説明

線条体繰り出し装置

【課題】線条体繰り出し装置において、リールのオーバーランを防止して、リールに巻回された線条体の巻き緩みを抑えることである。
【解決手段】線条体繰り出し装置10は、線条体11を備えた装置本体12と、装置本体12を収納する収納ケース14とを有し、装置本体12は、収納ケース内に位置決めされ、回転可能に設けられたリール18を含み、リール18は、線条体11が巻回された胴部26と、胴部26の軸心方向の両側に設けられた一対の鍔部28と、を有し、収納ケース14は、線条体11を繰り出す繰り出し口50と、繰り出し口50に揺動可能に設けられたフラップ52と、を含み、フラップ52は、その指向方向をリール回転方向に対向させて設けられ、リール軸心方向の幅が鍔部28間の幅と略等しく形成され、一対の鍔部28と当接可能に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線条体繰り出し装置に係り、特に、光ファイバケーブル等の線条体を繰り出す線条体繰り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブル等の線条体の敷設作業には、線条体をリールに巻回して収容箱に収納した線条体用の梱包箱が用いられている。線条体用の梱包箱は、例えば、収容箱内に収容されたリールに巻回された線条体を、収容箱に設けられた繰り出し口から繰り出せるように構成されている。
【0003】
特許文献1には、光ファイバケーブル等が巻き付けられたスプールを箱に収容した包装装置において、包装装置の箱には水平スロットが設けられており、スロットを通して箱の中の光ファイバケーブル等を繰り出すことができることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、電線ケーブルを梱包し、使用時に電線ケーブルを繰り出すための段ボール製貯線箱体において、箱体に電線ケーブル繰り出し用開口と、箱体内部に電線ケーブル巻くための紙リールと、紙リールを回転させる紙心と、箱体側面に紙心を懸架するための溝部を設けることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、内部にケーブルを巻き付けた回転可能なドラムを収納する梱包箱において、梱包箱の前面にはケーブル引出し口が開口されており、ケーブルを引出す時はこのケーブル引出し口よりケーブルを引出すことが記載されている。
【0006】
特許文献4には、線条体を巻いたボビンを収納する線条体用梱包箱において、線条体の繰り出し時にボビンを箱底壁から離隔した位置に回転可能に軸支する回転軸が通される軸受孔を形成するためのミシン目が箱側壁部に設けられていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−225253号公報
【特許文献2】特開平11−335004号公報
【特許文献3】特開2004−217354号公報
【特許文献4】特開2006−248582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した線条体用の梱包箱等の線条体繰り出し装置から線条体を繰り出す場合において、線条体の繰り出し開始時では、リールを停止状態から回転させるためより大きい繰り出し力で線条体が繰り出される。そのため、リールが高速回転してオーバーランし、リールに巻回された線条体の巻き緩みが生じる場合がある。また、線条体の繰り出し停止時には、リールが惰性回転してオーバーランするためリールに巻回された線条体の巻き緩みが生じる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、リールのオーバーランを防止して、リールに巻回された線条体の巻き緩みを抑えることができる線条体繰り出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る線条体繰り出し装置は、線条体を繰り出す線条体繰り出し装置であって、前記線条体を備えた装置本体と、前記装置本体を収納する収納ケースと、を有し、前記装置本体は、前記収納ケース内に位置決めされ、回転可能に設けられたリールを含み、前記リールは、前記線条体が巻回された胴部と、前記胴部の軸心方向の両側に設けられた一対の鍔部と、を有し、前記収納ケースは、前記線条体を繰り出す繰り出し口と、前記繰り出し口に揺動可能に設けられたフラップと、を含み、前記フラップは、指向方向を線条体繰り出し時のリール回転方向に対向させて設けられ、リール軸心方向の幅が前記鍔部間の幅と略等しく形成され、前記一対の鍔部の外周面と当接可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る線条体繰り出し装置は、前記フラップが前記一対の鍔部の外周面と当接した時に、前記フラップの自由端が前記一対の鍔部の外周面と当接することが好ましい。
【0012】
本発明に係る線条体繰り出し装置は、前記フラップが前記一対の鍔部の外周面と当接した時に、前記フラップの指向方向が、前記自由端と前記一対の鍔部との当接点における接線方向となることが好ましい。
【0013】
本発明に係る線条体繰り出し装置において、前記フラップは、前記線条体で押圧される凸部を有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る線条体繰り出し装置において、前記繰り出し口は、前記フラップを前記収納ケースの内側に折り込んで形成されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る線条体繰り出し装置において、前記装置本体は、前記胴部の軸心方向に形成された軸穴に挿通される軸体と、前記リール軸心方向の両側に配置され、前記軸体を挿通支持する軸支孔を有する一対の軸受板と、前記リールと前記軸受板との間に設けられ、前記軸体が挿通される軸挿通孔を有し、前記リールと前記軸受板とに摺接して摩擦調整する一対の摺接リングと、を有することが好ましい。
【0016】
本発明に係る線条体繰り出し装置において、前記装置本体は、隣接した複数の前記リールを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成の線条体繰り出し装置によれば、繰り出し口に設けられたフラップをリールの鍔部の外周面に当接させてリールの回転を制動することによりオーバーランを抑制できるので、リールに巻回された線条体の巻き緩みが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態において、線条体繰り出し装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態において、装置本体の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態において、隣接した2つのリールを有する装置本体の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態において、装置本体を収納ケースに収容した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態において、フラップをリールの鍔部に当接させたときの線条体繰り出し装置の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態において、凸部を有するフラップを備えた線条体繰り出し装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態において、線条体の繰り出し時における線条体繰り出し装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態において、線条体の繰り出し時における線条体繰り出し装置の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態において、リールの制動時における線条体繰り出し装置の断面図である。
【図10】本発明の実施の形態において、繰り出し口をフラップよりも大きく形成した線条体繰り出し装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、線条体繰り出し装置の構成を示す斜視図である。線条体繰り出し装置10は、線条体11を備えた装置本体12と、装置本体12を収容する収納ケース14と、を有している。線条体11には、例えば、光ファイバケーブル、電線、チューブ、紐、電源ケーブル等が用いられる。
【0020】
図2は、装置本体の構成を示す分解斜視図である。装置本体12は、線条体11が巻回されたリール18と、リール18に挿通される軸体20と、軸体20を支持する一対の軸受板22と、を有している。
【0021】
リール18は、線条体11が巻回された胴部26と、胴部26の軸心方向の両側に設けられた一対の鍔部28とを有している。胴部26は、略円形状に形成されており、軸心方向に軸体20が挿通される軸穴30が設けられている。一対の鍔部28は、胴部26の外周面より径方向外側に突出して略円形状に形成されている。
【0022】
軸体20は、リール18における胴部26の軸穴30に挿通される。軸体20は、例えば、円筒状または円柱状に形成される。
【0023】
一対の軸受板22は、リール18の軸心方向の両側に配置される。各軸受板22は、矩形状に形成され、略中央部に軸体20を挿通支持する軸支孔32を有している。装置本体12を収納ケース14に収納したときにリール18を収納ケース14内に位置決めするために、各軸受板22は、その周縁が収納ケース14の内周面と当接可能な大きさで形成されている。
【0024】
リール18と軸受板22との間には、リール18と軸受板22とに摺接して摩擦調整する摺接リング24が設けられる。摺接リング24は、例えば、略円形状に形成されており、軸体20を挿通する軸体挿通孔を有している。リール18と軸受板22との間の摩擦抵抗は、摺接リング24の大きさを変えることにより調整可能である。摺接リング24は、例えば、線条体11を2Nから10Nの繰り出し力で容易に繰り出すことができる大きさで形成される。
【0025】
リール18と、軸体20と、軸受板22と、摺接リング24とは、軽量化、廃棄時における有害ガス発生の抑制またはリサイクル等の観点から段ボール等の紙で形成されることが好ましい。また、収納ケース14の底面の変形を防止するために、軸受板22は、段ボール紙を2つ折り等して形成されることが好ましい。収納ケース14の底面と軸受板22との接触面積がより大きくなるので、装置本体12の荷重が分散され収納ケース14の変形を防止できる。勿論、リール18と、軸体20と、軸受板22と、摺接リング24とは、紙製に限定されることなく、合成樹脂等で形成されてもよい。なお、リール18等を紙製とした場合には、線条体11には情報通信用ケーブル、チューブ、紐等の軽量のものを使用することが好ましい。
【0026】
また、装置本体は、隣接した複数のリールを有していてもよい。図3は、隣接した2つのリールを有する装置本体の分解斜視図である。2つのリール18a、18bは、各々リールの軸心方向に隣接して配置されている。このように、装置本体12aに複数のリール18a、18bを、隣接して、例えば、直列に設けることにより、複数の線条体11を略同時に繰り出すことができる。
【0027】
リール18aとリール18bとの間には、お互いのリールに摺接し、リール間の摩擦抵抗を調節するための摺接リング34が設けられる。摺接リング34は、例えば、略円形状に形成され、軸体20を挿通する軸体挿通孔を有している。摺接リング34の大きさを変えることにより、リール間の摩擦抵抗を調整することができる。摺接リング34は、例えば、一方のリール18aと他方のリール18bが独立して回転可能な大きさで形成される。一方のリール18aと他方のリール18bとを同じ回転方向に回転させることができるとともに(一方のリール18aと他方のリール18bとを正方向に回転させる)、各々のリール18a、18bを逆の回転方向に回転させることもできる(一方のリール18aを正方向に回転させて他方のリール18bを負方向に回転させる)。このように、複数のリールを独立して回転可能な構成とすることにより、線条体11について、必要な本数を必要な長さだけ繰り出すことができる。
【0028】
図4は、装置本体を収納ケースに収容した状態を示す図である。収納ケース14は、装置本体12を収容可能な大きさで、略矩形状に形成される。収納ケース14は、リサイクル等から段ボール等の紙で形成されることが好ましい。装置本体12は、軸受板22の周縁が収納ケース14の内周面に各々当接して収納ケース14内に収納される。それにより、リール18が収納ケース14内に位置決めされる。また、収納ケース14は、折返し片40、42と、上蓋44とを有しており、折返し片42の挿入孔46に上蓋44の挿入片(図示せず)を挿入することにより収納ケース14が閉じられる。また、上蓋44は、蝶番等により開閉自在に設けられてもよい。
【0029】
収納ケース14は、装置本体12を収容して上蓋44を閉じたときに、リール18の胴部26の外周面と対向する収納ケース14の各面と、リール18における鍔部28の外周面とが最も近接した部位の間隔(クリアランス)が線条体11の外径より小さくなるように形成されることが好ましい。このような大きさで収納ケース14を形成することにより、線条体11が鍔部28を乗り越えて軸体20に絡まることを防止できる。
【0030】
再び、図1に戻り、収納ケース14には、線条体11を繰り出す繰り出し口50が設けられている。繰り出し口50は、略矩形状、例えば、長方形状にリール18の軸心方向に対応する位置に設けられる。また、繰り出し口50の大きさは、鍔部28間の幅以上であり、収納ケース14における側面の間隔(W)以下で形成される。繰り出し口50は、鍔部28間の幅と略同じ幅で形成されることが好ましい。線条体11をリール18の両側、例えば、リール18の両端から繰り出す場合でも、線条体11をリール18の軸心方向内側にスライドさせることなく繰り出せるので、線条体11に負荷される歪を低減することができる。また、線条体11の繰り出し時の損傷を防止するため、繰り出し口50の周縁は、面取りやR付け等されていることが好ましい。
【0031】
繰り出し口50には、フラップ52が揺動可能に設けられている。フラップ52は、その指向方向を線条体繰り出し時のリール18の回転方向(A方向)に対向させて、繰り出し口50におけるリール軸心方向の側縁にリール18における一対の鍔部28の外周面と当接可能に設けられる。リール18にブレーキを掛けたいときに、フラップ52を収納ケース14の内側へ曲げて一対の鍔部28の外周面と当接させることにより摩擦力でリール18を制動することができる。フラップ52は、例えば、収納ケース14に略矩形状にミシン目を設けて、線条体繰り出し装置10の使用時にミシン目を切断して収納ケース14の内側へ折り込んで形成される。
【0032】
フラップ52は、リール軸心方向の幅がリール18の鍔部28間の幅以上であり、一対の軸受板22の間隔以下で形成される。フラップ52は、リール軸心方向の幅がリール18の鍔部28間の幅と略等しく形成されることが好ましい。フラップ52は、その指向方向の長さ(L)がフラップ52を収納ケース14の内側へ折り込んだときにリール18の鍔部28の外周面と当接可能な長さで形成される。
【0033】
図5は、フラップをリールの鍔部に当接させたときの線条体繰り出し装置の断面図である。フラップ52は、フラップ52を収納ケース14の内側へ曲げてリール18の鍔部28と当接させたとき、フラップ52の自由端54がリール18の鍔部28の外周面と当接可能な長さで形成されることが好ましい。フラップ52の自由端54が、フラップ52とリール18の鍔部28との当接点より突出していると、例えば、線条体11でフラップ52を押圧してリール18の鍔部28の外周面に当接させたときに、フラップ52の自由端54で線条体11に余計な応力が負荷されるためである。
【0034】
また、線条体11の繰り出し時に、線条体11でフラップ52を押圧してリール18の鍔部28の外周面に当接させるために、フラップ52は、リール18の鍔部28の外周面に当接したときに、その指向方向がフラップ52とリール18の鍔部28との当接点における接線方向となることが好ましい。線条体11は、フラップ52の傾斜面に沿って当接するので、繰り出し口50のエッジ等での損傷を防止できる。
【0035】
フラップ52は、線条体11で押圧される凸部を有することが好ましい。図6は、凸部を有するフラップを備えた線条体繰り出し装置の断面図である。凸部56は、リール18に対して反対側の面に設けられている。線条体11で凸部56を押圧することにより、フラップ52をリール18の鍔部28の外周面により大きい力で確実に当接させることができる。凸部56は、例えば、リール18の軸心方向に沿って帯状に形成される。また、凸部56は、線条体11の損傷を防止するため、曲率を設けて形成されることが好ましい。
【0036】
フラップ52は、リール18の鍔部28と当接する当接部にゴム材を設けることが好ましい。ゴム材は、一般的に摩擦係数が大きいので、回転しているリール18をより効率よく制動することができる。ゴム材には、例えば、ポリウレタンゴム等が用いられる。
【0037】
なお、繰り出し口50は、収納ケース14とリール18の鍔部28の外周面とが最も近接した位置に対して、線条体11の繰り出し時におけるリール18の回転方向(A方向)の手前側に設けられることが好ましい。例えば、フラップ52の指向方向がフラップ52と鍔部28との当接点における接線方向となる場合において、繰り出し口50を線条体11の繰り出し時におけるリール18の回転方向(A方向)の手前側と反対側に設ける場合よりも、フラップ52の傾斜角度をより大きくできるので、リール18をより効率よく制動することができる。また、収納ケース14の正面とリール18における鍔部28の外周面とが最も近接した位置は、収納ケース14とリール18の鍔部28の外周面との間隔が最も小さいので、フラップ52を収納ケース14の内側へ曲げることが難しい場合があるからである。
【0038】
次に、線条体繰り出し装置10を用いた線条体11の繰り出し方法について説明する。
【0039】
図7は、線条体の繰り出し時における線条体繰り出し装置の斜視図である。まず、線条体繰り出し装置10は、例えば、繰り出し口50が設けられた収納ケース14の面を鉛直方向上側に向けて配置される。線条体繰り出し装置10を最初に使用するときには、フラップ52は、例えば、収納ケース14に設けられたミシン目を手等で収納ケース14の内側へ押し込んで形成される。フラップ52を収納ケース14の内側へ向けて折り曲げることにより、繰り出し口50が形成される。そして、繰り出し口50から線条体11を引き出す。なお、線条体11の繰り出しを行わない時には、粉塵等が収納ケース14内に混入し、線条体11が汚染されることを防止するために、繰り出し口50は、フラップ52で塞がれていることが好ましい。
【0040】
図8は、線条体の繰り出し時における線条体繰り出し装置の断面図である。リール18を停止状態から回転させるため、フラップ52をリール18の鍔部28から離した状態で、例えば、20Nから30Nの繰り出し力で線条体11を繰り出す。そして、リール18のオーバーランを防止するため、線条体11でフラップ52を鉛直方向下側へ押圧してリール18の鍔部28の外周面に当接させてリール18を制動する。図9は、リールの制動時における線条体繰り出し装置の断面図である。繰り出し開始後に高速回転したリール18は、フラップ52と鍔部28との間の摩擦力により制動されて、線条体11の巻き緩みが防止される。
【0041】
リール18の回転速度が減速した後には、線条体11によるフラップ52の押圧を止めてフラップ52をリール18の鍔部28から離間させる。そして、線条体11は、例えば、2Nから10Nのより小さい繰り出し力で繰り出される。リール18と軸受板22との間に設けられた摺接リング24でリール18の摩擦抵抗が調節されているため、繰り出し開始時よりもより小さい繰り出し力で線条体11を繰り出すことができる。
【0042】
線条体11の繰り出し終了時には、線条体11の繰り出しを止めるとともに、図9に示すように線条体11でフラップ52を鉛直方向下側へ押圧してリール18の鍔部28の外周面に当接させてリール18を停止する。それにより、リール18の惰性回転によるオーバーランが抑えられて線条体11の巻き緩みが防止される。
【0043】
なお、上記構成の線条体繰り出し装置10では、繰り出し口50と、フラップ52とは略同じ大きさで形成されているが、繰り出し口50をフラップ52より大きく形成してもよい。図10は、繰り出し口をフラップよりも大きく形成した線条体繰り出し装置の構成を示す断面図である。折込み片60を設けて繰り出し口50を広く形成することにより、線条体11の繰り出し角度をより大きくすることができる。
【0044】
以上、上記構成の線条体繰り出し装置によれば、線条体を備えた装置本体と、装置本体を収納する収納ケースとを有し、装置本体は、収納ケース内に位置決めされ、回転可能に設けられたリールを含み、リールは、線条体が巻回された胴部と、胴部の軸心方向の両側に設けられた一対の鍔部とを有し、収納ケースは、線条体を繰り出す繰り出し口と、繰り出し口に揺動可能に設けられたフラップとを含み、フラップは、指向方向をリール回転方向に対向させて設けられ、リール軸心方向の幅が前記鍔部間の幅と略等しく形成され、一対の鍔部の外周面と当接可能であるので、繰り出し口に設けられたフラップをリールの鍔部に当接させてリールの回転を制動することによりオーバーランを抑制し、リールに巻回された線条体の巻き緩みを防止できる。また、上記構成の線条体繰り出し装置によれば、収納ケースから線条体が巻回されたリール等を取り出さずに線条体を繰り出すことができるので、ケーブル等の敷設作業性がより向上する。
【符号の説明】
【0045】
10、10a 線条体繰り出し装置
11 線条体
12、12a 装置本体
14 収納ケース
18、18a、18b リール
20 軸体
22 軸受板
24、34 摺接リング
26 胴部
28 鍔部
30 軸体挿通孔
32 軸支孔
34 摺接リング
40、42 折返し片
44 上蓋
46 挿入孔
50、50a 繰り出し口
52 フラップ
54 自由端
60 折込み片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線条体を繰り出す線条体繰り出し装置であって、
前記線条体を備えた装置本体と、前記装置本体を収納する収納ケースと、を有し、
前記装置本体は、前記収納ケース内に位置決めされ、回転可能に設けられたリールを含み、
前記リールは、前記線条体が巻回された胴部と、前記胴部の軸心方向の両側に設けられた一対の鍔部と、を有し、
前記収納ケースは、前記線条体を繰り出す繰り出し口と、前記繰り出し口に揺動可能に設けられたフラップと、を含み、
前記フラップは、指向方向を線条体繰り出し時のリール回転方向に対向させて設けられ、リール軸心方向の幅が前記鍔部間の幅と略等しく形成され、前記一対の鍔部の外周面と当接可能であることを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線条体繰り出し装置であって、
前記フラップが前記一対の鍔部の外周面と当接した時に、前記フラップの自由端が前記一対の鍔部の外周面と当接することを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項3】
請求項2に記載の線条体繰り出し装置であって、
前記フラップが前記一対の鍔部の外周面と当接した時に、前記フラップの指向方向が、前記自由端と前記一対の鍔部との当接点における接線方向となることを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の線条体繰り出し装置であって、
前記フラップは、前記線条体で押圧される凸部を有することを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の線条体繰り出し装置であって、
前記繰り出し口は、前記フラップを前記収納ケースの内側に折り込んで形成されることを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の線条体繰り出し装置であって、
前記装置本体は、
前記胴部の軸心方向に形成された軸穴に挿通される軸体と、
前記リール軸心方向の両側に配置され、前記軸体を挿通支持する軸支孔を有する一対の軸受板と、
前記リールと前記軸受板との間に設けられ、前記軸体が挿通される軸挿通孔を有し、前記リールと前記軸受板とに摺接して摩擦調整する一対の摺接リングと、
を有することを特徴とする線条体繰り出し装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の線条体繰り出し装置であって、
前記装置本体は、隣接した複数の前記リールを有することを特徴とする線条体繰り出し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−236668(P2012−236668A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105986(P2011−105986)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】