線状物用プロテクタ
【課題】均一に摩耗する線状物用プロテクタを提供する。
【解決手段】線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成されたナイロン樹脂製の筒状本体2と、線状物の外周面に面する筒状本体2の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体2の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する2本の突起部3を備える。2本の突起部3は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる。筒状本体2は、略半円形の第1の構成体2Aと、結合ピン4を貫通孔7に通して第1の構成体2Aと着脱可能に結合して筒状本体2を形成する、略半円形の第2の構成体2Bとで構成される。第1の構成体2Aと第2の構成体2Bはそれぞれ、端部に凸部5と凹部6とを有する。
【解決手段】線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成されたナイロン樹脂製の筒状本体2と、線状物の外周面に面する筒状本体2の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体2の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する2本の突起部3を備える。2本の突起部3は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる。筒状本体2は、略半円形の第1の構成体2Aと、結合ピン4を貫通孔7に通して第1の構成体2Aと着脱可能に結合して筒状本体2を形成する、略半円形の第2の構成体2Bとで構成される。第1の構成体2Aと第2の構成体2Bはそれぞれ、端部に凸部5と凹部6とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線状物用プロテクタに関する。詳しくは、例えば、航空機に燃料を補給する為の燃料ホースを保護する線状物用プロテクタに係るものである。
【背景技術】
【0002】
航空業界等の特定の分野では、航空機の点検修理のために、ゴム等の軟質絶縁材料で覆われた燃料ホースおよび電気ケーブルを、コンクリートやアスファルト等の上で引きずらなければならない。
【0003】
多くの空港では、ホース及び/またはケーブルを1日に何回もコンクリートやアスファルト等の上で移動させなければならない。
また、コンクリートやアスファルト等の表面は、濡れていることもあれば、ガソリンや化学物質が付着している場合もある。
【0004】
従って、ホース及び/またはケーブルは、コンクリートやアスファルト等の上で引きずられることによる摩耗や、ガソリンなどの付着のため、頻繁に交換する必要がある。加えて、自然の力や紫外線に絶えず曝されるため交換の間隔は短くなる。
【0005】
そこで、摩耗などからホース等を保護するために、ホース等の外周面に、プロテクタを装着することが行なわれている。
【0006】
例えば、特許文献1には、図10に示されるようなプロテクタ付きホースが記載されている。
図10に示されるように、プロテクタ固定具110の第3板状片113を、第2板状片112側に押し付けるように変形させながら、他端側の開口端115から第1板状片111と第2板状片112の間にプロテクタ102の端部を挿入し、同時にホース101とプロテクタ102の間の隙間に、上記のように変形させた第2板状片112と第3板状片113を挿入する。
【0007】
このようにして、プロテクタ102の端部に取付けられたプロテクタ固定具110は、間に挿入されたプロテクタ102の端部によって押し広げられた第1板状片111と第2板状片112が反発力によりプロテクタ102を挟持し、係止凸部116がプロテクタ102の外周面に押し付けられるので、プロテクタ102を離脱しないように固定することができる。
【0008】
それと同時に、ホース101とプロテクタ102の間の隙間に挿入された第3板状片113には、反発力により第2板状片112から離れようとする力が働くので、第3板状片113及びその係止凸部117がホース101の外周面に強く押し付けられる。その結果、プロテクタ固定具110は、プロテクタ102を離脱しないように保持しながらホース101の外周面に係止されるので、プロテクタ102はホース101の外周面に移動しない程度に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−246386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、特許文献1のプロテクタは、固定具で押し付けられて固定され、プロテクタの動きがないので、均一に摩耗し難く、その結果、摩耗の激しい箇所と、そうではない箇所が生じていた。
【0011】
また、摩耗した箇所は当然ながら薄くなるため、薄くなった箇所側にプロテクタが傾き、しかもプロテクタによって押し付けられていないホースの部分は膨らんでいるので、この膨らんだ部分がコンクリートやアスファルト等に接触し易くなり、その結果、ホースが傷つきやすくなっていた。
また、結果として、早期にプロテクタを交換しなければならなかった。
【0012】
また、特に、摩耗の激しい箇所が固定具付近にあると、ホース等が引きずられている際に固定具が離脱してしまうおそれもあった。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、均一に摩耗する線状物用プロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の線状物用プロテクタは、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、前記線状物の外周面に面する前記筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、前記線状物の外周面と前記筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備える。
【0015】
ここで、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部によって、線状物の外周面が筒状本体の内周面に接触し難くなり、突起部を含めた内側の面全体の接触よりも接触面積が小さい、突起部との接触になる。そして、接触面積が小さいので摩擦抵抗も小さくなり、筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0016】
また、筒状本体の中心軸線と略平行な方向すなわち線状物の長手方向は、突起部を横切る方向なので、線状物の外周面が突起部に引っ掛かりやすくなる。よって、筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制される。
【0017】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、筒状本体の内周面に、複数の窪みが形成された場合、窪み内に溜まった例えば空気中の水分が、線状物例えばホースの外周面にしみ出た油と反発し合うので、筒状本体の内周面とホースの外周面の間の摩擦が減少し、その結果、筒状本体の周方向への回転が促進される。
【0018】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる複数の突起部であることとすることができる。
【0019】
この場合、例えば突起部が2本であれば、突起部と突起部の間には小石などが入り込み難いので、ホースなどを傷め難くなる。
また、突起部が2本であれば、突起部がレールの働きをするので、1本のときよりも安定して筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0020】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、筒状本体は、第1の構成体と、第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する第2の構成体とで構成されることとすることができる。
【0021】
この場合、ホースの端部から筒状本体を通す必要がなく、ホースの所望の位置に筒状本体を取付けることができる。
【0022】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、第1の構成体及び第2の構成体はそれぞれ、筒状本体の中心軸線と略平行な方向に、結合ピンが通される貫通孔が形成されたこととすることができる。
【0023】
この場合、筒状本体の中心軸線と略平行な方向は、結合ピンと同様に直線状であるので、丸みを帯びた筒状本体の周方向に直線状の結合ピンが通されるよりも、線状物用プロテクタが劣化したときに、結合ピンが露出し難くなり、よって、結合ピンが離脱し難くなる。
【0024】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、筒状本体の端面から離れた位置に設けられたこととすることができる。
【0025】
この場合、外側に位置して損傷し易い筒状本体の端面(すなわち、縁)から離れて内側に、突起部が設けられているので、突起部が損傷し難くなる。
【0026】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、筒状本体の内周面の周方向に沿って移動可能に構成されることとすることができる。
【0027】
また、上記の目的を達成するために、本発明の線状物用プロテクタは、略半円形の第1の構成体と、該第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する、略半円形の第2の構成体とを備える線状物用プロテクタにおいて、前記筒状本体は、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付けられた場合に、前記筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるよう構成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る線状物用プロテクタは、均一に磨耗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の線状物用プロテクタの第1の態様を示す概略図である。
【図2】第1の態様の本発明の線状物用プロテクタを解体した状態を示す概略図である。
【図3】第1の態様の本発明の線状物用プロテクタをホースに取付けた状態を示す概略図である。
【図4】本発明の線状物用プロテクタの第2の態様を示す概略断面図である。
【図5】本発明の線状物用プロテクタの第3の態様を示す概略図である。
【図6】本発明の線状物用プロテクタの第3の態様の変形例を示す概略図である。
【図7】本発明の線状物用プロテクタの第4の態様を示す概略断面図である。
【図8】本発明の線状物用プロテクタの第5の態様を示す概略図である。
【図9】第5の態様の本発明の線状物用プロテクタの部分断面図である。
【図10】従来のプロテクタがホースに取り付けられた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の線状物用プロテクタの第1の態様を示す概略図である。また、図2は、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタを解体した状態を示す概略図である。
【0031】
本発明の線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成されたナイロン樹脂製の筒状本体2を備える。
なお、本発明で言う「線状物」とは、例えば、ホース、パイプ、または、ケーブルを意味する。
【0032】
また、本発明の線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に面する筒状本体2の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体2の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する2本の突起部3を備える。
【0033】
また、2本の突起部3は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる。また、突起部3の形状は、鉄道レールのようにストレート形状である。
【0034】
また、筒状本体2は、略半円形の第1の構成体2Aと、結合ピン4を貫通孔7に通して第1の構成体2Aと着脱可能に結合して筒状本体2を形成する、略半円形の第2の構成体2Bとで構成される。
【0035】
ここで、第1の構成体2Aと第2の構成体2Bはそれぞれ、端部に凸部5と凹部6とを有する。
第1の構成体2Aと第2の構成体2Bとを結合させる場合、第1の構成体2Aの凸部5と第2の構成体2Bの凹部6とを嵌め合い、また、第1の構成体2Aの凹部6と第2の構成体2Bの凸部5とを嵌め合う。
【0036】
そして、各構成体の凸部5に、筒状本体2の中心軸線と略平行な方向に形成された貫通孔7、及び、各構成体の凹部6を挟むように、筒状本体2の中心軸線と略平行な方向に形成された貫通孔7に、結合ピン4を通して、第1の構成体2Aと第2の構成体2Bとを結合させる。
【0037】
また、図に示すように、2本の突起部3は、筒状本体2の端面(すなわち、縁)から離れた位置に設けられている。
【0038】
また、図に示すように、筒状本体2の縁に沿って、蛍光シール12が付着されている。筒状本体2の縁は、筒状本体2の外周面ほど損傷し易いわけではないので、筒状本体2の縁に蛍光シール12が付着される。
【0039】
ここで、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた2本の突起部でなくてもよく、1本であってもよい。
【0040】
しかし、突起部が、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた複数例えば2本の突起部であれば、突起部と突起部の間には小石などが入り込み難いので、ホースなどを傷め難くなり、好ましい。
また、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた3本の突起部とすることもできる。
【0041】
また、突起部が、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた複数例えば2本の突起部であれば、突起部がレールの働きをするので、1本のときよりも安定して筒状本体の周方向に回転しやすくなるので好ましい。
【0042】
また、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも筒状本体は、第1の構成体と第2の構成体という2つの部品に分かれていなくてもよく、一体化したものであってもよい。
【0043】
しかし、筒状本体が、第1の構成体と、第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する第2の構成体とで構成されていれば、ホースの端部から筒状本体を通す必要がなく、ホースの所望の位置に筒状本体を取付けることができるので好ましい。
【0044】
また、第1の構成体と第2の構成体が結合して筒状本体を形成するのであれば、必ずしも第1の構成体と第2の構成体がどちらも略半円形の形状を有していなくてもよく、例えば、一方が筒状本体の3/4を占めるような形状であってもよい。
【0045】
また、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも突起部は、筒状本体の端面から離れた位置に設けられていなくてもよく、例えば端面に沿って設けられてもよい。
【0046】
しかし、突起部が、筒状本体の端面から離れた位置に設けられていれば、突起部が損傷し難くなるので好ましい。
【0047】
また、筒状本体は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付けられた場合に、筒状本体の周方向に回転可能であると共に、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるのであれば、必ずしも断面が円形のものに限定されるものではない。
【0048】
また、周囲が暗くなったときに光るのであれば、必ずしも蛍光シールを付着しなくてもよく、例えば、筒状本体の縁に沿って溝を形成し、この溝に蛍光塗料を埋め込んでもよいし、筒状本体の材料となる樹脂に蛍光材料を混ぜて、この樹脂を用いて筒状本体を成形してもよい。また、反射シールを付着してもよいし、必ずしも、蛍光シールや反射シールなど光る部材を適用しなくてもよい。
【0049】
図3は、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタをホースに取付けた状態を示す概略図である。
ホース10の任意の位置に、第1の構成体と第2の構成体を嵌め込み、互いに結合ピンで結合させて、本発明の線状物用プロテクタ1をホース10に取付ける。
【0050】
そして、本発明の線状物用プロテクタ1が取付けられたホース10を引きずると、本発明の線状物用プロテクタ1の突起部によって、図3の矢印で示すように、本発明の線状物用プロテクタ1は筒状本体の周方向に回転する。
【0051】
図4は、本発明の線状物用プロテクタの第2の態様を示す概略断面図である。
図4に示すように、本発明の第2の態様の線状物用プロテクタにおける突起部は、第1の態様と異なり、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面の周方向に沿って一列に、一部が露出するように埋め込まれた複数の玉8である。
【0052】
また、玉8の露出した部分は、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する。
なお、図4では、第1の構成体2Aのみを図示しているが、第2の構成体にも、同様に玉8が埋め込まれていることは勿論である。
【0053】
また、図1に示すようなストレート形状の突起部に沿って、一部が露出するように玉を埋め込むこともできる。
【0054】
図5は、本発明の線状物用プロテクタの第3の態様を示す概略図である。
図5に示すように、本発明の第3の態様の線状物用プロテクタでは、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面に、複数の窪み9が形成される。なお、第2の構成体の内周面にも、複数の窪みが形成されることは勿論である。
【0055】
また、図5では、ストレート形状の突起部3が示されているが、ストレート形状の突起部の代わりに、図4に示すように玉を埋め込んで突起部としてもよいことは勿論である。
【0056】
図6は、本発明の線状物用プロテクタの第3の態様の変形例を示す概略図である。
図6に示すように、本発明の第3の態様の変形例の線状物用プロテクタでは、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面に、突起部3と略同じ高さを有すると共に上面に窪み9が形成されたピン9Aが複数設けられている。なお、第2の構成体の内周面にも、同様な複数のピンが設けられることは勿論である。
【0057】
ピン9Aは、その上面に窪み9が形成されているので、窪み9内に溜まった空気中の水分が、ホースの外周面にしみ出た油と反発し合い、筒状本体の内周面とホースの外周面の間の摩擦が減少し、その結果、筒状本体の周方向への回転が促進される。
【0058】
さらに、ピン9Aは突起部3と略同じ高さを有するので、ホースの外周面が、突起部3に引っ掛かりやすくなるのと同様にピン9Aにも引っ掛かりやすくなり、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きがさらに抑制される。
【0059】
また、図5及び図6においては、窪み9やピン9Aは、第1の構成体2Aの内周面にランダムに形成された様子が示されているが、例えば、突起部3に沿って窪みやピンを規則正しく形成することもできるし、また、突起部3に挟まれた領域には、窪みやピンを形成しないようにし、筒状本体の縁(端面)と突起部との間の領域にのみ窪みやピンを形成するようにしてもよい。
【0060】
図7は、本発明の線状物用プロテクタの第4の態様を示す概略断面図である。
図7に示すように、本発明の第4の態様の線状物用プロテクタにおける突起部3は、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面の周方向に沿って、断続的に設けられた山形状の突起部である。なお、第2の態様のように玉を埋め込んでも山形状の突起部が形成できるが、本発明の第4の態様の線状物用プロテクタにおいては、玉を埋め込まずに、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの一部を山形状にしている。
【0061】
なお、山の高さは、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さである。
【0062】
また、突起部は、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有するのであれば、例えば波形状の突起部であってもよい。
【0063】
図8は、本発明の線状物用プロテクタの第5の態様を示す概略図であり、図9は、第5の態様の本発明の線状物用プロテクタの部分断面図である。
【0064】
図8及び図9に示すように、本発明の第5の態様の線状物用プロテクタにおける2本の突起部3は、それぞれ筒状本体の端面側へ向けて折り曲げられた断面L字形状を有する。また、本発明の第5の態様の線状物用プロテクタにおける2本の突起部は、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する。
【0065】
また、断面L字形状の突起部3を係合する為に、側壁が対向するよう折り曲げられた断面L字形状を有するレール部材11がホース10に固定されており、図9に示すように、2本の突起部3とレール部材11とが係合する。
【0066】
このような構成によって、より一層、筒状本体の周方向への回転が促進される。なお、レール部材11は、本発明の線状物用プロテクタで隠れるようにするため、筒状本体の中心軸線と略平行な方向のレール部材11の長さは、筒状本体の長さよりも短い。
【0067】
また、このようなレール構造を応用して、例えば、筒状本体の内周面の周方向に沿って形成された溝に、筒状本体の内周面の周方向に沿って滑走可能に突起部を取付ければ、ホースの外周面にホースと同心状に取付けられた筒状本体が、突起部に沿って筒状本体の周方向に回転できる。
【0068】
また、その他の態様として、例えば、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタの内側面全体を薄いナイロン樹脂製のシートで覆うようにしてもよい。このとき、シートの縁と線状物用プロテクタの端面のみを接着し、突起部及び内周面と、シートとは接着しないようにして袋状に覆う。
【0069】
シートによって滑りが良くなるので、筒状本体の周方向に回転しやすいと共に、シートが薄いので、突起部を覆っていてもホースなどに線状物用プロテクタを取付けたとき、突起部が浮き出て突起部としての働きを損ねることがなく、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きは抑制される。
【0070】
以上のように、本発明の線状物用プロテクタは、ホースなどの線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部を備えるので、線状物の外周面が筒状本体の内周面に接触し難くなり、突起部を含めた内側の面全体の接触よりも接触面積が小さい、突起部との接触になる。そして、接触面積が小さいので摩擦抵抗も小さくなり、筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0071】
従って、本発明の線状物用プロテクタは、均一に摩耗することができる。その結果、交換までの期間も、固定式の従来のプロテクタが使用開始から約3週間であるのに対し、本発明の線状物用プロテクタは約3ヶ月であり、従来のプロテクタよりも寿命が長い。
【0072】
また、本発明の線状物用プロテクタは、均一に摩耗するので、余裕を持って交換することができる。
【0073】
また、本発明の線状物用プロテクタは、第1の構成体と、第2の構成体という2つの略半円形の部材が着脱可能に結合して構成されているので、ホースの所望の位置に、第1の構成体と、第2の構成体とを嵌め込んで、本発明の線状物用プロテクタを装着することができる。
【0074】
また、本発明の線状物用プロテクタは、筒状本体の縁に沿って蛍光シールが付着されているので、周囲が暗くなっても蛍光シールが光り、ホースの位置を把握しやすい。
【符号の説明】
【0075】
1 線状物用プロテクタ
2 筒状本体
2A 第1の構成体
2B 第2の構成体
3 突起部
4 結合ピン
5 凸部
6 凹部
7 貫通孔
8 玉
9 窪み
9A ピン
10 ホース
11 レール部材
12 蛍光シール
【技術分野】
【0001】
本発明は線状物用プロテクタに関する。詳しくは、例えば、航空機に燃料を補給する為の燃料ホースを保護する線状物用プロテクタに係るものである。
【背景技術】
【0002】
航空業界等の特定の分野では、航空機の点検修理のために、ゴム等の軟質絶縁材料で覆われた燃料ホースおよび電気ケーブルを、コンクリートやアスファルト等の上で引きずらなければならない。
【0003】
多くの空港では、ホース及び/またはケーブルを1日に何回もコンクリートやアスファルト等の上で移動させなければならない。
また、コンクリートやアスファルト等の表面は、濡れていることもあれば、ガソリンや化学物質が付着している場合もある。
【0004】
従って、ホース及び/またはケーブルは、コンクリートやアスファルト等の上で引きずられることによる摩耗や、ガソリンなどの付着のため、頻繁に交換する必要がある。加えて、自然の力や紫外線に絶えず曝されるため交換の間隔は短くなる。
【0005】
そこで、摩耗などからホース等を保護するために、ホース等の外周面に、プロテクタを装着することが行なわれている。
【0006】
例えば、特許文献1には、図10に示されるようなプロテクタ付きホースが記載されている。
図10に示されるように、プロテクタ固定具110の第3板状片113を、第2板状片112側に押し付けるように変形させながら、他端側の開口端115から第1板状片111と第2板状片112の間にプロテクタ102の端部を挿入し、同時にホース101とプロテクタ102の間の隙間に、上記のように変形させた第2板状片112と第3板状片113を挿入する。
【0007】
このようにして、プロテクタ102の端部に取付けられたプロテクタ固定具110は、間に挿入されたプロテクタ102の端部によって押し広げられた第1板状片111と第2板状片112が反発力によりプロテクタ102を挟持し、係止凸部116がプロテクタ102の外周面に押し付けられるので、プロテクタ102を離脱しないように固定することができる。
【0008】
それと同時に、ホース101とプロテクタ102の間の隙間に挿入された第3板状片113には、反発力により第2板状片112から離れようとする力が働くので、第3板状片113及びその係止凸部117がホース101の外周面に強く押し付けられる。その結果、プロテクタ固定具110は、プロテクタ102を離脱しないように保持しながらホース101の外周面に係止されるので、プロテクタ102はホース101の外周面に移動しない程度に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−246386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、特許文献1のプロテクタは、固定具で押し付けられて固定され、プロテクタの動きがないので、均一に摩耗し難く、その結果、摩耗の激しい箇所と、そうではない箇所が生じていた。
【0011】
また、摩耗した箇所は当然ながら薄くなるため、薄くなった箇所側にプロテクタが傾き、しかもプロテクタによって押し付けられていないホースの部分は膨らんでいるので、この膨らんだ部分がコンクリートやアスファルト等に接触し易くなり、その結果、ホースが傷つきやすくなっていた。
また、結果として、早期にプロテクタを交換しなければならなかった。
【0012】
また、特に、摩耗の激しい箇所が固定具付近にあると、ホース等が引きずられている際に固定具が離脱してしまうおそれもあった。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、均一に摩耗する線状物用プロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の線状物用プロテクタは、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、前記線状物の外周面に面する前記筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、前記線状物の外周面と前記筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備える。
【0015】
ここで、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部によって、線状物の外周面が筒状本体の内周面に接触し難くなり、突起部を含めた内側の面全体の接触よりも接触面積が小さい、突起部との接触になる。そして、接触面積が小さいので摩擦抵抗も小さくなり、筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0016】
また、筒状本体の中心軸線と略平行な方向すなわち線状物の長手方向は、突起部を横切る方向なので、線状物の外周面が突起部に引っ掛かりやすくなる。よって、筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制される。
【0017】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、筒状本体の内周面に、複数の窪みが形成された場合、窪み内に溜まった例えば空気中の水分が、線状物例えばホースの外周面にしみ出た油と反発し合うので、筒状本体の内周面とホースの外周面の間の摩擦が減少し、その結果、筒状本体の周方向への回転が促進される。
【0018】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる複数の突起部であることとすることができる。
【0019】
この場合、例えば突起部が2本であれば、突起部と突起部の間には小石などが入り込み難いので、ホースなどを傷め難くなる。
また、突起部が2本であれば、突起部がレールの働きをするので、1本のときよりも安定して筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0020】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、筒状本体は、第1の構成体と、第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する第2の構成体とで構成されることとすることができる。
【0021】
この場合、ホースの端部から筒状本体を通す必要がなく、ホースの所望の位置に筒状本体を取付けることができる。
【0022】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、第1の構成体及び第2の構成体はそれぞれ、筒状本体の中心軸線と略平行な方向に、結合ピンが通される貫通孔が形成されたこととすることができる。
【0023】
この場合、筒状本体の中心軸線と略平行な方向は、結合ピンと同様に直線状であるので、丸みを帯びた筒状本体の周方向に直線状の結合ピンが通されるよりも、線状物用プロテクタが劣化したときに、結合ピンが露出し難くなり、よって、結合ピンが離脱し難くなる。
【0024】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、筒状本体の端面から離れた位置に設けられたこととすることができる。
【0025】
この場合、外側に位置して損傷し易い筒状本体の端面(すなわち、縁)から離れて内側に、突起部が設けられているので、突起部が損傷し難くなる。
【0026】
また、本発明の線状物用プロテクタにおいて、突起部は、筒状本体の内周面の周方向に沿って移動可能に構成されることとすることができる。
【0027】
また、上記の目的を達成するために、本発明の線状物用プロテクタは、略半円形の第1の構成体と、該第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する、略半円形の第2の構成体とを備える線状物用プロテクタにおいて、前記筒状本体は、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付けられた場合に、前記筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるよう構成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る線状物用プロテクタは、均一に磨耗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の線状物用プロテクタの第1の態様を示す概略図である。
【図2】第1の態様の本発明の線状物用プロテクタを解体した状態を示す概略図である。
【図3】第1の態様の本発明の線状物用プロテクタをホースに取付けた状態を示す概略図である。
【図4】本発明の線状物用プロテクタの第2の態様を示す概略断面図である。
【図5】本発明の線状物用プロテクタの第3の態様を示す概略図である。
【図6】本発明の線状物用プロテクタの第3の態様の変形例を示す概略図である。
【図7】本発明の線状物用プロテクタの第4の態様を示す概略断面図である。
【図8】本発明の線状物用プロテクタの第5の態様を示す概略図である。
【図9】第5の態様の本発明の線状物用プロテクタの部分断面図である。
【図10】従来のプロテクタがホースに取り付けられた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の線状物用プロテクタの第1の態様を示す概略図である。また、図2は、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタを解体した状態を示す概略図である。
【0031】
本発明の線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成されたナイロン樹脂製の筒状本体2を備える。
なお、本発明で言う「線状物」とは、例えば、ホース、パイプ、または、ケーブルを意味する。
【0032】
また、本発明の線状物用プロテクタ1は、線状物の外周面に面する筒状本体2の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体2の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する2本の突起部3を備える。
【0033】
また、2本の突起部3は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる。また、突起部3の形状は、鉄道レールのようにストレート形状である。
【0034】
また、筒状本体2は、略半円形の第1の構成体2Aと、結合ピン4を貫通孔7に通して第1の構成体2Aと着脱可能に結合して筒状本体2を形成する、略半円形の第2の構成体2Bとで構成される。
【0035】
ここで、第1の構成体2Aと第2の構成体2Bはそれぞれ、端部に凸部5と凹部6とを有する。
第1の構成体2Aと第2の構成体2Bとを結合させる場合、第1の構成体2Aの凸部5と第2の構成体2Bの凹部6とを嵌め合い、また、第1の構成体2Aの凹部6と第2の構成体2Bの凸部5とを嵌め合う。
【0036】
そして、各構成体の凸部5に、筒状本体2の中心軸線と略平行な方向に形成された貫通孔7、及び、各構成体の凹部6を挟むように、筒状本体2の中心軸線と略平行な方向に形成された貫通孔7に、結合ピン4を通して、第1の構成体2Aと第2の構成体2Bとを結合させる。
【0037】
また、図に示すように、2本の突起部3は、筒状本体2の端面(すなわち、縁)から離れた位置に設けられている。
【0038】
また、図に示すように、筒状本体2の縁に沿って、蛍光シール12が付着されている。筒状本体2の縁は、筒状本体2の外周面ほど損傷し易いわけではないので、筒状本体2の縁に蛍光シール12が付着される。
【0039】
ここで、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた2本の突起部でなくてもよく、1本であってもよい。
【0040】
しかし、突起部が、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた複数例えば2本の突起部であれば、突起部と突起部の間には小石などが入り込み難いので、ホースなどを傷め難くなり、好ましい。
また、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた3本の突起部とすることもできる。
【0041】
また、突起部が、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられた複数例えば2本の突起部であれば、突起部がレールの働きをするので、1本のときよりも安定して筒状本体の周方向に回転しやすくなるので好ましい。
【0042】
また、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも筒状本体は、第1の構成体と第2の構成体という2つの部品に分かれていなくてもよく、一体化したものであってもよい。
【0043】
しかし、筒状本体が、第1の構成体と、第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する第2の構成体とで構成されていれば、ホースの端部から筒状本体を通す必要がなく、ホースの所望の位置に筒状本体を取付けることができるので好ましい。
【0044】
また、第1の構成体と第2の構成体が結合して筒状本体を形成するのであれば、必ずしも第1の構成体と第2の構成体がどちらも略半円形の形状を有していなくてもよく、例えば、一方が筒状本体の3/4を占めるような形状であってもよい。
【0045】
また、本発明の線状物用プロテクタが、線状物の外周面に線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備えるのであれば、必ずしも突起部は、筒状本体の端面から離れた位置に設けられていなくてもよく、例えば端面に沿って設けられてもよい。
【0046】
しかし、突起部が、筒状本体の端面から離れた位置に設けられていれば、突起部が損傷し難くなるので好ましい。
【0047】
また、筒状本体は、線状物の外周面に線状物と同心状に取付けられた場合に、筒状本体の周方向に回転可能であると共に、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるのであれば、必ずしも断面が円形のものに限定されるものではない。
【0048】
また、周囲が暗くなったときに光るのであれば、必ずしも蛍光シールを付着しなくてもよく、例えば、筒状本体の縁に沿って溝を形成し、この溝に蛍光塗料を埋め込んでもよいし、筒状本体の材料となる樹脂に蛍光材料を混ぜて、この樹脂を用いて筒状本体を成形してもよい。また、反射シールを付着してもよいし、必ずしも、蛍光シールや反射シールなど光る部材を適用しなくてもよい。
【0049】
図3は、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタをホースに取付けた状態を示す概略図である。
ホース10の任意の位置に、第1の構成体と第2の構成体を嵌め込み、互いに結合ピンで結合させて、本発明の線状物用プロテクタ1をホース10に取付ける。
【0050】
そして、本発明の線状物用プロテクタ1が取付けられたホース10を引きずると、本発明の線状物用プロテクタ1の突起部によって、図3の矢印で示すように、本発明の線状物用プロテクタ1は筒状本体の周方向に回転する。
【0051】
図4は、本発明の線状物用プロテクタの第2の態様を示す概略断面図である。
図4に示すように、本発明の第2の態様の線状物用プロテクタにおける突起部は、第1の態様と異なり、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面の周方向に沿って一列に、一部が露出するように埋め込まれた複数の玉8である。
【0052】
また、玉8の露出した部分は、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する。
なお、図4では、第1の構成体2Aのみを図示しているが、第2の構成体にも、同様に玉8が埋め込まれていることは勿論である。
【0053】
また、図1に示すようなストレート形状の突起部に沿って、一部が露出するように玉を埋め込むこともできる。
【0054】
図5は、本発明の線状物用プロテクタの第3の態様を示す概略図である。
図5に示すように、本発明の第3の態様の線状物用プロテクタでは、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面に、複数の窪み9が形成される。なお、第2の構成体の内周面にも、複数の窪みが形成されることは勿論である。
【0055】
また、図5では、ストレート形状の突起部3が示されているが、ストレート形状の突起部の代わりに、図4に示すように玉を埋め込んで突起部としてもよいことは勿論である。
【0056】
図6は、本発明の線状物用プロテクタの第3の態様の変形例を示す概略図である。
図6に示すように、本発明の第3の態様の変形例の線状物用プロテクタでは、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面に、突起部3と略同じ高さを有すると共に上面に窪み9が形成されたピン9Aが複数設けられている。なお、第2の構成体の内周面にも、同様な複数のピンが設けられることは勿論である。
【0057】
ピン9Aは、その上面に窪み9が形成されているので、窪み9内に溜まった空気中の水分が、ホースの外周面にしみ出た油と反発し合い、筒状本体の内周面とホースの外周面の間の摩擦が減少し、その結果、筒状本体の周方向への回転が促進される。
【0058】
さらに、ピン9Aは突起部3と略同じ高さを有するので、ホースの外周面が、突起部3に引っ掛かりやすくなるのと同様にピン9Aにも引っ掛かりやすくなり、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きがさらに抑制される。
【0059】
また、図5及び図6においては、窪み9やピン9Aは、第1の構成体2Aの内周面にランダムに形成された様子が示されているが、例えば、突起部3に沿って窪みやピンを規則正しく形成することもできるし、また、突起部3に挟まれた領域には、窪みやピンを形成しないようにし、筒状本体の縁(端面)と突起部との間の領域にのみ窪みやピンを形成するようにしてもよい。
【0060】
図7は、本発明の線状物用プロテクタの第4の態様を示す概略断面図である。
図7に示すように、本発明の第4の態様の線状物用プロテクタにおける突起部3は、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの内周面の周方向に沿って、断続的に設けられた山形状の突起部である。なお、第2の態様のように玉を埋め込んでも山形状の突起部が形成できるが、本発明の第4の態様の線状物用プロテクタにおいては、玉を埋め込まずに、筒状本体を構成する第1の構成体2Aの一部を山形状にしている。
【0061】
なお、山の高さは、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さである。
【0062】
また、突起部は、線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有するのであれば、例えば波形状の突起部であってもよい。
【0063】
図8は、本発明の線状物用プロテクタの第5の態様を示す概略図であり、図9は、第5の態様の本発明の線状物用プロテクタの部分断面図である。
【0064】
図8及び図9に示すように、本発明の第5の態様の線状物用プロテクタにおける2本の突起部3は、それぞれ筒状本体の端面側へ向けて折り曲げられた断面L字形状を有する。また、本発明の第5の態様の線状物用プロテクタにおける2本の突起部は、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する。
【0065】
また、断面L字形状の突起部3を係合する為に、側壁が対向するよう折り曲げられた断面L字形状を有するレール部材11がホース10に固定されており、図9に示すように、2本の突起部3とレール部材11とが係合する。
【0066】
このような構成によって、より一層、筒状本体の周方向への回転が促進される。なお、レール部材11は、本発明の線状物用プロテクタで隠れるようにするため、筒状本体の中心軸線と略平行な方向のレール部材11の長さは、筒状本体の長さよりも短い。
【0067】
また、このようなレール構造を応用して、例えば、筒状本体の内周面の周方向に沿って形成された溝に、筒状本体の内周面の周方向に沿って滑走可能に突起部を取付ければ、ホースの外周面にホースと同心状に取付けられた筒状本体が、突起部に沿って筒状本体の周方向に回転できる。
【0068】
また、その他の態様として、例えば、第1の態様の本発明の線状物用プロテクタの内側面全体を薄いナイロン樹脂製のシートで覆うようにしてもよい。このとき、シートの縁と線状物用プロテクタの端面のみを接着し、突起部及び内周面と、シートとは接着しないようにして袋状に覆う。
【0069】
シートによって滑りが良くなるので、筒状本体の周方向に回転しやすいと共に、シートが薄いので、突起部を覆っていてもホースなどに線状物用プロテクタを取付けたとき、突起部が浮き出て突起部としての働きを損ねることがなく、筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きは抑制される。
【0070】
以上のように、本発明の線状物用プロテクタは、ホースなどの線状物の外周面に面する筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、線状物の外周面と筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部を備えるので、線状物の外周面が筒状本体の内周面に接触し難くなり、突起部を含めた内側の面全体の接触よりも接触面積が小さい、突起部との接触になる。そして、接触面積が小さいので摩擦抵抗も小さくなり、筒状本体の周方向に回転しやすくなる。
【0071】
従って、本発明の線状物用プロテクタは、均一に摩耗することができる。その結果、交換までの期間も、固定式の従来のプロテクタが使用開始から約3週間であるのに対し、本発明の線状物用プロテクタは約3ヶ月であり、従来のプロテクタよりも寿命が長い。
【0072】
また、本発明の線状物用プロテクタは、均一に摩耗するので、余裕を持って交換することができる。
【0073】
また、本発明の線状物用プロテクタは、第1の構成体と、第2の構成体という2つの略半円形の部材が着脱可能に結合して構成されているので、ホースの所望の位置に、第1の構成体と、第2の構成体とを嵌め込んで、本発明の線状物用プロテクタを装着することができる。
【0074】
また、本発明の線状物用プロテクタは、筒状本体の縁に沿って蛍光シールが付着されているので、周囲が暗くなっても蛍光シールが光り、ホースの位置を把握しやすい。
【符号の説明】
【0075】
1 線状物用プロテクタ
2 筒状本体
2A 第1の構成体
2B 第2の構成体
3 突起部
4 結合ピン
5 凸部
6 凹部
7 貫通孔
8 玉
9 窪み
9A ピン
10 ホース
11 レール部材
12 蛍光シール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状物の外周面に同線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、
前記線状物の外周面に面する前記筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、前記線状物の外周面と前記筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備える
線状物用プロテクタ。
【請求項2】
前記筒状本体の内周面に、複数の窪みが形成された
請求項1に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項3】
前記突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる複数の突起部である
請求項1に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項4】
前記筒状本体は、第1の構成体と、
該第1の構成体と着脱可能に結合して前記筒状本体を形成する第2の構成体とで構成される
請求項1〜3のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項5】
前記第1の構成体及び前記第2の構成体はそれぞれ、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向に、結合ピンが通される貫通孔が形成された
請求項4に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項6】
前記突起部は、前記筒状本体の端面から離れた位置に設けられた
請求項1〜5のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項7】
前記突起部は、前記筒状本体の内周面の周方向に沿って移動可能に構成される
請求項1〜6のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項8】
略半円形の第1の構成体と、該第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する、略半円形の第2の構成体とを備える線状物用プロテクタにおいて、
前記筒状本体は、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付けられた場合に、前記筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるよう構成される
線状物用プロテクタ。
【請求項1】
線状物の外周面に同線状物と同心状に取付け可能に構成された筒状本体と、
前記線状物の外周面に面する前記筒状本体の内周面の周方向に沿って設けられると共に、前記線状物の外周面と前記筒状本体の内周面との間に所定の間隙を形成する高さを有する突起部とを備える
線状物用プロテクタ。
【請求項2】
前記筒状本体の内周面に、複数の窪みが形成された
請求項1に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項3】
前記突起部は、互いに略平行にかつ所定の間隔で離れて設けられる複数の突起部である
請求項1に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項4】
前記筒状本体は、第1の構成体と、
該第1の構成体と着脱可能に結合して前記筒状本体を形成する第2の構成体とで構成される
請求項1〜3のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項5】
前記第1の構成体及び前記第2の構成体はそれぞれ、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向に、結合ピンが通される貫通孔が形成された
請求項4に記載の線状物用プロテクタ。
【請求項6】
前記突起部は、前記筒状本体の端面から離れた位置に設けられた
請求項1〜5のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項7】
前記突起部は、前記筒状本体の内周面の周方向に沿って移動可能に構成される
請求項1〜6のいずれか1つに記載の線状物用プロテクタ。
【請求項8】
略半円形の第1の構成体と、該第1の構成体と着脱可能に結合して筒状本体を形成する、略半円形の第2の構成体とを備える線状物用プロテクタにおいて、
前記筒状本体は、線状物の外周面に同線状物と同心状に取付けられた場合に、前記筒状本体の周方向に回転可能であると共に、前記筒状本体の中心軸線と略平行な方向の動きが抑制されるよう構成される
線状物用プロテクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−102762(P2012−102762A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249540(P2010−249540)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(511100855)
【出願人】(510295620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(511100855)
【出願人】(510295620)
【Fターム(参考)】
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