前記変位部は、前記線材を前記開孔に通ずるように、前記収容部を変位させる、
線材供給装置。
【請求項2】
前記変位部は、前記収容部に収まる前記線材の長手方向を、水平面に対して傾斜させるように、前記収容部を変位させる請求項1に記載の線材供給装置。
【請求項3】
前記変位部は、前記収容部に収まる前記線材の長手方向を軸として回転させるように、前記収容部を変位させる請求項1または2に記載の線材供給装置。
【請求項4】
前記開孔が複数、放射状に配置され、かつ、前記支持面に対する前記の各々の開孔からの最短距離が異なっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の線材供給装置。
【請求項5】
前記支持面における前記線材を支える側の面には、前記開孔の面前に、前記線材を受け止める受け部が形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の線材供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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