説明

線材引出し口キャップ

【課題】簡単な構造で、容易に線材を挿通して設置することが可能であると共に、設置位置に安定した状態で設置することができる線材引出し口キャップを提供する。
【解決手段】二重床上のカーペット100に形成されるケーブル120の引出し口110を覆う線材引出し口キャップ1であって、引出し口110の外周囲の所定部分に設置され、引出し口110から引き出されるケーブル120が導入される導入開口13を有する脚台部12と、脚台部12から立ち上がって形成され、引出し口110を空間を開けて覆うと共に、導入開口13から導入されるケーブル120が引き出される引出し開口15を有するカバー部14とを備え、導入開口13と引出し開口15とがスリット16を介して連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重床の上面に敷設される仕上材の線材引出し口を覆う線材引出し口キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどの床下側に線材を配線して床面上に線材を引き出す二重床構造では、二重床内から線材を引き出す箇所において、二重床上に敷設されたカーペット等の仕上材に線材の引出し口が設けられる。そして、その引出し口には、引き出される線材の折り曲げ部分が踏みつけられたり、或いは引出し口から二重床の内部に塵や埃などが侵入することを防止するために、キャップ状の線材引出し口キャップが設置されて覆われる。
【0003】
例えば特許文献1には、仕上材の引出し口外周囲の所定部分に接着布で簡易固着される脚台部と、脚台部から立ち上がって形成される側部領域とそれに連続する上部領域とを有し且つ引出し口の上方を覆うカバー部とを備え、カバー部の側部領域に引出し開口を形成し、引出し開口から上部領域に延在する拡張開口を形成する線材引出し口キャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2820633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような線材引出し口キャップは、カーペット等の仕上材に接着布で簡易固着されてはいるものの、歩行者の足が何度も当たったりすることで設置位置から外れてしまうことがあり、最悪の場合には紛失してしまうことがある。そのため、設置位置に安定した状態で設置することができる線材引出し口キャップが求められている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために提案するものであって、簡単な構造で、容易に線材を挿通して設置することが可能であると共に、設置位置に安定した状態で設置することができる線材引出し口キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の線材引出し口キャップは、二重床上の仕上材に形成される線材の引出し口を覆う線材引出し口キャップであって、前記引出し口の外周囲の所定部分に設置され、前記引出し口から引き出される線材が導入される導入開口を有する脚台部と、前記脚台部から立ち上がって形成され、前記引出し口を空間を開けて覆うと共に、前記導入開口から導入される線材が引き出される引出し開口を有するカバー部とを備え、前記導入開口と前記引出し開口とがスリットを介して連通することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、例えば電気の配線ケーブルのような線材(短軸の太さ4mm程度)であれば、スリットの少なくとも一部の幅を例えば0mm以上3mm以下の範囲で狭くし、引出し口から引き出された線材をスリットを開いて導入開口及び引き出し開口に通すことが可能となり、容易に導入開口及び引出し開口に線材を挿通して設置することができる。また、導入開口及び引出し開口に挿通された線材は、スリットによって抜け止めされるので、線材引出し口キャップを設置位置に安定した状態で設置することができる。また、例えばカバー部を二分割して嵌合するキャップの場合のように、面倒な嵌合作業が不要となり、キャップの構造を簡単にすることができる。
【0009】
本発明の線材引出し口キャップは、前記スリットに、内側から外側に向かって漸次幅が広くなる領域を設けることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、線材をスリットから引出し開口に入れる際には容易に入れることができると共に、引出し開口に入れた線材がスリットから出ることをより確実に防止することができる。
【0011】
本発明の線材引出し口キャップは、前記脚台部と前記カバー部とを硬質弾性材料で形成し、前記カバー部を略ドーム形状若しくは略アーチ形状に形成することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、カバー部の断面形状が円弧になると共にカバー部や脚台部が硬質材料であるから、線材引出し口キャップの機械的強度を高め、線材をより確実に保護することができると共に、スリットが離間し難くなって、引出し開口に入れた線材がスリットから出ることをより確実に防止することができる。また、カバー部に対して捻る力を加えると、硬質弾性材料であるカバー部や脚台部を容易に変形してスリットを離間することができるので、線材をスリットから引出し開口に入れる際には容易に入れることができる。
【0013】
本発明の線材引出し口キャップは、前記スリットを前記脚台部に形成し、前記脚台部のうち少なくとも前記スリットが形成されている周囲部分を前記引出し口の外周囲の所定部分に簡易固着する、又は前記脚台部を全体に亘って前記引出し口の外周囲の所定部分に簡易固着することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、スリットの両側部分を仕上材に簡易固着することが可能となるので、歩行者に蹴られる等の外力でスリットが離間することをより確実に防止でき、引出し開口に入れた線材がスリットから出ることをより確実に防止することができる。
【0015】
本発明の線材引出し口キャップは、前記スリットの両側の部分の厚みを、それ以外の部分の前記脚台部若しくは前記カバー部の厚みよりも薄く形成することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、線材をスリットから引出し開口に入れる際に、一層容易に入れることが可能となる。
【0017】
本発明の線材引出し口キャップは、前記脚台部の裏面にシート状の簡易固着材を配置し、前記脚台部の裏面から突出する突起を前記簡易固着材を貫通させ、前記突起の下端に設けられている係止部で前記簡易固着材を係止することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、シート状の簡易固着材の強固で安定な固定状態を維持することができる。また、歩行者の踏圧等を受けた場合に、シート状の簡易固着材の圧縮を制限することができ、簡易固着材がつぶれて仕上材に対する簡易固着性能が劣化することを防止できる。
【0019】
本発明の線材引出し構造の組立方法は、平面視略リング状若しくは略C字形で、内側に線材が導入される導入開口を有する脚台部と、前記脚台部から立ち上がって形成され、前記導入開口から導入される線材が引き出される引出し開口を有するカバー部とから構成され、前記導入開口と前記引出し開口とがスリットを介して連通している線材引出し口キャップを、二重床上の仕上材に形成される線材の引出し口を覆うように設置して組み立てる線材引出し構造の組立方法であって、前記引出し口から引き出される線材を、前記スリットの間隔を広げて前記導入開口及び前記引出し開口に挿通するように入れる工程と、前記脚台部を前記引出し口の外周囲の所定部分に設置し、前記脚台部の裏面の簡易固着材を前記仕上材に簡易固着する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、線材引出し口キャップを捻る等してスリットから線材を容易に挿入することができ、導入開口及び引出し開口に線材を容易に挿通して設置することができる。また、導入開口及び引出し開口に挿通された線材は、スリットによって抜け止めされるので、線材引出し口キャップを設置位置に安定した状態で設置することができる。また、仕上材への設置時には、導入開口及び引出し開口に線材が挿通された状態で線材引出し口キャップの線材に対する位置が規制されているので、所望の位置に簡単に脚台部或いは線材引出し口キャップを配置することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の線材引出し口キャップは、引出し口から引き出された線材をスリットを開いて導入開口及び引き出し開口に通すことが可能となり、容易に導入開口及び引出し開口に線材を挿通して設置することができる。また、導入開口及び引出し開口に挿通された線材は、スリットによって抜け止めされるので、線材引出し口キャップを設置位置に安定した状態で設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は第1実施形態の線材引出し口キャップの平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図。
【図2】第1実施形態の線材引出し口キャップの使用状態における斜視図。
【図3】(a)は第2実施形態の線材引出し口キャップの平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図。
【図4】第2実施形態の線材引出し口キャップの使用状態における斜視図。
【図5】(a)は第3実施形態の線材引出し口キャップの平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図。
【図6】(a)は第3実施形態の線材引出し口キャップの使用状態におけるノックアウト前の状態を示す斜視図、(b)はそのノックアウト後の状態を示す斜視図。
【図7】(a)は第4実施形態の線材引出し口キャップの平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図。
【図8】第4実施形態の線材引出し口キャップの使用状態における斜視図。
【図9】(a)〜(f)は第5実施形態〜第10実施形態の線材引出し口キャップの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態の線材引出し口キャップ〕
本発明による第1実施形態の線材引出し口キャップについて説明する。図1及び図2は第1実施形態の線材引出し口キャップを示す図である。
【0024】
第1実施形態の線材引出し口キャップ1は、図1及び図2に示すように、二重床上の仕上材であるカーペット100に形成される線材の引出し口110を覆うものであり、二重床下から引き出される線材であるケーブル120の根元を保護するようにして、カーペット100に取り付けられる。線材引出し口キャップ1は、脚台部12と、カバー部14とから構成され、硬質で弾性を有する高分子樹脂等で一体的に形成されている。
【0025】
脚台部12は、図示例では平面視で略円形リング状に形成されており、引出し口110の外周囲の所定部分に設置される。脚台部12の内側である略中央の略円形部分は、引出し口110から引き出されるケーブル120が導入される導入開口13になっている。導入開口13は、ケーブル120の太さよりも大きく形成することが好ましく、複数本のケーブル120を導入可能な大きさとしてもよい。
【0026】
略リング状に形成された脚台部12には、後述する引出し開口15の下端に隣接する部分に、ケーブル120の幅より幅が狭い幅狭部であるスリット16が形成されており、導入開口13と引出し開口15はスリット16を介して連通している。
【0027】
スリット16の両側に位置する脚台部12の部分である一対の対向端部12a・12a、換言すればスリット16によって狭い幅で分割されている一対の対向端部12a・12aは、その幅が脚台部12の他の部分に比べて狭く形成されていると共に、略円弧形状の脚台部12において、円弧形状の一部が弦のように略直線になった形状で形成されている。更に、一対の対向端部12a・12aには、脚台部12の内側から外側に向かってスリット16の幅が漸次広くなるテーパー状の部分が外周面から形成されており、このテーパー状部分において、スリット16は内側から外側に向かって漸次幅が広くなる領域になっている。また、例えばケーブル120がLANケーブルのような線材(太さ5.5mm程度)であれば、スリット16の少なくとも一部の幅を例えば0mm以上4mm以下の範囲で狭くするなど、少なくとも最短幅でケーブル120の幅よりも狭くなっており、図示例では一対の対向端部12a・12aの先端相互がケーブル120の幅よりも狭くなっている。尚、スリット16は、ケーブル120の幅よりも狭い範囲で離間する構成以外に、対向端部12a・12a同士が当接してスリット16の幅が常態でゼロの切れ目とする構成としてもよい。
【0028】
脚台部12の裏面12bには、脚台部12の厚さと同程度の太さの突起である円柱突起12cが複数設けられていると共に、カーペット100に対する簡易固着材として、脚台部12と平面視形状が同形状に形成され、先端が略J字形状等の突起が多数植毛されている、シート状の簡易固着材であるマジックテープ17(登録商標)が取り付けられている。マジックテープ17には、円柱突起12cに対応する部分に円柱突起12cの太さよりも僅かに大きい開口が形成されており、脚台部12の円柱突起12cがマジックテープ17の前記開口に挿通され、円柱突起12cの前記開口より太い係止部12dで係止することにより、マジックテープ17が脚台部12の裏面12bに取り付けられている。
【0029】
このマジックテープ17を脚台部12の裏面12bに取り付ける際には、係止部12dが形成されていない状態の円柱突起12cをマジックテープ17の開口に通して脚台部12の裏面12bにマジックテープ17を配置し、その後に円柱突起12cの先端を加熱溶融して太く変形して係止部12dを形成する。この構造により、マジックテープ17を脚台部12の裏面12bに強固に固定することが可能である。尚、脚台部12の裏面12bへのマジックテープ17の取り付けは、両面テープや接着剤による貼着、リベット留め、ビス留め、ボルト留め、熱融着等の各種取り付け方法を用いることが可能である。
【0030】
カバー部14は、脚台部12から立ち上がって形成されており、図示例では脚台部12から上方且つ内側に向かって略ドーム状に立ち上がって形成され、導入開口13及び引出し口110の大部分を被覆するようにして空間を開けて覆っている。この内部空間は、引出し口110及び導入開口13から導入されるケーブル120が、その折曲げ方向を選択可能な程度の大きさで形成されている。また、カバー部14には、線材引出し口キャップ1内に導入開口13から導入されるケーブル120が外部に引き出される引出し開口15が形成されており、引出し開口15は、カバー部14の頂上付近より僅かに下の位置からカバー部14の正面視の下端、即ち脚台部12にかけて長孔状に形成され、上述のスリット16へと連通している。尚、カバー部14の下端縁は、脚台部12と連結していると共にカーペット100に当接している。
【0031】
引出し開口15は、ケーブル120の太さよりも大きく形成することが好ましく、複数本のケーブル120を導入可能な大きさとしてもよい。尚、引出し開口15は、カバー部14のスリット16に対応する方向の下端から頂点の下側まで設ける構成の他に、前記下端から頂点付近を越えて逆側の中ほどまでに至る大きさで形成することも可能である。この構成では、二重床下から引き出されるケーブル120を余裕を持って保護しつつ、ある程度の自由度を持って線材引出し口キャップ1から外部に引き出すことができる。その結果、カーペット100上に線材引出し口キャップ1を一旦簡易固着すると、ケーブル120を多少動かした程度では線材引出し口キャップ1に外力が加わらないため、簡易固着が容易に外れ難くなる。
【0032】
この線材引出し口キャップ1を二重床上に設置する際には、二重床下から引出し口110を介して引き出されるケーブル120がスリット16の間隔を広げてスリット16から内側に入れられ、導入開口13及び引出し開口15にケーブル120が挿通される。ケーブル120をスリット16から入れる時には、そのままテーパー部分からケーブル120を押し込む構成の他に、カバー部4を捻るようにしてスリット16の間隔を広げて入れる構成等としてもよい。そして、脚台部12を引出し口110の外周囲の所定部分に配置し、脚台部12の裏面12bのマジックテープ17を引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着して、脚台部12が全体に亘って引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着されるようにし、線材引出し口キャップ1が設置される。設置された線材引出し口キャップ1は、カバー部14により引出し口110及び引出し口110から引き出されたケーブル120の根元を大きく隠して保護する。
【0033】
第1実施形態の線材引出し口キャップ1は、引出し口110から引き出されたケーブル120を導入開口13から引出し開口15まで貫通させて通し、ケーブル120に簡単に装着することができる。また、線材引出し口キャップ1は、スリット16がケーブル120よりも狭く形成されているため、ケーブル120が一端装着されると、スリット16の両側の対向端部12a・12aにケーブル120が係止されることになり、安定した装着状態を維持することができる。
【0034】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1は、スリット16によって分割されている脚台部12の一対の対向端部12a・12aに、脚台部12の内側から外側に向かってスリット16の幅が漸次広くなるテーパー状部分を形成することにより、線材引出し口キャップ1に対してケーブル120をより装着し易くすると共に、内側が幅狭であるテーパー状部分で、一旦装着すると一層外れ難くすることができて使い勝手を良くすることができる。
【0035】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1は、全体が硬質で弾性を有する材料で形成されていると共に、カバー部14が略ドーム形状に形成されてため、歩行者の踏圧のような一方向の力が印加されても比較的均等に分散して容易には変形することがなく、ケーブル120を踏圧等から保護することができると共に、スリット16が離間し難いことから、ケーブル120と線材引出し口キャップ1との分離を防止することができる。また、例えば脚台部12の対向端部12a・12a同士を上下、左右或いはその両方に離間するような二方向の力(例えば、線材引出し口キャップを捻るような力)を加えることにより、線材引出し口キャップ1の材質の弾性に許容される量だけ変形することができ、ケーブル120の着脱が容易に行うことができる。
【0036】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1では、対向端部12a・12aを含む脚台部12の裏面12bに簡易固着材としてのマジックテープ17を固定し、マジックテープ17によって脚台部12をカーペット100に簡易固着する際、対向端部12a・12aをカーペット100に固定した状態とすることができ、例えば歩行者に蹴られるといった外力によって対向端部12a・12aが動いてスリット16が離間する危険性を低減し、ケーブル120に一度装着した線材引出し口キャップ1をより外れ難くすることができる。他方で、線材引出し口キャップ1をケーブル120から取り外す際には、マジックテープ17の簡易固着を解除して線材引出し口キャップ1をカーペット100から取り外してから脚台部12の対向端部12a・12a同士を離間させれば良く、線材引出し口キャップ1が歩行者の踏圧等によってケーブル120から容易に分離しないことと、作業者が線材引出し口キャップ1を容易に取り外せることとを両立している。
【0037】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1では、略ドーム形状のカバー部14の上方より僅かに下からカバー部14の正面視下端にかけて引出し開口15が大きく開口しているため、ケーブル120が引出し開口15の縁に引っ掛かった状態で歩行者に上から踏まれるような事態を極力回避することができる。また、カバー部14の引出し開口15を頂点の下側から設ける構成により、比較的踏まれ易いカバー部14の頂点を確実に保護し、ケーブル120が踏まれることをより確実に防止することができる。
【0038】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1では、円柱突起12c及び係止部12dの係止機構によりマジックテープ17を固定することにより、接着剤や両面テープ等で貼着する場合に比して、マジックテープ17の強固で安定な固定状態を維持することができる。また、カーペット100に線材引出し口キャップ1を取り付けた状態で、線材引出し口キャップ1の上から歩行者の踏圧等を受けた場合に、マジックテープ17の厚さが脚台部12の裏面12bから係止部12dの先端までの高さになるまでにマジックテープ17の圧縮を制限することができ、マジックテープ17がつぶれてカーペット100に対する簡易固着性能が劣化することを防止することができる。
【0039】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1をカーペット100に設置する際には、導入開口13及び引出し開口15にケーブル120が挿通された状態で線材引出し口キャップ1のケーブル120に対する位置が規制されているので、所望の位置に簡単に脚台部12或いは線材引出し口キャップ1を配置することができる。
【0040】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1では、一対の対向端部12a・12aのそれぞれの幅が、脚台部12の他の部分の幅に比べて狭く形成されているため、例えば対向端部12a・12aが歩行者の足に直接蹴られる危険性を小さくすることができ、その分だけ安定した装着状態を維持することができる。
【0041】
また、第1実施形態の線材引出し口キャップ1では、脚台部12の外周が平面視で略円弧形状に形成され、対向端部12a・12aの部分では円弧の一部を略直線にしたような形状になっており、その間にスリット16が形成され、スリット16の外側の開放端が、脚台部12の略円弧形状の外周の延長ラインよりも内側に位置しているため、例えばスリット16の部分が歩行者の足に直接蹴られる危険性を小さくすることができ、その分だけ安定した装着状態を維持することができる。また、線材引出し口キャップ1を壁際に設置する際に、対向端部12a・12aの直線的な外周部分を壁に揃えて設置することができるため、その点でも安定した装着状態を維持することができると共に、見栄えも良くすることができる。
【0042】
〔第2実施形態の線材引出し口キャップ〕
次に、第2実施形態の線材引出し口キャップについて説明する。図3及び図4は第2実施形態の線材引出し口キャップを示す図である。尚、第2実施形態において、第1実施形態と同一構成の部分については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
【0043】
第2実施形態の線材引出し口キャップ2は、図3及び図4に示すように、第1実施形態と同様にケーブル120に装着され、カーペット100上に簡易固着されるものであり、脚台部12と、カバー部14とから構成され、硬質で弾性を有する高分子樹脂等で一体的に形成されている。
【0044】
脚台部12は、平面視で略C字形に形成され、後述するスリット26に対応する部分でリングの一部を切断した形状になっていると共に、その内側及びカバー部14の一方向の下端に隣接する切断部分は導入開口13になっている。脚台部12の裏面12bには、カーペット100に対する簡易固着材として、例えば先端が略錨形状或いは略J字形状の多数の係合突起12eが一体に形成されている。
【0045】
カバー部14には、頂上付近からカバー部14の一方向の中程にかけて、長孔状の引出し開口15が形成されていると共に、引出し開口15の下端からカバー部14の一方向の下端に亘って、例えばケーブル120がVCT(ビニールキャブタイヤ)ケーブルのような線材(太さ11mm程度)であれば、最短幅が例えば0mm以上7mm以下までの範囲で狭く形成されたスリット26が形成されている。即ち、第2実施形態の線材引出し口キャップ2は、脚台部12ではなくカバー部14にスリット26が設けられている点が第1実施形態とは異なるものの、スリット26が導入開口13及び引出し開口15を連通するように形成されている点では第1実施形態と共通している。
【0046】
そして、スリット26によって狭い幅で分割されて対向しているカバー部14の一対の対向端部14a・14aには、対向端部14a・14aの下方に向かってスリット26の幅が漸次広くなるようにテーパー状部分が形成されることにより、スリット26に内側から外側に向かって漸次幅が広くなる領域が設けられている。更に、スリット26の両側部分である一対の対向端部14a・14aの厚さは、カバー部14の他の部分に比べて薄く形成されている。
【0047】
線材引出し口キャップ2を二重床上に設置する際には、二重床下から引出し口110を介して引き出されるケーブル120がスリット26から内側に入れられ、導入開口13及び引出し開口15にケーブル120が挿通される。ケーブル120をスリット26から入れる時には、そのままテーパー部分からケーブル120を押し込む構成の他に、カバー部14を捻るようにしてスリット26の間隔を広げて入れる構成等としてもよい。そして、脚台部12の裏面12bの係合突起12eを引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着して、脚台部12が全体に亘って引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着されるようにし、線材引出し口キャップ2が設置される。設置された線材引出し口キャップ2は、カバー部14により引出し口110及び引出し口110から引き出されたケーブル120の根元を大きく隠して保護する。
【0048】
第2実施形態の線材引出し口キャップ2は、カバー部14の引出し開口15を頂点の下側から設ける構成、円柱突起12c及び係止部12dの係止機構によりマジックテープ17を固定する構成に対応する効果以外、第1実施形態の線材引出し口キャップ1と同様の効果を奏する。
【0049】
更に、第2実施形態の線材引出し口キャップ2では、対向端部14aの厚みをカバー部14の厚みよりも薄く形成することにより、ケーブル120に対する線材引出し口キャップ1の装着の際に対向端部14aを容易に変形することが可能であり、装着をより容易にすることができる。また、先端が略錨形状或いは略J字形状の多数の係合突起12eが脚台部12に対して一体に形成することにより、線材引出し口キャップ2をカーペット100に対してより強固に固定することができる。
【0050】
〔第3実施形態の線材引出し口キャップ〕
次に、第3実施形態の線材引出し口キャップについて説明する。図5及び図6は第3実施形態の線材引出し口キャップを示す図である。尚、第3実施形態において、第1実施形態と同一構成の部分については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
【0051】
第3実施形態の線材引出し口キャップ3は、図5及び図6に示すように、第1実施形態と同様にケーブル120に装着され、カーペット100上に簡易固着されるものであり、脚台部12と、カバー部14とから構成され、硬質で弾性を有する高分子樹脂等で一体的に形成されている。
【0052】
脚台部12は、図示例では平面視略リング状に形成されており、例えばケーブル120が電話線ケーブルのような線材(短軸の太さ2mm程度)であれば、最短幅が0mm以上1mm以下の範囲で狭く形成されたスリット36が形成されている。スリット36は斜めに且つ屈曲するように切り込まれており、線材引出し口キャップ3の正面視において、一方の対向端部12aの凸状部が他方の対向端部の凹状部に対向するようにして、対向端部12a・12aが左右非対称の形状で形成されている。そして、スリット36によって狭い幅に分割されている一対の対向端部12a・12aには、脚台部12の内側から外側に向かってスリット36の幅が漸次広くなるテーパー状部分が外周面から形成されている。脚台部12の内側は導入開口13になっており、導入開口13と後述する引出し開口15はスリット36を介して連通している。また、脚台部12の裏面12bには、脚台部12の平面視形状と同一径状のマジックテープ17が取り付けられ、マジックテープ17は、脚台部12を貫通して取り付けられる固定部材であるリベット20によって取り付けられている。
【0053】
カバー部14には、第1実施形態と同様の形状の引出し開口15が形成されているが、カバー部14の頂上付近からカバー部14の一方向の中程までにかけて、所定以上の押圧力を加えることにより打ち抜いて除去可能なノックアウト19が形成されおり、ノックアウト19を除去することにより引出し開口15をカバー部14の頂上付近まで拡大することが可能である。ノックアウト19は、例えば予め切込みラインを入れておく等により形成する。
【0054】
線材引出し口キャップ3を二重床上に設置する際には、二重床下から引出し口110を介して引き出されるケーブル120がスリット36から内側に入れられ、導入開口13及び引出し開口15にケーブル120が挿通される。ケーブル120をスリット36から入れる時には、そのままテーパー部分からケーブル120を押し込む構成の他に、カバー部14を捻るようにしてスリット36の間隔を広げて入れる構成等としてもよい。そして、脚台部12の裏面12bのマジックテープ17を引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着して、脚台部12が全体に亘って引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着されるようにし、線材引出し口キャップ3が設置される。設置された線材引出し口キャップ3は、カバー部14により引出し口110及び引出し口110から引き出されたケーブル120の根元を大きく隠して保護する。また、ケーブル120の数が多い場合やケーブル120の引出し方向が引出し開口15の側面における開口方向と異なる場合など、必要に応じてノックアウト19を開口して引出し開口15を拡大し、ケーブル120をカバー部14の頂上付近等から引き出すようにしてもよい。
【0055】
第3実施形態の線材引出し口キャップ3は、円柱突起12c及び係止部12dの係止機構によりマジックテープ17を固定する構成、対向端部12a・12aの部分で円弧の一部を略直線形状にする構成に対応する効果以外、第1実施形態の線材引出し口キャップ1と同様の効果を奏する。また、リベット20でマジックテープ17を固定することにより、接着剤や両面テープ等で貼着する場合に比して、マジックテープ17の強固で安定な固定状態を維持することができる。
【0056】
また、第3実施形態の線材引出し口キャップ3では、スリット36が斜めに切り込まれると共に、対向端部12a・12aが左右非対称に形成され、線材引出し口キャップ3の正面視において一方の対向端部12aが他方の対向端部12aに覆い被さった形状に形成されているため、一旦装着したケーブル120がより外れ難くなっている。
【0057】
また、スリット36は斜めに屈曲するように或いは蛇行して形成されているため、仮に歩行者に蹴られる等した際にケーブル120が引出し開口15の内側からスリット36に強引に入ってしまう場合でも、ケーブル120の動きがスリット36の形状に阻害されて内側に押し戻されるため、ケーブル120の外側への移動をより確実に防止することができる。
【0058】
また、ノックアウト19を形成することにより、例えば床下から引き出すケーブル120を増やしたい場合等には、図6(b)に示すように、ノックアウト19を打ち抜いて引出し開口15を拡張して対応することができる。その一方、特に引出し開口15を拡張する必要の無い場合には、ノックアウト19の分だけ線材引出し口キャップ3の強度を高めた状態に維持することができる。
【0059】
〔第4実施形態の線材引出し口キャップ〕
次に、第4実施形態の線材引出し口キャップについて説明する。図7及び図8は第4実施形態の線材引出し口キャップを示す図である。尚、第4実施形態において、第1実施形態と同一構成の部分については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
【0060】
第4実施形態の線材引出し口キャップ4は、図7及び図8に示すように、第1実施形態と同様にケーブル120に装着され、カーペット100上に簡易固着されるものであり、脚台部22と、カバー部24とから構成され、硬質で弾性を有する高分子樹脂等で一体的に形成されている。
【0061】
カバー部24は、平面視略正方形で略直方体状で内部空間を有する中空箱形に形成されていると共に、その四つの側壁の下端の各々からは、外側に屈曲して水平に延設された略矩形の脚台部22が形成されており、換言すれば各脚台部22から立ち上がるようにしてカバー部24が形成されている。四方に設けられる脚台部22で囲まれる略正方形の開口は導入開口23になっていると共に、脚台部22の裏面22bにはマジックテープ17が接着剤で貼着されている。
【0062】
カバー部24には、導入開口23から線材引出し口キャップ4内に導入されるケーブル120を外部に引き出すための引出し開口25が、カバー部24の上面の中央付近から一方向の側壁の下端にかけて長孔状に形成されている。尚、ケーブル120の太さに対する導入開口23及び引出し開口25の大きさは、第1実施形態〜第3実施形態の導入開口13及び引出し開口15の大きさと同様に、ケーブル120の太さよりも大きく形成されている。
【0063】
四つの脚台部22のうち、引出し開口25の下端に隣接する脚台部22、すなわち線材引出し口キャップ4の正面側の脚台部22には、上記第1〜第3実施形態と同様に、少なくとも最短幅がケーブル120の幅よりも狭い幅の幅狭部としてのスリット46が、導入開口23及び引出し開口25と連通するように形成されている。
【0064】
スリット46は、線材引出し口キャップ4の正面視で略S字形状に脚台部22を分割するように形成されており、一方(例えば図8の左方)の対向端部22aの段差に他方(例えば図8の右方)の対向端部22aの段差が重なるようにして形成されている。また、一方の対向端部22aには、他方の対向端部22aの上面に載置されて上面を係止する係止部30が形成されており、一方と他方の対向端部22a・22a同士の係合が容易には外れないように係止されている。
【0065】
線材引出し口キャップ4を二重床上に設置する際には、二重床下から引出し口110を介して引き出されるケーブル120がスリット46から内側に入れられ、導入開口23及び引出し開口25にケーブル120が挿通される。ケーブル120をスリット46から入れる時には、係止部30の係止を外してスリット46の間隔を広げ、必要に応じて線材引出し口キャップ4を捻るようにしてスリット46の間隔を広げて挿入する。そして、脚台部22の裏面22bのマジックテープ17を引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着して、脚台部12が全体に亘って引出し口110の外周囲の所定部分に簡易固着されるようにし、線材引出し口キャップ4が設置される。設置された線材引出し口キャップ4は、カバー部24により引出し口110及び引出し口110から引き出されたケーブル120の根元を大きく隠して保護する。
【0066】
第4実施形態の線材引出し口キャップ4は、脚台部12の内側から外側に向かってスリット16の幅が漸次広くなるテーパー状部分を形成する構成、カバー部14を略ドーム形状に形成する構成、カバー部14の引出し開口15を略ドーム状の頂点の下側から設ける構成、円柱突起12c及び係止部12dの係止機構によりマジックテープ17を固定する構成、一対の対向端部12a・12aのそれぞれの幅を脚台部12の他の部分の幅に比べて狭く形成する構成、対向端部12a・12aの部分で円弧の一部を略直線形状にする構成に対応する効果以外、第1実施形態の線材引出し口キャップ1と同様の効果を奏する。
【0067】
また、第4実施形態の線材引出し口キャップ4では、他方の対向端部22aの上面を係止部30で係止して対向端部22a・22a同士の係合が容易には外れないようにしているため、歩行者に蹴られる等して線材引出し口キャップ4がケーブル120から外れてしまう事態をより確実に防ぐことが可能である。また、対向端部22aの厚みを脚台部22の厚みよりも薄く(約半分程度)することが可能であるため、ケーブル120に対して線材引出し口キャップ4を取り付ける際、対向端部22aが変形し易くなり、装着を容易にすることができる。
【0068】
〔実施形態の変形例及び他の実施形態等〕
本明細書開示の発明は、各発明や各実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含み、下記の変形例等も包含する。
【0069】
例えば第1〜第4実施形態では、線材引出し口キャップ1〜4を硬質で弾性を有する高分子樹脂で形成する場合について述べたが、作業者が線材引出し口キャップを手で捻る等によりスリットを押し広げられる程度の弾性を有するものであれば適宜の材質とすることが可能であり、本発明における線材引出し口キャップは、例えば木製、金属製、カーボンファイバーやグラスファイバーを含むFRP等の樹脂製若しくは硬質の紙製、或いは廃プラスチック等のリサイクル製品によるもの、或いはこれらの複合製品等とすることが可能である。
【0070】
また、線材引出し口キャップは、脚台部とカバー部、或いは脚台部の各部、或いはカバー部の各部など適宜の部分を一体形成しないものも包含し、必要な強度が得られれば、別体の部材を融着、接着、ボルト締め、嵌着等で固定する構成とすることも可能である。例えば第1〜第4実施形態においてカバー部と脚台部とを別体として固定したり、第1、第3及び第4実施形態において脚台部と対向端部とを別体にして固定したり、第2実施形態においてカバー部と対向端部とを別体にして固定したりすることが可能である。
【0071】
また、第1〜第4実施形態では、二重床の仕上材としてカーペット100を適用する場合について説明したが、フローリング床、或いは床シート等を仕上材とすることも可能であり、その場合には、線材引出し口キャップを仕上材に簡易固着する簡易固着材として、吸盤、両面テープ、若しくは粘着質の防振ゲル材等を適用すると好適である。
【0072】
また、第1実施形態では、二重床下から引き出す線材(ケーブル120)としてLANケーブル(太さ5.5mm程度)を適用し、これに対応するスリット16の最短幅を0mm以上4mm以下の範囲とする場合、更に、第2実施形態では、二重床下から引き出す線材としてVCTケーブル(太さ11mm程度)を適用し、これに対応するスリット26の最短幅を0mm以上7mm以下の範囲とする場合、更に、第3実施形態では、二重床下から引き出す線材として電話線ケーブル(短軸太さ2mm程度)を適用し、これに対応するスリット36の最短幅を0mm以上1mm以下の範囲とする場合について説明したが、これらのケーブル120等の線材の種類や太さは適宜とすることが可能であり、各種各太さの線材よりも幅の狭いスリットが形成される線材引出し口キャップであれば、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0073】
また、第1〜第3実施形態では、脚台部12を平面視で略リング形状や略C字形状とする場合について説明したが、脚台部の平面視形状は略楕円、略矩形、三角形、五角形、六角形、八角形等の略多角形若しくは略星形など適宜であり、連続的な脚台部ではなく、第4実施形態の脚台部22のように複数の脚台部に分割された構成としてもよい。また、脚台部12を不連続の略リング形状等で複数の部材を配置して構成し、それらをカバー部の下縁部で繋ぎ、前記各部材の内側を導入開口とする構成としてもよい。即ち、本発明に於ける脚台部には、線材引出し口キャップの構成部材の中でカーペット100に当接するか、僅かに離間して配置される部材を広く含むものである。
【0074】
また、脚台部に取り付けられる或いは形成されるマジックテープ17、係合突起12e、両面テープ、接着剤等の簡易固着材は、脚台部の裏面の全体に亘って設ける構成の他に、一部分だけに設ける構成とすることも可能であり、又、複数種の簡易固着材を併用したり、複数の固定手段で簡易固着材を取り付けることも可能であり、線材引出し口キャップを仕上材に簡易固着する強度を確保できる範囲で適宜選択することが可能である。例えば、マジックテープ17を脚台部12の対向端部12aの裏面12bには設けない構成や、或いは対向端部12a以外の脚台部12では円柱突起12c及び係止部12dによってマジックテープ17を固定し、対向端部12aでは接着剤で固定する構成とすることが可能である。特に、簡易固着材を脚台部の一部分に設ける場合には、脚台部のうち少なくともスリットが形成されている対向端部等の周囲部分に簡易固着材を設けておけば、簡易固着材による簡易固着が解除されない限りはケーブルから線材引出し口キャップが外れないため、安定した装着状態の維持という観点で有利である。
【0075】
また、第1〜第4実施形態では、線材引出し口キャップ1〜4のカバー部14、24の下端から水平方向の外側に向けて脚台部12、22を形成する場合について説明したが、脚台部12、22はカバー部14、24の下端から水平方向の内側に向けて形成する構成とすることも可能である。
【0076】
また、第1〜第4実施形態では、引出し口110やケーブル120の根元を保護するカバー部14、24をドーム形状或いは箱形にした場合について述べたが、カバー部14、24の形状は適宜の形状とすることが可能である。好適には、トンネル形状等のアーチ形状の部分をカバー部に含ませると、踏圧に対する線材引出し口キャップ全体の剛性を高めることができて良好である。
【0077】
また、第1〜第4実施形態では、引出し開口15をカバー部14の一方向の下端から頂上付近より僅かに下の位置まで長孔形状に形成する構成や、引出し開口15、25をカバー部14、24の一方向の下端から頂上付近まで長孔形状に形成する構成について説明したが、引出し開口15の形状や形成位置は適宜とすることが可能であり、例えばカバー部14、24の一方向の下端から頂上付近を介して逆方向の下端まで連通するように形成する構成等とすることが可能である。
【0078】
また、第1〜第4実施形態では、線材引出し口キャップ1〜4に対して一つの引出し開口15、25を設ける場合について説明したが、引出し開口15、25を設ける数は限定しない。複数の引出し開口15、25を設ける場合には、それぞれの引出し開口15、25に対応する位置に幅狭部としてのスリット16、26、36、46を形成して導入開口13、23に連通することにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、第1〜第3実施形態では、スリット16、26、36にテーパー形状の部分を形成する構成について説明したが、そのテーパー形状やテーパーの角度は必要に応じて適宜であり、又、ケーブル120の装着のし易さを特に考慮しないのであればテーパー形状の部分を設けない構成とすることも可能である。
【0080】
また、第1実施形態の図1及び図2、第3実施形態の図5及び図6において、脚台部12に幅狭部としてのスリット16、36を形成する場合について説明したが、その形状は限定されず、例えば図9(a)〜図9(f)に示すような形状も含めて各種形状を適用することが可能である。
【0081】
図9(a)の線材引出し口キャップ5の場合、スリット56が引出し開口15に対して右方寄り(左方寄りでも可)にずれている構成であるため、一旦装着されたケーブル120が引出し開口15の内側からスリット56に触れる可能性が低くなり、歩行者に蹴られる等した際に線材引出し口キャップ5が偶発的に外れてしまう危険性をより低減することができる。
【0082】
図9(b)の線材引出し口キャップ6の場合、対向端部12a・12aが平面視で略逆S字形の鉤形状に形成され、スリット66を挟んで互いに係合可能であるため、歩行者に蹴られる等した際に線材引出し口キャップ5が偶発的に外れてしまう危険性をより低減することができる。また、線材引出し口キャップ6では、引出し開口35が、カバー部14の一方向の下端から頂上付近を介して逆方向の下端まで連通するように大きく形成されており、ケーブル120を前後に大きく取り回せるようになっている。
【0083】
図9(c)の線材引出し口キャップ7の場合、スリット76の両側の一対の対向端部12a・12aが、先端で湾曲してスリット76の周囲だけ引出し開口15側に突出するように形成されているため、一旦装着されたケーブル120が引出し開口15の内側からスリット76に入り込む危険性をより低減でき、歩行者に蹴られる等した際に線材引出し口キャップ7が偶発的に外れてしまう危険性をより低減することができる。また、線材引出し口キャップ7では、カバー部34が平面視略楕円のドーム形状に形成され、その長軸方向の両側に引出し開口15及びスリット76がそれぞれ形成されている。尚、線材引出し口キャップ7に形成される引出し開口15及びスリット76の数は単数或いは2個以上の3個、4個等の複数とすることが可能である。
【0084】
図9(d)の線材引出し口キャップ8の場合、スリット86の両側の一対の対向端部12a・12aのそれぞれに対して、引出し開口15側(内側)に平面視略三角形等の凹部である切欠31が形成されており、対向端部12aが外側から内側に向けて押圧されると、切欠31が幅を狭めるように対向端部12aは変形し、スリット86が広がるようになっている。従って、ケーブル120に線材引出し口キャップ8を装着する際には、切欠31を内側に変形してスリット86を広げ、ケーブル120を引出し開口15に容易に導入することができる。他方において、対向端部12aが引出し開口15の内側から外側に向けて押圧された場合、切欠31の幅が広がるように対向端部12aが変形し、対向端部12a・12a同士がぶつかってスリット86の幅がゼロになる。従って、ケーブル120に線材引出し口キャップ8が一旦装着されると、歩行者に蹴られる等した際にケーブル120が引出し開口15の内側からスリット86の付近にぶつかった程度では、容易には外れなくなる。尚、線材引出し口キャップ8においても、対向端部12a・12aが常態で当接し、スリット86の間隔を常態でゼロとしてもよい。
【0085】
図9(d)の線材引出し口キャップ8では、スリット86が幅狭部として機能すると共に、スリット86の両側の一対の対向端部12a・12a及び切欠31が、一対の対向端部12a・12aの外側から内側への変形の許容と内側から外側に変形した際に当接し易くすることを助長する特定方向変形部として機能するため、ケーブル120の引出し開口15への装着を容易とし、一旦装着したケーブル120が外れることを確実に防止することができる。尚、この特定方向変形部は、図9(d)の構成に限定されるものではなく、一対の対向端部12a・12aの外側から内側への変形の許容と内側から外側に変形した際に当接し易くすることを助長する構成であれば適宜であり、形状的に対向端部12aの内側への曲がり量を増大できる適宜の構成等とすることが可能であり、又、スリット86、対向端部12a及び切欠31の形状や設置箇所、位置関係、設置数等は同様の機能を得られれば適宜である。例えば、図9(a)の線材引出し口キャップ5において、正面視で左側の対向端部12aの引出し開口15側に対して切欠31を少なくとも一つ形成し、特定方向変形部とすることも可能である。
【0086】
図9(e)の線材引出し口キャップ9の場合、脚台部12に対して第1実施形態のスリット16(図1及び図2参照)が形成されていると共に、カバー部14に対して第2実施形態のスリット26(図3及び図4参照)が形成されており、スリット26の両側の対向端部14a・14aが引出し開口15を下側の第1引出し開口15aと第2引出し開口15bとに分割している。この構成により、例えば二本のケーブル120を引出し口110から引き出す際に、一方のケーブル120を第1引出し開口15aから引出し、他方のケーブル120を第2引出し開口15bから引き出すことができる。また、複数の幅狭部であるスリット16、26を形成することで、歩行者に蹴られる等された際にケーブル120から線材引出し口キャップ9が外れてしまう危険性をより回避することができる。
【0087】
図9(f)の線材引出し口キャップ10の場合、図9(e)の線材引出し口キャップ9の対向端部12aと対向端部14aとを一つに連結するようにして対向端部32が形成されていると共に、スリット16とスリット26とが一つのスリット96として形成されている。即ち、線材引出し口キャップ10では、脚台部12からカバー部14に連続して分割するスリット96が切り込まれ、その両側に一対の大きな対向端部32・32が形成されており、対向端部32が脚台部12からカバー部14にかけて立体的に形成されている分だけ剛性が強くなり、歩行者に蹴られる等された際にケーブル120から線材引出し口キャップ9が外れてしまう危険性をより回避することができる。
【0088】
また、第1実施形態では、対向端部12a・12aの幅が脚台部12の他の部分に比べて狭く形成されている場合について説明したが、この対向端部12a・12aの幅は脚台部12の他の部分と同程度の幅、或いは脚台部12の他の部分のよりも広くなるように形成してもよい。
【0089】
また、第1、第2実施形態では、略円弧形状の脚台部12において、円弧形状の一部が弦のように略直線になった形状で形成されている場合について説明したが、スリット16、26の外側の開放端が脚台部12の略円弧形状の外周ラインよりも内側に位置する適宜の形状とすることが可能である。例えば脚台部12の外周よりも大きい半径の円弧で脚台部12の略円弧形状を切断したような形状や、スリット16、26の部分が内側に凹んだ形状等とすることが可能である。また、平面視で略円弧形状である脚台部12の一部を変形させない構成とすることも可能であり、例えば線材引出し口キャップの外周を平面視で円形状としてもよい。
【0090】
また、上述の第4実施形態においては、スリット46を正面視で略S字形状に形成し、スリット46を介して分離している対向端部22a・22a同士を係合するための係止部30を設ける場合について説明したが、一対の対向端部22a・22aの一方が他方に重なるように形成されるのであればスリット46の形状は適宜であり、又、係止部30の形状や大きさ、設置数、その設置位置についても適宜である。
【0091】
尚、ケーブル120に対する線材引出し口キャップの装着のし易さ、一旦装着した後のケーブル120の外れ難さ、ケーブル120の取り回しの容易さ、或いは線材引出し口キャップの強度の最適化、等を考慮し、第1実施形態〜第4実施形態の各線材引出し口キャップ1〜4や、他の実施形態の各線材引出し口キャップ5〜10の各構成の一部や全部を任意に組み合わせる構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の線材引出し口キャップは、二重床の上面に敷設される仕上材の線材引出し口を覆う際に利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10…線材引出し口キャップ
12、22…脚台部 12a、14a、22a、32…対向端部 12b、22b…裏面 12c…円柱突起 12d…係止部 12e…係合突起
13、23…導入開口
14、24、34…カバー部
15、25、35…引出し開口 15a…第1引出し開口 15b…第2引出し開口
16、26、36、46、56、66、76、86、96…スリット
17…マジックテープ
19…ノックアウト
20…リベット
30…係止部 31…切欠
100…カーペット 110…引出し口 120…ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重床上の仕上材に形成される線材の引出し口を覆う線材引出し口キャップであって、
前記引出し口の外周囲の所定部分に設置され、前記引出し口から引き出される線材が導入される導入開口を有する脚台部と、
前記脚台部から立ち上がって形成され、前記引出し口を空間を開けて覆うと共に、前記導入開口から導入される線材が引き出される引出し開口を有するカバー部とを備え、
前記導入開口と前記引出し開口とがスリットを介して連通することを特徴とする線材引出し口キャップ。
【請求項2】
前記スリットに、内側から外側に向かって漸次幅が広くなる領域を設けることを特徴とする請求項1記載の線材引出し口キャップ。
【請求項3】
前記脚台部と前記カバー部とを硬質弾性材料で形成し、
前記カバー部を略ドーム形状若しくは略アーチ形状に形成することを特徴とする請求項1又は2記載の線材引出し口キャップ。
【請求項4】
前記スリットを前記脚台部に形成し、
前記脚台部のうち少なくとも前記スリットが形成されている周囲部分を前記引出し口の外周囲の所定部分に簡易固着することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の線材引出し口キャップ。
【請求項5】
前記スリットの両側の部分の厚みを、それ以外の部分の前記脚台部若しくは前記カバー部の厚みよりも薄く形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の線材引出し口キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−226160(P2011−226160A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97202(P2010−97202)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】