説明

線状光源装置

【課題】少ない発光素子数で均一な輝度分布を有する線状光源装置を提供する。
【解決手段】線状光源装置は、光ビーム16を放出可能な発光点96であって、光ビームの断面は、長軸92と、長軸に対して垂直であり長軸の長さ以下の長さを有する短軸94と、を有する発光点と、光ビームを導光可能な導光体20であって、光ビームの入射面20aと、入射面の反対の側に設けられた導光体の端面20dと、導光方向に延在した第1の面20bと、第1の面とは反対の側に設けられ導光方向に延在した出射面20cと、を有する導光体と、導光体の第1の面を透過した光ビームを吸収し光ビームの波長よりも長い波長を有する波長変換光を放出可能な蛍光体層30であって、光ビームの断面において長軸を含む直線と交差しない蛍光体層と、を備える。光ビームおよび波長変換光は、出射面から出射可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、線状光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光〜可視光の波長範囲の放出光と、この放出光を吸収した蛍光体が放出する波長変換光と、を混合すると、例えば白色光や電球色を得ることができる。
【0003】
このような発光装置として、例えば、蛍光体粒子が混合され透明樹脂を含む封止層で面発光型の窒化物系発光素子のチップを覆うSMD(Surface Mounted Device:表面実装デバイス)型装置がある。面発光素子を用いると遠視野像の広がり角が大きい。このため、線状導光体などに効率良く入光できない。したがって、この導光体方式では高輝度線状光源装置の実現は困難である。この面発光素子で高輝度線状光源を実現するには、面発光素子を高密度で多数配列する必要が生じる。しかし、この方式ではツブツブの発光を完全に解消して連続な線状発光を実現することが困難である。
【0004】
これに対して、半導体レーザ素子の光ビームの広がり角は小さい。このため、線状導光体の一方の端部に効率よく光ビームを導入することができる。このとき、導光体に沿って連続的に蛍光体層を細線状に設けて、導光している半導体レーザ光で励起する。したがって、この方式では、ツブツブではない連続な線状発光を実現できる。また、素子数も少なくできる優位点もある。しかしながら、入射側である一方の端部側で光ビームが蛍光体層に多く吸収されやすく、導光体の他方の端部へ到達する光ビーム強度が低下し、導光方向に沿って均一な輝度分布とすることが困難となる問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3434726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少ない発光素子数で、均一な輝度分布を有する線状光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態にかかる線状光源装置は、光ビームを放出可能な発光点であって、前記光ビームの断面は、長軸と、前記長軸に対して垂直であり前記長軸の長さ以下の長さを有する短軸と、を有する発光点と、前記光ビームを導光可能な導光体であって、前記光ビームの入射面と、前記入射面の反対の側に設けられた前記導光体の端面と、導光方向に延在した第1の面と、前記第1の面とは反対の側に設けられ前記導光方向に延在した出射面と、を有する導光体と、前記導光体の前記第1の面を透過した前記光ビームを吸収し前記光ビームの波長よりも長い波長を有する波長変換光を放出可能な蛍光体層であって、前記光ビームの前記断面において前記長軸を含む直線と交差しない蛍光体層と、を備え、前記光ビームおよび前記波長変換光は、前記出射面から出射可能である。
【発明の効果】
【0008】
少ない発光素子数で、均一な輝度分布を有する線状光源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図1(b)はF−F線に沿った光ファイバーの断面図、図1(c)はA−A線に沿った導光体の模式断面図、図1(d)はB−B線に沿った導光体端部の模式断面図、である。
【図2】図2(a)は第2の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図2(b)はA−A線に沿った導光体の模式断面図、図2(c)は光ビームの遠視野像を説明する模式図、図2(d)はCAN型パッケージのレーザ装置を部分切断した模式斜視図、である。
【図3】第1および第2の実施形態にかかる線状光源装置の輝度分布を示すグラフ図である。
【図4】図4(a)は比較例にかかる線状光源装置の光ビームの広がりを示す模式図、図4(b)はその模式断面図、図4(c)は比較例にかかる線状光源装置の輝度分布を示すグラフ図、である。
【図5】図5(a)は第2の実施形態の第1変形例の線状光源装置の模式断面図、図5(b)は第2変形例の模式断面図、図5(c)は第3変形例の模式断面図、である。
【図6】図6(a)は第3の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図6(b)はC−C線に沿った部分模式断面図、である。
【図7】図7(a)は垂直方向半値半角が15度、図7(b)は半値半角が10度、図7(c)は半値半角が5度、図7(d)は半値半角が2度、の光ビームのFFPを示す。
【図8】図8(a)はz方向の位置を規格化するための矩形断面導光体の単位長、図8(b)は円形出射面の導光体の単位長、を説明する模式断面図である。
【図9】図9は、z方向位置に対する励起光の輝度依存性を示すグラフ図であり、図9(a)は垂直方向半値半角が15度、図9(b)は半値半角が10度、図9(c)は半値半角が5度、図9(d)は半値半角が2度、における相対輝度を示すグラフ図、である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図1(b)はF−F線に沿った光ファイバーの断面図、図1(c)はA−A線に沿った導光体の模式断面図、図1(d)はB−B線に沿った端部の模式断面図、である。
線状光源装置は、光ファイバー90の出射端面に設けられた発光点96と、導光体20と、蛍光体層30と、を少なくとも有している。
【0011】
導光体20は、発光点96からの光ビーム16の入射面20aと、導光方向22に延在した第1の面20bと、第1の面20bとは反対の側に設けられ導光方向22に延在した出射面20cと、入射面20aとは反対の側となる導光体20の端面20dと、側面20eと、側面20fと、を有する。導光体20は、光ビーム16を反射しつつ、その延在する方向に導光可能である。導光体20を、例えば、透明樹脂(屈折率:1.4〜1.8)やガラスなどの透光性材料からなるものとすると、空気などとの界面で全反射により光ビーム16を導光できる。
【0012】
図1(b)のように、光ファイバー90は、コア90aと、クラッド90bと、を有する。例えば発光素子10からの放出光は、光ファイバー90の一方の端面から入射し、他方の端面(出射端面)から出射する。すなわち、出射端面のうちコア90aの近傍が発光点96となる。第1の実施形態において、発光点96から放出される光ビーム16の断面は、長軸92と、長軸92に対して垂直であり長軸92の長さ以下の長さを有する短軸94と、を有するものとする。
【0013】
蛍光体層30は、導光体20の第1の面20bを透過した光ビーム16を吸収し光ビーム16の波長よりも長い波長を有する波長変換光g2を放出可能である。光ビーム16がInGaAlN系材料を含むものとすると、光ビーム16の波長を紫外〜青色光波長範囲とできる。この場合、蛍光体層30が黄色蛍光体を含むものとすると、混合色として擬似白色光である出射光G1を得ることができる。また、蛍光体層30が赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むものとしても、白色光を得ることができる。なお、蛍光体層30を導光体20にあらかじめ塗布する、あるいは、両者を透明両面テープなどを用いて接着すると線状光源装置の組立工程を簡素にすることができる。
【0014】
線状光源装置は、導光体20の反対の側となる蛍光体層30の面にアルミニウムなどの金属からなる反射材40を有してもよい。反射材40は、蛍光体層30を透過した光ビーム16の一部g1および波長変換光g2を出射面20cに向けて反射可能である。もし、反射材40と蛍光体層30との隙間を小さくできると、反射率をより高めることが容易となる。また、反射材40は、例えば、蛍光体層30の外側に反射率の高い硫酸バリウムなどを塗布した層とすることができる。
【0015】
反射材40は、図1(c)のように、蛍光体層が設けられていない導光体20の側面20e、20fを覆うように設けられてもよい。このようにすると、光ビーム16の一部を吸収して蛍光体層30に生じた熱を、反射材40を介して外部に放熱することが容易となる。なお、側面20e、20fと、反射材40との間に隙間を設けない場合、光ビーム16は主として反射材40の表面で反射され導光方向22に沿って進む。
【0016】
また、図1(c)のように、導光方向22に対して垂直な断面において、導光体20は、矩形であるものとする。なお断面形状はこれに限定されるものではない。また、蛍光体層30は、反射材40と、矩形の導光体20の第1の面20bとの間に設けられるものとする。第1の実施形態において、蛍光体層30は、光ビーム16の長軸92を含む直線と図1(c)の断面において交差しないように設けられることを特徴とする。また、光ビーム16の一部g1および波長変換光g2は、出射面20cから出射し、混合色G1を生成可能である。
【0017】
図1(d)のように、入射面20aの反対の側の端面20dに銀反射シートなどの反射層50を設けると、光ビーム16を導光方向22とは反対の方向に向けて反射し端面20d近傍における輝度を高めることができる。また、光ビーム16が外部に漏れることを抑制でき、安全性が高められる。
【0018】
図2(a)は第2の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図2(b)はA−A線に沿った導光体の模式断面図、図2(c)は光ビームの遠視野像を説明する模式図、図2(d)はCAN型パッケージのレーザ装置を部分切断した模式斜視図、である。
第2の実施形態では、発光装置10から放出された光ビーム16は、導光体20へ入射する。発光素子11は、基板15の上に設けられた半導体積層体12を含む。半導体積層体12は、第1導電形からなる第1の層と、第2導電形からなる第2の層と、第1の層と第2の層との間に設けられた発光層14と、を含む。すなわち、発光点96は、発光装置10内の発光素子11を構成する発光層14の側面のうちの一部の領域である。
【0019】
発光層14は、井戸層と障壁層とを含む多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造とすることができる。MQW構造とすると、発光波長の制御や発光効率の改善が容易となる。
【0020】
また、半導体積層体12は、InGaAl1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなるInGaAlN系材料、In(Ga1−yAl1−xP(0≦x≦1、0≦y≦1)からなるInGaAlP系材料、AlGa1−xAs(0≦x≦1)からなるAlGaAs系材料などとすることができる。なお、これらの材料は、アクセプタやドナーとなる元素をさらに含んでいてもよいものとする。半導体積層体12は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いて形成することができる。
【0021】
蛍光体層30は、発光装置10から離れて設けられ、導光体20の第1の面20bを透過した光ビーム16を吸収し光ビーム16の波長よりも長い波長を有する波長変換光g2を放出可能である。
【0022】
さらに、発光素子11がInGaAlP系材料からなるものとすると、波長変換を行なうことなく、発光層のバンドギャップ波長である緑色〜赤色光の波長範囲の線状光源装置とすることができる。
【0023】
発光素子11は、光ビーム16を透過可能なガラス窓を有するCAN型パッケージからなる実装部材に接着される。発光素子11の電極と、CAN型パッケージのリードとが、ボンディングワイヤなどで接続される。なお、実装部材は、リードフレームと一体となった樹脂成形体などであってもよい。
【0024】
第2の実施形態の線状光源装置に用いる発光素子11は、広がり角が小さい光ビーム16を放出可能である。例えば、発光層14の側面14bから光ビーム16を放出可能な半導体LD(Laser Diode)や端面発光型LED(Light Emitting Diode)などとすることができる。
【0025】
図2(a)の発光素子11をLDとすると、発光層14の側面14bは、光共振器のミラー面とすることが好ましい。光ビーム16は、側面14bに垂直な光軸18に沿って広がりつつ放出される。光ビーム16の断面内の光強度分布は遠視野像(Far Field Pattern)で表す。遠視野像の半値全角を広がり角と呼ぶ。このうち、発光層14の表面14aに対して平行(または水平)方向の広がり角をθh、垂直方向の広がり角をθvで表すものとする。
【0026】
LDの場合、垂直(長軸)方向では発光層14とクラッド層との間で屈折率を制御して光を閉じ込める。また、水平(短軸)方向では、リッジ導波路などを設け横方向のモードを制御する。このように、垂直方向と、水平方向では、光閉じ込め構造が異なる。一般に、発光層14は約0.1μmと薄い。一方で、リッジ導波路の幅は1μm以上である。このため、垂直方向広がり角θvは、フラウンホーファー回折の影響が大きく、通常、水平方向広がり角θhよりも大きくなる。例えば、垂直方向広がりは半値半角(θv/2)で15〜20度、水平方向広がりは半値半角(θh/2)で略5度などとなる。このように絞られた光ビーム16は、導光体20の入射面20aに効率よく入射させることができる。このため、少ない発光素子でも高い輝度を有する線状光源装置とすることができる。また、光ビーム16は、通常、側面14bにおいて、表面14aに平行な方向にTE波(Transverse Electric Wave)の電界成分を有しており、導光方向22に沿って進む。
【0027】
図2(b)に示すように、本明細書において、垂直面SVは、光ビーム16の光軸18を含み、発光層14の表面14aに対して垂直に交差する面と定義する。なお、LDの場合、垂直方向広がり方向は、光ファイバー90の発光点96において、長軸92の方向とすることができる。
【0028】
なお、図1(c)では、長軸92を含む直線は、蛍光体層30の表面30aと略平行であるが、蛍光体層30と交差しなければ平行でなくともよい。発光層14の表面14aに水平な光ビーム成分16h(図2(a)の鎖線)は広がり角が垂直な光ビーム成分16v(破線)よりも小さいので、第1の面20bに設けられた蛍光体層30に入射する回数が少ない。このため、光ビーム成分16hは、入射面20aとは反対の側の端面20dに至るまで光強度を高く保つことが容易であり、蛍光体層30を励起することができる。
【0029】
他方、発光層14の表面14aに垂直な光ビーム成分16v(破線)の広がり角は大きいので、導光体20の側面20e、20fにより全反射される回数が多くなる。しかし、側面20e、20fには蛍光体層が設けられていないため、端面20d近傍まで光ビーム16vが到達可能である。すなわち、導光体20の入射面20aの近傍で蛍光体層30に過剰に吸収されることが抑制でき、導光方向22に沿ってバランスよく蛍光体層30を励起できる。
【0030】
図3は、第1および第2の実施形態にかかる線状光源装置の輝度分布を示すグラフ図である。
縦軸は相対輝度、横軸は入射面20aからの導光方向位置(mm)、である。なお、蛍光体層30の外側には白反射シートなどの反射材40、出射面20cには光拡散シートなどをそれぞれ設けている。このようにすると、光ビーム16が出射面20c以外から漏れることが抑制され、安全性を高めることが容易となる。なお、導光体20の断面サイズは2mm×2mmの矩形、導光方向22に沿った長さは100mmとした。
【0031】
第1およびの実施形態では、入射面20aの近傍と、導光体20の端面20dの近傍と、において輝度が極大となる。輝度極小値は、輝度最大値よりも25%小さかった。輝度を極小値と、端面20d側に生じた最大値と、の間に保てる導光方向22に沿った長さは、導光体20の長さの約88%であった。すなわち、輝度が均一であると言える。なお、図3は、蛍光体層30が黄色蛍光体の場合であるが、赤・緑色蛍光体であっても輝度を均一に保つことが容易である。
【0032】
図4(a)は比較例にかかる線状光源装置の光ビームの広がりを示す模式図、図4(b)はその模式断面図、図4(c)は比較例にかかる線状光源装置の輝度分布を示すグラフ図、である。
導光体20の断面サイズは2mm×2mmの矩形、導光方向に沿った長さは100mmとした。光ビーム116の光軸を含み、発光層の表面に対する垂直面SSVは、蛍光体層30の表面30aに対して略垂直に交差する。すなわち、図2(b)の発光素子を90度回転して配置する。光ビーム116の垂直方向広がり角は、水平方向広がり角よりも大きいので、図4(b)のように、導光体20の入射面20aに近い領域で蛍光体層30に過剰に吸収されやすい。このため、光ビーム116は、導光体20の入射面20aに近い領域で多く吸収され、反対の側の端面20dに近い領域では蛍光体層を励起するのに十分な光強度を保つことができない。
【0033】
このため、輝度最大値BBMは入射面20aの側に生じ、入射面20aから離れるにしたがって徐々に低下した。すなわち、図4(c)のように、最大値BBMと最大値の75%との間の輝度を保つことができる導光方向の長さは、導光体20の長さの約24%と短く均一性の高い線状光源装置とすることが困難であった。
【0034】
図5(a)は第2の実施形態の第1変形例の線状光源装置の模式断面図、図5(b)は第2変形例の模式断面図、図5(c)は第3変形例の模式断面図、である。
導光体20の断面は、矩形でなくともよい。いずれの場合においても、蛍光体層30は、垂直面SVとは交差しないように設けられる。
【0035】
図5(a)において、出射面20cは、垂直面SVよりも上方の上方に向かって凸となる曲面とする。この場合、導光体20は、上方への出射光G2を集光可能な集光レンズとして作用し、輝度を高めることが容易となる。
【0036】
図5(b)では、反射材40は、導光方向22に対して垂直な断面において、第1屈曲部40aおよび第2屈曲部40bを有する。蛍光体層30は、導光体20と第1屈曲部40aとの間に設けられた第1領域30bと、導光体20と第2屈曲部40bとの間に設けられ、第1領域30bと離間した第2領域30cと、を有する。光ビーム16および波長変換光32の反射方向は、第1屈曲部40aと第2屈曲部40bとにおいて異なる。すなわち、出射光G3は、配光方向の中心を2つ有する。この場合、出射面20cは、垂直面SVよりも上方の上方に向かって凸となる曲面とする。また、第1の面20bは、垂直面SVよりも下方の曲面とする。さらに、第1屈曲部40bと、第2屈折部40bと、の傾斜を変えると、配光方向を制御することができる。
【0037】
図5(c)では、導光体20の断面を三角形とする。出射光G4は、三角形の2つの辺の傾きに応じて配光特性の中心を2つ有する。なお、断面形状は三角形に限らず、多角形とすることができる。この場合、第1の面20bは三角形の底辺の側の面、出射面20cは底辺以外の2つの辺の側の面とする。
【0038】
図6(a)は第3の実施形態にかかる線状光源装置の模式斜視図、図6(b)はC−C線に沿った部分模式断面図、である。
線状光源装置は、発光装置10a、10bと、導光体20と、蛍光体層と、を少なくとも有している。
【0039】
図6(a)のように、導光体20は、発光装置10aからの光ビーム16が入射する入射面20aと、導光方向22に延在した第1の面20bと、第1の面20bとは反対の側に設けられ導光方向22に延在した出射面20cと、入射面20aとは反対の側となり、発光装置10bからの光ビーム17が入射する端面20gと、を有する。導光体20は、光ビーム16および光ビーム17を反射しつつ、互いに反対方向に導光する。例えば発光層の表面に対して垂直方向に広がる光ビームは、16v、17vで示される。また、発光層の表面に対して平行方向に広がるビームは16h、17hで示される。
【0040】
第3の実施形態では、導光体20の入射面20aに反射層が設けられず、端面20gにも反射層が設けられない。
【0041】
蛍光体層は、導光体20の第1の面20bに接するように設けられ、第1の面20bを透過した光ビーム16、17を吸収し光ビーム16、17の波長よりも長い波長を有する波長変換光g2を放出可能である。光ビーム16の波長と、光ビーム17の波長と、は、実質的に同じであるものとする。
【0042】
光ビーム16および光ビーム17は、例えばLD光であり、図2(c)のようなFFPをそれぞれ有するものとする。図6(b)のように、光ビーム16は、ガウス分布を示し、強度分布I(θ)の広がり角度は、ランバート分布となる面発光素子の広がり角度よりも狭くできる。しかしながら、導光方向22に沿って進むにつれて、導光体20で反射される領域Sj(j=1、2、3・・・)が広がる。領域Sjにおける輝度は、領域Sj面積に反比例して低下する。すなわち、入射面20aからの距離zと共に輝度が低下する。
【0043】
図7(a)は垂直方向半値半角が15度、図7(b)は垂直方向半値半角が10度、図7(c)は垂直方向半値半角が5度、図7(d)は垂直方向半値半角が2度、の光ビームのFFPを示す。発光装置10a、10bがLDの場合、半値半角(θv/2)を15度以下とすることは容易である。このため、導光体20へ高い効率で入射可能である。
【0044】
図8(a)はz方向の位置を正規化するための矩形断面導光体の単位長、図8(b)は円形出射面の導光体に単位長、を説明する模式断面図である。
蛍光体層30は、発光層の表面に対して垂直であり光ビームの光軸18を含む垂直面と交差しないように設けられる。例えば、図8(a)のように、垂直面は、蛍光体層30に対して略平行に設けることができる。また、図6(a)において、蛍光体層30は、導光体20の面20bに接しつつ、導光方向22に沿って均一に設けることができる。このようにすると、LDの光強度の略5%以上が波長変換光となるか、または、散乱光として出射面20cから放出され、線状光源装置としての要求輝度を満たすことができる。
【0045】
図8(a)は、図6(a)のA−A線に沿った模式断面図である。矩形断面導光体20の場合、入射面20aからの位置zは、導光体20の厚さTSの2分の1の長さをを用いて正規化する。また図8(b)の円形出射面の場合、入射面20aからの位置zは、出射面30cの円の直径であるTCの2分の1を用いて正規化する。
【0046】
図9は、正規化位置zに対する励起光の輝度依存性を示すグラフ図である。すなわち、図9(a)は垂直方向半値半角(θv/2)が15度、図9(b)は垂直方向半値半角が10度、図9(c)は垂直方向半値半角が5度、図9(d)は垂直方向半値半角が2度、における相対輝度を示すグラフ図、である。
縦軸はシミュレーションにより求められた相対輝度、横軸は正規化位置zである。すなわち、位置z=0は入射面20a、位置z=500は端面20g、を示す。
【0047】
光ビーム16はz=0から入射し、光ビーム17はz=500から入射する。光ビーム16による励起光の輝度を破線、光ビーム17による励起光の輝度を鎖線で示す。また。全体の輝度は、実線で示す。また、励起光の5%が蛍光体層30に吸収され、波長変換光を放出するものとする。
【0048】
半値半角が15度である図9(a)の場合、入射面20a近傍および端面20dの近傍に輝度の最大値を生じる。また、中央部近傍に輝度の極小値を生じる。輝度の極小値は、最大値の略48%と低いので、線状光源として十分とは言えない。
【0049】
他方、半値半角が10度である図9(b)の場合、輝度極小値は、最大値の略70%であり、均一となる。また、半値半角が5度である図9(c)の場合、輝度極小値は最大値の略93%とより均一とできる。すなわち、半値半角が5度近傍がより好ましい。
【0050】
半値半角が2度と狭い図9(d)の場合、輝度の最大値は、導光体20の中央近傍となる。入射面20aの近傍、および端面20gの近傍にそれぞれ僅かな極小を生じる。半値半角を2度よりも小さくすると、導光体20への入射角度精度を高めることが必要となる。また、光ビーム16、17が入射してから導光体20の面へ到達するまでの距離が長くなり、入射面20aおよび端面20dの近傍で輝度がさらに低下し始め、輝度が均一な位置zの範囲が狭くなる。このように、半値半角は、2度以上、10度以下、とすることが好ましい。
【0051】
なお、半値半角を小さくすれば輝度を均一とする位置zの範囲を広くできるので、発光装置10を一方の側のみに設けてもよい。例えば、図9(d)において、光ビーム16による励起光輝度(破線)が最大値の70%以上となる位置zの範囲は、20〜500と広いので線状光源装置として用いることができる。
【0052】
また、図9(c)において、励起光輝度が最大値の70%以上となる位置zの範囲は、10〜260であり、この範囲で均一な輝度の線状光源装置として用いることができる。さらに図9(b)において、励起光輝度が最大値の70%以上となる位置zの範囲は、0〜130であり、この範囲で均一な輝度の線状光源装置として用いることができる。
【0053】
第1〜第3の実施形態およびこれらに付随した変形例にかかる線状光源装置を用いると、発光素子の光ビームを効率よく導光体へ入射可能であり、かつ輝度分布が均一な面線状状光源装置を得ることができる。また、発光素子としてLDを用いると、光ビームを効率よく導光体に導入できるので、発光素子の数が低減され線状光源装置の消費電力の低減が容易である。
【0054】
またこのような線状光源装置からの出射光G1、G2、G3、G4を面状の導光板の側面に沿って入射すると、面状光源装置とすることが容易である。このような面状光源装置は、画像表示装置のバックライト、高輝度照明装置、高輝度表示装置などに広く用いることができる。
【0055】
以上、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。本発明を構成する導光体、蛍光体層、発光素子、反射材、などの材質、形状、サイズ、配置などに関して、当業者が各種設計変更を行ったものであっても、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0056】
10 発光装置、11 発光素子、12 半導体積層体、14 発光層、14a 発光層の表面、14b 発光層の側面、16、16v、16h 光ビーム、17、17v、17h 光ビーム、18 光軸、20 導光体、20a 入射面、20b 第1の面、20c 出射面、20d、20g、 端面、20e 側面、20f 側面、22 導光方向、30 蛍光体層、30b 第1領域、30c 第2領域、40 反射材、40a 第1屈曲部、40b 第2屈曲部、50 反射層、90 光ファイバー、92 長軸、94 短軸、96 発光点、g1 光ビーム、g2 波長変換光、G1、G2、G3、G4 出射光、θv 垂直方向広がり角、θh 水平(または平行)方向広がり角、SV 光軸を含み発光層の表面に対する垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを放出可能な発光点であって、前記光ビームの断面は、長軸と、前記長軸に対して垂直であり前記長軸の長さ以下の長さを有する短軸と、を有する発光点と、
前記光ビームを導光可能な導光体であって、前記光ビームの入射面と、前記入射面の反対の側に設けられた前記導光体の端面と、導光方向に延在した第1の面と、前記第1の面とは反対の側に設けられ前記導光方向に延在した出射面と、を有する導光体と、
前記導光体の前記第1の面を透過した前記光ビームを吸収し前記光ビームの波長よりも長い波長を有する波長変換光を放出可能な蛍光体層であって、前記光ビームの前記断面において前記長軸を含む直線と交差しない蛍光体層と、
を備え、
前記光ビームおよび前記波長変換光は、前記出射面から出射可能であることを特徴とする線状光源装置。
【請求項2】
前記発光点は、発光素子からの放出光を導光した光ファイバーの出射端面の領域の一部とされ、
前記放出光は前記発光層の表面に対して垂直な方向が前記長軸の延在する方向であることを特徴とする請求項1記載の線状光源装置。
【請求項3】
前記発光点は、発光素子の発光層の側面の領域の一部とされ、
前記光ビームは、前記発光層の表面に対して垂直な方向が前記長軸の延在する方向であることを特徴とする請求項1記載の線状光源装置。
【請求項4】
前記導光体の前記端面に設けられた反射層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の線状光源装置。
【請求項5】
前記導光体とは反対の側となる前記蛍光体層の面を覆うように設けられ、前記光ビームと前記波長変換光とを前記出射面に向けて反射可能な反射材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の線状光源装置。
【請求項6】
前記反射材は、前記導光方向に対して垂直な断面において、第1屈曲部および第2屈曲部を有し、
前記蛍光体層は、前記導光体と前記第1屈曲部との間に設けられた第1領域と、前記導光体と前記第2屈曲部との間に設けられ、前記第1領域と離間した第2領域と、を有し、
前記光ビームおよび前記波長変換光の反射方向は、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部において異なることを特徴とする請求項5記載の線状光源装置。
【請求項7】
前記導光体は、前記導光方向に対して垂直な断面において、矩形、多角形、前記出射面が凸となる形状、のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の線状光源装置。
【請求項8】
前記発光素子の前記垂直な方向への広がりは、半値半角において2度以上、10度以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の線状光源装置。
【請求項9】
前記発光素子は、第1の発光素子と、第2の発光素子と、を含み、
前記第1の発光素子の光ビームは、前記入射面から前記導光体へ導入され、
前記第2の発光素子の光ビームは、前記端面から前記導光体へ導入されることを特徴とする請求項8記載の線状光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−29794(P2013−29794A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208198(P2011−208198)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】