線状照明源
【課題】複合曲面を有する成形屈折物品により、線状対象または面状対象の実質的に一様な照明を光源により行う。
【解決手段】屈折物品31は、入力縁または入力面33と、出力縁または出力面34と、を具備することができ、入力縁または入力面は少なくとも部分的に光源35を包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチ36またはキャビティを有し、ノッチまたはキャビティは光源によって対象の実質的に一様な照射を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する。物品はまた、光源を光学的に結合し、少なくとも部分的に光源を包囲することができ、光源による対象領域の実質的に一様な照明を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を備えることができる。たとえば、照明装置、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイにおいて、成形物品を用いることができる。
【解決手段】屈折物品31は、入力縁または入力面33と、出力縁または出力面34と、を具備することができ、入力縁または入力面は少なくとも部分的に光源35を包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチ36またはキャビティを有し、ノッチまたはキャビティは光源によって対象の実質的に一様な照射を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する。物品はまた、光源を光学的に結合し、少なくとも部分的に光源を包囲することができ、光源による対象領域の実質的に一様な照明を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を備えることができる。たとえば、照明装置、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイにおいて、成形物品を用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードをはじめとする光源、ポイント・トゥ・ライン・ライト・コンバータおよびポイント・トゥ・プレイン・ライト・コンバータ、照明装置、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな用途は、線光源と呼ぶ1次元に延びている光源を必要とする。簡単な例は、標識、室内照明、ディスプレイの背面照明または前面照明のために用いられるスラブ型導波路の入力縁を照射するために一般に用いられる冷陰極管(CCFT)である。コストおよびエネルギー効率を削減するために、CCFT源を発光ダイオード(LED)または小さな白熱電球などの離散的または点状の光源(すなわち、主光線が概ね点から発する光源)と交換し、これらの光源からの光を線に沿って拡散する方法を用いることが望ましい。光の拡散方法としては、ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、長軸に沿ったプリズム特徴部を備えたバーまたは円筒形状のライトガイドからなるポイント・トゥ・ライン・コンバータを用いることが挙げられ、特許文献1(ブラッキングトン(Blackington))、特許文献2(タイ(Tai)ら、’929)、特許文献3(タイ(Tai)ら、’913)、特許文献4(タイ(Tai)ら、’661)に記載されている。そのような方法は、内部全反射に左右される傾向にあり、内部全反射の失敗のために光の50%程度が失われ、非能率的であることが多い。別の方法は、たとえば、ライトガイドを通って伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を組み込むことによって、線に沿って拡散散乱を用いる。これらの拡散散乱方法は一般に、非一様であり、効率が低く、散乱機構の波長依存性によって生じる色合いを帯びる。他のポイント・トゥ・ライン・コンバータは、特許文献5〜8に示されている。
【0003】
一部の用途は、面光源と呼ばれる2次元に延びている光源を必要とする。たとえば、バックライトおよび1つ以上のLEDのためのポイント・トゥ・プレイン・コンバータが特許文献9に示されており、ライトパイプが特許文献10に示されている。
【0004】
シカゴ大学(University of Chicago)のR・ウィンストン(R.Winston)らによる複数の論文は、「nonimaging optics(非結像光学)」および太陽光集光器の設計に関する非結像光学の利用について述べている。たとえば、非特許文献1を参照されたい。非特許文献2は、非結像光学と、照明において用いるための成形反射体の利用について述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,528,617号明細書
【特許文献2】米国特許第5,506,929号明細書
【特許文献3】米国特許第5,688,913号明細書
【特許文献4】米国特許第5,835,661号明細書
【特許文献5】米国特許第4,751,615号明細書
【特許文献6】米国特許第5,163,748号明細書
【特許文献7】米国特許第5,613,751号明細書
【特許文献8】米国特許第5,901,266号明細書
【特許文献9】米国特許第6,139,163号明細書
【特許文献10】米国特許第5,309,544号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Proceedings of SPIE Conference 2538,Nonimaging Optics:Maximum Efficiency Light Transfer III,R.Winston編(International Society for Optical Engineering,カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA),1995年7月開催)
【非特許文献2】http://hep.uchicago.edu/solar/light.htmlにおいてインターネットで公開中の「New Reflectors for Illumination(照射用の新しい反射体)」と題したD・ジェンキンズ(D.Jenkins) R・ウィンストン(R.Winston)による論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に光源自体が非一様な光出力または非対称な光出力を有する場合には、既存のポイント・トゥ・ライン・コンバータ装置およびポイント・トゥ・プレイン・コンバータ装置は、常に十分に一様な光出力を提供するわけではない。ディスプレイの観察者によって見られる光出力の一様さを改善するために、これらのコンバータ装置は、下流側の構成要素(たとえば、ディスプレイにおけるバックライトまたはフロントライト)に依存しなければならないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、1つ以上の点状光源から対象線(照明ターゲットの線)または対象面(照明ターゲットの面)に光の実質的に一様な分布を提供する成形屈折物品を発見した。対象線を照明する場合には、成形物品は一般に薄く、実質的に2次元であり、ポイント・トゥ・ライン変換を行うことができる。対象面を照明する場合には、成形物品は一般により厚く、実質的に3次元であり、ポイント・トゥ・プレイン変換を行うことができる。対象は、屈折物品の一部であってもよく、または物品から遠い位置に位置してもよい。屈折物品における対象線または対象面の照明を「対象形相(ターゲット・アスペクト)」の照明と呼ぶ。屈折物品から遠い対象線または対象面の照明を「対象領域(ターゲット・リージョン)」の照明と呼ぶ。「対象(ターゲット)」なる語は、対象形相または対象領域を総称して呼ぶために用いる。
【0009】
一態様において、本発明の屈折物品は、入力縁または入力面と、出力縁または出力面と、を具備し、入力縁または入力面は少なくとも部分的に光源を包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチまたはキャビティを有し、ノッチまたはキャビティは光源によって対象の実質的に一様な照明を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する。ノッチまたはキャビティは2つの部品に分割される場合には、各部品は対象付近に光源に対して凹面をなしている第1の曲線部分と、光源に対して凸面をなしている対象からさらに遠い位置にある第2の曲線部分と、を有し、第2の曲線部分は対象長さの単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されていることが好ましい。
【0010】
別の態様において、本発明の屈折物品は、光源に光学的に結合し、光源を少なくとも部分的にカプセル化し、光源による対象領域の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を有する。このような後者の屈折物品は、光源に対して凸面をなし、光源に対して凹面をなしている第2の曲線部分によって少なくとも部分的に包囲される出力縁または出力面の第1の曲線部分を有し、第2の曲線部分は、対象面積の単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されていることが好ましい。
【0011】
別の態様において、本発明は、光源を用いて対象を照明するための方法を提供し、光源による対象の実質的に一様な照明を行うために形成された第1および第2の逆符号の曲線部分を有する縁または面を備えた屈折物品によって光源からの光を屈折することを含み、第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されている。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、曲線部分によって屈折される光源からの光による対象の実質的に一様な照明を行うために成形屈折物品の曲線部分を設計するための方法を提供する。この方法は、以下の式、すなわち
【0013】
【数1】
【0014】
に実質的に従う曲線部分の形成ステップを含み、その際デカルト座標空間において、x軸が対象に平行であり、y軸が対象に垂直であり、光源が原点であり、式中、
(xs,y)は曲線部分上の点の位置であり、
θ2は位置(xs,y)における光線の屈折率であり、
n1は光源と曲線部分との間の屈折率であり、
n2は光源と対象との間の屈折率であり、
αは位置(xs,y)におけるx軸に対する曲線部分の角度であり、
θ0はy軸に対して光源からの光線によって形成される角度であり、
xfはx軸に沿った対象上の点の位置であり、
dはy軸に沿った光源から対象までの距離であり、
dI0/dθ2は光源からの光の分布であり、
CはI00/2xf0に等しい対象上の点における所望の照度であり、
I00は光源の総光学出力パワーであり、そして
xf0はx軸に沿って測定された対象の半分の長さである。
【0015】
本発明はまた、1つ以上の上述の屈折物品を具備する照明装置、フロントライト、バックライト、ディスプレイを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、長軸に沿ってプリズム特徴部を有する従来のライトガイドの概略側面図である。
【図2】ライトガイドを通って伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を有する従来のライトガイドの概略側面図である。
【図3】本発明の屈折物品の部分側面図である。
【図4】少なくとも2つの逆符号の曲率を有する曲線部分を有するキャビティの拡大部分側面図である。
【図5】図4のキャビティに関する角度関係を示している。
【図6】ノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図7】点光源または幅1mmのLEDを包囲する図6のように形成されたキャビティを含む本発明の屈折物品を用いた長さ30mmの対象の照明に関する光線追跡シミュレーションを示すグラフである。
【図8】別のノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図9】ランベルト光源に関するノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図10】ノッチおよび反射体を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図11】ノッチおよび線光源を有する本発明の別の屈折物品の斜視図である。
【図12】ノッチおよびプリズム光操作特徴部および拡散光操作特徴部を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図13a】図12の物品のプリズム特徴部の部分の拡大上面図である。
【図13b】図13aのプリズム特徴部を備えている場合と備えていない場合の図12の物品を通過する光線に関する光線追跡シミュレーションを示すグラフである。
【図14】非円対称のキャビティを有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図15】光源に光学的に結合され、光源を包囲する本発明の屈折物品の外端または外面の2分の1を示すグラフである。
【図16】図15の屈折物品の部分側面図である。
【図17】ノッチ、反射体および成形拡散体を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに図1を参照すると、従来のプリズムライトガイド11は、ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、その長軸に沿ってプリズム特徴部を有する。光源15から光線13などの光線は、ライトガイド17に入り、ファセット19などのファセットによってディスプレイ(図1には図示せず)に向かって反射される。内部全反射によって反射されるのではなく、プリズムを通過する光線13aなどの光線は、ディスプレイを照明するために用いることができない損失光を示している。
【0018】
次に図2を参照すると、従来のライトガイド21は、ライトガイドを伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を有する。光源25から光線23などの光線は、ライトガイド27に入り、拡散粒子29などの拡散粒子によってディスプレイ(図2には図示せず)に向かって反射される。ディスプレイから離れた望ましくない方向に拡散物品によって散乱される光線23aなどの光線は、ディスプレイを照明するために用いることができない損失光を示している。
【0019】
図3は、対象形相を形成する入力縁または入力面33および出力縁または出力面34を有する材料32の透明なスラブの形態の本発明の屈折物品31の断面側面図を示している。物品31が薄くて実質的に2次元である場合には、特徴部33は入力縁であり、特徴部34は出力縁であり、対象形相は本質的に線分である。物品31がより厚くて実質的に3次元である場合には、特徴部33は入力面であり、特徴部34は出力面であり、対象形相は面の一部である。簡単にするために、物品31は薄く、特徴部33は入力縁であり、特徴部34は出力縁であり、対象形相は線分である実施形態について説明する。物品31は、入力縁33に沿って位置する1つ以上の特に形成されたノッチ36を有し、その中に点状光源35(たとえば、LED)からの光が指向される。対象形相をさらに一様に照明するために、出力縁34は、その長さに沿って拡散面またはバルク拡散体を有する。光源35からの光は、ノッチ36の曲線部分で出力縁34の方に屈折される。ノッチ36は、直線状に一様であるように、出力縁34の長さに沿って光源35からの光の最適な伝達を行うように特に形成されているため、光源35による出力縁34の実質的に一様な照明を提供する。たとえば、図3に示されているベル状のノッチ36は、その出力が角度に対して一様である点光源からの光を、出力縁34によって形成される対象形相に沿ってその出力が位置に対して一様である線光源に変換する。ノッチの形状により、長い長さにわたって対象の一様な照明を提供し、線光源の代わりに1つまたは複数の点光源を利用することができる。
【0020】
図3のノッチが、図4にさらに詳細に示されている。ノッチ41は、仮想の中線42を有する。ノッチ41の一般的な形状は一般に、中線42に対して対称であるが、所望であれば非対称な直線照射を実現するために、または非対称な光源に適合させるために、非対称な形状を用いてもよい。光源とノッチ41との間に空気が存在する。ノッチ41の半分はそれぞれ、(照射の途切れを回避するために)変曲点48において滑らかに接合する2つの逆符号の曲線部分44、46を有する。ここで、図3および図4の両方を参照すると、曲線部分44は光源35に対して凹面である。曲線部分46は光源35に対して凸面である。対象に対する曲線の瞬間角度をαと呼び、一般に90°未満である。
【0021】
以下の式は、ノッチの形状を生成するために用いられる。
【0022】
【数2】
【0023】
式中、n2は屈折物品の屈折率であり、n1は光源と屈折物品との間の媒質の屈折率である。図5を参照すると、残りの式の値は以下のように定義されることができる。図5において、x軸は対象に平行であり、一般に屈折物品31の入力縁33にも平行である。y軸は対象に垂直であり、ノッチ41の中線と一致する。光源35は、原点にある。対象は、光源35から距離dである。光源35と屈折物品31との媒質が空気である場合には、n1=1であり、n2は単にnと呼ばれる。次に、ノッチ41の曲線部分が、ノッチ41の内部と屈折物品31との間の空気/媒質界面を提供し、x軸に対して角度αをなす。光源35からの光線は、y軸に対して角度θ0をなし、入射角θ1および位置(xs,y)で屈折物品31の空気/媒質界面に当たる。屈折物品31における屈折角は、θ2である。
【0024】
具体的な設計が屈折率nおよび距離dの値と、任意の2つの残りの関連変数を選択することによって、上記の式から生じる。次に、式は、ノッチの高さyをその横方向の範囲xsの関数として決定する。既知の照度分布dI0/dθ2から対象に沿った一様な光分布を得るために、位置xfは式
【0025】
【数3】
【0026】
によってθ0に関連付けることができる。ここで、Cは所望の照度C=I00/2xf0であり、I00は光源の総光学出力パワーであり、xf0は所望の光分布の線の2分の1長さである。設計目的は、特定の長さを照明するために必要な光源の数を最小限に抑えるために、xf0を最大にすることである。
【0027】
本発明の一実施形態において、ノッチは、dI0/dθ0がθ0に関して一定である理想的な点光源からの光線を線分に沿ってほぼ一様に分布される光によって照明されることになっている対象に向かって指向するように設計される。次に、xfおよびθ0は、式xf0θ0/90によって線形に関連付けられる。この判断基準から生じるノッチ設計は、n=1.49、d=5mm、xf0=15mmの場合に関して、図6の曲線62によって示される。この設計の利用によって、点光源は光源から5mmの位置にある長さ30mmの対象を実質的に均一に照明する。
【0028】
図6の設計の場合の光線追跡シミュレーションが、図7の曲線72として示されている。図7に示されているように、対象は、幅30mmのスパンにわたって、言い換えればノッチの幅の10倍の横方向の範囲にわたって、きわめて一様な照明を受光する。対象に沿った光強度は、平均照度の約±20%以内である。
【0029】
図7の曲線74は、ノッチの入射口の中心の1/3にわたって延在する幅1mmの光源に関する光線追跡である。このような光源は、曲線72によって表される理想的な点光源より一般のLEDを代表している。曲線74によって示されているように、対象は依然として、幅30mmのスパンにわたって、言い換えれば光源の幅の30倍およびノッチの幅の10倍の横方向の範囲にわたって、平均照度の約±20%以内の光強度のきわめて一様な照明を受光する。
【0030】
図7の結果は、理想的な点光源および幅1mmの光源の両方の場合に関して、光源の見かけのサイズを著しく拡大し、対象は高度の一様性で照明されることを示している。したがって、これらの設計により、線光源をLEDなどの1つ以上のはるかに小さい光源によって交換することが容易になる。
【0031】
本発明の別の実施形態において、光源は、光源の照度がcos2(θ0)として変化するランベルト光分布を有することができる。上記の式を用いて、θ0とxfとの関係は、
【0032】
【数4】
【0033】
となり、修正された光分布を考慮するためにノッチの形状の再計算を行うことができる。d=5mmおよびxf0=9mmの場合、ランベルト光源のノッチの一面に関して生じる形状が、図8の曲線82によって示されている。理想的な点光源と比較すると、高い値のθ0では照度が弱くなるため、ランベルト光源に対して凸面をなしているノッチの部分において、より高度の曲率が必要である。
【0034】
当業者は、本発明は、図6〜図8に関連して説明した光源分布の実施例に限定されるわけではないことを十分に理解されたい。上記の示した式を利用することによって、光源出力が他の方法で変化する実施例に適合させるために、ノッチ形状を容易に変更することができる。
【0035】
ノッチの内部が空気ではなく、低い屈折率の媒質で満たされている実施例を含むように、上記の式をさらに一般化することができる。一般に、n1>n2の本発明の実施形態の場合には、対象は対象形相であるため、屈折物品の一部である。しかし、所望であれば、対象は屈折物品から遠い位置にある対象領域であってもよい。このような場合には、光は屈折物品と対象との間の第3の媒質を通過し、一般に3つの屈折率、すなわちn1(ノッチの内部における媒質)、n2(屈折物品)、n3(屈折物品と対象領域との間の媒質)が適用可能である。このような場合には、屈折物品の出力縁または出力面は、実質的に線状または面状である必要はなく、代わりに対象領域における光分布の一様性を改善するように(たとえば、必要に応じて曲線をなすように)形成されることができる。当業者は、第3の屈折率および出力縁または出力面の形状を考慮して、本願明細書で示されている式を修正することができ、それによってノッチの所望の形状を計算することができることを十分に理解されたい。
【0036】
対象は対象形相である実施形態の場合には、一般に適用可能な屈折率は2つのみであり、屈折率n1の媒質は光源と曲面との間に位置し、屈折率n2の媒質は曲面と対象形相との間に位置する。一般に、屈折率n1が屈折率n2より小さければ、一様な照明を実現するために、ノッチの曲率は高い値のθ0で光源に対して凸面をなし、低い値のθ0で凹面をなしていることが好ましい。この関係の例として、d=5mm、xf0=13mm、n1=1.35、n2=1.65、理想的な点光源の場合のノッチ形状が、図9において曲線92によって示されている。このアプローチにより、光源をカプセル化するために、屈折率n1の硬化可能な透明媒質の利用が容易になり、それにより、ノッチの中心に対する光源の配置の持続性および精度を改善する。
【0037】
開放端を有するノッチを含む本発明の実施形態の場合には、他の方法ではノッチ界面を外す可能性がある光を利用するために、反射面は、光源の上および下の両方に位置することが好ましい。これは、図10に示されており、入力縁103と、対象形相を形成する出力縁は104と、ノッチ106と、を有する屈折物品101は、ノッチの上および下に反射体108を備えている。
【0038】
本発明は、2次元の範囲において小さい光源または屈折物品に限定されているわけではない。光源およびノッチを規定する媒質は、たとえば、ノッチの面に対して垂直に延在していてもよい。このように、図11に示されているように、細長い屈折物品111において対象形相を形成する一様に照明される平面出力面114を形成するために、光源として蛍光灯115などの実質的に線状の光源を用いることができる。
【0039】
本発明の別の実施形態において、光を対象に向かってさらに再指向して、対象に対する垂線から測定される出射角を減少させるために、出力縁または出力面にプリズムを取り付けるか、または他の方法で設けることができる。これが図12に示されており、屈折物品121は、入力縁123と、出力縁124と、ノッチ126と、を有する。出力縁124は、一連のプリズム127を備えている。プリズム127は、光線129などの光源(図12には図示せず)からの光線を対象領域129に対する垂線に向かってさらに屈折する。図12に示されているような出力縁124のみが、その端部領域に沿ってプリズムを有する。一般に、このような両端の光源のみが再指向を必要とするためである。しかし、所望の出力光分布に応じて、出力縁124全体がプリズムを含むことができる。また、照明の一様性をさらに改善するために、たとえば、対象129に達する光線の経路において、拡散体を物品121に追加することができる。拡散体は、粗いプリズム面、拡散体材料のコーテッドフィルム、拡散体コーティングを有する接着フィルム、拡散体材料の接着フィルムまたは拡散材料の射出成形層をはじめとするさまざまな形態をとることができる。所望の照明分布を実現するために、拡散体の拡散率(たとえば厚さ)は、その長さに沿って変化させることができる。所望の光分布を実現するために、拡散体の拡散率はまた、面対象にわたって2次元以上において変化させることができる。
【0040】
図13aは、プリズム127およびプリズム127を通過する光線129の経路をさらに拡大した状態で示している。(プリズムの線に関して測定した)プリズム出射ファセット132に関する好ましいファセット角度p2は、約85°であり、約88°であればさらに好ましい。他のプリズムファセット131は、プリズム出射ファセット132に入射する平均光線に平行であるファセット角度p1を有することが好ましい。所望であれば、角度p1、p2は、対象形相124の長さに沿って変化させることができる。
【0041】
図12の設計に関する光線追跡シミュレーションは、図13bにおいて、曲線134(図13aのプリズム特徴部がない場合)および曲線136(図13aのプリズム特徴部がある場合)として示されている。図13bにおいて、水平軸はy軸に対する角度における光線出射角であり、垂直軸は任意の単位における相対照度である。シミュレーションは、p2=88°およびn=1.49を用いた。角度p1は、ファセット131が面132に入射する平均光線に実質的に平行であるように設定された。プリズムの効果は、約40〜70°の出射角の光線を、代わりに約40〜60°の出射角であるようにずらすことである。
【0042】
本発明の別の実施形態において、照明の均一性に作用するために、屈折物品121のバルクをわずかに拡散性であるように作製することができる。たとえば、物品121に拡散粒子を配置することにより、これを実現することができる。
【0043】
さらに説明する実施形態は、2次元において均一に形成されるノッチの形状を含んでいる。ノッチの中心軸を中心にして2次元のノッチ形状を回転することにより、ノッチ設計を3次元までさらに拡張することができ、それにより円筒キャビティを形成する。最も簡単な場合には、回転は円対称であり、出力において結果として生じる光パターンは円形で一様である。一般に、拡散面まで一定の距離dで、xf0の値は、一様に照明される楕円領域を生成するように2つの直交軸に関して選択されてもよい。次に、これらの値は、これらの軸に関して所望のノッチ形状を設計するために用いられる。次いで、必要なキャビティを形成するために、1つの軸に沿った形状を滑らかに回転して直交形状にすることができる。そのような実施形態の例が図14に示されており、面対象144に楕円領域の一様な照明を形成するために、屈折物品141は、適切な光源(図14には図示せず)と共に用いることができる非円対称のキャビティ146(仮想線で示す)を有する。
【0044】
本発明の実施形態はまた、n1<n2の実施形態に限定されるわけではない。n2>n1の実施形態に関する設計も同様に行うことができる。いずれの類の実施形態も一定の利点を提供する。n1>1およびn2=1の実施形態は、光源に光学的に接合され(それによって光源をカプセル化する)、空中において用いられるレンズによって具体化される。レンズは、光源からの光線を再指向して光源から距離dの位置にある実質的に線状または面状の対象領域の実質的に一様な照明を行う。一般に、n2>n1の本発明の実施形態の場合には、対象は対象領域であるため、屈折物品の一部ではない。このような対象は、屈折物品に対して遠い位置にあり、屈折率n2の媒質による屈折によって、屈折物品からの光を受光する。屈折率n1の媒質は光源と曲面との間に位置し、屈折率n2の媒質は曲面と対象との間に位置する。対象は、スラブ状のレンズの場合にはたとえば細長い領域であり、レンズの面に垂直な方向に延在している2次元のレンズ形状の場合には実質的には矩形領域であり、またはレンズの中心軸を中心にして回転されるレンズ形状の場合には円形領域である可能性がある。(楕円形の対象を一様に照明するキャビティを生成するための一連のノッチの回転の場合には)たとえば、上記で説明した回転技術を用いることによって、楕円形の対象領域を照明するようにレンズを作製することができる。
【0045】
一般に、n2がn1より大きい場合には、対象の一様な照明を実現するために、レンズの曲率は高い値のθ0で光源に対して凹面であり、低い値のθ0で凸面であることが好ましい。この関係の例として、d=5mm、xf0=20mm、n1=1.58、n2=1、理想的な点光源の場合のレンズ形状が、図15において曲線152によって示されている。このようなレンズの実施例(LEDまたは他の小さな光源において用いる場合には小さいサイズであるために、「小型レンズ(lenslet)」と呼ぶことが可能である)が、図16において小型レンズ161として示される。小型レンズ161は、光源165に対して凸面をなしている第1の面部分163を有する外面162を備えている。第2の面部分164は、光源165に対して凹面をなし、面部分163を包囲する。小型レンズ161の外側から見ると、第1の面部分163は凹面であり、第2の面部分164は凸面である。第1の面部分163および第2の面部分164は、光源165による対象領域166の実質的に一様な照明を行うように形成されている。このアプローチにより、小型レンズ161を形成して光源165を包囲するために、屈折率n1の硬化可能な透明媒質の利用が容易になり、それにより、光源の配置における持続性および精度を改善する。
【0046】
本発明の別の実施形態が図17に示されており、光は、入力縁173におけるノッチ176と、ノッチ176の上および下にある反射体178と、光出力縁174と、を有する屈折スラブ171に入射される。LED(図17には図示せず)からの光は、スラブ171および光出力縁174によって、成形拡散体179に向かって屈折される。拡散体179の端部における薄い方の領域179a、179bは、拡散体179の厚い方の中央領域179cより小さい範囲の角度にわたって光を分散する。厚い方の領域179cはまた、薄い方の領域179a、179bより少ない光を透過する。成形拡散体179は、ノッチの中線付近で光を分散するのを助け、それにより、対象領域180のより一様な光分布を提供する。拡散体はまた、光源からの光の角度分布をランダム化するように作用し、照明の一様性を改善する。
【0047】
本発明の成形照明装置により、幅wの小さい点状の光源からの光を実質的により大きい幅(たとえば、少なくとも5wであり、少なくとも10wであればさらに好ましく、約15〜約20wであれば最も好ましい)の大きい実質的に線状または面状の対象の実質的に一様な照明を行うために用いることができる。対象内部の点における照明の強度は、平均対象強度値の約±50%以内であれば好ましく、約±20%以内であればさらに好ましく、約±10%以内であれば最も好ましい。
【0048】
一般に、本発明の成形屈折物品は、照明の十分な一様性を実現すると同時に、小さな点状の光源からの光を変換することが望ましい任意の用途が見つかるであろう。たとえば、さまざまな照明装置において、本発明の成形屈折物品を用いることができる。代表的な用途としては、室内の照明、業務用の照明、懐中電灯、警告灯、計測器、センサ、広告、自動販売機、信号機などの交通用途、自動車の計器、尾灯、方向指示器、中央の高い位置に搭載された停止灯などの車両用途、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイなどの電子用途が挙げられる。本発明の成形屈折物品は、小さなバッテリによって電源が供給される超小型または小型の照明装置に特に有用である。適切な装置としては、携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、自動車のディスプレイなどが挙げられる。このような装置におけるディスプレイは、さまざまなカラーまたはモノクロ反射のライトバルグを用いて作製されることができる。たとえば、ディスプレイは、コンパック・アイパック(COMPAQiPAQTM)ポケットPCにおいて用いられているディスプレイのような反射カラーLCDであってもよい。本発明の成形屈折物品は、ポスターまたは標識などの一定のグラフ上の図案または(ジリコン・メディア(Gyricon Media Inc.))による開発中の)「ジリコン(Gyricon)」電子ディスプレイ材料などの可変外観基板または他の反射ディスプレイであってもよい。また、本願と同日出願された同時係属出願中の特許出願(代理人整理番号56153USA5A.002)に記載されている「フロントライト型ディスプレイ(FRONTLIT DISPLAY)」などのディスプレイまたは2001年4月6日出願の同時係属出願番号第09/827,732号明細書に記載されている「フロントライト照明型タッチパネル(FRONTLIT ILLUMINATED TOUCH PANEL)」などの照明型タッチパネルを照明するために、成形屈折物品を用いることができる。成形反射物品は、2つ以上の光源、たとえば3つ以上のLEDを具備することができる。対象を照明するために、カラー光源のアレイ(たとえば1つ以上の赤、緑、青の各LED)と共に成形反射物品を用いることができ、アレイの光源は連続的またはストロボアドレス指定機構を用いて電子的にエネルギーが印加される。
【0049】
本発明のさまざまな修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者には明白であろう。本発明は、上記の例示の実施形態に制限されるわけではないことを理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードをはじめとする光源、ポイント・トゥ・ライン・ライト・コンバータおよびポイント・トゥ・プレイン・ライト・コンバータ、照明装置、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな用途は、線光源と呼ぶ1次元に延びている光源を必要とする。簡単な例は、標識、室内照明、ディスプレイの背面照明または前面照明のために用いられるスラブ型導波路の入力縁を照射するために一般に用いられる冷陰極管(CCFT)である。コストおよびエネルギー効率を削減するために、CCFT源を発光ダイオード(LED)または小さな白熱電球などの離散的または点状の光源(すなわち、主光線が概ね点から発する光源)と交換し、これらの光源からの光を線に沿って拡散する方法を用いることが望ましい。光の拡散方法としては、ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、長軸に沿ったプリズム特徴部を備えたバーまたは円筒形状のライトガイドからなるポイント・トゥ・ライン・コンバータを用いることが挙げられ、特許文献1(ブラッキングトン(Blackington))、特許文献2(タイ(Tai)ら、’929)、特許文献3(タイ(Tai)ら、’913)、特許文献4(タイ(Tai)ら、’661)に記載されている。そのような方法は、内部全反射に左右される傾向にあり、内部全反射の失敗のために光の50%程度が失われ、非能率的であることが多い。別の方法は、たとえば、ライトガイドを通って伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を組み込むことによって、線に沿って拡散散乱を用いる。これらの拡散散乱方法は一般に、非一様であり、効率が低く、散乱機構の波長依存性によって生じる色合いを帯びる。他のポイント・トゥ・ライン・コンバータは、特許文献5〜8に示されている。
【0003】
一部の用途は、面光源と呼ばれる2次元に延びている光源を必要とする。たとえば、バックライトおよび1つ以上のLEDのためのポイント・トゥ・プレイン・コンバータが特許文献9に示されており、ライトパイプが特許文献10に示されている。
【0004】
シカゴ大学(University of Chicago)のR・ウィンストン(R.Winston)らによる複数の論文は、「nonimaging optics(非結像光学)」および太陽光集光器の設計に関する非結像光学の利用について述べている。たとえば、非特許文献1を参照されたい。非特許文献2は、非結像光学と、照明において用いるための成形反射体の利用について述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,528,617号明細書
【特許文献2】米国特許第5,506,929号明細書
【特許文献3】米国特許第5,688,913号明細書
【特許文献4】米国特許第5,835,661号明細書
【特許文献5】米国特許第4,751,615号明細書
【特許文献6】米国特許第5,163,748号明細書
【特許文献7】米国特許第5,613,751号明細書
【特許文献8】米国特許第5,901,266号明細書
【特許文献9】米国特許第6,139,163号明細書
【特許文献10】米国特許第5,309,544号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Proceedings of SPIE Conference 2538,Nonimaging Optics:Maximum Efficiency Light Transfer III,R.Winston編(International Society for Optical Engineering,カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA),1995年7月開催)
【非特許文献2】http://hep.uchicago.edu/solar/light.htmlにおいてインターネットで公開中の「New Reflectors for Illumination(照射用の新しい反射体)」と題したD・ジェンキンズ(D.Jenkins) R・ウィンストン(R.Winston)による論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に光源自体が非一様な光出力または非対称な光出力を有する場合には、既存のポイント・トゥ・ライン・コンバータ装置およびポイント・トゥ・プレイン・コンバータ装置は、常に十分に一様な光出力を提供するわけではない。ディスプレイの観察者によって見られる光出力の一様さを改善するために、これらのコンバータ装置は、下流側の構成要素(たとえば、ディスプレイにおけるバックライトまたはフロントライト)に依存しなければならないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、1つ以上の点状光源から対象線(照明ターゲットの線)または対象面(照明ターゲットの面)に光の実質的に一様な分布を提供する成形屈折物品を発見した。対象線を照明する場合には、成形物品は一般に薄く、実質的に2次元であり、ポイント・トゥ・ライン変換を行うことができる。対象面を照明する場合には、成形物品は一般により厚く、実質的に3次元であり、ポイント・トゥ・プレイン変換を行うことができる。対象は、屈折物品の一部であってもよく、または物品から遠い位置に位置してもよい。屈折物品における対象線または対象面の照明を「対象形相(ターゲット・アスペクト)」の照明と呼ぶ。屈折物品から遠い対象線または対象面の照明を「対象領域(ターゲット・リージョン)」の照明と呼ぶ。「対象(ターゲット)」なる語は、対象形相または対象領域を総称して呼ぶために用いる。
【0009】
一態様において、本発明の屈折物品は、入力縁または入力面と、出力縁または出力面と、を具備し、入力縁または入力面は少なくとも部分的に光源を包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチまたはキャビティを有し、ノッチまたはキャビティは光源によって対象の実質的に一様な照明を行うように形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する。ノッチまたはキャビティは2つの部品に分割される場合には、各部品は対象付近に光源に対して凹面をなしている第1の曲線部分と、光源に対して凸面をなしている対象からさらに遠い位置にある第2の曲線部分と、を有し、第2の曲線部分は対象長さの単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されていることが好ましい。
【0010】
別の態様において、本発明の屈折物品は、光源に光学的に結合し、光源を少なくとも部分的にカプセル化し、光源による対象領域の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を有する。このような後者の屈折物品は、光源に対して凸面をなし、光源に対して凹面をなしている第2の曲線部分によって少なくとも部分的に包囲される出力縁または出力面の第1の曲線部分を有し、第2の曲線部分は、対象面積の単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されていることが好ましい。
【0011】
別の態様において、本発明は、光源を用いて対象を照明するための方法を提供し、光源による対象の実質的に一様な照明を行うために形成された第1および第2の逆符号の曲線部分を有する縁または面を備えた屈折物品によって光源からの光を屈折することを含み、第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で対象を照明するように形成されている。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、曲線部分によって屈折される光源からの光による対象の実質的に一様な照明を行うために成形屈折物品の曲線部分を設計するための方法を提供する。この方法は、以下の式、すなわち
【0013】
【数1】
【0014】
に実質的に従う曲線部分の形成ステップを含み、その際デカルト座標空間において、x軸が対象に平行であり、y軸が対象に垂直であり、光源が原点であり、式中、
(xs,y)は曲線部分上の点の位置であり、
θ2は位置(xs,y)における光線の屈折率であり、
n1は光源と曲線部分との間の屈折率であり、
n2は光源と対象との間の屈折率であり、
αは位置(xs,y)におけるx軸に対する曲線部分の角度であり、
θ0はy軸に対して光源からの光線によって形成される角度であり、
xfはx軸に沿った対象上の点の位置であり、
dはy軸に沿った光源から対象までの距離であり、
dI0/dθ2は光源からの光の分布であり、
CはI00/2xf0に等しい対象上の点における所望の照度であり、
I00は光源の総光学出力パワーであり、そして
xf0はx軸に沿って測定された対象の半分の長さである。
【0015】
本発明はまた、1つ以上の上述の屈折物品を具備する照明装置、フロントライト、バックライト、ディスプレイを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、長軸に沿ってプリズム特徴部を有する従来のライトガイドの概略側面図である。
【図2】ライトガイドを通って伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を有する従来のライトガイドの概略側面図である。
【図3】本発明の屈折物品の部分側面図である。
【図4】少なくとも2つの逆符号の曲率を有する曲線部分を有するキャビティの拡大部分側面図である。
【図5】図4のキャビティに関する角度関係を示している。
【図6】ノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図7】点光源または幅1mmのLEDを包囲する図6のように形成されたキャビティを含む本発明の屈折物品を用いた長さ30mmの対象の照明に関する光線追跡シミュレーションを示すグラフである。
【図8】別のノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図9】ランベルト光源に関するノッチまたはキャビティ形状の2分の1を示すグラフである。
【図10】ノッチおよび反射体を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図11】ノッチおよび線光源を有する本発明の別の屈折物品の斜視図である。
【図12】ノッチおよびプリズム光操作特徴部および拡散光操作特徴部を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図13a】図12の物品のプリズム特徴部の部分の拡大上面図である。
【図13b】図13aのプリズム特徴部を備えている場合と備えていない場合の図12の物品を通過する光線に関する光線追跡シミュレーションを示すグラフである。
【図14】非円対称のキャビティを有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【図15】光源に光学的に結合され、光源を包囲する本発明の屈折物品の外端または外面の2分の1を示すグラフである。
【図16】図15の屈折物品の部分側面図である。
【図17】ノッチ、反射体および成形拡散体を有する本発明の屈折物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに図1を参照すると、従来のプリズムライトガイド11は、ライトガイドを通って伝搬する光を反射して再指向するために、その長軸に沿ってプリズム特徴部を有する。光源15から光線13などの光線は、ライトガイド17に入り、ファセット19などのファセットによってディスプレイ(図1には図示せず)に向かって反射される。内部全反射によって反射されるのではなく、プリズムを通過する光線13aなどの光線は、ディスプレイを照明するために用いることができない損失光を示している。
【0018】
次に図2を参照すると、従来のライトガイド21は、ライトガイドを伝搬する光を分散して再指向するために、ライトガイド内部に拡散特徴部を有する。光源25から光線23などの光線は、ライトガイド27に入り、拡散粒子29などの拡散粒子によってディスプレイ(図2には図示せず)に向かって反射される。ディスプレイから離れた望ましくない方向に拡散物品によって散乱される光線23aなどの光線は、ディスプレイを照明するために用いることができない損失光を示している。
【0019】
図3は、対象形相を形成する入力縁または入力面33および出力縁または出力面34を有する材料32の透明なスラブの形態の本発明の屈折物品31の断面側面図を示している。物品31が薄くて実質的に2次元である場合には、特徴部33は入力縁であり、特徴部34は出力縁であり、対象形相は本質的に線分である。物品31がより厚くて実質的に3次元である場合には、特徴部33は入力面であり、特徴部34は出力面であり、対象形相は面の一部である。簡単にするために、物品31は薄く、特徴部33は入力縁であり、特徴部34は出力縁であり、対象形相は線分である実施形態について説明する。物品31は、入力縁33に沿って位置する1つ以上の特に形成されたノッチ36を有し、その中に点状光源35(たとえば、LED)からの光が指向される。対象形相をさらに一様に照明するために、出力縁34は、その長さに沿って拡散面またはバルク拡散体を有する。光源35からの光は、ノッチ36の曲線部分で出力縁34の方に屈折される。ノッチ36は、直線状に一様であるように、出力縁34の長さに沿って光源35からの光の最適な伝達を行うように特に形成されているため、光源35による出力縁34の実質的に一様な照明を提供する。たとえば、図3に示されているベル状のノッチ36は、その出力が角度に対して一様である点光源からの光を、出力縁34によって形成される対象形相に沿ってその出力が位置に対して一様である線光源に変換する。ノッチの形状により、長い長さにわたって対象の一様な照明を提供し、線光源の代わりに1つまたは複数の点光源を利用することができる。
【0020】
図3のノッチが、図4にさらに詳細に示されている。ノッチ41は、仮想の中線42を有する。ノッチ41の一般的な形状は一般に、中線42に対して対称であるが、所望であれば非対称な直線照射を実現するために、または非対称な光源に適合させるために、非対称な形状を用いてもよい。光源とノッチ41との間に空気が存在する。ノッチ41の半分はそれぞれ、(照射の途切れを回避するために)変曲点48において滑らかに接合する2つの逆符号の曲線部分44、46を有する。ここで、図3および図4の両方を参照すると、曲線部分44は光源35に対して凹面である。曲線部分46は光源35に対して凸面である。対象に対する曲線の瞬間角度をαと呼び、一般に90°未満である。
【0021】
以下の式は、ノッチの形状を生成するために用いられる。
【0022】
【数2】
【0023】
式中、n2は屈折物品の屈折率であり、n1は光源と屈折物品との間の媒質の屈折率である。図5を参照すると、残りの式の値は以下のように定義されることができる。図5において、x軸は対象に平行であり、一般に屈折物品31の入力縁33にも平行である。y軸は対象に垂直であり、ノッチ41の中線と一致する。光源35は、原点にある。対象は、光源35から距離dである。光源35と屈折物品31との媒質が空気である場合には、n1=1であり、n2は単にnと呼ばれる。次に、ノッチ41の曲線部分が、ノッチ41の内部と屈折物品31との間の空気/媒質界面を提供し、x軸に対して角度αをなす。光源35からの光線は、y軸に対して角度θ0をなし、入射角θ1および位置(xs,y)で屈折物品31の空気/媒質界面に当たる。屈折物品31における屈折角は、θ2である。
【0024】
具体的な設計が屈折率nおよび距離dの値と、任意の2つの残りの関連変数を選択することによって、上記の式から生じる。次に、式は、ノッチの高さyをその横方向の範囲xsの関数として決定する。既知の照度分布dI0/dθ2から対象に沿った一様な光分布を得るために、位置xfは式
【0025】
【数3】
【0026】
によってθ0に関連付けることができる。ここで、Cは所望の照度C=I00/2xf0であり、I00は光源の総光学出力パワーであり、xf0は所望の光分布の線の2分の1長さである。設計目的は、特定の長さを照明するために必要な光源の数を最小限に抑えるために、xf0を最大にすることである。
【0027】
本発明の一実施形態において、ノッチは、dI0/dθ0がθ0に関して一定である理想的な点光源からの光線を線分に沿ってほぼ一様に分布される光によって照明されることになっている対象に向かって指向するように設計される。次に、xfおよびθ0は、式xf0θ0/90によって線形に関連付けられる。この判断基準から生じるノッチ設計は、n=1.49、d=5mm、xf0=15mmの場合に関して、図6の曲線62によって示される。この設計の利用によって、点光源は光源から5mmの位置にある長さ30mmの対象を実質的に均一に照明する。
【0028】
図6の設計の場合の光線追跡シミュレーションが、図7の曲線72として示されている。図7に示されているように、対象は、幅30mmのスパンにわたって、言い換えればノッチの幅の10倍の横方向の範囲にわたって、きわめて一様な照明を受光する。対象に沿った光強度は、平均照度の約±20%以内である。
【0029】
図7の曲線74は、ノッチの入射口の中心の1/3にわたって延在する幅1mmの光源に関する光線追跡である。このような光源は、曲線72によって表される理想的な点光源より一般のLEDを代表している。曲線74によって示されているように、対象は依然として、幅30mmのスパンにわたって、言い換えれば光源の幅の30倍およびノッチの幅の10倍の横方向の範囲にわたって、平均照度の約±20%以内の光強度のきわめて一様な照明を受光する。
【0030】
図7の結果は、理想的な点光源および幅1mmの光源の両方の場合に関して、光源の見かけのサイズを著しく拡大し、対象は高度の一様性で照明されることを示している。したがって、これらの設計により、線光源をLEDなどの1つ以上のはるかに小さい光源によって交換することが容易になる。
【0031】
本発明の別の実施形態において、光源は、光源の照度がcos2(θ0)として変化するランベルト光分布を有することができる。上記の式を用いて、θ0とxfとの関係は、
【0032】
【数4】
【0033】
となり、修正された光分布を考慮するためにノッチの形状の再計算を行うことができる。d=5mmおよびxf0=9mmの場合、ランベルト光源のノッチの一面に関して生じる形状が、図8の曲線82によって示されている。理想的な点光源と比較すると、高い値のθ0では照度が弱くなるため、ランベルト光源に対して凸面をなしているノッチの部分において、より高度の曲率が必要である。
【0034】
当業者は、本発明は、図6〜図8に関連して説明した光源分布の実施例に限定されるわけではないことを十分に理解されたい。上記の示した式を利用することによって、光源出力が他の方法で変化する実施例に適合させるために、ノッチ形状を容易に変更することができる。
【0035】
ノッチの内部が空気ではなく、低い屈折率の媒質で満たされている実施例を含むように、上記の式をさらに一般化することができる。一般に、n1>n2の本発明の実施形態の場合には、対象は対象形相であるため、屈折物品の一部である。しかし、所望であれば、対象は屈折物品から遠い位置にある対象領域であってもよい。このような場合には、光は屈折物品と対象との間の第3の媒質を通過し、一般に3つの屈折率、すなわちn1(ノッチの内部における媒質)、n2(屈折物品)、n3(屈折物品と対象領域との間の媒質)が適用可能である。このような場合には、屈折物品の出力縁または出力面は、実質的に線状または面状である必要はなく、代わりに対象領域における光分布の一様性を改善するように(たとえば、必要に応じて曲線をなすように)形成されることができる。当業者は、第3の屈折率および出力縁または出力面の形状を考慮して、本願明細書で示されている式を修正することができ、それによってノッチの所望の形状を計算することができることを十分に理解されたい。
【0036】
対象は対象形相である実施形態の場合には、一般に適用可能な屈折率は2つのみであり、屈折率n1の媒質は光源と曲面との間に位置し、屈折率n2の媒質は曲面と対象形相との間に位置する。一般に、屈折率n1が屈折率n2より小さければ、一様な照明を実現するために、ノッチの曲率は高い値のθ0で光源に対して凸面をなし、低い値のθ0で凹面をなしていることが好ましい。この関係の例として、d=5mm、xf0=13mm、n1=1.35、n2=1.65、理想的な点光源の場合のノッチ形状が、図9において曲線92によって示されている。このアプローチにより、光源をカプセル化するために、屈折率n1の硬化可能な透明媒質の利用が容易になり、それにより、ノッチの中心に対する光源の配置の持続性および精度を改善する。
【0037】
開放端を有するノッチを含む本発明の実施形態の場合には、他の方法ではノッチ界面を外す可能性がある光を利用するために、反射面は、光源の上および下の両方に位置することが好ましい。これは、図10に示されており、入力縁103と、対象形相を形成する出力縁は104と、ノッチ106と、を有する屈折物品101は、ノッチの上および下に反射体108を備えている。
【0038】
本発明は、2次元の範囲において小さい光源または屈折物品に限定されているわけではない。光源およびノッチを規定する媒質は、たとえば、ノッチの面に対して垂直に延在していてもよい。このように、図11に示されているように、細長い屈折物品111において対象形相を形成する一様に照明される平面出力面114を形成するために、光源として蛍光灯115などの実質的に線状の光源を用いることができる。
【0039】
本発明の別の実施形態において、光を対象に向かってさらに再指向して、対象に対する垂線から測定される出射角を減少させるために、出力縁または出力面にプリズムを取り付けるか、または他の方法で設けることができる。これが図12に示されており、屈折物品121は、入力縁123と、出力縁124と、ノッチ126と、を有する。出力縁124は、一連のプリズム127を備えている。プリズム127は、光線129などの光源(図12には図示せず)からの光線を対象領域129に対する垂線に向かってさらに屈折する。図12に示されているような出力縁124のみが、その端部領域に沿ってプリズムを有する。一般に、このような両端の光源のみが再指向を必要とするためである。しかし、所望の出力光分布に応じて、出力縁124全体がプリズムを含むことができる。また、照明の一様性をさらに改善するために、たとえば、対象129に達する光線の経路において、拡散体を物品121に追加することができる。拡散体は、粗いプリズム面、拡散体材料のコーテッドフィルム、拡散体コーティングを有する接着フィルム、拡散体材料の接着フィルムまたは拡散材料の射出成形層をはじめとするさまざまな形態をとることができる。所望の照明分布を実現するために、拡散体の拡散率(たとえば厚さ)は、その長さに沿って変化させることができる。所望の光分布を実現するために、拡散体の拡散率はまた、面対象にわたって2次元以上において変化させることができる。
【0040】
図13aは、プリズム127およびプリズム127を通過する光線129の経路をさらに拡大した状態で示している。(プリズムの線に関して測定した)プリズム出射ファセット132に関する好ましいファセット角度p2は、約85°であり、約88°であればさらに好ましい。他のプリズムファセット131は、プリズム出射ファセット132に入射する平均光線に平行であるファセット角度p1を有することが好ましい。所望であれば、角度p1、p2は、対象形相124の長さに沿って変化させることができる。
【0041】
図12の設計に関する光線追跡シミュレーションは、図13bにおいて、曲線134(図13aのプリズム特徴部がない場合)および曲線136(図13aのプリズム特徴部がある場合)として示されている。図13bにおいて、水平軸はy軸に対する角度における光線出射角であり、垂直軸は任意の単位における相対照度である。シミュレーションは、p2=88°およびn=1.49を用いた。角度p1は、ファセット131が面132に入射する平均光線に実質的に平行であるように設定された。プリズムの効果は、約40〜70°の出射角の光線を、代わりに約40〜60°の出射角であるようにずらすことである。
【0042】
本発明の別の実施形態において、照明の均一性に作用するために、屈折物品121のバルクをわずかに拡散性であるように作製することができる。たとえば、物品121に拡散粒子を配置することにより、これを実現することができる。
【0043】
さらに説明する実施形態は、2次元において均一に形成されるノッチの形状を含んでいる。ノッチの中心軸を中心にして2次元のノッチ形状を回転することにより、ノッチ設計を3次元までさらに拡張することができ、それにより円筒キャビティを形成する。最も簡単な場合には、回転は円対称であり、出力において結果として生じる光パターンは円形で一様である。一般に、拡散面まで一定の距離dで、xf0の値は、一様に照明される楕円領域を生成するように2つの直交軸に関して選択されてもよい。次に、これらの値は、これらの軸に関して所望のノッチ形状を設計するために用いられる。次いで、必要なキャビティを形成するために、1つの軸に沿った形状を滑らかに回転して直交形状にすることができる。そのような実施形態の例が図14に示されており、面対象144に楕円領域の一様な照明を形成するために、屈折物品141は、適切な光源(図14には図示せず)と共に用いることができる非円対称のキャビティ146(仮想線で示す)を有する。
【0044】
本発明の実施形態はまた、n1<n2の実施形態に限定されるわけではない。n2>n1の実施形態に関する設計も同様に行うことができる。いずれの類の実施形態も一定の利点を提供する。n1>1およびn2=1の実施形態は、光源に光学的に接合され(それによって光源をカプセル化する)、空中において用いられるレンズによって具体化される。レンズは、光源からの光線を再指向して光源から距離dの位置にある実質的に線状または面状の対象領域の実質的に一様な照明を行う。一般に、n2>n1の本発明の実施形態の場合には、対象は対象領域であるため、屈折物品の一部ではない。このような対象は、屈折物品に対して遠い位置にあり、屈折率n2の媒質による屈折によって、屈折物品からの光を受光する。屈折率n1の媒質は光源と曲面との間に位置し、屈折率n2の媒質は曲面と対象との間に位置する。対象は、スラブ状のレンズの場合にはたとえば細長い領域であり、レンズの面に垂直な方向に延在している2次元のレンズ形状の場合には実質的には矩形領域であり、またはレンズの中心軸を中心にして回転されるレンズ形状の場合には円形領域である可能性がある。(楕円形の対象を一様に照明するキャビティを生成するための一連のノッチの回転の場合には)たとえば、上記で説明した回転技術を用いることによって、楕円形の対象領域を照明するようにレンズを作製することができる。
【0045】
一般に、n2がn1より大きい場合には、対象の一様な照明を実現するために、レンズの曲率は高い値のθ0で光源に対して凹面であり、低い値のθ0で凸面であることが好ましい。この関係の例として、d=5mm、xf0=20mm、n1=1.58、n2=1、理想的な点光源の場合のレンズ形状が、図15において曲線152によって示されている。このようなレンズの実施例(LEDまたは他の小さな光源において用いる場合には小さいサイズであるために、「小型レンズ(lenslet)」と呼ぶことが可能である)が、図16において小型レンズ161として示される。小型レンズ161は、光源165に対して凸面をなしている第1の面部分163を有する外面162を備えている。第2の面部分164は、光源165に対して凹面をなし、面部分163を包囲する。小型レンズ161の外側から見ると、第1の面部分163は凹面であり、第2の面部分164は凸面である。第1の面部分163および第2の面部分164は、光源165による対象領域166の実質的に一様な照明を行うように形成されている。このアプローチにより、小型レンズ161を形成して光源165を包囲するために、屈折率n1の硬化可能な透明媒質の利用が容易になり、それにより、光源の配置における持続性および精度を改善する。
【0046】
本発明の別の実施形態が図17に示されており、光は、入力縁173におけるノッチ176と、ノッチ176の上および下にある反射体178と、光出力縁174と、を有する屈折スラブ171に入射される。LED(図17には図示せず)からの光は、スラブ171および光出力縁174によって、成形拡散体179に向かって屈折される。拡散体179の端部における薄い方の領域179a、179bは、拡散体179の厚い方の中央領域179cより小さい範囲の角度にわたって光を分散する。厚い方の領域179cはまた、薄い方の領域179a、179bより少ない光を透過する。成形拡散体179は、ノッチの中線付近で光を分散するのを助け、それにより、対象領域180のより一様な光分布を提供する。拡散体はまた、光源からの光の角度分布をランダム化するように作用し、照明の一様性を改善する。
【0047】
本発明の成形照明装置により、幅wの小さい点状の光源からの光を実質的により大きい幅(たとえば、少なくとも5wであり、少なくとも10wであればさらに好ましく、約15〜約20wであれば最も好ましい)の大きい実質的に線状または面状の対象の実質的に一様な照明を行うために用いることができる。対象内部の点における照明の強度は、平均対象強度値の約±50%以内であれば好ましく、約±20%以内であればさらに好ましく、約±10%以内であれば最も好ましい。
【0048】
一般に、本発明の成形屈折物品は、照明の十分な一様性を実現すると同時に、小さな点状の光源からの光を変換することが望ましい任意の用途が見つかるであろう。たとえば、さまざまな照明装置において、本発明の成形屈折物品を用いることができる。代表的な用途としては、室内の照明、業務用の照明、懐中電灯、警告灯、計測器、センサ、広告、自動販売機、信号機などの交通用途、自動車の計器、尾灯、方向指示器、中央の高い位置に搭載された停止灯などの車両用途、フロントライト、バックライト、電子ディスプレイなどの電子用途が挙げられる。本発明の成形屈折物品は、小さなバッテリによって電源が供給される超小型または小型の照明装置に特に有用である。適切な装置としては、携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、自動車のディスプレイなどが挙げられる。このような装置におけるディスプレイは、さまざまなカラーまたはモノクロ反射のライトバルグを用いて作製されることができる。たとえば、ディスプレイは、コンパック・アイパック(COMPAQiPAQTM)ポケットPCにおいて用いられているディスプレイのような反射カラーLCDであってもよい。本発明の成形屈折物品は、ポスターまたは標識などの一定のグラフ上の図案または(ジリコン・メディア(Gyricon Media Inc.))による開発中の)「ジリコン(Gyricon)」電子ディスプレイ材料などの可変外観基板または他の反射ディスプレイであってもよい。また、本願と同日出願された同時係属出願中の特許出願(代理人整理番号56153USA5A.002)に記載されている「フロントライト型ディスプレイ(FRONTLIT DISPLAY)」などのディスプレイまたは2001年4月6日出願の同時係属出願番号第09/827,732号明細書に記載されている「フロントライト照明型タッチパネル(FRONTLIT ILLUMINATED TOUCH PANEL)」などの照明型タッチパネルを照明するために、成形屈折物品を用いることができる。成形反射物品は、2つ以上の光源、たとえば3つ以上のLEDを具備することができる。対象を照明するために、カラー光源のアレイ(たとえば1つ以上の赤、緑、青の各LED)と共に成形反射物品を用いることができ、アレイの光源は連続的またはストロボアドレス指定機構を用いて電子的にエネルギーが印加される。
【0049】
本発明のさまざまな修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者には明白であろう。本発明は、上記の例示の実施形態に制限されるわけではないことを理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力縁または入力面および出力縁または出力面を具備し、前記入力縁または入力面は、光源を少なくとも部分的に包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチまたはキャビティを有し、前記ノッチまたはキャビティは前記光源による対象の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する、屈折物品。
【請求項2】
前記ノッチまたはキャビティは、それぞれが前記光源に対して凹面をなしている前記対象付近の第1の曲線部分と、前記光源に対して凸面をなしている前記対象からより遠い位置にある第2の曲線部分と、を有する2つの部品に分割されることができ、前記第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照明するように形成されている請求項1に記載の屈折物品。
【請求項3】
前記対象は、前記屈折物品上の対象線または対象面を具備する請求項1に記載の屈折物品。
【請求項4】
前記対象は、前記屈折物品から遠い位置の対象線または対象面を具備する請求項1に記載の屈折物品。
【請求項5】
前記光源は、1つ以上の点状光源を具備する請求項2に記載の屈折物品。
【請求項6】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する請求項5に記載の屈折物品。
【請求項7】
少なくとも1つの発光ダイオードおよび請求項5に記載の屈折物品を具備する照明装置。
【請求項8】
前記対象として拡散体をさらに具備する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
対象においてさらに一様な光分布を形成する拡散体をさらに具備する請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記拡散体は、長さと、所望の光分布を実現するために前記拡散体の前記長さに沿って変化する拡散性と、を有する請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記拡散体は、所望の光分布を実現するために前記対象の前記長さに沿って変化する厚さを有する請求項9に記載の照明装置。
【請求項12】
前記光源は、1つ以上の線光源を具備する請求項2に記載の屈折物品。
【請求項13】
光源に光学的に結合し、光源を少なくとも部分的にカプセル化し、前記光源によって対象領域の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を有する屈折物品。
【請求項14】
前記物品は、前記光源に対して凸面をなし、前記光源に対して凹面をなしている第2の曲線部分によって少なくとも部分的に包囲される第1の曲線部分を有し、前記第2の曲線部分は、対象面積の単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照明するように形成されている請求項13に記載の屈折物品。
【請求項15】
前記光源は、点状光源を具備する請求項14に記載の屈折物品。
【請求項16】
前記光源は、発光ダイオードを具備する請求項14に記載の屈折物品。
【請求項17】
光源を用いて対象を照射するための方法であって、前記光源からの光を前記光源によって前記対象の実質的に一様な照射を行うために形成された第1および第2の逆符号の曲線部分を有する縁または面を備えた屈折物品によって屈折することを含み、前記第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照射するように形成されている方法。
【請求項18】
前記対象は、前記屈折物品上の対象線または対象面を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象は、前記屈折物品から遠い位置の対象線または対象面を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光源は、1つ以上の点状光源を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
曲線部分によって屈折される光源からの光による対象の実質的に一様な照明を行うために成形屈折物品の曲線部分を設計するための方法であり、以下の式、すなわち
【数1】
に実質的に従う曲線部分の形成ステップを含み、デカルト座標空間において、x軸が前記対象に平行であり、y軸が前記対象に垂直であり、光源が原点であり、式中、
(xs,y)は前記曲線部分上の点の位置であり、
θ2は位置(xs,y)における光線の屈折率であり、
n1は前記光源と前記曲線部分との間の屈折率であり、
n2は前記光源と前記対象との間の屈折率であり、
αは位置(xs,y)におけるx軸に対する前記曲線部分の角度であり、
θ0はy軸に対して前記光源からの光線によって形成される角度であり、
xfはx軸に沿った前記対象上の点の位置であり、
dはy軸に沿った前記光源から前記対象までの距離であり、
dI0/dθ2は前記光源からの光の分布であり、
CはI00/2xf0に等しい前記対象上の点における所望の照度であり、
I00は前記光源の総光学出力パワーであり、そして
xf0はx軸に沿って測定された前記対象の半分の長さである、方法。
【請求項23】
光源および請求項13に記載の少なくとも1つの屈折物品を具備する照明型ディスプレイ。
【請求項24】
請求項23に記載のディスプレイを含む携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルまたはビデオカメラ、ラップトップコンピュータまたは輸送車両。
【請求項25】
光源および請求項1に記載の少なくとも1つの屈折物品を具備する照明型ディスプレイ。
【請求項26】
請求項25に記載のディスプレイを含む携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルまたはビデオカメラ、ラップトップコンピュータまたは輸送車両。
【請求項1】
入力縁または入力面および出力縁または出力面を具備し、前記入力縁または入力面は、光源を少なくとも部分的に包囲することができる少なくとも1つの成形ノッチまたはキャビティを有し、前記ノッチまたはキャビティは前記光源による対象の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する、屈折物品。
【請求項2】
前記ノッチまたはキャビティは、それぞれが前記光源に対して凹面をなしている前記対象付近の第1の曲線部分と、前記光源に対して凸面をなしている前記対象からより遠い位置にある第2の曲線部分と、を有する2つの部品に分割されることができ、前記第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照明するように形成されている請求項1に記載の屈折物品。
【請求項3】
前記対象は、前記屈折物品上の対象線または対象面を具備する請求項1に記載の屈折物品。
【請求項4】
前記対象は、前記屈折物品から遠い位置の対象線または対象面を具備する請求項1に記載の屈折物品。
【請求項5】
前記光源は、1つ以上の点状光源を具備する請求項2に記載の屈折物品。
【請求項6】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する請求項5に記載の屈折物品。
【請求項7】
少なくとも1つの発光ダイオードおよび請求項5に記載の屈折物品を具備する照明装置。
【請求項8】
前記対象として拡散体をさらに具備する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
対象においてさらに一様な光分布を形成する拡散体をさらに具備する請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記拡散体は、長さと、所望の光分布を実現するために前記拡散体の前記長さに沿って変化する拡散性と、を有する請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記拡散体は、所望の光分布を実現するために前記対象の前記長さに沿って変化する厚さを有する請求項9に記載の照明装置。
【請求項12】
前記光源は、1つ以上の線光源を具備する請求項2に記載の屈折物品。
【請求項13】
光源に光学的に結合し、光源を少なくとも部分的にカプセル化し、前記光源によって対象領域の実質的に一様な照明を行うために形成された少なくとも2つの逆符号の曲線部分を有する出力縁または出力面を有する屈折物品。
【請求項14】
前記物品は、前記光源に対して凸面をなし、前記光源に対して凹面をなしている第2の曲線部分によって少なくとも部分的に包囲される第1の曲線部分を有し、前記第2の曲線部分は、対象面積の単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照明するように形成されている請求項13に記載の屈折物品。
【請求項15】
前記光源は、点状光源を具備する請求項14に記載の屈折物品。
【請求項16】
前記光源は、発光ダイオードを具備する請求項14に記載の屈折物品。
【請求項17】
光源を用いて対象を照射するための方法であって、前記光源からの光を前記光源によって前記対象の実質的に一様な照射を行うために形成された第1および第2の逆符号の曲線部分を有する縁または面を備えた屈折物品によって屈折することを含み、前記第2の曲線部分は、対象長さの単位当たりの光強度が前記第1の曲線部分とほぼ同一の光強度で前記対象を照射するように形成されている方法。
【請求項18】
前記対象は、前記屈折物品上の対象線または対象面を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象は、前記屈折物品から遠い位置の対象線または対象面を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光源は、1つ以上の点状光源を具備する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
曲線部分によって屈折される光源からの光による対象の実質的に一様な照明を行うために成形屈折物品の曲線部分を設計するための方法であり、以下の式、すなわち
【数1】
に実質的に従う曲線部分の形成ステップを含み、デカルト座標空間において、x軸が前記対象に平行であり、y軸が前記対象に垂直であり、光源が原点であり、式中、
(xs,y)は前記曲線部分上の点の位置であり、
θ2は位置(xs,y)における光線の屈折率であり、
n1は前記光源と前記曲線部分との間の屈折率であり、
n2は前記光源と前記対象との間の屈折率であり、
αは位置(xs,y)におけるx軸に対する前記曲線部分の角度であり、
θ0はy軸に対して前記光源からの光線によって形成される角度であり、
xfはx軸に沿った前記対象上の点の位置であり、
dはy軸に沿った前記光源から前記対象までの距離であり、
dI0/dθ2は前記光源からの光の分布であり、
CはI00/2xf0に等しい前記対象上の点における所望の照度であり、
I00は前記光源の総光学出力パワーであり、そして
xf0はx軸に沿って測定された前記対象の半分の長さである、方法。
【請求項23】
光源および請求項13に記載の少なくとも1つの屈折物品を具備する照明型ディスプレイ。
【請求項24】
請求項23に記載のディスプレイを含む携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルまたはビデオカメラ、ラップトップコンピュータまたは輸送車両。
【請求項25】
光源および請求項1に記載の少なくとも1つの屈折物品を具備する照明型ディスプレイ。
【請求項26】
請求項25に記載のディスプレイを含む携帯電話、ポケットベル(登録商標)、個人用携帯情報端末、置時計、腕時計、計算機、スチルまたはビデオカメラ、ラップトップコンピュータまたは輸送車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−283462(P2009−283462A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−121590(P2009−121590)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2002−579669(P2002−579669)の分割
【原出願日】平成14年2月11日(2002.2.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121590(P2009−121590)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2002−579669(P2002−579669)の分割
【原出願日】平成14年2月11日(2002.2.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]