説明

線状光源装置

【課題】線状光源装置の湾曲を抑制すること。
【解決手段】線状光源装置1は、細長い長方形状の配線基板10と、配線基板10上に直線状に配置された発光素子11と、各発光素子毎に配線基板10上に配置されたリフレクタ12と、発光素子11を封止する封止樹脂13と、リフレクタ12上に配置された蛍光体板14と、によって構成されている。各リフレクタ12にまたがるようにして蛍光体板14を設けたことにより、封止樹脂13の熱収縮による配線基板10への応力が緩和され、線状光源装置1の湾曲を防止することができるとともに、線状光源装置1の色むらを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が線状に配置された光源装置であり、小型の液晶表示パネルのバックライト光源などに利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデジタルカメラの液晶表示パネルのバックライト光源として、導光板と、導光板の側面に配置される線状光源装置(たとえば特許文献1)とを有した光源が知られている。
【0003】
この線状光源装置は、細長い長方形状で配線パターンが形成されたプリント基板と、プリント基板上にプリント基板の長手方向に沿って離間して複数配置され、プリント基板の配線パターンと接続された発光素子と、各発光素子の長手方向の一方と他方にそれぞれ設けられ、傾斜面を有したリフレクタと、各発光素子を封止する封止樹脂と、によって構成されている。
【0004】
このような線状光源装置では、封止樹脂を熱硬化させる際に収縮が生じ、線状光源装置が下側(プリント基板の発光素子実装側の面から反対側の面の方向)に凸に湾曲してしまう。その結果、導光板への密着性が低下し、導光板への光入射効率が低下する。
【0005】
そこで、特許文献2では、線状光源装置の湾曲を防止するために、ある発光素子に対して設けられたリフレクタと、隣接する他の発光素子に対して設けられたリフレクタとを連続させるのではなく、溝を設けて分離している。この溝によって、封止樹脂の収縮による応力を緩和し、湾曲を防止している。
【0006】
また、特許文献3には、配線パターンが形成された基板と、基板上に離間して複数配置され、配線パターンと接続された発光素子と、各発光素子を囲う様にして配置され、発光素子側に傾斜面を有したリフレクタと、発光素子を封止する封止樹脂とによって構成された光源装置において、封止樹脂として透明樹脂を用い、封止樹脂上に蛍光体層を設けた光源装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−235139
【特許文献2】特開2006−120691
【特許文献3】特開2006−100441
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2の方法では、湾曲を防止する効果が十分でなく、湾曲して導光板との密着性が低下し、導光板への光入射効率が低下してしまい、バックライト光源の輝度が低下してしまう。
【0009】
そこで本発明の目的は、線状光源装置において、より効果的に湾曲を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、長方形状で配線パターンが形成された配線基板と、配線基板上に配線基板の長手方向に沿って直線状に複数配置され、配線基板の配線パターンと接続された発光素子と、各発光素子の長手方向の一方と他方にそれぞれ傾斜面を有し、各発光素子ごとに分離されて配置されたリフレクタと、各発光素子を封止する封止樹脂と、を有した線状光源装置において、すべての前記発光素子上部に位置するよう、各前記リフレクタ上にまたがるようにして接触して配置された蛍光体板を有し、各発光素子上部において蛍光体板と封止樹脂とが空気層を介することで非接触である、ことを特徴とする線状光源装置である。
【0011】
蛍光体板は、蛍光体を混合したガラス、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂などからなる板状のものである。また、蛍光体板は、配線基板よりも剛性の大きい材料からなることが望ましい。より線状光源装置の湾曲を抑制することができるからである。また、本発明の線状光源装置の蛍光体板と導光板の側面とを接触させて面状光源装置とする場合には、蛍光単板は導光板よりも屈折率の低い材料であることが望ましい。導光板への光入射効率を向上させることができるからである。
【0012】
発光素子の発光波長や蛍光体板に混合された蛍光体の蛍光波長は、所望の線状光源装置の発光色に基づいて任意の組み合わせを用いることができる。たとえば、線状光源装置の発光色を白色とする場合には、発光素子として青色発光のIII 族窒化物半導体発光素子を用い、蛍光体として青色によって励起される黄色蛍光体を用いることができる。
【0013】
封止樹脂は、透明であることが望ましい。ここでいう透明とは発光素子の発光波長に対して透過率が高いことを意味する。封止樹脂を透明とすることで、線状光源装置の色むらを抑制することができる。また、封止樹脂はリフレクタに接触しないようにすることが望ましい。接触しないようにすることで、封止樹脂の熱収縮による応力が弱まり、線状光源装置の湾曲を抑制することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、蛍光体板は、剛性が配線基板よりも大きいことを特徴とする線状光源装置である。
【0015】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、封止樹脂は、リフレクタに接触していないことを特徴とする線状光源装置である。
【0016】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、封止樹脂は、透明樹脂であることを特徴とする線状光源装置である。
【0017】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明において、蛍光体板は、蛍光体を混合したガラス、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂であることを特徴とする線状光源装置である。
【0018】
第6の発明は、導光板と、導光板の側面に発光面を向けて配置された第1の発明から第5の発明の線状光源装置とを有した面状光源装置において、線状光源装置は、導光板の側面と、線状光源装置の蛍光体板が接触するよう配置され、蛍光体板の屈折率は、導光板の屈折率以下である、ことを特徴とする面状光源装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の線状光源装置によれば、各リフレクタにまたがるようにして蛍光体板を設けたことにより、線状光源装置の湾曲を防止することができるとともに、色むらを抑制することができる。また、発光素子上部において蛍光体板と封止樹脂とが空気層を介して非接触の状態としたので、本発明の線状光源装置を導光板と組み合わせて面状光源装置とした場合に、導光板に熱が伝わりにくくなり、導光板の劣化を防止することができる。また、封止樹脂の量が従来よりも少量で済むため、線状光源装置の湾曲をより抑制することができる。
【0020】
また、第2の発明によれば、線状光源装置の湾曲をより抑制することができる。
【0021】
また、第3の発明によれば、封止樹脂の熱収縮により生じる応力が弱くなるため、線状光源装置の湾曲もより抑制することができる。
【0022】
また、第4の発明によれば、線状光源装置の色むらをさらに抑制することができる。
【0023】
また、本発明の面状光源装置によれば、導光板への光入射効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の線状光源装置の構成を示した断面図。
【図2】実施例1の線状光源装置の構成を示した斜視図。
【図3】実施例2の面状光源装置の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1は、実施例1の線状光源装置1の構成を示した断面図、図2は斜視図である。図1、2のように、実施例1の線状光源装置1は、細長い長方形状の配線基板10と、配線基板10上に直線状に配置された発光素子11と、各発光素子毎に配線基板10上に配置されたリフレクタ12と、発光素子11を封止する封止樹脂13と、リフレクタ12上に配置された蛍光体板14と、によって構成されている。
【0027】
配線基板10は、FR−5基板であり、ガラス布基材エポキシ樹脂からなる。他にもFR−4基板なども用いることができる。配線基板10の表面には、配線パターンが形成されており、その配線パターンと発光素子11とがボンディングワイヤ(図示しない)を介して接続されている。配線基板10は、細長い長方形状である。
【0028】
発光素子11は、青色発光のIII 族窒化物半導体からなるフェイスアップ型のLEDである。発光素子11は、配線基板10上に、配線基板10の長手方向に沿って直線状に複数配置されている。また、配線基板10の配線パターンと発光素子11のn電極、p電極(いずれも図示しない)とが、ボンディングワイヤ(図示しない)を介して接続されている。
【0029】
なお、実施例1では発光素子11をフェイスアップ型として配線基板10にワイヤボンディングしているが、発光素子11はフリップチップ型や縦方向に導通をとる構造のものを用いてもよい。
【0030】
リフレクタ12は、配線基板10上に、各発光素子11ごとに溝15によって分離されて設けられている。リフレクタ12は、たとえばポリフタルアミド、液晶ポリマ、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる。リフレクタ12は、線状光源装置1の長手方向において発光素子11を挟んで対向する2つの部分12a、bからなり、それぞれの部分12a、bは、発光素子11側に配線基板10の主面に対して傾斜した傾斜面16a、bを有している。傾斜面16a、bは、発光素子11上方側を上に見て逆ハの字型となるような傾斜角度を有している。この傾斜面16a、bによって発光素子11からの光を上方に反射させることによって、線状光源装置1の輝度を高めるとともに輝度のムラを低減している。
【0031】
封止樹脂13は、透明なシリコーン樹脂からなり、発光素子11を封止するよう形成されている。封止樹脂13として他にもエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。この封止樹脂13は、発光素子11およびボンディングワイヤを保護するためのものである。また、封止樹脂13は、リフレクタ12に接触しないように形成されていて、全体として半円柱状である。封止樹脂13は、粘性を有したシリコーン樹脂をポッティングしたのち、熱処理して硬化させることにより形成する。この熱処理に際して、シリコーン樹脂は収縮するため、配線基板10に、配線基板10の発光素子11実装側から裏面側に向かって凸状に湾曲させるような応力を発生させる。
【0032】
なお、封止樹脂13は必ずしも透明である必要はなく、蛍光体や反射材などが混合されていてもよいが、線状光源装置1の色むらを抑制することができるので透明とすることが望ましい。
【0033】
蛍光体板14は、青色光によって励起されて黄色の蛍光を発する黄色蛍光体が混合されたガラスからなる。ガラスの他に、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などの樹脂材料を用いてもよい。蛍光体板14は各リフレクタ12上に接着剤や両面テープなどによって接着されて配置されていて、すべての発光素子11の上部に位置している。また、発光素子11の上部において、封止樹脂13と蛍光体板14とは接触していない。そのため、配線基板10、リフレクタ12の傾斜面16a、b、封止樹脂13、蛍光体板14で囲まれた空間は空気層17となっている。
【0034】
次に、線状光源装置1の動作について説明する。配線基板10の配線パターンを介して各発光素子11に電流が流れると、各発光素子11から青色光が放射状に出射し、一部は封止樹脂13、空気層17を介して蛍光体板14に達し、他の一部は封止樹脂13、空気層17を介してリフレクタ12の傾斜面16a、bに達し、傾斜面16a、bに反射されて蛍光体板14に達する。これにより発光素子11からの青色光は拡散し、各発光素子11が線状に配置されているため青色光も線状に拡散する。蛍光体板14に達した青色光は、一部はそのまま透過し、一部は蛍光体板14中の黄色蛍光体を励起して黄色光を発する。蛍光体板14を透過した青色光と、黄色蛍光体の励起による黄色光とが混色されて、線状光源装置1は、線状の白色光を発する。
【0035】
この実施例1の線状光源装置1では、各リフレクタ12にまたがるようにして蛍光体板14を設けたことにより、封止樹脂13の熱収縮による配線基板10への応力が緩和され、線状光源装置1の湾曲を防止することができるとともに、線状光源装置1の色むらを抑制することができる。なお、このような理由から、蛍光体板14は、配線基板10よりも剛性が大きいことが望ましい。より線状光源装置1の湾曲を抑制することができる。剛性は、配線基板10および蛍光単板14の厚さや、材料の弾性率によって決まるため、これらを制御することで蛍光単板14の方が配線基板10よりも剛性が大きくなるようにすることができる。
【0036】
また、封止樹脂13は、リフレクタ12に接触せず、蛍光単板14にも接触していない。そのため、封止樹脂13の量が従来よりも少量で済み、封止樹脂13の熱収縮による応力が弱まるため、線状光源装置の湾曲をより抑制することができる。また、発光素子11上部において蛍光体板14と封止樹脂13とが空気層17を介して非接触の状態としたので、実施例1の線状光源装置1を導光板と組み合わせて面状光源装置とした場合に、導光板に熱が伝わりにくくなり、導光板の劣化を防止することができる。
【実施例2】
【0037】
図3は、実施例2の面状光源装置の構成を示した図である。実施例2の面状光源装置は、矩形の導光板2と、導光板2の側面に配置された実施例1の線状光源装置1とによって構成されている。線状光源装置1と導光板2は、導光板2の側面2aと、線状光源装置1の蛍光体板14とが接触するように枠体(図示しない)によって固定されている。また、線状光源装置1の蛍光体板14は、導光板2よりも屈折率の低い、もしくは同じ屈折率の材料を用いている。導光板2には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
【0038】
実施例2の面状光源装置では、湾曲の抑制された実施例1の線状光源装置1を用いているため、導光板2への光入射効率が高く、面状に高輝度に発光させることができる。また、実施例1の線状光源装置1において封止樹脂13と蛍光体板14との間に空気層17があるため、発光素子11の発する熱が導光板2へと伝導しにくく、導光板2の熱による劣化を抑制することができる。また、蛍光体板14の屈折率が導光板2の屈折率よりも低いため、蛍光体板14から導光板2への光入射効率が高く、より高輝度に面状発光させることができる。
【0039】
なお、実施例1の線状光源装置1では、発光素子11として青色光のLEDを用い、蛍光体板14に混合する蛍光体として黄色蛍光体を用い、線状光源装置1の発色光を白色とするものであったが、発光素子11の発光色および蛍光体の蛍光色はこれらに限るものではなく、任意の発光色と任意の蛍光色を組み合わせて任意の発光色を得るものであってよい。たとえば、発光素子として紫外発光LEDを用い、蛍光体板14に混合する蛍光体として赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3つを用いることで、線状光源装置1の発色光を白色とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の線状光源装置は、導光板と組み合わせて面状光源装置として、携帯電話やデジタルカメラなどの小型の液晶表示パネルのバックライト光源として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:線状光源装置
2:導光板
10:配線基板
11:発光素子
12:リフレクタ
13:封止樹脂
14:蛍光体板
15:溝
16a、b:傾斜面
17:空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状で配線パターンが形成された配線基板と、前記配線基板上に前記配線基板の長手方向に沿って直線状に複数配置され、前記配線基板の配線パターンと接続された発光素子と、前記各発光素子の長手方向の一方と他方にそれぞれ傾斜面を有し、前記各発光素子ごとに分離されて配置されたリフレクタと、前記各発光素子を封止する封止樹脂と、を有した線状光源装置において、
すべての前記発光素子上部に位置するよう、各前記リフレクタ上にまたがるようにして接触して配置された蛍光体板を有し、
各前記発光素子上部において前記蛍光体板と前記封止樹脂とが空気層を介することで非接触である、
ことを特徴とする線状光源装置。
【請求項2】
前記蛍光体板は、剛性が前記配線基板よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。
【請求項3】
前記封止樹脂は、リフレクタに接触していないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の線状光源装置。
【請求項4】
前記封止樹脂は、透明樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の線状光源装置。
【請求項5】
前記蛍光体板は、蛍光体を混合したガラス、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の線状光源装置。
【請求項6】
導光板と、導光板の側面に発光面を向けて配置された請求項1ないし請求項5に記載の線状光源装置とを有した面状光源装置において、
前記線状光源装置は、前記導光板の側面と、前記線状光源装置の前記蛍光体板が接触するよう配置され、
前記蛍光体板の屈折率は、前記導光板の屈折率以下である、
ことを特徴とする面状光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−69424(P2013−69424A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205196(P2011−205196)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】